JPH086952B2 - 冷凍サイクル制御装置 - Google Patents

冷凍サイクル制御装置

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JPH086952B2
JPH086952B2 JP62115269A JP11526987A JPH086952B2 JP H086952 B2 JPH086952 B2 JP H086952B2 JP 62115269 A JP62115269 A JP 62115269A JP 11526987 A JP11526987 A JP 11526987A JP H086952 B2 JPH086952 B2 JP H086952B2
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亨 筧
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
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  • Compression-Type Refrigeration Machines With Reversible Cycles (AREA)
  • Air Conditioning Control Device (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、空調装置に用いられる冷凍サイクルの制御
装置に関し、特に冷却能力が連続的に可変に構成された
冷凍サイクルの制御装置に関するものである。
〔従来の技術〕
従来より、例えば車両用空調装置にあっては、冷媒圧
縮式冷凍サイクルが用いられている。この冷凍サイクル
の制御としては、冷房負荷に応じて冷媒圧縮機への動力
の伝達を断続するものが一般的であった。このような圧
縮機の断続制御では、動力損失が大きく、空調フィーリ
ングも悪いため、可変容量型の冷媒圧縮機が多く提案さ
れている。また、冷却器(エバポレータ)に流入する冷
媒を調節する膨張弁において、その開度を電気的な駆動
機構により調節しようとする提案もされている。このも
のでは、冷房負荷に応じて、圧縮機の容量や膨張弁の開
度を調節することができ、動力損失が大巾に低減され、
駆動フィーリングも向上する。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし、このような可変容量型冷媒圧縮機に代表され
る冷凍サイクルの能力調節装置を用いても、従来の比
例、積分、微分、あるいはこれらの組み合わせによる制
御では動力損失、空調フィーリングとも十分な効果が得
られるとはいえなかった。すなわち、これらの制御で
は、エバポレータの効率、エバポレータで冷却された空
気温度などの複数の制御出力を圧縮容量、弁開度などの
複数の制御入力により最適と思われる状態に制御するこ
とは非常に困難であったからである。
そこで本発明は、冷凍サイクルの制御装置に、多入力
多出力を理論的に扱うことができる現代制御理論を適用
し、この制御装置を付加積分型最適レギュレータとして
構成することにより、冷凍サイクルの稼動に伴う増力損
失のさらなる低減と、空調フィーリングのさらなる向上
とを目的としてなされたものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明では、上述の目的を達成するために、第1図に
示す如き下流側が室内に連通する通風路に設けられ、冷
凍サイクルを循環する冷媒を蒸発させることにより、空
気を冷却する冷却器と、 前記冷凍サイクルに設けられ、圧縮容量が可変に構成
された可変容量圧縮機と、 前記冷凍サイクルに設けられ、弁開度が可変に構成さ
れた可変開度膨張弁と、 前記冷却器により冷却された空気の温度を検出する空
気温度検出手段と、 前記冷却器から流出する冷媒の過熱度を検出する冷媒
過熱度検出手段と、 前記空気温度の目標値を設定する温度設定手段と、 前記冷媒過熱度の目標値を設定する過熱度設定手段
と、 前記空気温度検出手段で検出される検出空気温度と前
記温度設定手段で設定される目標空気温度との偏差を累
積する温度偏差累積手段と、 前記冷媒過熱度検出手段で検出される検出過熱度と前
記過熱度設定手段で設定される目標過熱度との偏差を累
積する過熱度偏差累積手段と、 前記可変容量圧縮機の圧縮容量および前記可変開度膨
張弁の弁開度を制御入力とし、前記空気温度および前記
冷媒過熱度を制御出力として設定される前記冷凍サイク
ルの動的モデルに基づいて、前記検出温度、前記検出過
熱度、前記温度偏差累積値、および前記過熱度偏差累積
値を入力し、前記圧縮容量および前記弁開度の指令値を
出力する最適レギュレータとして構成される制御量演算
手段と、 を備えるという構成の冷凍サイクル制御装置を採用す
る。
〔作用〕
本発明による冷凍サイクル制御装置を説明する。
本発明の冷凍サイクル制御装置は、第1図に示す如
く、付加積分型最適レギュレータとして構成されてお
り、制御対象である冷凍サイクルは、可変容量圧縮機の
圧縮容量と可変開度膨張弁の弁開度とを制御入力とし、
冷却器(エバポレータ)により冷却された空気の温度と
冷却器出口における冷媒の過熱度とを制御出力とする系
(システム)として想定される。そして、現代制御理論
の手法により構成される本発明の冷凍サイクル制御装置
は、2つの制御入力により変化する2つの制御出力が、
これらの相互作用をも加味して最適と思われる状態に制
御される。冷凍サイクルの場合、冷却器により冷却され
た空気の温度は、冷却器の効率(冷媒過熱度)、冷凍サ
イクルの運転状態(圧縮容量、弁開度)などの複数の条
件により影響を受ける。また、冷却器の効率は冷却器に
より冷却される空気の温度、冷凍サイクルの運転状態な
どの複数の条件により影響を受ける。
このような、複数の条件が相互に作用しあう冷凍サイ
クルの、冷却器により冷却された空気の温度と冷却器に
おける冷媒過熱度とが共に最適と思われる状態に制御さ
れる。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明では冷凍サイクルの制御装
置に現代制御理論を適用するに当たって、冷凍サイクル
の制御入力として、圧縮容量と弁開度、そして制御出力
として、冷却器により冷却された空気の温度と冷媒過熱
度をそれぞれ採用している。これにより、冷凍サイクル
の出力として利用される冷却器により冷却された空気の
温度を最適に制御することができると共に、この空気の
温度を得る上で最も大きな影響を与えると思われる冷却
器の効率を示す冷媒過熱度も最適に制御することができ
る。これにより、より少ない冷凍サイクルの消費動力で
目標とする冷却後の空気の温度を得ることができる。
従って、冷凍サイクルでの消費動力を低減すると共
に、良好な空調フィーリングを得ることができる。
〔実施例〕
以下、本発明を適用した実施例を説明する。
まず、この実施例の構成を図面に基づいて説明する。
この実施例は、車両用の空気調和装置に用いられる蒸気
圧縮式冷凍サイクルの制御装置に本発明を適用したもの
である。
第2図に車両用空調制御装置の構成を示す。車室1の
空気調和を行なう車両用空調装置(以下、エアコンと述
べる。)2は以下の構成を備える。
3は車両用空調装置2の通風ダクト、4は車室1と連
通された内気取入口、5は車室外と連通された外気取入
口である。6は内気取入口4から外気取入口5かのいず
れかを選択する内外気切換ダンパであり、図示の位置で
は内気モード、破線で示す位置で外気モードとなる。7
はダクト3内に外気もしくは内気を吸い込み、車室1へ
向って送風するブロワであり、ブロワモータ7aとブロワ
ファン7bとからなる。
8は冷凍サイクルであり、8aはエバポレータ、8bは可
変容量圧縮機、8cはコンデンサ、8dはレシーバ、8eは可
変開度膨張弁、8fはマグネットクラッチである。この冷
凍サイクル8の中を冷媒が循環して熱交換をする。可変
容量圧縮機8bで圧縮された高温高圧の冷媒ガスは、コン
デンサ8cで冷却液化され、レシーバ8dで気液分離され、
可変開度膨張弁8eで霧化され、エバポレータ8aで気化し
て、エバポレータ8aの熱を奪う。エバポレータ8aで気化
したガス状の冷媒は再び可変容量圧縮機8bに吸い込ま
れ、エバポレータ8a表面で空気から熱を奪い、コンデン
サ8c表面の空気に熱を捨てるという冷凍サイクルを繰り
返す。
9は加熱装置で、ヒータコア9a、温水源9b、ウォータ
バルブ9cから成り、温水源9bから供給される温水によっ
て、ヒータコア9aを通過する空気を加熱する。この温水
源9bは、車両の動力源となるエンジンであり、その冷却
水を温水として利用する。10は、エアミックスダンパ
で、エバポレータ8aで冷却された空気のうち、ヒータコ
ア9aを通過する空気の量を調節することによって、ヒー
タコア9aより下流、すなわち車室に吹き出される空気の
温度を調節する。
11はマイクロコンピュータから成る制御装置で、一般
的な構成であるCPU,ROM,RAM,I/Oポート、およびこれら
を電気的に接続するバスなどから成る。この制御装置11
は以下に述べる各種センサおよび入力装置から信号が入
力され、各種アクチュエータに駆動信号を出力する。
12は車室外に設けられる外気温センサ、13はエバポレ
ータ後方の空気温度を検出するエバ後センサ、14は車室
内に設けられる内気温センサ、15は車室内に設けられる
日射センサ、16は温水源に設けられる水温センサ、17は
エバポレータ8aの入口の冷媒温度を検出する冷媒温セン
サ、18はエバポレータ8a出口の冷媒温度を検出する冷媒
温センサである。そして19はエンジン回転数を検出する
回転数センサである。20は、車室内の目標温度を設定す
る温度設定器、21はエアコン2の作動、停止や、風量、
内外気などのモードを指定する各種スイッチである。
22は内外気切換ダンパ6を駆動する内外気切換サーボ
モータ、23はブロワ7のブロワモータ7aの回転数を調節
する調速回路である。24は可変容量圧縮機8bの可変容量
機構を作動させる可変容量アクチュエータ、25は可変開
度膨張弁8eを作動させる膨張弁アクチュエータ(モータ
やソレノイドなど)、26はエアミックスダンパ10を駆動
するエアミックスサーボモータ、27はウォータバルブ9
を作動させるウォータバルブサーボモータである。
次に、本発明の要旨である冷凍サイクル8と、これを
制御する制御装置11の構成をさらに詳しく説明する。
第3図は、制御系の構成を示すブロック構成図であ
る。
この実施例では、制御系は基本的には冷凍サイクル8
のエバポレータ8a直後の空気温度TEと、冷媒過熱度(ス
ーパーヒート)SHを圧縮容量Vと弁開度EOとにより制御
する付加積分型最適レギュレータとして構成される。そ
してさらに、可変容量圧縮機8bを駆動するエンジン回転
数Nによるフィードフォワード制御により、圧縮容量V
と弁開度EOとを補正する。
第3図に図示するように付加積分型最適レギュレータ
は、目標温度TE *と目標スーパーヒートSH*とが与えられ
て作動する(P1,P2)。そして、非線形な冷凍サイクル
8の振舞いを線形近似するため、冷凍サイクルの動作範
囲を線形近似が成立すると見倣し得るいくつかの範囲に
区分し、この区分内の定常点TEa,SHa,EOa,Va,Naからの
摂動分δTE,δSH,δEO,δV,δNとして各制御量を扱う
よう構成されている(P3,P4,P5)。
この線形近似が動的モデルのモデリングであり、各範
囲毎の動的モデルが想定される。
また、付加積分型最適レギュレータは、状態変数量 を、上記摂動分δTE,δSH,δV,δEOに基づいて推定す
ると共に(P6)、目標温度TE *と実際の温度TEとの偏差S
TEの累積ZTEを求め(P7,P8)、同様に目標スーパーヒー
トSH*と実際のスーパーヒートSHとの偏差SSHの累積ZSH
を求める(P9,P10)。そしてこれらの累積値ZTE,ZSHに
よって状態変数量 を拡大し、これに予め定められた最適フィードバックゲ
イン を乗じることにより、圧縮容量Vと膨張弁開度EOとのフ
ィードバック制御量δVFB,δEOFBを定める(P11)。
一方、エンジン回転数Nの定常点Naからの摂動分δN
に予め定められたフィードフォワードゲイン を乗じることにより、フィードフォワードゲイン制御量
δVFF,δEOFFを定める(P12)。
そして、これらのフィードバック制御量δVFB,δEO
FBとフォワード制御量δVFF,δEOFFとのそれぞれが加
算されて(P13,P14)、制御量δV,δEOとされ、定常点
の値Va,EOaが加算されて(P4)、冷凍サイクルの制御量
V,EOが出力される。
また、P3ないしP14からなる制御系は、冷凍サイクル
の挙動が線形と見做し得る範囲でのみ有効であるので、
冷凍サイクルの運転状態に関する諸量 に基づいて、制御系の動的モデルが変更される(P1
5)。
具体的には、運転状態 としてエバポレータ8aの通過風量や、外気温度、コンデ
ンサ通過風量、などの諸量が用いられ、動的モデルに関
連する値として、定常点の値TEa,SHa,Va,EOa,Naや、オ
ブザーバパラメータ、フィードバックゲイン フォドフォワードゲイン などが変更される。
次に、この実施例の設計手順について簡単に説明す
る。なお、この設計手順は現代制御理論に基づく一手法
を示すものであって、以下に述べる手法の他にも種々の
手法が知られている。これらの現代制御理論について
は、例えば古田勝久著「線系システム制御理論」(昭和
51年)明晃堂、古田勝久他著「メカニカルシステム制
御」(昭和59年)オーム社、古田勝久・佐野昭共著「基
礎システム理論」(昭和53年)コロナ社等、種々の専門
書、論文等に詳解されている。
(イ)制御系のモデリング 制御系、ここでは冷凍サイクル8の系の振舞いを、状
態方程式、出力方程式を用いて、 として記述する。尚、式(1),(2)において は冷凍サイクル8の状態変数量を、 は冷凍サイクル8の制御入力としての圧縮容量Vと弁開
度EOを、 は冷凍サイクル8の制御出力としてのエバ後温度TEとス
ーパーヒートSHを、 は外乱としての圧縮機回転数Nを、添字kはサンプリン
グ回数を、各々表している。
第4図は外乱項を考えず、2入力2出力の系として動
作している冷凍サイクル8の系を伝達関数G1(z),G
2(z),G3(z),G4(z)により書き表したブロック線図であ
る。尚、zは入出力信号のサンプル値のz変換を示し、
G(z)は適当な次数をもつものとする。
ここでは、システム同定と呼ばれる手法を用いる。
冷凍サイクル8を所定の運転状態で定常運転し、圧縮
機容量の変化分δVおよび弁開度の変化分δEOの一方を
零として、他方に適当な試験信号を加え、その時の入力
δV,δEOと、出力であるエバ後温度の変化分δTEおよび
スーパーヒートδSHとのデータをN回に亘ってサンプリ
ングする。これを入力のデータ系列{u(i)}、出力
のデータ系列{y(i)}(ただし、i=1,2,3,……
N)と表す。この時、各伝達関数は1入力1出力と見做
すことができ、例えば伝達関数G1(z)は、 G1(z)=B1(z-1)A1(Z-1) ………(3) 即ち、 G1(z)=(b0+b1・z-1+…+bn・z-1) /(1+a1・z-1+a2・z-2+…+ an・z-n ………(4) で求められる。尚、ここで、z-1は単位推移演算子であ
って、z-1・X(k)=X(k-1)を意味している。
入出力のデータ系列{u(i)},{y(i)}から
式(4)のパラメータa1〜an,b0〜bnを定めれば伝達関
数G1(z)が求められる。最小2乗法によるシステム同定
では、このパラメータa1〜an,b0〜bnが最小となるよう定める。本実施例ではn=1として、
各パラメータを求めた。この場合、G1(z)に関する系の
シグナルフロー線図は第5図のようになり、状態変数量
として[X1(k)]をとって、その状態・出力方程式は、 X1(k+1)=z・X1(k) =−a1・X1(k)+b1・u(k)… …(6) y(k) =X1(k) ………(7) と表せる。従って、1入力1出力の系と見做した場合の
システムパラメータ は各々 となる。
こうして、各伝達関数G1(z)ないしG4(k)について、そ
れぞれのシステムパラメータが求められ、これらのシス
テムパラメータから、2入力2出力の系としてのシステ
ムパラメータ、即ち状態方程式(1)、出力方程式
(2)の を求めた。
さらに、状態方程式(1)の外乱項のパラメータ については、冷凍サイクルを定常運転しながら、適当に
圧縮機回転数Nの値を変化させ、この変化に対する制御
出力 の値をサンプリングして求めた。
こうして本実施例の動的なモデルがシステム同定によ
り求められたが、この動的なモデルは、冷凍サイクル8
が所定の状態で運転されている時、この状態の近傍では
線形の近似が成り立つという形で定められている。従っ
て、定常的な複数の運転状態に関して、上記の手法で伝
達関数G(z)が求められ、状態方程式(1)、出力方
程式(2)におけるベクトル が求められ、その入出力の関係は摂動分δの間に成立す
ることになる。
(ロ)オブザーバの設計 上述したシステムの状態変数量を推定するオブザーバ
を設計する。
本実施例では外乱項を考慮せずに、同一次元オブザー
バとして設計する。
同一次元オブザーバは、第6図に示す構成を有するも
のであり、図示するように状態変数の推定値 は、 をフィードバックゲインとして、 となる。ここで を安定する を選び、 なる行列の固有権の絶対値が総て1未満になるようにす
れば、 k→∞で となることが証明されている。従って、 をそのように定め、更に とすると、オブザーバは、 となる。
パラメータ は、定常的な運転状態に関して求めた各モデル毎に求め
ておく。
(ハ)系の拡大 本実施例の制御対象は、目標温度TE *が変化するサー
ボ系であることから、累積値を用いて系を拡大する。即
ち、オブザーバによって推定した状態変数量 と累積値 とを含めて、これを改めて状態変数量 とする。即ち、 となる。
(ニ)最適フィードバックゲイン の算出 上述した(ハ)で拡大した系のシステムを、次のよう
に表す。
ここで、状態変数量 を4次としているから、 である。
この時、次の評価関数Jを最小にする最適制御入力、
即ち動作条件 を求めることが、冷凍サイクル8に関する付加積分型最
適レギュレータとしての制御問題を解くことになる。
尚、ここで は重みパラメータ行列を、kは制御開始時点を0とする
サンプル回数を、各々示しており、式(15)右辺は を対角行列とする所謂2次形式表現である。
結果的に最適制御入力 は、 となる。
ここで は、 であり、 は次の行列リカッチ式の正定解である。
尚、ここで式(15)の評価関数Jの意味は冷凍サイク
ル8に対する制御入力としての動作条件の諸量 の動きを制約しつつ、制御出力としての運転状態の諸量 の偏差を最小にしようと意図したものである。動作条件
の諸量 に対する制約の重み付けは、重みパラメータ行列 の値によって変更することができる。従って、すでに求
めておいた冷凍サイクル8の動的なモデル、即ち行列 を用い、任意の重みパラメータ行列 を選択して式(18)を解いて を求め、式(17)により最適フィードバックゲイン を求めることができる。従って、この最適フィードバッ
クゲイン を用いて、冷凍サイクル8の制御入力諸量 を、 として求めることができる。
尚、このフィードバックゲイン は、各モデル毎に決めておく。
(ホ)フィードフォワードゲインの算出 次にフィードフォワードゲイン の求め方について説明する。この実施例では、制御入力 として表す。
最適レギュレータ制御を行った場合の評価関数Jの最
小値は で与えられる。ところで今、冷凍サイクルの系にステッ
プ状の外乱、エンジン回転数の急変が加わった場合を考
えてみる。この時、状態変数量X(k)の最終値は と表される。そこで平衡点を移動すると、ステップ応答
の問題は、 を初期値とする問題と等価となる。この時評価関数Jの
最小値min Jは、 となる。
の値はフィードフォワードゲイン に依存することが知られているので、式(22)を最小と
するようにフィードフォワードゲイン を求めればよい。式(1),(2),(20)において、 として式を変形する。式(22)及び式(20)より、 を得る。これを変形すると、 となる。
既に最適フィードバックゲイン を求めているので、式(23)における は正則である。またベクトル は正定行列となる。ベクトル の各列は各々独立であるから、任意のステップ状の外乱
に対し、式(22)を最小とするフィードフォワードゲイ
は次のようにして求められる。まず式(23)を式(22)
に代入して、 を得る。但し、ここで、 と各々定義されている。ここでは外乱 は圧縮機回転数(エンジン回転数をプーリ比などにより
換算する)Nのみなのでスカラ量であるから、式(24)
について偏微分したもの、 の値は零となる。
従って、フィードフォワードゲイン は、 として定められる。既に、フィードバックゲイン やベクトル 等は定められているので、式(25)より容易にフィード
フォワードゲイン が求められる。
以上、付加積分型最適レギュレータの構成(第3図)
を基に、制御系のモデリング、オブザーバの設計、系の
拡大、最適フィードバックゲインおよびフィードフォワ
ードゲインの設定について説明したが、これらは予め設
定され、求められており、制御装置11の内部では、その
結果のみを用いて実際の制御が行われる。
次に、以上に述べたような制御系を実現するための制
御装置11の作動を説明する。
第7図は、上述の制御系を実現するフローチャートで
ある。尚、以下の説明では現在の処理において扱われて
いる量を添字(k)付で、前回に扱われた量を添字(k-
1)付で表すことになる。
この実施例の制御装置11は、カーエアコン2の起動と
共に、所定のプログラムの実行を開始する。
そして、第7図に示す制御プログラムと共に、車室1
を温度設定器20で設定された目標温度に制御するため
の、エアミックスダンパ10や、ウォータバルブ9cなどの
制御プログラムや、内外気切換ダンパ6などの制御プロ
グラムを実行する。
第7図のフローチャートはこれらの制御プログラムの
うち、冷凍サイクル制御にかかる部分を示したものであ
る。
まず、ステップ110では、エバ後センサ13の検出する
空気温度TE(k)を含む、各センサの検出値や温度設定器2
0、各種スイッチ21などの信号が入力され、両冷媒温セ
ンサ17,18の差からスーパーヒートSH(k)が、エンジ
ン回転数とプーリ比からコンプレッサ回転数N(k)が
求められる。
ステップ120では、エバポレータ直後の目標エバ後温
度TE *(k)と目標スーパーヒートSH*(k)が設定される。こ
のTE *(k)は、車室目標温度、内気温度、外気温度、冷却
水温度、除湿作用の要否などに応じて設定される。SH
*(k)は圧縮機への液バックがない程度に小さく設定され
る。このステップ120の演算処理が、第3図の目標エバ
後温度設定部P1、および目標スーパーヒート量設定部P2
にあたる。
ステップ130では、ステップ120で設定された目標エバ
後温度TE *(k)と、エバ後センサ13から入力されたエバ後
温度TE(k)との偏差STE(k)、および目標スーパーヒートS
H*(k)と、両冷媒温センサ17,18から求められたスーパー
ヒートSH(k)との偏差SSH(k)が演算される。
このステップ130の演算処理が、第3図の加算部P7,P9
にあたる。
ステップ140では、ステップ130で求めた偏差STE(k),S
SH(k)を累積する処理を行い、累積偏差ZTE(k)、ZSH
(k)が演算される。
なお、Tはサンプリング周期である。このステップ14
0の演算処理が、第3図の累積部P8,P10にあたる。
ステップ150では、ステップ110で入力した各種信号に
基づいて、冷凍サイクル8のダイナミックモデルを構築
した際、線系近似が成り立つ範囲として採用した定常的
な運転状態のうち、最も近い状態を選択し、その状態の
定常点TEa,SHa,Na,Va,EOaと、フィードバックゲイン と、フィードフォワードゲイン と、パラメータ とを選択する。この処理が、第3図のモデル設定部P15
にあたる。
ステップ160では、定常点からの摂動分δを抽出する
処理が行われる。
このステップ160の演算処理が、第3図の摂動分抽出
部P3,P5にあたる。
ステップ170では、予め定められ、ステップ150で選択
された と、前回のステップ160で求められた摂動分としての制
御出力 と、前回推定された状態変数量 と、前回の後述するステップ200で求められた摂動分と
しての制御入力 とから、前述の式(11)に基づく下式により、状態変数
が推定される。
このステップ170の演算処理が第3図の状態変数量推
定部6にあたる。
ステップ180では、ステップ170で求めた状態変数量 と、ステップ140で求めた累積偏差 とから、前述の式(19)に基づく下式によりフィードバ
ック制御量 が演算される。
このステップ180の演算処理が第3図のフィードバッ
ク制御量演算部P11にあたる。
ステップ190では、前述の式(20)の右辺第2項に基
づいて、下式からフィードフォワード制御量 が演算される。
このステップ190の演算処理が第3図のフィードフォ
ワード制御量演算部P12にあたる。
ステップ200では、前述の式(20)に基づいて、下式
から制御量 が演算される。
このステップ200の演算処理が、第3図の加算部P13,P
14にあたる。
ステップ210では、制御量 と定常点の値Va,EOaとを加算する処理が行われる。この
処理が、第3図の定常値加算部P4にあたる。
ステップ220では、ステップ210で求められた圧縮機容
量V(k)を実現するように可変容量アクチュエータ24
が制御され、膨張弁開度EO(k)を実現するように膨張
弁アクチュエータ25が制御される。
そして、ステップ230で、サンプルタイミングをイン
クリメントし、1サイクルの処理を終える。
以上に説明した構成の制御系と、この制御系を実現す
る制御装置11の作動とによる、冷凍サイクルの制御結果
を第8図、第9図、第10図に示す。
第8図は、定常的な運転状態から、目標エバ後温度TE
*(一点鎖線)を、ステップ関数的に変化させたときの
実際のエバ後温度の変化を示している。本発明を適用し
たこの実施例によるものを実線で示し、従来の制御によ
るものを破線で示す。従来のものでは、オーバーシュー
ト、アンダーシュートしながら目標TE *に制御されるの
に対し、本発明によるこの実施例では、ほとんどオーバ
ーシュート、アンダーシュートなく速やかに目標TE *
制御される。
第9図には、風量モードの変化によるエバポレータ通
過風量の変化に伴う、エバ後温度の変化を示している。
風量モードが、“L0”から“Hi”へ切り換えられ、冷凍
サイクルの定常的な運転状態が切り換わっても、この実
施例によるものは、ほとんどオーバーシュート、アンダ
ーシュートなく速やかに目標TE *に制御されている。
第10図には、コンプレッサ8bを駆動するエンジンの回
転数変化に伴う、エバ後温度の変化を示している。この
場合も、この実施例によるものはほとんどオーバーシュ
ート、アンダーシュートなく速やかに目標TE *へ制御さ
れる。
このように、この実施例では種々の外乱に対してもエ
バ後温度およびスーパーヒートを安定して目標に制御す
ることができ、車両用空調装置2としての車室1への吹
出空気温度も安定することとなり、快適な空調環境を提
供することができる。
また、過渡的な外乱が加わってもスーパーヒートが安
定であるため、圧縮機への液バックが少なく、このた
め、スーパーヒートを極めて小さい値に設定でき、エバ
ポレータの効率を高く維持できる。
また、オーバーシュートやアンダーシュート等がほと
んどない上、スーパーヒートが最適と思われる値に安定
して制御されるため、省動力、省燃費な車両用空調装置
2を提供することができる。
以上、本発明を適用した実施例を説明したが、本発明
の要旨を逸脱しない範囲で種々の態様がある。
〔発明の効果〕 以上に説明した本発明によると、冷凍サイクルの運転
状態が変化する過渡時における制御出力の変動(オーバ
ーシュート、アンダーシュート)を抑制することがで
き、目標値に良好に制御することができる。
また、過渡時における制御入力の変動も、必要最低限
に抑えることができる。
これらから、冷凍サイクルの制御出力である冷却能力
を良好に制御することができ、しかも過制御が低減され
るため、冷凍サイクルを動作させるための動力損失も低
減することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の構成を示すブロック構成図、第2図は
本発明を適用した一実施例の車両用空調装置の構成図、
第3図は一実施例の冷凍サイクルの制御系を示すブロッ
ク線図、第4図は冷凍サイクルの系を2入力2出力の系
としたブロック線図、第5図は各伝達関数のシグナルフ
ロー線図、第6図は同一次元オブザーバの構成を示すブ
ロック線図、第7図は制御装置の作動を示すフローチャ
ート、第8図、第9図、第10図は一実施例の制御による
効果を説明するグラフである。 M1…冷凍サイクル,M2…冷却器,M3…可変容量圧縮機,M4
…可変開度膨張弁,M5…空気温度検出手段,M6冷媒過熱度
検出手段,M7…温度設定手段,M8…過熱度設定手段,M9…
温度偏差累積手段,M10…過熱度偏差累積手段,M11…制御
量演算手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F25B 13/00 M N (72)発明者 西沢 一敏 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−29155(JP,A) 特開 昭63−29159(JP,A) 実開 昭61−55671(JP,U)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下流側が室内に連通する通風路に設けら
    れ、冷凍サイクルを循環する冷媒を蒸発させることによ
    り、空気を冷却する冷却器と、 前記冷凍サイクルに設けられ、圧縮容量が可変に構成さ
    れた可変容量圧縮機と、 前記冷凍サイクルに設けられ、弁開度が可変に構成され
    た可変開度膨張弁と、 前記冷却器により冷却された空気の温度を検出する空気
    温度検出手段と、 前記冷却器から流出する冷媒の過熱度を検出する冷媒過
    熱度検出手段と、 前記空気温度の目標値を設定する温度設定手段と、 前記冷媒過熱度の目標値を設定する過熱度設定手段と、 前記空気温度検出手段で検出される検出空気温度と前記
    温度設定手段で設定される目標空気温度との偏差を累積
    する温度偏差累積手段と、 前記冷媒過熱度検出手段で検出される検出過熱度と前記
    過熱度設定手段で設定される目標過熱度との偏差を累積
    する過熱度偏差累積手段と、 前記可変容量圧縮機の圧縮容量および前記可変開度膨張
    弁の弁開度を制御入力とし、前記空気温度および前記冷
    媒過熱度を制御出力として設定される前記冷凍サイクル
    の動的モデルに基づいて、前記検出温度、前記検出過熱
    度、前記温度偏差累積値、および前記過熱度偏差累積値
    を入力し、前記圧縮容量および前記弁開度の指令値を出
    力する最適レギュレータとして構成される制御量演算手
    段と、 を備えることを特徴とする冷凍サイクル制御装置。
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