JPH0865854A - 密閉型圧縮機の端子箱構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 端子箱内に水分や塵埃が侵入しないように、
密閉性能がよく、かつ、電線接続部分で結露による絶縁
不良、接触不良等を生じない密閉型圧縮機の端子箱構造
を提供する。 【構成】 密閉型圧縮機１０は、内部に圧縮機と電動機
を密閉収納する殻１１を有する。この密閉型圧縮機の端
子箱構造は、同殻に設けられた端子部１３を含み、この
端子部からは殻の外側に延びた接続端子ピン１３ｄ，１
３ｅが突設されている。また、端子箱構造は、その端子
部を囲んで殻の外面に密着されるガスケット１５と、同
ガスケットの周縁に配設されて、殻１１に固定された前
面開放の端子箱１７と、同端子箱内に着脱自在に取り付
けられた箱状のカバー１９と、接続端子ピンに接続され
るリード線２１とを含み、ガスケットの円筒壁１５ａ内
には接続端子ピン及びリード線端部を埋め込んだシール
材２３が充填されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、密閉型圧縮機に関し、
特にその殻の外面に装着される端子箱構造に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】密閉型圧縮機は、冷媒圧縮機とこれを駆
動する電動機とを一個の密閉容器内に収納し、外部から
帰還する冷媒をその容器又は殻内に戻し、これを冷媒圧
縮機で高圧に圧縮し、外部へ出していくもので、現在広
く利用されている。

【０００３】このような密閉型圧縮機においては当然の
ことながら、電動機に電気を供給するための電線又はケ
ーブルを、殻を貫ぬいて設ける必要があるが、一般には
電動機から延出した電線の先端の端子を、殻に固定した
端子箱内に設け、最終的には交流電源につながったリー
ド線に、ここで中継されるようになっている。このよう
な密閉型圧縮機の従来の端子箱構造の一例を図３，図４
及び図５を参照して説明する。

【０００４】図３において、密閉型圧縮機１は、底面周
囲に突設された脚２によって支持された容器即ち殻３の
中に、電動機と圧縮機本体を収納しており、外面には、
端子箱４が見えるのみである。図４は、図３中のＩＩＩ
部の拡大図、図５は、図４中のＩＶ−ＩＶ線に沿う断面
図であるが、これ等から判るように、ガラス端子６が貫
ぬく孔を囲んでガスケット５が密着されており、これを
囲んで端子箱４が設けられている。端子箱４は、スポッ
ト溶接等により殻３に固定されるが、両者の隙間は、ガ
スケット５で塞がれている。電動機（モータ）のケーブ
ルに接続したガラス端子６は、殻３を貫通しているが、
これはガスケット５に囲まれており、そのターミナルス
タッドにリード線７ａ，７ｂの端子が挿着されている。
そして、これ等は、リード線７ａ，７ｂが通る孔を備え
た箱状のカバー８（以下、ボックスカバーとも称す）に
よって、保護されており、点検等に際して、このボック
スカバー８は、取り外される。

【０００５】また、図３〜図５に示した前者の従来の端
子箱構造とは別に、実開平５ー６１４７４号公報に記載
されているように、端子箱内の各ターミナルスタッドを
収納カバーで囲んで、該収納カバー内にシリコンゴムを
充填するように構成した冷媒圧縮機の端子箱構造も周知
である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の密閉型
圧縮機において、端子箱４は、ガスケット５を介して密
閉型圧縮機の殻３に装着されているとはいえ、密閉型圧
縮機の殻３とは別体の部材であるだけでなく、ボックス
カバー８とも別体の部材であるため、特に対策を講じな
ければ、微小ながら隙間が生じる可能性があり、ボック
スカバー８内に外部から水分や塵埃等が侵入して、これ
等がガラス端子６のターミナルスタッドに付着し、電気
的トラブルの発生の原因となる。一方、後者の端子箱構
造によれば、各ターミナルスタッド自体を収納カバー内
のシリコンゴムで埋め込んでしまうため、上述した不具
合は改善されるが、振動等によりずれることのないよう
端子箱の組立時に収納カバーを堅固に固定する手段を別
に必要としたり、端子箱内に水分や塵埃が侵入すること
は許容しているため、何らかの原因によりシリコンゴム
による絶縁が破られれば、電気的トラブルが発生する可
能性は高い。従って、本発明は、端子箱内に水分や塵埃
が侵入しないように、密閉性能がよく、かつ、電線接続
部分で結露による絶縁不良、接触不良等を生じない密閉
型圧縮機の端子箱構造を提供することを目的とするもの
である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明による端子箱構造は、内部に圧縮機及び電動
機を密閉収納する殻を有する密閉型圧縮機において、同
殻の貫通孔に貫設され前記電動機へ延びる電線が接続さ
れると共に外側に接続端子ピンが突設された端子部と、
同端子部を取り囲んで前記殻の外面に密着されると共に
前記接続端子ピンを取り囲む円筒壁が一体的に形成され
たガスケットと、同ガスケットの周縁に沿って配設され
た前面開放の端子箱と、同端子箱内に着脱自在に取り付
けられ前記接続端子ピン及び前記ガスケットの前記円筒
壁を取り囲む箱状のカバーと、前記接続端子ピンに端部
が接続されると共に前記端子箱及び前記カバーを貫いて
外部に延びるリード線と、前記円筒壁内に充填され前記
接続端子ピン及び前記リード線の前記端部を埋め込んだ
シール材とを有してなることを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】前記した構成によれば、殻の外面に密着したガ
スケット及びその円筒壁が端子部及びその接続端子ピン
を取り囲んでいるので、円筒壁内に充填されたシール材
が水分や塵埃等の流通を完全に遮断し、殻の低温化が生
じても、接続端子ピンに結露は生じず、充填シール材の
外表面や円筒壁の外周面に結露が生ずる。しかも、この
円筒壁は箱状のカバーにより囲まれているため、接続端
子ピンは二重に保護されるので、仮に円筒壁内の充填シ
ール材による絶縁が破れても、ある程度は接続端子ピン
の保護が可能である。このようにして、リード線からの
電気は、接続端子ピンから端子部を経由して、内部の電
動機に完全に流れる。

【０００９】

【実施例】次に、本発明の好適な実施例について添付図
面を参照して詳細に説明するが、図中、同一符号は同一
又は対応部分を示すものとする。本考案の好適な実施例
を示す図１及び図２を参照すると、密閉型圧縮機１０の
殻即ちコンプレッサシェル１１の貫通孔１１ａに、ガラ
ス端子（端子部）１３が貫通され、座部もしくはナット
１３ａで固定されている。ガラス端子１３からは電線１
３ｂ，１３ｃが図示しない電動機に延びており、一方、
これ等に電気的に接続した接続端子（接続端子ピン）１
３ｄ，１３ｅは、コンプレッサシェル１１の外方へ突出
している。コンプレッサシェル１１の外面に密着された
ガスケット１５は、座部１３ａの円周面に当接した状態
で接続端子１３ｄ，１３ｅを囲む円筒壁１５ａを一体的
に形成している。

【００１０】ガスケット１５を取り囲む両端開放の角筒
状の端子箱１７は、特に図２に明示するように、その舌
部１７ａを介してスポット溶接によりコンプレッサシェ
ル１１に固定されており、更にその底面にリード線通過
用の孔１７ｂ，１７ｃが形成されている。そして、端子
箱１７の内側に挿入されるボックスカバー１９は、その
両側に、スプリングフック１９ａが一体的に形成されて
おり、図１から了解されるように、ボックスカバー１９
が端子箱１７の中に挿入されたとき、各スプリングフッ
ク１９ａが端子箱１７の両側のスロット１７ｄに係合
し、固定されるようになっている。そして、端子箱１７
の孔１７ｂ，１７ｃを通るリード線２１の端部は、接続
端子１３ｄ，１３ｅに係合されて、その上から接触部に
シリコンシーラントのようなシール材２３が充填され
る。シール材２３は、円筒壁１５ａの外端まで一杯に詰
められ、リード線２１が、円筒壁１５ａの切欠き、ボッ
クスカバー１９の底部切欠き１９ｂ及び端子箱１７の孔
１７ｂ，１７ｃを通って延出している。

【００１１】以上のように、シール材２３は、接続端子
１３ｄ，１３ｅを覆うようにガスケット１５の円筒壁１
５ａ内に充填されているから、箱状のカバー１９を通っ
て水分等が仮に侵入しても、それ等が円筒壁１５ａの内
部へ侵入することを防止し、接続端子１３ｄ，１３ｅの
周囲で結露は生じない。従って、接触異常、絶縁不良等
の電気的トラブルは、効果的に防止される。そして、ス
プリングフック１９ａを指で外側から押しつつボックス
カバー１９を外側へ引けば、簡単に取り外すことがで
き、シール材２３の割れや、密着不良による隙間が、発
生しているか否かが容易に検査される。

【００１２】

【発明の効果】端子部及びそこからの接続端子ピンを取
り囲むガスケットに一体的な円筒壁を形成し、その内側
にシール材を充填して固めたので、シール材を収容する
ための固定手段を特別に必要とすることなく、水分や塵
埃等の流通を確実に防止して、接続端子ピンでの結露の
発生を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の好適な実施例による端子箱構造を示
す立断面図である。

【図２】 図１の実施例の端子箱構造の組立工程を説明
するための要部の概略分解斜視図である。

【図３】 従来の端子箱構造を備えた密閉形圧縮機を概
念的に示す斜視図である。

【図４】 図３におけるIII部の拡大斜視図である。

【図５】 図４におけるＩＶ−ＩＶ線に沿って切断した
断面図である。

【符号の説明】

１０…密閉型圧縮機、１１…コンプレッサシェル
（殻）、１１ａ…貫通孔、１３…ガラス端子（端子
部）、１３ｂ，１３ｃ…電線、１３ｄ，１３ｅ…接続端
子（接続端子ピン）、１５…ガスケット、１５ａ…円筒
壁、１７…端子箱、１９…ボックスカバー（箱状のカバ
ー）、２１…リード線、２３…シール材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に圧縮機及び電動機を密閉収納する
   殻を有する密閉型圧縮機において、同殻の貫通孔に貫設
   され前記電動機へ延びる電線が接続されると共に外側に
   接続端子ピンが突設された端子部と、同端子部を取り囲
   んで前記殻の外面に密着されると共に前記接続端子ピン
   を取り囲む円筒壁が一体的に形成されたガスケットと、
   同ガスケットの周縁に沿って配設された前面開放の端子
   箱と、同端子箱内に着脱自在に取り付けられ前記接続端
   子ピン及び前記ガスケットの前記円筒壁を取り囲む箱状
   のカバーと、前記接続端子ピンに端部が接続されると共
   に前記端子箱及び前記カバーを貫いて外部に延びるリー
   ド線と、前記円筒壁内に充填され前記接続端子ピン及び
   前記リード線の前記端部を埋め込んだシール材とを有し
   てなることを特徴とする密閉型圧縮機の端子箱構造。