JPH0862168A - 窒素酸化物検出素子 - Google Patents

窒素酸化物検出素子

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JPH0862168A
JPH0862168A JP14362795A JP14362795A JPH0862168A JP H0862168 A JPH0862168 A JP H0862168A JP 14362795 A JP14362795 A JP 14362795A JP 14362795 A JP14362795 A JP 14362795A JP H0862168 A JPH0862168 A JP H0862168A
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oxide
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靖 山田
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啓市 佐治
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】酸化性雰囲気や高温の排気ガス中でも検知特性
の変化が少なく高信頼性を有し、かつ高速応答性を有す
る薄型で抵抗値が低く、感度が高い窒素酸化物検出素子
を提供する。 【構成】My Ti1-y 2+0.5y(ここでMはニオビウ
ム、タンタル、バナジウム、アンチモン等の5価金属原
子)なる酸化物をガス検知部とする。具体的には、この
窒素酸化物検出素子は基板10とこの基板10上に形成
された半導体薄膜30のガス感知部と、電気的に前記ガ
ス感知部に接続された一対の電極40,42と、該ガス
感知部を所定の動作温度に加熱するヒータ20の加熱部
とからなる。この検出素子は抵抗値が低く、耐熱性に優
れ高感度で窒素酸化物の量が検出できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関等の排気ガス中
に含まれる窒素酸化物の濃度を検出するための窒素酸化
物検出素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】内燃機関等から排出される排気ガス中に
含まれる窒素酸化物は、人体に対して有害であるため
に、排気ガス中の窒素酸化物の濃度を検出し、その濃度
が最小になるように内燃機関の燃焼制御あるいは排気ガ
ス浄化システムの制御を行うことが必要である。
【0003】従来、排気ガス中の窒素酸化物の濃度測定
は、化学発光法、赤外線吸収法等が用いられていた。こ
れらの各測定方法は一般に大型の装置を必要とするため
高価でかつ取り扱いが複雑であり、さらにメンテナンス
が煩雑であるといった問題があり、実用的ではなかっ
た。そこで、これらの問題点を解決するため、酸化チタ
ン等の金属酸化物半導体やフタロシアニン錯体等の有機
半導体を用いた小型でメンテナンスフリーの窒素酸化物
検出素子が提案されている。例えば、特公平6−237
10号公報には酸素欠陥を有する酸化チタン、酸素欠陥
を有する酸化チタンに他の金属元素を固溶した固溶体お
よびチタンと他の金属元素とのペロブスカイト型構造を
有し酸素欠陥を有する酸化物が報告されている。しか
し、従来の酸化スズや酸化チタンなどの酸化物の焼結体
や厚膜型の素子は、窒素酸化物がガス検知部の内部まで
拡散するのに時間がかかり、窒素酸化物の検知の応答性
に問題があった。そこで、応答性を改善するために薄膜
型の素子が検討されているが、酸化チタン単体のガス検
知部では、窒素酸化物に対する感度が低いという問題が
あり、また、酸化雰囲気において検知素子の電気抵抗が
高く、その温度依存性が大きいという問題があった。ま
た、酸素欠陥を有する酸化チタン、固溶体およびペロブ
スカイト型構造を有する酸化物は酸化雰囲気で安定性に
欠ける問題がある。(特開平3−13854号公報、特
公平2−28823号公報、特開昭52−36094号
公報、IEEE Trans,ED−26.1875
(1979))
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は酸
化性雰囲気や高温の排気ガス中でも検知特性の変化が少
なく高信頼性を有する窒素酸化物検出素子を提供するこ
とを第一の目的とする。さらに、高速応答性を有する薄
膜型で、かつその電気抵抗値が低く、同時に窒素酸化物
の感度が良好な窒素酸化物検出素子を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の窒素酸化物検出
素子は、ニオビウム、タンタル、バナジウム、アンチモ
ン等の5価金属原子の少なくとも1種Mの酸化物を含
み、My Ti1-y 2+0. 5yの化学組成を有するチタン酸
化物をガス検知部とすることを特徴とする。本発明の窒
素酸化物検出素子は、基板を用い、この基板上にガス検
知部、電極を設けるのが好ましい。また、ヒータ、電磁
波、高周波、外部熱源などの加熱手段をガス検知部の反
対側の基板に設けるのが好ましい。加熱手段ヒータは基
板中に埋設するように配置してもよい。一対の電極は、
ガス検知部内部に埋設するようにしてもよい。
【0006】基板は、NOX ガス感知膜の強度を維持す
ると共にガス感知膜を保護するものである。この基板
は、NOX ガス感知膜が多孔質として形成されるような
適度の表面粗さを有するアルミナを使用することが好ま
しい。基板はアルミナの他にステアタイト、スピネルな
どを使用することができる。また、ガス検知部を形成す
る半導体薄膜層の膜厚は0.05μm以上1μm以下に
することが好ましく、ガス検知部の動作温度としては3
00℃以上700℃以下とすることが好ましい。
【0007】なお、酸化チタンに添加する5価金属原子
からなる酸化物としては、酸化ニオビウム又は酸化タン
タルが熱的安定性に優れるので好ましい。特にタンタル
をドープした酸化チタン薄膜は、酸化タンタルとアルミ
ナ基板との反応性が少ないので酸化チタン薄膜中の酸化
タンタル濃度変化が起こりにくく、熱的安定性に優れ
る。一方、排気ガス温度が低い場合は、酸化バナジウム
又は酸化アンチモンを5価元素として添加してもよい。
【0008】5価金属原子からなる酸化物の酸化チタン
への添加量は、0.3mol%以上15mol%以下の
範囲が好ましい。このような酸化物の混合物から5価金
属をドープした酸化チタンが得られる。できた酸化物に
はガス検知部を構成する5価金属原子とチタン原子の和
に対し0.6〜30原子%の範囲の5価金属原子がドー
プされている。なお、よりこのましくは、5価金属原子
を1.0%〜20原子%ドープしたものがよい。
【0009】My Ti1-y 2+0.5yの化学組成で説明す
ると、5価金属原子からなる酸化物の酸化チタンへの添
加量、0.3mol%以上15mol%以下の範囲は、
yの0.006〜0.3に相当する。5価金属原子から
なる酸化物の酸化物への添加量0.5mol%以上10
mol%以下の範囲はyの0.01〜0.2の範囲とな
る。
【0010】また、少なくともガス検知部を多孔性で電
気絶縁性の耐熱材料でコーティングすることが、燃焼排
気ガス中でのガス検知特性の安定化のために好ましい。
コーティング方法は、アルミナ、スピネル、ムライトな
どの酸化物粉末を塗布して焼成する方法や、プラズマ溶
射する方法が適用できる。
【0011】
【作用】本発明の窒素酸化物検出素子は、ガス検知部を
形成する酸化チタンにニオビウム、タンタル、バナジウ
ム、アンチモン等の5価金属原子からなる酸化物から選
ばれる1種を含む半導体薄膜のガス検知部が、加熱され
た状態で接触する窒素酸化物濃度によりその電気抵抗値
が変化する。この電気抵抗値は窒素酸化物濃度との間に
所定の相関関係を有するため、電気抵抗値の変化を測定
することにより窒素酸化物濃度を検出することができ
る。
【0012】また酸化チタン中に含まれる5価の金属原
子により検出素子全体の抵抗を低くできるため、特別な
装置を用いることなく内燃機関等の排気ガス管内に直接
取付け、窒素酸化物濃度を常に監視することができる。
さらに、本発明の窒素酸化物検出素子は、レーザー等を
利用した微細加工技術やスパッタリングおよび真空蒸着
等の薄膜形成技術を用いて、たとえば、基板上に半導体
薄膜および電極等を安価に作製でき、かつ取り扱いも簡
便であるといった利点をもっている。
【0013】ところで、従来の酸化チタンを用いた窒素
酸化物検出素子は、ガス検知部が焼結体や厚膜の構造で
あり、窒素酸化物が素子内部に拡散するのに時間がかか
り、応答性に問題があった。そこで応答性を改善するた
めにガス検知部を薄膜化すると検出素子の電気抵抗値が
高くなり、感度が小さくなった。これは酸化チタン内の
伝導電子が少ないため窒素酸化物が吸着しても検出素子
の抵抗値変化(コンダクタンス変化)が小さいからであ
る。一方、酸化チタン内の伝導電子を増加させるために
検出素子を高温にすると、酸化チタン表面に吸着する窒
素酸化物の量が減少するため、感度がかえって小さくな
り改善の効果は得られない。
【0014】一方本発明では、酸化雰囲気において酸化
チタン内の伝導電子を多量に発生させる目的で酸化ニオ
ビウムや酸化タンタル等の5価の金属原子からなる酸化
物が酸化チタン中に存在しているので動作温度が低くて
も伝導電子濃度が高くなる。その結果、検出素子表面に
吸着する窒素酸化物による抵抗変化が大きくなるため
に、感度の高い検出素子とすることができる。また、ガ
ス検知部の伝導電子の濃度はTiO2 を還元して酸素の
非化学量論組成をもつTiO2-δ(δはたとえば0.0
1<δ<0.5)のようにしても高められるが、酸化雰
囲気ではδは0に近づき、伝導電子の濃度を高める効果
は失われる。しかし、本発明では伝導電子の濃度は添加
した5価元素により決まるため、酸化雰囲気での窒素酸
化物の検出特性に変化がなく、また検出素子の温度依存
性も小さい。なお、添加する5価の金属原子の酸化物う
ち、酸化ニオビウム、酸化タンタルは還元雰囲気中で還
元されにくく、酸化物としての蒸気圧も低いので、燃焼
排気ガス中での使用を目的とする場合に好適である。特
に酸化タンタルは、還元されにくく、またガス検知部を
支持するアルミナ基板との反応性が小さいため、製作時
の高温熱処理に耐え、また、検出素子使用時の高温にさ
らしてもセンサの特性が変化しにくいという特長があ
る。また、ガス検知部をコーティングしているため、内
燃機関燃焼排気ガス中の固形物質が直接ガス検知部に付
着しないため、耐久性および安定性が向上する。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (実施例1)本実施例の窒素酸化物検出素子の概略構造
の断面図を図1に示す。図1に示すように、本実施例の
窒素酸化物検出素子は、アルミナを主成分とする焼結体
からなる絶縁性の基板10と、この基板10の一方の面
に形成されたヒータ20と、基板10の他方の面に形成
されてガス検知部として機能する酸化ニオビウムを含む
酸化チタンの半導体薄膜30と、この酸化チタンの半導
体薄膜30の表面に設けられた白金からなる一対の電極
40、42とから構成されている。
【0016】ガス検知部として機能する酸化チタンの半
導体薄膜30は酸化ニオビウムを10mol%含み、基
板10上に、およそ0.3μm(3000オングストロ
ーム)程度の膜厚に形成されている(My Ti1-y
2+0.5yの化学組成で示すとこの半導体薄膜30はNb
0.2 Ti0.8 2+0.1 で表すことができる。)。また、
この半導体薄膜30は、該組成酸化物の粉末や焼結体の
ターゲットを用いてRFスパッタ法により形成すること
ができるが、所定組成の金属をターゲットとして酸化雰
囲気でスパッタする方法、あるいは所定組成の金属膜を
スパッタや真空蒸着法等の他の方法を用いて形成し、後
で酸化させるようにして形成してもよい。さらに半導体
薄膜30は、酸化ニオビウムの代わりに酸化バナジウム
を添加して形成することができ、この場合も酸化ニオビ
ウムと同様の出力特性を得ることができる。
【0017】電極40、42は、白金の薄膜層を酸化チ
タンの半導体薄膜30の表面に形成したものであり、そ
の膜厚は0.5μmである。この電極40、42の形成
はヒータ20と同様にDCスパッタ法にて行うことがで
きる。なお、本実施例における一対の電極40、42の
間隔は0.2mmであり、また対向する各電極40、4
2の長さは8mmである。
【0018】ヒータ20は白金の薄膜層であり、基板1
0上にDCスパッタ法により形成されている。ヒータ2
0の膜厚は2μm程度である。なお、このヒータ20は
基板10を介して反対側に配置される酸化チタンの半導
体薄膜30を加熱するものである。ヒータ20の材質に
ついては白金に限定されることなく、他の材料であって
もよい。例えば、酸化ルテニウムで形成することもでき
るが、この場合は、真空蒸着法等の他の方法で形成する
こともできる。
【0019】この窒素酸化物検出素子を製造する手順と
しては、まず基板10の一方の面にヒータ20を形成
し、次に他方の面に酸化チタンの半導体薄膜30を形成
し、さらにこの酸化チタンの半導体薄膜30の上に、電
極40、42を形成する。その後、基板10をチップ状
に切断し、電極40、42にリード線を取付けた後、大
気中において熱処理を行うことにより最終的に本実施例
の窒素酸化物検出素子が完成する。熱処理の条件として
は、600℃において30分間加熱をおこなった。
【0020】本実施例の窒素酸化物検出素子の動作温度
は300〜700℃であり、酸化チタンの半導体薄膜3
0の温度がこの動作温度の範囲となるようにヒータ20
により加熱を行なった。また、酸化ニオビウムを添加し
た酸化チタンの半導体薄膜層30は、高温に加熱された
状態(動作温度300〜700℃の範囲にある場合)に
おいて、窒素酸化物の濃度によりその抵抗値が変化す
る。この抵抗値の変化は、窒素酸化物濃度との間に密接
な相関関係をもつため、電極40、42間の抵抗値を測
定することにより、間接的に窒素酸化物濃度を検出する
ことができる。
【0021】図2は、縦軸に空気中抵抗値を、横軸に作
動温度をとり本実施例の窒素酸化物検出素子および添加
物を含まない酸化チタンのみの半導体薄膜からなる検出
素子を200〜700℃に維持したときの電極40、4
2間の電気抵抗値を示す。図2に示すように添加物を含
まない場合は、電極間の抵抗値が著しく高く、また、抵
抗値の温度依存性が大きい。従って、この添加物を含ま
ない検出素子を使用する場合は、著しく高い抵抗値を測
定するための特別な装置が必要であり、さらに、高精度
に温度を管理するための装置が必要である。これに対
し、本実施例の検出素子は、5価の金属原子からなる酸
化物の酸化ニオビウムが存在するため、特別な装置を用
いる必要のない実用的な抵抗値であり、さらに抵抗値の
グラフが略水平となり温度依存性が小さく、動作温度の
管理が容易である。
【0022】また、図3は、縦軸は所定の二酸化窒素濃
度における電極40、42間の抵抗値を0ppmにおけ
る同抵抗値で除した値を示しており、横軸は素子周囲の
二酸化窒素濃度を示している。なお動作温度は400℃
である(以下、動作温度は図4及び5も同じ)。図3に
示すように、本実施例の検出素子は、窒素酸化物濃度の
変化に対して大きな感度を示し、窒素酸化物濃度を精度
よく検出できる。一方酸化チタンのみからなる検出素子
のグラフは水平で窒素酸化物の濃度が変化しても変わら
ないことを示して感度が低い。
【0023】次に実施例の窒素酸化物検出素子の酸化チ
タンの半導体薄膜層30と、窒素酸化物検出感度との関
係について検討する。図4は、横軸に酸化ニオビウムの
添加量を縦軸に二酸化窒素の検出感度をとり酸化チタン
に添加する酸化ニオビウムの添加量と感度の関係を示し
た。なお図4において感度とは、300ppmの二酸化
窒素中における抵抗値を0ppmの時の抵抗で除した値
である(以下、感度は図5及び図6も同じ)。添加量が
0.3mol%より少ないと添加効果が無く、一方15
mol%より多いと添加物の性質が現われ熱的不安定性
を示す。従って、添加量としては0.3mol%以上1
5mol%以下が好ましい。
【0024】図5は、横軸に酸化チタンの半導体薄膜層
の膜厚を、縦軸に窒素酸化物の検出感度をとり酸化チタ
ンの半導体薄膜層の膜厚と検出感度との関係を示す図で
ある。図5に示すように、グラフは右肩下がりとなり酸
化チタンの半導体薄膜層30の膜厚が増加するにしたが
い窒素酸化物の検出感度が低下する。一方、膜厚が0.
05μm以下になると、半導体薄膜が島状になり素子の
抵抗が不安定になり、さらに素子抵抗が著しく高くなり
実用的でない。従って膜厚としては0.05μm(50
0Å)以上1μm(10000Å)以下とすることによ
り窒素酸化物に対して高感度でかつ安定な出力が得られ
る。
【0025】また、図6は、窒素酸化物検出素子の動作
温度に対する窒素酸化物の検出感度および応答時間の関
係を示す図である。縦軸は検出感度および応答時間の逆
数を示しており、横軸は動作温度を示している。図6に
示すように、動作温度が高くなるにしたがい図中の点線
で示されている応答時間が短くなり(応答時間の逆数が
増加し)、図中の実線で示されている検出感度も低下す
る。反対に、動作温度が低くなると検出感度は増加する
が、応答時間も増加する(応答時間の逆数は低下す
る)。従って動作温度を極端に低くあるいは高く設定し
た場合には、窒素酸化物の検出感度あるいは応答時間の
いずれか一方が犠牲となるため、窒素酸化物検出素子の
動作温度を300℃以上700℃以下に保つことにより
窒素酸化物に対して高感度および高速応答性が得られる
ことが明らかになった。
【0026】さらに、燃焼系の空気過剰率の変化に伴う
本実施例の窒素酸化物検出素子の抵抗値を測定した。こ
の結果を図7に示す。この測定は素子温度を600℃燃
焼排ガスを500℃とし、空気過剰率1.6の燃焼排ガ
スを100秒間流し、100秒後に空気過剰率0.95
の燃焼排ガスに切り換えてこの燃焼排ガスを30秒間流
し、この状態、すなわち、開始して130秒後に再び空
気過剰率1.6の燃焼排ガスに切替え、さらに600秒
流したものである。
【0027】なお、0〜300秒間はNO2 濃度を0p
pmとし、300秒時点でNO2 ガスを燃焼排ガスに添
加した。添加したNO2 ガス濃度を図7の下側部分に示
す。本実施例の窒素酸化物検出素子で測定された抵抗値
の線図から明らかなように、空気過剰率1.6の燃焼排
ガスでの抵抗値は約3.3×103 Ωであった。そして
空気過剰率を1.6から0.95に変化させると、セン
サ抵抗値は約20Ωまで著しく減少した。この抵抗値の
減少はガス検出部の表面に排ガス中の還元性ガス成分が
吸着し、あるいはガス検出部の極く表面が一時的に極め
て軽度の還元状態になつたために起こるものであると考
えている。この還元状態では、この実施例の窒素酸化物
検出素子は、著しく低抵抗のために窒素酸化物ガスは検
出できない。
【0028】引き続いて、燃焼排ガスの空気過剰率を
0.95から1.6に変化させると、抵抗値は再びもと
の約3.3×103 Ωに急激に増加した。これは燃焼排
ガスが酸素過剰となり還元性ガス成分の影響がなくなつ
たためである。この状態でNO2 ガスを添加したところ
NO2 ガス濃度の増加とともに検出された抵抗値も増大
し、NO2 ガス濃度が検出された。
【0029】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のでなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可
能である。例えば、本実施例では基板10を挟んで、そ
の一方の面にヒータ20を、他方の面に酸化チタンの半
導体薄膜30を形成するようにしたが、このヒータ20
の位置および形成方法等についてはこれに限定されるも
のではなく、酸化チタンの半導体薄膜30を所定の動作
温度に維持できるものであれば、酸化チタンの半導体薄
膜30と同じ側に設けるようにしてもよい。
【0030】また、熱処理温度を1000℃とした場合
も同様の窒素酸化物検出特性が得られ、本検出素子の耐
熱性が高いことが確認できた。 (実施例2)本実施例の窒素酸化物検出素子を図8に示
す。ガス検知部の半導体薄膜30は、酸化チタン(Ti
2 )に酸化タンタル(Ta2 5 )を3mol%添加
したもの(My Ti1-y 2+0.5yの化学組成で示すとこ
の半導体薄膜30はTa0.06Ti0.942+0.06で表すこ
とができる。)であり、この組成のターゲットのRFス
パッタリングによってアルミナ焼結体基板10の上に
0.35μmの厚さに成膜した。半導体薄膜30の表面
には、白金を主成分とする厚さ1.5μmの電極51、
52およびリード部41、43を形成した。これは、ま
ずスパッタリングによって半導体薄膜30全体を覆うよ
うに成膜し、フォトレジスト法によって電極間隔0.2
mmのくし形状に成形した。このように電極厚さを1μ
m以上とすると、電極の耐熱性を1000℃以上に高め
ることができる。また、基板10裏面には白金ヒータを
スパッタリングによりヒータを形成した。その後、検出
素子全体を所定濃度の水素と水蒸気とを含む弱い還元性
雰囲気中で1200〜1300℃の温度の熱処理を行な
い、さらに、ガス検知部の酸化物薄膜を酸素に関して化
学量論組成とするため空気中で900℃の酸化熱処理を
行なった。次に、検出素子全体表面をγ−アルミナを主
成分とする多孔質層11を100〜200μmコーティ
ングして空気中で焼成した。
【0031】こうして得た本実施例2の窒素酸化物検出
素子の二酸化窒素ガスに対する抵抗値の変化特性を測定
した。窒素酸化物検出素子温度は600℃とした。この
結果を図9に示す。図9は、横軸に時間を、縦軸に抵抗
値をとり時間の経過と共に二酸化窒素の量を増した時の
検出素子の抵抗値の変化を調べたものである。本実施例
の窒素酸化物検出素子は、300ppmの二酸化窒素ガ
スにより抵抗値が約5倍に増加する感度特性を示した。
またこの窒素酸化物検出素子は、1000℃で10時間
の耐熱試験後も初期の高度特性を維持でき、耐熱性の高
いことがわかった。さらに、本実施例では、ガス検知部
および検知素子全体を多孔質層11でコーティングした
ため、内燃機関排気ガス中の被毒物質による窒素酸化物
検出特性の変化がなく、安定性が向上した。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の窒素酸化
物検出素子によれば酸化チタンにニオビウム等の5価金
属原子の酸化物を含む半導体薄膜は、酸化雰囲気での耐
熱に優れ高感度で高速応答性を備え、しかも抵抗値が低
く、さらにその温度依存性の小さい、窒素酸化物検出感
度の高い検出素子を形成することができる。この検出素
子は、内燃機関等の排気系中に直接取り付けて、排気ガ
ス中の窒素酸化物の濃度を高速検知することが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は、実施例1の窒素酸化物検出素子の概
略構造を示す断面図である。
【図2】この図は、実施例1の窒素酸化物検出素子の、
動作温度と素子抵抗との関係を示す線グラフである。
【図3】この図は、実施例1の窒素酸化物検出素子の、
窒素酸化物濃度と素子抵抗との関係を示す線グラフであ
る。
【図4】この図は、酸化チタンに添加する酸化ニオビウ
ムの添加量を変えた場合の添加量と窒素酸化物検出感度
との関係を示す線グラフである。
【図5】この図は、感ガス部である酸化チタン薄膜層の
膜厚を変えた場合の窒素酸化物検出感度を示す線グラフ
である。
【図6】この図は、動作温度に対する窒素酸化物検出感
度および応答時間との関係を示す図である。
【図7】この図は、実施例1の窒素酸化物検出素子で測
定された燃焼系の空気過剰率の変化に伴うの抵抗値変化
ならび空気過剰率1.6の状態でNO2 ガス濃度を変化
させたときの抵抗値の変化を示す線図である。
【図8】この図は、実施例2の窒素酸化物検出素子の概
略構造を示す斜視図である。
【図9】この図は、実施例2の窒素酸化物検出素子の二
酸化窒素ガスの量の変化に対する抵抗値の変化を示すグ
ラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニオビウム、タンタル、バナジウム、アン
    チモン等の5価金属原子の少なくとも1種Mの酸化物を
    含み、My Ti1-y 2+0.5yの化学組成を有するチタン
    酸化物をガス検知部とすることを特徴とする窒素酸化物
    検出素子。
  2. 【請求項2】基板と、該基板上に形成された前記ガス検
    知部と、電気的に該ガス検知部に接続された一対の電極
    と、該ガス換知部を所定の動作温度に加熱する加熱部と
    を含む請求項1記載の窒素酸化物検出素子。
  3. 【請求項3】ガス換知部および素子全体を電気絶縁性多
    孔質層でコーティングした請求項2に記載の窒素酸化物
    検出素子。
  4. 【請求項4】ガス検知部は薄膜形状でありその膜厚が
    0.05μm以上1μm以下である請求項2に記載の窒
    素酸化物検出素子。
  5. 【請求項5】yは0.006〜0.3である請求項1に
    記載の窒素酸化物検出素子。
  6. 【請求項6】yは0.01〜0.2である請求項5に記
    載の窒素酸化物検出素子。
  7. 【請求項7】5価金属原子は、ニオビウムおよびタンタ
    ルの少なくとも1種である請求項1に記載の窒素酸化物
    検出素子。
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