JPH085301B2 - トラックの荷台の高さ調整装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はトラックの荷台の高さ調整装置に係り、とく
に後軸を懸架するサスペンションばねの少なくとも一部
を構成するエアスプリングへ空気を供給するかあるいは
該エアスプリングから空気を排出して荷台の高さ調整を
行なうようにしたトラックの荷台の高さ調整装置に関す
る。

［従来の技術］ トラックのサスペンションばねの少なくとも一部をエ
アスプリングから構成することにより、このエアスプリ
ングへ空気を供給したり、あるいはこのエアスプリング
から空気を排出して荷台の高さ調整を行なうことが可能
になる。さらにこの空気の供給および排出をマイクロコ
ンピュータ等の電子制御装置によって制御するととも
に、押し釦によって任意の高さに荷台の高さを設定する
ことにより、プラットホームと荷台のとの間の段差をな
くして荷物の積み下ろしを容易に行なうことが可能にな
る。

［発明が解決しようとする問題点］ このような手動操作による高さ調整の際に、荷台を限
界値よりも高くしたり、あるいは低くしたりすると、シ
ョックアブソーバが伸びきったり、あるいはエアスプリ
ングが潰れてしまって損傷される可能性がある。従って
このような手動操作による高さ調整の場合には、限界値
で自動的に高さ調整の動作を停止させる必要がある。こ
れによってサスペンション装置を保護することが可能に
なる。ところがその停止の動作をキャブ内の運転者は目
で確認することができず、限界値で自動的に調整動作が
停止されたことを認識することができない。

本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであ
って、手動操作によって車高調整を行なっている際に、
限界値を車高が越えることによって自動的に車高調整動
作が停止された場合に、そのことを確実にキャブ内の運
転者に対して認識させるようにした車高調整装置を提供
することを目的とするものである。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は第１図に示すように、後軸を懸架するサスペ
ンションばねの少なくとも一部を構成するエアスプリン
グへ空気を供給するかあるいは該エアスプリングから空
気を排出して荷台の高さ調整を行なうようにしたトラッ
クの荷台の高さ調整装置において、 荷台のゲートの後端側に設けられており、手動操作手
段を備えるコントロールパネルと、 後軸と車体との間の距離から荷台の高さを検出する車
高センサと、 前記車高センサによって検出される荷台の高さを上下
の限界値と比較する手段と、 荷台の高さが上下の限界値を越えない状態で前記手動
操作手段を元の位置へ戻すと荷台の高さをその位置に保
持する手段と、 荷台の高さが上下の限界値を越えたら高さ調整動作を
停止する手段と、 荷台の高さ調整時に警報を発する警報手段とを設け、 前記手動操作手段の操作によって上下の限界内で荷台
の高さを任意の高さに調整するようになし、該高さ調整
動作によって荷台の高さが上下の限界値を越えたら高さ
調整動作を停止するとともに、警報動作を停止するよう
にしたことを特徴とするトラックの荷台の高さ調整装置
に関するものである。

［作用］ 従って荷台のゲートの後端側のコントロールパネルの
手動操作手段を操作することにより、エアスプリングに
対する空気の給排によって荷台の高さ調整を行なうこと
ができる。荷台の高さ調整は上下の限界値を越えない状
態で手動操作手段を元の位置へ戻すと、荷台の高さがそ
の位置に保持されることになる。またトラックの荷台の
高さ調整の動作が上下の限界値を越えて行なわれた場合
には、上下の限界値を越えた時点で車高調整動作が停止
される。しかも荷台の高さ調整動作中は警報手段によっ
て警報が発せられるとともに、手動によって停止した場
合あるいは上下の限界値を越えて高さ調整動作が自動的
に停止された場合には、その時点で警報動作も停止され
る。

［実施例］ 以下本発明を図示の一実施例につき説明する。第２図
は本発明の一実施例に係るトラックの荷台の高さ調整装
置をブロック的に示したものであって、前軸11はリーフ
スプリング12を介してフレーム13に懸架されている。そ
して前軸11とフレーム13との間にはショックアブソーバ
14が介装されている。これに対して後前軸15は、リーフ
スプリング16によってフレーム13に懸架されるととも
に、リーフスプリング16の後端部は下方に屈曲してお
り、この後端部をエアスプリング17によって支持するよ
うにしている。そしてこの後前軸15とフレーム13との間
にもショックアブソーバ18が取付けられている。同様に
後後軸19はリーフスプリング20とエアスプリング21とに
よってフレーム13に懸架されるとともに、後後軸19とフ
レーム13との間にはショックアブソーバ22が介装されて
いる。

上記後前軸15および後後軸19に対応してそれぞれ設け
られているエアスプリング17、21は連通管23によって互
いに連通されるとともに、これら一対のエアスプリング
17、21はマグネチックバルブ24を介してエージタンク25
と接続されている。なお左右のエアスプリング17、21は
互いに独立になっており、それぞれ別々のサージタンク
25を備えている。そして左右のエアスプリング17、21は
給排気パイプ26を介して自動給気弁27と自動排気弁28と
にそれぞれ接続されている。

さらにこのトラックはコンプレッサ29を備えている。
コンプレッサ29はウェットタンク30と接続されるととも
に、ウェットタンク30はプロテクションバルブ31を介し
てリザーバタンク32と接続されている。そしてリザーバ
タンク32はさらに別のリザーバタンク33と接続されると
ともに、チェックバルブ34を介して上記自動給気弁27と
接続されている。さらにこのチェックバルブ34は手動式
の給気弁35を介して一対のエアスプリング17、21と接続
されるようになっている。そして手動式の給気弁35には
手動式の排気弁36が接続されている。上記自動給気弁2
7、自動排気弁28、ショックアブソーバ18、22にそれぞ
れ設けられているアクチュエータ37、38、およびキャブ
サス用ショックアブソーバ39は、電子制御装置を構成す
るマイクロコンピュータ40によって制御されるようにな
っている。

このマイクロコンピュータ40の入力側にはコントロー
ルパネル41が接続されている。このパネル41は荷台の右
側のゲートの後端部に取付けられている。そしてパネル
41には手動で車高調整を行なうための手動操作釦42およ
び車高調整モードの選択を行なうモード選択釦43がそれ
ぞれ設けられている。またこのパネル41には作動ランプ
44が設けられており、マイクロコンピュータ40からの出
力信号によって点滅を行なうようになっている。さらに
このトラックのキャブのインストルメントパネル上には
キャブサス切換えスイッチ48、エアサス切換えスイッチ
49が設けられており、これらのスイッチ48、49もマイク
ロコンピュータ40の入力側に接続されている。

またこのトラックのトランスミッション50にはギヤ位
置検出センサ51と車速検出センサ52とがそれぞれ設けら
れており、これらのセンサ51、52の出力もマイクロコン
ピュータ40に入力されるようになっている。さらに前軸
11とフレーム13との間には、両者の間の距離からボトミ
ングを検出するボトミング検出センサ53が設けられてお
り、同じくマイクロコンピュータ40の入力側に接続され
ている。またパーキングブレーキレバー60にはパーキン
グブレーキセンサ61が設けられており、その出力がマイ
クロコンピュータ40に入力されるようになっている。

これに対して後側のサスペンション装置を構成するエ
アスプリング17、21の給排気パイプ26にはこれらのエア
スプリング17、21の圧力から積載荷重を検出する積載荷
重検出センサ54、55が設けられている。これらのセンサ
54、55は互いに異なる圧力で検出動作を行なうようにな
っており、ともにマイクロコンピュータ40の入力側に接
続されている。さらに後後軸19とフレーム13との間に
は、両者の間の距離から車高を検出する車高検出センサ
56が設けられており、同様にマイクロコンピュータ40の
入力側に接続されている。そしてこのマイクロコンピュ
ータ40の出力側には、ワーニングランプ57、ワーニング
ブザー58、および警報ブザー59がそれぞれ接続されてい
る。これらのランプ57およびブザー58、59はともにキャ
ブ47のインストルメントパネルに取付けられている。

つぎに以上のような構成に係るこのトラックの荷台の
高さ調整装置の動作について説明する。荷台を標準の高
さに設定する動作は、マイクロコンピュータ40によって
第３図に示すフローチャートに基づいて行なわれる。す
なわちマイクロコンピュータ40は、車高検出センサ56の
検出出力を読込むとともに、予めマイクロコンピュータ
40に設定されている標準値の読込みを行ない、実際の車
高と標準値との比較を行なう。そして実際の車高が標準
値よりも高い場合には、マイクロコンピュータ40は自動
排気弁28を開くようにする。するとこの排気弁28を通し
て、エアスプリング17、21内の空気が排出されるように
なり、これによって荷台の高さを下降させるようにす
る。

これに対して実際の車高が標準値よりも低い場合に
は、自動給気弁27を開き、リザーバタンク32、33に貯え
られている圧縮空気をこの給気弁27を通してエアスプリ
ング17、21に供給して荷台を上昇させる。また実際の車
高と標準値とが一致する場合には、給気弁27、および排
気弁28はともに閉じた状態に保持される。このようにし
て荷台を常に所定の位置に保持することが可能になる。
なお標準値は所定の幅を持った値としてマイクロコンピ
ュータ40に記憶されている。

さらにこのトラックにおいては、荷台への積載量に応
じてサスペンション装置のばね定数や減衰力を平価させ
るようにしている。荷台への積載荷重は圧力センサから
成る積載荷重検出センサ54、55によって段階的に検出が
行なわれるようになっており、これらのセンサ54、55の
検出出力をマイクロコンピュータ40が読込む。そして積
載量に応じて、マグネチックバルブ24を開閉するように
している。

積載量が少ない場合には、マグネチックバルブ23を開
き、サージタンク25とエアスプリング17、21とを連通さ
せてサスペンション装置のばね定数を低くする。同時に
マイクロコンピュータ40からの制御信号によってアクチ
ュエータ37、38により、ショックアブソーバ18、22の絞
り径を大きくしてその減衰力を小さくする。これに対し
てセンサ54、55によって大きな積載量が検出された場合
には、マグネチックバルブ24を閉じてエアスプリング1
7、21のばね定数を高くするとともに、アクチュエータ3
7、38によってショックアブソーバ18、22を強く絞り、
その減衰力を高めるようにし、積載量に応じて最適な状
態にサスペンション装置を維持するようにしている。

つぎに荷台の手動操作による高さ調整の動作について
第４図を用いて説明する。このトラックの荷台を任意の
高さに手動で高さ調整する場合には、第２図に示すコン
トロールパネル41のモード選択釦43を『調整』のモード
にするともに、手動操作釦42を『上げ』または『下げ』
に切換えることによって行なう。手動で操作釦42を『上
げ』に切換えると、リザーバタンク32、33内の圧縮空気
が給気弁27を通してエアスプリング17、21に供給され、
車高が次第に上昇する。また手動操作釦42を『下げ』に
切換えると、排気弁28が開かれることになり、エアスプ
リング17、21内の圧縮空気はこの排気弁28を通して大気
中に排出されることになり、車高が下がることになる。

このような手動操作による荷台の高さの調整の動作
は、手動操作釦42を『上げ』または『下げ』の位置から
解除して『保持』の位置へ戻すことによって停止され
る。このような切換え操作を行なわなければ、荷台は上
方へさらに上昇するかあるいは下方へさらに下降する。
そしてこの時の荷台の高さを車高検出センサ56によって
マイクロコンピュータ40が読込むとともに、この値をマ
イクロコンピュータ40内のメモリに設定された限界値と
比較する。なお車高検出センサ56は車高に応じた電圧を
発生するようになっており、この電圧を上限または下限
の基準電圧と比較することになり、これによって限界値
を越えたかどうかの判断を行なう。そして限界値を越え
た場合には、給気弁27または排気弁28を閉じるようにし
ており、これによって手動による荷台の高さ調整の動作
を自動的に停止させるようにしている。従ってこのよう
な動作によって、ショックアブソーバ18、22が伸びきっ
たり、あるいはエアスプリング17、21がぺっちゃんこに
なったりすることが防止されるようになる。

上述のような手動による荷台の高さ調整の動作の際
に、安全性を高めるために、マイクロコンピュータ40は
ワーニングブザー58をこの時に動作させるようにしてお
り、このワーニングブザー58によって警報を発するよう
にしている。従ってキャブ47内の運転者はこのブザー58
によって荷台の高さ調整の動作が行なわれていることを
確実に認識することが可能になる。しかも手動操作釦42
の解除に伴なう車高調整の動作の停止、あるいは限界値
を越えた場合における自動停止に伴って、マイクロコン
ピュータ40はワーニングブザー58による警報動作を停止
するようにしている。従ってこのブザー58の警報動作の
停止によって、荷台の上下動の停止を知ることが可能に
なる。これによって車高調整あるいは荷台の高さ調整を
より安全に行なうことが可能になる。

［発明の効果］ 以上のように本発明は、手動操作手段の操作によって
上下の限界内で荷台の高さを任意の高さに調整するよう
になし、この高さ調整動作によって荷台の高さが上下の
限界値を越えたら高さ調整動作を停止するとともに、警
報動作を停止するようにしたものである。

従って上下の限界値の範囲内において、コントロール
パネルの手動操作手段の操作によってエアスプリング内
へ空気を供給するかあるいはエアスプリングから空気を
排出することにより、荷台の高さ調整が行なわれる。し
かも荷台の高さが上下の限界値を越えない状態で手動操
作手段を元の位置へ戻すと、車高がその位置に保持され
ることになり、これによって上下の限界値の範囲内でト
ラックの荷台の高さを任意の高さに設定できるようにな
る。

このようなトラックの荷台の高さ調整の動作は、荷台
のゲートの後端側に設けられており、手動操作手段を備
えるコントロールパネルによって行なわれるようになっ
ている。従って荷台のゲートの後端部側においてコント
ロールパネルの手動操作手段を構成することによって荷
台の高さ調整を行なうことができる。よって荷台の高さ
を例えばプラットホームと正しく一致させることがで
き、車高調整の操作性に優れたものになる。

このような荷台の高さ調整の動作の際に荷台の高さが
上下の限界値を越えると、高さ調整の動作が自動的に停
止されるようになり、エアスプリングが伸びきったりぺ
ちゃんこになったりすることが防止され、荷台の高さが
異常な高さになることが防止される。

手動操作手段による荷台の高さ調整の際に、警報手段
によって警報が発せられることになる。従って車高調整
の動作をキャブ内の運転者に対して確実に知らせること
が可能になり、安全性の高い車高調整装置を提供できる
ようになる。しかも高さ調整の動作を停止した場合ある
いは上下の限界値を越えて高さ調整の動作が自動的に停
止した場合には、これに応じて警報動作も停止されるこ
とになる。従って不必要に警報動作が継続して行なわれ
ることが防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の要旨を示すブロック図、第２図は本発
明の一実施例に係るトラックの荷台の高さ調整装置を示
すブロック図、第３図は自動高さ調整の動作示すフロー
チャート、第４図は手動による高さ調整の動作を示すフ
ローチャートである。 なお図面に用いた符号において、 17、21……エアスプリング 27……自動給気弁 28……自動排気弁 41……コントロールパネル 42……手動操作釦 43……モード選択釦 56……車高検出センサ 58……ワーニングブザー である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】後軸を懸架するサスペンションばねの少な
   くとも一部を構成するエアスプリングへ空気を供給する
   かあるいは該エアスプリングから空気を排出して荷台の
   高さ調整を行なうようにしたトラックの荷台の高さ調整
   装置において、 荷台のゲートの後端側に設けられており、手動操作手段
   を備えるコントロールパネルと、 後軸と車体との間の距離から荷台の高さを検出する車高
   センサと、 前記車高センサによって検出される荷台の高さを上下の
   限界値と比較する手段と、 荷台の高さが上下の限界値を越えない状態で前記手動操
   作手段を元の位置へ戻すと荷台の高さをその位置に保持
   する手段と、 荷台の高さが上下の限界値を越えたら高さ調整動作を停
   止する手段と、 荷台の高さ調整時に警報を発する警報手段とを設け、 前記手動操作手段の操作によって上下の限界内で荷台の
   高さを任意の高さに調整するようになし、該高さ調整動
   作によって荷台の高さが上下の限界値を越えたら高さ調
   整動作を停止するとともに、警報動作を停止するように
   したことを特徴とするトラックの荷台の高さ調整装置。