JPH085170Y2 - 用紙の重送検知装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、カット紙を用いて記録紙を作成する装置に
おいて、用紙搬送路内で用紙の重送を検知するための装
置に関し、特に、通過する用紙により揺動される部材
と、その揺動部材の揺動角度等の情報により、用紙の重
送を検知出来るようにする装置に関する。

（従来の技術） プリンターや電子複写機等のカット紙を用いる装置に
おいて、用紙トレイや給紙カセット等の用紙収容装置か
ら、用紙さばき機構を用いて１枚ずつの用紙を送り出
し、印字部分に供給して、印字や画像の転写を行い、記
録紙を作成するようにされている。

前述したように画像形成装置においては、用紙が１枚
ずつ供給されることが必要であり、例えば、２枚以上の
用紙が重なって送られた場合には、その用紙に対する搬
送作用が正確に行なわれずに、用紙搬送路内での紙詰り
の原因となったり、転写された画像が用紙の所定の位置
に形成されずに、画像のズレ等が発生して、不良コピー
が作成される等の問題がある。

そこで、従来の画像形成装置においては、給紙装置か
ら画像形成位置までの間の用紙搬送路に、用紙の重送検
知手段を設けておき、２枚以上の用紙が重なった状態で
搬送された場合に、その用紙を除去する等の対策がとら
れるようになっている。

前述したような用紙搬送路内に配置され、用紙の重送
状態を検知するための手段としては、例えば、透過型フ
ォトセンサーを用いて、紙が１枚の場合と、複数枚の場
合とで透過される光の量が異なることを検知する方式
や、用紙により揺動される揺動アームを用いて、その揺
動アームが紙の厚さにより、アーム部材の揺動される角
度が異なることを検知する方式等が用いられる。

前記重送状態の検知方式において、フォトセンサー用
いる場合には、トレーシングペーパーや普通紙の場合に
は、１枚と２枚以上の用紙の区別は比較的容易に区別す
ることが出来るが、比較的厚い用紙に対しては、ほとん
ど光を透過しないので、重送の判別が困難である等の問
題がある。

これに対して、例えば、特開昭62-161654号公報に示
されるように、用紙搬送路内に配置される搬送ローラ装
置に、用紙の厚さを検知する手段を設けることが提案さ
れている。前記従来例の装置においては、搬送ローラ装
置の両ローラ間にニップされた用紙の厚さを、ピンチロ
ーラの変位動距離によって判断し、そのローラの変位動
の情報を用いて、重送か否かを判断することが出来るよ
うになっている。

ところが、前記特開昭62-1616号においては、ローラ
及びシャフトの振れをセンサーが拾ってしまい用紙厚さ
の信号が得難い欠点がある。そのためセンサーの回転軸
に固定された揺動アームを直接用紙に接触させて揺動ア
ームの回転角度の変化で用紙の厚さの信号を得ようとす
ると機械の振動がセンサーに伝わって正確な信号が得ら
れないという問題がある。

これは、第６図に示されるように、用紙搬送路１に揺
動アーム15を配置し、該揺動アーム15が用紙によって揺
動されるようにし、その揺動アームの揺動をセンサーに
よって検知するようなものが用いられる場合がある。

前記第６図に示される従来例の用紙の重送検知装置に
おいては、揺動アーム15の軸16をセンサー17に接続して
おき、該揺動アーム15の下部が、通常は用紙搬送路１の
下ガイド板に接触されるように設けられる。そして、用
紙が通過する際に、前記揺動アーム15が紙の厚さにより
揺動される角度を検知して、１枚送りの場合と、重送状
態の検知とを行うとが出来るようにされている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、前述したような従来の装置において
は、用紙が案内される用紙搬送路の下ガイド板に、直接
揺動アームが接した状態で、その上を通過する用紙の厚
さの検知を行うようになっているので、該下ガイド板が
画像形成装置の本体の振動により、振動しやすい等の問
題がある。

また、用紙搬送路のガイド板が振動したりすることに
より、センサーによって得られる用紙の厚さの情報が、
第７図のグラフに示されるように、直線状にならずに、
ノイズの多い情報が得られることがあり、重送状態の判
定が狂いやすいという欠点がある。

さらに、用紙に対して揺動アームを押圧する圧力が小
さい場合には、波打ち状態の用紙に対して、揺動アーム
が浮き上がったりして、誤検知が発生しやすくなり、揺
動アームの押圧力が大きい場合には、用紙の先端部が揺
動アームに引っ掛かる等して、用紙にダメージを与えた
り、用紙の正常な進行を阻害したりする等の問題があ
る。

（考案の目的） 本考案は上記したような従来の用紙の重送検知装置の
欠点を解消するもので、用紙の搬送に支障が生じたりす
ることを防止して、重送の検知を良好に行い得るととも
に、ノイズの少い検知信号を得ることが出来るようにす
る装置を提供することを目的としている。

（問題点を解決するための手段および作用） 本考案の用紙の重送検知装置は、用紙搬送路の側部に
角度センサーの揺動部材を配置し、用紙搬送路を通過す
る用紙により、前記揺動部材が揺動されることを検知し
て、その検知情報によって、用紙の重送状態の検知を行
い得るようにする装置に関する。

本考案の装置においては、前記揺動部材に対応させ
て、略Ｌ字状の重送検知手段を取付けるプレート部材
（以下「Ｌ字状プレート部材」という）を配置し、該プ
レート部材の立ち上がり部は前記揺動部材の軸を支持す
る部材として構成され、下ガイド板の用紙搬送面とほぼ
同じ高さに設定された水平部材は、揺動部材の接触片の
下部が接するように配置され、前記用紙搬送路と別体に
構成したプレート部材により揺動部材を含む検知手段全
体を支持させ得るように構成している。

また、本考案においては、前記重送検知手段を取付け
るプレート部材を用紙搬送路を支持するフレームに対し
て緩衝手段を介して支持させ、装置本体の振動等により
影響を受けることがないように構成することが出来る。

したがって、前述したように、揺動アームを支持する
重送検知手段を取付けるプレート部材を用紙搬送路のガ
イド板と別体に構成し、前記プレート部材の部分を通過
する用紙の検知を行うようにすることによって、ガイド
板等の振動による影響が発生することを防止出来、正確
な検知の動作を行うことが出来る。

また、揺動アームが用紙を強く押圧したりすることが
ないので、用紙の移動に支障が発生せず、用紙にダメー
ジを与えたりする等の問題が解消される。

（実施例） 図示される例にしたがって、本考案の用紙の重送検知
装置の構成を説明する。

第１図に示される本考案の装置は、電子複写機やファ
クシミリ等の画像形成装置において、給紙装置から画像
転写部に至る用紙搬送路１に、重送検知装置を配置した
例を示している。この第１図に示される用紙搬送路１
は、一般の画像形成装置の場合と同様に、上ガイド板２
と下ガイド板３とを所定の間隔を介して配置し、該用紙
搬送路に添って用紙を案内することが出来るようにされ
る。

また、前記用紙搬送路１の所定の位置に、用紙を接す
るようにして揺動アーム15を配置し、該揺動アーム15を
軸16を介して支持し、センサー17の検知手段に接続して
いる。また、前記センサーとしては、角度センサーを用
いるもので、アーム部材の揺動状態を、電圧等の出力に
変換して出力することが出来るような手段を用いる。

前記揺動アーム15による検知手段は、装置の本体フレー
ム５に対して、略Ｌ字状の重送検知手段を取付けるプレ
ート部材10を設け、その立ち上がり部10aに軸16を支持
し、揺動アームの下部が前記プレート部材の水平部材10
bの上に押圧されるようにして配置される。

前述したように構成される本考案の検知装置において
は、用紙が通過すると、揺動アーム15が揺動され、その
揺動アームの揺動角度がセンサー17により検知されて、
図示を省略した制御装置に入力される。

また、本考案の実施例において、重送検知手段を取付
けるプレート部材10は板金で構成することが一般的であ
るが、そのほかに、ダイキャスト部品等のように剛性の
大きなもの、または、ファイバー強化樹脂等のように、
比較的強度の大きな任意の材料を用いて構成することが
出来る。

そして、前述したように、プレート部材10を剛性の大
きな部材として構成したことによって、本体フレームが
振動して、検知手段全体がその振動の影響を受けた場合
でも、センサーや下部の部材、および揺動アーム等が、
１つの剛体の中に収容されていることによって、個々の
部材が別個に振動したりすることがなくなり、検出され
た用紙の厚さの信号に、余計なノイズが入ったりするこ
とが防止される。

前記揺動アームの揺動による検知信号は、第２図のグ
ラフに示されるようになる。この第２図のグラフにおい
て、センサーから出力される電圧Ｖが、例えば、１枚の
用紙の場合にはΔＶの値をとり、２枚の場合には２ΔＶ
となる。したがって、その制御装置に設定する基準値
を、ΔＶと２ΔＶの中間値に設定しておくことによっ
て、重送状態の判断を正確に行うことが出来るものとな
る。

また、本考案の検知装置は、揺動アームとその支持部
材をフレームに対して直接支持させ、用紙搬送路のガイ
ド板の振動等の影響を受けることがないようにされてい
るので、検知された用紙の厚さの情報にノイズ等が発生
することがなくなる。

第３図に示される本考案の実施例は、前述したプレー
ト部材10を本体フレーム５に取付ける際に、緩衝部材11
を介して固定するようにしている。この実施例におい
て、揺動アーム15およびセンサー17等を支持するプレー
ト部材10が、画像形成装置本体の振動等の影響を受ける
ことがなくなり、用紙によって揺動アーム15が揺動され
た情報のみを、正確に検知することが出来るものとな
る。

また、前記実施例において、ゴム等の緩衝部材11を適
当な厚さのものとして形成することにより、フレームが
振動した場合でも、前記プレート部材が微小な振動の影
響を受けることがないようにすることが可能であり、セ
ンサーによる揺動アームの揺動角度の情報にノイズが入
ることを防止することが出来る。

本考案の装置においては、第１図および第３図に示さ
れたように、揺動アームを自重のみによって用紙に押圧
することに代えて、第４図に示されるように、スプリン
グ18とソレノイド19とを用いて、用紙に対する揺動アー
ムの押圧力を任意に設定することが出来る。

前記第４図に示される実施例においては、スプリング
18はソレノイド19に接続されており、用紙が揺動アーム
11の下に入るまでは、ソレノイドが励磁されてなく、揺
動アームはスプリング18により弱い力でプレート部材10
の下部材に押圧された状態にある。

そして、用紙が揺動アームの下に入った後で、ソレノ
イド19に一定の短い時間だけ通電することによって、ス
プリング18には強い引っ張り力が付与され、揺動アーム
11を用紙に押圧する動作を行う。

前述したようにして、用紙に対して揺動アーム11を押
圧している間に、センサーにより揺動アームの回転角度
を検知することにより、用紙が正常に送られているか、
重送状態にあるかを正確に検知することが出来ることに
なる。また、前記ソレノイドに通電する時間は、揺動ア
ームが用紙により揺動されたことの信号を用いることの
他に、重送検知部の近傍に別のセンサーを配置してお
き、そのセンサーが用紙の通過を検知した後で、用紙の
通過のタイミングを、タイマー等で設定した時間だけ遅
れさせ、ソレノイドに通電する時間を設定することも出
来る。

前記第４図に示された実施例において、揺動アーム11
の先端部が重送検知手段を取付けるプレート部材10の下
部材10bに接する位置と、回転中心との関係を、縦方向
にｂ、横方向にａとして設定すると、該揺動アームの用
紙１枚当りの回転角度はa/bと相関を持つ。

そして、前記揺動アームの構成の比a/bは、その値が
小さい程、用紙１枚当たりの回転角度が大きくなる。こ
のことは、第５図のグラフに示されるような状態とな
り、前記揺動アームの用紙に接する角度の比が小さい
程、重送を検知しやすくなる（出力信号のS/N比が良く
なる）。なお、本考案の重送検知装置において、揺動ア
ームの先端部が用紙に接する角度a/bを、0.5以下に設定
すると、その検知値を正確に得ることが可能になり、誤
検知等の問題の発生を少なくすることが可能になる。さ
らに、本考案の用紙の重送検知装置は、用紙搬送路の任
意の位置に配置することが出来るものであり、該センサ
ーによって用紙の重送を検知した場合には、用紙の搬送
を停止して、その重送を生じた用紙の除去を行わせるよ
うに指令を出力することが出来る。

また、前記通常の複写機の場合のジャム処理とは異な
り、コンピュータに接続して用いられるレーザービーム
プリンターの場合に、その重送を生じた用紙をコピーの
収容トレイとは別の排出トレイに向けて送り出す等の処
理を行うことも可能である。

（考案の効果） 本考案の用紙の重送検知装置は、上記したような構成
を有するものであるから、揺動アーム揺動方式の重送検
知手段を用いる場合でも、用紙の重送状態の検知を正確
に行うことが出来、画像形成装置での不良コピーが作成
されることを防止することが可能である。

また、本考案の装置においては、揺動アームを支持す
るプレート部材を用紙搬送路のガイド板と別体に構成
し、前記プレート部材の部分を通過する用紙の検知を行
うようにすることによって、ガイド板等の振動による影
響が発生することを防止出来、正確な検知の動作を行う
ことが出来る。

さらに、本考案の重送検知装置においては、揺動アー
ムが用紙を強く押圧したりすることがないので、用紙の
移動に支障が発生せず、用紙にダメージを与えたりする
等の問題が解消される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の用紙の重送検知装置の構成を示す正面
図、第２図はセンサーの出力値の変化を示すグラフ、第
３図は本考案の重送検知手段を取付けるプレート部材の
取付け状態を示す別の実施例の説明図、第４図は揺動ア
ームにスプリングとソレノイドを用いて付勢する場合の
構成を示す側面図、第５図は揺動アームの回転角度と揺
動アーム先端部の用紙に接する角度との関係を示すグラ
フ、第６図は従来例の正面図であり、第７図は、前記第
６図に示される装置におけるセンサー出力の状態を示す
グラフである。 図中の符号 １……用紙搬送路、５……装置フレーム、10……重送検
知手段を取付けるプレート部材、11……緩衝部材、15…
…揺動アーム、16……軸、17……センサー、18……スプ
リング、19……ソレノイド。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】用紙搬送路の側部に揺動部材を配置し、用
   紙搬送路を通過する用紙により前記揺動部材が揺動され
   ることを検知する装置であって、 前記揺動部材に対応させて、略Ｌ字状の重送検知手段を
   取付けるプレート部材を配置し、該プレート部材の立ち
   上がり部は前記揺動部材に軸を固定した回転角度検知手
   段を支持する部材として構成され、下ガイド板の用紙搬
   送面とほぼ同じ高さに設定された水平部材は、揺動部材
   の接触片の下部が接するように配置され、前記用紙搬送
   路と別体に構成した前記プレート部材により揺動部材の
   回転角度検知手段全体を支持させ得るように構成したこ
   とを特徴とする用紙の重送検知装置。
2. 【請求項２】前記重送検知手段を取付けるプレート部材
   を、用紙搬送路を支持するフレームに対して緩衝手段を
   介して支持させ、装置本体の振動等による影響を受ける
   ことがないように構成したことを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の用紙の重送検知装置。
3. 【請求項３】検知部で用紙を押圧する揺動アームの支持
   軸に対して、用紙の押圧部を下流側に設定し、前記支持
   軸と押圧部との横方向の間隔と縦方向の間隔の比を0.5
   以下に設定することを特徴とする第１項記載の用紙の重
   送検知装置。