【発明の詳細な説明】
名称
ピルビン酸の製造方法
発明の背景
発明の分野
本発明は、L−乳酸および酸素を水溶液中でグリコレートオキシダーゼ((S)
−ヒドロキシ−酸オキシダーゼ、EC 1.1.3.15)およびカタラーゼ(EC
1.11.1.6)からなる触媒の存在下に反応させるピルビン酸の製造方法に関
する。
関連技術の記述
ピルビン酸は種々の炭素源(例えば、グルコース、酵母抽出物およびペプトン
)の発酵により製造されるが、これらの方法は一般的にピルビン酸を発酵生成物
の混合物の一成分として低い収率(炭素源を基にして)でそして相対的に低い濃
度で生ずる。そのような混在発酵ブロスからのピルビン酸の分離および単離は一
般的に実施するのが難しく且つ費用がかかる。
光学的に純粋なD(−)−乳酸の微生物学的酸化によるピルビン酸の製造はCoop
erにより記載されている(米国特許第4,900,668号、1990年2月13
日)。この方法は反応に必要な細胞マス(mass)を製造するために炭素源と
してD−乳酸を使用しない点で他の発酵ルートを改良するものであるが、第二の
炭素源(例えば、D(−)−マンニトールおよびトウモロコシ浸漬液)を含有する
増殖培地が細胞マスの製造およびD−乳酸の発酵転化の両者に必要である。さら
に、D−乳酸は現実に偏在せず、そしてL(+)−乳酸より製造または購入に非常
に多くの
費用がかかる。
酵素であるL−ラクテートオキシダーゼ(L−ラクテート:酸素オキシドレダ
クターゼ、非−脱炭酸反応、EC 1.1.3.2)を触媒として使用するL−乳酸
からピルビン酸への転化が示されている(B.A.BurdickおよびJ.R.Schaeffer B
iotech.Lett.,Vol.9,253-258(1987))。L−ラクテートオキシダーゼ(ペデ
ィオコッカス(Pediococcus)から)は酸素によるL−乳酸塩からピルビン酸塩お
よび過酸化水素への酸化に触媒作用を与える。
L−ラクテートオキシダーゼはカタラーゼで共−固定化されて(オキシダーゼ:
カタラーゼ=1:281(IU/IU)、酢酸塩および二酸化炭素を生成する副
生物である過酸化水素によるピルビン酸塩の酸化を制限する。L−乳酸塩のpH
7の0.1M燐酸塩緩衝液中49mM溶液の酸化がピルビン酸(2,4−ジニトロ
フェニルヒドラゾン誘導体として単離される)を47%までの収率で生ずる。
緑葉植物および哺乳動物細胞中で一般的に見られる酵素であるグリコレートオ
キシダーゼ((S)−2−ヒドロキシ−酸オキシダーゼ、EC 1.1.3.15)は
グリコール酸からグリオキシル酸への酸化に触媒作用を与える。この同じ酵素は
、同時に過酸化水素を生成するL−乳酸からピルビン酸への酸化にも触媒作用を
与える。C.O.Clagett,N.E.TolbertおよびR.H.Burris,J.Biol.Chem.,Vol
.178,977-987(1949)が最初に、グリコール酸の酸化に触媒作用を与えそして
乳酸のL−異性
体に特異的な種々の緑葉植物から抽出されたα−ヒドロキシ酸オキシダーゼを報
告した。80mMのdl−乳酸塩の酸化に最適なpHは7.6であり、反応生成
物は同定または単離されなかった。N.E.Tolbert他、J.Biol.Chem.,Vol.181
,905-914(1949)は、pH8の燐酸塩緩衝液中の約113mMのdl−乳酸の
酸化のためにタバコの葉からの精製されたα−ヒドロキシ酸オキシダーゼを使用
し、報告されていない量のピルビン酸が2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンと
して反応から単離され、そして相当な量の二酸化炭素も製造された。K.E.Richa
rdsonおよびN.E.Tolbert J.Biol.Chem.,Vol.236,1280-1284(1961)はその
後に、このα−ヒドラゾン酸オキシダーゼがさらに一般的にはグリコール酸オキ
シダーゼ(すなわち、グリコレートオキシダーゼ)として照会されたことを報告
した。
I.ZelitchおよびS.Ochoa,J.Biol.Chem.,Vol.201,707-718(1953)は、
グリコール酸オキシダーゼがピルビン酸および過酸化水素を製造するための分子
状酸素によるL−乳酸の酸化に触媒作用を与えること、並びにカタラーゼの不存
在下ではその過酸化物が非−酵素的にピルビン酸塩と反応して酢酸塩、CO2、
および水を生成することを報告した。フラビンモノヌクレオチド(FMN)が必
要な酵素補因子として同定されており、そして酵素の水溶液に対するFMNの添
加がグリコール酸オキシダーゼの安定性を大きく増加させた。加えられた過剰の
カタラーゼの存在下におけるL−乳酸塩の50mM燐酸塩緩衝液(pH8.0)
中3.3mM溶液の酸化が3.2mMのピルビン酸(比色定量測定された)を生成
し、生成物は単離されなかった。
ラットの腎臓から単離されたL−α−ヒドロキシ酸オキシダーゼを用
いる乳酸塩からピルビン酸塩への酸かも示されている(M.Blanchard他、J.Bio
l.Chem.,Vol.163,137-144(1946))。加えられた過剰のカタラーゼの存在下に
おける乳酸塩の0.167M燐酸塩緩衝液中pH8.0の33mM溶液の酸化がピ
ルビン酸塩を79%の収率で生成した(2,4−ジニトロフェニルヒドラゾン誘
導体として単離された)。可溶性酵素により触媒作用を受ける乳酸からピルビン
酸への酸化に関する他の参考文献には、J.C.Robinson他、J.Biol.Chem.,Vol
.237,2001-2010(1962)(豚の腎皮質L−α−ヒドロキシ酸オキシダーゼ)、P.
Urban他、Biochemistry,Vol.27,7365-7371(1988)(ラットの腎臓L−α−ヒド
ロキシ酸オキシダーゼ)、D.W.FryおよびK.E.Richardson,Biochim.BIophys
.Acta,Vol.568,135-144(1979)(人間の肝臓グリコール酸オキシダーゼ)、M.
J.EmesおよびK.H.Erismann,Int.J.Biochem.,Vol.16,1373-1378(1984)(
レムナ・ミノル(Lemna minor)のL.グリコレートオキシダーゼ)、H.S.Kimお
よびJ.D.Choi,Korean Biocem.J.,Vol.20,350-356(1987)(ホウレンソウの
グリコレートオキシダーゼ)が包含される。
酵素で触媒作用を受ける酸素によるL−乳酸の酸化は既知であるが、ピルビン
酸への高い選択性はL−乳酸塩の濃度が3.3mMである1つの実験(I.Zelitc
hおよびS.Ochoa)でのみ示されており、このL−乳酸塩の低い濃度が製造され
る過酸化水素の濃度を制限しそして過剰のカタラーゼの存在下では酢酸塩および
二酸化炭素を生成する過酸化水素とピルビン酸塩との反応も制限する。そのよう
な低い濃度のピルビン酸塩(約3.2mM)の水性反応混合物からの回収は経済
的な製造法にとっては実用的でない。
発明の要旨
本発明は、L−乳酸(またはその塩)を酸素を用いて水溶液中でそして2種の
酵素触媒であるグリコレートオキシダーゼ(例えば(S)−2−ヒドロキシ−酸オ
キシダーゼ、EC 1.1.3.15)およびカタラーゼ(例えば、EC 1.11.
1.6)の存在下に酸化することによるピルビン酸(またはその塩、以下でより
完全に説明される)の製造方法に関する。すなわち、本発明は、水溶液中で、L
−乳酸の初期濃度が約0.1〜約2.0MであるL−乳酸および酸素を、酵素触媒
であるグリコレートオキシダーゼおよび酵素触媒であるカタラーゼの存在下に、
L−乳酸を高収率でピルビン酸に転化させるのに十分な時間にわたり反応させ、
そして次にピルビン酸を回収する段階を含んでなるピルビン酸の改良された製造
方法を提供する。本発明の目的のために、特に6〜10のpH範囲の水溶液につ
いて言及する時のピルビン酸およびL−乳酸という語の使用は、具体的には部分
的に中和された酸溶液がそれぞれピルビン酸塩イオンおよびL−乳酸塩イオンと
して主として存在する高度に解離された状態を称するものである。ピルビン酸は
ファインケミカル物質、農業化学物質および製剤の製造における化学的中間体と
して有用である。従って、本発明の目的に関するピルビン酸の高い収率および回
復率についての言及は、ピルビン酸がピルビン酸の他の有用な誘導体化合物への
中間体として対応する高い収率で本来製造される方法も同等に包括することを意
図するものである。
本発明によれば、ピルビン酸は0.5Mまでの濃度のL−乳酸の酵素で触媒作
用を受ける酸化により製造されそして96%収率で単離される(98%純度、ナ
トリウム塩)。使用されるL−乳酸の高い初期濃度は
グリコレートオキシダーゼの基質阻害をもたらし、それが反応速度および/また
は生成物の最終濃度を制限すると予測されている。同様に、0.5M濃度のピル
ビン酸は生成物中で酵素の阻害をもたらし、これも得られる生成物の濃度を制限
するかもしれなかった。
さらに本発明によれば、pH調節なしの緩衝されない反応において98−99
%の高い収率のピルビン酸塩の収率が得られることが発見されたが、L−乳酸塩
の酵素的酸化のこれまでの全ての実施例は緩衝液、一般的には燐酸塩緩衝液を使
用して行われた。緩衝液の不存在下で得られるピルビン酸塩の高い収率は、加え
られた緩衝液の存在下で得られたものと等しいかまたはそれを越える。加えられ
る緩衝液の不存在下におけるピルビン酸塩の製造により反応混合物からの生成物
の簡単な単離が可能になり、触媒を濾過または遠心により除去して、ピルビン酸
塩の水溶液が残り、それは水の除去により(例えば、減圧下における水のストリ
ッピングにより、凍結乾燥により、など)容易に回収される。
L−乳酸塩からピルビン酸塩への酸化用の遺伝子工学処理された透過性化され
た全細胞触媒(すなわち、グリコレートオキシダーゼおよびカタラーゼの両者を
含有する微生物形質転換細胞)の使用は示されている。これらの全細胞触媒の使
用は本発明における触媒としての可溶性酵素の使用より多くの利点を与える。全
細胞触媒を含有する溶液は酸素または酸素−含有気体と共に分散させることがで
き、これが反応速度を増加させ、可溶性酵素を含有する反応混合物の分散はグリ
コレートオキシダーゼの急速な不可逆的な変性をもたらす。反応の終了時に、完
全細胞触媒は濾過または遠心により再使用のため容易に回収されるが、可溶性酵
素は遠心できず、そして濾過は可溶性グリコレートオキシダーゼ活性の多
くの損失をもたらす。全細胞触媒に関する再使用可能な酵素活性の回復は各々の
触媒再循環後に非常に高い(約95%またはそれ以上)が、1つの反応後に残存
する可溶性グリコレートオキシダーゼの測定された活性は典型的には40%〜6
0%である。不活性担体上に結合または固定されたグリコレートオキシダーゼお
よびカタラーゼの使用は多くのこれらの同じ利点を示しそしてそれらは本発明の
目的にとっては同等であると考えるべきである。
1)可溶性グリコレートオキシダーゼ(g.o.)および可溶性カタラーゼ、2
)ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)の透過性化された細胞触媒
、並びに3)ピチア・パストリス(Pichia pastoris)の透過性化された細胞触媒
を同一反応条件下で使用する0.50MのL−乳酸塩溶液の酸化から得られる結
果の比較を以下の表に示す(反応条件に関しては実施例5、12、および13を
参照のこと)。
いずれかの透過性化された触媒を使用する時には触媒として可溶性グリコレー
トオキシダーゼおよびカタラーゼを使用するのと比べた時には、ピルビン酸塩の
収率は高くそして副生物である酢酸塩の生成は低い。可溶性酵素実験と同じグリ
コレートオキシダーゼ濃度でH.polymorphaの透過性化された細胞触媒を使用した
時には、反応混合物中に存在する内因性細胞性カタラーゼの濃度が可溶性酵素反
応におけるものの半分であっ
ても、比較的少ない酢酸塩(副生物である過酸化水素とピルビン酸塩との反応に
より生成する)が生成する。これらの結果および添付されている実施例のものは
透過性化された細胞の形質転換細胞を触媒として使用した時のピルビン酸塩収率
の予期せぬ改良を示す。
好適態様の記述
L−乳酸またはその適当な塩の接触酸化は一般的にはピルビン酸を生成するた
めのL−乳酸とO2の反応に触媒作用を与える酵素触媒の存在下でL−乳酸を分
子状酸素源と接触させることにより行われる。そのような触媒の1種は、グリコ
ール酸オキシダーゼとしても知られるグリコレートオキシダーゼ(EC 1.1.
3.15)酵素である。グリコレートオキシダーゼは当該技術分野で既知の多数
の源(上記)から単離することができる。反応で使用されるグリコレートオキシ
ダーゼは有効濃度で、一般的には約0.01〜約1,000IU/mL、好適には
約0.1〜約10IU/mLの濃度で存在すべきである。IU(国際単位)は、
毎分1マイクロモルの基質の形質転換に触媒作用を与える酵素の量であると定義
される。この酵素の検定工程はI.ZelitchおよびS.Ochoa,J.Biol.Chem.,Vo
l.201,707-718(1953)に見られる。この方法は回収または再循環されたグリコ
レートオキシダーゼの活性を検定するためにも使用される。
L−乳酸からピルビン酸への酸化的転化用触媒としてのグリコレートオキシダ
ーゼの使用における最適結果は、反応混合物中に過酸化水素の分解用触媒を加え
ることにより得られる。グリコレートオキシダーゼと組み合わされて有効性があ
るそのような過酸化物一分解触媒はカタラーゼ(E.C.1.11.1.6)酵素で
ある。カタラーゼは過酸化水素から
水および酸素への分解に触媒作用を与え、そしてグリコレートオキシダーゼで触
媒作用を受ける乳酸とO2との反応においてピルビン酸と共に製造される過酸化
水素の分解を促進することにより本方法におけるピルビン酸の収率を改良すると
信じられる。カタラーゼの濃度は50〜50,000IU/mL、好適には2,0
00〜15,000IU/mLであるべきである。カタラーゼおよびグリコレー
トオキシダーゼ濃度はカタラーゼ対グリコレートオキシダーゼ活性の比(各々の
酵素に関してIUで測定された)が少なくとも250:1であるように上記の範
囲内で調節することが好ましい。
可溶性酵素を触媒として使用することの他に、グリコレートオキシダーゼ活性
並びに内因性カタラーゼ活性を発現する微生物形質転換細胞が製造されており、
そして本発明における微生物触媒としてのそれらの使用が示されていた。本発明
で使用される微生物細胞触媒はハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorph
a)(メチロトローフ酵母)である。グリコレートオキシダーゼ用のDNAを発現
ベクター中にホルメートデヒドロゲナーゼ(FMD)プロモーターの調節下で挿
入することにより、十分なグリコレートオキシダーゼ活性を有するH.ポリモル
ファの数種の形質転換細胞が製造されている。H.ポリモルファはこのベクター
により形質転換されそして高水準のグリコレートオキシダーゼを生成する菌株が
選択されそしてH.polymorpha GO1と称される(ARS Patent Culture Collection
にthe Northern Regional Research Laboratory assession number:Y-21065と
して、U.S.D.A.と共にイリノイ州ペオリアに預託されている)。
H.ポリモルファ細胞触媒は典型的には、最初にH.ポリモルファ形質
転換細胞の接種材料を500mLのpH4.4のYPD(Difco)の中で増殖させる
ことにより、製造された。この培養物株を次にアミノ酸(14g)、硫酸アンモ
ニウム(50g)およびメタノール(100g)なしの10LのYeast Nitrogen
Base(YNB,Difco)を含有する発酵器の中でpH5.0において接種した。発酵
器を42.5時間にわたり37℃、400rpmの撹拌速度、5.0の一定pH、
40%の溶解された酸素(調節された)および14psigの空気で操作した。
発酵の終了時に、1.0kgのグリセロールを加えそして細胞を遠心により回収
し、液体窒素中で冷凍し、そして−80℃で貯蔵した。
本発明で使用された第二の微生物細胞触媒は、ホウレンソウからのグリコレー
トオキシダーゼ酵素並びに内因性カタラーゼを発現するピチア・パストリス(Pic
hia pastoris)(メチロトローフ酵母)である。ホウレンソウのグリコレートオ
キシダーゼ遺伝子を含有するDNAフラグメントをP.パストリス発現ベクター
(pHIL−D4)の中にメタノール誘発性アルコールオキシダーゼIプロモー
ターの調節下で挿入し、プラスミドpMP1を発生させることにより、十分なグ
リコレートオキシダーゼ活性を有するP.パストリスの数種の形質転換細胞が製
造された。P.パストリス菌株GTS115(NRRL Y−15851)はプラ
スミドpMP1により形質転換されそして線状化されたプラスミドpMP1の染
色体アルコールオキシダーゼI遺伝子座の中への組み込みおよびグリコレートオ
キシダーゼ遺伝子によるアルコールオキシダーゼの置換が可能になるように選択
された。発現カセットの組み込まれたコピーの最大数に関するそのような形質転
換細胞のプールを次に選択した。P.パストリス菌株GS115−MSP10と
称された高コピー数形質転換
細胞が単離されそしてNRRL Y−21001として寄託された。
P.パストリス細胞は典型的には、接種材料を1%のグリセロールを含有する
100mLのYNBの中で増殖させることにより、製造された。30℃における
48時間の成長後に、細胞をアミノ酸(134g)、グリセロール(100g)
、およびビオチン(200mg)なしのyeastnitrogen base(YNB)からなる
10Lの培地を含有する発酵器の中に移した。発酵はpH5.0(NH4OHで調
節された)、30℃、200rpmの撹拌速度、5slpmの通気、5psig
の空気および50%以上の飽和度に保たれた溶解された酸素において操作された
。グリセロールが消費された時に、グリセロールをメタノール(50g)で置換
したこと以外は同一の培地中での増殖により細胞を誘発させてグリコレートオキ
シダーゼを発現させた。誘発中のグリコレートオキシダーゼ活性は酵素の検定に
より追跡された。24時間の誘発後に、細胞をグリセロール(1kg)を用いる
処理後に回収した。回収後に細胞を液体窒素の中で冷凍しそして−80℃で貯蔵
した。
H.ポリモルファおよびP.パストリス細胞の形質転換細胞はグリコール酸から
グリオキシル酸への酸化用触媒として使用する前に透過性化を必要とした。種々
の既知の透過性化方法が十分なグリコレートオキシダーゼ活性を有する細胞を製
造するために有用である(Felix,H.,Anal.Biochemistry,Vol.120,211-234
,(1982)参照)。典型的には、0.1(容量/容量)%の”TRITON”X−
100/20mM燐酸塩緩衝液(pH7.0)中の10重量%湿潤細胞の懸濁液
を15分間混合し、次に液体窒素の中で冷凍し、解凍し、そして20mM燐酸塩
/0.1mM FMN緩衝液(pH7.0)で洗浄した。第二の透過性化方法は0.
2(重量/容量)%の塩化ベンザルコニウム/20mM燐酸塩緩衝液(pH7.
0)中の10重量%湿潤細胞の懸濁液を60分間撹拌し、次に透過性化された細
胞を20mM燐酸塩/0.1mM FMN緩衝液(pH7.0)で洗浄することに
より行われた。透過性化されたら、反応混合物に加えられる全細胞触媒の量が対
応する可溶性酵素に関して以上で記載されたグリコレートオキシダーゼおよびカ
タラーゼ活性の必要な濃度を与えるように選択された。初期値の100%より大
きいグリコレートオキシダーゼおよびカタラーゼ活性の回復は反応工程中の細胞
の増加した透過性化による。
約5−10mgの湿潤細胞(過剰の水分を除去するために濾紙上に吸い取らせ
た)を磁気撹拌棒並びに2,6−ジクロロフェノール−インドフェノール(DC
IP)中0.12mMおよびTRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
)緩衝液(pH8.3)中80mMである2.0mLの溶液を含有する3−mL石
英キュベット中に正確に重量測定して加えることにより、微生物細胞の形質転換
細胞をグリコレートオキシダーゼ活性に関して検定した。キュベットにゴム栓で
ふたをしそして窒素を5分間泡立たせることにより溶液を脱酸素反応にかけた。
キュベットに次に注射器により40μLの1.0Mグリコール酸/1.0M TR
IS(pH8.3)を加え、そして経時的な吸収における変化を605nm(ε
=22,000)において測定しながら混合物を撹拌した。カタラーゼ活性は約
2−5mgの湿潤細胞(過剰の水分を除去するために濾紙上に吸い取らせた)を
磁気撹拌棒および2.0mLの蒸留水を含有する3−mL石英キュベット中に正
確に重量測定して加え、次に1.0mLの50mM燐酸塩緩衝液(pH7.0)中
の59mM過酸化水素を
加えそして経時的な吸収における変化を240nm(ε=39.4)において測
定することにより、カタラーゼ活性を検定した。種々の培地中で培養されたH.
ポリモルファおよびP.パストリス湿潤細胞(透過性化された)のグリコレート
オキシダーゼおよびカタラーゼ活性はグリコレートオキシダーゼに関しては20
〜120DCIP IU/グラムの湿潤細胞の範囲でありそして内因性カタラー
ゼに関しては30,000〜200,000IU/グラムの湿潤細胞であった。
反応溶液中の任意であるがしばしば有利である成分はフラビンモノヌクレオチ
ド(FMN)であり、それは一般的に約2.0mMまでの、好適には約0.01〜
約0.2mMの濃度で使用される。FMNは1単位の酵素当たりグリオキシル酸
に転化されるグリコール酸の量を意味するグリコレートオキシダーゼの生産性を
増加させると信じられている。加えられるFMNの濃度は酵素と共に存在するF
MNに対する追加分であると理解すべきであり、その理由はFMNはしばしば酵
素の製造中にも酵素に加えられるからである。FMNの構造およびその分析方法
はK.Yagai,Methods of Biochemical Analysis,Vol.X,Interscience Publish
ers,New York,1962,p.319-355に見られる。
L−乳酸は商業的に入手できる。この反応ではその初期濃度は0.10M〜2.
0Mの範囲、好適には0.25M〜1.0Mの間である。それは反応において酸と
してまたは相容性であるその塩、すなわち水溶性であり且つそのカチオンがL−
乳酸からピルビン酸への所望する転化を妨害しない塩として使用することができ
る。適当な相容性である塩−生成用のカチオン基は実験により容易に決めること
ができる。そのような塩の代表はアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウ
ム、置換された
アンモニウム、スルホニウム、および置換されたホスホニウム塩である。発酵に
より製造されたL−乳酸を発酵ブロスから精製または単離せずに発酵器から直接
濾過された溶液状で基質として使用することができる。
L−乳酸からピルビン酸への転化は水性媒体中で簡便に且つ好適に実施される
。反応混合物のpHは6〜10の間の、好適には7〜9の間の値に調節される。
このpH範囲内では、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩および燐酸塩
を含む(がそれらに限定されない)相容性である非−妨害性の塩基を加えること
により正確な値を調節して所望するpHを得ることができる。緩衝されていない
反応混合物のpHは反応が進行するにつれて約2pH単位ほど減少するため、反
応を約9.0−8.5の最大酵素活性pH範囲の高い方の終点近くで開始しそして
それが反応中に低下する方法がしばしば使用され、典型的には緩衝されていない
反応混合物の最終的pHは約6.7〜7.5の範囲である。場合により約7.5の
pHの緩衝能力を有する非−妨害性の有機または無機緩衝液の別個の添加により
pHを保つこともでき、その理由はL−乳酸塩の酸化に関する最適な酵素活性が
この値近くであるからであり、適当な緩衝液を使用する時には7.5の初期pH
が使用される。L−乳酸およびピルビン酸が水中で高度に解離すること並びに7
〜10の間のpHではL−乳酸塩およびピルビン酸塩イオンとして実質的に存在
しないならそれらの塩は多量であることは理解されよう。
L−乳酸からピルビン酸への転化用酸化剤である酸素(O2)は、気体−液体
界面における液体のかきまぜによりまたは酸素透過性膜を通して、気体状で反応
に加えることができる。透過性化された完全細胞触媒を使用する時には、酸素ま
たは酸素含有気体を反応混合物中に分散(発
泡)させることにより酸素を加えることができる。ほとんどの条件下では、反応
速度は酸素が水性媒体中に溶解可能な速度によって少なくとも部分的に調節され
る。従って、酸素は空気状で反応に加えることができるが、酸素の比較的純粋な
形状を使用することもできる。酸素圧の上限は知られていないが、50気圧まで
の酸素圧を使用することができそして15気圧の上限が好ましい。高い酸素溶解
(従って反応)速度を保つためにはかきまぜが重要である。簡便な形のかきまぜ
、例えば撹拌が有用である。気泡を精製する高剪断かきまぜまたは気泡を生ずる
かきまぜは1種もしくはそれ以上の可溶性酵素の活性を減少させるかもしれない
。
反応温度は、それが反応速度および酵素の安定性に影響する点で、重要な変数
である。典型的には、約40℃までの反応温度を実質的な触媒活性の損失なしに
使用することができるが、好適な反応温度範囲は約0℃〜約15℃である。好適
な温度反応内での操作は反応の終了時に回収される酵素活性を最高にする。例え
ばジャケット付き反応容器を使用しそして適当な温度の液体をジャケット中に通
す一般的方法により温度を調節することができる。反応溶液は反応成分に対して
不活性である物質から構成することができる。
反応の完了時に、可溶性酵素触媒を濾過または遠心により除去しそして場合に
より再使用することができる。或いは、それらを例えば70℃に5分間加熱する
ことにより変性および沈澱させることもでき、および/またはそれらの存在が邪
魔でないなら反応混合物中に残存させていてもよい。透過性化された細胞触媒は
再循環のために反応混合物から遠心または濾過により分離することもできる。可
溶性酵素または微生物細胞触媒の除去後に、溶液を活性炭と接触させることによ
りフラビンモノヌ
クレオチド(FMN)を場合により除去してもよい。所望するピルビン酸(すな
わちピルビン酸およびピルビン酸塩)を次にそのまま溶液状で回収することがで
き、または生じた溶液を濃縮しそしてピルビン酸を水の除去により、例えばここ
でも減圧下の水のストリッピング、凍結乾燥(冷凍乾燥)または当技術で既知で
ある他の方法により、回収することができる。
本発明をさらに説明するための下記の実施例では、ピルビン酸塩および酢酸塩
の収率、並びにL−乳酸塩の回復収率は、断らない限り、反応の最初に存在する
L−乳酸の合計量に基づく百分率である。反応混合物の分析は高圧液体クロマト
グラフィー(HPLC)を用いて行われ、有機酸分析はBio-Rad HPX-87Hカラム
を用いて行われた。
実施例1
3オンスのフィッシャー−ポーターガラスエーロゾル反応容器中に磁気撹拌棒
並びにL−乳酸リチウム(0.75M)、FMN(0.01mM)、イソ酪酸(H
PLC内部標準、0.100M)、ビシン緩衝液(0.788M)、ホウレンソウ
のグリコレートオキシダーゼ(1.0IU/mL)、およびアスペルギルス・ニ
ガー(Aspergillus niger)カタラーゼ(1,400IU/mL)を含有するpH8
.9の10mLの水溶液を入れた。反応容器を密封しそして反応混合物を5℃に
冷却し、次に酸素で5回にわたり撹拌しながら70psigに加圧しそして大気
圧に排気することにより容器に酸素を流した。容器を次に70psigの酸素に
加圧しそして混合物を5℃で撹拌した。アリコート(0.10mL)を注射器に
よりサンプル採取口を通して(容器中の圧力損失なしに)定期的間隔でHPLC
による分析用に取り出して反応の進行を監視した。28.
5時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収率はそれぞれ47.7%お
よび43.6%であり、そして11.5%の乳酸塩が残った。グリコレートオキシ
ダーゼおよびカタラーゼの残存活性はそれぞれそれらの初期値の40%および1
00%であった。
実施例2
L−乳酸(96%のL−異性体、4%のD−異性体、0.750M)、KH2P
O4(0.750M)、FMN(0.01mM)、イソ酪酸(HPLC内部標準、
0.100M)、ホウレンソウのグリコレートオキシダーゼ(1.0IU/mL)
、および可溶性アスペルギルス・ニガー・カタラーゼ(14,000IU/mL
)を含有するpH8.1および5℃の10mLの水溶液を使用して実施例1に記
載された工程を繰り返した。48時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPL
C収率はそれぞれ79.6%および3.8%であり、そして20.2%の乳酸塩が
残った。18時間の反応後のグリコレートオキシダーゼおよびカタラーゼの残存
活性はそれぞれそれらの初期値の22%および100%であった。
実施例3
L−乳酸(96%のL−異性体、4%のD−異性体、0.500M)、KH2P
O4(0.50M)、FMN(0.01mM)、イソ酪酸(HPLC内部標準、0.
100M)、ホウレンソウのグリコレートオキシダーゼ(2.0IU/mL)、
および可溶性アスペルギルス・ニガー・カタラーゼ(14,000IU/mL)
を含有するpH8.3および5℃の10mLの水溶液を使用して実施例1に記載
された工程を繰り返した。18時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC
収率はそれぞれ90.5%および4.2%であり、そして6.4%の乳酸塩が残っ
た。グリコレ
ートオキシダーゼおよびカタラーゼの残存活性はそれぞれそれらの初期値の57
%および100%であった。
実施例4
L−乳酸ナトリウム(0.500M)、イソ酪酸(HPLC内部標準、0.10
0M)、ホウレンソウのグリコレートオキシダーゼ(2.0IU/mL)、およ
び可溶性アスペルギルス・ニガー・カタラーゼ(20,000IU/mL)を含
有するpH9.0(50%NaOHで調節された)および15℃の10mLの水
溶液を使用して実施例1に記載された工程を繰り返し、緩衝液は加えなかった。
7時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収率はそれぞれ91.6%お
よび0.6%であり、そして7.1%の乳酸塩が残った。グリコレートオキシダー
ゼおよびカタラーゼの残存活性はそれぞれそれらの初期値の21%および100
%であった。
実施例5
L−乳酸ナトリウム(0.500M)、イソ酪酸(HPLC内部標準、0.10
0M)、ホウレンソウのグリコレートオキシダーゼ(6.0IU/mL)、およ
び可溶性アスペルギルス・ニガー・カタラーゼ(10,000IU/mL)を含
有するpH9.0(50%NaOHで調節された)および15℃の10mLの水
溶液を使用して実施例1に記載された工程を繰り返し、緩衝液は加えなかった。
5時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収率はそれぞれ95.3%お
よび0.9%であり、そして4.5%の乳酸塩が残った。グリコレートオキシダー
ゼおよびカタラーゼの残存活性はそれぞれそれらの初期値の68%および100
%であった。
実施例6
3オンスのフィッシャー−ポーターガラスエーロゾル反応容器中に磁気撹拌棒
並びにL−乳酸ナトリウム(0.500M)、KH2PO4(0.50M)、および
イソ酪酸(HPLC内部標準、0.100M)を含有するpH9.0(50%Na
OHで調節された)の10mLの水溶液を入れ、そして溶液を5℃に冷却した。
容器に次に0.1%の塩化ベンザルコニウム("LONZA BARQUA"OJ-50)を用いる処
理により透過性化された0.75gのピチア・パストリス形質転換細胞GS11
5−MSP10(65.2IUのグリコレートオキシダーゼおよび101,000
IUのカタラーゼ)を加え、次に反応容器を密封しそして反応混合物を5℃に冷
却した。酸素で5回にわたり撹拌しながら70psigに加圧しそして大気圧に
排気することにより容器に酸素を流し、次に容器を70psigの酸素に加圧し
そして混合物を5℃で撹拌した。アリコート(010mL)を注射器によりサン
プル採取口を通して(容器中の圧力損失なしに)定期的間隔でHPLCによる分
析用に取り出して反応の進行を監視した。5時間後に、ピルビン酸塩および酢酸
塩のHPLC収率はそれぞれ97.6%および2.5%であり、そして0.3%の
乳酸塩が残った。グリコレートオキシダーゼおよびカタラーゼの残存する透過性
化された細胞の活性はそれぞれそれらの初期値の104%および105%であっ
た。
実施例7
KH2PO4(0.50M)の代わりにビシン緩衝液(0.5M)を使用して実施
例6の反応を繰り返した。5時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収
率はそれぞれ93.1%および6.3%であり、そして
0.4%の乳酸塩が残った。グリコレートオキシダーゼおよびカタラーゼの残存
する透過性化された細胞の活性はそれぞれそれらの初期値の107%および12
2%であった。
実施例8
0.1%の塩化ベンザルコニウム("LONZA BARQUAT"OJ-50)を用いる処理によ
り透過性化された0.75gのピチア・パストリス形質転換細胞GS115−M
SP10(65.2IUのグリコレートオキシダーゼおよび101,000IUの
カタラーゼ)が加えられたL−乳酸ナトリウム(0.500M)およびイソ酪酸
(HPLC内部標準、0.100M)を含有するpH9.0(50%NaOHで調
節された)の10mLの水溶液を使用して実施例6に記載された工程を繰り返し
、緩衝液は加えなかった。5時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収
率はそれぞれ99.0%および0.7%であり、そして0.4%の乳酸塩が残った
。グリコレートオキシダーゼおよびカタラーゼの残存する透過性化された細胞の
活性はそれぞれそれらの初期値の119%および113%であった。
実施例9
0.1%の塩化ベンザルコニウム("LONZA BARQUAT"OJ-50)を用いる処理によ
り透過性化された0.35gのピチア・パストリス形質転換細胞GS115−M
SP10(22.6IUのグリコレートオキシダーゼおよび50,000IUのカ
タラーゼ)が加えられたL−乳酸ナトリウム(0.500M)およびイソ酪酸(
HPLC内部標準、0.100M)を含有するpH9.0(50%NaOHで調節
された)の10mLの水溶液を使用して実施例6に記載された工程を繰り返し、
緩衝液は加えな
かった。8時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収率はそれぞれ97
.4%および2.3%であり、そして0.4%の乳酸塩が残った。グリコレートオ
キシダーゼおよびカタラーゼの残存する透過性化された細胞の活性はそれぞれそ
れらの初期値の123%および150%であった。
実施例10
0.1%の塩化ベンザルコニウム("LONZA BARQUAT"OJ-50)を用いる処理によ
り透過性化された0.18gのピチア・パストリス形質転換細胞GS115−M
SP10(11.3IUのグリコレートオキシダーゼおよび25,000IUのカ
タラーゼ)が加えられたL−乳酸ナトリウム(0.500M)およびイソ酪酸(
HPLC内部標準、0.100M)を含有するpH9.0(50%NaOHで調節
された)の10mLの水溶液を使用して実施例6に記載された工程を繰り返し、
緩衝液は加えなかった。10時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収
率はそれぞれ92.9%および5.0%であり、そして3.3%の乳酸塩が残った
。グリコレートオキシダーゼおよびカタラーゼの残存する透過性化された細胞の
活性はそれぞれそれらの初期値の121%および228%であった。
実施例11
0.1%の塩化ベンザルコニウム("LONZA BARQUAT"OJ-50)を用いる処理によ
り透過性化された0.71gのピチア・パストリス形質転換細胞GS115−M
SP10(45.9IUのグリコレートオキシダーゼおよび100,000IUの
カタラーゼ)が加えられたL−乳酸ナトリウム(1.00M)およびイソ酪酸(
HPLC内部標準、0.100M)
を含有するpH9.0(50%NaOHで調節された)の10mLの水溶液を使
用して実施例6に記載された工程を繰り返し、緩衝液は加えなかった。8時間後
に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収率はそれぞれ89.1%および8.4
%であり、そして1.3%の乳酸塩が残った。グリコレートオキシダーゼおよび
カタラーゼの残存する透過性化された細胞の活性はそれぞれそれらの初期値の1
24%および145%であった。
実施例12
0.1%の塩化ベンザルコニウム("LONZA BARQUAT"OJ-50)を用いる処理によ
り透過性化された0.66gのピチア・パストリス形質転換細胞GS115−M
SP10(62.7IUのグリコレートオキシダーゼおよび100,000IUの
カタラーゼ)が加えられたL−乳酸ナトリウム(0.50M)およびイソ酪酸(
HPLC内部標準、0.100M)を含有するpH9.0(50%NaOHで調節
された)の10mLの水溶液を使用して実施例6に記載された工程を繰り返し、
緩衝液は加えなかった。反応温度は15℃でありそして酸素圧は70psigで
あった。3時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収率はそれぞれ98
.2%および1.2%であり、そして0.3%の乳酸塩が残った。グリコレートオ
キシダーゼおよびカタラーゼの残存する透過性化された細胞の活性はそれぞれそ
れらの初期値の124%および130%であった。
実施例13
0.1%の塩化ベンザルコニウム("LONZA BARQUAT"OJ-50)を用いる処理によ
り透過性化された1.04gのハンセヌラ・ポリモルファ形質転換細胞GO1(
64.7IUのグリコレートオキシダーゼおよび50,
000IUのカタラーゼ)が加えられたL−乳酸ナトリウム(0.50M)およ
びイソ酪酸(HPLC内部標準、0.100M)を含有するpH9.0(50%N
aOHで調節された)の10mLの水溶液を使用して実施例12に記載された工
程を繰り返し、緩衝液は加えなかった。反応温度は15℃でありそして酸素圧は
70psigであった。2時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収率
はそれぞれ97.0%および2.5%であり、そして0.4%の乳酸塩が残った。
グリコレートオキシダーゼおよびカタラーゼの残存する透過性化された細胞の活
性はそれぞれそれらの初期値の99%および155%であった。
実施例14
実施例13に記載された反応を5℃および120psigの酸素で繰り返した
。4時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収率はそれぞれ93.1%
および3.7%であり、そして2.2%の乳酸塩が残った。グリコレートオキシダ
ーゼおよびカタラーゼの残存する透過性化された細胞の活性はそれぞれそれらの
初期値の66%および180%であった。
実施例15
実施例13に記載された反応を30℃および70psigの酸素で繰り返した
。3時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収率はそれぞれ89.9%
および6.5%であり、そして0.6%の乳酸塩が残った。グリコレートオキシダ
ーゼおよびカタラーゼの残存する透過性化された細胞の活性はそれぞれそれらの
初期値の45%および140%であった。
実施例16
Dispersimax Impeller(Autoclave Engineers)が備えられた300−mLのE
ZE-Seal撹拌オートクレーブ反応器にL−乳酸ナトリウム(5.50g、0.50
M)を含有する100mLの溶液を充填した。反応器に次に0.1%の塩化ベン
ザルコニウム("LONZA BARQUAT"OJ-50)を用いる処理により透過性化された6.
70gのピチア・パストリス形質転換細胞GS115−MSP10(670IU
のグリコレートオキシダーゼおよび1,177,000IUのカタラーゼ)を加え
、そして混合物を50%NaOHでpH9.0に調節しそして5℃に冷却した。
反応器に酸素を流し、次に混合物を750rpmおよび5℃において400ps
igの酸素下で撹拌して、タービン羽根の作用により混合物中に酸素を泡立たせ
た。反応混合物の0.40mLのアリコートを定期的間隔で採取し、アリコート
をMillipore Ultrafree-MC 10,000 NMWL Filter Unitを用いて濾過し、そして濾
液をHPLCによりサンプルに加えられた0.10Mイソ酪酸を内部標準として
用いて分析することにより反応を監視した。3.0時間後に、ピルビン酸塩およ
び酢酸塩のHPLC収率はそれぞれ99.2%および1.4%であり、そして0.
6%の乳酸塩が残った。透過性化された細胞のグリコレートオキシダーゼおよび
カタラーゼの回復された活性はそれぞれそれらの初期値の107%および106
%であった。
反応混合物を遠心して透過性化された細胞触媒を除去し、そして生じた上澄み
液を0.2mmナイロンフィルターを通して濾過した。生じた濾液のpHを1.0
N HClを用いて4.6に調節し、次に溶液を冷凍しそして水を凍結乾燥により
除去して5.20gのピルビン酸ナトリウムを生成した(96%の単離された収
率、HPLC分析により測定され
た98%のピルビン酸ナトリウム)。
実施例17
109.9g/Lの乳酸アンモニウム(97.8%のL−乳酸塩、2.2%のD
−乳酸塩)、0.8g/Lの酢酸塩、および2.8g/Lのマルトースを含有する
発酵ブロスを遠心して粒状物質を除去し、次に0.45mmフィルターを通して
濾過した。生じた溶液中の乳酸アンモニウムの濃度は1.10M(118.6g/
L、HPLC分析により測定)であった。Dispesimax Impeller(Autoclave Eng
ineers)が備えられた300−mLのEZE-Seal撹拌オートクレーブ反応器に45
mLの1.10Mの濾過された発酵ブロスを加え、次に55mLの蒸留水を加え
て0.50Mの乳酸アンモニウムを含有する100mLの水溶液を生成した。反
応器に次に0.1%の塩化ベンザルコニウム("LONZA BARQUAT"OJ-50)を用いる
処理により透過性化された6.70gの再循環されたピチア・パストリス形質転
換細胞GS115−MSP10(670IUのグリコレートオキシダーゼおよび
1,177,000IUのカタラーゼ)を加え、そして混合物を50%NaOHで
pH7.5に調節しそして5℃に冷却した。反応器に酸素を流し、次に混合物を
750rpmおよび5℃において400psigの酸素下で撹拌して、タービン
羽根の作用により混合物中に酸素を泡立たせた。反応混合物の0.40mLのア
リコートを定期的間隔で採取し、アリコートをMillipore Ultrafree-MC 10,000
NMWL Filter Unitを用いて濾過し、そして濾液をHPLCにより0.10Mイソ
酪酸を内部標準として用いて分析することにより反応を監視した。3.0時間後
に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収率はそれぞれ94.1%(L−乳酸
塩を基にして96.2%)および2.8%であり、
そして2.5%の乳酸塩が残った。透過性化された細胞のグリコレートオキシダ
ーゼおよびカタラーゼの回復された活性はそれぞれそれらの初期値の101%お
よび56%であった。
本発明をこのようにある程度特定して記載しそして例示してきたが、下記の請
求の範囲がそれらに限定されるものでなく請求の範囲およびその同等物の各構成
部分の表現に相当する範囲も供与することを認識すべきである。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年6月22日
【補正内容】
名称
ピルビン酸の製造方法
発明の背景
発明の分野:
本発明は、L−乳酸および酸素を水溶液中でグリコレートオキシダーゼ((S)
−ヒドロキシ−酸オキシダーゼ、EC 1.1.3.15)およびカタラーゼ(EC
1.11.1.6)からなる触媒の存在下で反応させるピルビン酸の製造方法に関
する。
関連技術の記述
ピルビン酸は種々の炭素源(例えば、グルコース、酵母抽出物およびペプトン
)の発酵により製造されるが、これらの方法は一般的にピルビン酸を発酵生成物
の混合物の一成分として低い収率(炭素源を基にして)でそして相対的に低い濃
度で生ずる。そのような混在発酵ブロスからのピルビン酸の分離および単離は一
般的に実施するのが難しく且つ費用がかかる。
光学的に純粋なD(−)−乳酸の微生物学的酸化によるピルビン酸の製造はCoop
erにより記載されている(米国特許第4,900,668号、1990年2月13
日)。この方法は他の発酵方式を反応に必要な細胞物質を製造するために炭素源
としてD−乳酸を使用しない点で改良するものであるが、第二の炭素源(例えば
、D(−)−マンニトールおよびトウモロコシ浸漬液)を含有する増殖培地が細胞
物質の製造およびD−乳酸の発酵転化の両者に必要である。さらに、D−乳酸は
現実に偏在せず、そしてL(+)−乳酸より製造または購入に非常に多くの費用が
かかる。
EP 342,084はサンプル中のNAD(P)Hの濃度を測定するた
めに使用される酵素的検定を開示している。この検定は試薬としてラクテートオ
キシダーゼを含有する混合物を使用する。これは本発明のオキシダーゼではない
。
酵素であるL−ラクテートオキシダーゼ(L−ラクテート:酸素オキシドレダ
クターゼ、非−脱炭酸反応、EC 1.1.3.2)を触媒として使用するL−乳酸
からピルビン酸への転化が示されている(B.A.BurdickおよびJ.R.Schaeffer B
iotech.Lett.,Vol.9,253-258(1987))。L−ラクテートオキシダーゼ(ペデ
ィオコッカス(Pediococcus)から)は酸素によるL−乳酸塩からピルビン酸塩お
よび過酸化水素への酸化に触媒作用を与える。
反応の完了時に、可溶性酵素触媒を濾過または遠心により除去しそして場合に
より再使用することができる。或いは、それらを例えば70℃に5分間加熱する
ことにより変性および沈澱させることもでき、および/またはそれらの存在が邪
魔でないなら反応混合物中に残存させていてもよい。透過性化された細胞触媒は
再循環のために反応混合物から遠心または濾過により分離することもできる。可
溶性酵素または微生物細胞触媒の除去後に、溶液を活性炭と接触させることによ
りフラビンモノヌクレオチド(FMN)を場合により除去してもよい。所望する
ピルビン酸(すなわちピルビン酸およびピルビン酸塩)を次にそのまま溶液状で
回収することができ、または生じた溶液を濃縮しそしてピルビン酸を水の除去に
より、例えばここでも減圧下の水のストリッピング、凍結乾燥(冷凍乾燥)また
は当技術で既知である他の方法により、回収することができる。
本発明をさらに説明するための下記の実施例では、ピルビン酸塩および酢酸塩
の収率、並びにL−乳酸塩の回復収率は、断らない限り、反応の最初に存在する
L−乳酸の合計量に基づく百分率である。反応混合物の分析は高圧液体クロマト
グラフィー(HPLC)を用いて行われ、有機酸分析はBio-Rad HPX-87Hカラム
を用いて行われた。
実施例1
3オンスのフィッシャー−ポーターガラスエーロゾル反応容器中に磁気撹拌棒
並びにL−乳酸リチウム(0.75M)、FMN(0.01mM)、イソ酪酸(H
PLC内部標準、0.100M)、ビシン緩衝液(0.7
88M)、ホウレンソウのグリコレートオキシダーゼ(1.0IU/mL)、お
よびアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)カタラーゼ(1,400IU/
mL)を含有するpH8.9の10mLの水溶液を入れた。反応容器を密封しそ
して反応混合物を5℃に冷却し、次に酸素で5回にわたり撹拌しながら5.9×
105Paに加圧しそして大気圧に排気することにより容器に酸素を流した。容
器を次に5.9×105Paの酸素に加圧しそして混合物を5℃で撹拌した。アリ
コート(0.10mL)を注射器によりサンプル採取口を通して(容器中の圧力
損失なしに)定期的間隔でHPLCによる分析用に取り出して反応の進行を監視
した。28.5時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収率はそれぞれ
47.7%および43.6%であり、そして11.5%の乳酸塩が残った。グリコ
レートオキシダーゼおよびカタラーゼの残存活性はそれぞれそれらの初期値の4
0%および100%であった。
実施例2
L−乳酸(96%のL−異性体、4%のD−異性体、0.750M)、KH2P
O4(0.750M)、FMN(0.01mM)、イソ酪酸(HPLC内部標準、
0.100M)、ホウレンソウのグリコレートオキシダーゼ(1.0IU/mL)
、および可溶性アスペルギルス・ニガー・カタラーゼ(14,000IU/mL
)を含有するpH8.1および5℃の10mLの水溶液を使用して実施例1に記
載された工程を繰り返した。
3オンスのフィッシャー−ポーターガラスエーロゾル反応容器中に磁気撹拌棒
並びにL−乳酸ナトリウム(0.500M)、KH2PO4(0.50M)、およ
びイソ酪酸(HPLC内部標準、0.100M)を含有するpH9.0(50%N
aOHで調節された)の10mLの水溶液を入れ、そして溶液を5℃に冷却した
。容器に次に0.1%の塩化ベンザルコニウム("LONZA BARQUAT"OJ-50)を用い
る処理により透過性化された0.75gのピチア・パストリス形質転換細胞GS
115−MSP10(65.2IUのグリコレートオキシダーゼおよび101,0
00IUのカタラーゼ)を加え、次に反応容器を密封しそして反応混合物を5℃
に冷却した。酸素で5回にわたり撹拌しながら5.8×105Paに加圧しそして
大気圧に排気することにより容器に酸素を流し、次に容器を5.8×105Paの
酸素に加圧しそして混合物を5℃で撹拌した。アリコート(0.10mL)を注
射器によりサンプル採取口を通して(容器中の圧力損失なしに)定期的間隔でH
PLCによる分析用に取り出して反応の進行を監視した。5時間後に、ピルビン
酸塩および酢酸塩のHPLC収率はそれぞれ97.6%および2.5%であり、そ
して0.3%の乳酸塩が残った。グリコレートオキシダーゼおよびカタラーゼの
残存する透過性化された細胞の活性はそれぞれそれらの初期値の104%および
105%であった。
実施例7
KH2PO4(0.50M)の代わりにビシン緩衝液(0.5M)を使用して実施
例6の反応を繰り返した。5時間後に、ピルビン酸塩および酢
酸塩のHPLC収率はそれぞれ93.1%および6.3%であり、そして0.4%
の乳酸塩が残った。グリコレートオキシダーゼおよびカタラーゼの残存する透過
性化された細胞の活性はそれぞれそれらの初期値の107%および122%であ
った。
実施例8
0.1%の塩化ベンザルコニウム("LONZA BARQUAT"OJ-50)を用いる処理によ
り透過性化された0.75gのピチア・パストリス形質転換細胞GS115−M
SP10(65.2IUのグリコレートオキシダーゼおよび101,000IUの
カタラーゼ)が加えられたL−乳酸ナトリウム(0.5000)およびイソ酪酸
(HPLC内部標準、0.100M)を含有するpH9.0(50%NaOHで調
節された)の10mLの水溶液を使用して実施例6に記載された工程を繰り返し
、緩衝液は加えなかった。5時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収
率はそれぞれ99.0%および0.7%であり、そして0.4%の乳酸塩が残った
。グリコレートオキシダーゼおよびカタラーゼの残存する透過性化された細胞の
活性はそれぞれそれらの初期値の119%および113%であった。
実施例9
0.1%の塩化ベンザルコニウム("LONZA BARQUA"OJ-50)を用いる処理により
透過性化された0.35gのピチア・パストリス形質転換細胞GS115−MS
P10(22.6IUのグリコレートオキシダーゼおよび50,000IUのカタ
ラーゼ)が加えられたL−乳酸ナトリウ
ム(0.500M)およびイソ酪酸(HPLC内部標準、0.100M)を含有す
るpH9.0(50%NaOHで調節された)の10mLの水溶液を使用して実
施例6に記載された工程を繰り返し、緩衝液は加えなかった。
反応器に次に0.1%の塩化ベンザルコニウム("LONZA BARQUAT"OJ-50)を用い
る処理により透過性化された6.70gのピチア・パストリス形質転換細胞GS
115−MSP10(670IUのグリコレートオキシダーゼおよび1,177,
000IUのカタラーゼ)を加え、そして混合物を50%NaOHでpH9.0
に調節しそして5℃に冷却した。反応器に酸素を流し、次に混合物を750rp
mおよび5℃において3.8×105Paの酸素下で撹拌して、タービン羽根の作
用により混合物中に酸素を泡立たせた。反応混合物の0.40mLのアリコート
を定期的間隔で採取し、アリコートをMillipore Ultrafree-MC 10,000 NMWL Fil
ter Unitを用いて濾過し、そして濾液をHPLCによりサンプルに加えられた0
.10Mイソ酪酸を内部標準として用いて分析することにより反応を監視した。
3.0時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収率はそれぞれ99.2%
および1.4%であり、そして0.6%の乳酸塩が残った。透過性化された細胞の
グリコレートオキシダーゼおよびカタラーゼの回復された活性はそれそれそれら
の初期値の107%および106%であった。
反応混合物を遠心して透過性化された細胞触媒を除去し、そして生じた上澄み
液を0.2mmナイロンフィルターを通して濾過した。生じた濾液のpHを1.0
N HClを用いて4.6に調節し、次に溶液を冷凍しそして水を凍結乾燥により
除去して5.20gのピルビン酸ナトリウムを生成した(96%の単離された収
率、HPLC分析により測定された98%のピルビン酸ナトリウム)。
実施例17
109.9g/Lの乳酸アンモニウム(97.8%のL−乳酸塩、2.2%のD
−乳酸塩)、0.8g/Lの酢酸塩、および2.8g/Lのマルトースを含有する
発酵ブロスを遠心して粒状物質を除去し、次に0.45mmフィルターを通して
濾過した。生じた溶液中の乳酸アンモニウムの濃度は1.10M(118.6g/
L、HPLC分析により測定)であった。Dispesimax Impeller(Autoclave Eng
ineers)が備えられた300−mLのEZE-Seal撹拌オートクレーブ反応器に45
mLの1.10Mの濾過された発酵ブロスを加え、次に55mLの蒸留水を加え
て0.50Mの乳酸アンモニウムを含有する100mLの水溶液を生成した。反
応器に次に0.1%の塩化ベンザルコニウム("LONZA BARQUAT"OJ-50)を用いる
処理により透過性化された6.70gの再循環されたピチア・パストリス形質転
換細胞GS115−MSP10(670IUのグリコレートオキシダーゼおよび
1,177,000IUのカタラーゼ)を加え、そして混合物を50%NaOHで
pH7.5に調節しそして5℃に冷却した。反応器に酸素を流し、次に混合物を
750rpmおよび5℃において3.8×105Paの酸素下で撹拌して、タービ
ン羽根の作用により混合物中に酸素を泡立たせた。反応混合物の0.40mLの
アリコートを規則正しい間隔で採取し、アリコートをMillipore Ultrafree-MC 1
0,000 NMWL Filter Unitを用いて濾過し、そして濾液をHPLCにより0.10
Mイソ酪酸を内部標準として用いて分析することにより反応を監視した。3.0
時間後に、ピルビン酸塩および酢酸塩のHPLC収率
はそれぞれ94.1%(L−乳酸塩を基にして96.2%)および2.8%であり
、そして2.5%の乳酸塩が残った。透過性化された細胞のグリコレートオキシ
ダーゼおよびカタラーゼの回復された活性はそれぞれそれらの初期値の101%
および56%であった。
請求の範囲
1.水溶液中で、L−乳酸の初期濃度が約0.1〜約2.0MであるL−乳酸およ
び酸素を、酵素触媒であるグリコレートオキシダーゼおよび酵素触媒であるカタ
ラーゼを含んでなる透過性化された全細胞触媒の存在下に、L−乳酸を高収率で
ピルビン酸に転化させるのに十分な時間にわたり反応させ、そして次にピルビン
酸を回収する段階を含んでなるピルビン酸の製造方法。
2.該酵素触媒が微生物形質転換細胞中に存在する請求の範囲第1項の方法。
3.反応中に追加の緩衝液を加えずそしてpH調節を行わない請求の範囲第1項
の方法。
4.反応を約6〜約10のpHにおいて行いそして0.01〜1,000IU/m
lのグリコレートオキシダーゼ活性および50〜50,000IU/mlのカタ
ラーゼ活性が存在する請求の範囲第1項の方法。
5.0.1〜10IU/mlのグリコレートオキシダーゼ活性および2,000〜
15,000IU/mlのカタラーゼ活性が存在しそしてカタラーゼ対グリコレ
ートオキシダーゼ活性のIU/ml比が少なくとも250:1である請求の範囲
第3項の方法。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12R 1:84)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA,
CN,CZ,FI,GE,HU,JP,KE,KG,K
P,KR,KZ,LK,LV,MD,MG,MN,MW
,NO,NZ,PL,RO,RU,SD,SI,SK,
TJ,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 ウイツターホルト, ビンセント・ジエラ
ード
アメリカ合衆国デラウエア州19803ウイル
ミントン・スパルデイングロード334