【発明の詳細な説明】
二環式フィブリノゲン拮抗物質
発明の分野
本発明は血小板凝集を阻害する新規二環式化合物、該化合物を配合する医薬組
成物、および該化合物の使用法に関する。
発明の背景
血小板の凝集は、主に、インテグリンと称される付着レセプターの一種である
フィブリノゲンレセプター、またはGPIIb−IIIa血小板レセプター複合体に
より媒介されると考えられている。インテグリンレセプターの天然のリガンドは
、Arg−Gly−Asp配列を含有する蛋白質であることが多いことが判明している
。GPIIb−IIIaレセプターについての天然のリガンドと考えられる、フォン
・ウィルブランド(von Willebrand)因子およびフィブリノゲンは、その一次構
造においてArg−Gly−Asp(一文字アミノ酸コードにてRGD)配列を有する
。機能的には、これらの蛋白質は隣接する血小板上のGPIIb−IIIaレセプタ
ーと結合および交差結合能を有し、それで血小板が凝集する。
フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびトロンボスポンジンも、GPIIb−
IIIaと結合することが知られているRGD含有の蛋白質である。フィブロネク
チンは、血漿中に見られ、細胞内マトリックス中の構造蛋白質として機能する。
構造蛋白質およびGPIIb−IIIa間の結合は、血小板を損傷した血管壁に付着
させるように機能する。
ビトロネクチンに結合し、RGD配列を有する直線状および環状ペプチドが、
WO89/05150(PCTUS88/04403)に開示されている。EP
0275748は、GPIIb−IIIaレセプターと結合し、血小板凝集を阻害す
る直線状のテトラないしヘキサペプチドおよび環状ヘキサないしオクタペプチド
を開示している。その開示が出典明示により本明細書の一部とされる、他の直線
状および環状ペプチドが、EP−A0341915に開示されている。しかし、
このような阻害剤のペプチド様構造は、薬剤デリバリー、代謝安定性および選択
性などにおいてしばしば問題を有する。天然のアミノ酸配列で構成されないフィ
ブリノゲンレセプターの阻害剤はEP−A0 372 486、EP−A0 38
1 033およびEP−A0 478 363に開示されている。WO92/07
568(PCT/US91/08166)は、単環式7員環構造を形成すること
によりRGD配列におけるγ−ターン構造を模倣するフィブリノゲンレセプター
アンタゴニストを開示している。しかし、in vivoおよびin vitroにて有効な効
果を有し、アミノ酸配列のペプチド骨格構造を欠く新規フィブリノゲンレセプタ
ーアンタゴニスト(例えばGPIIb−IIIa蛋白質の阻害物質)に対する要求が
依然としてある。
本発明は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを含む、新規二環式化合
物を開示する。これらの化合物はGPIIb−IIIaレセプターを阻害し、血小板
凝集を阻害する。
発明の要約
一態様において、本発明は式(I)にて後記するような、芳香族6員環と縮合
した置換6員環からなる二環式化合物である。
本発明はまた、式(I)の化合物および医薬上許容される担体からなる、血小
板凝集または血餅形成を抑制する医薬組成物である。
本発明はさらに、有効量の式(I)の化合物を内部投与することからなる、血
小板凝集の阻害を必要とする哺乳動物における血小板凝集方法である。
別の態様において、本発明は、フィブリン溶解療法の後の哺乳動物における動
脈または静脈の再閉塞の阻害法であって、有効量のフィブリン溶解剤および式(
I)の化合物を内部投与することからなる方法を提供する。本発明はまた、卒中
、一過性虚血発作または心筋梗塞の治療法である。
発明の詳細な記載
本発明は、血小板凝集を阻害する二環式化合物を開示する。この新規二環式化
合物は、芳香族6員環と縮合した6員環からなり、その芳香族6員環に窒素含有
置換基を有し、その6員環に、好ましくは酸性基を有するまたは酸性基である脂
肪族置換基を有する。6員環は、窒素、酸素および硫黄のようなヘテロ原子を含
有し、芳香族6員環は炭素環であっても、または2個までの窒素原子を含有して
もよい。縮合6−6員環系は、GPIIb−IIIaレセプターと有利に相互作用し
、芳香族6員環および6員環の側鎖置換基がまた、レセプターと有利に相互作用
するようにそれらは配向すると考えられる。
特定の作用機構と結び付けるものではないが、これらの化合物は、フィブリノ
ゲンの血小板結合フィブリノゲンレセブターGPIIb−IIIaとの結合を抑制し
、他の付着蛋白質と推定RGD結合部位の拮抗作用を介して相互作用すると考え
られる。
本発明の化合物は、式(I):
[式中、
A1ないしA4は、所望により、O、SおよびNの群から選択される2個までの
ヘテロ原子を含有してもよい、飽和または不飽和の、可能な置換6員環を形成し
、ここにSおよびNは、所望により、酸化されていてもよく;
D1ないしD4は、所望により、2個までの窒素原子を含有してもよい、可能な
置換芳香族6員環を形成し;
RはR7の群、または所望により1個またはそれ以上の=O、R11またはR7に
より置換されていてもよいQ−C1-4アルキル、Q−C2-4アルケニル、Q−C2- 4
アルキニルより選択される少なくとも1個の置換基であり;
R*はH、所望により1個またはそれ以上のR11で置換されていてもよいQ−
C1-6アルキル、Q−C1-6オキソアルキル、Q−C2-6アルケニル、Q−C3-4オ
キソアルケニル、Q−C3-4オキソアルキニル、Q−C2-4アルキニル、C3-6シ
クロアルキル、ArまたはHetであり;
QはH、C3-6シクロアルキル、HetまたはArであり;
R6はW−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−V−であり;
R7は−COR8、−COCR'2R9、−C(S)R8、−S(O)mOR'、−S(O)
mNR'R"、−PO(OR')、−PO(OR')2、−B(OR')2、−NO2およびTe
tであり;
R8は−OR'、−NR'R"、−NR'SO2R'、−NR'OR'、−OCR'2C
O(O)R'、−OCR'2OC(O)−R'、−OCR'2C(O)NR'2、CF3または
AA1であり;
R9は−OR'、−CN、−S(O)rR'、−S(O)mNR'2、−C(O)R'、C(
O)NR'2または−CO2R'であり;
R10はH、C1-4アルキルまたは−NR'R"であり;
R11はH、ハロ、−OR12、−CN、−NR'R12、−NO2、−CF3、CF3
S(O)r−、−CO2R'、−CONR'2、Q−C0-6アルキル−、Q−C1-6オキ
ソアルキル−、Q−C2-6アルケニル−、Q−C2-6アルキニル−、Q−C0-6ア
ルキルオキシ−、Q−C0-6アルキルアミノ−またはQ−C0-6アルキル−S(O)
r−であり;
R12はR'、−C(O)R'、−C(O)NR'2、−C(O)OR15、−S(O)mR'ま
たは−S(O)mNR'2であり;
R13はR'、−CF3、−SR'または−OR'であり;
R14はR'、C(O)R'、CN、NO2、SO2R'またはC(O)OR15であり;
R15はH、C1-6アルキルまたはAr−C0-4アルキルであり;
R'はH、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキルまたはAr−
C0-4アルキルであり;
R"はR'、−C(O)R'または−C(O)OR15であり;
R"'はR"またはAA2であり;
AA1は、アミノ基を介して結合し、所望により保護されていてもよいカルボ
キシル基を有するアミノ酸であり、AA2はカルボキシル基を介して結合し、所
望により保護されていてもよいアミノ基を有するアミノ酸であり;
UおよびVは存在しないか、またはCO、CR'2、C(=CR'2)、S(O)n、
O、NR'、CR'OR'、CR'(OR")CR'2、CR'2CR'(OR")、C(O)C
R'2、CR'2C(O)、CONR'、NR'CO、OC(O)、C(O)O、C(S)O、
OC(S)、C(S)NR'、NR'C(S)、S(O)nNR'、NR'S(O)n、N=N、
NR'NR'、NR'CR'2、CR'2NR'、CR'2O、OCR'2、C≡CまたはC
R'=CR'であり(たたし、UおよびVは同時に存在しないことはない);
WはR'R"'N−、R'R"NR'N−、R'R"NR'NCO−、R'2NR'NC
XはN=CR'、C(O)またはOであり;
Yは不在、SまたはOであり;
Zは(CH2)t、Het、ArまたはC3-7シクロアルキルであり;
mは1または2であり;
nは0〜3であり;
pは0または1であり;
qは0〜3であり;
rは0〜2であり;
sは0〜2であり;および
tは0〜2を意味する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
本発明はまた、本発明の化合物の医薬上許容される付加塩、複合体またはプロ
ドラッグを包含する。プロドラッグは、in vivoで式(I)に係る活性な親薬剤
を放出する共有結合したキャリアーと考えられる。
本発明の化合物が1またはそれ以上のキラル中心を有する場合、特に記載しな
い限り、本発明は常套手段により合成され、分割される各独自の非ラセミ化合物
を包含する。化合物が不飽和の炭素−炭素二重結合を有する場合、シス(Z)お
よびトランス(E)異性体は共に本発明の範囲内にある。化合物が互変異性体、
例えば、
ならびに、
体にて存在する場合、互変異性体が、各々、平衡状態であっても、またはR'の
適当な置換により1つの形態に固定されていても、本発明に含まれると考えられ
る。特に記載しない限り、いずれかある場合に置換基の意味するものは、いずれ
か他の場合にその意味するものまたは他の置換基の意味するものとは別個独立し
ている。
式(I)に関して、適当には、
A1はCR1R1'、CR1、NR1、N、OまたはS(O)xであり;
A2はCR2R2'、CR2またはNR2であり;
A3はCR3R3'、CR3またはNR3であり
A4はCR4R4'、CR4、NR4、N、OまたはS(O)xであり;
D1−D4はCR11、CR6またはNであり;
Rは(CR14R15)u−(T)v-(CR16R17)w−R7−または=CR'−(T)v−
(CR16R17)w−R7(ここに、TはCR16R17−CR16R17、CR'=CR'また
はC≡Cであり、R16およびR17はR'、OR'であるかまたは一緒になって=O
である;ただし、R16およびR17が同じ炭素に結合している場合、それらは同時
にOR'であることはない)であり;
R1およびR1'はR*またはRであるか、あるいは一緒になって=Oであり;
R2およびR2'はR*、Rまたは=Oであり;
R3およびR3'はR*、Rまたは=Oであり;
R4およびR4'はR*、Rまたは=Oであり;
R6はW−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r−U−(CR'2)sであり;
xは0〜2であり:および
u、vおよびwは、0または1である。
さらに適当には、A1はCR1R1'、CR1、NR1、N、OまたはSであり;A2
はCR2R2'、NR2またはCR2であり;A3はCR3R3'、NR3またはCR3;
A4はCR4R4'、CR4、NR4またはNであり;D1およびD4はCHであり;D2
またはD3はCR6であり;R2はRであり;R1、R1'およびR3、R3'は=Oま
たはR*、Hであり;R4、R4'はR*、Hであり;R6はW−(CR'2)q−Z−(C
R'R10)r−Uであり、およびvは0である。
好ましくは、A1はCR1R1'またはCR1であり;A2はCR2、CR2CR2'ま
たはNR2であり;A3はCR3R3'であり;A4はCR4R4'またはNR4であり;
D1およびD4はCHであり;およびD2またはD3はCR6である。
好ましくは、D2およびD3の一方はCR6であり、他方はCHである。
適当には、(CR'R10)r−U−(CR'2)s−Vは、CO、CONR'、NR'C
O、CH2CHOH、CHOHCH2、CH2CH2、CH2O、OCH2、CH=C
H、C≡C、CH2CH=CH、(CH2)2O、CH2CONR'、CONR'CH2
、CH(NR'R")CONR'、CH2CH2NR'CO、CONR'CHR'CH2、
CH2NR'CO2CH2、CONR'CH2CO、CONR'CH2CHOH、CH=
CHCONR'、(CH2)3O、NR'CO2CH=CHまたはSO2NR'CHR'C
H2である。
一の具体例において、A1はC=Oであり、A2はNR2であり、A3はCR3R3
'であって、A4はCR4R4'である。
さらに詳細な具体例において、A1はC=Oであり;A2はNR2であり;A3は
CR3R3'であり;A4はCR4R4'であり;R2はCH2CO2HまたはCH2CH2
CO2Hであり;R3、R3'はH、Hであり;R4、R4'はH、Hであり;Zはフ
ェニルであり;6員環Hetまたは(CH2)tであり;WはR'2N、
(CR'R10)r−U−(CR'2)s−Vは(CR'R10)r−U−または−U−(CR'2)s
(例えば、Vは不在であって、sおよびrの一方が0である)(ここに、UはC
H(NR'R")CONH、NR'CO、CONR'、CR'=CR'、C=CNO、C
OまたはCH2である)である。
代表的な本発明の化合物は、式(II)−(III)により示される:
一般に、R2は(CH2)1-3−R7である。R1およびR4はH、C1-6アルキル、
C1-4シクロアルキル、Ar−C0-4アルキルおよび=O(所望により、アルキル
上、1または2個のR11により置換されていてもよい)から選択される。一般に
、R1'−R4'はHであるか、またはそのジェミナル置換基と一緒になって=Oで
ある。
好ましくは、R1およびR1'は=Oである。
好ましくは、R2はR7、CH2−R7またはCH2CH2−R7である。より好ま
しくは、R2はCH2−R7またはCH2CH2−R7である。最も好ましくはR7は
CO2Hである。
好ましくは、R3およびR3'はHまたはC1-6アルキルである。
好ましくは、R4はH、C1-6アルキル、Ar−C1-4アルキル、C3-6シクロア
ルキル−C1-4アルキル、CH2CO2HまたはCH2CH2CO2Hであり、R4'は
Hである。
適当には、(CR'R10)r−U−(CR'2)s−Vは、(CR'R10)r−U−または
−U−(CR'2)sである。
好ましくは、(CR'R10)r−U−(CR'2)s−Vは、(CH2)0-2NR'CO、(
CH2)0-2CONR'、(CH2)0-2CO、(CH2)0-2CH=CH、(CH2)0-2C≡
C、(CH2)1-3Oまたは(CH2)1-5である。さらに好ましくは、(CR'R10)r−
U−(CR'2)s−Vは、(CH2)0-2NR'COまたは(CH2)0-2CONR'であり
、R'はHまたはメチルである。好ましくは、R'はメチルである。
好ましくは、Zはフェニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたは(CH2)tであ
る。適当には、tは1である。
好ましくは、WはR"R'N−、R"R'NC(=NH)またはR"R'NC(=N
ことが好ましい。
R6の個々の例は:
R"HNC(=NH)NH−(CH2)3(CHR10)−U、およびR"HN−(CH2)5−
U(ここに、EはNまたはCHであり、R20は水素、アミノ、モノまたはジ−C1-4
アルキルアミノ、ヒドロキシまたはC1-4アルキルであり、およびUはNR'
CO、CONR'、(CH2)CO、CH=CH、CH2O、OCH2および(CH2)2
である)。
R6の好ましい具体的例示は:
(ここに、R'はHまたはC1-4アルキルである)。好ましくは、R'はメチルで
あり、R"はHである。
本発明の好ましい化合物は:
7−[4−アミジノベンズアミド]−2−カルボキシメチル−1,2,3,4−
テトラヒドロイソキノリン−1−オン、
7−[4−アミジノベンズアミド]−2−カルボキシエチル−1,2,3,4−
テトラヒドロイソキノリン−1−オン、および
7−[4−アミジノベンズアミド]−2−カルボキシメチル−1,2,3,4−
テトラヒドロイソキノリン−3−オン;
またはその医薬上許容される塩である。
本発明の最も好ましい化合物は、7−[4−アミジノベンズアミド]−2−カ
ルボキシメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オンまたはそ
の医薬上許容される塩である。
前記式(I)の記載において、好ましくは、A1ないしA4のうち1個または2
個だけがRにより置換されており、D1ないしD4のうち1個だけがR6により置
換されている。Wは水素結合を形成できる窒素含有基を表わす。好ましくは、W
は塩基性窒素基である。R7は水素結合の形成能を有するかまたは金属カチオン
とのキレート能を有する非結合電子対を有する基を表わす。好ましくは、R7は
酸性である。最短の分子内経路を通して10〜15個(最も好ましくは、約13
個)の介在する共有結合がR7基およびWの末端塩基性窒素部分の間に存在して
これらの基の間に最適の間隔が生じるのが好ましく、T、U、VおよびZ基およ
びq、r、s、u、vおよびwにより表わされるアルキルスペーサーはそれに応
じて選択される。例えば、例示であって、限定するものではないが、R2または
R3の一方が(CH2)2CO2H、または好ましくはCH2CO2Hであり、R6が1,
2,3,4−テトラヒドロイソキノリノンの6−または7−位にある置換基であっ
て、W−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r−U−(例えば、sが0で、Vが不在で
窒素複素環)であり、Zが(CH2)tであって、UがNR'CO、CONR'、CH2
O、OCH2、CH2CH2、CR'=CR'またはC≡C(「群1」)から選択さ
れる場合、適当には、q+t+rは1ないし3、好ましくはq+t+rは1
ージ置換)であって、UがO、CH2またはCOである場合、qおよびrは0で
あることが好ましく;WがH2N−であり、Zが(CH2)tであって、Uが前記し
た群1から選択される場合、q+t+rは4ないし6、好ましくは5であり;W
がH2N−であり、Zが6員のArまたはHet環である場合、適当にはq+t+r
は0ないし2、好ましくは1であり;WがH2NC(=NH)−であり、Zが(C
H2)tであって、Uが群1から選択される場合、適当にはq+t+rは3ないし
5、好ましくは4であり;WがH2NC(=NH)−であり、Zが6員のArまた
はHet環である場合、適当にはq+rは0または1、好ましくは0である。
ペプチドおよび化学の分野で通常用いられる略語および記号を本明細書におい
て用い、本発明の化合物を記載する。一般に、アミノ酸略語は、IUPAC−I
UB Joint Commission on Bichemical Nomennclature(ヨーロピアン・ジャー
ナル・オブ・バイオケミストリー(Eru.J.Biochem.),158,9(1984)
に記載)に従う。
Argはアルギニンをいい、MeArgはNα−メチル−アルギニンをいい、HAr
gはホモアルギニンをいい、NArgはノルアルギニンをいい、(Me2)ArgはN',
N"−ジメチルアルギニンをいい、(Et2)ArgはN',N"−ジエチルアルギニンを
いい、Ornはオルニチンをいう。これらのラジカルは、R6置換基の適当な成分
である。これらのアミノ酸のNα−置換誘導体も本発明において有用である。α
−置換誘導体の代表的製法は、米国特許第4,687,758号;チェン(Cheung
)ら、カナディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Can.J.Chem.),55
,906(1977);フライディンガー(Freidinger)ら、ジャーナル・オブ
・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),48,77,(1982);
およびシュマン(Shuman)ら、ペプタイズ(PEPTIDES):第7回アメリカ合衆国
ペプチドシンポジウムの議事録(PROCEEDINGS OF THE 7TH AMERICAN PEPTIDE SY
MPOSIUM),リッチ・デイ、グロス・イー編(Rich.D.,Gross,E.,Eds)、ピアス
・ケミカル・コーポレイション(Pierce Chemical Co.)、ロクフォード(Rockf
ord)、イリノイ州.617(1981)に記載されており、その内容を出典明
示により本明細書の一部とする。
本明細書において用いるC1-4アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、
イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびt−ブチルを包含することを意図
とする。C1-6アルキルはさらに、ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネ
オペンチルおよびヘキシルおよびその単純な脂肪族異性体を包含する。C0-4ア
ルキルおよびC0-6アルキルはさらにアルキル基が存在する必要がない(例えば
共有結合が存在する)ことも意味する。
本明細書において用いるC2-6アルケニルは、炭素数2〜6のアルキル基であ
って、1個の炭素−炭素単結合が1個の炭素−炭素二重結合に置き換わっている
ものを意味する。C2-6アルケニルは、エチレン、1−プロペン、2−プロペン
、
1−ブテン、2−ブテン、イソブテンおよび数種のペンテンおよびヘキセンの異
性体を包含する。シスおよびトランスの両異性体も含まれる。
C2-6アルキニルは、炭素数2〜6のアルキル基であって、1個の炭素−炭素
単結合が1個の炭素−炭素三重結合に置き換わっているものを意味する。C2-6
アルキニルは、アセチレン、1−プロピン、2−プロピン、1−ブチン、2−ブ
チン、3−ブチンおよびペンチンおよびヘキシンの単純な異性体を包含する。
C1-4オキソアルキルは、CH2基がC(O)またはカルボニル基で置き換わって
いる4個までの炭素原子を有するアルキル基をいう。置換ホルミル、アセチル、
1−プロパナール、2−プロパノン、3−プロパナール、2−ブタノン、3−ブ
タノン、1−および4−ブタナール基が代表的である。C1-6オキソアルキルは
、さらに炭素数の多い類似体およびカルボニル基で置換された5および6個の炭
素原子の異性体を包含する。C3-6オキソアルケニルおよびC3-6オキソアルキニ
ルは、CH2基がC(O)基で置き換わっているC3-6アルケニルまたはC3-6アル
キニル基をいう。C3-4オキソアルケニルは、1−オキソ−2−プロペニル、3
−オキソ−1−プロペニル、2−オキソ−3−ブテニルなどを包含する。
C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニルまたはC1-6オキソアルキ
ル基上の置換基、例えばR11は、安定な構造をもたらすいずれの炭素原子上にあ
ってもよく、通常の合成技術により利用可能である。
Q−C1-6アルキルは、いずれかの位置において炭素−水素結合が、炭素−Q
結合と置換しているC1-6アルキル基をいう。Q−C2-6アルケニルおよびQ−C2-6
アルキニルは、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルに関するのと同様の
意味を有する。
本明細書において用いるAr、またはアリールは、フェニルまたはナフチル、
または1〜3個のR11基で置換されたフェニルまたはナフチルを意味する。特に
、R11はC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、トリフルオロ
アルキル、OH、Cl、BrまたはIである。
Hetまたは複素環は、窒素、酸素および硫黄の群から選択される1〜3個のヘ
テロ原子を含有する、所望により置換されていてもよい5または6員の単環式環
または9また10員の二環式環を意味し、安定で、通常の化学合成により利用可
能である。代表的な複素環は、ベンゾフリル、ベンズイミダゾール、ベンゾピラ
ン、ベンゾチオフェン、フラン、イミダゾール、インドリン、モルホリン、ピペ
リジン、ピペラジン、ピロール、ピロリジン、テトラヒドロピリジン、ピリジン
、チアゾール、チオフェン、キノリン、イソキノリン、およびテトラーおよびペ
ルヒドロキノリンおよびイソキノリンである。Zについての好ましい複素環は、
ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピリジンおよびピリジンのような1また
は2個の窒素を含有する6員環式複素環である。化学合成により利用可能であり
、安定している、Het環上、R11から選択されるような3個までの置換基のいず
れか可能な組み合わせは本発明の範囲に含まれる。Z基についての好ましい複素
環は、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピリジンおよびピリジンのような
1または2個の窒素を含有する6員の単環式複素環である。
C3-7シクロアルキルは3〜7個の炭素原子を有する所望により置換されてい
てもよい炭素環系をいい、2個までの不飽和炭素−炭素結合を含有していてもよ
い。典型的なC3-7シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロ
ペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニルおよびシクロ
ヘプチルである。通常の化学合成により得ることができ、安定な、シクロアルキ
ル環上のR11から選択されるような3個までの置換基のいずれの組み合わせも本
発明の範囲に含まれる。
本明細書にいうところの可能な置換6員環は、飽和または不飽和の6員環であ
って、(i)4個までのRまたはR*のような置換基を有し、ここに置換基は安定
構造をもたらすいずれの原子またはヘテロ原子上にあってもよく、(ii)N、O
およびSの群から選択される2個までのヘテロ原子を含有し、ここにSおよびN
は所望により酸化されていてもよく、(iii)安定しており、2個の隣接する環
炭素原子を介して、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニルまたはピリ
ミジニル環に縮合した形態にて当業者が合成できる6員環をいう。典型的な可能
な6員環は、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンおよびチオ
モルホリンのような通常の飽和および不飽和環である。好ましくは、7員環中の
2
つの隣接する原子が同時にヘテロ原子であることはない。
本明細書にいうところの可能な置換芳香族6員環は、不飽和(例えば、芳香族
)6員環であって、(i)R6およびR11から選択されるような1〜3個の置換基
を有し、(ii)所望により2個までの窒素を含有してもよく、(iii)2個の隣
接する炭素原子を介して可能な置換6員環に縮合し、(iv)安定しており、当該
分野における当業者が製造できるものをいう。典型的な可能な芳香族6員環は、
フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニルまたはピリミジニル環である。
可能な芳香族6員環および6員環の組み合わせによって形成される代表的な二環
式環は:テトラリン、キノリン、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、イ
ソキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、キナゾリン、
ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、3,4−ジヒドロ−2H−1,4
−ベンズオキサジン、および3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジンで
ある。フェニルが好ましい可能な芳香族6員環であり、ピペリジンが好ましい可
能な6員環である。かくして、好ましい環系は1,2,3,4−テトラヒドロイソ
キノリン系である。
A1−A4に関して、CR1R1'−CR4CR4'およびNR1−NR4は、各々、飽
和したsp3の炭素および窒素原子であり、R1/R1'、R2/R2'、R3/R3'お
よびR4/R4'が環外二重結合(例えば、=Oまたはアルキレン側鎖のような)
を表わす場合、CR1R1'−CR4R4'はまたsp2炭素原子を表わすことを除い
て、隣接する環原子に単結合する。さらには、A1−A4に関して、CR1−CR4
およびNが、不飽和sp2炭素または窒素原子を表わし、環内二重結合により環
中の隣接原子に結合し、そのような配置を取ることで、安定した化合物の形成が
得られることが認識されるであろう。
原子と酸素および硫黄から選択される1個のヘテロ原子を含有し、安定な構造を
もたらすいずれかの元素上で置換されていてもよい、飽和または不飽和の、安定
な5、6または7員の単環式環、または7または10員の二環式環である窒素系
複素環をいう。このような環中の窒素原子は置換され、その結果、第四級窒素を
形成してもよい。窒素系複素環は、いずれか安定な位置にて、R20、例えば、H
、C1-4アルコキシ、F、Cl、Br、I、NO2、NR'2、OH、CO2R'、CO
NHR'、CF3、Q−C0-4アルキル、Q−C1-4アルキル-S(O)u(例、uは
0、1または2である)またはC1-4アルキル(前記したいずれかの置換基
ン、ピロリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、
ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピリジン、
ピリジニウム、テトラヒドロピリジン、テトラヒドロ−およびヘキサヒドロ−ア
ゼピン、キヌクリジン、キヌクリジニウム、キノリン、イソキノリン、およびテ
は、ピリジル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼチジニル、ク
は、4−ピリジル、4−(2−アミノ−ピリジル)、4−テトラヒドロピリジル
、4−ピペリジニルまたは4−ピペラジニルである。
本明細書にいうところのAA1は、所望により保護されていてもよいカルボキ
シル基を有するアミノ酸であって、該アミノ酸は天然α−アミノ酸またはペニシ
ラミンのいずれであってもよい。保護されていないカルボキシル基は、遊離カル
ボン酸基である。カルボキシルに関する保護基は、例えば、カルボキシ基のOH
がR8により置換された場合に形成されるエステルまたはアミドである。AA2
は所望により保護されていてもよいアミノ基を有する前記のアミノ酸である。例
えば、アミノ基がR12で置換されている場合、アミノ保護基は当該分野において
周知である。保護されていないアミノ基は遊離NH2基である。
C(O)は酸素に二重結合した炭素(例えばカルボニル)をいい、C(S)は硫黄
に二重結合した炭素(例えばチオカルボニル)をいう。
t−Buは第3ブチル基をいい、Bocはt−ブチルオキシカルボニル基をいい
、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニル基をいい、Phはフェニル基をいい、
Cbzはベンジルオキシカルボニル基をいい、BrZはo−ブロモベンジルオキシ
カルボニル基をいい、ClZはo−クロロベンジルオキシカルボニル基をいい、
Bzlはベンジル基をいい、4−MBzlは4−メチルベンジル基をいい、Meはメ
チルをいい、Etはエチルをいい、Acはアセチルをいい、AlkはC1-4アルキル
をいい、Nphは1−または2−ナフチルをいい、cHexはシクロヘキシルをいう
。MeArgはNα−メチルアルギニンである。Tetは5−テトラゾリルをいう。
DCCはジシクロヘキシルカルボジイミドをいい、DMAPはジメチルアミノ
ピリジンをいい、DIEAはジイソプロピルエチルアミンをいい、EDCはN−
エチル−N'(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドをいう。HOBtは1−
ヒドロキシベンゾトリアゾールをいい、THFはテトラヒドロフランをいい、D
IEAはジイソプロピルエチルアミンをいい、DMFはジメチルホルムアミドを
いい、NBSはN−ブロモ−スクシンイミドをいい、Pd/Cは炭素上パラジウ
ム触媒をいい、PPAは1−プロパンホスホン酸環状無水物をいい、DPPAは
ジフェニルホスホリルアジドをいい、BOPはベンゾトリアゾール−1−イルオ
キシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートをい
い、HFはフッ化水素酸をいい、TEAはトリエチルアミンをいい、TFAはト
リフルオロ酢酸をいい、PCCはクロロギ酸ピリジニウムをいう。
式(I)の化合物は、一般に、式(IV)の化合物を式(V)の化合物と反応さ
せ:
[式中、D1−D4およびA1−A4、RおよびR*は式(I)において定義したと
おりであり、反応性官能基はいずれも保護されており;
L1およびL2は反応して−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−V−結合の形成能
を有する官能基であり;
R6"はW−(CR'2)q−Z−およびL2に結合している−(CR'R10)r−U−(
CR'2)s−V−の一部であり、いずれの反応性官能基も保護されている]その後
、保護基を除去し、所望により医薬上許容される塩を形成させることにより製造
する。
L1およびL2の完全な一致は、形成される結合の部位に依存することは明らか
であろう。−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−V−結合を調製する一般的方法は
、例えば、出典明示により本明細書の一部とする、EP−A 0 372 486
およびEP−A 0 381 033およびEP−A 0 478 363に記載され
ている。
例えば、VがCONHである場合、L1は−NH2であり、L2はOH(酸中の
)またはCl(酸塩化物中の)であり、R6"はW−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r
−U−(CR'2)s−C(O)であってもよく、いずれの官能基も所望により保護さ
れていてもよい。例えば、R6"は(ベンジルオキシカルボニルーアミジノ)ベン
ゾイル−または(Nα−Boc,Nguan−Tos)アルギニル−である。L2がOHで
ある場合、カップリング剤を用いる。
同様に、VがNHCOである場合、L1は−CO2HまたはCO−Clであり、
L2は−NH2であり、R6"はW−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r−U−(CR'2)s
−であってもよい。例えば、R6"は(ベンジルオキシカルボニルアミジノ)フェ
ニル−、(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチルベンジル−または6−(ベ
ンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキシル−である。
VがNHSO2である場合、L1はSO2Clであり、L2は−NH2であり、R6"
は前記のとおりであってもよい。VがSO2NHである場合、L1は−NH2−で
あり、L2はSO2Clであってもよい。このような塩化スルホニルの調製法は、
例えば,ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),2
3,1257(1958)に開示されている。
VがCH=CHである場合、L1は−CHOであり、L2はCH=P−Ph3であ
り、R6"はW−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−であってもよい
。別法として、L1がCH=PPh3であり、L2がCHOであって、例えば、R6"
はW−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r−U−(CR'2)s-1−CHOであってもよい
。
VがCH2CH2である化合物は、VがCH=CHである適当に保護された化合
物を還元することにより得られる。
VがCH2O、CH2NまたはC≡Cである場合、L1は、各々、−OH、−N
Hまたは−C≡CHであり、L2は−Brであり、R6"はW−(CR'2)q−Z−(C
R'R10)r−U−(CR'2)s−であってもよい。例えば、R6"は(ベンジルオキシ
カルボニルアミノ)−メチルベンジル−または2−(N−ベンジル−4−ピペリ
ジニル)−エチルであってもよい。同様に、UまたはVがOCH2、NR'CH2
である場合、L1は−CH2Brであり、L2は、各々、−OH、−NHまたは−H
である。また、UまたはVがC≡Cである場合、L1はBr、IまたはCF3SO3
であり、L2はC≡CHであって、パラジウムおよび塩基を用いてカップリンク
を触媒作用に付してもよい。
VがCHOHCH2である化合物は、適当に保護された、VがCH=CHであ
る化合物から、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.
),54,1354(1989)に記載されている方法より製造される。
VがCH2CHOHである化合物は、適当に保護された、VがCH=CHであ
る化合物から、テトラヘドロン・レターズ(Tet.Lett.),31,231(19
90)に記載されているようにホウ水素化および塩基性酸化に付すことにより得
られる。
式(IV)の化合物(A2またはA3の一方が窒素である)はテトラヒドロイソキ
ノリンであり、スキーム1−2に示す一般的方法により製造される。テトラヒド
ロイソキノリンの代表的製法は、当該分野において周知である(例えば、カメタ
ニおよびフクモト(KametaniおよびFukumoto)、イソキノリンズ(Isoquinoline
s)、ジー・グレス(G.Grethe)編、ウィリー・インターサイエ
ンス(Wiley-Interscience)、ニューヨーク、1981、p.139およびギル
クリスト(Gilchrist)、ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Ch
emistry)、ピトマン・パブリッシング(Pitman Publishing)、ロンドン、19
85、p.272)。スキーム中、R1"−R7"はR1−R7またはその適当な先駆
体をいい、ここにいずれの官能基も当該分野において知られているように保護さ
れている。
スキームIは、化合物(A1がC=O、A2がNR2、A3がCH2、A4がCH2
である)の製法を提供する。一般に、フェネチルアミンで合成を開始する。出発
物質を、テトラヒドロフランのような適当な溶媒中、トリエチルアミンのような
塩基の存在下、例えば、クロロメチルホルマートでアシル化し、式(1)の化合
物を得る。酸性条件下、例えば、高温、好ましくは約140℃でポリリン酸を用
いて(1)を環化し、式(2)で示される1,2,3,4−テトラヒドロイソキノ
リン−1−オン環系を形成させる。式(2)の化合物を、例えば、硫酸中、硝酸
カリウムを用いてニトロ化する。ついで、テトラヒドロイソキノリン−1−オン
の窒素をアルキル化する。R2基が−CH2CO2C1-4アルキルである化合物の場
合、式(3)の化合物を、テトラヒドロフランのような適当な溶媒中、水素化ナ
トリウム、リチウムまたはカリウム、好ましくは水素化ナトリウムのような塩基
の存在下、ブロモ酢酸メチルのようなハロ酢酸C1-4アルキルと反応させる。R2
基が−CH2CH2CO2C1-4アルキルである化合物の場合、式(3)の化合物を
、メタノールのような適当な溶媒中、ナトリウムメトキシドのような塩基の存在
下、アクリル酸メチルのようなC1-4アルキルアクリレートと反応させる。例え
ば、炭素上パラジウム触媒での水素添加に付してニトロ基を選択還元し、式(5
)のアミン化合物を得、それを適宜保護されたカルボン酸、R6"−OH、例えば
、4−Cbz−アミジノ安息香酸でアシル化/カップリングさせる。アミノ基とR6
"−OH(ここに、R6"は式(V)における記載と同じである)の縮合を、ジメ
チルホルムアミドのような適当な溶媒中、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールお
よび塩基(例、ジイソプロピルエチルアミン)の存在下、水溶性カルボジイミド
のようなアミド形成剤の存在下で行う。保護基、例えばアミノまたはカルボキシ
基についての保護基は、当該分野における公知方法により選択的に除去される。
例えば、窒素原子上のCbz−基は、エーテル性塩酸/メタノールのような酸性溶
媒中、炭素上パラジウムのような触媒の存在下、水素添加により除去し、カルボ
ン酸基上のC1-4アルキルエステルを、水/メタノールのような適当な溶媒系中
、塩基、例えば、水酸化ナトリウムを用いてケン化することで除去してもよい。
スキームIIは化合物(A1はCH2、A2はNR2、A3はC=Oであって、A4は
CH2である)の製法を提供する。スキームIIによれば、式(9)の化合物であ
るイソクロマン−3−オンを、メタノルのような適当な溶媒中、トリエチルアミ
ンのような塩基の存在下、グリシンC1-4アルキルエステル(例、グリシンメチ
ルエステル)と反応させて式(10)の化合物を得る。(10)を、例えば、テ
トラヒドロフランのような適当な溶媒中、トリフェニルホスフィンおよびジエチ
ルアゾジカルボキシレートを用いて環化し、式(11)で示される1,2,3,4
−テトラヒドロイソキノリン−3−オン環系を形成する。ついで、スキームIに
詳細に記載されているようにニトロ化、還元、アシル化および脱保護工程に付し
て式(12)の化合物を得る。その化合物はまた式(I)の化合物でもある。
本明細書にて用いるカップリング剤は、ペプチド結合を形成するのに用いるこ
とができる試薬をいう。典型的なカップリング方法は、カルボジイミド、活性化
無水物およびエステルならびにハロゲン化アシルを用いる。EDC、DCC、D
PPA、PPA、BOP試薬、HOBt、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび
塩化オキサリルのような試薬が典型的である。
ペプチド結合を形成するカップリング方法は、一般に、当該分野において周知
である。一般に、ボダンスキー(Bodansky)ら、ザ・プラクティス・オブ・ペプ
チド・シンセシス(THE PRACTICE OF PEPTIDE SYNTHESIS)、スプリンガー−バ
ーラグ(Springer-Verlag)、ベルリン、1984;アリ(Ali)ら、ジャーナル
・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、29、984(198
6)およびジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー、30、2291(
1987)に記載のペプチド合成方法が該技法の代表的なものであり、それを出
典明示により本明細書の一部とする。
アミドまたはペプチド結合を形成するための溶液合成は、アミド結合を形成す
るのに用いられる一般方法を利用して行われる。典型的には、アミンまたはアニ
リンを遊離アミノ基を介して適当なカルボン酸基質に、適当なカルボジイミドカ
ップリング剤、例えば、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を
用いて、所望により触媒、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt
)およびジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下にカップリングさせる。
他の方法、例えば適宜保護した酸基質の遊離カルボキシルの活性化エステル、無
水物または酸ハロゲン化物を形成させ、その後、適宜保護したアミンの遊離アミ
ンを、所望により塩基の存在下で反応させる方法もまた適当である。例えば、保
護したBoc−アミノ酸またはCbz−アミジノ安息香酸を、塩化メチレンまたはテ
トラヒドロフラン(THF)などの無水溶媒中、N−メチルモルホリン、DMA
Pまたはトリアルキルアミンなどの塩基の存在下、クロロギ酸イソブチルで処理
して「活性化無水物」を形成させ、これを続いて別の保護したアミノ酸またはア
ニリンの遊離アミンと反応させる。
式(V)の化合物は、市販の物質から常套手段により調製される。Wは、一般
に、所望によりアルキル鎖を介して、Zに結合した塩基性官能基であり、R6の
合成の間、保護されるか、または−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−V−結合が
形成された後に分子中に導入される。例えは、式(XII)または式(I)の化合
物(式中、Wは適宜置換されたR'R"N−、R"R'NC(=NR')、R'2N(R13
)
C=N−、R"N=(R13)C−NR'−、R'2N(R'2N)C=N−またはR"R'N
(R'N=)C−NR'である)はEP−A0 372 486、EP−A0 381
033またはEP−A0 478 363(その開示を出典明示により本明細書の
一部とする)に開示されている方法を含む常套手段により調製される。
8 363に開示されている方法により調製される。
WがR'2N(R'2N)C=N−X−またはR"R'N(R'N=)C−NR'−X−、
XがOである化合物は、とりわけ、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミスト
リー(J.Org.Chem.)、51、5047(1986)に開示されている方法によ
り製造される。
WがR'2N(R'2N)C=N−X−またはR"R'N(R'N=)C−NR'−X−、
XがN=CR'である化合物は、とりわけ、米国特許第3,714,253号およ
びヨーロピアン・ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリー−シミー・セラ
ピューテックス(Eur.J.Med.Chem.−Chim.Ther.)、20、25(1985)に
開示されている方法により製造される。
WがR'2N(R'2N)C=N−X−またはR"R'N(R'N=)C−NR'−X−、
XがC(O)である化合物は、とりわけ、米国特許第3,714,253号およびカ
ナディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Can.J.Chem.)、43、310
3(1965)に開示されている方法により製造される。
WがR'ONR'C(=NR')−である化合物は、とりわけ、ジャーナル・オブ
・ヘテロサイクリック・ケミストリー(J.Het.Chem.)、16、1063(19
79)またはジャーナル・オブ・ヘテロサイクリック・ケミストリー、26、1
25(1989)に開示されている方法により製造される。
WがR'2NR'NC(=NR')−である化合物は、シンセシス(Syn.)、583
(1974)に開示されている方法を含む常套手段により製造される。
WがR'R"NR'N−である化合物は、とりわけ、ジャーナル・オブ・プラク
ティカル・ケミストリー(J.Prakt.Chem.)、36、29(1967)に開示さ
れている方法により製造される。
WがR'R"NR'NCO−である化合物は、とりわけ、ビュレティン・オブ・
ケミカル・ソサイエティ・ジャパン(Bull.Chem.Soc.Jpn.)、43、2257(
1970)に開示されている方法により製造される。
WがR"R'NC(=NR')Y、YがSである化合物は、とりわけ、ケミカル・
レターズ(Chem.Lett.)、1379(1986)に開示されている方法により製
造される。
式(V)または式(I)の化合物(式中、WはR"R'NC(=NR')Y、Yは
Oである)は日本国特許第2022751号に開示されている方法を含む常套手
段により製造される。
式(V)の有用な中間体は、式:W'−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r−U−(
CR'2)s−L2(式中、Z、R'、R"、R10、U、q、rおよびSは式(I)に
おける記載と同意義であり;L2はCHO、CO2R'、OH、CI、Br、I、C
H2−TまたはNR'R"(TはCF3SO3、OH、NHR"、Cl、BrまたはIで
ある);およびW'は前記したように保護された反応性塩基性窒素基を有するW
を意味する)の化合物を包含する。R'SO2、R'OCOおよびR'CO(例、T
os、Boc、Cbzまたはアセチル)が典型的な窒素保護基である。かかる中間体の
個々の例は:
ここに、EはNまたはCHであり、R20は水素、アミノ、モノもしくはジ−C1- 4
アルキルアミノ、ヒドロキシまたはC1-4アルキルである。
各合成フラグメントの側鎖の反応性官能基は当該分野において公知のように適
宜保護される。適当な保護基は、グリーン(Greene)、「有機化学における保護
基」(PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC CHEMISTRY),ジョン・ウィリー・アンド
・サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク、1981)に記載されてい
る。例えば、Boc、Cbz、フタロイルまたはFmoc基はアミノまたはアミジノ基
の保護に用いられる。Boc基が、一般に、α−アミノ基の保護について好ましい
。t−Bu、cHexまたはベンジルエステルがカルボキシル側鎖の保護に用いられ
る。ベンジル基または適宜置換されたベンジル基(例、4−メトキシベンジルま
たは2,4−ジメトキシベンジル)を用い、メルカプト基またはヒドロキシル基
を保護する。トシル基がグアニジノ基の保護のためのイミダゾリル基およびトシ
ルまたはニトロ基の保護に用いられる。適宜置換されたカルボベンジルオキシ基
またはベンジル基もまた、ヒドロキシル基またはアミノ基について用いられる。
カルボベンジルオキシまたはベンジル保護基の適当な置換は、クロロ、ブロモ、
ニトロまたはメチルでのオルトおよび/またはパラ置換であり、保護基の反応性
を修飾するために用いられる。Boc基を除いて、アミノ基についての保護基は、
最も好都合には、穏やかな酸処理によって除去されないものである。これらの保
護基は、当該分野において知られているように、接触水素添加、ナトリウム/液
体アンモニアまたはHFの処理などの方法により除去される。
特に二環系の6員環上のアミノ基の修飾は、当該分野にて一般に知られている
ように、アルキル化、スルホニル化、シアノ化またはアシル化により行われる。
本発明の化合物の酸付加塩は、親化合物および過剰な酸、例えば、塩酸、臭化
水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸またはメタンスルホン酸か
ら、適当な溶媒中、標準的方法で製造される。酢酸塩の形態が特に有用である。
ある種の化合物は、許容できる内部塩または双性イオンを形成する。カチオン性
塩は、親化合物を、適当なカチオンを含有する水酸化物、炭酸塩またはアルコキ
シドのような過剰なアルカリ試薬;または適当な有機アミンで処理することによ
り製造される。Li+、Na+、K+、Ca++、Mg++、NH4 +のようなカチオンは医
薬上許容される塩において存在するカチオンの例である。
本発明は、式(I)の化合物および医薬上許容される担体からなる医薬組成物
を提供する。したがって、式(I)の化合物は医薬の製造において用いられる。
前記したように製造した式(I)の化合物の医薬組成物を非経口投与用の溶液ま
たは凍結乾燥粉末として処方してもよい。粉末は使用前に適当な希釈剤または他
の医薬上許容される担体を添加することにより復元される。液体処方は緩衝等張
水性溶液であってもよい。適当な希釈剤の例は、通常の等張塩溶液、標準5%水
中デキストロースまたは緩衝酢酸ナトリウムまたはアンモニウム溶液である。こ
のような処方は特に非経口投与に適当であるが、経口投与用にも用いられ、また
吸入用の用量計量吸入器またはネブライザーに入れる。ポリビニルピロリドン、
ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレングリコール、マンニ
トール、塩化ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムのような賦形剤を添加するこ
とが望ましい。
また、本発明の化合物は経口投与用にカプセル化、錠剤化またはエマルジョン
またはシロップに調製される。医薬上許容される固体または液体担体を添加して
、組成物を強化または安定化させるか、または組成物の調製を容易にしてもよい
。固体担体は、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白土、ステア
リン酸マグネシウムまたはステアリン酸、タルク、ペクチン、アカシア、寒天ま
たはゼラチンを包含する。液体担体は、シロップ、落花生油、オリーブ油、セイ
ラインおよび水を包含する。担体はまた、モノステアリン酸グリセリルまたはジ
ステアリン酸グリセリルのような除放性物質を単独でまたはワックスと共に含む
。固体担体の量は変化するが、好ましくは、単位投与量当たり約20mg〜約1
gである。医薬調製物は、錠剤形の場合、粉砕、混合、顆粒化、および必要なら
ば、
圧縮化;または硬ゼラチンカプセル形の場合、粉砕、混合および充填を含む通常
の製剤技術に従って製造される。液体担体を用いる場合、調製物はシロップ、エ
リキシル、エマルジョンまたは水性または非水性懸濁剤の形態である。このよう
な液体処方は、直接経口投与してもよく、または軟ゼラチンカプセルに充填して
もよい。
経直腸投与の場合、本発明の化合物はまた、カカオ脂、グリセリン、ゼラチン
またはポリエチレングリコールのような賦形剤と組み合わせて、坐剤を成型して
もよい。
本発明の化合物を、例えば、貯蔵用に、または診断もしくは研究用途のような
ex vivoにおける操作用に、血液および血液製品中の血小板凝集を阻害するのに
用いてもよい。
本発明はまた、哺乳動物、特にヒトにおける血小板凝集および血餅形成を阻害
する方法であって、式(I)の化合物および医薬上許容される担体を内部投与す
ることからなる方法を提供する。このような療法の適応症は、急性心筋梗塞(A
MI)、深静脈血栓症、肺塞栓症、解剖無尿症、一過性虚血発作(TIA)、卒
中および他の梗塞関連障害、および不安定アンギナを包含する。分散性静脈内凝
固(DIC)、敗血症、手術または感染性ショック、手術後および分娩後外傷、
心肺バイパス手術、不適合輸血、胎盤早期剥離、血栓症性血小板減少性紫斑症(
TTP)、ヘビ毒および免疫病のような慢性または急性の高凝集性はこのような
治療に応答しやすい。加えて、本発明の化合物は、転移症状の予防、免疫剌激を
誘発する真菌性または細菌性感染症の予防または治療、骨吸収が要因である病気
の予防または治療において有用である。
式(I)の化合物を、血漿中の薬剤濃度が血小板凝集またはこのような他の適
応症を阻害するのに十分な濃度になるように患者に経口または非経口投与する。
本発明の化合物を含有する医薬組成物を、約0.2〜約50mg/kgの用量で
、患者の症状に合うように投与する。急性療法の場合、非経口投与が好ましい。
高凝集の持久性症状の場合、5%水中デキストロースまたは生理食塩水中のペプ
チドの静脈内注入が最も有効であるが、筋肉内ボーラス注射でも十分である。
慢性であるが、重篤でない血小板凝集の症状の場合、カプセルまたは錠剤の経
口投与またはホーラス筋肉内注射が適当である。本発明の化合物を一日につき1
〜4回、約0.4〜約50mg/kgのレベルで投与して、合計で日用量約0.4
〜約200mg/kg/日を達成する。
本発明はさらにフィブリン溶解療法後の動脈または静脈の再閉塞の阻害法であ
って、式(I)のペプチドおよびフィブリン溶解剤を内部投与することからなる
方法を提供する。フィブリン溶解療法においてペプチドを投与することは、再閉
塞を完全に防止するかまたは再閉塞までの時間を延長することが判明している。
本発明の内容において用いる場合、フィブリン溶解剤なる語は、天然または合
成品のいずれであっても、フィブリン血餅の溶解を直接または間接的に生じさせ
る化合物を意味する。プラスミノーゲン活性化剤は周知なフィブリン溶解剤であ
る。有用なプラスミノーゲン活性化剤は、例えば、アニストレプラーゼ、ウロキ
ナーゼ(UK)、プロ−ウロキナーゼ(pUK)、ストレプトキナーゼ(SK)
、組織プラスミノーゲン活性化剤(tPA)、および化学的に修飾されているか
、または1個またはそれ以上のアミノ酸が付加、欠失または置換されているか、
または1個またはそれ以上の機能領域が付加、欠失もしくは1個のプラスミノー
ゲン活性化剤の活性部位を別のプラスミノーゲン活性化剤またはフィブリン結合
分子のフィブリン結合領域と合するように変更されている変異体のような、プラ
スミノーゲン活性化剤活性を保持する、その突然変異体または変異株を包含する
。他の変異株は、例えば、1個またはそれ以上のグリコシル化部位が変更されて
いるtPA分子を包含する。プラスミノーゲン活性化剤のうち好ましいのは、一
次アミノ酸配列が成長因子領域でプラスミノーゲン活性化剤の血清半減期が増加
するように変更されているtPA変異株である。tPA成長因子変異株は、例え
ば、ロビンソン(Robinson)ら、EP−A 0 297 589およびブラウン(B
rowne)ら、EP−A 0 240 334に開示されている。他の変異株は、ハイ
ブリッドタンパク、例えば、EP 0 028 489、EP 0 155 387お
よびEP 0 297 882(そのすべてを出典明示により本明細書の一部とす
る)に開示されているものを包含する。アニストレプラーゼが本発明にて用
いるのに好ましいハイブリッドタンパク質である。フィブリン溶解剤は、天然源
から単離されるが、通常は遺伝子工学の伝統的方法により産生される。
tPA、SK、UKおよびpUKの有用な処方は、例えばEP−A 0 211
592、EP−A 0 092 182および米国特許第4,568,543号(そ
のすべてを出典明示により本明細書の一部とする)に開示されている。典型的に
は、フィブリン溶解剤は、水性緩衝等張溶液、例えば、酢酸またはアジピン酸ナ
トリウムまたはアンモニウム緩衝液(pH3.3〜5.5)に処方される。ポリビ
ニルピロリドン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレン、
グリコール、マンニトールおよび塩化ナトリウムのような別の賦形剤を添加して
もよい。このような組成物は凍結乾燥させることができる。
医薬組成物は、式(I)の化合物およびフィブリン溶解剤の両方を同一容器中
に処方してもよいが、別の容器内に処方するのが好ましい。両方の薬剤を溶液形
態にした場合、同時投与用の注入/注射系に、またはタンデム装置中に含めるこ
とができる。
このような療法の適応症は、心筋梗塞、深静脈血栓症、肺塞栓症、卒中および
他の梗塞関連障害を包含する。式(i)の化合物をtPAまたは他のフィブリン
溶解剤を非経口投与する直前、同時、または直後に投与する。再潅流が、最大限
、療法後の再閉塞を阻害するように確立された後も、ペプチドでの治療を十分な
期間続けるのが望ましいことが判明している。tPA、SK、UKまたはpUK
の有効用量は、0.5〜5mg/kgであり、本発明の化合物の有効用量は、約
0.1〜25mg/kgである。
阻害剤およびフィブリン溶解剤を同時または別々に都合よく投与する場合、1
個の容器、例えば、箱、カートンまたは他の容器、個別のビン、袋、バイアルま
たは他の容器であって、各々、前記の有効量の非経口投与用阻害剤および前記の
有効量の非経口投与用tPAまたは他のフィブリン溶解剤を入れたものからなる
キットが調製される。このようなキットは、例えば、別々の容器または同一の容
器に入れた両薬剤と、所望の凍結乾燥プラグと、復元用溶液の容器とからなって
いてもよい。この変形は、復元用溶液および凍結乾燥プラグを1個の容器の2つ
のチャンバーに入れたものであり、これを使用前に混合できる。このような装置
では、フィブリン溶解剤および本発明の化合物を別々に、2個の容器中にパッケ
ージしたり、一緒に凍結乾燥して粉末にし、1個の容器中にて提供できる。
両薬剤を溶液形態にて提供する場合、これら薬剤は同時投与用の注入/注射系
またはタンデム装置に含めることができる。例えば、血小板凝集阻害剤は、静脈
内注射可能な形態、またはチューブで一列に別の注入バッグ内にあるフィブリン
溶解剤に連結した注入バッグに入れてもよい。このような系を用いた場合、患者
は、最初、ペプチド阻害剤のボーラス型注射または注入を受け、続いてフィブリ
ン溶解剤の注入を受けることができる。
本発明の化合物の薬理活性を、3H−SK&F 107260(公知のRGD−
フィブリノゲン拮抗剤)のGPIIbIIIa受容体との結合を阻害する能力;in vi
troにおける血小板凝集を阻害する能力およびin vivoにて血栓形成を阻害する能
力により評価する。
RGD−媒介GPIIb−IIIa結合の阻害
GPIIb−IIIaの精製
10ユニットの古い、洗浄したヒト血小板(赤十字より入手)を、3%オクチ
ルグルコシド、20mMトリス−HCl(pH7.4)、140mM NaCl、2
mM CaCl2中、4℃で2時間、穏やかに撹拌することで溶解させた。その溶解
物を100,000gで1時間遠心分離に付した。得られた上清を、20mMト
リス−HCl(pH7.4)、100mM NaCl、2mM CaCl2、1%オクチル
グルコシド(緩衝液A)で予め平衡にした、5mlのレンチル・レクチン・セフ
ァロース4Bカラム(イー・ワイ・ラボス(E.Y.Labs))に加えた。2時間イン
キュベーションした後、該カラムを冷緩衝液A(50ml)で洗浄した。レクチ
ン保持GPIIb−IIIaを10%デキストロース含有の緩衝液Aで溶出した。す
べての操作は4℃で行った。得られたGPIIb−IIIaは、SDSポリアクリル
アミドゲル電気泳動操作によれば、>95%純度であった。
GPIIb−IIIaのリポソームへの組み込み
ホスファチジルセリン(70%)およびホスファチジルコリン(30%)の混
合物(Avanti Polar Lipid)を、窒素流下、ガラス管の壁にて乾燥させた。精製
したGPIIb−IIIaを最終濃度0.5mg/mLに希釈し、1:3(w:w)の
タンパク質:リン脂質の比にてリン脂質と混合した。該混合物を再び懸濁させ、
バスソニケーターにて5分間超音波処理に付した。ついで、該混合物を、100
0倍過剰の50mMトリス−HCl(pH7.4)、100mM NaCl、2mM
CaCl2(2回交換)に対する12,000−14,000分子量カットオフ透析
管を用いて一夜透析した。GPIIb−IIIa含有のリボソームを、12,000g
で15分間遠心分離に付し、約1mg/mLの最終タンパク質濃度で再び透析緩
衝液に懸濁させた。該リポソームを必要になるまで−70℃で貯蔵した。
GPIIb−IIIaへの競合結合
フィブリノゲン受容体(GPIIb−IIIa)との結合を、RGD−型リガンド
として[3H]−SK&F−107260を用いる間接的競合結合法により検定
した。該結合検定は、22μmの親水性デュラポアー(durapore)膜を用いる、
96−ウェルの濾過プレート装置(ミリポール・コーポレイション(Millipore
Corporation),Bedford,MA)にて行った。該ウェルを10μg/mLのポリ
リシン(シグマ・ケミカル・コーポレイション(Sigma Chemical Co.)、セント
ルイス、ミズリー州)0.2mLで、室温で1時間、プレコートし、非特異的結
合を遮断した。種々の濃度の非標識化ベンザジアザピンを、四重試験にて該ウェ
ルに加えた。[3H]−SK&F−107260を4.5nMの最終濃度にて各ウ
ェルに加え、つづいて精製した血小板GPIIb−IIIa含有リポソーム1μgを
加えた。混合物を室温で1時間インキュベートした。GPIIb−IIIa結合[3H
]−SK&F−107260を、ミルポール(Millipore)濾過マニホールドを
用いる濾過により非結合体より分離し、つづいて氷冷緩衝液(2回、各0.2m
L)で洗浄した。濾紙上に保持している結合放射活性を、ベックマン・リキッド
・シ
ンチレーション・カウンター(Beckman Liquid Scintillation Counter)にて、
レディー・ソルブ(Ready Solve)(Beckman Instruction,Fullerton,CA)1.
5mLにて計数した(40%効率)。非特異的結合を2μMの非標識化SK&F
−107260の存在下で測定し、それはサンプルに加えた全放射活性の0.1
4%未満であった。すべてのデータは4重試験の平均点である。
競合結合データを非線形最小二乗曲線適合操作により分析した。この方法は阻
害剤のIC50([3H]−SK&F−107260の特異結合を平衡状態で5
0%まで阻害する阻害剤の濃度)を提供するものである。IC50は、チェンお
よびプルソッフ(ChengおよびPrusoff)の式:
Ki=IC50/(1+L/Kd)
ここに、Lは競合結合検定に用いた[3H]−SK&F−107260の濃度(
4.5nM)およびKdはスカッチャード(Scatchard)分析により測定した時に
4.5nMである[3H]−SK&F−107260の解離定数である)に基づき
、阻害剤の平衡解離定数(Ki)と関連付けられる。本発明の化合物は[3H]−
SK&F−107260結合を約1.0μMないし約3.0μMの範囲のKiで阻
害する。
血小板凝集の阻害
血液を特定の実験を受けたことがない雑種成犬より収集した(凝固作用を抑制
するのにシトレート処理に付した)。血小板に富む血漿(PRP)を、150×
gで10分間、室温で遠心分離に付すことにより調製した。洗浄した血小板をP
RPを800×gで10分間遠心分離に付すことで調製した。こうして得られた
細胞ペレットを、Ca++不含のタイロード(Tyrode)緩衝液(pH6.5)にて2
回洗浄し、3×105細胞/mLの濃度で、1.8mM Ca++含有のタイロード緩
衝液(pH7.4)に再び懸濁させた。すべての血小板凝集の検定において、アゴ
ニストを添加する3分前にペプチドを加えた。アゴニストの最終濃度は0.1単
位/mlトロンビンおよび2mM ADP(シグマ(Sigma))であった。凝集を
クロノ−ログ・ルミ−アグレゴメーター(Chrono-Log Lumi-Aggregometer)にて
モニターした。アゴニスト添加の5分後の光透過率を用い、
式:%凝集=[(90−CR)÷(90−10)]×100
[ここに、CRはチャート読み、90はベースライン、10はPRPブランク読
みを意味する]
に従って凝集%を算定した。IC50を、[凝集の%阻害]対[ペプチドの濃度
]をプロットすることにより測定した。ペプチドを200mMで検定し、逐次、
2のファクターで希釈し、適当な用量応答曲線を確立した。
本発明の化合物は、ADPで剌激されたヒト血小板の凝集を約1.0〜約13.
0μMのIC50で阻害する。
化合物の血漿中プロテアーゼに対する安定性を評価するために、化合物をアゴ
ニストの添加前にPRP中で3時間(3分ではなく)培養する。
血小板凝集のin vivo阻害
血栓形成のin vivo阻害は、アイケン(Aiken)ら、プロスタグランディンズ(
Prostaglandins),19,629(1980)に記載されている方法にしたがっ
て、麻酔したイヌにペプチドを注入し、全身性および血液力学的効果を記録する
ことにより測定される。
以下の実施例は、本発明の範囲を何ら制限するものではなく、本発明の化合物
の調製法および使用を例示するものである。多くの他の具体例は、当業者には自
明であり容易に利用することができる。
実施例1
7−[4−アミジノベンズアミド]−2−カルボキシメチル−1,2,3,4−
テトラヒドロイソキノリン−1−オンの製造
a) N−メトキシカルボニル−フェネチルアミン
フェネチルアミン(20g、0.16モル)のテトラヒドロフラン(900m
l)中冷却溶液に、トリエチルアミン(23ml、0.16モル)を加えた。こ
の溶液にクロロメチルホルマート(64ml、0.8モル)を滴下した。ついて
、反応混合物を一夜撹拌し、水(45ml)を加え、層を分離した。有機層を水
(1x200ml)およびブライン(1x200ml)で連続的に洗浄した。有
機溶媒を乾燥(無水硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮して標記化合物を得た
(28g、収率94%)。
b) 1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン
140℃のポリリン酸(200ml)の溶液に、N−メトキシカルボニル−フ
ェネチルアミン(28g、0.16モル)を5時間にわたって滴下した。該反応
溶液を冷水(400ml)中に注ぎ、塩化メチレン(5x200ml)で抽出し
た。有機層を合し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して標記化合
物を得た(17.96g、収率86%)。
c) 7−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン
硝酸カリウム(8.2g、81.6ミリモル)の硫酸(40ml)中冷却溶液に
、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン(10g、68ミリモル
)を5分間にわたって滴下した。反応混合物を室温で一夜撹拌し、ついで氷中に
注いだ。溶液を濾過した。水で数回洗浄した後、固体を乾燥し、標記化合物を得
た(9.85g、76%)。
d) 2−メチルカルボニルメトキシ−7−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒド
ロイソキノリン−1−オン
7−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン(2.0g、
10.4ミリモル)のテトラヒドロフラン(300ml)中溶液に、水素化ナト
リウム(500mg、油中60%懸濁液、12.5ミリモル)を加えた。得られ
た混合物に、ブロモ酢酸メチル(1.1ml、11ミリモル)を加えた。3時間
後、酢酸エチル(20ml)を、つづいて水(25ml)を加えた。溶液を濃縮
し、得られた油を酢酸エチルと水(1:1、200ml)の間に分配した。層を
分離し、有機層を水(1x100ml)およびフライン(1x100ml)で連
続的に洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して濃縮した。
残渣を酢酸エチルで処理し、固体を形成させた。溶液を濾過し、標記化合物を得
た(1.6g、収率55%)。
e) 7−アミノ−2−メチルカルボニルメトキシ−1,2,3,4−テトラヒド
ロイソキノリン−1−オン
2−メチルカルボニルメトキシ−7−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロイ
ソキノリン−1−オン(500mg、1.9ミリモル)、炭素上10%パラジウ
ム(80mg)およびメタノール(70ml)からなる溶液を40psiで1時
間水素化した。溶液をセライト(登録商標)を介して濾過し、濃縮して標記化合
物を得た(400mg、収率90%)。
f) 7−[4−Cbz−アミジノベンズアミド]−2−メチルカルボニルメトキ
シ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン
7−アミノ−2−メチルカルボニルメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイ
ソキノリン−1−オン(400mg、1.7ミリモル)のジメチルホルムアミド
(5ml)中溶液に、pHが7.5になるまで、ジイソプロピルエチルアミンを
加えた。この溶液に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(310mg、2.0
ミリモル)、4−Cbz−アミジノ安息香酸(611mg、2.0ミリモル)およ
び水溶性カルボジイミド(392mg、1.8ミリモル)を連続的に加えた。2
分後、ジメチルアミノピリジン(210mg、1.7ミリモル)を加え、得られ
た
溶液を室温で18時間撹拌した。溶液を濃縮し、シリカゲルおよび酢酸エチル/
ヘキサン(7:3)を用いるクロマトグラフィーに付した。所望のフラクション
を濃縮し、標記化合物を得た(426mg、収率48%)。
g) 7−[4−アミジノベンズアミド]−2−メチルカルボニルメトキシ−1
,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン
7−[1−Cbz−アミジノベンズアミド]−2−メチルカルボニルメトキシ−
1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン(400mg、0.78ミリ
モル)、炭素上10%パラジウム(40mg)、ジエチルエーテル中1MHCl
(3ml)およびメタノール(30ml)からなる溶液を10psiで30分間
水素化した。溶液をセライト(登録商標)を介して濾過し、濃縮して標記化合物
を得た(311mg)定量)。
h) 7−[4−アミジノベンズアミド]−2−カルボキシメチル−1,2,3,
4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン
7−[4−アミジノベンズアミド]−2−メチルカルボニルメトキシ−1,2,
3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン(7)(320mg、0.8ミリモ
ル)、メタノール(3ml)および水(2ml)からなる冷却溶液に、1N水酸
化ナトリウム(2.2ml、2.2ミリモル)を加えた。溶液を室温で18時間撹
拌した。該溶液を濃縮し、残渣を水(10ml)に溶かし、1M塩酸を沈殿が生
じるまで滴下した。溶液を濾過し、固体を水で洗浄し、真空下で乾燥し、標記化
合物を得た(90mg、収率31%)。MS(FAB)m/e367[M+H]+
。HPLC(k'2.6 アイソクラチックA:アセトニトリルB:水−0.1%
トリフルオロ酢酸、15%アセトニトリル、UV検出(220nm))、TLC
Rf0.5(ピリジン:酢酸:ブタノール:水 15:5:10:10)、1
H NMR(DMSO[d6])はメチルエステルのプロトンが不在であること
を示す。
実施例2
7−[4−アミジノベンズアミド]−2−カルボキシエチル−1,2,3,4−
テトラヒドロイソキノリン−1−オンの製造
a) 2−エチルカルボニルメトキシ−7−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒド
ロイソキノリン−1−オン
7−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン(3.0g、
15.6ミリモル)、アクリル酸メチル(15ml、156ミリモル)およびメ
タノール(50ml)からなる溶液に、ナトリウムメトキシド(840mg)1
5.6ミリモル)を加えた。得られた溶液を一夜還流した。反応溶液を濃縮し、
得られた残渣を酢酸エチル/ヘキサン(3:7)で平衡にしたシリカゲルカラム
上に導入した。溶出を同じ溶媒系で行った。所望のフラクションを濃縮し、標記
化合物を得た(2.6g、収率69%)。
b) 7−アミノ−2−エチルカルボニルメトキシ−1,2,3,4−テトラヒド
ロイソキノリン−1−オン
2−エチルカルボニルメトキシ−7−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロイ
ソキノリン−1−オンを、実施例1(e)の操作に従って水素化し、標記化合物
を得た。
c) 7−[4−Cbz−アミジノベンズアミド]−2−エチルカルボニルメトキ
シ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン
7−アミノ−2−エチルカルボニルメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイ
ソキノリン−1−オンを、実施例1(f)の操作に従って、4−Cbz−アミジノ
安息香酸にカップリングして標記化合物を得た。
d) 7−[4−アミジノベンズアミド]−2−エチルカルボニルメトキシ−1
,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン
7−[4−Cbz−アミジノベンズアミド]−2−エチルカルボニルメトキシ−
1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オンを、実施例1(g)の操作
に従って、水素化して標記化合物を得た。
e) 7−[4−アミジノベンズアミド]−2−カルボキシエチル−1,2,3,
4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン
7−[4−アミジノベンズアミド]−2−エチルカルボニルメトキシ−1,2,
3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オンを、実施例1(h)の操作に従っ
て、加水分解して標記化合物を得た。
実施例3
7−[4−アミジノベンズアミド]−2−カルボキシメチル−1,2,3,4−
テトラヒドロイソキノリン−3−オンの製造
a) N−(2−ヒドロキシメチル−フェニルアセトアミド)グリシンメチルエ
ステル
グリシンメチルエステル(9.2g、69ミリモル)のメタノール(60ml
)中溶液に、トリエチルアミン(12.2ml、70ミリモル)を加え、つづい
てイソクロマン−3−オン(10g、67.6ミリモル)を添加した。溶液を室
温で18時間撹拌した。溶液を濃縮し、残渣を酢酸エチル/ヘキサン(1:1)
で溶出するシリカゲル上で精製した。所望のフラクションを濃縮し、標記化合物
(10.7g、収率67%)を得た。
b) 2−メチルカルボニルメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリ
ン−3−オン
N−(2−ヒドロキシメチル−フェニルアセトアミド)グリシンメチルエステ
ル(200mg、0.84ミリモル)、トリフェニルホスフィン(221mg、
0.84ミリモル)およびテトラヒドロフラン(15ml)を混合し、得られた
溶液に、テトラヒドロフラン(10ml)中のジエチルアゾジカルボキシラート
(133μl、0.84ミリモル)を滴下した。得られた溶液を室温で18時間
撹拌した。溶液を濃縮し、残渣を酢酸エチル:ヘキサン(1:1)で平衡にした
シリカゲルカラム上に導入した。溶出を同じ溶媒系で行った。所望のフラクショ
ンを濃縮し、標記化合物を得た。
c) 2−メチルカルボニルメトキシ−7−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒド
ロイソキノリン−3−オン
2−メチルカルボニルメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−
3−オンのニトロ化を、実施例1(d)の操作に従って実施し、標記化合物を得
た。
d) 7−アミノ−2−メチルカルボニルメトキシ−1,2,3,4−テトラヒド
ロイソキノリン−3−オン
2−メチルカルボニルメトキシ−7−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロイ
ソキノリン−3−オンを、実施例1(e)の操作に従って還元し、標記化合物を
得た。
e)7−[4−Cbz−アミジノベンズアミド]−2−メチルカルボニルメトキシ
−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−オン
7−アミノ−2−メチルカルボニルメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイ
ソキノリン−3−オンを、実施例1(f)の操作に従って、4−Cbz−アミジノ
安息香酸にカップリングし、標記化合物を得た。
f) 7−[4−アミジノベンズアミド]−2−メチルカルボニルメトキシ−1
,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−オン
7−[4−Cbz−アミジノベンズアミド]−2−メチルカルボニルメトキシ−
1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−オンを、実施例1(g)の操作
に従って脱保護し、標記化合物を得た。
g)7−[4−アミジノベンズアミド]−2−カルボキシメチル−1,2,3,4
−テトラヒドロイソキノリン−3−オン
7−[4−アミジノベンズアミド]−2−メチルカルボニルメトキシ−1,2,
3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−オンを、実施例1(h)の操作に従っ
て加水分解し、標記化合物を得た。
実施例4
非経口投与単位組成物
滅菌乾燥粉末として実施例1の化合物20mgを含有する調製物を以下のよう
に調製する:20mgの化合物を15mlの蒸留水に溶かす。この溶液を滅菌条
件下で25mlの複数回投与用アンプル中に濾過し、凍結乾燥する。静脈内また
は筋肉内注射用の水中5%デキストロース(D5W)(20ml)を加えること
により、粉末を復元する。投与量を注射容量により決定する。その後、計量した
容量のこの投与単位を別の容量の注射用D5Wに添加することにより希釈を行っ
てもよく、または計量した容量をIV点滴注入または他の注射−注入系用の瓶も
しくは袋のような薬剤分散機構に加えてもよい。
実施例5
経口投与単位組成物
経口投与用カプセルを、実施例1の化合物50mgをラクトース75mgおよ
びステアリン酸マグネシウム5mgと混合し、粉砕することにより調製する。得
られた粉末をスクリーンに付し、硬ゼラチンカプセルに充填する。
実施例6
経口投与単位組成物
経口投与用錠剤を、シュークロース20mg、硫酸カルシウム・二水和物15
0mgおよび実施例1の化合物50mgを、10%ゼラチン溶液と一緒に混合し
、顆粒化することにより調製する。該湿式顆粒をスクリーンに付し、乾燥し、デ
ン
プン10mg、タルク5mgおよびステアリン酸3mgと混合し、打錠する。
以上は、本発明の製法および使用法を例示するものである。しかし、本発明は
、本願明細書に記載した具体例に限定されるものではなく、次に示す請求の範囲
内にある修飾をすべて包含するものである。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
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,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA,
CN,CZ,FI,HU,JP,KP,KR,KZ,L
K,MG,MN,MW,NO,NZ,PL,RO,RU
,SD,SI,SK,UA,US,VN