JPH084883Y2 - 液体塗布具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は染毛剤などの液体を塗布する器具に関する。

（従来の技術） 従来、第８図及び第９図に示したように、内部に染毛
剤（図示せず）を貯溜した内軸（１）を外軸（２）の内
部に軸方向に移動自在に収納すると共に外軸（２）の前
端に取付けたブラシ（３）と内軸（１）の間に弁（４）
を介在させて内軸（１）の後方に配したノツク体（５）
を前方へ押圧して内軸（１）を外軸（２）に対し前進さ
せることにより弁（４）を開口して内軸（１）からブラ
シ（３）へ染毛剤を供給可能とした染毛具が公知であ
る。

このような構造の液体塗布具は、落下等によつてノツ
ク体（５）がノツクされて不本意に液体が吐出されるの
を防ぐために、前記の図面に示すように、外軸（２）の
後端に嵌着した尾栓（６）の開口内縁部に突起（７）を
設ける共にノツク体（５）の外面部にはその突起（７）
が嵌入する軸方向の縦溝（８）と円周方向の横溝（９）
を設けて、使用時には突起（７）を縦溝（８）に位置さ
せてノツクを可能とすると共に不使用時にはノツク体
（５）を回転させて突起（７）を横溝（９）に位置させ
てノツクを不能とするような手段が採られていた。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、液体を貯溜した内軸（１）はある程度
重いのでノツク体（５）によつて押圧されることがなく
ても、落下時等に自重による慣性力のために独自に移動
してしまうことがあつて、不本意な液体の吐出が避けら
れない欠点があつた。また何らかの手段により内軸の前
進を阻止することができても、寸法上のばらつきによつ
て内軸が僅かに前進する可能性が残つており、それによ
り完全に液体の吐出を防止することは困難であつた。ま
たノツク体（５）の外面部に縦溝（８）や横溝（９）を
設けることは外観を損ねるのでデザイン上好ましくない
という短所もあつた。

そこで本考案は、外観を損ねることなく、落下等によ
り内軸（１）が自重による慣性力で前進しても不本意な
液体の吐出を防止することができ、さらに寸法上のばら
つきにより内軸が僅かに前進する可能性が残つていても
それによる液体の吐出も完全に防止できる液体塗布具の
提供を目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案における液体塗布
具は、内部に液体を貯溜した内軸（１）を外軸（２）の
内部に軸方向に移動自在に収納すると共に外軸（２）の
前端に取付けたブラシ（３）等の塗布部材と内軸（１）
の間に弁（４）を介在させて内軸（１）を外軸（２）に
対し前進させることにより弁（４）を開口して内軸
（１）から塗布部材へ液体を供給可能とした液体塗布具
において、内軸（１）の前端近傍に軸線に対し垂直方向
の横断面形状が非円形の首部（24）を設け、また内軸
（１）の首部（24）を円周方向のある位相の位置で通過
可能とすると共に他の位相の位置では通過不能とする通
孔（27）を開設した制止壁（28）を非ノツク状態の内軸
（１）の首部（24）より前方位置に配設し、内軸（１）
の首部（24）の前面には首部（24）が通孔（27）を通過
不能となるように内軸（１）を回転させた場合に制止壁
（28）の後側面を滑動して内軸（１）を弁（４）を閉塞
させる所定位置より後方へ変位させるカム斜面（36）を
有する凸部（37）を設けたことを特徴として構成され
る。

（実施例） 第１図乃至第７図に示した本考案の実施例について以
下説明する。外軸（２）は前端に先軸（10）を螺着し
て、先軸（10）の内部にブラシ（３）を植設した台座
（11）を固定し、台座（11）の中心孔にブラシ（３）と
接触するスポンジ（12）を嵌着し、台座（11）の後方に
スポンジ止メ（13）を挟んで液体誘導管（14）を固定
し、先軸（10）の前端外面部にはクシ（15）を嵌着して
いる。外軸（２）の内部には液体染毛剤（図示せず）を
内部に充填した内軸（１）を軸方向に移動自在に収納
し、内軸（１）は前端開口部に弁（４）を装着してい
る。弁（４）は弁棒（16）、弁座（17）、弁バネ（1
8）、及びバネ受け（19）から構成されている。内軸
（１）の前端外周部にはパツキン（20）を内部に固定し
た蓋体（21）を螺着し、該蓋体（21）の中心孔に前記液
体誘導管（14）の後端部をパツキン（20）に水密に接触
させた状態で挿入し、液体誘導管（14）の後端は弁棒
（16）の前端に当接している。内軸（１）の後端外周部
にはノツク体（５）を嵌着して、内軸（１）に設けた軸
方向の溝（22）にノツク体（５）を係合させて、ノツク
体（６）の回転操作により内軸（１）も一体的に回転す
るようにしている。また外軸（２）の後端開口部には内
軸（１）の後方への抜出を阻止する尾栓（23）を圧入固
定している。そして、内軸（１）の前端に嵌着した蓋体
（21）の少し後方位置に両側の側面が平面となつて軸線
に対し垂直方向の横断面形状が略小判形となる首部（2
4）を設けている。この首部（24）は内軸（１）本体の
外周部に第６図に示すような内軸カラー（35）を回転が
一体的となるように嵌着して構成されている。この内軸
カラー（35）の前面の両側端部にはカム斜面（36）を有
する高さが1mm程度の凸部（37）を設けている。首部（2
4）の側面における曲面部（25）の両端位置にはそれぞ
れ段部（26）を設けている（第３図参照）。尚、この実
施例では内軸本体に内軸カラー（35）を嵌着して首部
（24）を構成しているが、内軸本体のみで首部を構成し
てもよい。一方、内軸（１）における前記首部（24）の
横断面形状の相似形に近い形状で僅かに大きい通孔（2
7）を有する制止壁（28）を内面部に突設すると共に該
制止壁（28）の縁の一端から後方へ向かう軸方向のリブ
（29）を同じく内面部に突設したストツパー（30）を形
成して、該ストツパー（30）をその制止壁（28）が非ノ
ツク状態にある内軸（１）の首部（24）より前方に位置
するように外軸（２）の内面部に固定している。より詳
しくいうと、内軸（１）が非ノツク状態にあつて弁
（４）が閉塞するために必要な所定の場所に位置してい
るときに、内軸（１）の首部（24）の前面と制止壁（2
8）の後側面の位置が略一致する状態に組付けられてい
る。尚、図中（31）はキヤツプ、（32）は中キヤツプ、
（33）はシールリング、（34）は飾りリングをそれぞれ
を示している。

ノツク体（５）を回転操作して一体的に内軸（１）を
回転して、内軸（１）の首部（24）の輪郭が第５図に示
すように通孔（27）の輪郭内に入つた状態になしてノツ
ク体（５）を前方へ押圧すれば首部（24）が通孔（27）
を通過して内軸（１）が前進し、弁棒（16）は液体誘導
管（14）に当接していて前進不能なので弁座（17）に対
し相対的に後退することになつて弁（４）が開口し、内
軸（１）から吐き出された液体染毛剤が液体誘導管（1
4）及びスポンジ（12）を通つてブラシ（３）に供給さ
れることになる。尚、内軸（１）を回転させた場合に第
５図に示すように首部（24）の段部（26）がリブ（29）
に衝合した状態で、首部（24）の輪郭がちようど通孔
（27）の輪郭内に収まるようにしてあり、段部（26）及
びリブ（29）は位置決めをなすものである。次にノツク
圧を解除して弁バネ（18）の復元方により内軸（１）を
後退させて、首部（24）を通孔（27）より後方に位置さ
せた状態で内軸（１）を逆方向に回転させると、第３図
に示すように首部（24）の輪郭が通孔（27）の輪郭から
はみ出して内軸（１）が自重による慣性力で前進しよう
としても制止壁（28）に阻止されて前進不能となる。従
つて使用時にこの状態になせば内軸（１）の前進に起因
する不本意な液体染毛剤の吐出が防止される。尚、この
場合も第３図に示すように段部（26）がリブ（29）に衝
合して位置決めされるようにしてあり、使用上の利便性
が考慮されている。また、この内軸（１）の回転時に首
部（24）の前面に設けカム斜面（36）が制止壁（28）の
後側面を滑動して内軸（１）が凸部（37）の高さだけ後
退することになる。従つて、不使用時に内軸（１）は弁
（４）を閉塞させるために必要な所定位置より更に後退
することになる。そしてこの後退量即ち凸部（37）の高
さ（軸方向の長さ）は寸法のばらつきによつて内軸
（１）が前進する可能性のある距離よりも大きく設定さ
れている。従つて、寸法上のばらつきがあつても内軸
（１）は弁（４）を閉塞させるために必要な所定位置よ
りも前方へ移動することがないので、不使用時に弁
（４）からの液体染毛剤の吐出を完全に防止できる。

（作用効果） 本考案の液体塗布具は以上のように構成されており、
内軸（１）に横断面形状が非円形の首部（24）を設ける
と共に、内軸（１）の非ノツク状態において首部（24）
の前方位置に首部（24）を円周方向のある位相の位置で
通過可能とすると共に他の位相の位置では通過不能とす
る通孔（27）を開設した制止壁（28）を配設したので、
不使用時には内軸（１）を回転させることによつて、内
軸（１）の自重による慣性力に起因する内軸（１）の前
進を阻止して液体の不本意な吐出を防止できる作用効果
があり、さらに内軸（１）の首部（24）の前面にカム斜
面（36）を有する凸部（37）を設けて不使用時に内軸
（１）を弁（４）が閉塞するために必要な所定位置より
さらに後方へ移動させるようにしたので寸法上のばらつ
きがあつても弁（４）の開口が不可能となり液体の吐出
を完全に防止できる作用効果があり、またノツク体
（５）には前記従来例のように縦溝（８）横溝（９）を
設ける必要がないので外観デザインを損ねる弊害を回避
できる作用効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第７図は実施例に係るもので、第１図は全体
の縦断面図、第２図は内軸の首部が通孔を通過できない
ように内軸とストツパーが嵌合した状態を示す要部縦断
面図、第３図は第２図Ｃ−Ｃ線の横断面図、第４図は内
軸の首部が通孔を通過できるように内軸とストツパーが
嵌合した状態を示す要部縦断面図、第５図は第４図Ｄ−
Ｄ線の横断面図、第６図は内軸カラーの斜視図、第７図
は第１図Ａ−Ａ線の横断面図である。また、第８図は従
来例の全体の縦断面図、第９図は第８図Ｂ−Ｂ線の横断
面図である。 （１）……内軸、（２）……外軸、（３）……ブラシ、
（４）……弁、（５）……ノツク体、（８）……縦溝、
（10）……先軸、（14）……液体誘導管、（16）……弁
棒、（17）……弁座、（18）……弁バネ、（24）……首
部、（26）……段部、（27）……通孔、（28）……制止
壁、（29）……リブ、（30）……ストツパー、（35）…
…内軸カラー、（36）……カム斜面、（37）……凸部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に液体を貯溜した内軸（１）を外軸
   （２）の内部に軸方向に移動自在に収納すると共に外軸
   （２）の前端に取付けたブラシ（３）等の塗布部材と内
   軸（１）の間に弁（４）を介在させて内軸（１）を外軸
   （２）に対し前進させることにより弁（４）を開口して
   内軸（１）から塗布部材へ液体を供給可能とした液体塗
   布具において、内軸（１）の前端近傍に軸線に対し垂直
   方向の横断面形状が非円形の首部（24）を設け、また内
   軸（１）の首部（24）を円周方向のある位相の位置で通
   過可能とすると共に他の位相の位置では通過不能とする
   通孔（27）を開設した制止壁（28）を非ノツク状態の内
   軸（１）の首部（24）より前方位置に配設し、内軸
   （１）の首部（24）の前面には首部（24）が通孔（27）
   を通過不能となるように内軸（１）を回転させた場合に
   制止壁（28）の後側面を滑動して内軸（１）を弁（４）
   を閉塞させる所定位置より後方へ変位させるカム斜面
   （36）を有する凸部（37）を設けたことを特徴とする液
   体塗布具。