JPH084496Y2 - 複合柱材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えば、鋼板製組立物置やその他の建造物
に使用される複合柱材に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、鋼板製組立物置においては、第８図に示すよう
に、表面板部a₁とその両端から室内側へ折曲形成された
パネル接続部a₂とから成る金属製柱Ａが使用されてい
た。そして図外の上枠，下枠間に立設した柱Ａの両側に
金属製壁パネルＢを配置し、該壁パネルＢの端部に折曲
形成した接続部b₁を柱Ａの前記両パネル接続部a₂に係止
させ、溝a₃内において両パネル接続部a₂の内端と係合さ
せたナット部材c₁と前記接続部b₁に当て付けた座金c₂と
前記ナット部材c₁に螺合するボルトc₃とから成る接合金
具Ｃで柱Ａと壁パネルＢを接続するように構成されてい
た。

〔考案が解決しようとする課題〕

以上の通り、従来例では、柱Ａが、壁パネルＢを接続
する必要上、室内側に開口したチャンネル状となってい
たのである。そのため、柱Ａが荷重に対して弱く、柱Ａ
の材料金属（例えば塗装鋼板）としてかなりの板厚のも
のが必要とされた。また大型の組立物置における大スパ
ンの柱のように大きな荷重の作用する柱としては、不適
当であった。

本考案はこのような実情に鑑みてなされたものであ
り、耐荷重強度が大で美麗であり、かつ内外面とも錆が
発生しにくく耐久性に富む複合柱材を提供することを目
的としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために、本考案では、パイプ状
の金属製柱と壁パネルとよりなる複合柱材にあって、そ
の複合柱材はいずれもが表面と裏面に塗装を施した塗装
鋼板よりなり、前記壁パネルの両側部に隣接壁パネルと
の接続部が形成されるとともに、その両接続部間の中間
部に前記金属製柱の一側面を構造用接着剤で接着してな
ることを特徴としている。

〔作用〕

本考案の複合柱材は、柱と壁パネルがいずれも表裏両
面に塗装を施した塗装鋼板よりなり、かつそれら両部材
の塗装面同士が接着剤で接着されていることから、発錆
や腐食による接着力の低下を免れ良好な耐久性が得られ
るとともに、表面にビスや溶接跡があらわれず美麗な塗
膜の外観が得られる。

また、本考案の複合柱材は閉ループを構成する柱と壁
パネルとによって構成されるため、大きな耐荷重強度が
得られ、板厚を薄くすることができる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第２図は大型組立物置を示し、第３図は上記の大型組
立物置における構造骨格を示す。図において、１は中間
柱、２は隅柱、３は壁パネルを示す。

前記中間柱１及び隅柱としては、第１図に示すような
複合柱材が使用されている。

中間柱１用の複合柱材は、金属板の折曲加工により製
作された角パイプ状の金属製柱４とその一側面に構造用
接着剤で接着された金属製壁パネル５とから構成されて
いる。前記壁パネル５は柱４よりも幅広で、両端が柱４
の両側へ直線的に突出した状態で壁パネル５の裏面と柱
４の一側面とが接着され、突出両端部には、室内側へ略
直角に折り曲げた後、先端部を柱４側へ折り返した形状
の接続部5aが折曲形成されている。隅柱２用の複合柱材
は、パイプ状の柱４が一つの隅角部だけに適度のアール
を付けた断面形状となっており、壁パネル５が直角に且
つ前記柱４の隅角部のアールに対応して滑らかに折れ曲
がった形状とされ、柱４の前記アールを付けた隅角部の
両側に位置する二側面に接着されている点に特徴があ
り、その他の構成は中間柱１用の複合柱材と同一であ
る。

中間柱１用の複合柱材とその両側に隣接する前記壁パ
ネル３とは、第４図、第５図に示すように隣接壁パネル
３の端部に形成された接続部3aを、複合柱材の壁パネル
５の接続部5aに係合させ、該接続部5aに係合させたナッ
ト部材6aと前記接続部3aおよび前記壁パネル５内面に当
接する座金6bと前記ナット部材6aに螺合するボルト6cと
から成る接合金具６により接続されている。図示しない
が、隅柱２用の複合柱材と隣接壁パネル３との接続も同
様である。

第６図は本考案の中間柱１の別実施例を示す。この実
施例は、柱４に接着された壁パネル５の突出両端部に折
曲形成する接続部5aを、室内側へ直角に折り曲げられた
後、二つ折り状に折り返された形状とし、隣接壁パネル
３の接続部3aもこれと同じ形状とし、両者5a,3aを貫通
するボルト6cとこれに螺合するナット部材6aとによっ
て、壁パネル５と隣接壁パネル３の接続を行うようにし
た点に特徴がある。その他の構成は先の実施例と同じで
ある。

尚、パイプ状の柱４としては、第７図に示すように、
断面溝状で、且つ、溝７の開口両縁に折曲加工されたフ
ランジ状部8a,8aを壁パネル５に構造用接着剤9,9で接着
したものであってもよい。即ち、柱４自体の断面形状が
溝状であっても、溝７の開口両縁のフランジ状部分（図
面上では内向きであるが外向きに折曲加工されたもので
あってもよい。）8a,8aが壁パネル５に接着されること
によって、結果的にパイプ、つまり、断面形状が角形あ
るいはその他の閉塞された断面形状となるので、大きな
強度が得られ、板厚の割に高い耐荷重性能が得られるの
である。

〔考案の効果〕

本考案は、上述した構成よりなるから、次の効果を奏
し得るのである。

柱と壁パネルがいずれも表裏両面に塗装を施した塗
装鋼板よりなり、かつそれら両部材の塗装面同士が接着
剤で接着されていることから、発錆や腐食による接着力
の低下を免れ、良好な耐久性が得られるとともに、表面
にビスや溶接跡があらわれることなく、美麗な塗膜の外
観が得らる。

両部材が折曲加工される前の平板状の材料鋼板の段
階で表裏両面が塗装されるので、均質な塗装が可能であ
り、後塗装を施す場合のような塗装品質上のバラツキが
なく、塗装面のすぐれた耐久性が得られる。

接着剤により塗装面同士を接合するので、溶接の場
合のような接合面の制約がなく、両部材の材質の選択の
自由度が大きくなり、その他の諸条件にかなった柱材の
製作も可能となる。

閉ループをなす柱と壁パネルとを一体化しているの
で、高い耐荷重強度を得ることができ、板厚を薄くする
ことも可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図は本考案の一実施例を示し、第１図は
中間柱用複合柱材と隅柱用複合柱材の斜視図、第２図は
大型組立物置の斜視図、第３図は上記の大型組立物置に
おける構造骨格の要部斜視図、第４図と第５図は中間柱
として使用する複合柱材と隣接壁パネルとの接合方法を
示す斜視図と横断面図である。 第６図は本考案の別実施例を示す要部の横断面図であ
る。 第７図は本考案の別実施例を示す複合柱材の横断面図で
ある。 第８図は従来例を示す横断面図である。 ４……柱、５……壁パネル、5a……接続部、７……溝、
8a……フランジ状部、９……接着剤。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】パイプ状の金属製柱と壁パネルとよりなる
   複合柱材であって、その複合柱材はいずれもが表面と裏
   面に塗装を施した塗装鋼板よりなり、前記壁パネルの両
   側部に隣接壁パネルとの接続部が形成されるとともに、
   その両接続部間の中間部に前記金属製柱の一側面を構造
   用接着剤で接着してなることを特徴とする複合柱材。