JPH0841602A - 磁気特性に優れた方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

磁気特性に優れた方向性電磁鋼板およびその製造方法

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JPH0841602A
JPH0841602A JP6180104A JP18010494A JPH0841602A JP H0841602 A JPH0841602 A JP H0841602A JP 6180104 A JP6180104 A JP 6180104A JP 18010494 A JP18010494 A JP 18010494A JP H0841602 A JPH0841602 A JP H0841602A
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steel sheet
grain
annealing
rolling
linear
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JP6180104A
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Masayoshi Ishida
昌義 石田
Kunihiro Senda
邦浩 千田
Keiji Sato
圭司 佐藤
Michiro Komatsubara
道郎 小松原
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Kawasaki Steel Corp
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/14Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/147Alloys characterised by their composition
    • H01F1/14766Fe-Si based alloys
    • H01F1/14775Fe-Si based alloys in the form of sheets
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溝形成による鉄損の低減技術において、より
一層の低鉄損化を安定して実現できる新規な技術を提案
する。 【構成】 鋼板表面に、圧延方向と交差する向きに延び
る多数の線状溝を有し、かつ該線状溝の底面および両側
面の3面のうち少なくとも1面に沿って、Ge,In,Sn,
PbおよびBi並びにこれら各元素の酸化物および硫酸塩の
うちから選ばれた少なくともいずれか1種を鋼板中に拡
散させた領域を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、変圧器その他の電機
機器の鉄心材料として有利に適合する磁気特性に優れた
方向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、主に変圧器その他の
電気機器の鉄心として利用され、磁気特性に優れるこ
と、中でも鉄損の低いことが要求される。この鉄損は、
概ねヒステリシス損と渦電流損との和で表すことがで
き、ヒステリシス損は強い抑制力をもつインヒビターを
用いることによって結晶方位をゴス方位すなわち(11
0)〔001〕方位に高度に集積させることや、磁化し
たとき磁壁移動の際のピンニング因子の生成原因となる
不純物元素を低減させること等により大幅に低減されて
きた。一方、渦電流損については、Si含有量を増加して
電気抵抗を増大させることや、鋼板板厚を薄くするこ
と、鋼板地鉄表面に地鉄と熱膨張係数の異なる被膜を形
成して地鉄に張力を付与すること、結晶粒の微細化によ
り磁区幅を低減すること等によって、その低減が図られ
てきた。
【0003】さらに近年では、渦電流損の低減により、
一層鉄損を低減できる技術として、鋼板の圧延方向と垂
直な方向にレーザー光(特公昭57−2252号公報)やプラ
ズマ炎(特開昭62-96617号公報)等を照射する方法が提
案された。これらの方法は、鋼板表面に線状または点状
に微細な熱歪を導入することによって磁区を細分化し、
この磁区細分化によって鉄損を低減しようとするもので
ある。しかしながら、これらの方法では、磁区細分化後
に高温での熱処理を施すと鉄損低減効果が消失してしま
うため、照射処理後に歪取焼鈍を不可欠とする巻鉄心用
素材としては用いることができなかった。
【0004】そこで、歪取焼鈍にも耐え得る磁区細分化
技術として、鋼板への溝形成を利用した方法が種々開発
された。このような技術として、たとえば、仕上焼鈍後
すなわち二次再結晶後の鋼板に局所的に溝を形成し、そ
の反磁界効果によって磁区を細分化する方法があるが、
かかる溝形成手段としては、機械的な加工(特公昭50-3
5679号公報)やレーザー光照射により絶縁被膜および下
地被膜を局所的に除去した後電解エッチングする(特開
昭63-76819号公報)方法等が提案されている。また、特
公昭62-53579号公報には、歯形ロールで圧刻後、歪取焼
鈍を施すことによって、溝形成および再結晶を達成して
磁区を細分化する方法が、さらに特開昭59−197520号公
報には、仕上焼鈍前の鋼板に溝を形成する方法が、それ
ぞれ開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような溝形成技
術によって、歪取焼鈍後も磁区細分化効果を維持できる
ようになったけれども、鉄損の低減幅は、前記したレー
ザー光やプラズマ炎等を照射する方法と比較すると十分
とは言えず、一層の低鉄損化が望まれていた。この発明
は、上記の要請に有利に応えるもので、溝形成による鉄
損の低減技術において、より一層の低鉄損化を安定して
実現できる新規な技術を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、方向
性電磁鋼板の低鉄損化を目的として鋭意実験検討を重ね
た結果、表面に線状溝を有する方向性電磁鋼板におい
て、該線状溝の周囲、すなわち底面および両側面の近辺
に、特定の物質を拡散させた領域を形成することによ
り、従来よりも格段に鉄損が低減することの知見を得
た。この発明は、上記の知見の立脚するものである。
【0007】すなわち、この発明は、鋼板表面に、圧延
方向と交差する向きに延びる多数の線状溝を有し、かつ
該線状溝の底面および両側面の3面のうち少なくとも1
面に沿って、Ge,In,Sn,PbおよびBi並びにこれら各元
素の酸化物および硫酸塩のうちから選ばれた少なくとも
いずれか1種を鋼板中に拡散させた領域を形成したこと
を特徴とする鉄損特性に優れた方向性電磁鋼板である。
【0008】またこの発明は、含けい素鋼スラブを、熱
間圧延した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷
間圧延を施して最終製品板厚とし、ついで脱炭焼鈍、最
終仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の
製造方法において、最終冷間圧延を経た鋼板に、圧延方
向と交差する向きに多数の線状溝を形成すると共に、最
終仕上焼鈍後、該線状溝の底面および両側面の3面のう
ち少なくとも1面に、Ge,In,Sn,PbおよびBi並びにこ
れら各元素の酸化物および硫酸塩のうちから選ばれた少
なくともいずれか1種を付着させたのち、 400℃以上の
温度で焼鈍することを特徴とする鉄損特性に優れた方向
性電磁鋼板の製造方法である。
【0009】この発明において、鋼板表面に形成する線
状溝の形態は、幅:30〜300 μm 、深さ:10〜70μm 、
溝間隔:1〜30mm、圧延方向との交差角度:圧延方向と
直角な方向に対し30゜以内とすることが好ましい。
【0010】以下、この発明を具体的に説明する。ま
ず、この発明の基礎となった実験結果について説明す
る。Mn, SeおよびAlをインヒビター形成成分として微量
含有する鋼スラブを、常法に従い熱間圧延ついで中間焼
鈍を挟む2回の冷間圧延を施して0.23mm厚の最終冷延板
とした。次いで、この冷延板に、所望の線状溝形状に対
応する非塗布部を残してレジストインキを塗布しマスキ
ングした。ここに、非塗布部の形状は、板幅方向に平行
な幅:200 μm の直線とした。このような直線状の非塗
布部を、圧延方向に間隔:3mmで残した。次に、NaCl浴
を用いた電解エッチング処理により、深さ:20μm の線
状溝を形成した。そして、レジスト剤を除去してから、
脱炭焼鈍および仕上焼鈍を施した後、Ge,In,Sn,Pbお
よびBiの各酸化物の微粉末をそれぞれ樹脂とともに混練
したペーストを、溝部分に塗布、次いで乾燥させた後、
250〜 850℃の範囲の種々の温度で焼鈍を施した。その
後、張力コーティングを塗布、焼き付けた後、 850℃,
3hの歪取焼鈍を施した。
【0011】また、比較のため、最終冷延板に対し線状
溝形成処理を施さない鋼板、および幅:200 μm 、深
さ:20μm 、溝間隔:3mmの板幅方向に平行な直線状の
線状溝を形成した鋼板に対し、上と同じ条件で脱炭焼
鈍、仕上焼鈍を施してから張力コーティングを塗布、焼
き付けた後、歪取焼鈍を施した。
【0012】かくして得られた各鋼板から、エプスタイ
ン試験片を、その長手方向が圧延方向と一致するように
切り出し、それぞれの磁気特性について測定した結果を
図1に示す。図1に示したとおり、Ge,In,Sn,Pbおよ
びBiの各金属を含むペーストを塗布し、 400℃以上の温
度で焼鈍を施した場合には、溝なしは勿論、溝のみを形
成した従来材に比べて、格段に鉄損が低減している。な
お、Ge,In,Sn,PbおよびBiの各金属、その硫酸塩また
はそれらの混合物を塗布した場合にも、同様に鉄損の低
減が確認された。
【0013】
【作用】さて、線状溝の底面および両側面の3面のうち
少なくとも1面に沿って、Ge,In,Sn,PbおよびBi並び
にこれら各元素の酸化物および硫酸塩のうちから選ばれ
た少なくともいずれか1種を鋼板中に拡散させた領域
(以下、拡散領域と示す)を形成することによって、鉄
損特性が改善されることは事実であるが、その理由につ
いては未だ明らかにはなっていない。しかし、次に示す
諸説のいずれかによって説明が可能と考えられる。
【0014】まず、磁区の細分化について説明する。す
なわち、鋼板表面に導入された線状溝は、電磁鋼板が磁
化されたときに自由磁極を生じ、この磁極によって生じ
る磁気エネルギーを減少させるように磁区幅が減少し、
その結果、異常渦電流損が減少することが知られてい
る。しかしながら、磁束線は線状溝の下部を迂回して磁
極の発生を妨げようとする傾向があるため、その分渦電
流損の減少効果が低減することになる。この磁束線の迂
回は、方向性けい素鋼板の磁気異方性に抗して生じるた
め、線状溝周辺の磁気異方性を強化することによって、
磁束線の迂回による磁区細分化効果の低下を抑制するこ
とが可能となる。つまり、線状溝周辺に磁気異方性を増
大させた領域を形成すれば、ここでの磁気異方性が強ま
って、磁束線の迂回を効果的に阻止することができ、そ
の結果、磁区細分化効果を強化することができるのであ
る。従って、鉄損が向上する理由として、拡散領域を形
成することによって、線状溝周辺の磁気異方性が増大す
ることが考えられる。
【0015】また、これら元素が線状溝周辺の領域に拡
散することによって、飽和磁歪値が周囲と異なる領域が
形成され、両者の歪感受性の違いによって線状溝部に発
生する磁極を増強する機構、さらに、線状拡散領域の存
在による内部応力の増大が磁区細分化効果を増強する機
構、によっても前記の鉄損改善効果を説明することがで
きる。
【0016】ここで、拡散領域の分布形態としては、線
状溝の底面または線状溝の両側面の少なくとも一方と隣
接する領域、すなわち図2に示すように、線状溝の底面
と隣接して、その面に沿って延びる帯状の領域1、同様
に両側面とそれぞれ隣接して、その面に沿って延びる帯
状の領域2aおよび2bのうちのいずれか少なくとも1領域
であれば良い。なお、かかる拡散領域の厚みt(図2参
照)が50μm に満たないと磁化の回転が起こり易いの
で、厚みを50μm 以上とすることが好ましく、一方この
領域の厚みがあまりに大きいと鋼板の磁気抵抗率が減少
し、かえって鉄損の劣化を招くので、この領域の厚みは
400μm 以下とするのが好ましい。
【0017】なお、上記領域は、線状溝に沿って連続的
に板幅方向に形成されていることがより望ましいが、必
ずしも連続的である必要はなく、破線状のように断続的
であっても良い。また、この領域の結晶粒方位は、その
周辺と同じにする、すなわち同一の結晶粒内において低
Si領域が形成されていることが望ましいが、この領域内
に粒界または微細な結晶粒が存在していても良い。
【0018】線状溝の形状については、幅:30〜300 μ
m 、深さ:10〜70μm で、溝間隔:1〜30mm、圧延方向
との交差角度:圧延方向と直角な方向に対し30゜以内と
することが好ましい。というのは、溝幅が30μm に満た
ない場合および溝の深さが10μm に満たない場合には、
磁極の発生量が少ないために十分な磁区細分化効果が得
られず、一方溝幅が 300μm を超えた場合および溝深さ
が70μm を超えた場合には磁束密度の著しい低下を招く
からである。また、溝間隔が1mmに満たないと磁束密度
の低下が著しく、一方30mmを超えると磁区細分化効果が
低下し、鉄損低減が十分でなくなる。さらに、線状溝の
方向が圧延方向と直角な方向に対し±30゜の範囲を逸脱
すると磁区細分化効果が急激に小さくなり、鉄損低減効
果が著しく劣化する。
【0019】線状溝の形成時期については、最終冷間圧
延後であれば、最終仕上焼鈍の前後のいずれの段階でも
構わない。溝を形成する方法については局所的にエッチ
ング処理する方法、刃物等でけがく方法、突起付きロー
ルで圧延する方法等が挙げられるが、最も望ましい方法
は、最終冷間圧延直後に、レジスト−電解エッチング法
等の電気化学的方法またはエッチング等の化学的方法に
よって、鋼板に溝を形成する方法である。
【0020】次に、線状溝の周辺に拡散領域を形成する
には、仕上げ焼鈍後に、結晶磁気異方性定数が素材であ
る珪素鋼よりも大きい物質、例えばGe,In,Sn,Pbおよ
びBi並びにこれら各元素の酸化物および硫酸塩のうちか
ら選ばれた少なくともいずれか1種を、線状溝の底面ま
たは両側面のいずれか一方に塗布し、400 ℃以上の温度
で焼鈍することが好ましい。
【0021】ここに、焼鈍温度が 400℃に満たないと、
前掲図1に示したとおり、溝の周辺における拡散領域の
形成が不十分になって、満足いく磁区細分化効果が得ら
れないので、焼鈍温度は 400℃以上とする必要がある。
なお、焼鈍温度が 850℃をこえると、拡散領域である合
金層が消滅する場合もあるから、焼鈍温度は 850℃以下
とすることが好ましい。また、この工程は、仕上げ焼鈍
後に行う必要があり、仕上げ焼鈍前では、上記領域を安
定して形成することが難しい。
【0022】なお、拡散領域を形成するには、上記の図
1に結果を示した実験における、ペーストによる塗布後
に焼鈍を行う手法が好適であるが、これ以外にも、真空
蒸着、スパッタリング、気相化学反応蒸着などの成膜プ
ロセス、あるいはめっき、プラズマスプレー、静電塗装
などの付着技術を用いてもよい。ここに、Ge,In,Sn,
PbおよびBi並びにこれら各元素の酸化物および硫酸塩の
うちから選ばれた少なくともいずれか1種の拡散量とし
ては、0.5 wt%以上であることがより望ましい。という
のは、0.5 wt%に満たないと、磁気異方性の増強効果が
小さく、磁束線の線状溝下部迂回を有効に抑制して鉄損
改善を図ることが望めないからである。
【0023】この発明で対象とする電磁鋼板について
は、特に限定されることはなく、従来公知の電磁鋼板で
あればいずれにも適用することができる。ここに、好適
組成を示すと次のとおりである。 C:0.01〜0.10wt%(以下単に%と示す) Cは、熱間圧延、冷間圧延中の組織の均一微細化のみな
らず、ゴス方位の発達にも有用な元素であり、少なくと
も0.01%の添加が好ましいが、0.10%を超えて含有する
とかえってゴス方位に乱れが生じるので、0.01〜0.10%
程度とするのが好ましい。
【0024】Si: 2.0〜4.5 % Siは、鋼板の比抵抗を高めて鉄損の低減に有効に寄与す
るが、 4.5%を上回ると冷延性が損なわれ、一方 2.0%
に満たないと比抵抗が低下するだけでなく、二次再結晶
・鈍化のために行われる仕上焼鈍中にα−γ変態によっ
て結晶方位のランダム化を生じ、十分な鉄損低減効果が
得られないので、Si量は 2.0〜4.5 %程度とするのが好
ましい。
【0025】Mn:0.02〜0.12% Mnは、熱間脆性を防止するために少なくとも0.02%程度
を必要とするが、あまりに多すぎると磁気特性を劣化さ
せるので上限は0.12%程度に定めるのが好ましい。
【0026】ゴス方位以外の方位を有する結晶粒の粒成
長を抑制し、有効にゴス方位を成長させるために添加さ
れるインヒビターとしては、MnS, MnSe系と、AlN系が
挙げられる。 ・MnS, MnSe系;Se, Sのうちから選んだ少なくとも1
種:0.005 〜0.06% Se, Sは、いずれもインヒビターとして有効な元素であ
り、抑制力確保の観点からは少なくとも 0.005%程度を
必要とするが、0.06%を超えるとかえってその効果が損
なわれるので、単独添加または複合添加いずれの場合に
おいても含有量は 0.005〜0.06%程度とするのが好まし
い。 ・AlN系;Al:0.005 〜0.10%, N:0.004 〜0.015 % AlおよびNの範囲についても、上述のMnS, MnSe系の場
合と同様の理由により上記の範囲とした。ここに、上述
したMnS, MnSe系とAlN系との併用は可能である。
【0027】なお、上記したS, Se, Al以外にも、イン
ヒビター構成元素として、Cu, Sn,Cr, Ge, Sb, Mo, Te,
BiおよびP等を利用することができる。ここに、上記
成分の好適添加範囲はそれぞれ、Cu, Sn, Cr:0.01〜0.
15%、Ge, Sb, Mo, Te, Bi:0.005 〜0.1 %、P:0.01
〜0.2 %であり、これらの各インヒビターについても単
独使用および複合使用いずれもが可能である。
【0028】
【実施例】
実施例1 Al, Mn, SeおよびSbをインヒビター形成成分として微量
含有するけい素鋼スラブを、常法に従い熱間圧延ついで
中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して0.23mm厚の最終
冷延板とした。次いで、この冷延板に、線状溝形状に対
応する非塗布部を残してレジストインキを塗布しマスキ
ングした。ここで、非塗布部の形状は、板幅方向に延び
る幅:200 μm の直線とした。このような直線状の非塗
布部を、圧延方向の間隔:3mmで残した。次に、NaCl浴
を用いた電解エッチング処理により、深さ:20μm の線
状溝を形成した。次に、レジスト剤を除去してから、脱
炭焼鈍および仕上焼鈍を施した後、表1に示す種々の物
質を樹脂と混練したペーストを、溝部分に塗布・乾燥
し、焼き付けた後、 450℃および 750℃の各温度で焼鈍
を施した。
【0029】また、比較のため、最終冷延板に対し線状
溝形成処理を施さない鋼板、および幅:200 μm 、深
さ:20μm 、圧延方向の間隔:3mmの板幅方向に平行な
直線状の線状溝を形成したレジスト剤除去後の鋼板に対
し、同様にして脱炭焼鈍および仕上焼鈍を施した後、 8
50℃, 3時間の歪取焼鈍を施した。
【0030】かくして得られた歪取焼鈍後の各鋼板か
ら、エプスタイン試験片を、その長手方向が圧延方向と
一致するように切り出し、それぞれの磁気特性について
測定した結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1から明らかなように、この発明に従い
線状溝部分に CaCO3を塗布し、 800℃以上で焼鈍した場
合には、比較材に比べて鉄損が大幅に低減されている。
【0033】実施例2 Al, Mn, SeおよびSbをインヒビター形成成分として微量
含有するけい素鋼スラブを、常法に従い熱間圧延ついで
中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して0.23mm厚の冷延
板とした。次いで、この冷延板に、線状溝形状に対応す
る非塗布部を残してレジストインキを塗布しマスキング
した。ここで、非塗布部の形状は、板幅方向に対し10゜
の角度をなして延びる幅:200 μm の直線とした。この
ような直線状の非塗布部を間隔:3mm毎に残した。次
に、NaCl浴を用いた電解エッチング処理により、深さ25
μm の線状溝を形成した後、レジスト剤を除去してか
ら、脱炭焼鈍および仕上焼鈍を施した。その後、線状溝
部に YAGレーザーを照射することによって線状溝部に生
成した被膜を除去した後、種々の物質を含むペーストを
塗布し、焼鈍した。
【0034】また比較のため、最終冷延板に対し線状溝
形成処理を施さない鋼板、および幅:200 μm 、深さ:
20μm 、間隔:3mm、板幅方向に対する角度:10゜で直
線状に延びる線状溝を形成し、レジスト剤除去後、線状
溝上に YAGレーザーを照射した鋼板に対し、同様にして
脱炭焼鈍および仕上焼鈍を施し、張力コーティングを塗
布、焼き付けた後、 850℃, 3時間の歪取焼鈍を施し
た。
【0035】かくして得られた歪取焼鈍後の各鋼板か
ら、エプスタイン試験片を、その長手方向が圧延方向と
一致するように切り出し、それぞれの磁気特性について
測定した結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】表2から明らかなように、この発明に従い
得られた鋼板は、比較材に比べて格段に鉄損が低減して
いる。
【0038】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、歪取焼鈍に
よっても劣化することのない、優れた鉄損特性を有する
方向性電磁鋼板を安定して得ることができ、特に変圧器
鉄心の用途に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼鈍温度と鉄損との関係を示すグラフである。
【図2】線状溝周辺の拡散領域の形態を示す模式図であ
る。
【符号の簡単な説明】
1 領域 2a 領域 2b 領域
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/16 (72)発明者 佐藤 圭司 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社鉄鋼開発・生産本部鉄鋼研究所 内 (72)発明者 小松原 道郎 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社鉄鋼開発・生産本部鉄鋼研究所 内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面に、圧延方向と交差する向きに
    延びる多数の線状溝を有し、かつ該線状溝の底面および
    両側面の3面のうち少なくとも1面に沿って、Ge,In,
    Sn,PbおよびBi並びにこれら各元素の酸化物および硫酸
    塩のうちから選ばれた少なくともいずれか1種を鋼板中
    に拡散させた領域を形成したことを特徴とする磁気特性
    に優れた方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 含けい素鋼スラブを、熱間圧延した後、
    1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して
    最終製品板厚とし、ついで脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施
    す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法におい
    て、 最終冷間圧延を経た鋼板に、圧延方向と交差する向きに
    多数の線状溝を形成すると共に、最終仕上焼鈍後、該線
    状溝の底面および両側面の3面のうち少なくとも1面
    に、Ge,In,Sn,PbおよびBi並びにこれら各元素の酸化
    物および硫酸塩のうちから選ばれた少なくともいずれか
    1種を付着させたのち、400 ℃以上の温度で焼鈍するこ
    とを特徴とする磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、線状溝が、
    幅:30〜300 μm 、深さ:10〜70μm 、溝間隔:1〜30
    mm、圧延方向との交差角度:圧延方向と直角な方向に対
    し30゜以内である磁気特性に優れた方向性電磁鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103305788A (zh) * 2013-06-07 2013-09-18 和顺银圣化工有限公司 一种取向硅钢用锑助剂的制备方法

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