JPH0837433A - 高周波電力増幅器 - Google Patents

高周波電力増幅器

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JPH0837433A
JPH0837433A JP7110966A JP11096695A JPH0837433A JP H0837433 A JPH0837433 A JP H0837433A JP 7110966 A JP7110966 A JP 7110966A JP 11096695 A JP11096695 A JP 11096695A JP H0837433 A JPH0837433 A JP H0837433A
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high frequency
input impedance
frequency power
harmonic
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Masahiro Maeda
昌宏 前田
Osamu Ishikawa
修 石川
Hiroyasu Takehara
宏泰 竹原
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドレイン効率を飛躍的に向上させた高周波電
力増幅器を提供する。 【構成】 入力側RF端子5は、入力側整合用線路7を
介してFET60のゲート9に接続されている。FET
60のソース10は接地されている。また、FET60
のドレイン11は、出力側整合用線路12を介して出力
側RF端子14に接続している。FET60のドレイン
11に接続された線路には、第1の線路16及び第1の
コンデンサ17を備えた2次高調波の出力インピーダン
ス制御回路31が接続されている。FET60のゲ−ト
9に接続された線路には、長さLdが基本波周波数に相
当する波長のほぼ1/4によりも長い第2の線路21及
び接地用の第2のコンデンサ22を備えた、2次高調波
の入力インピーダンス制御回路32が接続されている。
これにより、電力用トランジスタの入力において、高調
波に対するインピーダンスが制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波帯を利用し
た通信機等の主に送信回路部に用いられるような、半導
体素子を用いて高周波電力を得る高周波(RF)電力増
幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話をはじめとする通信機の
普及により、マイクロ波帯の高周波電力増幅器への需要
が高まっている。それにともない、高周波電力増幅器に
対する低電圧動作化、高効率化、小型・軽量化の要望が
強くなっている。そのため、シリコンデバイスと比較し
て低電圧動作化、高効率化に適しているGaAsデバイ
スが、高周波電力増幅器で使用される傾向にある。
【0003】高周波電力増幅器の回路設計にあたって、
含まれるスイッチング素子、例えばトランジスタの出力
部回路を基本波周波数だけでなく高調波成分も考慮して
設計すれば、基本波周波数だけを考慮して設計する場合
に比べて高周波電力増幅器がより高効率で動作すること
が報告されている。例えば、David M.Sniderによる"ATh
eoretical Analysis and Experimental Confirmation o
f the Optimally Loaded and Overdriven RF Power Amp
lifier", IEEE Trans. on Electron Devices,Vol.ED-1
4, No.12, pp.851-857 (Dec.1967)には、高周波電力増
幅器に含まれるトランジスタの出力端において、基本波
周波数でのインピーダンス整合を得ることに加えて、基
本波の偶数倍周波数の高調波成分に対してインピーダン
スを零にするという最適効率条件を実現することが紹介
されている。特開昭58−159002号公報及び特開
昭62−114310号公報には、上記の最適効率条件
を満足するための具体的な回路構成が示されている。さ
らに、中山らによる”UHF帯低電圧動作高効率高出力
FET増幅器”、信学技報(TECHNICAL REPORT OFIEIC
E.), ED93-170, MW93-127, ICD93-185(1994-01)には、
上記のような具体的な回路構成の一例として、GaAs
FETを用いた2段構成の高周波電力増幅器において周
波数935MHz、ドレイン電圧3.3Vで出力電力3
1dBm、効率61.5%が得られたことが報告されて
いる。
【0004】以下、図面を参照しながら、特開昭58−
159002号公報に示された従来の高周波用電力増幅
器について説明する。
【0005】図1は、従来の高周波電力増幅器50の回
路図である。高周波電力増幅器50は所定の値の比誘電
率εrを有する基板上に設けられており、電力用電界効
果トランジスタ(以下、FETと称する)60、FET
60の入力側に接続された入力インピーダンス整合回路
70、及びFET60の出力側に接続された出力インピ
ーダンス整合回路80を備えている。入力インピーダン
ス整合回路70は、入力側RF端子5に接続された外部
回路のインピーダンスを、FET60の内部インピーダ
ンスに整合させる。同様に、出力インピーダンス整合回
路80は、出力側RF端子14に接続された外部回路の
インピーダンスを、FET60の内部インピーダンスに
整合させる。
【0006】入力インピーダンス整合回路70におい
て、FET60のゲート9は、入力側直流阻止コンデン
サ6及び入力側整合用線路7を介して、入力側RF端子
5に接続されている。入力側整合用線路7は、抵抗3を
介してゲートバイアス電圧供給端子1に接続されている
とともに、入力側整合用コンデンサ8を介して接地され
ている。
【0007】一方、出力インピーダンス整合回路80に
おいて、FET60のドレイン11は、出力側直流阻止
コンデンサ13及び出力側整合用線路12を介して、出
力側RF端子14に接続されている。出力側整合用線路
12は、チョークコイル4を介してドレインバイアス電
圧供給端子2に接続されているとともに、出力側整合用
コンデンサ15を介して接地されている。さらに、FE
T60のドレイン11に接続された線路の点Aと接地レ
ベルとの間には、第1の線路16及び第1のコンデンサ
17が直列に接続されている。
【0008】FET60のソース10は、直接接地され
ている。
【0009】以上のような構成において、入力インピー
ダンス整合回路70は、入力側整合用線路7の長さと入
力側整合用コンデンサ8の容量とを調整することによ
り、基本波周波数において入力インピーダンスの整合を
とるように設計される。同様に出力インピーダンス整合
回路80は、出力側整合用線路12の長さと出力側整合
用コンデンサ15の容量とを調整することにより、基本
波周波数において出力インピーダンスの整合をとるよう
に設計されている。なお、以下では、図1の点Bより見
た基本波(周波数f)に対する入力インピーダンスをZ
in(f)、点Aより見た基本波に対する出力インピー
ダンスをZout(f)と略記する。
【0010】点Aに接続された第1の線路16の長さL
aは、その電気長が基本波周波数fに相当する波長の1
/4になるように設計されている。この結果、点Aから
第1の線路16を見たインピーダンスは、基本波に対し
ては無限大となる。一方、上記のように設計された長さ
Laは、基本波と比べて2倍の周波数2fを有し波長が
1/2である2次高調波に対しては、1/2波長に相当
する。したがって、点Aから第1の線路16を見たイン
ピーダンスは、2次高調波に対しては零となる。
【0011】これより、第1の線路16と第1のコンデ
ンサ17とからなる回路31は、2次高調波に対する出
力インピーダンスZout(2f)を、基本波に対する
出力インピーダンスZout(f)に影響を与えること
なく独立して制御することができ、2次高調波に対する
出力インピーダンス制御回路として機能する。以下で
は、この回路31をZout(2f)制御回路31と略
記する。
【0012】高周波電力増幅器においては、使用される
FET60が決まれば、動作効率を最大にするために必
要な各インピーダンスZin(f)、Zout(f)及
びZout(2f)の最適値は、一般に一義的に求めら
れる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】すでに述べたように、
上記のようなZout(2f)制御回路31を用いて、
2次高調波に対する出力インピーダンスZout(2
f)だけを制御する従来の高周波用電力増幅器50で
は、GaAsFETを用いた2段構成において、低電圧
動作(3.3V)条件で総合効率61.5%が得られて
いる。ドレイン電圧が低い条件では高効率化を実現する
ことは難しく、上述のような3.3V動作の条件におけ
る総合効率61.5%という値は、GaAsFETを用
いた従来の高周波電力増幅器としてほぼ最高性能であ
る。すなわち、従来技術の構成では、さらなる高効率化
の達成は困難である。
【0014】本発明は、従来技術の上記課題を解決する
ためになされたものであり、その目的は、より高効率化
の高周波電力増幅器を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波電力増幅
器は、電力用トランジスタと、該電力用トランジスタの
入力に接続されている入力インピーダンス整合回路と、
該電力用トランジスタの出力に接続されている出力イン
ピーダンス整合回路と、を備え、該入力インピーダンス
整合回路は、基本波周波数の高調波に対する入力インピ
ーダンスを所定の範囲内に設定する入力インピーダンス
制御回路を有し、該入力インピーダンス制御回路は、該
電力用トランジスタの入力に接続されており、そのこと
により、上記課題を解決する。
【0016】ある実施例では、前記入力インピーダンス
制御回路が、前記電力用トランジスタの動作周波数帯域
より低い周波数の高調波に対して共振点を有している。
【0017】他の実施例では、前記入力インピーダンス
制御回路は、2次高調波に対する入力インピーダンス
を、スミスチャート上で点A(0+j4Ω)、点B(0
+j25Ω)、点C(5+j25Ω)及び点D(5+j
4Ω)で囲まれた範囲内に設定する。
【0018】さらに他の実施例では、前記入力インピー
ダンス制御回路が、前記基本波周波数に相当する波長の
1/4より長い電気長を有する線路と、一端が該線路に
直列に接続され、他端が接地されているコンデンサと、
を備えている。
【0019】さらに他の実施例では、前記入力インピー
ダンス制御回路が、前記基本波周波数に相当する波長の
1/8より長い電気長を有していて他端が開放されてい
る線路を含む。
【0020】さらに他の実施例では、前記入力インピー
ダンス制御回路が直列共振回路を含み、該直列共振回路
が、線路と、一端が該線路に直列に接続されて他端が接
地されているコンデンサとから構成されている。
【0021】さらに他の実施例では、前記出力インピー
ダンス整合回路が、前記電力用トランジスタの出力に接
続されていて前記高調波に対する出力インピーダンスを
所定の値に設定する出力インピーダンス制御回路を有す
る。
【0022】さらに他の実施例では、前記出力インピー
ダンス整合回路は、2次高調波に対する出力インピーダ
ンスを、前記電力用トランジスタの最大動作効率をもた
らす値に設定するように構成されている。
【0023】本発明の高周波電力増幅器は、電力用トラ
ンジスタと、該電力用トランジスタの入力に接続されて
いる入力インピーダンス整合回路と、該電力用トランジ
スタの出力に接続されている出力インピーダンス整合回
路と、を備え、該入力インピーダンス整合回路は、基本
波周波数の高調波に対する入力インピーダンスを所定の
範囲内に設定し、そのことにより上記課題が解決され
る。
【0024】ある実施例では、前記入力インピーダンス
整合回路は、2次高調波に対する入力インピーダンス
を、スミスチャート上で点A(0+j4Ω)、点B(0
+j25Ω)、点C(5+j25Ω)及び点D(5+j
4Ω)で囲まれた範囲内に設定する。
【0025】他の実施例では、前記入力インピーダンス
整合回路が、前記電力用トランジスタの入力に接続され
た整合線路と、一端が該整合線路の第1の所定の位置に
接続され、他端が接地されている第1の整合コンデンサ
と、一端が該整合線路の第2の所定の位置に接続され、
他端が接地されている第2の整合コンデンサと、を備
え、該第1の整合コンデンサの容量値、該第2の整合コ
ンデンサの容量値、該第1の所定の位置及び該第2の所
定の位置は、2次高調波に対する入力インピーダンスを
所定の範囲内に設定されるように選択されている。
【0026】さらに他の実施例では、前記出力インピー
ダンス整合回路が、前記電力用トランジスタの出力に接
続されていて前記高調波に対する出力インピーダンスを
所定の値に設定する出力インピーダンス制御回路を有す
る。
【0027】さらに他の実施例では、前記出力インピー
ダンス整合回路は、2次高調波に対する出力インピーダ
ンスを、前記電力用トランジスタの最大動作効率をもた
らす値に設定するように構成されている。
【0028】
【作用】請求項1に規定される本発明の高周波電力増幅
器では、入力インピーダンス整合回路に、高調波に対す
る入力インピーダンスを制御する入力インピーダンス制
御回路を設ける。これによって、基本波周波数の高調波
に対する入力インピーダンスを制御する。この制御によ
って、高周波電力増幅器に含まれる電力用トランジスタ
のゲート端における電圧波形を、サイン波状から台形波
に近いものに成形する。ゲート電圧波形が台形波に近く
なることにより、ドレイン端での電圧/電流のスイッチ
ングが促進され、ドレイン端において電流と電圧とが同
時に発生する時間が短縮される。この結果、電力用トラ
ンジスタの内部で熱として放散される電力が減り、高周
波(RF)電力への変換効率が改善される。その結果、
高周波電力増幅器の効率が飛躍的に向上する。
【0029】入力インピーダンス制御回路は、請求項2
に規定されているように、電力用トランジスタの動作周
波数帯域より低い周波数の高調波に対して共振点を有し
ているように構成される。
【0030】あるいは、入力インピーダンス制御回路
は、2次高調波に対する入力インピーダンスを請求項3
に規定する範囲に設定する。これによって、2次高調波
に対する入力インピーダンスの位相角が130°〜17
0°になるように制御され、2次高調波に対する入力イ
ンピーダンスがインダクタ領域に設定される。
【0031】上記のような作用を有する入力インピーダ
ンス制御回路は、例えば、請求項4〜6のいずれかに規
定されている構成を有するように構成される。
【0032】一方、請求項9に規定されている本発明の
高周波電力増幅器では、上記のような入力インピーダン
ス制御回路を使用せずに、入力インピーダンス整合回路
を適切に構成することによって、請求項1に規定されて
いる高周波電力増幅器と同様な作用を得る。
【0033】その場合、入力インピーダンス整合回路
は、2次高調波に対する入力インピーダンスを請求項1
0に規定する範囲に設定する。これによって、2次高調
波に対する入力インピーダンスの位相角が130°〜1
70°になるように制御され、2次高調波に対する入力
インピーダンスがインダクタ領域に設定される。
【0034】上記のような作用を有する入力インピーダ
ンス整合回路は、例えば請求項11に規定されているよ
うに、電力用トランジスタの入力に接続された整合線路
と、整合線路の第1の所定の位置に接続されて接地され
ている第1の整合コンデンサと、整合線路の第2の所定
の位置に接続されて接地されている第2の整合コンデン
サとを備えるように構成される。そして、第1の整合コ
ンデンサの容量値、第2の整合コンデンサの容量値、第
1の所定の位置及び第2の所定の位置を制御して、2次
高調波に対する入力インピーダンスを所定の範囲内に設
定する。
【0035】請求項7及び12に規定される出力インピ
ーダンス制御回路は、2次高調波に対する出力インピー
ダンスを制御して、所定の値に設定する。これによっ
て、より効率的な出力インピーダンスの整合が達成され
て、高周波電力増幅器の動作効率がより向上する。
【0036】あるいは、請求項8及び13に規定するよ
うに、2次高調波に対する出力インピーダンスが前記電
力用トランジスタの最大動作効率をもたらす値に設定さ
れるように、出力インピーダンス制御回路を構成する。
これによって、高周波電力増幅器の動作効率が向上す
る。
【0037】
【実施例】以下、本発明の高周波電力増幅器の実施例
を、図面を参照しながら説明する。以下の説明におい
て、それ以前に説明を加えた図面と等価な部分について
は、同一の参照番号を付す。
【0038】(実施例1)図2は、本発明の第1の実施
例における高周波電力増幅器100の回路図である。
【0039】高周波電力増幅器100は所定の値の比誘
電率εrを有する基板上に設けられており、FET6
0、FET60の入力側に接続された入力インピーダン
ス整合回路170、及びFET60の出力側に接続され
た出力インピーダンス整合回路80を備えている。高周
波電力増幅器100は、先に図1を参照して説明した従
来の高周波電力増幅器の構成に対して、入力インピーダ
ンス整合回路170の構成が異なっている。
【0040】具体的には、FET60のゲート9に接続
された線路の点Bに、長さLdの第2の線路21及び第
2の線路21を接地する第2のコンデンサ22が、直列
に接続されている。第2の線路21の長さLdを、その
電気長が基本波周波数に対してほぼ1/4波長に相当す
るように設計すれば、点Bから第2の線路21を見たイ
ンピーダンスは基本波に対しては無限大となる。一方、
上記のように設計された長さLdは、基本波の1/2の
波長を有する2次高調波に対しては1/2波長に相当す
るので、点Bから第2の線路21を見たインピーダンス
は、2次高調波に対してはほぼ零となる。これより、第
2の線路21と第2のコンデンサ22とからなる回路3
2は、2次高調波に対する入力インピーダンスZin
(2f)を、基本波に対する入力インピーダンスZin
(f)に影響を与えることなく独立して制御することが
でき、2次高調波に対する入力インピーダンス制御回路
として機能する。以下では、この回路32をZin(2
f)制御回路32と略記する。
【0041】高周波電力増幅器100において使用する
FET60として、例えばGaAsMESFETを使用
することができる。このようなGaAsMESFET
は、例えば、半絶縁性GaAs基板上にシリコンをイオ
ン注入した後にアニール処理してチャンネルを形成し、
そのチャネルにリセスを施すことによって形成すること
ができる。FET60のパラメータは、典型的には総ゲ
ート幅(Wg)=12mm、飽和電流(Idss)=
2.5A、ゲート・ソース間耐圧10V以上、及びゲー
ト・ドレイン間耐圧20V以上である。
【0042】上記のFET60の動作効率を基本波周波
数で最大とするために必要な各インピーダンスZin
(f)、Zout(f)及びZout(2f)の最適値
は、それぞれ一義的に求まる。例えば、基本波周波数f
=950MHz、ドレイン電圧3.5V、入力電力20
dBmという条件下で、第2の線路21の長さLdを、
その電気長が比誘電率(εr)=10の基板上で周波数
950MHzに対してほぼ1/4波長に相当するLd=
30mmに調整した場合には、各インピーダンスの最適
値は、それぞれZin(f)=4+j12Ω、Zout
(f)=6+j1Ω、Zout(2f)=0.5+j1
3Ωである。図3に示すスミスチャートには、それぞれ
の最適値をプロットしている。
【0043】次に、良好なドレイン効率が得られる2次
高調波に対する入力インピーダンスZin(2f)の領
域を調べるために、第2の線路21の長さLdの変化に
伴う高周波電力増幅器100の出力特性の変化を調べ
た。具体的には、第2の線路21の長さLdを比誘電率
(εr)=10の基板上で28mmから35mmまで変
化させて、2次高調波に対する入力インピーダンスZi
n(2f)の変化を測定した。図4は、その測定結果を
示すスミスチャート図である。
【0044】図4に示すように、2次高調波に対する入
力インピーダンスZin(2f)は、スミスチャート上
の短絡点S(0+j0Ω)を中心に、点G(1.5+j
25Ω)から点I(1.5−j25Ω)まで変化した。
このように、第2の線路21の長さLdを変化させれ
ば、基本波に対する入力インピーダンスZin(f)を
ほとんど変化させることなく、2次高調波に対する入力
インピーダンスZin(2f)を、スミスチャート上で
短絡点S(=0+j0Ω)を中心とした弧を描くように
変化させることができる。
【0045】図5は、2次高調波に対する入力インピー
ダンスZin(2f)の位相角と高周波電力増幅器10
0の出力特性(ドレイン効率及び出力電力)との関係を
示す。上記と同様に、第2の線路21の長さLdを28
mmから35mmまで変化させ、点Bより見た2次高調
波に対する入力インピーダンスZin(2f)を図4に
示したように変化させた。測定は、基本波周波数950
MHz、ドレイン電圧3.5V、入力電力20dBmと
いう条件下で行った。
【0046】これより、2次高調波に対する入力インピ
ーダンスZin(2f)の位相角が160°、すなわち
Zin(2f)=0.5+j9Ωのときに、出力電力3
2.5dBmかつドレイン効率75%という極めて良好
な特性が得られた。この特性は、従来技術に比べてドレ
イン効率に換算して10%の向上である。さらに、2次
高調波に対する入力インピーダンスZin(2f)の位
相角が130°から170°、つまりZin(2f)=
0+j4Ω(点A)〜1.5+j25Ω(点G)の範囲
にあるときに、高周波電力増幅器100のドレイン効率
が70%以上と良好であった。
【0047】しかし、2次高調波に対する入力インピー
ダンスZin(2f)が容量性の領域にある点H(0.
5−j9Ω)や点I(1.5−j25Ω)では、出力特
性は従来技術の測定結果よりも劣化している。さらに、
2次高調波に対する入力インピーダンスZin(2f)
が零(0+j0Ω)になる短絡点Sでは、出力特性が極
端に悪化している。
【0048】さらに詳しい検討を行った結果、2次高調
波に対する入力インピーダンスZin(2f)を、図6
のスミスチャートにおける点A(0+j4Ω)、点B
(0+j25Ω)、点C(5+j25Ω)及び点D(5
+j4Ω)で囲まれた斜線領域に含まれるように設定す
ることにより、高周波電力増幅器100は、基本波周波
数950MHz、ドレイン電圧3.5V、入力電力20
dBmの条件で、従来技術よりも優れたドレイン効率6
5%以上の良好な動作特性を示すことが明らかとなっ
た。上記の範囲は、2次高調波に対する入力インピーダ
ンスZin(2f)がインダクタ領域にあることを意味
している。
【0049】従来技術において、出力インピーダンスの
整合を得る場合、通常は、2次高調波に対する出力イン
ピーダンスZout(2f)を零(=0+j0)に設定
し、2次高調波に対して短絡条件を得るように設計す
る。
【0050】さらに、特開平7−22872号公報(EP
-A-547871及びUSP-5,347,229に相当する)では、ヘテロ
接合バイポーラトランジスタ(HBT)を用いるととも
に入力及び出力の両方に高調波に対する共振回路を具備
する電力増幅器が提供されている。上記文献では、デバ
イス基準面において入力回路の2次高調波に対するイン
ピーダンスが零(位相角:+/−180°)となり、か
つ3次高調波に対するインピーダンスが開放(位相角:
0°)となるときに、高効率化が実現できると報告され
ている。さらに、入力回路における3次高調波の終端条
件は、電力増幅器の動作特性にそれほど大きな影響を与
えないとしている。すなわち、入力側にインピーダンス
整合回路を設けることを開示している上記文献では、2
次高調波に対する入力インピーダンスZin(2f)が
零(0+j0)となって短絡条件が得られる場合に、高
周波電力増幅器の高効率が達成されると述べられてい
る。
【0051】このように、従来技術においては、高周波
電力増幅器の高効率化を図るためには、2次高調波に対
する入力インピーダンスZin(2f)及び出力インピ
ーダンスZout(2f)を零にするということが、常
識であった。
【0052】しかし、上記のように、発明者らによる詳
細な検討の結果、2次高調波に対する入力インピーダン
スZin(2f)の短絡条件が達成される場合、すなわ
ちZin(2f)=0+j0Ωで位相角が180°とな
る条件では、出力電力及び効率がともに極端に劣化し
て、動作特性に極めて深刻な影響が現れることが明らか
になった。すなわち、2次高調波に対する入力インピー
ダンスZin(2f)が基本波周波数、すなわちFET
60の動作周波数帯域の中心周波数で零となる上記のZ
in(2f)=0+j0Ωという場合に、中心周波数よ
り低周波数側で動作特性が極端に劣化する。
【0053】したがって、全動作周波数帯域で良好な動
作特性を得るためには、高周波電力増幅器に印加される
最も低い周波数に対しても2次高調波に対する入力イン
ピーダンスZin(2f)が零にならないように、2次
高調波に対する入力インピーダンスZin(2f)をあ
らかじめインダクタ領域に設定することが必要である。
このことは、FET60の入力側に接続されるZin
(2f)制御回路(入力インピーダンス制御回路)32
の共振周波数を、動作周波数より低い値に設定すること
により実現できる。
【0054】比較のために、図2に示す本実施例の高周
波電力増幅器100において、上述の最高性能(出力3
2.5dBm及び効率75%)が得られたZin(2
f)=0.5+j9Ωに相当する構成からZin(2
f)制御回路32を取り外した構成について、動作特性
を評価した。Zin(2f)制御回路32を取り外して
も基本波に対する入力インピーダンスZin(f)は変
化しないが、2次高調波に対する入力インピーダンスZ
in(2f)は変化して、Zin(2f)=45−j1
00Ωになった。この時の高周波電力増幅器の特性は、
基本波周波数950MHz、ドレイン電圧3.5V、入
力電力20dBmの条件で、出力電力31.5dBmか
つドレイン効率65%であった(図5に、「従来例」と
して図示)。前記したように、Zin(2f)制御回路
32を備えた本実施例の高周波電力増幅器100では、
同じ条件下で出力電力32.5dBmかつドレイン効率
75%の動作特性が得られている。この結果からも、本
実施例のようにZin(2f)制御回路32を用いて2
次高調波に対する入力インピーダンスZin(2f)を
所定のインピーダンスに設定することが、動作特性の向
上に大きく寄与していることが確認された。
【0055】図7は、2次高調波に対する入力インピー
ダンスZin(2f)の位相角と出力特性(ドレイン効
率及び出力電力)との関係を示す高周波シミュレータに
よる解析結果である。ドレイン電圧Vd=3.5V及び
基本波周波数f=950MHzとして、2次高調波に対
する入力インピーダンスZin(2f)を、図4に示す
ようにスミスチャートの外周に沿って弧を描くように変
化させた。基本波に対する入出力インピーダンスZin
(f)、Zout(f)、および2次高調波に対する出
力インピーダンスZout(2f)は、それぞれ図3に
示す一定値に設定した。
【0056】図7に示すように、先に述べた実測結果と
よく一致した結果がシミュレーションによっても確認さ
れた。すなわち、2次高調波に対する入力インピーダン
スZin(2f)の位相角が160°のときに、出力電
力Pout=31.5dBm及びドレイン効率=76%
という良好な特性が得られている。一方で、2次高調波
に対する入力インピーダンスZin(2f)が零で位相
角が180°のとき、つまり2次高調波に対する入力イ
ンピーダンスZin(2f)の短絡条件が達成される場
合には、出力電力及びドレイン効率がともに低下して動
作特性が極端に劣化することが、シミュレーションによ
っても確認された。
【0057】以下に、高効率化のメカニズム、及び2次
高調波に対する入力インピーダンスZin(2f)が零
となる条件で動作特性が極端に劣化する原因、のそれぞ
れに関する発明者の検討結果を述べる。
【0058】高効率化のメカニズムを、図8(a)及び
(b)に示すゲート端での電圧電流波形を参照しながら
説明する。
【0059】図8(a)は、2次高調波に対する入力イ
ンピーダンスZin(2f)を最適に制御した場合の電
圧電流波形であり、図8(b)は、2次高調波に対する
入力インピーダンスZin(2f)をまったく制御しな
い場合の電圧電流波形である。具体的には、図8(a)
はZin(2f)=0.5+j9Ωの場合であって、図
8(b)はZin(2f)=45−j100Ωの場合で
ある。いずれの場合も、入力電力は20dBm一定であ
る。
【0060】これより、2次高調波に対する入力インピ
ーダンスZin(2f)の制御を行わない場合(図8
(b))にはサイン波状であるゲート端での電圧波形
が、適切な制御を行うことによって、図8(a)に示す
ように台形波に近くなっているのが分かる。ゲート電圧
波形が台形波に近くなることにより、ドレイン端での電
圧/電流のスイッチングが促進され、ドレイン端におい
て電流と電圧とが同時に発生する時間が短縮される。こ
の結果、FETの内部で熱として放散される電力が減
り、RF電力への変換効率が改善される。
【0061】一方、動作特性の劣化原因を、図8(c)
を参照して説明する。
【0062】図8(c)は、2次高調波に対する入力イ
ンピーダンスZin(2f)が零となる場合の、ゲート
端での電圧電流波形である。この場合、入力電力が一定
であるにも関わらず電圧電流波形に乱れが生じている。
さらに電圧の振幅が小さくなっている。このような低い
ゲート電圧では、高周波電力増幅器に含まれるFETを
十分に駆動させることができない。この結果、2次高調
波に対する入力インピーダンスZin(2f)が零とな
る条件では、出力電圧及び効率がいずれも大きく劣化す
る。
【0063】表1には、本実施例にしたがって得られた
いくつかの高周波電力増幅器α、β、γの動作特性を示
す。各高周波電力増幅器α、β、γは、Zin(2f)
制御回路によって、2次高調波に対する入力インピーダ
ンスZin(2f)を表1に示す値あるいは範囲内に設
定する。
【0064】比較のために表1には、2次高調波に対す
る入力インピーダンスZin(2f)=0+j0Ωに設
定した高周波電力増幅器εの動作特性、及び2次高調波
に対する入力インピーダンスZin(2f)の制御を行
わない従来例の高周波電力増幅器における動作特性の測
定結果も、あわせて示している。
【0065】いずれの高周波電力増幅器も、基本波周波
数に対する入出力インピーダンス及び2次高調波に対す
る出力インピーダンスのそれぞれが、図3に示した最適
値、すなわちZin(f)=4+j12Ω、Zout
(f)=6+j1Ω及びZout(2f)=0.5+j
13Ωとなるように設計している。また、動作特性の測
定は、基本波周波数950MHz、ドレイン電圧3.5
V及び入力電力20dBmという条件で行った。また、
比誘電率εr=10である基板を使用している。
【0066】表1から明らかなように、2次高調波に対
する入力インピーダンスZin(2f)の制御を行う本
実施例にしたがって構成された高周波電力増幅器α、
β、γはでは、制御を行わない従来例に比べて動作特性
が向上する。
【0067】
【表1】
【0068】以上のように、本実施例の高周波電力増幅
器100では、FET60のゲート10に接続した線路
の点BにZin(2f)制御回路32を付加して、2次
高調波に対する入力インピーダンスZin(2f)を所
定の範囲に設定する。これによって、高周波電力増幅器
100の動作効率は、従来に比べてドレイン効率で最大
10%向上し、75%のドレイン効率が得られる。
【0069】ただし、2次高調波に対する入力インピー
ダンスZin(2f)が零(位相角180°)となる条
件では、出力電力及び効率はともに極端に劣化して、従
来技術よりも劣った結果になる。したがって、動作周波
数において2次高調波に対する入力インピーダンスZi
n(2f)が零とならないように、入力インピーダンス
整合回路70に含まれるZin(2f)制御回路(入力
インピーダンス制御回路)32を適切に設計することが
重要である。
【0070】2次高調波に対する入力インピーダンスZ
in(2f)を適切な値にするためには、所定の動作周
波数の値に対して、Zin(2f)制御回路32に含ま
れる第2の線路21の長さLd及び/または第2のコン
デンサ22の容量を、適切に設定すればよい。具体的に
は、第2の線路21の長さLdを、その電気長が基本波
周波数に相当する波長の1/4より長くなるように設定
する。その上で、設定された第2の線路21の長さLd
に基づいて、2次高調波に対する入力インピーダンスZ
in(2f)が先に図6に示した斜線領域に含まれるよ
うに、第2のコンデンサ22の容量を設定する。例え
ば、基本波周波数f=950MHzでεr=10の基板
を用いる場合には、第2の線路21の長さLdを、基本
波周波数に相当する波長の1/4である30mmより長
い30.5mm〜35mmの範囲に設定し、第2のコン
デンサ22の容量を、50pF〜1000pFの範囲に
設定すればよい。
【0071】(実施例2)実施例1の高周波電力増幅器
100では、2次高調波に対する入力インピーダンスZ
in(2f)を所定のインピーダンスにする手段とし
て、ショートスタブ方式のZin(2f)制御回路(入
力インピーダンス制御回路)32を採用している。それ
に対して、以下で説明する本実施例の高周波電力増幅器
200では、オープンスタブ方式のZin(2f)制御
回路(入力インピーダンス制御回路)を採用する。
【0072】図9は、本実施例の高周波電力増幅器20
0の回路図である。高周波電力増幅器200は、FET
60、FET60の入力側に接続された入力インピーダ
ンス整合回路270、及びFET60の出力側に接続さ
れた出力インピーダンス整合回路80を備えている。高
周波電力増幅器200は、先に図2を参照して説明した
実施例1の高周波電力増幅器100の構成に対して、入
力インピーダンス整合回路270の構成が異なってい
る。
【0073】具体的には、高周波電力増幅器200の点
Bには、一端が開放された第3の線路23が接続されて
おり、この線路23をZin(2f)制御回路33とし
て機能させる。第3の線路23の長さLeは、その電気
長が基本波周波数に対応する波長のほぼ1/8よりやや
長くなるように設定する。その他の回路構成は、使用す
るFET60も含めて第1の実施例の高周波電力増幅器
100と同様であり、同じ構成要素には同じ参照番号を
付けているので、その詳細な説明はここでは省略する。
また、各インピーダンスZin(f)、Zout(f)
及びZout(2f)は、それぞれ図3に示した値と同
じに設定する。
【0074】第1の実施例と同様に、基本波周波数f=
950MHzにおいて評価を行った。第3の線路23の
長さLeを、その電気長がεr=10の基板上では基本
波周波数950MHzに対する波長のほぼ1/8に相当
する15mmより長く設定して、2次高調波に対する入
力インピーダンスZin(2f)=0.5+j9Ωとし
た。このとき、高周波電力増幅器200の特性は、基本
波周波数950MHz、ドレイン電圧3.5V、入力電
力20dBmの条件で、出力電力32.5dBm、ドレ
イン効率75%である。これは、表1に示した増幅器α
と同じ特性であった。
【0075】次に、第3の線路23の長さLeを13m
mから20mmまで変化すると、2次高調波に対する入
力インピーダンスZin(2f)は、先に図4に示した
場合とほぼ同様に、スミスチャート上の短絡点Sを中心
として大きく弧を描いて変動した。2次高調波に対する
入力インピーダンスZin(2f)が表1に示す領域S
にある時、高周波電力増幅器200の特性は、表1に示
す高周波電力増幅器βと同じであった。
【0076】さらに詳しい検討を行った結果、実施例2
の高周波電力増幅器200においても、2次高調波に対
する入力インピーダンスZin(2f)の値を表1に示
した各値または範囲に設定すれば、それに対応して表1
に示した各高周波電力増幅器α、β、γと同様な動作特
性が得られることが明らかとなった。
【0077】以上のように本実施例の高周波電力増幅器
200では、実施例1で使用したショートスタブ方式に
かえて、オープンスタブ方式のZin(2f)制御回路
(入力インピーダンス制御回路)33を点Bに接続して
いる。そして、所定の動作周波数の値に対して、Zin
(2f)制御回路33に含まれる第3の線路23の長さ
Leを、その電気長が基本波周波数に相当する波長の1
/8より長くなるように設定して、2次高調波に対する
入力インピーダンスZin(2f)を先に図6に示した
斜線領域に含まれるように設定する。これによって、実
施例1と同様の性能が得られる。具体的には、基本波周
波数f=950MHzであって比誘電率εr=10の基
板を使用する場合には、第3の線路23の長さLeを、
その電気長が基本波周波数に相当する波長の1/4に等
しくなる15mmより長い15.5mm〜20mmの範
囲に設定すればよい。
【0078】(実施例3)以下で説明する本実施例の高
周波電力増幅器300では、2次高調波に対する入力イ
ンピーダンスZin(2f)を所定の範囲に設定する手
段として、実施例1のショートスタブ方式のZin(2
f)制御回路(入力インピーダンス制御回路)32ある
いは実施例2のオープンスタブ方式のZin(2f)制
御回路(入力インピーダンス制御回路)33に代えて、
LC直列共振方式のZin(2f)制御回路(入力イン
ピーダンス制御回路)を採用する。
【0079】図10は、本実施例の高周波電力増幅器3
00の回路図である。高周波電力増幅器300は、FE
T60、FET60の入力側に接続された入力インピー
ダンス整合回路370、及びFET60の出力側に接続
された出力インピーダンス整合回路80を備えている。
高周波電力増幅器300は、先に図2を参照して説明し
た実施例1の高周波電力増幅器100の構成に対して、
入力インピーダンス整合回路370の構成が異なってい
る。
【0080】具体的には、高周波電力増幅器300の点
Bには、第4の線路24、及び一端が接地された1〜2
pF程度の容量値を有する第4のコンデンサ25が接続
されている。第4の線路24の長さLfは、その電気長
がεr=10の基板上では基本波周波数に対する波長の
1/16程度であり、点Bから第4の線路25を見たイ
ンピーダンスは、2次高調波に対してはほぼ零である。
一方、第4のコンデンサ25の上記の容量値は、実施例
1のZin(2f)制御回路32に含まれる第2のコン
デンサ22の容量値よりも小さく、2次高調波に対して
短絡されないような値に設定されている。この結果、第
4の線路24と第4のコンデンサ25とからなる回路3
4は、2次高調波に対して直列共振するように設定され
る。高周波電力増幅器300では、この回路34を、Z
in(2f)制御回路34として機能させる。その他の
回路構成は使用するFET60も含めて第1の実施例の
高周波電力増幅器100と同様であり、同じ構成要素に
は同じ参照番号を付けているので、その詳細な説明はこ
こでは省略する。また、各インピーダンスZin
(f)、Zout(f)及びZout(2f)は、ぞれ
ぞれ図3に示す値と同じに設定する。
【0081】第1の実施例と同様に、基本波周波数f=
950MHzにおいて評価を行った。第4の線路24の
長さLfを10mm、第4のコンデンサ25の容量を
1.2pFにして、2次高調波に対する入力インピーダ
ンスZin(2f)=0.5+j9Ωとした。また、基
板の比誘電率εr=10である。このとき、高周波電力
増幅器300の特性は、基本波周波数950MHz、ド
レイン電圧3.5V、入力電力20dBmの条件で、出
力電力32.5dBm、ドレイン効率75%である。こ
れは、表1に示した増幅器αと同じ特性であった。
【0082】次に、第4のコンデンサ25の容量を1.
2pFで一定としたままで、第4の線路24の長さLf
を7.5mmから14.5mmまで変化すると、2次高
調波に対する入力インピーダンスZin(2f)は、先
に図4に示した場合とほぼ同様に、スミスチャート上の
短絡点Sを中心として大きく弧を描いて変動した。2次
高調波に対する入力インピーダンスZin(2f)が表
1に示す領域Sにある時、高周波電力増幅器300の特
性は、表1に示す高周波電力増幅器βと同じであった。
【0083】さらに詳しい検討を行った結果、実施例3
の高周波電力増幅器300においても、2次高調波に対
する入力インピーダンスZin(2f)の値を表1に示
した各値または範囲に設定すれば、それに対応して表1
に示した各高周波電力増幅器α、β、γと同様な動作特
性が得られることが明らかとなった。
【0084】以上のように本実施例では、LC直列共振
方式のZin(2f)制御回路(入力インピーダンス制
御回路)34を点Bに接続している。そして、所定の動
作周波数の値に対して、Zin(2f)制御回路34に
含まれる第4の線路24の長さLf及び/または第4の
コンデンサ25の容量を適切に設定する。これによっ
て、2次高調波に対する入力インピーダンスZin(2
f)を、先に図6に示した斜線領域に含まれるように設
定することにより、実施例1と同様の性能が得られる。
具体的には、εr=10の基板上で、基本波周波数f=
950MHzの場合には、第4の線路24の長さLfを
10mm〜13mmの範囲に設定し、第4のコンデンサ
25の容量を、1.2pF〜1.3pFの範囲に設定す
ればよい。
【0085】(実施例4)本実施例の高周波電力増幅器
400では、基本波に対する入力インピーダンスZin
(f)を一定値に保ったまま2次高調波に対する入力イ
ンピーダンスZin(2f)を制御するにあたって、こ
れまでの実施例で使用しているZin(2f)制御回路
(入力インピーダンス制御回路)を用いないで制御を行
う。
【0086】図11は、本実施例の高周波電力増幅器4
00の回路図である。高周波電力増幅器400は、FE
T60、FET60の入力側に接続された入力インピー
ダンス整合回路470、及びFET60の出力側に接続
された出力インピーダンス整合回路80を備えている。
高周波電力増幅器400は、先に図2を参照して説明し
た実施例1の高周波電力増幅器100の構成に対して、
入力インピーダンス整合回路470の構成が異なってい
る。
【0087】具体的には、高周波電力増幅器400の点
Bには、Zin(2f)制御回路が接続されていない。
その一方で、入力側整合用線路7には、入力側整合用コ
ンデンサ8に加えて第2の入力側整合用コンデンサ27
が接続されている。それぞれの入力側整合用コンデンサ
8、27は、図11に示されているように、入力側整合
用線路7のFET60に近い一端からそれぞれLg+L
h及びLgの位置に接続されている。高周波電力増幅器
400では、入力側整合用コンデンサ8の容量値Cin
1、第2の入力側整合用コンデンサ27の容量値Cin
2、およびそれぞれのコンデンサ8、27の接続位置を
決定する長さLg、Lhを適切に調整して、2次高調波
に対する入力インピーダンスZin(2f)を調整す
る。その他の回路構成は、使用するFET60も含めて
第1の実施例の高周波電力増幅器100と同様であり、
同じ構成要素には同じ参照番号を付けているので、その
詳細な説明はここでは省略する。また、各インピーダン
スZin(f)、Zout(f)及びZout(2f)
は、ぞれぞれ図3に示す値に設定されている。
【0088】第1の実施例と同様に、基本波周波数f=
950MHzにおいて評価を行った。上述の各パラメー
タの値を、それぞれCin1=6pF、Cin2=5p
F、Lg=6mm及びLh=5mmとして、点Bより見
た2次高調波に対する入力インピーダンスZin(2
f)=0.5+j9Ωとした。基板の比誘電率εr=1
0である。このとき、高周波電力増幅器400の特性
は、基本波周波数950MHz、ドレイン電圧3.5
V、入力電力20dBmの条件で、出力電力32.5d
Bm、ドレイン効率75%である。これは、表1に示し
た増幅器αと同じ特性であった。
【0089】さらに詳しい検討を行った結果、実施例4
の高周波電力増幅器400においても、2次高調波に対
する入力インピーダンスZin(2f)の値を表1に示
した各値または範囲に設定すれば、それに対応して表1
に示した各高周波電力増幅器α、β、γと同様な動作特
性が得られることが明らかとなった。
【0090】以上のように本実施例では、Zin(2
f)制御回路を使用せずに2次高調波に対する入力イン
ピーダンスZin(2f)を制御する。そのために、入
力側整合用コンデンサ8、27の容量値Cin1、Ci
n2、およびそれぞれのコンデンサ8、27の入力側整
合用線路7への接続位置を決定する長さLg、Lhを適
切に設定する。これによって、2次高調波に対する入力
インピーダンスZin(2f)を先に図6に示した斜線
領域に含まれるように設定することにより、実施例1と
同様の性能が得られる。
【0091】(実施例5)本実施例の高周波電力増幅器
500では、基本波に対する出力インピーダンスZou
t(f)を最大効率をもたらす値に保ったまま2次高調
波に対する出力インピーダンスZout(2f)を制御
するにあたって、これまでの実施例で使用しているZo
ut(2f)制御回路(出力インピーダンス制御回路)
を用いない。
【0092】図12は、本実施例の高周波電力増幅器5
00の回路図である。高周波電力増幅器500は、FE
T60、FET60の入力側に接続された入力インピー
ダンス整合回路170、及びFET60の出力側に接続
された出力インピーダンス整合回路580を備えてい
る。
【0093】高周波電力増幅器500は、先に図2を参
照して説明した実施例1の高周波電力増幅器100の構
成に対して、出力インピーダンス整合回路580の構成
が異なっている。一方、FET60及び入力インピーダ
ンス整合回路170は、第1の実施例の高周波電力増幅
器100と同様であり、同じ構成要素には同じ参照番号
を付けているので、その詳細な説明はここでは省略す
る。
【0094】高周波電力増幅器500の点Bには、第1
の実施例における高周波電力増幅器100(図2参照)
と同様なショートスタブ方式のZin(2f)制御回路
32が接続されている。その一方で、出力側整合用線路
12には、出力側整合用コンデンサ15に加えて第2の
出力側整合用コンデンサ28が接続されている。それぞ
れの出力側整合用コンデンサ15、28は、図12に示
されているように、出力側整合用線路12のFET60
に近い一端からそれぞれLi+Lj及びLiの位置に接
続されている。高周波電力増幅器500では、出力側整
合用コンデンサ15の容量値Cout1、第2の出力側
整合用コンデンサ28の容量値Cout2、およびそれ
ぞれのコンデンサ15、28の接続位置を決定する長さ
Li、Ljを適切に調整して、基本波に対する出力イン
ピーダンスZout(f)及び2次高調波に対する出力
インピーダンスZout(2f)を調整する。具体的に
は、各パラメータの値を、それぞれCout1=1p
F、Cout2=6pF、Li=5.5mm及びLj=
2mmとすることによって、点Aより見たインピーダン
スを基本波周波数950MHzに対して最大効率を与え
るZout(f)=6+j1Ω及びZout(2f)=
0.5+j13Ωとする。ここで、基板の比誘電率εr
は10である。これらのインピーダンスは、図3と同じ
値である。
【0095】第1の実施例と同様に、基本波周波数f=
950MHzにおいて、Zin(2f)制御回路32に
含まれる第1の線路21の長さLd及び第1のコンデン
サ22の容量値を適切に設定して入力インピーダンスを
調整し、Zin(f)=4+j12Ω及びZin(2
f)=0.5+j9Ωとした。このとき、高周波電力増
幅器500の特性は、基本波周波数950MHz、ドレ
イン電圧3.5V、入力電力20dBmの条件で、出力
電力32.5dBm、ドレイン効率75%である。これ
は、表1に示した増幅器αと同じ特性であった。
【0096】さらに詳しい検討を行った結果、実施例5
の高周波電力増幅器500においても、2次高調波に対
する入力インピーダンスZin(2f)の値を表1に示
した各値または範囲に設定すれば、それに対応して表1
に示した各高周波電力増幅器α、β、γと同様な動作特
性が得られることが明らかとなった。
【0097】以上のように本実施例によれば、第1の実
施例と同様なZin(2f)制御回路32を使用して2
次高調波に対する入力インピーダンスZin(2f)を
最適値に設定する際に、Zout(2f)制御回路を使
用しなくてもよいことが明らかになった。この場合に
も、Zin(2f)制御回路32に含まれる第2の線路
21の長さLd及び/あるいは第2のコンデンサ22の
容量を適切に制御して、2次高調波に対する入力インピ
ーダンスZin(2f)を先に図6に示した斜線領域に
含まれるように設定することにより、実施例1と同様の
性能が得られる。
【0098】(実施例6)図13に、第6の実施例の高
周波電力増幅器600の回路図を示す。この高周波電力
増幅回路600は、実施例2における高周波電力増幅回
路200と同様な構成の入力インピーダンス整合回路2
70、及び実施例5における高周波電力増幅回路500
と同様な構成の出力インピーダンス整合回路580を備
えている。
【0099】高周波電力増幅器600を、基本波周波数
950MHzにおいて動作効率が最大となるZout
(f)=6+j1Ω、Zout(2f)=0.5+j1
3Ω、Zin(f)=4+j12Ωが得られるように設
計し、実施例2と同様に第3の線路23からなるZin
(2f)制御回路33を調整して、2次高調波に対する
入力インピーダンスZin(2f)を変化させた。その
結果、高周波電力増幅器600においても、2次高調波
に対する入力インピーダンスZin(2f)の値を表1
に示した各値または範囲に設定すれば、それに対応して
表1に示した各高周波電力増幅器α、β、γと同様な動
作特性が得られることが明らかとなった。
【0100】このように本実施例の高周波電力増幅器6
00の構成においても、実施例2と同様にZin(2
f)制御回路33に含まれる第3の線路23の長さLe
を、その電気長が基本波周波数に相当する波長の1/8
より長くなるように設定して、2次高調波に対する入力
インピーダンスZin(2f)を先に図6に示した斜線
領域に含まれるように設定する。これによって、実施例
1と同様の性能が得られる。
【0101】(実施例7)図14に、第7の実施例の高
周波電力増幅器700の回路図を示す。この高周波電力
増幅回路700は、実施例3における高周波電力増幅回
路300と同様な構成の入力インピーダンス整合回路3
70、及び実施例5における高周波電力増幅回路500
と同様な構成の出力インピーダンス整合回路580を備
えている。
【0102】高周波電力増幅器700を、基本波周波数
950MHzにおいて動作効率が最大となるZout
(f)=6+j1Ω、Zout(2f)=0.5+j1
3Ω、Zin(f)=4+j12Ωが得られるように設
計し、実施例3と同様にZin(2f)制御回路に含ま
れる第4の線路24の長さLf及び第4のコンデンサ2
5の容量値を適切な値に設定して、2次高調波に対する
入力インピーダンスZin(2f)を変化させた。その
結果、高周波電力増幅器700においても、2次高調波
に対する入力インピーダンスZin(2f)の値を表1
に示した各値または範囲に設定すれば、それに対応して
表1に示した各高周波電力増幅器α、β、γと同様な動
作特性が得られることが明らかとなった。
【0103】このように本実施例の高周波電力増幅器7
00の構成においても、実施例3と同様にZin(2
f)制御回路34に含まれる第4の線路24の長さLf
及び/または第4のコンデンサ25の容量を適切に設定
する。これによって、2次高調波に対する入力インピー
ダンスZin(2f)を、先に図6に示した斜線領域に
含まれるように設定することにより、実施例1と同様の
性能が得られる。
【0104】(実施例8)図15に、第8の実施例の高
周波電力増幅器800の回路図を示す。この高周波電力
増幅回路800は、実施例4における高周波電力増幅回
路400と同様な構成の入力インピーダンス整合回路4
70、及び実施例5における高周波電力増幅回路500
と同様な構成の出力インピーダンス整合回路580を備
えている。
【0105】高周波電力増幅器800を、基本波周波数
950MHzに対して効率が最大となるZout(f)
=6+j1Ω、Zout(2f)=0.5+j13Ω、
Zin(f)=4+j12Ωが得られるように設計し、
実施例4と同様に入力側整合用コンデンサ8の容量値C
in1、第2の入力側整合用コンデンサ27の容量値C
in2、およびそれらの接続箇所を示す長さLg、Lh
を調整して、2次高調波に対する入力インピーダンスZ
in(2f)を変化させた。その結果、高周波電力増幅
器800においても、2次高調波に対する入力インピー
ダンスZin(2f)の値を表1に示した各値または範
囲に設定すれば、それに対応して表1に示した各高周波
電力増幅器α、β、γと同様な動作特性が得られること
が明らかとなった。
【0106】このように本実施例の高周波電力増幅器8
00の構成においても、実施例4と同様にZin(2
f)制御回路を使用せずに2次高調波に対する入力イン
ピーダンスZin(2f)を制御する。そのために、入
力側整合用コンデンサ8、27の容量値Cin1、Ci
n2、およびそれぞれのコンデンサ8、27の入力側整
合用線路7への接続位置を決定する長さLg、Lhを適
切に設定する。これによって、2次高調波に対する入力
インピーダンスZin(2f)を先に図6に示した斜線
領域に含まれるように設定することにより、実施例1と
同様の性能が得られる。
【0107】従来の高周波電力増幅器に比べてドレイン
効率が高くなる2次高調波に対する入力インピーダンス
Zin(2f)の範囲は、図6に示したように、スミス
チャート上で点A(0+j4Ω)、点B(0+j25
Ω)、点C(5+j25Ω)、点D(5+j4Ω)で囲
まれる領域である。
【0108】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明の高周波
電力増幅器では、2次高調波に対する入力インピーダン
スを所定の範囲に設定することによって、従来に比べて
高効率な高周波電力増幅器を実現する。
【0109】本発明の請求項1に規定される本発明の高
周波電力増幅器では、入力インピーダンス整合回路に、
高調波に対する入力インピーダンスを制御する入力イン
ピーダンス制御回路を設ける。これによって、基本波周
波数の高調波に対する入力インピーダンスを制御する。
この制御によって、高周波電力増幅器に含まれる電力用
トランジスタのゲート端における電圧波形を、サイン波
状から台形波に近いものに成形する。ゲート電圧波形が
台形波に近くなることにより、ドレイン端での電圧/電
流のスイッチングが促進され、ドレイン端において電流
と電圧とが同時に発生する時間が短縮される。この結
果、電力用トランジスタの内部で熱として放散される電
力が減り、高周波(RF)電力への変換効率が改善され
る。その結果、高周波電力増幅器の効率が飛躍的に向上
する。具体的には、GaAsFETを用いた高周波電力
増幅器を試作・評価の結果、ドレイン電圧3.5Vの低
電圧動作において、例えば出力電力32.5dBm、ド
レイン効率75%という従来の高周波電力増幅器を飛躍
的に上回る性能が達成されている。これは、従来技術に
比べて、ドレイン効率で最大10%の向上である。
【0110】入力インピーダンス制御回路は、請求項2
に規定されているように、電力用トランジスタの動作周
波数帯域より低い周波数の高調波に対して共振点を有し
ているように構成される。
【0111】あるいは、入力インピーダンス制御回路
は、2次高調波に対する入力インピーダンスを請求項3
に規定する範囲に設定する。これによって、2次高調波
に対する入力インピーダンスの位相角が130°〜17
0°になるように制御され、2次高調波に対する入力イ
ンピーダンスがインダクタ領域に設定される。
【0112】上記のような機能を有する入力インピーダ
ンス制御回路は、例えば、請求項4〜6のいずれかに規
定されている構成を有するように構成される。
【0113】一方、請求項9に規定されている本発明の
高周波電力増幅器では、上記のような入力インピーダン
ス制御回路を使用せずに、入力インピーダンス整合回路
を適切に構成することによって、請求項1に規定されて
いる高周波電力増幅器と同様な機能を得る。
【0114】その場合、入力インピーダンス整合回路
は、2次高調波に対する入力インピーダンスを請求項1
0に規定する範囲に設定する。これによって、2次高調
波に対する入力インピーダンスの位相角が130°〜1
70°になるように制御され、2次高調波に対する入力
インピーダンスがインダクタ領域に設定される。
【0115】上記のような作用を有する入力インピーダ
ンス整合回路は、例えば請求項11に規定されているよ
うに、電力用トランジスタの入力に接続された整合線路
と、整合線路の第1の所定の位置に接続されて接地され
ている第1の整合コンデンサと、整合線路の第2の所定
の位置に接続されて接地されている第2の整合コンデン
サとを備えるように構成される。そして、第1の整合コ
ンデンサの容量値、第2の整合コンデンサの容量値、第
1の所定の位置及び第2の所定の位置を制御して、2次
高調波に対する入力インピーダンスを所定の範囲内に設
定する。
【0116】請求項7及び12に規定される出力インピ
ーダンス制御回路は、2次高調波に対する出力インピー
ダンスを制御して、所定の値に設定する。これによっ
て、より効率的な出力インピーダンスの整合が達成され
て、高周波電力増幅器の動作効率がより向上する。
【0117】あるいは、請求項8及び13に規定するよ
うに、2次高調波に対する出力インピーダンスが前記電
力用トランジスタの最大動作効率をもたらす値に設定さ
れるように、出力インピーダンス制御回路を構成する。
これによって、高周波電力増幅器の動作効率が向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の高周波電力増幅器の構成を示す回路図で
ある。
【図2】本発明の第1の実施例における高周波電力増幅
器の構成を示す回路図である。
【図3】図2の高周波電力増幅器のZin(f)、Zo
ut(f)、Zout(2f)の最適値を示すスミスチ
ャート図である。
【図4】図2の高周波電力増幅器に含まれる第2の線路
の長さLdを変化したときの、Zin(2f)の変化を
示すスミスチャート図である。
【図5】図2の高周波電力増幅器に含まれる第2の線路
の長さLdを変化したときの、高周波電力増幅器の出力
特性を示す図である。
【図6】本発明の高周波電力増幅器におけるZin(2
f)の好ましい範囲を示すスミスチャート図である。
【図7】Zin(2f)の位相角と高周波電力増幅器の
出力特性との関係に関するシミュレーション結果を示す
図である。
【図8】(a)〜(c)は、本発明の高周波電力増幅器
に含まれるFETのゲート端子における電圧電流波形を
示す図である。
【図9】本発明の第2の実施例における高周波電力増幅
器の構成を示す回路図である。
【図10】本発明の第3の実施例における高周波電力増
幅器の構成を示す回路図である。
【図11】本発明の第4の実施例における高周波電力増
幅器の構成を示す回路図である。
【図12】本発明の第5の実施例における高周波電力増
幅器の構成を示す回路図である。
【図13】本発明の第6の実施例における高周波電力増
幅器の構成を示す回路図である。
【図14】本発明の第7の実施例における高周波電力増
幅器の構成を示す回路図である。
【図15】本発明の第8の実施例における高周波電力増
幅器の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 ゲートバイアス電圧供給端子 2 ドレインバイアス電圧供給端子 3 抵抗 4 チョークコイル 5 入力側RF端子 6 入力側直流阻止コンデンサ 7 入力側整合用線路 8 入力側整合用コンデンサ 9 FETのゲート 10 FETのソース 11 FETのドレイン 12 出力側整合用線路 13 出力側直流阻止コンデンサ 14 出力側RF端子 15 出力側整合用コンデンサ 16 第1の線路 17 第1のコンデンサ 21 第2の線路 22 第2のコンデンサ 23 第3の線路 24 第4の線路 25 第4のコンデンサ 27 第2の入力側整合用コンデンサ 28 第2の出力側整合用コンデンサ 31 Zout(2f)制御回路(出力インピーダンス
制御回路) 32、33、34 Zin(2f)制御回路(入力イン
ピーダンス制御回路) 50、100、200、300、400、500、60
0、700、800高周波電力増幅器 60 FET 70、170、270、370、470 入力インピー
ダンス整合回路 80、580 出力インピーダンス整合回路

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力用トランジスタと、 該電力用トランジスタの入力に接続されている入力イン
    ピーダンス整合回路と、 該電力用トランジスタの出力に接続されている出力イン
    ピーダンス整合回路と、を備え、 該入力インピーダンス整合回路は、基本波周波数の高調
    波に対する入力インピーダンスを所定の範囲内に設定す
    る入力インピーダンス制御回路を有し、該入力インピー
    ダンス制御回路は、該電力用トランジスタの入力に接続
    されている高周波電力増幅器。
  2. 【請求項2】 前記入力インピーダンス制御回路が、前
    記電力用トランジスタの動作周波数帯域より低い周波数
    の高調波に対して共振点を有している請求項1の高周波
    電力増幅器。
  3. 【請求項3】 前記入力インピーダンス制御回路は、2
    次高調波に対する入力インピーダンスを、スミスチャー
    ト上で点A(0+j4Ω)、点B(0+j25Ω)、点
    C(5+j25Ω)及び点D(5+j4Ω)で囲まれた
    範囲内に設定する請求項1の高周波電力増幅器。
  4. 【請求項4】 前記入力インピーダンス制御回路が、 前記基本波周波数に相当する波長の1/4より長い電気
    長を有する線路と、 一端が該線路に直列に接続され、他端が接地されている
    コンデンサと、を備えている請求項1の高周波電力増幅
    器。
  5. 【請求項5】 前記入力インピーダンス制御回路が、前
    記基本波周波数に相当する波長の1/8より長い電気長
    を有していて他端が開放されている線路を含む請求項1
    の高周波電力増幅器。
  6. 【請求項6】 前記入力インピーダンス制御回路が直列
    共振回路を含み、該直列共振回路が、線路と、一端が該
    線路に直列に接続されて他端が接地されているコンデン
    サとから構成されている請求項1の高周波電力増幅器。
  7. 【請求項7】 前記出力インピーダンス整合回路が、前
    記電力用トランジスタの出力に接続されていて前記高調
    波に対する出力インピーダンスを所定の値に設定する出
    力インピーダンス制御回路を有する請求項1から6のい
    ずれかの高周波電力増幅器。
  8. 【請求項8】 前記出力インピーダンス整合回路は、2
    次高調波に対する出力インピーダンスを、前記電力用ト
    ランジスタの最大動作効率をもたらす値に設定するよう
    に構成されている請求項1から6のいずれかの高周波電
    力増幅器。
  9. 【請求項9】 電力用トランジスタと、 該電力用トランジスタの入力に接続されている入力イン
    ピーダンス整合回路と、 該電力用トランジスタの出力に接続されている出力イン
    ピーダンス整合回路と、を備え、該入力インピーダンス
    整合回路は、基本波周波数の高調波に対する入力インピ
    ーダンスを所定の範囲内に設定する高周波電力増幅器。
  10. 【請求項10】 前記入力インピーダンス整合回路は、
    2次高調波に対する入力インピーダンスを、スミスチャ
    ート上で点A(0+j4Ω)、点B(0+j25Ω)、
    点C(5+j25Ω)及び点D(5+j4Ω)で囲まれ
    た範囲内に設定する請求項9の高周波電力増幅器。
  11. 【請求項11】 前記入力インピーダンス整合回路が、 前記電力用トランジスタの入力に接続された整合線路
    と、 一端が該整合線路の第1の所定の位置に接続され、他端
    が接地されている第1の整合コンデンサと、 一端が該整合線路の第2の所定の位置に接続され、他端
    が接地されている第2の整合コンデンサと、を備え、該
    第1の整合コンデンサの容量値、該第2の整合コンデン
    サの容量値、該第1の所定の位置及び該第2の所定の位
    置は、2次高調波に対する入力インピーダンスを所定の
    範囲内に設定されるように選択されている請求項9の高
    周波電力増幅器。
  12. 【請求項12】 前記出力インピーダンス整合回路が、
    前記電力用トランジスタの出力に接続されていて前記高
    調波に対する出力インピーダンスを所定の値に設定する
    出力インピーダンス制御回路を有する請求項9〜11の
    いずれかの高周波電力増幅器。
  13. 【請求項13】 前記出力インピーダンス整合回路は、
    2次高調波に対する出力インピーダンスを、前記電力用
    トランジスタの最大動作効率をもたらす値に設定するよ
    うに構成されている請求項9〜11の高周波電力増幅
    器。
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