JPH0834958A - プラスティックフィルムの表面改質方法 - Google Patents

プラスティックフィルムの表面改質方法

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JPH0834958A
JPH0834958A JP17224794A JP17224794A JPH0834958A JP H0834958 A JPH0834958 A JP H0834958A JP 17224794 A JP17224794 A JP 17224794A JP 17224794 A JP17224794 A JP 17224794A JP H0834958 A JPH0834958 A JP H0834958A
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organic polymer
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inorganic fine
group
organic
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JP17224794A
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Taisei Fuku
大成 富久
Tomoshi Ishida
知史 石田
Shigefumi Kuramoto
成史 倉本
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラスティックフィルムに高い硬度を付与
し、微粒子の脱落がなく高い滑り性を付与するプラステ
ィックフィルムの表面改質方法を提供する。 【構成】 無機微粒子の表面に有機ポリマーが固定され
てなり平均粒子径が5〜200nmでありかつ粒子径の
変動係数が50%以下である有機ポリマー複合無機微粒
子を含有する被膜を、プラスティックフィルムの少なく
とも片面に形成することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスティックフィル
ムの表面改質方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスティックフィルムは透明性および
加工性に優れ、また耐久性も良好であり、種々の用途、
例えば磁気テープ用、光学写真用、コンデンサー用、熱
転写印刷用、包装用等の各種材料に用いられているが、
製造工程の効率化などの目的で、該プラスティックフィ
ルムの滑り性を上げるために、種々の無機微粒子や有機
微粒子が、充填剤あるいは表面処理材として使用されて
いる。特に磁気テープ用には優れた磁気特性や走行性が
要求されるため、滑り性の付与は必須である。
【0003】従来、シリカ、酸化チタン、アルミナ、炭
酸カルシウムなどの無機微粒子が、プラスティックフィ
ルムの滑り性付与材として使用されてきた。しかしこれ
ら無機微粒子は、有機マトリクスとの親和性に乏しいた
め、該フィルムの内部または表面から無機微粒子が脱落
するという問題点が残されている。
【0004】一方、有機微粒子は、有機マトリクスとの
親和性は優れているものの、硬度が不十分なため、高い
負荷がかかった際に、十分な滑り性を出すことができな
かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のような問題点を
鑑み、鋭意検討した結果、プラスティックフィルム表面
に特定の有機ポリマー複合無機微粒子を含有する被膜を
形成させることにより、上記の問題点が解決されること
を見い出し、本発明に至った。
【0006】すなわち本発明の目的は、プラスティック
フィルムに、微粒子の脱落がなく高い滑り性を付与する
表面改質方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の表面改質方法
は、無機微粒子の表面に有機ポリマーが固定されてなり
平均粒子径が5〜200nmでありかつ粒子径の変動係
数が50%以下である有機ポリマー複合無機酸化物微粒
子を含有する被膜を、プラスティックフィルムの少なく
とも片面に形成することを特徴とする。
【0008】前記有機ポリマー複合無機酸化物微粒子
は、例えば、1分子当たりに少なくとも1個のポリシロ
キサン基が結合しており、かつ、前記ポリシロキサン基
中に少なくとも1個のSi−OR1 基(R1 は水素原子
またはアルキル基、アシル基から選ばれる置換されてい
ても良い少なくとも一種の基であり、R1 が1分子中に
複数ある場合、複数のR1 は互いに同一であってもよ
く、異なっていてもよい。)を有する少なくとも1種の
有機ポリマー(P)を、(P)単独または加水分解可能
な金属化合物(G)とともに加水分解・縮合することに
よって、容易に収率良く製造することができるものであ
る。
【0009】本発明で用いる無機微粒子は、任意の元素
で構成される無機物の微粒子であれば、特に制限はな
く、無機物として好ましく用いられるのは、無機酸化物
である。前記無機酸化物は、金属元素が主に酸素原子と
の結合を介して3次元のネットワークを構成した種々の
金属の含酸素化合物と定義される。前記無機酸化物を構
成する金属元素としては、たとえば、元素周期律表II
〜VI族から選ばれる元素が好ましく、元素周期律表I
II〜V族から選ばれる元素がさらに好ましい。その中
でもAl、Si、Ti及びZrから選ばれる元素が特に
好ましく、前記無機酸化物を構成する金属元素がSiで
あるシリカ微粒子が、無機微粒子として最も好ましい。
また、前記無機酸化物中に、有機基、水酸基を含有した
り、あるいは後述する原料となる金属化合物(G)に由
来する各種の基が残留したり、有機ポリマーの一部分を
包含していてもよい。前記有機基は、炭素数20以下の
置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、
アリール基及びアラルキル基からなる群より選ばれる少
なくとも1種である。前記無機酸化物は、1種のみまた
は2種以上使用される。
【0010】このような無機酸化物からなる無機微粒子
の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意
の粒子形状でよく、特に限定されないが、滑り性付与の
観点から、球状または球状に近い形状が好ましい。
【0011】本発明における有機ポリマー複合無機微粒
子の有機ポリマーは、プラスティックフィルムの表面処
理に使用される場合、該微粒子の塗料中での分散性や、
該微粒子と基材であるプラスティックフィルムや塗料中
の有機バインダーとの親和性の向上に寄与し、無機微粒
子のプラスティックフィルムからの脱落を防止する働き
がある。
【0012】前記有機ポリマーの分子量、形状、組成、
官能基の有無等については、特に限定はなく、任意の有
機ポリマーを使用することができる。有機ポリマーの形
状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形
状のものを使用することができる。また、有機ポリマー
を構成する樹脂の具体例としては、たとえば、(メタ)
アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエ
チレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレ
ート等のポリエステル、およびこれらの共重合体やアミ
ノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等
の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、
有機ポリマーが(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマ
ーを必須成分とし、かつ、被膜形成能を有するようにな
っている有機ポリマー複合無機微粒子は、後述するプラ
スティックフィルムの表面改質に好適なものとして使用
できる。
【0013】前記有機ポリマーについては、前述のよう
に任意の有機ポリマーを使用することができるが、特
に、有機鎖とポリシロキサン基から構成され、1分子当
たり少なくとも1個のポリシロキサン基が結合してお
り、かつ、前記ポリシロキサン基中に少なくとも1個の
Si−OR1 基を含有する構造を有する後述の有機ポリ
マー(P)に含有されるような有機鎖が好ましい。
【0014】本発明における有機ポリマー複合無機微粒
子は、無機微粒子の表面に有機ポリマーが固定されてな
る複合微粒子であるが、ここに、固定とは、単なる接着
および付着を意味するものではなく、前記有機ポリマー
複合無機微粒子を任意の溶剤で洗った洗液中に前記有機
ポリマーが検出されないことを意味しており、これは有
機ポリマーと無機微粒子の間で化学結合していることを
強く示唆している。
【0015】有機ポリマー複合無機微粒子は、微粒子内
に有機ポリマーを包含していてもよい。このことによ
り、有機ポリマー複合無機微粒子のコアである無機物に
適度な軟度および靱性を付与することができる。有機ポ
リマー複合無機微粒子中の有機ポリマーの有無は、たと
えば、この有機ポリマー複合無機微粒子を500〜70
0℃で加熱し、有機ポリマーを熱分解した後の微粒子の
比表面積の測定値と、微粒子の直径から算出される比表
面積の理論値とを比較することにより、確認することが
できる。すなわち、有機ポリマー複合無機微粒子内に有
機ポリマーを包含している場合は、加熱によって有機ポ
リマーが熱分解し、微粒子内に多数の細孔が生じるた
め、有機ポリマーを熱分解した後の微粒子の比表面積
が、微粒子の直径から算出される比表面積の理論値より
もかなり大きい値となる。
【0016】有機ポリマー複合無機微粒子の平均粒子径
は5〜200nm、好ましくは5〜100nmである。
有機ポリマー複合無機微粒子の平均粒子径が5nm未満
では、有機ポリマー複合無機微粒子の表面エネルギーが
高くなるため、凝集等が起こりやすくなる。また、有機
ポリマー複合無機微粒子の平均粒子径が200nmを超
えると、プラスティックフィルムの透明性等の物性が低
下する。
【0017】有機ポリマー複合無機微粒子の粒子径の変
動係数は50%以下であり、30%以下が好ましい。有
機ポリマー複合無機微粒子の粒子径分布が広いと、すな
わち、粒子径の変動係数が50%を超えると、プラステ
ィックフィルムの表面の凹凸にムラが生じるため、好ま
しくない。
【0018】本発明の有機ポリマー複合無機微粒子中に
は、アルコキシ基が含まれていてもよく、アルコキシ基
の含有量は、好ましくは、有機ポリマー複合無機微粒子
1g当たり、0.01〜50mmolである。ここでい
うアルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結
合したR4 O基を示す。ここでR4 は置換されていても
よいアルキル基であり、粒子中のR4 O基は、同一であ
っても異なっていてもよい。
【0019】上記のようなアルコキシ基は、プラスティ
ックフィルムや有機バインダーとの親和性や、有機媒体
中での分散性を補足的に向上させる作用がある。
【0020】有機ポリマー複合無機微粒子中の無機物の
含有率については、特に制限されるものではないが、前
記微粒子でプラスティックフィルムの表面を処理した場
合、無機物の有する硬度、耐熱性などの特性を、より効
果的に発揮するには、前記微粒子中の無機物の含有率を
できるだけ高めるのが有利であり、無機物の含有率とし
ては、有機ポリマー複合無機微粒子の50〜99.5重
量%が好ましい。
【0021】有機ポリマー複合無機微粒子中の有機ポリ
マーの含有率については、特に制限されるものではない
が、有機ポリマー複合無機微粒子の0.5〜50重量%
が好ましい。
【0022】本発明において使用される有機ポリマー複
合無機微粒子は、任意の方法で製造することができる。
以下に詳述する有機ポリマー複合無機微粒子の製造方法
は、その一例であり、後述の方法に限定されない。
【0023】本発明において使用される有機ポリマー複
合無機微粒子は、1分子当たりに少なくとも1個のポリ
シロキサン基が結合しており、かつ、前記ポリシロキサ
ン基中に少なくとも1個のSi−OR1 基(R1 は水素
原子またはアルキル基、アシル基から選ばれる置換され
ていても良い少なくとも一種の基であり、R1 が1分子
中に複数ある場合、複数のR1 は互いに同一であっても
よく、異なっていてもよい。)を有する少なくとも1種
の有機ポリマー(P)を、(P)単独または加水分解可
能な金属化合物(G)とともに加水分解・縮合すること
によって、製造することができる。
【0024】前記有機ポリマー複合無機微粒子の製造方
法に用いる有機ポリマー(P)は、単独で加水分解・縮
合して有機ポリマー複合無機微粒子を製造することがで
きる。また、後述する金属化合物(G)と有機ポリマー
(P)をともに共加水分解・縮合して有機ポリマー複合
無機微粒子を製造することもできる。
【0025】前記有機ポリマー(P)は、有機鎖とポリ
シロキサン基から構成され、1分子当たり少なくとも1
個のポリシロキサン基が結合しており、かつ、前記ポリ
シロキサン基中に少なくとも1個のSi−OR1 基を含
有する構造を有する。有機ポリマー(P)において、有
機鎖の構造は特に限定されない。また、有機ポリマー
(P)の入手のし易さ等の理由から、有機ポリマー
(P)中のポリシロキサン基と有機鎖は、Si−C結
合、Si−O−C結合等を介して化学結合するのが好ま
しく、特に、結合部位が耐加水分解性に優れる点および
結合部位での交換反応などの好ましくない反応を受けに
くいのが望ましいこと等から、ポリシロキサン基と有機
鎖は、Si−C結合を介して化学結合するのがさらに好
ましい。
【0026】有機ポリマー(P)の構造としては、後述
する有機溶剤および/または水に溶解するものであれば
特に制限されるものではなく、例えば、ポリシロキサン
基が有機鎖にグラフトしたポリマー、ポリシロキサン基
が有機鎖の片末端もしくは両末端に結合したポリマーま
たはポリシロキサン基をコアとして複数の直鎖状もしく
は分枝状の有機鎖(複数の有機鎖は同じであってもよ
く、異なってもよい)が結合したポリマー等が挙げられ
る。ここで有機鎖とは、有機ポリマー(P)において、
ポリシロキサン基以外の部分である。前記有機鎖中の主
鎖は炭素を主体とするものであり、主鎖結合にあずかる
炭素原子が50〜100モル%を占め、残部をN、O、
S、Si、P等の元素からなるものが容易に得られるた
め好ましい。前記有機鎖を構成する樹脂の具体例として
は、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポ
リ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリ
オレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リエチレンテレフタレート等のポリエステル、および、
これらの共重合体や一部変性した樹脂等が挙げられる。
【0027】前記Si−OR1 基中のR1 O基は加水分
解および/または縮合可能な官能基であって、有機ポリ
マー(P)1分子当たり少なくとも1個あり、平均5個
以上あるのが好ましく、20個以上あるのがより好まし
い。R1 O基の個数が多いほど、加水分解・縮合する反
応点が増加し、より強固な骨格を形成する微粒子が得ら
れる。ここでR1 は水素原子、またはアルキル基、アシ
ル基から選ばれる置換されていても良い少なくとも1種
の基である。アルキル基、アシル基についてはその炭素
数は特に限定されないが、R1 O基の加水分解速度が速
いという理由で、炭素数1〜5のアルキル基、アシル基
が好ましい。R1 は、R1 O基の加水分解・縮合速度が
速くなるという理由から、水素原子、メチル基、エチル
基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
【0028】上記R1 O基がSi原子と結合したSi−
OR1 基を1個以上有するポリシロキサン基とは、2個
以上のSi原子がポリシロキサン結合(Si−O−Si
結合)により直鎖状または分枝状に連結してなる基であ
る。このポリシロキサン基の有するSi原子の個数は、
特に限定されないが、前述したR1 O基を多く含有でき
る点で、ポリシロキサン基1個当たりの平均で、4個以
上が好ましく、11個以上がさらに好ましい。
【0029】さらに、ポリシロキサン基中のすべてのS
i原子は、有機鎖との結合、およびポリシロキサン結合
(Si−O−Si結合)の他はR1 O基とのみ結合して
いることが好ましい。このような場合、Si原子のイオ
ン性がより高まり、その結果R1 O基の加水分解・縮合
速度がより速くなると共に、有機ポリマー(P)中の反
応点が増加し、より強固な骨格を有する微粒子が得られ
る。このようなポリシロキサン基を具体的に例示すると
例えば、ポリジメトキシシロキサン基、ポリジエトキシ
シロキサン基、ポリジイソプロポキシシロキサン基、ポ
リn−ブトキシシロキサン基等が挙げられる。
【0030】有機ポリマー(P)の分子量は特に限定さ
れないが、数平均分子量として好ましくは200,00
0以下であるのが好ましく、50,000以下にあるの
がさらに好ましい。分子量が高いと後述する有機溶剤に
溶解しない場合があり好ましくない。
【0031】有機ポリマー(P)は従来公知の方法によ
り製造できる。例えば、以下に示す(1)〜(4)の方
法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものでは
ない。
【0032】(1)二重結合基やメルカプト基を有する
ようなシランカップリング剤の存在下、ラジカル重合性
モノマーをラジカル(共)重合した後、得られた(共)
重合体と後述するシラン化合物(H)および/またはそ
の誘導体を共加水分解・縮合する方法 (2)二重結合基やメルカプト基を有するようなシラン
カップリング剤と後述するシラン化合物(H)および/
またはその誘導体を共加水分解・縮合した後、得られた
共加水分解・縮合物(以下重合性ポリシロキサンと略
す)の存在下ラジカル重合性モノマーをラジカル(共)
重合する方法 (3)二重結合基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト
基等の反応性基を有するようなシランカップリング剤と
前記反応性基と反応するような基を有するポリマーを反
応させた後、得られたポリマーと後述するシラン化合物
(H)および/またはその誘導体を共加水分解・縮合す
る方法 (4)二重結合基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト
基等の反応性基を有するようなシランカップリング剤と
後述するシラン化合物(H)および/またはその誘導体
を共加水分解・縮合した後、得られた前記反応性基を有
するような共加水分解・縮合物と前記反応性基と反応す
るような基を有するポリマーを反応させる方法 上記の中でも、より容易に有機ポリマー(P)を得るこ
とができる点から(2)の方法が好ましい。
【0033】加水分解可能な金属化合物(G)は、加水
分解、さらに縮合することにより三次元的にネットワー
クを形成することができる。このような金属化合物
(G)を具体的に例示すると、例えば、金属ハロゲン化
物、硝酸金属塩、硫酸金属塩、金属アンモニウム塩、有
機金属化合物、アルコキシ金属化合物、またはこれらの
金属化合物の誘導体等が挙げられる。前記金属化合物
(G)は、1種のみまたは2種以上を混合して使用する
ことができる。
【0034】金属化合物(G)としては、金属化合物
(G)を構成する金属元素が元素周期律表のIII族、
IV族、V族の各元素からなる群から選ばれる少なくと
も一種の金属元素であるものが好ましい。中でも、金属
化合物(G)を構成する金属元素がSi、Al、Tiお
よびZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属
元素によって構成される金属化合物がより好ましい。ま
た、前記金属化合物(G)の加水分解速度と有機ポリマ
ー(P)中のポリシロキサン基が有するR1 O基との加
水分解速度が同等であれば、共加水分解・縮合を制御し
易いため、金属化合物を構成する金属元素としては、S
iが最も好ましい。
【0035】中でも、金属化合物(G)が一般式
(1): (R2O)mMR3 n-m (式中、MはSi、Al、TiおよびZrより選ばれる
少なくとも1種の金属元素、R2 は水素原子またはアル
キル基、アシル基から選ばれる置換されていても良い少
なくとも1種の基、R3 はアルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基から選ばれる置換されて
いても良い少なくとも一種の基、nは金属元素Mの価
数、mは1〜nの整数、R2 および/またはR3 が1分
子中に複数ある場合、複数のR2 および/またはR3
互いに同一であってもよく、異なってもよい。)で示さ
れる化合物およびその誘導体から選ばれる少なくとも1
種を用いるのが好ましい。
【0036】R2 は水素原子、メチル基、エチル基が好
ましく、メチル基が最も好ましい。これはR2 O基の加
水分解・縮合速度がさらに速くなるという理由による。
【0037】さらに、工業的に入手し易く、製造装置お
よび最終製品の諸物性に悪影響を及ぼすハロゲン等を含
んでいない等の理由から、一般式においてMがSiで
あるシラン化合物(H)およびその誘導体から選ばれる
少なくとも1種を用いることがより好ましい。
【0038】シラン化合物(H)の具体例としては、メ
チルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラ
ン、トリメチルアセトキシシラン、テトラアセトキシシ
ラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、
テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシジメチル
シラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、トリメチル
メトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチル
ジエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等が挙
げられる。また、シラン化合物(H)の誘導体の具体例
としては、上記シラン化合物(H)の加水分解・縮合物
等が挙げられる。
【0039】シラン化合物(H)のうち、アルコキシシ
ラン化合物が原料として入手し易く特に好ましい。ま
た、シラン化合物(H)およびその誘導体が、Si(O
24 およびその誘導体であると、加水分解・縮合速
度が速く、より強固な骨格を形成した有機ポリマー複合
無機微粒子が得られる点で好ましい。
【0040】本発明における有機ポリマー複合無機微粒
子は、有機ポリマー(P)を単独または上記金属化合物
(G)とともに加水分解・縮合して製造される。加水分
解・縮合の方法は特に限定されないが、反応を容易に行
えるという理由から、溶液中で行うのが好ましい。ここ
でいう溶液とは、後述する有機溶剤および/または水を
含有する溶液であり、前記溶液の組成は特に限定される
ものではない。
【0041】前記有機溶剤の具体例としては、たとえ
ば、芳香族炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテ
ル類、アルコール類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げら
れ、これら有機溶剤の少なくとも1種または2種以上を
使用してもよい。中でも、水と溶解可能なアルコール
類、ケトン類、エーテル類を必須として用いることが好
ましい。
【0042】有機ポリマー(P)単独または有機ポリマ
ー(P)と金属化合物(G)の加水分解・縮合は無触媒
でも行うことができるが、酸性触媒または塩基性触媒の
1種または2種以上を用いることができる。酸性触媒の
具体例としては、たとえば、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等
の無機酸類;酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トル
エンスルホン酸等の有機酸類;酸性イオン交換樹脂等が
挙げられる。また、塩基性触媒の具体例としては、アン
モニア;トリエチルアミン、トリプロピルアミン等の有
機アミン化合物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエ
トキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、
カリウム−t−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム等のアルカリ金属化合物;塩基性イオン交換樹
脂等が挙げられる。触媒の種類は、酸性触媒よりも塩基
性触媒を用いる方が、加水分解、縮合によって得られる
無機成分が、より強固な骨格を形成するために、好まし
い。
【0043】加水分解、縮合の際の原料組成は、特に限
定されるものではないが、有機ポリマー(P)、金属化
合物(G)、有機溶剤、触媒、および水等よりなる原料
組成物全量に対して、有機ポリマー(P)の量は、0.
1〜80重量%が好ましく、0.5〜30重量%がより
好ましい。金属化合物(G)の量は、0〜80重量%が
好ましく、0〜50重量%がより好ましい。有機溶剤の
量は、0〜99.9重量%が好ましく、20〜99重量
%がより好ましい。触媒の量は0〜20重量%が好まし
く、0〜10重量%がより好ましい。
【0044】加水分解・縮合に用いる水の量は、有機ポ
リマー(P)単独または有機ポリマー(P)と金属化合
物(G)が加水分解・縮合によって粒子化する量であれ
ば、特に限定されないが、加水分解・縮合をより十分に
行い、粒子の骨格をより強固にするには、使用する水の
量は多ければ多いほど良い。具体的には、加水分解・縮
合する加水分解性基に対する水のモル比が、0.1以
上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上の条
件で加水分解・縮合を行うことにより有機ポリマー複合
無機微粒子が得られる。
【0045】加水分解・縮合の操作方法は、特に限定さ
れるものではないが、具体例としては、たとえば、前記
有機ポリマー(P)またはその溶液を、また、金属化合
物(G)を用いる場合は、金属化合物(G)またはその
溶液を、水を含有する溶液に添加し、0〜100℃、好
ましくは0〜70℃の範囲で、5分〜100時間攪拌す
ることによって行われる。この際、有機ポリマー(P)
またはその溶液、金属化合物(G)またはその溶液を混
合してあるいは別々に、一括、分割、連続等の任意の添
加方法で反応できる。また、添加を逆にして、水を含有
する溶液を、有機ポリマー(P)またはその溶液や金属
化合物(G)またはその溶液中に添加しても良い。ま
た、加水分解・縮合において、前記の触媒の1種または
2種以上を使用することができる。触媒の使用方法は、
特に限定されるものではないが、あらかじめ水、有機溶
剤、有機ポリマー(P)、金属化合物(G)に混合して
使用することができる。反応終了後、加水分解・縮合に
よって生成した副生物および触媒等を濾過や蒸留などで
除去してもよく、得られた有機ポリマー複合無機微粒子
を反応混合物から単離する方法は、常法によることがで
き、たとえば、溶媒の留去、遠心分離、再沈、限外ろ過
等により単離、精製することができる。
【0046】加水分解、縮合の方法は、前記のように特
に制限されるものではないが、より狭い(シャープな)
粒子径分布を有する有機ポリマー複合無機微粒子を製造
でき、該微粒子を含有する塗料の被膜を形成したプラス
ティックフィルムの滑り性は特に良好となる点で以下の
方法がより好ましい。
【0047】すなわち、反応溶液中に下記原料液(A)
および原料液(B)を、個別にかつ同時に供給して加水
分解・縮合を行うことにより、有機ポリマー複合無機微
粒子がより好ましく製造される。
【0048】原料液(A): 有機ポリマー(P)また
は有機ポリマー(P)と加水分解可能な金属化合物
(G)とを含有する液 原料液(B): 水を必須成分とする液 また、反応容器中に原料液(A)および原料液(B)と
ともに、個別にかつ同時に、下記原料液(C)を供給す
るのも好ましい。
【0049】原料液(C): 加水分解可能な金属化合
物(G)を含有する液 また、原料液(A)中に少なくとも1種の加水分解可能
な金属化合物(G)を含有させておいて上記の加水分解
・縮合するのも好ましい。
【0050】このような方法で加水分解・縮合を行う
と、加水分解・縮合に伴う有機ポリマー複合無機微粒子
の析出過程をより制御しやすくなって、よりシャープな
粒子径分布を有する有機ポリマー複合無機微粒子が得ら
れる。
【0051】前記原料液(A)〜原料液(C)の、反応
容器中への個別の供給とは、各原料液が反応容器中に供
給される以前に、各原料液が混合することなく供給が行
われることである。また、原料液(A)〜原料液(C)
の、反応容器中への同時の供給とは、下記の式で定義さ
れる任意の時間tにおける供給比Xa およびXc が、好
ましくは0.1〜10で、より好ましくは0.3〜3
で、特に好ましくは0.5〜2で供給されることであ
る。
【0052】
【数1】
【0053】(式中、Aは原料液(A)の全量、Bは原
料液(B)の全量、Cは原料液(C)の全量を示す。ま
た、aは任意の時間tにおいて、既に供給された原料液
(A)の量、bは任意の時間tにおいて、既に供給され
た原料液(B)の量、cは任意の時間tにおいて、既に
供給された原料液(C)の量を示す。) 本発明の表面改質方法において、プラスティックフィル
ムの少なくとも片面に前記の有機ポリマー複合無機微粒
子を含有する被膜を形成する方法は特に限定されない
が、通常、前記の有機ポリマー複合無機微粒子を含有す
る塗料を調製し、プラスティックフィルムの少なくとも
片面に塗布する方法が用いられる。
【0054】前記有機ポリマー複合無機微粒子を含有す
る塗料は、前記の有機ポリマー複合無機微粒子と、水お
よび前述の有機溶剤から選ばれる1種または2種以上か
らなる溶媒が必須成分である。前記有機ポリマー複合無
機微粒子を含有する塗料中の溶媒については、何ら制限
されるものではないが、有機ポリマー複合無機微粒子中
の有機鎖が溶解するものが好ましい。
【0055】前記有機ポリマー複合無機微粒子を含有す
る塗料には、任意の有機バインダー、硬化剤等を混合し
てもよい。該有機バインダーとしては、それ自体で被膜
形成能を有するものであれば特に制限されないが、有機
ポリマー複合無機微粒子中の有機鎖と相溶するものが好
ましく、その具体例としては、たとえば、(メタ)アク
リル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレ
ンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート
等のポリエステル、および、これらの共重合体やアミノ
基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の
官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。また、該硬
化剤は、前記有機バインダーおよび/または、有機ポリ
マー複合無機微粒子の有機鎖中の官能基を架橋、硬化せ
しめるためのものである。
【0056】本発明の表面改質方法において有機ポリマ
ー複合無機微粒子を含有する塗料を塗布する方法につい
ては、特に限定されるものではなく、たとえば、ローラ
ーコート、グラビアコート、ディップコート、スプレー
コート等任意の方法で行うことができる。また、乾燥方
法および乾燥条件については、特に限定されるものでは
なく、任意の方法、条件で行うことができる。
【0057】本発明の表面改質方法において、プラステ
ィックフィルムの少なくとも片面に形成する前記有機ポ
リマー複合無機微粒子を含有する被膜の厚さは、特に限
定されないが、通常1nm〜50μmであり、好ましく
は、1nm〜10μmである。被膜の厚さが1nm未満
であると、有機ポリマー複合無機微粒子をプラスティッ
クフィルムに付着保持するための膜強度が不十分とな
り、被膜の厚さが50μmを越えると、有機ポリマー複
合無機微粒子による突起の付与が困難となる。
【0058】本発明の表面改質方法の対象となるプラス
ティックフィルムとしては、任意のものが使用でき、具
体例としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニル
アルコール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリス
チレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0059】また該プラスティックフィルムの成形法に
ついては何ら制限されるものではなく、溶融押し出し
法、共溶融押し出し法、インフレーション法、Tダイ
法、流延成型法、カレンダー法等、任意の方法で得られ
るプラスティックフィルムを使用することができる。
【0060】また、本発明の表面改質方法は、プラステ
ィックフィルムに延伸、蒸着、ラミネート、プライマー
コート等の任意の処理を行った後に実施することができ
る。また、本発明の表面改質方法を行った後に、延伸、
蒸着、ラミネート等の任意の処理を行うこともできる。
【0061】本発明の方法により得られたプラスティッ
クフィルムは、微粒子の脱落がなく滑り性に優れたもの
であるため、磁気テープ用、光学写真用、コンデンサー
用、熱転写印刷用、包装用等の各種材料に有効に使用で
き、特に磁気テープ用には優れた磁気特性や走行性が要
求されるため、最適である。
【0062】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例を示す
が、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0063】下記実施例で使用する重合性ポリシロキサ
ン、有機ポリマー(P)および有機ポリマー複合無機微
粒子分散体を下記製造例1〜7により作った。 製造例
で得られた重合性ポリシロキサン、および有機ポリマー
(P)の数平均分子量は、下記の方法により分析した。
【0064】〔数平均分子量〕重合性ポリシロキサン、
および有機ポリマー(P)についてゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレ
ン換算の数平均分子量を下記条件において測定した。
【0065】・試料の調整 テトラヒドロフランを溶媒として使用し、重合性ポリシ
ロキサン、または有機ポリマー(P)0.05gを1g
のテトラヒドロフランに溶解して試料とした。
【0066】・装置 東ソー株式会社製の高速GPC装置HLC−8020を
用いた。
【0067】・カラム 東ソー株式会社製のG3000H、G2000Hおよび
GMHXLを用いた。
【0068】・標準ポリスチレン 東ソー株式会社製のTSK標準ポリスチレンを用いた。
【0069】・測定条件 測定温度35℃、流量1ml/分で測定した。
【0070】(製造例1) (重合性ポリシロキサン(S−1)の合成)攪拌機、温
度計および冷却管を備えた300mlの四つ口フラスコ
にテトラメトキシシラン144.5g、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン23.6g、水19
g、メタノール30.0g、アンバーリスト15(ロー
ム・アンド・ハース・ジャパン社製の陽イオン交換樹
脂)5.0gを入れ、65℃で2時間攪拌し、反応させ
た。反応混合物を室温まで冷却した後、冷却管に代えて
蒸留塔、これに接続させた冷却管および流出口を設け、
常圧下に80℃まで2時間かけて昇温し、メタノールが
流出しなくなるまで同温度で保持した。さらに、200
mmHgの圧力で90℃の温度で、メタノールが流出しなく
なるまで同温度で保持し、反応をさらに進行させた。再
び、室温まで冷却した後、アンバーリスト15を濾別
し、数平均分子量が1800の重合性ポリシロキサンを
得た。
【0071】(製造例2) (有機ポリマー(P−1)の合成)攪拌機、滴下口、温
度計、冷却管およびN2 ガス導入口を備えた1リットル
のフラスコに、有機溶剤として酢酸ブチル200gを入
れ、N2 ガスを導入し、攪拌しながらフラスコ内温を1
10℃まで加熱した。ついで(製造例1)で得られた重
合性ポリシロキサン20g、メチルメタクリレート75
g、ブチルアクリレート75g、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート30g、2,2’−アゾビスイソブチロ
ニトリル6gを混合した溶液を滴下口より2時間かけて
滴下した。滴下後も同温度で1時間攪拌続けた後、1,
1’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン0.4gを30分おきに2回添
加し、さらに2時間加熱して共重合を行い、数平均分子
量が12,000の有機ポリマー(P−1)が酢酸ブチ
ルに溶解した溶液を得た。得られた有機ポリマー(P−
1)の固形分は49.5%であった。
【0072】(製造例3) (有機ポリマー(P−2)の合成)攪拌機、滴下口、温
度計、冷却管およびN2 ガス導入口を備えた1リットル
のフラスコに、有機溶剤として酢酸ブチル200gを入
れ、N2 ガスを導入し、攪拌しながらフラスコ内温を1
10℃まで加熱した。ついで(製造例1)で得られた重
合性ポリシロキサン20g、スチレン90g、ブチルア
クリレート90g、2,2’−アゾビスイソブチロニト
リル6gを混合した溶液を滴下口より2時間かけて滴下
した。滴下後も同温度で1時間攪拌続けた後、1,1’
−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン0.4gを30分おきに2回添加
し、さらに2時間加熱して共重合を行い、数平均分子量
が11,000の有機ポリマー(P−2)が酢酸ブチル
に溶解した溶液を得た。得られた有機ポリマー(P−
1)の固形分は49.5%であった。
【0073】製造例で得られた有機ポリマー複合無機微
粒子分散体の微粒子濃度,経時安定性、有機ポリマー複
合無機微粒子中の無機物含有量およびアルコキシ基含有
量、および平均粒子径、粒子径の変動係数は下記の方法
により分析、評価した。
【0074】〔有機ポリマー複合無機微粒子濃度〕有機
ポリマー複合無機微粒子分散体を100mmHgの圧力
下、130℃で24時間乾燥し、下記の式より求めた。
【0075】
【数2】
【0076】〔有機ポリマー複合無機微粒子中の無機物
含有量〕有機ポリマー複合無機微粒子分散体を100m
mHgの圧力下、130℃で24時間乾燥したものにつ
いて元素分析を行い、灰分を有機ポリマー複合無機微粒
子中の無機物含有量とした。
【0077】〔有機ポリマー複合無機微粒子中のアルコ
キシ基含有量〕有機ポリマー複合無機微粒子の分散体
を、100mmHgの圧力下、130℃で24時間乾燥
したもの5gを、アセトン50g、2N−NaOH水溶
液50gの混合物に分散させ、室温で24時間攪拌し
た。その後、ガスクロマトグラフ装置で液中のアルコー
ルを定量し、有機ポリマー複合無機微粒子のアルコキシ
基含有量を算出した。
【0078】〔平均粒子径、変動係数〕下記の装置を用
いて、23℃で測定した。以下に示す平均粒子径は、体
積平均粒子径である。
【0079】(装置)サブミクロン粒子径アナライザー
(野崎産業株式会社製、NICOMP MODEL 3
70) (製造例4) (有機ポリマー複合無機微粒子分散体(Z−1)の合
成)攪拌機、2つの滴下口(滴下口イおよびロ)、温度
計を備えた500mlの四つ口フラスコに、酢酸ブチル
200g、メタノール50gを入れておき、内温を20
℃に調整した。ついでフラスコ内を攪拌しながら、(製
造例2)で得た有機ポリマー(P−1)の酢酸ブチル溶
液20g、酢酸ブチル20g、テトラメトキシシラン5
0gの混合液(溶液A)を滴下口イから、25%アンモ
ニア水35g、メタノール35gの混合液(溶液B)を
滴下口ロから、1時間かけて滴下した。滴下後、同温度
で2時間攪拌を続け、有機ポリマー複合無機微粒子分散
体(Z−1)を得た。得られた分散体の有機ポリマー複
合無機微粒子濃度は7.0%であった。また、有機ポリ
マー複合無機微粒子中の無機物含有量、アルコキシ基含
有量はそれぞれ69.6%、0.15mmol/gであ
った。また、有機ポリマー複合無機微粒子の平均粒子
径、変動係数はそれぞれ45nm、18.7%であっ
た。
【0080】(製造例5) (有機ポリマー複合無機微粒子分散体(Z−2)の合
成)有機ポリマー(P−1)に代えて、(製造例3)で
得た有機ポリマー(P−2)を用いること以外は、(製
造例4)と同様にして、有機ポリマー複合無機微粒子分
散体(Z−2)を得た。得られた分散体の有機ポリマー
複合無機微粒子濃度は7.2%であった。また、有機ポ
リマー複合無機微粒子中の無機物含有量、アルコキシ基
含有量はそれぞれ69.9%、0.14mmol/gで
あった。また、有機ポリマー複合無機微粒子の平均粒子
径、変動係数はそれぞれ47nm、19.1%であっ
た。
【0081】(製造例6) (有機ポリマー複合無機微粒子分散体(Z−3)の合
成)攪拌機、温度計、冷却管および流出口が接続した蒸
留塔を備えた500mlの四つ口フラスコに、(製造例
4)で得た有機ポリマー複合無機微粒子分散体(Z−
1)を400g入れ、110mmHgの圧力下、フラスコ内
温を100℃まで昇温し、アンモニア、メタノール、酢
酸ブチルを固形分濃度が30%となるまで留去し、有機
ポリマー複合無機微粒子が酢酸ブチルに分散した分散体
(Z−3)を得た。
【0082】(製造例7) (有機ポリマー複合無機微粒子分散体(Z−4)の合
成)有機ポリマー複合無機微粒子分散体(Z−1)に代
えて、(製造例5)で得た有機ポリマー複合無機微粒子
分散体(Z−2)を用いること以外は(製造例6)と同
様にして、有機ポリマー複合無機微粒子が酢酸ブチルに
分散した分散体(Z−4)を得た。
【0083】以下実施例および比較例で得られたプラス
ティックフィルムの摩擦係数の測定および耐摩耗性試験
は、下記の方法で行った。
【0084】(摩擦係数)フィルムを200×100m
mに切り、下記の装置で測定した。
【0085】HEIDON製 連続加重式表面性測定機
TYPE:HEIDON−22 (耐摩耗性試験)フィルムを100×100mmに切
り、下記の装置にて、500gの荷重で50回転後、フ
ィルム表面をSEMで観察し、粒子の脱落の有無を調べ
た。
【0086】安田精機製 No.101 テーバー摩耗
試験機、摩耗輪:CS−17 (実施例1) (製造例6)で得られた有機ポリマー複合無機微粒子の
酢酸ブチル分散体(Z−3)0.5g、(株)日本触媒
製ポリエステル樹脂「アロプラッツBO−110」15
g、酢酸ブチル1000gを混合して塗布液とした。該
塗布液を、東レ(株)製ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム「ルミラー」の片面にバーコーターで塗布し、室
温で20分、140℃で20分乾燥した。得られたフィ
ルムの摩擦係数および耐摩耗試験結果を表1に示す。
【0087】(実施例2) (製造例7)で得られた有機ポリマー複合無機微粒子の
酢酸ブチル分散体(Z−4)0.5g、(株)日本触媒
製アクリル樹脂「アロタン2060」15g、住友化学
工業(株)製イソシアネート硬化剤「スミジュールN−
3500」2.5g、酢酸ブチル1000gを混合して
塗布液とした。該塗布液を、東レ(株)製ポリエチレン
テレフタレートフィルム「ルミラー」の片面にバーコー
ターで塗布し、室温で30分、80℃で40分乾燥し
た。得られたフィルムの摩擦係数および耐摩耗試験結果
を表1に示す。
【0088】(比較例1)有機ポリマー複合無機微粒子
の酢酸ブチル分散体(Z−3)に代えて、日産化学工業
(株)製「メタノールシリカ分散体」1gを用いること
以外は(実施例1)と同様にして、ポリエチレンテレフ
タレートフィルムの表面処理を行った。得られたフィル
ムの摩擦係数および耐摩耗試験結果を表1に示す。
【0089】(比較例2)有機ポリマー複合無機微粒子
の酢酸ブチル分散体(Z−4)に代えて、日産化学工業
(株)製「メタノールシリカ分散体」1gを用いること
以外は(実施例2)と同様にして、ポリエチレンテレフ
タレートフィルムの表面処理を行った。得られたフィル
ムの摩擦係数および耐摩耗試験結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
【発明の効果】本発明の表面改質方法を用いれば、プラ
スティックフィルムに、高い硬度を付与し、微粒子の脱
落がなく高い滑り性を付与する効果を奏するものであ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機微粒子の表面に有機ポリマーが固定
    されてなり平均粒子径が5〜200nmでありかつ粒子
    径の変動係数が50%以下である有機ポリマー複合無機
    微粒子を含有する被膜を、プラスティックフィルムの少
    なくとも片面に形成することを特徴とするプラスティッ
    クフィルムの表面改質方法。
  2. 【請求項2】 有機ポリマー複合無機微粒子が、1分子
    当たりに少なくとも1個のポリシロキサン基が結合して
    おり、かつ、前記ポリシロキサン基中に少なくとも1個
    のSi−OR1 基(R1 は水素原子またはアルキル基、
    アシル基から選ばれる置換されていても良い少なくとも
    一種の基であり、R1 が1分子中に複数ある場合、複数
    のR1 は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    を有する少なくとも1種の有機ポリマー(P)を、
    (P)単独または加水分解可能な金属化合物(G)とと
    もに加水分解・縮合して得られるものである請求項1記
    載のプラスティックフィルムの表面改質方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017024787A (ja) * 2015-07-28 2017-02-02 東洋インキScホールディングス株式会社 食品包装シートおよび食品包装シートの製造方法
KR20170085029A (ko) * 2014-11-18 2017-07-21 히타치가세이가부시끼가이샤 반도체 장치 및 그 제조 방법, 및 가요성 수지층 형성용 수지 조성물

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