JPH083483A - 塗装法 - Google Patents

塗装法

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JPH083483A
JPH083483A JP16080694A JP16080694A JPH083483A JP H083483 A JPH083483 A JP H083483A JP 16080694 A JP16080694 A JP 16080694A JP 16080694 A JP16080694 A JP 16080694A JP H083483 A JPH083483 A JP H083483A
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lead
electrodeposition coating
treated
compound
acid
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JP16080694A
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English (en)
Inventor
Hidehiko Haishi
秀彦 羽石
Masafumi Kume
政文 久米
Hitoshi Ishii
均 石井
Ken Miyawaki
憲 宮脇
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Kansai Paint Co Ltd
Nihon Parkerizing Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 表面がリン酸塩処理液で処理された導電性金
属製品をポリ-4-ビニルフエノール誘導体ポリマーまた
は該誘導体ポリマーと酸との塩の少なくとも1種を含有
する溶液で処理した後、鉛化合物およびクロム化合物を
含まない電着塗料で塗装することからなる塗装法。 【効果】 鉛化合物およびクロム化合物を含まない電着
塗料を使用することによって公害を防止し、かつ防食性
に優れた電着塗膜を形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉛化合物およびクロム
化合物を含まない電着塗料を使用することによって公害
を防止し、かつ防食性にすぐれた電着塗膜を形成する塗
装法に関する。
【0002】
【従来の技術】電着塗料には、その防食性を向上させる
ために、例えばクロム酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、クロム酸
ストロンチウムなどの鉛化合物やクロム化合物などの防
錆顔料が配合されているが、これらはいずれも非常に有
害な物質であり、それを使用することは安全衛生的およ
び公害防止上好ましくない。
【0003】そこで、これらに代わって、リン酸亜鉛、
リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、モ
リブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、酸化亜鉛、
酸化鉄、リンモリデブン酸カルシウム、リンモリデブン
酸亜鉛などの無毒性もしくは低毒性の防錆顔料を電着塗
料に配合することも検討されているが、その防食性は上
記鉛化合物やクロム化合物などを用いた場合に比べ劣っ
ており、またこのうち亜鉛系顔料は多量使用すると安定
性が低下するという欠点がある。
【0004】また、防食性および付着性を向上させるた
めに、電着塗装に先立って、被塗物を金属リン酸塩およ
び/または金属酸化物などで表面処理しておくことも周
知であるが、防食性および付着性などは依然として不十
分である。さらに、六価クロム化合物水溶液で水洗もし
くは後処理することもあるが、該クロム化合物は有毒で
あるので、その使用および排水処理に高価な装置が必要
となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点、すなわち、公害発生の原因となる鉛
化合物およびクロム化合物を使用せずに、かつこれらを
使用したのと同様もしくはそれ以上の防食性を有する電
着塗膜を形成する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来
技術の問題点を解決する手段について鋭意研究を行った
結果、今回、電着塗装に先立ち、ポリ-4-ビニルフエノ
ール誘導体ポリマーまたは該誘導体ポリマーと酸との塩
の少なくとも1種を含有する溶液で処理しておくと、電
着塗料に鉛化合物およびクロム化合物を配合しなくても
防食性にすぐれた電着塗膜を形成することができ、しか
も、かかる有害化合物を配合していないために電着塗料
の安定性を向上させることもできることを見出した。
【0007】かくして、本発明は、表面がリン酸塩処理
液で処理された導電性金属製品をポリ-4-ビニルフエノ
ール誘導体ポリマーまたは該誘導体ポリマーと酸との塩
の少なくとも1種を含有する溶液で処理をした後、鉛化
合物およびクロム化合物を含まない電着塗料で塗装する
ことを特徴とする塗装法を提供するものである。
【0008】以下に、本発明の塗装法に関してさらに詳
細に説明する。
【0009】導電性金属製品は、少なくともその表面が
導電性金属で構成され、電着塗装可能なものであればよ
く、該金属としては、例えば亜鉛、鉄、アルミニウム、
鋼およびこれらの合金、亜鉛メッキ鋼板などがあげら
れ、これらは冷間圧延、熱間圧延、研削、酸洗浄などで
処理されていてもさしつかえない。さらに具体的には、
自動車の車体、外板および部品など、建築材料、電気製
品、事務用機器などがあげられる。
【0010】本発明においては、これらの導電性金属製
品は、リン酸塩処理液(以下、処理剤という)で表面
処理される。具体的には、例えば、リン酸鉄、リン酸マ
ンガン、リン酸亜鉛、およびカルシウム、ニッケル、マ
グネシウムなどのイオンを配合したリン酸亜鉛などから
選ばれる1種もしくは2種以上の金属塩を含有する水溶
液または水分散液が好適である。これらの金属塩の濃度
は目的に応じて任意に選択することができるが、通常、
1〜30重量%の範囲内であることが好ましい。
【0011】導電性金属製品をこれらの処理剤で表面
処理する方法としては、特に制限されるものではなく、
それ自体既知の任意の方法を用いることができ、例え
ば、該金属製品をリン酸塩水溶液または水分散液に浸漬
するかもしくは該金属製品に吹付けることによって行わ
れるが、一般に前者の方法が好ましい。リン酸水溶液ま
たは水分散液の温度は通常10〜60℃の範囲内にある
ことが好ましい。その後、必要に応じて水洗してから、
室温もしくは加熱により水切乾燥を行うことが好まし
い。
【0012】本発明の方法は、上記の如くリン酸塩処理
液で表面処理された導電性金属製品に、電着塗装を行な
う前に、ポリ-4-ビニルフエノール誘導体ポリマーまた
は該誘導体ポリマーと酸との塩の少なくとも1種を含有
する水溶液または水分散液(以下、処理剤という)で
処理する点に主たる特徴を有する。
【0013】ポリ-4-ビニルフエノール誘導体ポリマー
(以下、「誘導体ポリマー」と略称する)には、ポリ-
4-ビニルフエノール誘導体、ホルムアルデヒド及び第
二アミンの反応生成物である下記式(a)、(b)、
(c)及び/又は(d)で示される部分構造を有するポ
リマーが包含される。
【0014】
【化1】
【0015】(上記各式中、Xは
【0016】
【化2】
【0017】を表わし;YはX、CR34OR5または
CH2Clを表わし;R1〜R5はH、アルキル、アリー
ル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、メルカプト
アルキルまたはスルホアルキル基を表わす) 該誘導体ポリマー中、各単位(a)、(b)、(c)及
び(d)は0から該ポリマーが水溶性または水分散性で
なくなる値未満の数で存在し、且つ各単位の数は同時に
0であることはなく、さらにその総計は2以上である。
またR1〜R5は、前記化合物が水溶性または水分散性で
なくなる値未満の炭素鎖の長さを有し;かつXは前記化
合物が水溶性または水分散性であるように充分な量で存
在することができる。
【0018】該誘導体ポリマーは、前記式で示す複数の
単位からなる。4-ビニルフエノール誘導体単位はフエ
ノール性水酸基のオルト位にXおよび/またはYの置換
基が導入されたような単位を含む誘導体である。
【0019】水溶性又は分散性のために必要なXの特定
量は、ポリマーの分子量ならびにポリマー中の基R1
5によって決定される。
【0020】一般的に、ある置換基のベンゼン環への置
換モルパーセントは、無置換の場合0%、一置換の場合
100%、二置換の場合200%、三置換の場合300
%、四置換の場合400%、五置換の場合500%、六
置換の場合600%と言うことができる。誘導体ポリマ
ーの場合、その単位となっている一つのフエノール基に
対するXの置換はフエノール性水酸基のオルト位に置換
するため、そのXの置換モルパーセントは、無置換の場
合0%、一置換の場合100%、二置換の場合200%
となり、0〜200%の値をとり得る。従って、該誘導
体ポリマー全体を見た場合にも、フエノール基に対する
Xの置換モルパーセントの値は、0〜200%をとり得
るものである。
【0021】しかし、該誘導体ポリマーにおいてXは該
ポリマーが水溶性または水分散性であるように充分な量
で存在するため、その置換モルパーセントが0%となる
ことはない。本発明では、該ポリマー中のフエノール基
に対するXの置換モルパーセントは10〜200%であ
り、通常50〜150%である。なお、誘導体ポリマー
においては、前記式からも明確なように、1つの単位に
対して1つのフエノール基が存在する。
【0022】誘導体ポリマーはポリ-4-ビニルフエノー
ルポリマーの誘導体である。さらに詳しくは、ポリ-4-
ビニルフエノール誘導体、ホルムアルデヒド及び第二ア
ミンの反応生成物であり、その結果として、ポリ-4-ビ
ニルフエノール誘導体の水酸基のオルト位に置換基を有
するような前記一般式(a)、(b)、(c)で示され
る単位を有し、また未反応の一般式(d)で示される単
位を有する構造になる。望ましい誘導体ポリマーは、例
えばマンニツヒ反応によって製造することができる。例
えば、ポリ-4-ビニルフエノールポリマーがホルムアル
デヒドおよび第二アミンと反応し、生成物を生じる。こ
の生成物は有機又は無機酸によって中和して、水溶性又
は水分散性溶液又はエマルションとすることもできる。
【0023】大過剰の第二アミンおよびホルムアルデヒ
ドを使用した場合には、ポリマー中のほとんどの芳香環
が少なくともXが一つ、いくらかの環はXが二つ置換し
た状態になる。従って、その反応系を制御することによ
ってXの置換モルパーセントを制御することができる。
【0024】こうした過程を経て誘導体ポリマーは合成
されるために、その一般式はその部分構造を示すものの
組合わせによるものになることが容易に理解されるであ
ろう。
【0025】該誘導体ポリマーの製造に使用されるポリ
-4-ビニルフエノールの分子量は、モノマー又は通常3
60の低分子量のオリゴマーから30000又はそれ以
上の高分子量のポリマーまでにおよび、分子量の上限
は、その誘導体が水溶性又は水分散性であるという作用
上の制限によって決定される。
【0026】前記式の誘導体ポリマーは、通常約200
000までの分子量を有しており、約700〜約700
00の範囲内の分子量が好ましい。これら誘導体ポリマ
ーの与えられた一般式において、単位(a)、(b)、
(c)及び(d)の数の総和の一般的な最大値は約85
0であり、約10〜300の範囲内が好ましい。同様
に、R1〜R5置換基の炭素鎖の長さは通常約1〜18で
あり、約1〜12の炭素鎖が好ましい。勿論、各場合に
おいて、望ましい水溶性及び/又は分散性を与える単位
(a)、(b)、(c)及び(d)の値及び炭素鎖の値
ならびにXの置換モルパーセントは適宜選択することが
できる。
【0027】該誘導体ポリマーの調製のために使用され
る第二アミンとしては、以下のものが挙げられるが、そ
れらに限定されない:ジメチルアミン、ジエチルアミ
ン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、メチル
エチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルイソプロ
ピルアミン、メチルブチルアミン、メチルイソブチルア
ミン、エチルプロピルアミン、エチルイソプロピルアミ
ン、エチルブチルアミン、エチルイソブチルアミン;エ
チルエタノールアミン、プロピルエタノールアミン、ブ
チルエタノールアミン、エチルプロパノールアミン、エ
チルイソプロパノールアミン、エチルブタノールアミ
ン、エチルイソブタノールアミン、プロピルプロパノー
ルアミン、イソプロピルイソプロパノールアミン、プロ
ピルイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジ
プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン;N,
N-2置換、N,N,N-3置換のエチレンあるいはプロピ
レンジアミン:アミノカルボン酸、アミノホスホン酸;
N,N-ジメチルアミノ-N′-(2-ヒドロキシエチル)
アミノエタン;グリホスフエート(N-ホスホメチル、
N-カルボキシメチル)アミン;シスチン;タウリンな
ど。
【0028】また、誘導体ポリマーの置換基Yはマンニ
ツヒ反応によるXのほか、塩化水素とホルムアルデヒド
との反応によるクロルメチル化、フエノールとアルデヒ
ドあるいはケトンとの反応によるアリーロキシアルキル
化等により導入することができる。これらの反応は既知
のものであるので詳細については省略する。
【0029】誘導体ポリマーは、有機溶媒中に可溶であ
り、且つたとえばエタノールのような有機溶媒中に溶解
された時でも、処理用溶液として使用し得るが、処理用
化合物は水溶液の形で利用することが望ましい。化合物
に望ましい水溶性又は水分散性を付与するためには、ア
ミン部分を中和する有機又は無機酸が使用される。この
目的に有用な酸としては、例えば、酢酸、クエン酸、シ
ユウ酸、アルコルビン酸、フエニルホスホン酸、クロル
メチルホスホン酸;モノ、ジ及びトリクロル酢酸、トリ
フルオロ酢酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、硫酸、硼
酸、塩酸、ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタ
ン酸、ヘキサフルオロジルコニウム酸等があげられ、こ
れらは単独又は組合わせて使用することができる。中和
された、または過剰に中和された、または一部中和され
た前記処理用化合物に水を加えることによって、金属処
理に有用な誘導体ポリマーの水溶性又は水分散性溶液又
はエマルジョンを生じる。
【0030】溶液のpHは0.5〜12の範囲内とするこ
とができるが、溶液の安定性のために且つ処理した金属
表面に最良の結果を得るために、通常2〜8の間に保持
することが望ましい。
【0031】本発明の処理剤は、例えば約0.01〜約
5重量%の希薄溶液で使用液中で使用されるように意図
されるが、特に0.1〜1%の濃度が好ましい。しかし
ながら、例えば溶液を輸送又は貯蔵するような状況下で
は、濃縮溶液が好ましい。例えば、処理剤を30%ま
で含む溶液が用いられる。商業的な見地から、本発明の
処理剤の望ましい濃度は、約5〜30%である。
【0032】処理段階において上記処理剤の金属表面
への塗布は、それ自体既知の方法によって行われる。金
属表面はあらかじめ処理剤で処理しておくと、これに
よりその耐食性及び塗料付着性が改良される。例えば、
処理剤の溶液は吹き付け塗布、ローラー塗布又は浸漬
によって塗布することができる。塗布される溶液の温度
は広い範囲にわたって変えることができるが、好ましく
は20〜70℃の範囲内とすることができる。塗布後、
この表面は水洗することができるが、水洗しなくとも良
好な結果が得られうる。最終用途によっては、水洗する
ことが好ましい。
【0033】次に、処理した金属表面を乾燥する。乾燥
は例えば、空気を循環させることによって、またはオー
ブン乾燥によって行われる。室温乾燥も利用することが
できるが、乾燥時間を短縮するために高めの温度を採用
することが好ましい。
【0034】乾燥後、処理された金属表面は塗装のため
に準備された状態となる。
【0035】本発明の方法においては、上記に述べたご
とくして処理剤および処理剤で処理された導電性金
属製品に電着塗料を塗装する。
【0036】該電着塗料としては、水酸基およびカチオ
ン性基を有する基体樹脂(A)と架橋剤(B)とを主成
分として含有するカチオン電着塗料が好ましく、このも
のには、例えば、クロム酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、クロム
酸ストロンチウムなどの鉛化合物やクロム化合物などの
有害物質を配合する必要はない。
【0037】上記カチオン電着塗料に用いる基体樹脂
(A)は、1分子中に水酸基およびカチオン性基を有す
るものであり、該水酸基は架橋剤(B)と架橋硬化反応
し、カチオン性基は安定な水溶液又は水分散液を形成す
るのに有用である。
【0038】しかして、該基体樹脂(A)としては例え
ば次のものが挙げられる。
【0039】(i) ポリエポキシ樹脂とカチオン化剤
とを反応せしめて得られる反応生成物; (ii) ポリカルボン酸とポリアミンとの重縮合物(米
国特許第2,450,940号明細書参照)を酸でプロト
ン化したもの; (iii)ポリイソシアネート及びポリオールとモノ又は
ポリアミンとの重付加物を酸でプロトン化したもの; (iv) 水酸基ならびにアミノ基含有アクリル系又はビ
ニル系モノマーの共重合体を酸でプロトン化したもの
(特公昭45−12395号公報、特公昭45−123
96号公報参照); (v)ポリカルボン酸樹脂とアルキレンイミンとの付加
物を酸でプロトン化したもの(米国特許第3,403,0
88号明細書参照);等。
【0040】これらのカチオン性樹脂の具体例及び製造
方法については、例えば、特公昭45−12395号公
報、特公昭45−12396号公報、特公昭49−23
087号公報、米国特許第2,450,940号明細書、
米国特許第3,403,088号明細書、米国特許第3,
891,529号明細書、米国特許第3,963,663
号明細書等に記載されているので、ここではこれらの引
用を以って詳細な記述に代える。
【0041】基体樹脂(A)として特に望ましいのは、
前記(i)に包含される、ポリフエノール化合物とエピ
クロルヒドリンとから得られる防食性に優れているポリ
エポキシド化合物のエポキシ基にカチオン化剤を反応せ
しめて得られる反応性生成物である。
【0042】一方、上記ポリエポキシド化合物にカチオ
ン性基を導入するためのカチオン化剤としては、脂肪族
または脂環族または芳香-脂肪族の第1級もしくは第2
級アミン、第3級アミン塩、第2級スルフイド塩、第3
級ホスフイン塩などが挙げられる。これらはエポキシ基
と反応してカチオン性基を形成する。さらに第3級アミ
ノアルコールとジイソシアネートの反応によって得られ
る第3級アミノモノイソシアネートをエポキシ樹脂の水
酸基と反応させてカチオン性基とすることもできる。
【0043】基体樹脂(A)の水酸基としては、例え
ば、上記カチオン化剤中のアルカノールアミン、エポキ
シド化合物中に導入されることがあるカプロラクトンの
開環物およびポリオールなどから導入される第1級水酸
基;エポキシ樹脂中の2級水酸基;などがあげられる。
このうち、アルカノールアミンにより導入される第1級
水酸基は架橋剤(B)との架橋硬化反応性にすぐれてい
るので好ましい。
【0044】基体樹脂(A)における水酸基の含有量
は、架橋剤(B)に含まれるエポキシ基との架橋硬化反
応性の点からみて、水酸基当量で20〜5,000、特
に100〜1,000の範囲内が好ましく、特に第1級
水酸基当量は200〜1,000の範囲内にあることが
望ましい。また、カチオン性基の含有量は、該基体樹脂
(A)を安定に分散しうる必要な最低限以上が好まし
く、KOH(mg/g固形分)(アミン価)換算で一般
に3〜200、特に10〜80の範囲内になることが好
ましい。しかし、カチオン性基の含有量が3以下の場合
であっても、界面活性剤などを使用して水性分散化して
使用することも可能であるが、この場合には、水性分散
組成物のpHが通常4〜9、より好ましくは6〜7にな
るようにカチオン性基を調整するのが望ましい。
【0045】基体樹脂(A)は、水酸基及びカチオン性
基を有しており、遊離のエポキシ基は原則として含まな
いことが望ましい。
【0046】一方、架橋剤(B)は、特に限定されない
が、ブロックポリイソシアネート化合物を用いるのが好
ましい。
【0047】該ブロックポリイソシアネート化合物は、
ポリイソシアネート化合物の遊離イソシアネート基をブ
ロック剤でブロックしてなる化合物であり、ある温度以
上に加熱するとブロック剤が解離して遊離イソシアネー
ト基が再生し、このものが上記基体樹脂(A)の水酸基
と反応し架橋硬化する。
【0048】ポリイソシアネート化合物としては、例え
ばヘキサメチレンジイソシアネートもしくはトリメチル
ヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシ
アネート類;水素添加キシリレンジイソシアネートもし
くはイソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族ジイ
ソシアネート類;トリレンジイソシアネートもしくは
4,4′-ジフエニルメタンジイソシアネートの如き芳香
族ジイソシアネート類などの有機ジイソシアネートそれ
自体、またはこれらの有機ジイソシアネートと多価アル
コール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付
加物、あるいは上記した如き有機ジイソシアネート同志
の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等
が挙げられる。
【0049】ブロック剤としては、例えばフエノール
系、ラクタム系、活性メチレン系、アルコール系、メル
カプタン系、酸アミド系、イミド系、アミン系、イミダ
ゾール系、尿素系、カルバミン酸エステル系、イミン
系、オキシム系、亜硫酸塩系などのブロック剤がいずれ
も使用されうるが、とりわけフエノール系、ラクタム
系、アルコール系、オキシム系のブロック剤が有利に使
用される。
【0050】架橋剤(B)の使用量は、用いる基体樹脂
(A)の種類に応じて、また得られる塗膜が熱硬化する
のに必要な最少量乃至カチオン電着塗料の安定性をそこ
なわない最大量の範囲内で適宜変えることができるが、
一般には、基体樹脂(A)に対する固形分の重量比
[(B)/(A)]が0.1〜1、特に0.2〜0.8
5、更に望ましくは0.2〜0.65の範囲内となるよう
に選択するのが望ましい。
【0051】さらに、本発明で用いる電着塗料において
は、架橋剤(B)の一部が基体樹脂(A)にあらかじめ
付加したものが含まれていてもさしつかえない。
【0052】カチオン電着塗料の調製は、例えば、基体
樹脂(A)と架橋剤(B)とを混合し、水中に安定に分
散さしめ、次いで必要に応じて、カーボンブラック、チ
タン白、鉛白、酸化鉛、ベンガラのような着色顔料;ク
レー、タルク等の体質顔料:或いはさらに他の添加剤を
配合することによって行なわれる。他の添加剤として
は、例えば、分散剤又は塗面のハジキ防止剤としての少
量の非イオン系界面活性剤;硬化促進剤等が挙げられ
る。
【0053】なお、本発明で使用する電着塗料には、ク
ロム酸ストロンチウム、クロム酸鉛、塩基性クロム酸
鉛、鉛丹、ケイ酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、リン酸鉛、塩基
性リン酸鉛、トリポリリン酸鉛、ケイクロム酸鉛、黄
鉛、シアナミド鉛、鉛酸カルシウム、亜酸化鉛、硫酸
鉛、塩基性硫酸鉛等の鉛化合物およびクロム化合物は何
ら配合する必要はない。
【0054】このようにして調製されるカチオン電着塗
料を適当な基体上に電着させて得られる塗膜の膜厚は厳
密に制限されるものではないが、一般には、硬化塗膜に
基いて3〜200μの範囲内、特に10〜80μの範囲
内が適しており、また塗膜は、例えば70〜250℃、
好ましくは120℃〜180℃間の温度で加熱硬化させ
ることができる。
【0055】特に、本発明では該電着塗料を30μ以上
の膜厚で塗装しても耐食性が低下することは殆ど認めら
れない。
【0056】電着塗装方法は特に制限されるものではな
く、通常のカチオン電着塗装条件を用いて行なうことが
できる。例えば、前述した基体樹脂(A)及び架橋剤
(B)を前述の如く水中に分散せしめ、必要に応じて顔
料、硬化触媒、その他の添加剤などを配合し、浴濃度
(固形分濃度)5〜40重量%、好ましくは10〜25
重量%及び浴pH5〜8、好ましくは5.5〜7の範囲内
のカチオン電着浴を調製する。次いでこの電着浴を用
い、例えば5cm×15cm×1cmの大きさのカーボ
ン板を陽極とし且つ例えば5cm×15cm×0.7m
mの大きさのリン酸亜鉛処理板を陰極とする場合、下記
の条件下に電着を行なうことができる。
【0057】浴温度:20〜35℃、好ましくは25〜
30℃、 直流電流 電流密度:0.005〜2A/cm2、好ましくは0.0
1〜1A/cm2 電 圧:10〜500V、好ましくは100〜300
V 通電時間:0.5〜5分間、好ましくは2〜3分間 電着塗装後、電着浴から被塗物を引き上げ水洗したの
ち、電着塗膜中に含まれる水分を熱風などの乾燥手段で
除去することができる。
【0058】このようにして形成される電着塗膜は前述
した如くして加熱硬化させることができる。
【0059】
【実施例】次に実施例により本発明を更に具体的に説明
する。実施例中「部」は「重量部」であり、「%」は
「重量%」である。
【0060】I.製造例 (1)処理剤−1 タービン翼、窒素散布装置および冷却器を備えた37
8.5リットルのステンレススチール反応器中に、45.
3kgの95%エタノール溶媒を仕込んだ。この溶媒を
50℃まで穏やかに加熱し、次に、分子量5000の3
6.24kgのポリ-4-ビニルフエノールポリマーをよ
く撹拌しながら溶媒にゆっくり加えた。ポリマーを全て
加えた後、反応器を閉じ、残存しているポリマーの溶解
を促進させるために、80℃まで加熱した。次に、反応
器を40℃まで冷却し、22.65kgのN-メチルアミ
ノエタノール及び45.3kgの脱イオン水を加えた。
次に、温度40〜42℃に保持しながら、1時間かけて
24.5kgの37%ホルムアルデヒド溶液を加えた。
その後、反応器を40℃で3時間加熱し、14.3kg
の10%硝酸を加え、脱イオン水で固形物が20%にな
るまで希釈し、安定な水溶液(処理剤−1)を得た。
【0061】(2)処理剤−2 冷却器、窒素散布装置、頭上機械撹拌器および温度計が
設けられている1000mlの反応フラスコ(反応器)
に、100gのセロソルブ溶媒を入れた。次に、分子量
5000の80gのポリ-4-ビニルフエノールを加え溶
解した。700gのジメチルアミン及び100gの脱イ
オン水を加え、50℃まで加熱した。108gの37%
ホルムアルデヒド溶液を1時間かけて加え、50℃でさ
らに3時間、次に80℃で3時間加熱した。反応器を冷
却し、65gの75%リン酸及び次に227gの脱イオ
ン水を加えて、安定な水溶液(処理剤−2)を得た。
【0062】(3)カチオン電着塗料(CED−1) エポキシ当量950のビスフエノールAタイプエポキシ
樹脂[商品名「エピコート1004、シエル化学(株)
製]1900部をブチルセロソルブ993部に溶解し、
ジエタノールアミン210部を80〜100℃で滴下後
100℃で2時間保持して固形分68%、第1級水酸基
当量528、アミン価53をもつ基体樹脂を得た。
【0063】該基体樹脂100重量部(固形分)あた
り、ブロックポリイソシアネート化合物(イソホロンジ
イソシアネートのブロック化物)40重量部を混合し、
10%ギ酸水溶液で中和し、固形分含有率が20%にな
るように水を加えて、カチオン電着塗料(CED−1)
を得た。
【0064】(4)カチオン電着塗料(CED−2) モノエタノールアミン39部を反応容器中で60℃に保
ち、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド10
0部を滴下し、60℃で5時間反応させ、N,N-ジメチ
ルアミノプロピルアクリルアミドのモノエタノールアミ
ン付加物を得た。
【0065】別にエポキシ当量190のビスフエノール
Aジグリシジルエーテル950部、エポキシ当量340
のプロピレングリコールジグリシジルエーテル340
部、ビスフエノールA456部及びジエタノールアミン
21部を仕込み、120℃まで昇温し、エポキシ価が
1.02ミリモル/gになるまで反応させた後、エチレ
ングリコールモノブチルエーテル479部で希釈、冷却
したのち、温度を100℃に保ちながら、ジエタノール
アミン158部及び上記N,N-ジメチルアミノプロピル
アクリルアミドのモノエタノールアミン付加物43部を
加え、粘度上昇が止まるまで反応させ、樹脂固形分80
%、第1級水酸基当量547、アミン価54の基体樹脂
を得た。
【0066】該基体樹脂100重量部(固形分)あた
り、ブロックポリイソシアネート化合物(イソホロンジ
イソシアネートのブロック化物)40重量部を混合し、
10%ギ酸水溶液で中和し、固形分含有率が20%にな
るように水を加えて、カチオン電着塗料(CED−2)
を得た。
【0067】(5)カチオン電着塗料(CED−3) エポキシ当量950のビスフエノールAタイプエポキシ
樹脂[商品名「エピコート1004、シエル化学(株)
製]1900部をブチルセロソルブ993部に溶解し、
ジエタノールアミン210部を80〜100℃で滴下後
100℃で2時間保持して固形分68%、第1級水酸基
当量528、アミン価53をもつ基体樹脂を得た。
【0068】該基体樹脂100重量部(固形分)あた
り、ブロックポリイソシアネート化合物(イソホロンジ
イソシアネートのブロック化物)40重量部および塩基
性ケイ酸鉛3重量部を混合し、10%ギ酸水溶液で中和
し、固形分含有率が20%になるように水を加えて、カ
チオン電着塗料(CED−1)を得た。
【0069】II実施例 導電金属製品として冷延鋼板を使用し、フアインルリー
ナ−L4460(A剤20g/L、B剤12g/L)
(日本パーカライジング製、アルカリ脱脂剤)を43℃
で120秒間スプレーし脱脂し、ついで純水を常温で3
0秒間スプレーし、水洗した。ついで、プレパレンZN
1g/L)(日本パーカライジング製、チタンコロイ
ド系表面調整剤)を常温で30秒間スプレーした。
【0070】この冷延鋼板を、43℃に加温したリン酸
亜鉛系表面処理剤(日本パーカライジング製、パリボン
ド−L3020)(処理剤)に120秒間浸漬し、引
上げてから、純水を常温で30秒間スプレーし水洗し
た。このように表面処理した鋼板を下記表1に示す実施
例および比較例に用いた。
【0071】
【表1】
【0072】註(1)中塗塗料:関西ペイント(株)
製、TP-60(商品名)を使用し、硬化膜厚30μに
塗装し、150℃で30分加熱し硬化せしめた。
【0073】註(2)上塗塗料:関西ペイント(株)
製、ネオ6000を使用し、硬化膜厚35μに塗布し、
150℃で30分加熱し硬化せしめた。
【0074】註(3)付着性:40℃の純水中に240
時間浸漬した後、ゴバン目(1mm×1mm、100
個)付着性の評価を行った。○は残存塗膜数95以上、
×は残存塗膜数80以下を示す。
【0075】註(4)糸錆性:クロスカットを入れ、ソ
ルトスプレー試験機に48時間入れた後、純水で水洗し
てから糸錆試験機に840時間入れ、糸錆の長さを測定
した。 糸錆試験条件:40℃、湿度85%。
【0076】上記表1の結果から明らかなように、本発
明の塗装法を用いた実施例1〜4により得られる塗膜
は、付着性および耐糸錆性が共に良好であることがわか
る。一方、ポリ-4-ビニルフエノール誘導体ポリマーの
水溶液での処理を用いない比較例1および2は、付着性
および耐糸錆性が劣ることがわかる。なお、比較例3の
付着性および耐糸錆性は本発明の実施例と大差ないが、
用いた電着塗料にクロム化合物が含有されており、公害
防止上好ましくない。
【0077】
【発明の効果】本発明の塗装法によれば、公害発生の原
因となる鉛化合物およびクロム化合物を使用することな
しに、これらを用いたのと同程度またはそれ以上の優れ
た付着性および防食性を有する電着塗膜を形成すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 22/12 22/82 28/00 A C25D 13/20 A (72)発明者 石井 均 東京都中央区日本橋1−15−1 日本パー カライジング株式会社内 (72)発明者 宮脇 憲 東京都中央区日本橋1−15−1 日本パー カライジング株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面がリン酸塩処理液で処理された導電
    性金属製品をポリ-4-ビニルフエノール誘導体ポリマー
    または該誘導体ポリマーと酸との塩の少なくとも1種を
    含有する溶液で処理した後、鉛化合物およびクロム化合
    物を含まない電着塗料で塗装することを特徴とする塗装
    法。
JP16080694A 1994-06-21 1994-06-21 塗装法 Pending JPH083483A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009149974A (ja) * 2007-10-17 2009-07-09 Kansai Paint Co Ltd 複層皮膜形成方法及び塗装物品

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JP2009149974A (ja) * 2007-10-17 2009-07-09 Kansai Paint Co Ltd 複層皮膜形成方法及び塗装物品

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