JPH08336927A - バリア性複合フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

バリア性複合フィルムおよびその製造方法

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JPH08336927A
JPH08336927A JP11308296A JP11308296A JPH08336927A JP H08336927 A JPH08336927 A JP H08336927A JP 11308296 A JP11308296 A JP 11308296A JP 11308296 A JP11308296 A JP 11308296A JP H08336927 A JPH08336927 A JP H08336927A
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JP
Japan
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layer
composite film
barrier composite
anchor coat
inorganic
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JP11308296A
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English (en)
Inventor
Takaaki Murai
孝明 村井
Ryuta Miyake
竜太 三宅
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材フィルムに無機質層を形成した複合フィ
ルムにおいて、レトルト処理などの過酷な条件に晒して
も、密着性およびバリア性の低下を抑制する。 【解決手段】 基材フィルムの少なくとも一方の面を、
(A)塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの塩素含有樹
脂と、(B)ポリイソシアネート化合物と、(C)ガラス転移
温度-10〜20℃を有し、前記ポリイソシアネート化合物
に対して実質的に非反応性の飽和ポリエステル樹脂とを
含むアンカーコート層で被覆した後、ケイ素酸化物など
の無機質層で被覆する。(C)成分には、水酸基価0〜15mg
KOH/g又は酸価0〜10mgKOH/gの非結晶性飽和ポリエステ
ルが含まれる。アンカーコート層の成分の割合は、(A)
成分100重量部に対して(B)成分10〜500重量部、(C)成分
1〜50重量部程度である。前記無機質層又は基材フィル
ムの他方の面には、バリア性樹脂層やヒートシール層を
形成してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水蒸気、酸素や香
気成分などに対するバリア性に優れ、乾燥食品の保存用
フィルム、食品のレトルト処理や電子レンジ加熱用フィ
ルム、医薬品、精密電子部品などの包装フィルム、風船
や気球などの製作用フィルムとして好適なバリア性複合
フィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基材フィルムを極めて薄い無機酸化物で
被覆すると、基材フィルムのバリア性を大きく改善で
き、耐熱性、機械的特性などの他の特性との関係から基
材の選択幅を拡げることができる。無機酸化物の薄膜層
を備えた複合フィルムは、以下のように大別できる。
【0003】(i)基材フィルムに直接形成された無機
酸化物薄膜層を備えている複合フィルム。例えば、特開
昭60−27532号公報には、ポリオレフィン系フィ
ルムに酸化マグネシウムの透明薄膜層を形成し、この薄
膜層にドライラミネート又は押出ラミネートによりポリ
マー層を形成した複合フィルムが開示されている。特開
平1−202435号公報や特開平1−202436号
公報には、基材フィルムの表面に、ケイ素酸化物の蒸着
層と、ヒートシール層又は保護層とを形成した電子レン
ジ用包装材料やレトルト食品用包装材料が開示され、前
記ヒートシール層は、ポリプロピレンなどのヒートシー
ル性樹脂フィルムのラミネートにより形成され、保護層
は、フィルムのラミネートや、熱硬化性樹脂のコーティ
ングにより形成されている。特開平1−29723号公
報には、フィルムの無機酸化物の薄膜への二軸延伸ナイ
ロンフィルムのラミネート、特開平3−86539号公
報には、フィルム上の無機酸化物の薄膜への塩化ビニリ
デン系樹脂などのラミネートや塗布が開示されている。
しかし、これらの複合フィルム(i)は、バリア性など
の特性が変動しやすく、高いバリア性を安定に発現させ
ることが困難である。そのため、通常、100℃以上の
水蒸気釜中で温度で殺菌又は滅菌処理されるレトルト処
理用フィルムとして利用すると、レトルト処理後に層間
の密着性や、バリア性などの特性が大幅に低下する。さ
らに、無機酸化物層を基材フィルム上に直接形成する
と、複合フィルムがカールしやすく、加工工程での取扱
い性が損なわれる。
【0004】(ii)基材フィルムの前処理面に形成され
た無機酸化物薄膜層を備えている複合フィルム。例え
ば、特開昭53−12953号公報には、基材フィルム
の前処理面に硅素酸化物透明薄膜を形成した複合フィル
ムが開示され、特開昭63−237940号公報には、
酸化インジウムや酸化スズなどをスパッタリングしたフ
ィルムに、エチレン−プロピレン共重合体などのヒート
シール層を形成した複合フィルムが開示されている。し
かし、前記複合フィルム(ii)をレトルト処理用フィル
ムとして用いると、基材フィルムと無機酸化物薄膜層と
の密着性が大きく低下するとともに、バリア性も顕著に
低下する。
【0005】(iii)基材フィルムに形成された樹脂層
又は下塗り層と、この下塗層上に形成された無機酸化物
薄膜層とを備えている複合フィルム。例えば、特開平4
−173137号公報には、フィルムに形成した下塗り
層上に無機酸化物の薄膜層を形成し、この薄膜層上へ塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエス
テル、アクリル樹脂を塗布したり、ホットメルトコーテ
ング剤を塗布することにより、ヘリウム、水素ガスに対
する高いバリア性のバルーン用積層体が開示されてい
る。特開平3−86539号公報には、基材フィルムの
表面に、ポリイソシアネート化合物と飽和ポリエステル
ポリオールとで構成された反応性の二液硬化型の樹脂組
成物を塗布し、塗布面にケイ素酸化物薄膜層を形成し、
レトルト適性を有する包装用フィルムを得ることが開示
されている。さらに、特公平8−18395号公報に
は、基材フィルムに、二液硬化型ポリウレタンと5〜3
0重量%の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の混合物層
を形成し、この混合物層に酸化マグネシウムなどの金属
酸化物の蒸着層を形成した蒸着フィルムが開示されてい
る。この文献には、水分の浸透を防止するため、ポリオ
ール成分とポリイソシアネート化合物とで構成された反
応性の二液硬化型ポリウレタンを用い、蒸着層の密着性
を向上させるため、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を
用いることが開示されている。これらの複合フィルム
(iii)では基材フィルムと無機酸化物薄膜層との密着
力を改善できる。しかし、常態(レトルト処理前のフィ
ルム)で高い密着性やバリア性を有する複合フィルムで
あっても、レトルト処理用フィルムとして用いると、基
材フィルムと無機酸化物薄膜層との密着性だけでなくバ
リア性も大きく低下する。特に、常態およびレトルト処
理後の双方において、基材フィルムと無機酸化物薄膜層
との密着性、およびバリア性をそれぞれ高いレベルで両
立できない。さらに、反応性の二液硬化型の樹脂組成物
の塗布面が粘着性を有するため、ブロッキングしやす
く、フィルムの巻取りおよび巻き戻しが困難となり、生
産性の低下をもたらす。しかも、ポリオール成分とポリ
イソシアネート化合物とが反応性を有するため、一旦調
製した二液硬化型ポリウレタンは繰り返し使用すること
ができず、廃棄せざるを得ない。そのため、下塗り用樹
脂組成物を有効に利用できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、基材フィルムと無機薄膜層との密着力およびバリア
性が大きく改善されたバリア性複合フィルムおよびその
製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、
常態のみならずレトルト処理、電子レンジ加熱などの過
酷な条件に晒されても、基材フィルムと無機薄膜層との
高い密着性を維持しつつ、バリア性の低下を抑制できる
バリア性複合フィルムおよびその製造方法を提供するこ
とにある。本発明のさらに他の目的は、高い密着性およ
び高いバリア性により、内容物を長期保存する上で有用
なバリア性複合フィルムおよびその製造方法を提供する
ことにある。本発明の別の目的は、アンカーコート剤を
有効に利用できるとともに、生産性の高い複合フィルム
およびその製造方法を提供することにある。本発明のさ
らに別の目的は、高い透明性および内容物の視認性を有
し、食品、医薬品、精密電子部品などの包装フィルムと
して有用なバリア性複合フィルムおよびその製造方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため、鋭意検討した結果、基材フィルム層の
表面に形成した非硬化性の特定のアンカーコート層上
に、無機質層を形成すると、レトルト処理後であって
も、基材フィルム層に対する無機質層の密着性のみなら
ずガスバリア性を大きく改善できることを見いだし、本
発明を完成した。すなわち、本発明のバリア性複合フィ
ルムは、アンカーコート層を介して、基材フィルム層の
少なくとも一方の面に無機質薄膜層が形成された複合フ
ィルムであって、前記アンカーコート層が、(A)塩素
含有樹脂と、(B)ポリイソシアネート化合物と、
(C)ガラス転移温度−10〜20℃を有し、前記ポリ
イソシアネート化合物に対して実質的に非反応性の飽和
ポリエステル樹脂で構成されている。この複合フィルム
において、塩素含有樹脂には、塩化ビニル−酢酸ビニル
系共重合体などが含まれ、ポリイソシアネート化合物に
は、分子中に少くとも2つのイソシアネート基を有する
分子量150〜1000の化合物などが含まれる。前記
飽和ポリエステル樹脂は、水酸基価0〜15mgKOH
/g又は酸価0〜10mgKOH/g程度の非結晶性飽
和ポリエステルなどであってもよい。アンカーコート層
の成分の割合は、例えば、(A)塩素含有樹脂100重
量部に対して、(B)ポリイソシアネート化合物10〜
500重量部、(C)飽和ポリエステル樹脂1〜50重
量部程度である。また、前記基材フィルム層には、ポリ
プロピレン、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアミ
ドなどが含まれ、無機質薄膜層は、例えば、周期表2A
族元素、遷移元素、2B族元素、3B族元素、4B族元
素、6B族元素などの金属酸化物などで構成できる。本
発明のバリア性複合フィルムには、例えば、(i)基材
フィルム層の少くとも一方の面に、アンカーコート層を
介して、無機酸化物薄膜層が形成されたバリア性複合フ
ィルムであって、前記アンカーコート層の弾性率が0.
1×101 〜1×103 N/mm2 であるバリア性複合
フィルム、(ii)基材フィルム層の少くとも一方の面
に、アンカーコート層を介して、無機酸化物薄膜層が形
成されたバリア性複合フィルムであって、温度120
℃、時間30分のレトルト処理後の基材フィルム層に対
するアンカーコート層の剥離強度が100g/15mm
以上であるバリア性複合フィルムも含まれる。これらの
複合フィルムも、レトルト処理などの過酷な条件に晒し
ても、高いガスバリア性を示す。
【0008】本発明の方法では、基材フィルムの少なく
とも一方の面に、(A)塩素含有樹脂、(B)ポリイソ
シアネート化合物、及び(C)ガラス転移温度−10℃
〜20℃を有し、前記ポリイソシアネート化合物に対し
て実質的に非反応性の飽和ポリエステル樹脂で構成され
たアンカーコート層を形成した後、このアンカーコート
層上に無機質薄膜層を形成することによりバリア性複合
フィルムを製造できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
[基材フィルム層]基材フィルム層を構成するポリマー
としては、成膜可能な種々のポリマー、例えば、ポリエ
チレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アイオ
ノマー、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合
体、ポリ−4−メチルペンテン−1などのポリオレフィ
ン;ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリ
エチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル;
ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6
6、ナイロン610、ナイロン6/66、ナイロン66
/610、ナイロンMXDなどのポリアミド;ポリ塩化
ビニル;ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビ
ニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重
合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共
重合体などの塩化ビニリデン系樹脂;ポリスチレン、ス
チレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹
脂;ポリビニルアルコール;ポリアミドイミド;ポリイ
ミド;ポリエーテルイミド;ポリカーボネート;ポリス
ルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルエーテル
ケトン;ポリアリレート;ポリフェニレンスルフィド;
ポリフェニレンオキシド;ポリパラキシレン;ポリアク
リロニトリル;ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリ
フルオロクロロエチレン、フッ化エチレン−プロピレン
共重合体などのフッ素樹脂;セロハンなどのセルロース
系ポリマー;塩酸ゴム;前記種々のポリマーの構成成分
を含む共重合体などが例示される。これらのポリマー
は、一種または二種以上を混合して用いることができ
る。
【0010】なお、基材フィルム層は、種々の添加剤、
例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤などの安
定剤;カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性帯電
防止剤などの帯電防止剤;結晶核成長剤;スチレン系樹
脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、ジシクロペンタジエン
樹脂、クマロンインデン樹脂などのクマロン樹脂、フェ
ノール樹脂、ロジンとその誘導体やそれらの水添樹脂な
どの炭化水素系重合体;可塑剤;充填剤;高級脂肪酸ア
ミド、高級脂肪酸とその塩、高級脂肪酸エステル、鉱物
系、植物系などの天然ワックス、ポリエチレンなどの合
成ワックスなどのワックス;シリカ系微粉末、アルミナ
系微粉末などの無機滑剤、ポリエチレン系微粉末、アク
リル系微粉末などの有機滑剤などの微粉末状滑剤;着色
剤などを含有していてもよい。
【0011】基材フィルム層の光線透過率は、適当に選
択でき、包装内容物の視認性と美観のためには、白色光
線での全光線透過率が、通常、40%以上、好ましくは
60%以上、より好ましくは80%以上であることが望
ましい。
【0012】基材フィルム層は、オレフィン系ポリマー
(特にポリプロピレン系ポリマーなど)、ポリエステル
(特にポリエチレンテレフタレートなどのポリアルキレ
ンテレフタレート)、ポリアミド、スチレン系ポリマ
ー、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリカーボ
ネート、ポリアクリロニトリルなどで構成されているの
が好ましい。オレフィン系ポリマー、ポリエステル、ポ
リアミドは、透明性、機械的強度及び包装適性に優れ
る。レトルト処理、電磁波加熱用食品の包装材料には、
透明性、機械的強度及び包装適性に優れる耐熱性の高い
ポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポ
リアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ
カーボネート、ポリアクリロニトリルなどが好ましい。
特に好ましい基材フィルム層を構成するポリマーには、
ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどが含ま
れる。
【0013】基材フィルム層は、単層フィルムであって
もよく、一種又は二種以上のポリマー層が積層された積
層フィルムであってもよい。基材フィルム層の厚みは特
に制限されず、包装適性、機械的強度、可撓性などを考
慮して適宜選択される。基材フィルム層の厚みは、通
常、3〜200μm、好ましくは5〜100μm、さら
に好ましくは10〜50μm(例えば、10〜30μ
m)程度である。ボイル用やレトルト用には厚み100
μm以下の基材フィルムを用いる場合が多い。
【0014】基材フィルム層は、慣用のフィルム成形方
法、例えば、インフレーション法、Tダイ法などの溶融
成形法や、溶液を用いたキャスティング法などで形成で
きる。また、基材フィルム層は、未延伸であってもよ
く、一軸または二軸延伸処理されていてもよい。延伸法
としては、例えば、ロール延伸、圧延延伸、ベルト延
伸、テンター延伸、チューブ延伸や、これらを組み合わ
せた延伸などの慣用の延伸法が適用できる。延伸倍率
は、所望するフィルムの特性に応じて適宜設定でき、例
えば、少なくとも一方の方向に1.5〜20倍、好まし
くは2〜15倍程度である。
【0015】基材フィルム層の少なくとも一方の面は、
表面処理されていてもよい。表面処理としては、コロナ
放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、逆スパッタ
処理、火炎処理、クロム酸処理、溶剤処理、粗面化処理
などが例示される。尚、基材フィルム層のうち、表面処
理を施した面に、アンカーコート層を形成すると、密着
性を高めることができる。
【0016】[アンカーコート層(下塗層)]本発明の
主たる特色は、特定のアンカーコート層を介して、基材
フィルム層の少くとも一方の面に無機質層(特に透明性
を有する無機質層)を形成することにより、基材フィル
ム層と無機質層との密着性およびバリア性を大きく改善
する点にある。前記アンカーコート層は、(A)塩素含
有樹脂と、(B)ポリイソシアネート化合物と、(C)
特定のガラス転移温度を有し、前記ポリイソシアネート
化合物に対して実質的に非反応性の飽和ポリエステル樹
脂とで構成されている。(C)飽和ポリエステル樹脂と
して(B)ポリイソシアネート化合物との反応性を有す
るポリエステルポリオールを用いると、架橋反応に起因
するためか、レトルト処理後において、密着性およびガ
スバリア性が大きく低下する。そのため、本発明では
(C)軟質であるとともに、実質的に非反応性の飽和ポ
リエステル樹脂を用いる。また、(B)ポリイソシアネ
ート化合物と(C)軟質で非反応性の飽和ポリエステル
樹脂とを組合わせても、アンカーコート層のブロッキン
グ性は(A)塩素含有樹脂により改善される。なお、
「実質的に非反応性」とは、架橋した硬化物を生成しな
いことを意味する。
【0017】[(A)塩素含有樹脂]塩素含有樹脂に
は、塩素含有モノマーの単独重合体又は共重合体(塩素
含有モノマーと共重合性モノマーとの共重合体)、塩素
含有モノマーをグラフト共重合させたグラフト共重合
体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの
塩素化ポリオレフィンなどが含まれる。塩素含有モノマ
ーには、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどが含
まれ、単独又は二種以上組合わせて使用できる。好まし
い塩素含有モノマーは塩化ビニルである。共重合性モノ
マーとしては、例えば、オレフィン(エチレン、プロピ
レンなど)、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニルなど)、シアン化ビニル(アクリロニトリルな
ど)、(メタ)アクリル酸エステル(アクリル酸C1-12
アルキルエステルなど)などが例示できる。これらの共
重合性モノマーは単独で又は二種以上組合わせて使用で
きる。また、少量であれば、共重合性モノマーとして、
重合性カルボン酸又はその誘導体(アクリル酸、メタク
リル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、マ
レイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキル
エステル、これらに対応するフマル酸又はその誘導体な
ど)を使用してもよい。グラフト共重合体には、例え
ば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)に塩化ビ
ニル(VC)をグラフト共重合させたグラフト共重合
体、ポリウレタンに塩化ビニルをグラフト共重合させた
グラフト共重合体などが含まれる。
【0018】好ましい塩素含有樹脂には、ポリ塩化ビニ
ル、塩化ビニル系共重合体[例えば、少くとも塩化ビニ
ルおよび共重合性モノマー(特に酢酸ビニルなど)をモ
ノマー成分とする塩化ビニル系共重合体(特に塩化ビニ
ル−酢酸ビニル系共重合体など)]が含まれる。好まし
い塩素含有樹脂には、塩化ビニルおよび共重合性モノマ
ーの二成分に加えて、重合性カルボン酸又はその誘導体
(例えば、無水マレイン酸など)などの第三成分をもモ
ノマー成分とする三成分以上の共重合体も含まれる。塩
化ビニルと共重合性モノマー(例えば、酢酸ビニル)と
の割合は、共重合性モノマーの種類に応じて、例えば、
塩化ビニル/共重合性モノマー=95/5〜50/50
(重量比)、好ましくは95/5〜65/35(重量
比)程度の範囲から選択する場合が多い。
【0019】(A)塩素含有樹脂はポリイソシアネート
化合物に対して実質的に非反応性である。すなわち、
(A)塩素含有樹脂は(B)ポリイソシアネート化合物
に対して非反応性であるか、反応性の活性水素原子を有
していたとしても活性水素原子の濃度は低濃度である。
塩素含有樹脂の酸価は、例えば、0〜30mgKOH/
g、好ましくは0〜20mgKOH/g程度である。な
お、塩素含有樹脂の酸価は、重合性カルボン酸又はその
誘導体に起因する。前記塩素含有樹脂のガラス転移温度
は、例えば、25〜80℃(例えば、25〜60℃)、
好ましくは30〜60℃程度であり、30〜50℃程度
である場合が多い。塩素含有樹脂の分子量および重合度
は、密着性を損なわない範囲で選択でき、例えば、数平
均分子量0.5×104 〜10×104 、好ましくは1
×104 〜5×104 、さらに好ましくは1×104
3×104 程度、平均重合度100〜1000、好まし
くは150〜800、さらに好ましくは200〜700
(例えば、300〜700)程度である。
【0020】[(B)ポリイソシアネート化合物]ポリ
イソシアネート化合物としては、分子中に少くとも2つ
のイソシアネート基を有する化合物が使用される。ポリ
イソシアネート化合物には、例えば、2,4−トリレン
ジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネー
ト、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシ
アネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ジ
フェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシア
ネート[ビス(4−イソシアネート−3−メチルフェニ
ル)メタン]、トリフェニルメタントリイソシアネー
ト、1,5−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族
ジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシア
ネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ト
リメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−
デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネー
ト、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートな
どの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加
ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環族ジイソ
シアネート、ポリイソシアネートの変性体などが例示さ
れる。ポリイソシアネートの変性体には、例えば、多価
アルコールに対してポリイソシアネートが付加したアダ
クト体、二量体、イソシアヌレート環を有する三量体、
アロハネート変性体、ウレア変性ポリイソシアネート、
ビュレット変性ポリイソシアネートなどが含まれる。前
記アダクト体における多価アルコールには、3以上のヒ
ドロキシル基を有する低分子量ポリオール、例えば、グ
リセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエ
タンなどのトリオール、ペンタエリスリトールなどテト
ラオールなどが含まれる。これらのポリイソシアネート
は、一種又は二種以上使用できる。
【0021】好ましいポリイソシアネート化合物には、
分子中に3以上のイソシアネート基を有する低分子量化
合物、例えば、トリメチロールプロパン1モルにポリイ
ソシアネート化合物(ジイソシアネートなど)3モルが
付加したアダクト体などが含まれる。ポリイソシアネー
ト化合物の分子量は、例えば、150〜1000、好ま
しくは300〜1000程度の範囲から選択できる。
【0022】[(C)飽和ポリエステル樹脂]飽和ポリ
エステル樹脂としては、多価カルボン酸又はその酸無水
物若しくは低級アルコールエステルと、多価アルコール
との縮合反応により得られる種々のポリエステルが使用
できる。縮合反応にはオキシカルボン酸を用いてもよ
い。多価カルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、
イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメ
リット酸などの芳香族カルボン酸およびそれらの酸無水
物;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸などの脂肪族カルボン酸およびそれらの
酸無水物などが挙げられる。多価カルボン酸成分として
は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香
族ジカルボン酸又はその酸無水物、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸を用
いる場合が多い。オキシカルボン酸には、例えば、β−
オキシプロピオン酸、β−オキシ酪酸などが含まれる。
【0023】多価アルコール成分としては、例えば、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレ
ングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族二
価アルコール;ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレング
リコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレ
ングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール
などのポリオキシアルキレングリコール;グリセリン、
トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペン
タエリスリトールなどの脂肪族多価アルコール;シクロ
ヘキサンジオール、水添ビスフェノールAなどの脂環族
多価アルコール;2,2−ビス(4−ジヒドロキシエチ
ルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ジヒドロキ
シプロピルフェニル)プロパンなどのビスフェノールA
とアルキレンオキサイドとの付加物などの芳香族多価ア
ルコールが挙げられる。なお、残存するヒドロキシル基
やカルボキシル基を封鎖するため、末端封鎖剤として、
一価アルコール、モノカルボン酸などを用いてもよい。
【0024】好ましいポリエステル樹脂は、通常、ポリ
アルキレンテレフタレート以外のポリエステルであっ
て、(C1)有機溶媒に可溶な非結晶性ポリエステル(例
えば、非結晶性線状ポリエステル)である場合が多い。
このようなポリエステル樹脂には、テレフタル酸、フタ
ル酸、イソフタル酸などの芳香族多価カルボン酸に由来
する芳香環を有するポリエステル(例えば、オイルフリ
ー芳香族ポリエステルなど)、(C2)ポリアルキレンエ
ーテルグリコール単位(ポリテトラメチレンエーテルグ
リコール単位など)をソフトセグメント、ポリアルキレ
ンテレフタレート単位(ポリエチレンテレフタレートや
ポリブチレンテレフタレート単位など)をハードセグメ
ントとする熱可塑性エラストマーが含まれる。前記飽和
ポリエステル樹脂(C1)には、ポリアルキレンテレフタ
レートのアルキレングリコール及び/又はテレフタル酸
の一部を、他のジオール(例えば、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコールなどの軟質ジオール成分な
ど)及び/又はジカルボン酸(フタル酸、イソフタル
酸、アジピン酸など)で置換した変性ポリエステル(変
性ポリアルキレンテレフタレート)、イソフタル酸とグ
リコール(エチレングリコールなど)を主成分とするイ
ソフタル酸系ポリエステルが含まれる。
【0025】飽和ポリエステル樹脂は、ポリイソシアネ
ート化合物と組合わせて二液硬化性接着剤を構成するた
めのポリオール(ポリエステルポリオール、ポリエーテ
ルポリオール、アクリルポリオールなど)と明確に区別
される。すなわち、二液硬化性接着剤を構成するポリオ
ールは、ポリイソシアネート化合物との架橋反応のた
め、通常、40mgKOH/g以上のOH価を有してい
るが、飽和ポリエステル樹脂は、前記塩素含有樹脂と同
様に、ポリイソシアネート化合物に対して実質的に非反
応性である。飽和ポリエステル樹脂のOH価は、例え
ば、0〜15mgKOH/g、好ましくは0〜10mg
KOH/g程度であり、0〜5mgKOH/g程度であ
る場合が多い。また、飽和ポリエステル樹脂の酸価は、
例えば、0〜10mgKOH/g、好ましくは0〜7m
gKOH/g程度であり、0〜5mgKOH/g程度で
ある場合が多い。本発明においては、レトルト処理など
の過酷な条件に晒されるか否かに拘らず、基材フィルム
層と無機質層との密着性、およびバリア性を高いレベル
に維持するため、前記塩素含有樹脂とポリイソシアネー
ト化合物と飽和ポリエステル樹脂との組合わせにおい
て、軟質の非反応性の飽和ポリエステル樹脂を用いる。
飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、例えば、−
10℃〜20℃、好ましくは−5℃〜15℃(例えば、
0〜15℃)程度であり、0〜20℃程度である場合が
多い。飽和ポリエステル樹脂の分子量は、密着性やバリ
ア性を損なわない範囲で選択でき、例えば、数平均分子
量0.5×104 〜10×104 、好ましくは1×10
4 〜5×104 、さらに好ましくは1×104 〜3×1
4 程度である。
【0026】[アンカーコート層の成分の割合]アンカ
ーコート層の成分の割合は、密着性およびバリア性を損
なわない範囲で選択でき、例えば、(A)塩素含有樹脂
100重量部に対して、(B)ポリイソシアネート化合
物10〜500重量部(好ましくは25〜400重量
部、さらに好ましくは30〜300重量部)、(C)飽
和ポリエステル樹脂1〜50重量部(好ましくは2〜5
0重量部、さらに好ましくは5〜30重量部)程度であ
る。なお、各成分の割合が、(A)塩素含有樹脂100
重量部に対して、(B)ポリイソシアネート化合物30
〜200重量部(例えば、30〜150重量部)、
(C)飽和ポリエステル樹脂3〜20重量部(例えば、
5〜20重量部)程度のアンカーコート層を形成して
も、高い密着性およびバリア性を確保できる。(C)飽
和ポリエステル樹脂の割合は、通常、(B)ポリイソシ
アネート化合物の使用量よりも少なく、例えば、(B)
ポリイソシアネート化合物100重量部に対して5〜5
0重量部、好ましくは7〜40重量部、さらに好ましく
は10〜30重量部程度である。なお、アンカーコート
層は、種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、熱安定剤などの安定剤;可塑剤;充填剤;着色剤な
どを含有してもよい。
【0027】アンカーコート層(下塗層)の厚みは、無
機質層に対する密着性を向上させ、バリア性を損わない
範囲、例えば、0.01〜5μm(例えば、0.1〜5
μm)、好ましくは0.1〜1μm(例えば、0.2〜
1μm)程度の範囲から選択でき、0.2〜0.7μm
程度であってもガスバリア性を低下させることなく、無
機質層に対して高い密着性を示す。
【0028】[無機質層]無機質層を構成する無機物
は、透明性薄膜を形成できる無機物であるのが好まし
く、このような無機物には、例えば、ベリリウム、マグ
ネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど
の周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、ルテニウ
ム、ハフニウム、タンタルなどの周期表遷移元素;亜鉛
などの周期表2B族元素;アルミニウム、ガリウム、イ
ンジウム、タリウムなどの周期表3B族元素;ケイ素、
ゲルマニウム、錫などの周期表4B族元素;セレン、テ
ルルなどの周期表6B族元素などの単体、これらの元素
を含む無機化合物、例えば、酸化物、ハロゲン化物、炭
化物、窒化物などが挙げられる。これらは、一種または
二種以上用いることができる。好ましい無機物には、例
えば、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどの周期
表2A族元素;チタン、ジルコニウム、タンタル、ルテ
ニウムなどの周期表遷移元素;亜鉛などの周期表2B族
元素;アルミニウム、インジウム、タリウムなどの周期
表3B族元素;ケイ素、錫などの周期表4B族元素;セ
レンなどの周期表6B族元素の単体、またはこれらを含
む酸化物が含まれる。特に周期表3B族元素又は4B族
元素の金属単体又はこれらの酸化物により、無機質層が
形成されているのが好ましい。前記無機物のなかでも、
前記元素を含む酸化物(例えば、酸化錫、酸化アルミニ
ウム、酸化インジウム又はこれらの複合酸化物やケイ素
酸化物など)は透明性やバリア性に優れている。特に、
ケイ素酸化物は、前記特性に加えて、緻密な薄膜を形成
でき、高温においても高いバリア性を長期間に亘り維持
できる。なお、ケイ素酸化物には、一酸化ケイ素や、二
酸化ケイ素のみならず、組成式SiOx(式中、0<x
≦2、好ましくは0.8≦x≦1.5)で表されるケイ
素酸化物が含まれる。電磁波加熱用包装材料において
は、導電率の低い無機化合物、例えば、酸化物、ハロゲ
ン化物、炭化物、窒化物などの非導電性無機物が使用で
きる。好ましい非導電性無機物には、酸化物、例えば、
ケイ素酸化物などが含まれる。
【0029】無機質層の厚さは、通常、100〜500
0オングストローム(0.01〜0.5μm)、好まし
くは200〜3000オングストローム(0.02〜
0.3μm)、さらに好ましくは300〜1500オン
グストローム(0.03〜0.15μm)程度の範囲か
ら選択できる。厚さが100オングストローム未満で
は、均質な薄膜の形成が困難であり、十分なバリア性や
機械的強度が得られず、5000オングストロームを越
えても、バリア性はさほど向上しないばかりか、透明性
や外観を損なうなどの問題があり、経済的にも不利であ
る。
【0030】本発明のバリア性複合フィルムは、アンカ
ーコート層が軟質であるという特色がある。すなわち、
本発明のバリア性複合フィルムには、前記複合フィルム
に加えて、基材フィルム層の少くとも一方の面に、軟質
のアンカーコート層(弾性率が0.1×101 〜1×1
3 N/mm2 のアンカーコート層)を介して、無機酸
化物薄膜層が形成されたバリア性複合フィルムも含まれ
る。好ましいアンカーコート層の弾性率は、0.5×1
1 〜7×102 N/mm2 、特に1×101〜5×1
2 N/mm2 程度である。
【0031】さらに、本発明のバリア性複合フィルム
は、レトルト処理などの過酷な条件に晒されても、高い
密着性および高いレベルのガスバリア性を示すという特
色がある。本発明の複合フィルムには、基材フィルム層
の少くとも一方の面に、アンカーコート層を介して、無
機酸化物薄膜層が形成されたバリア性複合フィルムであ
って、温度120℃、時間30分のレトルト処理後の基
材フィルム層に対するアンカーコート層の剥離強度が1
00g/15mm以上(例えば、100〜500g/1
5mm)であるバリア性複合フィルムも含まれる。基材
フィルム層に対するアンカーコート層の剥離強度は、好
ましくは150〜500g/15mm、さらに好ましく
は200〜400g/15mm程度である。
【0032】これらの複合フィルムは、ガスバリア性が
高く、例えば、基材フィルム層の厚さが10〜30μ
m、アンカーコート層及び無機質層で構成された被覆層
の厚さが0.1〜0.5μmであるとき、温度120
℃、時間30分のレトルト処理した後の酸素ガス透過率
は、例えば、5cc/m2 ・24時間以下(例えば、
0.01〜3cc/m2 ・24時間)、好ましくは3c
c/m2 ・24時間以下(例えば、0.01〜2cc/
2 ・24時間)、さらに好ましくは2cc/m2 ・2
4時間以下(例えば、0.01〜1cc/m2 ・24時
間)程度であり、水蒸気透過率は、例えば、10g/m
2 ・24時間以下(0.01〜10g/m2 ・24時
間)、好ましくは0.1〜5g/m2 ・24時間、さら
に好ましくは0.1〜3g/m2 ・24時間程度であ
る。
【0033】[ポリマー層]本発明において、複合フィ
ルムの無機質薄膜層上には、少くとも1つのポリマー層
を形成してもよい。このポリマー層は、無機質層の保
護、バリア性の向上、印刷性(着色性)や接着性の付与
などのように複合フィルムの用途などに応じて選択で
き、透明であってもよい。好ましいポリマー層には、例
えば、バリア性樹脂層、ヒートシール層などが含まれ
る。なお、「バリア性樹脂層」とは、厚さ2μmにおい
て、温度25℃で酸素ガス透過率20cc/m2 ・24
時間以下、温度40℃、90%相対湿度で水蒸気透過率
20g/m2 ・24時間以下のバリア性樹脂を含む層を
意味する。また、「ヒートシール層」とは、ヒートシー
ラーによる熱接合に限らず、インパルスシール、高周波
接合、超音波接合などの方法により熱接合可能な層を意
味する。
【0034】バリア性樹脂としては、例えば、塩化ビニ
リデン系共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合
体、ポリアミド系重合体、ポリビニルアルコール系重合
体、ポリアクリロニトリル系重合体、ウレタン系重合体
などが挙げられる。なお、バリア性樹脂の組成によって
は、前記バリア特性を示さない樹脂がある。例えば、そ
の一例として、比較的長いセグメント(ポリアルキレン
オキシセグメントなど)を有する熱可塑性ポリウレタン
などが挙げられる。これらのバリア性樹脂は一種又は二
種以上混合して使用できる。
【0035】好ましいバリア性樹脂には、例えば、塩化
ビニリデン系共重合体およびエチレン−ビニルアルコー
ル共重合体などが含まれる。塩化ビニリデン系共重合体
は、塩化ビニリデンと他の重合性モノマーとの共重合体
であり、このような共重合性モノマーとしては、例え
ば、塩化ビニル、酢酸ビニル、クロトン酸、アクリル
酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピ
ルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルア
クリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチ
ルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアク
リレートなどの各種アクリレート(例えば、C1-8 アル
キル−アクリレート)、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、メタクリル酸や上記アクリレートに対応する
メタクリレートなどが例示される。これらの塩化ビニリ
デン系共重合体のうち、塩化ビニリデン−アクリロニロ
リル共重合体、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合
体、塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、塩化ビニ
リデン−メタクリレート共重合体、塩化ビニリデン−酢
酸ビニル共重合体などが好ましい。塩化ビニリデン系共
重合体における塩化ビニリデン含量は、通常、85〜9
9重量%、好ましくは90〜97重量%程度である。
【0036】エチレン−ビニルアルコール共重合体とし
ては、溶媒可溶性又は分散性のエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体が好ましい。このようなエチレン−ビニル
アルコール共重合体において、エチレン含量は、通常、
5〜50モル%、好ましくは10〜45モル%、より好
ましくは25〜35モル%程度であり、分子量(重量平
均分子量)は、例えば、1×104 〜10×104 、好
ましくは2×104 〜7×104 、好ましくは4×10
4 〜5×104 程度である。ケン化度は99.5%以上
であるのが好ましい。このような溶媒可溶性エチレン−
ビニルアルコール共重合体は、水や、水とアルコールと
の混合溶媒に可溶又は分散可能であり、塗布により薄膜
を形成できる。
【0037】バリア性樹脂層は、所望のバリア性(酸
素、水蒸気、二酸化炭素、有機溶剤のガス、リモネンな
どの香気成分などに対するバリア性)に応じて、前記バ
リア性樹脂(好ましくは塩化ビニリデン系共重合体およ
びエチレン−ビニルアルコール共重合体)の少なくとも
一つの樹脂を含有してもよく、複数の樹脂を含有しても
よい。また、バリア性樹脂層は、バリア性樹脂を含有す
る複数の層で構成されていてもよい。例えば、バリア性
樹脂層は、塩化ビニリデン系共重合体を含有する層と、
エチレン−ビニルアルコール共重合体を含有する層とを
含む複数の層で構成されていてもよい。バリア性樹脂層
中のバリア性樹脂の含有量は、50重量%以上、好まし
くは75〜100重量%、さらに好ましくは90〜10
0重量%程度である。
【0038】なお、バリア性樹脂層は、他のポリマー、
例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ア
クリル酸エチル共重合体などのオレフィン系ポリマー;
アクリル系ポリマー;スチレン系ポリマー;ポリエステ
ル;ポリアセタール;ポリ酢酸ビニル;ポリ塩化ビニ
ル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;ポリアミド;ウ
レタン系重合体;アクリロニトリル系重合体;ポリカー
ボネート;塩素化ポリオレフィン;セルロース系ポリマ
ーなどを含有していてもよい。バリア性樹脂層は、必要
に応じて、前記例示の添加剤を含んでいてもよい。
【0039】バリア性樹脂層の厚さは、フィルムの特性
を損なわない範囲で適宜選択でき、例えば、0.05〜
15μm、好ましくは0.1〜10μm(例えば0.2
〜7μm)、より好ましくは0.25〜5μm(例えば
0.3〜3μm)程度である。バリア性樹脂層の厚さが
0.05μm未満では高いバリア性を付与することが困
難であり、15μmを越えても、さほどバリア性が向上
せず、経済的に不利である。
【0040】無機質層とバリア性樹脂層との厚さの割合
は、適宜設定することができるが、前記厚みの割合は、
ガスバリア性に影響する。高いバリア性及び耐性を得る
ためには、無機質層の厚さt(μm)に対するバリア性
樹脂層の厚さT(μm)の割合T/tは、例えば、0.
1〜1500、好ましくは0.5〜500(例えば、
0.5〜60、好ましくは1〜200程度)、さらに好
ましくは1〜100程度であり、2〜50程度(例え
ば、5〜50程度)である場合が多い。厚さの割合が前
記範囲を外れると、高いバリア性を付与するのが困難と
なり、前記割合が0.1未満では、外力により無機質層
に欠陥が生じ易く、1500を越えても、さほどバリア
性などが向上せず、経済的でない。
【0041】袋体を容易に形成するため、前記無機質層
又はバリア性樹脂層はヒートシール層で被覆してもよ
い。また、基材フィルム層の一方の面に前記無機質層お
よびバリア性樹脂層が形成されている場合、ヒートシー
ル層は、基材フィルム層の他方の面に形成してもよい。
ヒートシール層を構成するポリマーとしては、熱接合性
ポリマー、例えば、オレフィン系ポリマー、酢酸ビニル
−塩化ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ゴ
ム系ポリマーなどが挙げられる。これらの熱接合性ポリ
マーは一種又は二種以上混合して使用できる。
【0042】好ましい熱接合性オレフィン系ポリマーに
は、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレンや直鎖
状低密度ポリエチレンなど)、エチレン系共重合体(エ
チレン−ブテン−1共重合体、エチレン−(4−メチル
ペンテン−1)共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重
合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリレ
ート共重合体など)、アイオノマー、ポリプロピレン、
プロピレン系共重合体(プロピレン−ブテン−1共重合
体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピ
レン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ジ
エン共重合体など)、無水マレイン酸変性ポリエチレン
や無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどの変性ポリオ
レフィンなどが挙げられる。好ましいオレフィン系ポリ
マーには、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、非晶質ポリ
オレフィン(例えば、アモルファスポリプロピレンな
ど)、エチレン−プロピレン共重合体などが含まれる。
ラミネートによりヒートシール層を形成する場合、好ま
しい熱接合性フィルムには、無延伸ポリプロピレンフィ
ルム、無延伸エチレン−プロピレン共重合体フィルムな
どが含まれる。熱接合性ポリエステルには、脂肪族ジオ
ールと脂肪族ジカルボン酸を構成成分とする脂肪族ポリ
エステルが含まれる。熱接合性ポリアミドとしては、例
えば、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/12
などが挙げられる。ゴム系ポリマーには、例えば、ブチ
ルゴム、イソブチレンゴム、クロロプレンゴム、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン
共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体などが含まれる。ヒートシール層の厚さは、包装
材料の用途などに応じて、例えば、3〜100μm程度
の範囲で適宜選択でき、フィルムのラミネートによりヒ
ートシール層を形成する場合には、例えば、20〜10
0μm、好ましくは30〜80μm程度である。
【0043】ヒートシール層は、無機質層又はバリア性
樹脂層の表面の所定の部位、例えば、ヒートシールに供
される部位に形成すればよく、パートコート又は全面コ
ートのいずれであってもよいが、無機質層又はバリア性
樹脂層の表面全体に形成する場合が多い。また、ヒート
シール層は、前記のように、基材フィルム層の他方の面
のヒートシール部位又は全体に形成してもよい。ヒート
シール層は、必要に応じて、前記添加剤を含んでいても
よい。なお、前記ポリマー層として、塩化ビニル系樹脂
(ポリ塩化ビニル及びその共重合体など)、ポリアルキ
レンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレートな
ど)などのポリエステル樹脂などの樹脂層を形成しても
よい。
【0044】[バリア性複合フィルムの製造方法]本発
明の複合フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の
面を、前記アンカーコート層と、無機質薄膜層とで順次
被覆することにより製造できる。本発明の他の複合フィ
ルムは、さらに、無機質薄膜層の面又は基材フィルムの
他方の面に、バリア性樹脂層又はヒートシール層を形成
することにより得ることができる。より詳細には、
(i)基材フィルムの少なくとも一方の面を、前記アン
カーコート層と、無機質薄膜層と、バリア性樹脂層又は
ヒートシール層とで順次被覆する方法、(ii)基材フィ
ルムの少なくとも一方の面を、前記アンカーコート層
と、無機質薄膜層と、バリア性樹脂層と、ヒートシール
層とで順次被覆する方法、(iii)基材フィルムの少な
くとも一方の面を、前記アンカーコート層と、無機質薄
膜層と、必要に応じてバリア性樹脂層及び/又はヒート
シール層とで順次被覆し、基材フィルムの他方の面をバ
リア性樹脂層及び/又はヒートシール層で被覆する方法
により得ることができる。
【0045】アンカーコート層の形成方法は特に限定さ
れず、前記のアンカーコート剤の成分(A)〜(C)と
溶媒を含むコーティング剤を、ロールコーティング法、
グラビアコーティング法、リバースコーティング法、ス
プレーコーティング法などの慣用のコーティング法によ
り塗布し、乾燥することにより行なうことができる。コ
ーティング剤は溶液であってもよく分散液であってもよ
い。溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサ
ン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、酢酸エチ
ル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルエ
チルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフランなどの
エーテル類、これらの混合溶媒などが例示できる。
【0046】なお、前記アンカーコート層は、ポリイソ
シアネート化合物とポリオールとで構成された二液硬化
性接着剤と異なり、非粘着性で、耐ブロッキング性が高
い。そのため、アンカーコート層を塗布により形成して
も、フィルムの巻取及び巻き戻しを円滑に行なうことが
でき、複合フィルムの生産性を向上できる。
【0047】無機質層は、慣用の方法、例えば、物理的
方法(真空蒸着法、反応性蒸着法、スパッタリング法、
反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、反
応性イオンプレーティング法など)、化学的方法(CV
D法、プラズマCVD法、レーザーCVD法など)によ
り、アンカーコート層の表面を、前記無機物で被覆する
ことにより形成できる。無機質層は蒸着などの物理的方
法により形成する場合が多い。真空蒸着法などによる薄
膜形成は、ロール状に巻き取られたアンカーコート層を
有する基材フィルムを繰出しつつ、10-3〜10-6To
rr程度に減圧された巻取式真空蒸着機内を通過させな
がら、電子ビーム、高周波誘導加熱、低抗加熱方式など
により、無機化合物を加熱蒸発させて連続的に蒸着させ
ることができる。
【0048】ポリマー層は、慣用の方法、例えば、コー
ティングやラミネートなどにより形成できる。バリア性
樹脂層は、前記無機質層の表面に、バリア性樹脂を含有
する塗布液を塗布することにより形成できる。塗布液
は、バリア性樹脂の種類に応じて、適当な溶媒を選択す
ることにより調製でき、溶液又は分散液のいずれの形態
であってもよい。例えば、塩化ビニリデン系共重合体を
含有する溶液状の塗布液の溶媒は、塩化ビニリデン系共
重合体の種類に応じて適宜選択でき、例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケト
ン類;ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ランなどのエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン
などの芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなど
のエステル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類や
これらの混合溶媒が含まれる。また、分散液は、通常、
O/W型エマルジョンの形態で市販されている。エチレ
ン−ビニルアルコール共重合体を含有する塗布液は、通
常、水及びアルコールの混合溶媒を用いて調製できる。
このようなアルコールとしては、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノ
ールなどが例示される。上記塗布液は、前記各種添加剤
を含有していてもよく、また、塗布性を高めるため、例
えば消泡剤、粘度調整剤などの慣用の添加剤を含有して
いてもよい。
【0049】塗布方法は、特に制限されず、慣用の方
法、例えば、エアーナイフコート法、ロールコート法、
グラビアコート法、ブレードコート法、ディップコート
法、スプレー法などが採用できる。前記塗布液を塗布し
た後、例えば、50〜150℃程度の温度で乾燥するこ
とにより、バリア性樹脂層を形成できる。
【0050】前記バリア性樹脂層の表面には、ヒートシ
ール層の有無に拘らず、必要に応じて、前記基材フィル
ム層の項で例示した慣用の表面処理を施してもよく、表
面処理を施すことなく部分的又は全面に接着層や保護層
を形成してもよい。ヒートシール層は、熱接合性ポリマ
ーの種類などに応じて慣用の方法、例えば、ドライラミ
ネート法、押出しラミネート法、塗布法などにより形成
できる。
【0051】なお、本発明のバリア性複合フィルムに
は、フィルムの種類、用途に応じて、種々のコーティン
グ層やラミネート層、例えば、滑性層、帯電防止層、装
飾用印刷フィルム層や、ナイロンフィルムなどによる補
強層などを形成してもよい。
【0052】本発明のバリア性複合フィルムは、基材フ
ィルム層に対する無機質層の密着性だけでなくバリア性
が大きく改善され、レトルト処理、電子レンジ加熱など
の過酷な条件に晒されても、前記のように高いバリア性
を示す。また、透明性が高く、内容物を容易に視認でき
る。そのため、包装材料は、電子レンジ用食品、レトル
ト食品、冷凍食品、マイクロ波殺菌、フレーババリア、
医薬品、精密電子部品などの各種包装用材料や、風船、
気球などのバルーン製作用材料などとして好適に用いる
ことができる。また、食品などを包装すると、高い密着
性および高いバリア性により、劣化や変質を抑制しつ
つ、内容物を長期間に亘り保存できる。このように、本
発明は、前記食品、医薬品、電子部品などの種々の内容
物を包装するためのバリア性複合フィルムの使用も開示
する。
【0053】本発明のフィルムを用いた包装体の形態は
特に制限されないが、例えば、固形物の包装袋、液状物
の包装袋として用いることができる。これらの食品を収
容した包装袋は、そのまま、レトルト処理また電子レン
ジ加熱できる。本発明の包装材料による包装形態として
は、袋、カップ、チューブ、スタンディングバック、ト
レイなどの容器、フタ材や、酒、醤油、みりん、油、牛
乳、ジュースなどの紙パックの内貼り材などが例示され
る。
【0054】
【発明の効果】本発明のバリア性複合フィルムは、基材
フィルム層と無機質層との間に特定のアンカーコート層
が介在するので、基材フィルムと無機薄膜層との密着力
およびバリア性を大きく改善できる。また、常態のみな
らずレトルト処理、電子レンジ加熱などの過酷な条件に
晒されても、基材フィルムと無機薄膜層との高い密着性
を維持しつつ、長期間に亘り高いバリア性を発揮でき
る。さらに、高いバリア性を有するとともに、透明性も
高い。そのため、高い透明性および内容物の視認性を有
し、食品、医薬品、精密電子部品などの内容物を長期保
存する上で有用である。さらに、前記アンカーコート層
を構成する樹脂成分はポリイソシアネート化合物に対し
て実質的に非反応性であると共に、前記アンカーコート
層は非粘着性でブロッキング性が発現しない。そのた
め、アンカーコート剤を繰り返し有効に利用できるとと
もに、フィルムの巻取および巻戻しを円滑に行なうこと
ができ、複合フィルムの生産性を高めることができる。
【0055】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。 実施例1〜8および比較例1 厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムの一方の面に、表1に示す組成のアンカーコート
剤を乾燥後の厚み0.3μmで塗布し、乾燥した後、S
iOを蒸発源として、5×10-3Torrの真空下で、真空
蒸着法により厚さ500オングストロームのケイ素酸化
物蒸着層を無機質層として形成し、複合フィルムを得
た。なお、アンカーコート剤には下記の成分を用いた。
表1中のアンカーコート剤成分の割合はいずれも固形分
換算の割合である。 (A1)塩化ビニル系共重合体:電気化学工業(株)製,
デンカ1000C,塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレ
イン酸共重合体、塩素含有量48.8%、平均重合度43
0、ガラス転移温度43℃、無水マレイン酸に起因する
酸価約10mgKOH/g (B1)ポリイソシアネート化合物:日本ポリウレタン工
業(株)製,コロネートL,トリレンジイソシアネート
−トリメチロールプロパンアダクト体,固形分75重量
%、イソシアネート含量12% (C)飽和ポリエステル樹脂:東洋紡績(株)製,バイ
ロン30SS,テレフタル酸及びエチレングリコールを
主成分とするポリエステル樹脂,数平均分子量22,0
00,ガラス転移温度7℃,水酸基価4.8mgKOH
/g 実施例9および10 アンカーコート剤の成分として実施例1−8の塩化ビニ
ル系共重合体に代えて下記の塩化ビニル系共重合体を用
いる以外、実施例6および7と同様にして、複合フィル
ムを作製した。 (A2)塩化ビニル系共重合体:電気化学工業(株)製,
デンカ1000CM,塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイ
ン酸共重合体、塩素含有量48.8%、平均重合度43
0、ガラス転移温度43℃、マレイン酸に起因する酸価
約10mgKOH/g 実施例11および12 アンカーコート剤の成分として実施例1−8のポリイソ
シアネート化合物に代えて下記のポリイソシアネート化
合物を用いる以外、実施例6と同様にして、複合フィル
ムを作製した。 (B2)ポリイソシアネート化合物:日本ポリウレタン工
業(株)製,コロネートHL,ヘキサメチレンジイソシ
アネート−トリメチロールプロパンアダクト体,固形分
75重量%、イソシアネート含量15% (B3)ポリイソシアネート化合物:ヒュルスAG社製,
ベスタナートT1890L,イソホロンジイソシアネー
トの三量体,固形分70重量%、イソシアネート含量1
2% 比較例2〜7 実施例1−8のアンカーコート剤に代えて、下記の二液
硬化性ポリウレタン接着剤を用いる以外、実施例6と同
様にして、複合フィルムを作製した。なお、比較例2で
は、二液硬化性ポリウレタン接着剤を乾燥後の厚み0.
4μmで塗布した。 比較例2:二液硬化性ポリウレタン接着剤(AC1) ポリエーテルポリオール(東洋モートン(株)製,アド
コートAD76H5,水酸基価38mgKOH/g,ガ
ラス転移温度20℃)とポリイソシアネート成分(東洋
モートン(株)製,CAT−10)とで構成されたアン
カーコート剤 比較例3:二液硬化性ポリウレタン接着剤(AC2) ポリエステルポリオール(東洋モートン(株)製,アド
コートAD335AE,水酸基価85mgKOH/g,
ガラス転移温度−15℃)100重量部とポリイソシア
ネート(東洋モートン(株)製,CAT−10)5重量
部とで構成されたアンカーコート剤 比較例4:二液硬化性ポリウレタン接着剤(AC3) 比較例3のポリエステルポリオール100重量部と比較
例3のポリイソシアネート10重量部とで構成されたア
ンカーコート剤 比較例5:二液硬化性ポリウレタン接着剤(AC4) 比較例3のポリエステルポリオール100重量部と比較
例3のポリイソシアネート20重量部とで構成されたア
ンカーコート剤 比較例6:二液硬化性ポリウレタン接着剤(AC5) 比較例3のポリエステルポリオール100重量部と比較
例3のポリイソシアネート30重量部とで構成されたア
ンカーコート剤 比較例7:二液硬化性ポリウレタン接着剤(AC6) 比較例3のポリエステルポリオール100重量部と比較
例3のポリイソシアネート50重量部とで構成されたア
ンカーコート剤 比較例8 アンカーコート剤を塗布することなく、実施例1と同様
にして複合フィルムを得た。
【0056】実施例および比較例で得られた複合フィル
ムについて、テストサンプルを調製するため、ドライラ
ミネート法により、前記無機質上にヒートシール層を形
成した。すなわち、前記無機質上に、ラミネート用接着
剤(東洋モートン(株)製,アドコートAD−810/
CAT−RT8,二液硬化性ポリウレタン系接着剤)を
乾燥後の厚み約2μmで塗布し、シーラント(ダイセル
化学工業(株)製,セネシC153#40,未延伸ポリ
プロピレン,厚み40μm)を貼り合わせ、ヒートシー
ル層を形成した。そして、それぞれのサンプルについ
て、120℃、時間30分のレトルト処理の前後におい
て、密着強度、酸素ガス透過率及び水蒸気透過率を次の
ようにして測定した。 酸素ガス透過率: 同圧法(測定器:Morcon社,OXTRAN TWIN)により、2
0℃、相対湿度65%の条件で測定した。単位はcc/
2 ・24hrである。 水蒸気透過率:測定器(Morcon社,PERMATRAN W200)を
用い、40℃、相対湿度90%の条件で測定した。単位
は、g/m2 ・24hrである。
【0057】密着強度:基材フィルムとヒートシール層
との剥離強度を、測定器(ORIENTEC社,RTM-100)を用
い、300mm/分の引張り速度で測定した。また、幅
5mm,長さ10mm,厚み0.5mmのアンカーコー
ト層の試料を作製し、粘弾性測定装置(岩本製作所
(株)製,VES−FIII)を用い、試料の弾性率(N
/mm2 )を温度30℃、周波数1Hzで測定した。結
果を表1に示す。
【0058】
【表1】 実施例13 厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムの一方の面に、実施例6で用いたアンカーコート
剤を乾燥後の厚み0.3μmで塗布し、乾燥した後、S
iOを蒸発源として、5×10-3Torrの真空下で、真空
蒸着法により厚さ500オングストロームのケイ素酸化
物蒸着層を無機質層として形成した。
【0059】応用例1〜4 厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムの一方の面に、実施例6で用いたアンカーコート
剤を乾燥後の厚み0.3μmで塗布し、乾燥した後、S
iOを蒸発源として、5×10-3Torrの真空下で、真空
蒸着法により厚さ500オングストロームのケイ素酸化
物蒸着層を無機質層として形成した。また、塩化ビニリ
デン系共重合体(旭化成工業(株)製、商品名:サラン
レジンF216)を、トルエン/テトラヒドロフラン=
1/2(重量比)の混合溶媒に溶解し、樹脂濃度15重
量%の塗布液を調製した。この塗布液を前記無機質層上
に乾燥後の塗布量0.5g/m2 (応用例1,厚み約
0.3μm)、1.0g/m2 (応用例2,厚み約0.
6μm)、2.0g/m2 (応用例3,厚み約1.2μ
m)、3.0g/m2 (応用例4,厚み約1.8μm)
で塗布し、バリア性樹脂層を形成した。実施例13及び
応用例1〜4で得られた複合フィルムについて、酸素ガ
ス透過率及び水蒸気透過率を、120℃、時間30分の
レトルト処理の前後において測定したところ、表2に示
す結果を得た。
【0060】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 27/06 KHJ C08L 27/06 KHJ LFK LFK 67/00 LPA 67/00 LPA

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンカーコート層を介して、基材フィル
    ム層の少なくとも一方の面に無機質薄膜層が形成された
    複合フィルムであって、前記アンカーコート層が、
    (A)塩素含有樹脂と、(B)ポリイソシアネート化合
    物と、(C)ガラス転移温度−10〜20℃を有し、前
    記ポリイソシアネート化合物に対して実質的に非反応性
    の飽和ポリエステル樹脂で構成されているバリア性複合
    フィルム。
  2. 【請求項2】 塩素含有樹脂が、少くとも塩化ビニルお
    よび酢酸ビニルをモノマー成分とする塩化ビニル−酢酸
    ビニル系共重合体である請求項1記載のバリア性複合フ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 (B)ポリイソシアネート化合物が、分
    子中に少くとも2つのイソシアネート基を有する分子量
    150〜1000の化合物である請求項1記載のバリア
    性複合フィルム。
  4. 【請求項4】 (C)飽和ポリエステル樹脂が、水酸基
    価0〜15mgKOH/g又は酸価0〜10mgKOH
    /gの非結晶性飽和ポリエステルである請求項1記載の
    バリア性複合フィルム。
  5. 【請求項5】 (C)飽和ポリエステル樹脂の数平均分
    子量が1×104 〜5×104 である請求項1記載のバ
    リア性複合フィルム。
  6. 【請求項6】 アンカーコート層の成分の割合が、
    (A)塩素含有樹脂100重量部に対して、(B)ポリ
    イソシアネート化合物10〜500重量部、(C)飽和
    ポリエステル樹脂1〜50重量部である請求項1記載の
    バリア性複合フィルム。
  7. 【請求項7】 アンカーコート層が、(A)ガラス転移
    温度25〜60℃、酸価0〜30mgKOH/gの非結
    晶性熱可塑性の塩素含有樹脂100重量部に対して、
    (B)分子中に3以上のイソシアネート基を有する分子
    量150〜1000のポリイソシアネート化合物25〜
    400重量部、および(C)ガラス転移温度0〜20
    ℃、数平均分子量1×104 〜3×104 、水酸基価0
    〜10mgKOH/g又は酸価0〜10mgKOH/g
    の非結晶性飽和ポリエステル樹脂2〜50重量部で構成
    されている請求項1記載のバリア性複合フィルム。
  8. 【請求項8】 基材フィルム層が、ポリプロピレン、ポ
    リアルキレンテレフタレートまたはポリアミドで構成さ
    れている請求項1記載のバリア性複合フィルム。
  9. 【請求項9】 無機質薄膜層が、透明性を有する請求項
    1記載のバリア性複合フィルム。
  10. 【請求項10】 無機質層が、周期表2A族元素、遷移
    元素、2B族元素、3B族元素、4B族元素および6B
    族元素から選ばれた少なくとも1つの金属酸化物で構成
    されている請求項1記載のバリア性複合フィルム。
  11. 【請求項11】 無機質層が、周期表3B族元素又は4
    B族元素の酸化物で構成されている請求項1記載のバリ
    ア性複合フィルム。
  12. 【請求項12】 無機質層が、ケイ素酸化物で構成され
    ている請求項1記載のバリア性複合フィルム。
  13. 【請求項13】 無機質層の厚みが、100〜5000
    オングストロームである請求項1記載のバリア性複合フ
    ィルム。
  14. 【請求項14】 ポリプロピレン、ポリアルキレンテレ
    フタレート又はポリアミドで構成された基材フィルム層
    の少なくとも一方の面に、アンカーコート層と、組成式
    SiOx (式中、0<x≦2)で表されるケイ素酸化物
    で構成され、かつ厚み100〜5000オングストロー
    ムの透明性を有する非導電性無機質層とがこの順に形成
    されているとともに、前記アンカーコート層が、(A)
    ガラス転移温度30〜60℃を有する実質的に非反応性
    の塩素含有樹脂と、(B)分子中に3以上のイソシアネ
    ート基を有する低分子量のポリイソシアネート化合物
    と、(C)ガラス転移温度0〜15℃、数平均分子量1
    ×104 〜5×104 を有する実質的に非反応性の飽和
    ポリエステル樹脂で構成されている請求項1記載のバリ
    ア性複合フィルム。
  15. 【請求項15】 基材フィルム層の少くとも一方の面
    に、アンカーコート層を介して、無機酸化物薄膜層が形
    成されたバリア性複合フィルムであって、前記アンカー
    コート層の弾性率が0.1×101 〜1×103 N/m
    2 であるバリア性複合フィルム。
  16. 【請求項16】 基材フィルム層の少くとも一方の面
    に、アンカーコート層を介して、無機酸化物薄膜層が形
    成されたバリア性複合フィルムであって、温度120
    ℃、時間30分のレトルト処理後の基材フィルム層に対
    するアンカーコート層の剥離強度が100g/15mm
    以上であるバリア性複合フィルム。
  17. 【請求項17】 基材フィルム層の厚さが10〜30μ
    m、アンカーコート層及び無機質層で構成された被覆層
    の厚さが0.1〜0.5μmであるとき、温度120
    ℃、時間30分のレトルト処理した後の酸素ガス透過率
    が5cc/m2・24時間以下、水蒸気透過率が10g
    /m2 ・24時間以下である請求項16記載のバリア性
    複合フィルム。
  18. 【請求項18】 アンカーコート層が、(A)塩素含有
    樹脂と、(B)ポリイソシアネート化合物と、(C)ガ
    ラス転移温度−10℃〜20℃を有する実質的に非反応
    性の飽和ポリエステル樹脂で構成され、かつ弾性率1×
    101 〜5×102 N/mm2 の樹脂組成物で形成され
    ている請求項16記載のバリア性複合フィルム。
  19. 【請求項19】 基材フィルムの少なくとも一方の面
    に、(A)塩素含有樹脂、(B)ポリイソシアネート化
    合物、及び(C)ガラス転移温度−10℃〜20℃を有
    し、前記ポリイソシアネート化合物に対して実質的に非
    反応性の飽和ポリエステル樹脂で構成されたアンカーコ
    ート層を形成した後、このアンカーコート層上に無機質
    薄膜層を形成するバリア性複合フィルムの製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08302130A (ja) * 1995-05-08 1996-11-19 Kuraray Co Ltd 組成物、積層体およびその用途
JPH10329254A (ja) * 1997-05-30 1998-12-15 Sumitomo Bakelite Co Ltd 積層フィルム及び液晶表示素子
JP2008100496A (ja) * 2006-09-21 2008-05-01 Gunze Ltd ポリアミド系多層フィルム
JP2009154527A (ja) * 2007-12-06 2009-07-16 Daicel Value Coating Ltd ヒートシール性フィルム及びその製造方法
JP2011173356A (ja) * 2010-02-25 2011-09-08 Toppan Printing Co Ltd ガスバリア積層体

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