JPH08323604A - SiCの研磨方法および光学素子の製造方法 - Google Patents

SiCの研磨方法および光学素子の製造方法

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JPH08323604A
JPH08323604A JP13426595A JP13426595A JPH08323604A JP H08323604 A JPH08323604 A JP H08323604A JP 13426595 A JP13426595 A JP 13426595A JP 13426595 A JP13426595 A JP 13426595A JP H08323604 A JPH08323604 A JP H08323604A
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polishing
abrasive grains
sic
abrasive
shape
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Manabu Ando
学 安藤
Tadahiro Shimazaki
忠弘 嶋▲崎▼
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Canon Inc
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面粗さ0.3nmRMS程度の超平滑な表
面を形成できるSiCの研磨方法を提供する。 【構成】 平均粒径が1〜3μmのダイアモンド砥粒を
含む研磨液(7)を用いるSiC被加工物(2)の研磨
方法、および、この研磨方法を行う工程を含むCVD−
SiC表面を有する光学素子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、SiC(炭化珪素)材
の表面を研磨する方法に関し、更に詳しくはCVD−S
iC(CVD法により形成されたSiC)から成る表面
を有するミラー光学素子等を研磨して高精度な表面を形
成するのに非常に適した研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりCVD−SiC材は、高価であ
るにもかかわらず、その物理特性が優れているので高エ
ネルギー短波長光用のミラーとして採用されている。こ
れらのミラーの形状は、通常は平面、シリンドリカル
面、球面、トロイダル面などの単純な形状である。これ
らの光学素子の代表的な製造法は、β−SiCの燒結体
基板を研削により最終形状にする工程、その基板にCV
D法によりαまたはβ−SiC緻密質膜を形成する工
程、その面を再び研削で形状創成する工程、そして研磨
により形状誤差、うねり、表面粗さなどを低減し表面品
質を向上し、ミラーを仕上げる工程から成る。
【0003】この最終工程(仕上げ工程)においては、
例えば、ミラー素材とほぼ同径の大きさ研磨皿(シリン
ドリカル面を創成しようとする場合にはそのシリンドリ
カル面と同じ曲率半径を持ち、凹凸が逆の研磨皿)をC
VD−SiCミラー基板と相対運動をさせ、酸化クロム
微粉、シリカ微粉、ダイアモンド微粉などの研磨剤を水
に分散した研磨液を介在させて研磨を行い、所定の曲率
のシリンドリカル面を鏡面に仕上げていく。平面を研磨
する場合は、通常はミラー素材よりも大きな平面の研磨
皿を用いる。研磨装置としては、平面または球面を研磨
する場合は通常の横振り研磨機が用いられ、シリンドリ
カル、トロイダルなどの非軸対称形状の面を研磨する場
合は、下軸と上軸が各々独立して直交方向に揺動するシ
リンドリカル研磨機が用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらのミラーでは形
状精度も重要であるが、それと同時に表面粗さ0.3n
mRMS程度の超平滑な表面が望まれる。しかし、表面
粗さについてはその創成機構が十分に解明されておら
ず、例えば、「精密工学会1994年度秋季大会講演予
稿集553〜554頁」に報告されている様に、表面粗
さRa0.4nm、Rmax 4nm程度迄の平滑面しか得
られていない。
【0005】従来技術においては、超平滑な表面粗さが
要求されるSiC光学素子を加工する場合は、仕上げの
研磨に習熟した加工者が、コロイダルシリカ、酸化クロ
ム、ダイアモンドなどの研磨剤を研磨面の状態を観察し
ながら細かく条件を変更し、研磨加工し対処していた。
しかし、この方法では加工時間が長く、加工コストも高
いものとなる。更に、従来技術では、表面粗さ0.5〜
2nmRMS程度の平滑面は時間をかければ形成可能で
あっても、例えば短波長光学素子として要求されること
が多くなった超平滑面(表面粗さ0.3nmRMS以下
程度)を確実に得ることは困難であった。
【0006】本発明の目的は、表面粗さ0.3nmRM
S程度の超平滑な表面を形成できるSiCの研磨方法お
よび光学素子の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明により達成できる。
【0008】平均粒径が1〜3μmのダイアモンド砥粒
を含む研磨液を用いることを特徴とするSiCの研磨方
法。
【0009】SiCから成る表面を有する光学素子の製
造方法において、平均粒径が1〜3μmのダイアモンド
砥粒を含む研磨液を用いて研磨する工程を有することを
特徴とする光学素子の製造方法。
【0010】
【作用】本発明は、平均粒径が1〜3μmのダイアモン
ド砥粒を含む研磨液を用いることを特徴とする。この研
磨液を用い、例えばCVD−SiC材を被加工面とほぼ
同じ大きさの全面皿研磨工具により球面を研磨した場合
は、被加工面に、ピットの発生、砥粒通過痕の発現など
の研磨面悪化要因が発生せず、高い信頼性で高精度で均
一な超平滑球面が得られる。したがって、細かく研磨条
件を変更し研磨面の状態を観察しながら研磨加工を進め
る必要も無くなり、作業が非常に容易になる。また、研
磨条件を一定にしておけるので、加工能率も向上し、加
工コストも低減できる。
【0011】また、例えばCVD−SiC材を被加工面
よりも小さな研磨工具により非球面ミラーを研磨する場
合も、同様にピット、砥粒通過痕などを防止でき、高い
信頼性で高精度で均一な超平滑非球面が得られる。ま
た、本発明は、研磨液と研磨工具材料の設定のみにより
良好な結果が得られるので、被加工面の形状によらずに
実施できる汎用性の高い方法である。
【0012】本発明者らの知見によると、高脆性多結晶
材料であるCVD−SiCの研磨時の主たる表面粗さの
悪化要因は、各結晶面ごとの硬度差に由来するピットの
発生(結晶粒のうち硬度の低い部分が選択的に研磨除去
されモザイク状のピットが発生する)と、砥粒通過痕の
発現である。
【0013】従来法においては、被加工面とほぼ同じ大
きさの全面研磨工具を用いた場合には、ある程度の大き
な研磨除去レートで加工することが研磨悪化要因の対策
として経験的に知られていた。しかし、上述の様に表面
粗さの悪化要因はピットまたは砥粒通過痕にあり、研磨
除去レートを大きくすることは、被加工面に対する研磨
剤の材料除去作用を大きくすることにほかならず、これ
により被研磨面には砥粒通過痕の発現が増し、表面粗さ
が粗い状態に仕上がってしまう。また、研磨除去レート
を下げると砥粒通過痕の発現を防止できるが、研磨面に
ピットが発生してしまう。したがって、従来法の様に経
験的に知られた研磨除去レートの調整のみでは、十分な
超平滑面が得られなかったと考えられる。
【0014】そこで本発明者らは、超平滑面を容易に得
られる研磨方法を見出すべく研磨条件等に関し種々検討
し、その結果本発明を完成するに至った。以下、この検
討の為に行った実験のうち、代表的なものを挙げて説明
する。
【0015】<実験1:ダイアモンド砥粒の平均粒径に
関する検討>従来技術において、例えば石英ガラスの超
平滑研磨の場合は、研磨液に分散させている砥粒の平均
粒径が小さければ小さいほど表面粗さが良好であること
が知られている。これに対し本発明者らは、CVD−S
iCの超平滑研磨を行なう場合は、単に砥粒の粒径が小
さければ良いわけではなく、砥粒としてダイアモンドを
用いその平均粒径を特定の範囲にすべき事を、以下の実
験の結果等から知見した。
【0016】まず、直径50mm厚さ10mmのCVD
−SiC材のテストピース5枚を従来の方法でなるべく
良好な表面粗さに平面研磨し、非接触型の表面粗さ測定
器により平均的な表面粗さを測定して記録した。
【0017】次に、精製水2リットルに、.平均粒径
0.25μm、.平均粒径0.5μm、.平均粒径
1μm、.平均粒径3μm、.平均粒径5μmの5
種類の多結晶ダイアモンド砥粒を0.025重量%攪拌
した5種類の各研磨液を用い、被加工面よりも小さな研
磨工具によりテストピース上を部分的に研磨加工した。
研磨条件は、工具径を16mm、工具に使用したピッチ
の針入度を15、研磨圧力を25KPa、工具の揺動を
±4mmで5Hzとした。工具は揺動と直交方向に0.
53mm/secで16mm区間を往復走査させた。
【0018】この研磨の結果、の平均粒径0.25μ
mのダイアモンド砥粒による研磨では研磨面のモザイク
化(ピットの発生)による表面粗さの悪化が顕著であ
り、90分後の表面粗さが0.75nmRMSであっ
た。の平均粒径0.5μmのダイアモンド砥粒による
研磨では研磨面のモザイク化による表面粗さの悪化は所
々で見られ、90分後の表面粗さが0.4nmRMSで
あった。の平均粒径1μm、の平均粒径3μmのダ
イアモンド砥粒による研磨では研磨面の超平滑化が進
み、90分後の表面粗さが0.2nmRMSであった。
ただし、の平均粒径3μmの場合は、砥粒の沈殿現象
が生じる傾向にあるので長時間の加工時には注意を要す
る。の平均粒径5μmのダイアモンド砥粒による研磨
では研磨面に砥粒通過痕の発現が増し、研磨面のモザイ
ク化は見られないが表面粗さは90分後で0.4nmR
MSであり、砥粒の沈殿現象が顕著に生じた。また参考
までに、平均粒径6μmのダイアモンド砥粒でも研磨を
試みたが、工具のピッチの摩耗が生じ、本実験の条件で
は工具の寿命が短く不適当であった。これらのうち、代
表的な砥粒の平均粒径3点(0.25μm、1μm、3
μm)の結果を図1にグラフとして示す。
【0019】以上の結果から、CVD−SiCの超平滑
研磨を行なう場合、研磨液中のダイアモンド砥粒の平均
粒径に因り、砥粒通過痕の発現による研磨面の悪化と研
磨面のモザイク化による表面粗さの悪化の頻度が異なる
ことが確認でき、同時に合理的に超平滑面を得る為には
平均粒径範囲を1μm〜3μmにすべきことが確認でき
た。
【0020】<実験2:研磨圧力に関する検討>従来技
術において、例えば石英ガラスの超平滑研磨の場合は、
研磨圧力は表面粗さにあまり影響しないことが知られて
いる。これに対し本発明者らは、CVD−SiCの超平
滑研磨を行なう場合は、研磨圧力と表面粗さに相関関係
が有ることを、以下の実験の結果等から知見した。
【0021】実験1と同様の条件で、ただし、ダイアモ
ンド砥粒の平均粒径を1μmとし、研磨圧力を、.1
2KPa、.25KPa、.45KPa、.66
KPaの4種にして研磨加工を行なった。
【0022】この研磨の結果を図2にグラフとして示
す。の12KPaの場合は、表面粗さの向上にかかる
時間は長く、120分で0.3nmRMS程度となっ
た。の25KPa、の45KPaの場合は、表面粗
さは速やかに向上しており、90分の加工で0.3nm
RMS程度となり、超平滑研磨が順調に進んだ。の6
6KPaでは初期的には表面粗さは向上するが0.5n
mRMS程度まで向上した後で表面粗さの悪化が始ま
り、研磨面のモザイク化による表面粗さの悪化が顕著な
ことをノルマルスキー顕微鏡観察で確認した。
【0023】以上の結果から、CVD−SiCの超平滑
研磨を行なう場合、研磨圧力の程度に因り表面粗さの向
上の程度が異なることが確認でき、同時に良好な結果を
与える研磨圧力範囲が、本実験の条件下では25〜45
KPaであることが確認できた。
【0024】<実験3:ピッチの針入度に関する検討>
従来技術において、例えば石英ガラスの超平滑研磨の場
合は、研磨工具のピッチ材は軟らかいほど得られる表面
粗さは平滑となることが知られている。これに対し本発
明者らは、CVD−SiCの超平滑研磨を行なう場合
は、単にピッチ材が軟らかいと良いわけではなく、特定
範囲の針入度のピッチが好適であることを以下の実験の
結果等から知見した。
【0025】実験1と同様の条件で、ただし、ダイアモ
ンド砥粒の平均粒径を1μmとし、ピッチの針入度(針
入度は数値が小さい方が固い)を、.2、.5、
.15、.20、.25、の5種にして研磨加工
を行なった。
【0026】この研磨の結果、の針入度2の場合は、
ピッチ材を固くすると表面粗さは初期値に対して悪化し
た。これをノルマルスキー顕微鏡観察すると研磨面に砥
粒通過痕の発現が多かった。の針入度5の場合は、表
面粗さは向上しており、90分の加工で0.3nmRM
S程度となった。すなわち、超平滑研磨が順調に進ん
だ。これをノルマルスキー顕微鏡観察すると研磨面には
若干の砥粒通過痕の発現があった。の針入度15、
の針入度20の場合は、表面粗さは順調に向上し0.2
nmRMS程度に達した。これをノルマルスキー顕微鏡
観察すると研磨面は平滑化されていた。の針入度25
の場合は、研磨面のモザイク化が発生し始めており、表
面粗さは0.4nmRMS程度であった。
【0027】以上の結果から、CVD−SiCの超平滑
研磨を行なう場合、ピッチの針入度(ピッチ材料の硬
度)は5〜20程度が望ましいことが確認できた。
【0028】<実験4:ダイアモンド砥粒の結晶性に関
する検討>本発明者らは、CVD−SiCの超平滑研磨
を行なう場合、ダイアモンド砥粒は単結晶よりも多結晶
のものが好適であることを、以下の実験の結果等から知
見した。
【0029】実験1と同様の条件で、ただし、ダイアモ
ンド砥粒の平均粒径を1μmとし、その砥粒を、.単
結晶ダイアモンド砥粒、.多結晶ダイアモンド砥粒、
の2種にして研磨加工を行なった。
【0030】この研磨の結果、の単結晶ダイアモンド
砥粒の場合は、表面粗さは約0.3nmRMSD程度ま
では速やかに向上するが、その後の向上速度は遅かっ
た。これをノルマスキー顕微鏡観察すると、研磨面に砥
粒通過痕の発現が見られた。の多結晶ダイアモンド砥
粒の場合は、表面粗さは向上しており、90分の加工で
0.2nmRMS程度となった。すなわち、超平滑研磨
が順調に進んでいた。これをノルマスキー顕微鏡観察す
ると研磨面は平滑化されていた。
【0031】以上の結果から、CVD−SiCの超平滑
研磨を行なう場合、ダイアモンド砥粒の結晶構造に因
り、表面粗さの向上の程度が異なることが確認でき、同
時に多結晶ダイアモンドの方が良好な結果を与えること
が確認できた。
【0032】実験1〜4で得られた結果は、以下の理由
に基づくものと考えられる。
【0033】CVD−SiC材は、ヌープ硬度2800
〜3500の非常に硬い材料であり、化学的にも共有結
合が強く安定な材料である。したがって、被加工性が悪
く、従来より難加工材料として知られている。このSi
Cをダイアモンド砥粒で研磨する場合は、両者が共に共
有結合が強く安定な材料なので、純粋に機械的なカッテ
イングの集積により研磨除去が進む。また、一般には適
度な粘弾性特性のピッチが研磨に用いられるので、砥粒
はピッチに保持されて(埋まって)SiC表面上を研磨
運動する。このとき、両者に硬度差があまり無いので砥
粒には切れ味が必要になるが、砥粒がピッチに保持され
ているので、その切れ味は砥粒の粒径に依存すると考え
られる(ピッチ面からの砥粒突き出し量が切れ味を支配
する)。砥粒の粒径が大き過ぎると砥粒突き出し量が大
きくなり、砥粒通過痕の発現が増し、超平滑面は得られ
ない。これは、SiC以外の光学材料を研磨する場合と
同様であり、砥粒の粒径は小さい方がより平滑な表面粗
さが得られる。ただしSiCを研磨する場合は、実験1
に示した様に粒径をただ単に小さくすれば良いわけでは
ない。これは、砥粒の粒径が小さ過ぎると突き出し量が
不十分となり、高硬度で多結晶のCVD−SiCの各結
晶に対し均一なカッティングが困難となり、CVD−S
iCの多結晶体の中で相対的に硬度の低い結晶のみを除
去する現象(研磨面のモザイク化)が生じるからであ
る。この様な点から、本発明の様に、適切な砥粒の平均
粒径の設定、すなわちダイアモンド砥粒の平均粒径を適
切な範囲(1μm〜3μm)とした場合に、超平滑面が
得られると考えられる。
【0034】また、この砥粒の平均粒径は、更に研磨圧
力、ピッチ材料の硬度、砥粒の結晶性等とも相関関係を
有する。例えば、研磨圧力が高過ぎる場合は、砥粒のピ
ッチへの埋め込みが促進され、結果としてより小径な砥
粒を用いたのと同様の作用を奏する。この点から、研磨
圧力は66KPa以下が望ましい。更に、実験2で示し
た様に、25〜45KPa程度が最適である。また例え
ば、ピッチ材料の硬度が低過ぎたり高過ぎたりすると、
砥粒のピッチへの埋め込み程度へ影響が及ぶ。この点か
ら、ピッチの針入度の範囲は、実験3で示した様に、5
〜20程度が好ましい。また例えば、砥粒が単結晶ダイ
アモンドを用いる場合は、研磨中に破砕が生じ易く、こ
の結果曲率半径の小さいエッジがSiC表面を走査する
ことになり、被研磨面に砥粒通過痕の発現が頻繁に見ら
れる傾向にある。一方、多結晶ダイアモンドを用いる場
合は、劈開面を持たず強靱であることから、適切な砥平
均粒径を選択すれば砥粒通過痕は生じない。この点か
ら、実験4で示した様に、多結晶ダイアモンドを用いる
ことが好ましい。
【0035】また、一般に、全面皿を用いた平面や球面
の液中研磨を行なう場合は、加工に数十時間を要するの
で、ダイアモンド砥粒の沈殿が生じる場合がある。これ
を防止する目的から、砥粒の平均粒径は1〜3μmが望
ましく、更に実験1〜4における様に1μmが好まし
い。また同じ理由から、研磨液中のダイアモンド砥粒の
量は0.2重量%以下が望ましく、更に実験1〜4にお
ける様に0.025重量%程度が好ましい。また同様に
研磨液中の分散性を安定させる目的から、研磨液中に分
散剤を添加することが望ましい。
【0036】小径工具を用いた非球面の超平滑研磨を行
なう場合は、前述の全面皿を用いる平面や球面の研磨よ
りも更に砥粒の分散安定性を保つことが必要である。こ
の点からも、研磨液中には分散剤を添加することが望ま
しい。この分散剤としては、例えばヘキサメタリン酸ナ
トリウムが望ましい。また、分散剤の添加量としては、
研磨液中の研磨剤100重量部に対して1〜2重量部が
望ましい。分散剤を添加することにより、砥粒の沈殿を
防ぎ、長時間の研磨加工でも安定した除去が行える。ま
た、研磨液の溶媒としては通常は水、好ましくは精製水
を用いる。
【0037】また、CVD−SiCで非球面ミラーを加
工する場合には、被加工ミラーよりも小径な研磨工具を
用いた形状修正研磨法が用いられていたが、従来技術で
は、研磨面のモザイク化(ピットの発生)、砥粒通過痕
の発現などが恒常的に生じ、これら被加工物表面の欠陥
のために要求される品質を満足できない。この様な問題
は研磨砥粒や研磨圧量の設定が適切でなく、小さ過ぎる
砥平均粒径と高過ぎる研磨圧力が研磨面を悪化させてい
たからと考えられる。一方、本発明によれば、小径工具
を用いた非球面の超平滑研磨加工を行なう場合でも、前
もって研磨液を被研磨剤材料であるSiCに適切な構成
とし、適切な研磨加圧力とピッチ材料を工具に用いるこ
とで、良好な研磨面が得られ、従来技術では満足な品質
の非球面加工が行えなかった非球面に対しても、超平滑
で研磨面に欠陥のない良好な研磨加工が行える。
【0038】本発明でいうダイアモンド砥粒の「平均粒
径」とは、Stokesの流体抵抗則に基づく沈降法や
遠心沈降法等による粒度分布測定法により得られた値、
いわゆるストークス径である。この測定法は、ダイアモ
ンド砥粒を媒質(純水)中に均一に分散させ、その後の
砥粒の沈降状態を媒質を横切る光線の透過率の変化によ
り計測するものである。以下の実施例においては、島津
製作所製の島津遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP
3型を用いて計測した。
【0039】この装置では、媒質の上表面から一定の位
置での試料液(ダイアモンド砥粒の懸濁液)の濃度変化
を沈降開始時点からの経過時間と共に測定することで、
そのときに濃度変化を生じさせた粒子の割合を求める。
これは、粒子の質量(大きさ)と、沈降速度には以下の
関係が有り、沈降開始時点からの経過時間と、ある高さ
の濃度変化(光の透過率の変化から求める)から粒子の
質量分布が算出できることによる。
【0040】
【数1】 u:粒子の沈降速度 θ:粒子が一定距離沈降するのに要する時間 ρp :粒子密度 ρl :媒質密度 η:媒質の粘性係数 ω:回転角速度 β:回転角加速度 R:回転中心から粒子までの距離 Dp :ストークスの粒子径
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
【0042】<実施例1>直径50mm厚さ10mmの
CVDーSiC材でエキシマレーザ用ミラー素子を以下
の様にして研磨加工した。この用途には、片面を超平滑
な平面に研磨して表面粗さ0.2nmRMS以下にする
ことが求められ、研磨面上にピット、スクラッチ、潜傷
の発現、そして曇といった欠陥が存在してはならない。
【0043】まず前加工として、CVD−SiC材を従
来の方法でなるべく良好な表面粗さに平面研磨した。次
に、精製水2リットルに平均粒径1μmの多結晶ダイア
モンド砥粒を0.025重量%入れて攪拌し、分散剤と
してヘキサメタリン酸ナトリウム微粉末を研磨液中のダ
イアモンド砥粒100重量部に対し2重量部加え、24
時間攪拌して研磨液を得た。
【0044】この研磨液を用いて、図3に示す研磨装置
を用い、仕上げの研磨を実施した。すなわち、針入度1
5のピッチ面6を有する研磨皿1と被加工物ホルダ3に
保持された被加工物(ミラー材)2の両方を研磨液7を
満たした容器8内に没し、通常の横振り方式の研磨条件
よりもゆっくりした相対運動で研磨を進めた。研磨皿回
転軸9は不図示の回転機構により7rpmで回転させな
がら、被加工物2を支持する揺動軸4は不図示の揺動機
構により5サイクル/分で揺動させた。研磨圧力は不図
示の加圧力機構により30KPaとし、無人で16時間
研磨した。
【0045】以上の研磨を実施した後の研磨面を観察し
たところ、被加工面にはピットの発生、加工時の砥粒通
過痕の発現などの研磨面の悪化は見られず、表面粗さ
0.15nmRMSの超平滑面が得られた。
【0046】<実施例2>長さ750mm、幅100m
m、厚さ15mmのCVD−SiC材で軟X線用ミラー
素子を研磨加工した。形状は母線半径440m、子線2
00mmのトロイダルである。実施例1と同様に、この
用途には、表面を超平滑に研磨して表面粗さ0.2nm
MRS以下にすることが求められ、研磨面上にピット、
スクラッチ、そして曇といった欠陥が存在してはならな
い。
【0047】まず前加工として、CVD−SiC材を従
来の方法でなるべく良好な表面粗さに研磨した。次に、
精製水40リットルに平均粒径3μmの多結晶ダイアモ
ンド砥粒を0.02重量%入れて攪拌し、分散剤として
ヘキサメタリン酸ナトリウム微粉末0.16g(研磨液
中のダイアモンド砥粒100重量部に対し2重量部)加
え、24時間攪拌して研磨液を得た。
【0048】この研磨液を用いて、シリンドリカル研磨
機を用い、仕上げの研磨を実施した。図4は、このシリ
ンドリカル研磨機を示す模式図であり、(a)はその正
面図、(b)は側面図である。この研磨機は、被加工物
12と研磨工具11の両方をそれぞれの揺動クランク部
14、15により直交方向に揺動させることで研磨の相
対運動を得るものである。被加工物12は被加工物固定
具13により、ワークテーブル20に固定保持される。
また、研磨工具11のピッチ面16は被加工物12の加
工面と同様な形状で凹凸逆に整形され、被加工物12と
重なっている部分は接触している。また、ピッチ部の針
入度は20である。研磨液は、研磨液供給部(不図示)
から研磨液供給ノズル17により、研磨部に常時供給さ
れ、その後容器18の研磨液ドレン11から研磨液供給
部に戻される。
【0049】本実施例における研磨条件は、被加工物1
2の載るワークテーブル20を17サイクル/分、研磨
工具11を支持する揺動クランク部15を20サイクル
/分で揺動させ、研磨荷重は研磨工具の自重とおもりに
より25KPaとした。そして、無人で16時間研磨し
た。
【0050】以上の研磨を実施した後に研磨面を観察し
たところ、被加工面にはピットの発生、前加工の砥粒通
過痕(潜傷)の発現、曇(研磨ヤケ)の発生などの研磨
面の悪化は見られず、表面粗さ0.15nmRMS程度
の超平滑面が得られた。
【0051】<実施例3>次に、本発明の研磨方法によ
り、小径工具を用いて高精度な非球面を形成する場合の
実施例について詳細に説明する。
【0052】高精度な非球面を創成研磨する形状修正研
磨システムでは、まず被加工面の設計形状に対する誤差
形状を高精度な形状計測機を用いて測定し、被加工面に
ついての誤差形状マップを作成する。この誤差形状マッ
プと一定速度で揺動する小径工具の単位時間当たりの除
去量、除去形状を用いて残存誤差形状を最小にする様な
小径工具の被加工面上での滞留時間分布を計算する。こ
の滞留時間分布の計算はコンピュータ上で行われる。演
算の手法は一般的に、デコンボリューション法と呼ばれ
る。この演算はコンボリューション法(畳み込み積分
法)の逆演算であり、実際の除去をシミュレーションす
る方法が知られている。
【0053】このシミュレーション法では誤差形状及び
小径工具の単位除去形状をそれぞれの規模の配列でマト
リクス表示し誤差形状マトリクス上で単位除去形状マト
リクスを予定の工具走査方向に沿って重ね合わせ、誤差
形状マトリクス要素から単位除去形状マトリクス要素を
それぞれ減算し、演算した全ての要素でマイナス値が生
じない場合(過大な除去が発生しない場合)、第三のマ
トリクスである滞留時間分布積算マトリクス(誤差形状
マトリクスと同規模の配列であり、初期的に、配列要素
全てが0となっている)のうち、現在の演算で単位除去
形状マトリクスの中心が乗っている要素に、単位時間1
を積算し、単位除去形状マトリクスを誤差形状マトリク
ス上で予定の工具走査方向に1要素ずらし、再び除去が
可能かの判断を行うことを繰り返し、全域で除去が行え
なくなるまで工具走査をシミュレートするものである。
得られた滞留時間分布マトリクスから、予定の工具走査
方向における工具走査速度を計算する。これは、例えば
誤差形状マトリクス(滞留時間分布マトリクス)の1要
素の大きさ(L2)から決まっている単位長さ(L)を
各滞留時間分布マトリクス要素に積算された単位時間
(N)(単位は例えば秒)で除すればよい。
【0054】得られた工具走査速度のマトリクスにした
がい一定速度で揺動する工具が被加工面上でラスター走
査される。このとき、被加工物は研磨液中に固定保持さ
れ、研磨液中で小径工具によるラスター走査研磨が実施
される。
【0055】本実施例の場合、被加工物は母線方向長さ
270mm、母線曲率半径490m、子線方向長さ70
mm、子線曲率半径2mのCVD−SiCトロイダルミ
ラー非球面ミラーである。16mmの小径工具が被加工
面全域を前述の計算の結果得られた滞留時間分布を実現
しながら走査するのに約12時間かかる。
【0056】本実施例で使用した研磨液は、精製水20
リットルに平均粒径1μmの多結晶ダイアモンド砥粒を
10g(0.05重量%)、分散剤としてヘキサメタリ
ン酸ナトリウム微粉末0.2g(研磨液中のダイアモン
ド砥粒100重量部に対し2重量部)加え、24時間攪
拌した後、もう24時間放置し、5μmのカートリッジ
フィルターを通過させて得たものである。この研磨液
は、研磨装置外のタンク中から研磨液供給ポンプにより
研磨部に供給され、機上では余分な研磨液がドレンポン
プにより研磨装置外のタンクへと排出される。
【0057】この研磨液を用い、針入度が15で直径が
16mmのアスファルトピッチを使用した小径工具を研
磨圧力25KPa、走査方向に対して直交方向に5Hz
で±2mmの1軸揺動し、送りピッチ1mmでラスター
走査し、総加工時間約55時間/3パス研磨加工したと
ころ、予定通りの非球面形状を得た。
【0058】以上の研磨を実施した後に研磨面を観察し
たところ、被加工面にはピットの発生、砥粒通過痕の発
現などの研磨面の悪化は見られず、表面粗さ0.16n
mRMS程度の超平滑面が得られた。
【0059】<実施例4>次に、本発明の研磨方法によ
り、NC装置により制御される研磨機により高精度な非
球面を形成する場合の実施例について詳細に説明する。
図5は本実施例による研磨装置30の動作フローを示す
図であり、図6は研磨装置30を示す図である。
【0060】本実施例においては、まず、被加工物36
(以下、ワークと称する)をワークチャックにセット
し、固定する(ステップS0)。このワーク形状によっ
て定めた測定走査パターン(データD1)で、計測開始
ポイントから開始して、計測範囲内のつづれ織り状の軌
跡である走査ラインを用い、形状測定を行う(ステップ
S1)。その結果得られたワーク形状データ(データD
4)から、あらかじめ求めておいた再現する誤差、すな
わちシステム誤差(データD2)を差し引き(ステップ
S2)、ワークの設計形状(データD3)をこれに当て
はめ(カーブフィット)、設計形状からの差、つまり誤
差形状(データD5)を求める(ステップS3)。
【0061】次に、この誤差形状が目標精度に達してい
るかどうかを判定し(ステップS4)、既に目標精度に
達している場合には終了し、ワークを取り外す(ステッ
プS7)。まだ達していない場合には単位除去形状(デ
ータD6)と誤差形状から滞留時間分布を求める計算操
作であるデコンボリューション計算操作(ステップS
5)を行い、滞留時間分布(データD8)を得る。この
滞留時間分布と研磨走査パターン(データD7)と設計
形状(データD3)からNC研磨動作を行う(ステップ
S6)。その後、再びステップ1の形状測定に戻る。
【0062】図7にステップS6のNC研磨動作に関す
る動作フローを示す。
【0063】まず、研磨準備としてYテーブル32を研
磨加工部Pに移動させ、最初の研磨位置において、チル
ティング装置40を下降させて研磨ヘッド50をワーク
に接触させる。次に現在位置から滞留時間分布(データ
D8)を用いて走査速度を決定する(ステップS1
9)。次にその走査速度と走査パターン(データD7)
から同期時間ΔT後の走査位置を計算する(ステップS
20)。次に走査が終了したか判定し(ステップS2
1)、終了していない場合には設計形状(データD3)
から研磨位置、姿勢を計算し(ステップS22)、工具
位置、すなわち前述したセンサの出力値Dの距離だけワ
ーク法線方向の位置を補正し(ステップ23)、X,
Y,θ,Z1,Z2,Z3の6軸の目標位置を計算し
(ステップS24)、下位コンピュータにその目標位置
を送信する(ステップS25)。下位コンピュータは送
信された6軸の目標位置にしたがって前述した方法によ
り、6軸を同期的に移動させ(ステップS26)、工具
位置、すなわちセンサの出力値Dを上位コンピュータに
送信する(ステップ18)。
【0064】本実施例の場合、被加工物は母線方向長さ
270mm、母線曲率半径490m、子線方向長さ70
mm、子線曲率半径2mのCVD−SiCトロイダルミ
ラー非球面ミラーである。
【0065】まず、ワーク36をθテーブル34上のタ
ブ35内のワークチャックに取り付ける。このワークチ
ャックは、ワーク底面を真空吸引してワークを固定す
る。次に、Y軸に沿ってXYθテーブルを形状計測部M
に移動し、XYθテーブルを形状計測系の原点位置で止
める。また、θテーブル34はその回転の原点で固定さ
れる。次にワークの加工すべき面(以下、被加工面と称
する)の形状を図5に示した動作フローにしたがって計
測する。計測は各パラメータを入力し、計測開始指令を
入力することで開始する。このとき、入力するパラメー
タとしては、計測開始位置、終了位置、形状計測領域、
計測データ取込間隔、触針の走査速度、針圧などからな
る測定走査パターン(図5中のデータD1)、及び、被
加工面設計形状などである。
【0066】次に、前述したデコンボリューション(図
5中のステップS5)、すなわち修正研磨加工時に工具
を制御するための演算を行う。まず、被加工面の誤差形
状(図5中のデータD5)を上位コンピュータの演算領
域に読み込む。また、修正研磨で用いる研磨工具の単位
時間当たりの研磨除去形状(単位除去形状)(図5中デ
ータD6)を上位コンピュータの演算領域に読み込む。
【0067】なお、この単位除去形状は、事前に被加工
面と同様な材質形状をもつテストピース上で、実際の修
正研磨で用いるのと同一の工具、研磨条件で既知の時間
一定の位置で研磨を行い、得られた研磨窪みを形状計測
し、それを単位時間当たりに換算することによって得ら
れる。このとき、例えば、既知の時間を600秒とし
て、単位時間を1秒とすれば、600秒の一定の位置の
研磨で得られた研磨窪みの深さを1/600倍すればよ
い。また、これら2つのデータ群はポイント当たり
(x,y,z)の3次元データで構成されている。x,
y,zについては等間隔のメッシュ状であり、zが誤差
データ、または単位除去形状の形状を表わす。上位コン
ピュータの演算領域に読み込まれたこれら2つのデータ
群を用いて被加工面上での工具の滞留時間分布をデコン
ボリューション演算する。
【0068】この演算で得られた工具の滞留時間分布
(図5中データD8)とは、被加工面の修正研磨領域で
誤差形状を研磨除去するために必要な、各ポイントでの
工具の研磨時間を2次元的に表示したものである。すな
わち、これらの総和は被加工面の1回の修正研磨にかか
る総研磨時間を表わす。
【0069】次に、XYθテーブルを研磨加工部Pに移
動して、研磨加工部Pの原点で止める。研磨加工部Pの
Zチルトアームには1軸揺動式の研磨ヘッド50が取り
付けてあり、研磨ヘッド50の先端の工具保持部には直
径16mmのピッチ工具が固定されている。上位コンピ
ュータの指令により、研磨ヘッド50は指定された周波
数で揺動する。本実施例では揺動ストローク8mm、揺
動周波数5Hzである。これは、誤差形状の空間周波数
分布で、低周波数から中間周波数領域の誤差(形状誤
差、リップル)を除去するのに好適な条件である。ま
た、本実施例の研磨装置外に設けられた研磨液供給装置
(不図示)は、上位コンピュータの指令によりθテーブ
ル34上のタブ35内に研磨液を供給し、被加工面上を
研磨液で覆い、研磨が行える状態にする。
【0070】上位コンピュータに修正研磨準備に指令を
入力すると、上位コンピュータは被加工面形状に関する
データと滞留時間分布を演算領域に読み込む。ここで、
上位コンピュータに研磨加工開始位置、工具の走査パタ
ーン、走査回数、滞留時間分布から得られた総研磨時間
の何%を実際に行うか入力する。本実施例では、工具の
走査パターンはつづれ織り状走査であり、走査回数は3
回とした。
【0071】上位コンピュータに修正研磨開始を指令す
ると、前述のとおり、Xテーブル33、Yテーブル32
がそれぞれ移動し、被加工面の研磨開始位置にZチルト
アーム先端の工具が位置するようにして停止する。その
後、Zチルトアームが下降し、研磨ヘッド50内の研磨
工具の上下位置センサの信号が所定の値となったところ
でZチルトアームの下降を停止する。すなわち、工具が
被加工面に接触し、研磨ヘッド50内での工具の相対位
置が上昇したことを検知して、Zチルトアームの下降を
停止する。その後、研磨ヘッド50内の定圧装置20に
所定の研磨荷重を発生させる指令が送られ、ピッチ工具
は被研磨面の修正研磨開始位置に所定の研磨荷重で圧接
させられる。本実施例では研磨荷重は25KPaであ
る。
【0072】上位コンピュータは、所定の荷重に工具を
加圧したことを確認した後、研磨ヘッド50の揺動を始
め、修正研磨が開始される。研磨工具の走査はx,y軸
で行われるのは前述のとおりである。上位コンピュータ
では滞留時間分布のデータと、そのデータの各ポイント
x,yの間隔から、工具の走査速度を計算する。例え
ば、x,yのデータが1mm間隔であり、任意の位置
(x1,y1)での滞留時間が40secであり、その
25%を実際に加工し、走査回数が4回であるとする
と、この位置(x1,y1)の前後0.5mmの走査速
度V(x1,y1)は、V(x1,y1)=1/{(4
0×0.25)/4}=0.4(mm/sec)とな
る。このような演算を行いながら、前述したように上位
コンピュータは同期時間ΔT毎の各軸の目標座標を求
め、それを下位コンピュータに転送し、下位コンピュー
タが各軸を制御することで修正研磨は進行する。
【0073】第1回の修正研磨が終了した時点で、研磨
ヘッド50は上方に隔離され、研磨液はタブ35から抜
かれ、ワークを乾燥させる。その後、xyθテーブルを
形状計測部Mに移動させ、第2回の形状計測を行う。こ
の形状計測と修正研磨の交互の繰り返しは、ワークの形
状が設計形状に対する公差内に入ったかどうかの判断に
より終了もしくは継続となる。本加工の実施例ではこの
操作を3回繰り返し、平面形状精度PV0.06μmに
加工できた。この間、形状計測は300×100mmの
区間を1mmピッチに形状計測し、研磨加工は300×
100mmの区間を1mmピッチのラスター走査で行っ
た。
【0074】本実施例で使用した研磨液は、実施例3で
使用したものと同じである。この研磨液を用い、針入度
が15のピッチを用い、研磨圧力は25KPaとし、走
査方向に対して直交方向に5Hzで±2mmの1軸揺動
し、送りピッチ1mmでラスター走査し、総加工時間約
55時間/3パス研磨加工したところ、予定通りの非球
面形状を得た。また被加工面にはピットの発生、砥粒通
過痕の発現などの研磨面の悪化は見られず表面粗さ0.
16nmRMS程度の超平滑面が得られた。
【0075】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、例えば高
脆性多結晶材料であるCVD−SiCを、ビットの発
生、砥粒通過痕の発現などの研磨面悪化現象を生じるこ
となく、高い信頼性で超平滑面(表面粗さ0.3nmR
MS以下)に研磨できる。更に、本発明は、球面、平
面、非球面に適用できる汎用性の高い方法である。
【0076】更に、細かく研磨条件を変更して研磨面の
状態を観察しながら研磨加工を進めるという従来の煩雑
な工程が必要無くなり、作業が容易になる。また、研磨
条件を一定にしておけるので加工能率も向上し、加工コ
ストも低減できる。
【0077】更に、研磨剤の沈澱も防止できる点から
も、10〜20時間といった長時間を要するCVD−S
iC材を小径工具で非球面研磨加工する場合に、特に有
効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験1の代表的な粒径3点の結果を示すグラフ
である。
【図2】検討例2の結果を示すグラフである。
【図3】実施例1で用いた研磨機を示す図である。
【図4】実施例2で用いたシリンドリカル研磨機を示す
図である。
【図5】実施例4による研磨装置の動作フローを示すフ
ローチャートである。
【図6】実施例4に使用した研磨装置を示す図である。
【図7】図5のステップS6のNC研磨動作に関する動
作フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】 1 研磨皿 2 被加工面 6 研磨皿ピッチ面 7 研磨液 11 研磨工具 12 被加工物 17 研磨液供給ノズル 21 研磨液ドレイン 36 被加工物

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が1〜3μmのダイアモンド砥
    粒を含む研磨液を用いることを特徴とするSiCの研磨
    方法。
  2. 【請求項2】 針入度が5〜20のピッチを用いる請求
    項1記載の研磨方法。
  3. 【請求項3】 研磨圧力が66KPa以下である請求項
    1または2記載の研磨方法。
  4. 【請求項4】 前記ダイアモンド砥粒が多結晶である請
    求項1〜3の何れか一項記載の研磨方法。
  5. 【請求項5】 前記研磨液中のダイアモンド砥粒の量が
    0.2重量%以下である請求項1〜4の何れか一項記載
    の研磨方法。
  6. 【請求項6】 前記研磨液は研磨剤100重量部に対し
    て1〜2重量部の分散剤を更に含む請求項1〜5の何れ
    か一項記載の研磨方法。
  7. 【請求項7】 SiCから成る表面を有する光学素子の
    製造方法において、平均粒径が1〜3μmのダイアモン
    ド砥粒を含む研磨液を用いて研磨する工程を有すること
    を特徴とする光学素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記SiCから成る表面は、CVD法に
    より形成されたである請求項7記載の光学素子の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 前記平均粒径が1〜3μmのダイアモン
    ド砥粒を含む研磨液を用いた研磨により、表面粗さ0.
    3nmRMS以下の平滑面を形成する請求項7または8
    記載の光学素子の製造方法。
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