JPH0831651A - 電子部品用磁心 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 非導通状に磁心上に巻線を巻装しうる電子部
品用磁心の提供。 【構成】 外周に導電線を巻装してインダクタ，トラン
スなどの電子部品Ｐに利用されるフェライト材料などで
形成された磁心であって、その凸状をなす外向き稜線領
域に、樹脂材料などからなる突弧状絶縁部を形成し、外
周の少なくとも一部分を樹脂層２などの薄い絶縁層で被
覆し、絶縁層の表面に凹凸度が１０〜１００μｍとなる
凹凸部を形成したもの。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、インダクタ、トラン
スなどの電子部品における磁心と、その外周に巻装され
る導電線との非導通性を向上させた信頼性の高い電子部
品に利用される磁心に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、パルストランスなどのように磁心
上に絶縁状の巻線を巻装してなる電子部品（Ｐ’）にお
いては、前記の磁心（イ）と巻線（ロ）との電気的絶縁
性を保証するために、予め磁心（イ）の外周に樹脂層
（ハ）を形成し、その外周に巻線（ロ）を施したもので
あった（図１０参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記した電子部品
（Ｐ’）においても、絶縁性の樹脂層（ハ）が形成され
ているため、磁心（イ）と巻線（ロ）との間に電気的導
通は発生されることがないものであるが、絶縁性の樹脂
は磁心よりも異常に高い単価であり、コストが高いとい
う欠点があった。

【０００４】又表面に凹凸がなく、巻線が滑りやすく巻
線くずれが生じ、パワー伝達効率が悪くなるという欠点
があった。

【０００５】この発明の目的は、前記の欠点を解消する
磁心を提供することであって、その第１の目的は、巻装
される導電線との非導通性をもつ安価な電子部品用磁心
を提供することである。

【０００６】その第２の目的は、巻装される導電線との
非導通性をもち、巻線くずれしにくく、パワー伝達性の
優れた電子部品用磁心を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めのこの発明の構成上の特徴点は、次のとおりである。

【０００８】(1) 外周に導電線を巻装してチップインダ
クタなどの電子部品に利用されるフェライト材料などで
形成された磁心であって、その凸状をなす外向き稜線領
域に、樹脂材料などからなる突弧状絶縁部を形成した電
子部品用磁心。

【０００９】(2) 外周の少なくとも一部分を樹脂材料な
どの薄い絶縁層で被覆してなる前記(1) 記載の電子部品
用磁心。

【００１０】(3) 前記絶縁層の外表面を、凹凸度が１０
〜１００μｍとなる凹凸状となる樹脂材料を形成した前
記(1) 記載の電子部品用磁心。

【００１１】(4) 凸状をなす稜線領域に樹脂材料などか
らなる凹凸のついた突弧状絶縁部を形成した前記(1) 記
載の電子部品用磁心。

【００１２】(5) 外周に樹脂材料などからなる一部分を
薄くした凹凸のついた絶縁部を形成した前記(1) 記載の
電子部品用磁心。

【００１３】

【作 用】この発明の構成は前記のとおりであっ
て、巻装される電子部品用磁心で非導通性を持つための
樹脂量が少なく、軽量化，低コスト化が達成出来るばか
りでなく、凹凸が形成されているため巻線くずれしにく
く、パワー伝達性の優れたものが得られる。

【００１４】

【実 施 例】以下、この発明の実施例を図面に基づい
て説明するが、各実施例に採用した磁心１は、透磁率の
高いフェライト微粉末をメチルセルローズ，酢酸ビニー
ル，アクリル樹脂もしくはポリビニールアルコールなど
と十分に混練させ、成型，焼成処理したものとし、これ
に巻装する巻線２は、有機材料からなる被覆材で包囲さ
れた、約１００μｍφ程度の銅線を利用したものであ
り、更に、絶縁層を形成する樹脂材料としては、ポリウ
レタン樹脂，エポキシ樹脂もしくはビニール樹脂などを
採用したものである。

【００１５】（実施例１）図１および図２に示すよう
に、実施例１における磁心１は、リング状を呈してお
り、その内周部１１領域において磁心１が露呈されてい
る以外の外周部１２，側周部１３を樹脂層２によって被
覆させることにより、その稜線領域１４〜１７が十分樹
脂層２によって包囲された構造となっている。

【００１６】次でこの磁心１の外周に図示しない巻線手
段によってスパイラル状に巻線３０を巻装することによ
って図１に示す電子部品（Ｐ）が得られるものである。

【００１７】従って、この電子部品（Ｐ）にあっては、
巻線３０は、前記の樹脂層２を介装して磁心１上に巻装
されているため磁心１と巻線２とは安全に非導通性が確
保されるばかりでなく、巻線３０が鋭角状の稜線領域１
４〜１７において破断されるおそれがなく、信頼性の高
い電子部品（Ｐ）が得られるものであり、加えて、磁心
１の内周部１１においては樹脂層２が欠如されているた
め、軽量化が図りうるものであり、その製造コストにつ
いても低減化しうるものである。

【００１８】また、図３および図４には、その変形例が
示されており、図３のものは、磁心１Ａの内周面１１Ａ
と、外周面１２Ａとに樹脂層２Ａが欠如されたものであ
るから樹脂材料の所要量の一層の低減を図ることができ
ることとなり、図１の磁心１と同様の効果を達成しうる
ものである。

【００１９】更に、図４に示す磁心１Ｂにあっては、そ
の稜線領域１４Ｂ〜１７Ｂにおいてのみ環状膨出形の樹
脂層２Ｂが形成されているに過ぎず、磁心１Ｂの内外周
部１１Ｂ，１２Ｂのみならず、その側周部１３Ｂについ
ても樹脂層２Ｂを欠如して磁心１Ｂが露呈されているも
のであるから、必要樹脂材料の分量は、図３のものより
も更に低減でき、しかも、その各稜線領域においては、
直接的に巻線が磁心１Ｂに接触され、又は、断線される
おそれがないものが得られるものである。

【００２０】次に、図５乃至図７に示す磁心１Ｃ〜１Ｅ
について説明するが、これらに共通している点は樹脂層
２Ｃ〜２Ｅが部分的にその厚みが異なるように形成され
た点である。

【００２１】図５に示す磁心１Ｃにあっては、その内周
部１１Ｃにおいて、樹脂層２Ｃに断面Ｖ型状の凹部２１
Ｃを形成しており、図６のものでは同様に磁心１Ｄの内
周部１１Ｄにおいて樹脂層２Ｄが部分的に薄膜状となる
弧状凹部２１Ｄを形成したものである。

【００２２】更に、図７のものは、磁心１Ｅの内周部１
１Ｅにのみ、その略全域にわたって樹脂層２Ｅが薄膜状
となる平坦凹入部２１Ｅを形成したものである。

【００２３】従って、前記の図５乃至図７に示すものに
あっても、巻線は、磁心１Ｂ〜１Ｅに直接接触して、非
導通性を損なうことがなく、しかもその破断もみられな
いものであって、信頼性の高いものが得られる。

【００２４】（実施例２）この実施例では、磁心１〜１
Ｅの外周面に付設する樹脂層２〜２Ｅの表面を凹凸状と
した点を特徴とするものである。

【００２５】即ち、前記した実施例１における図７の磁
心１Ｅを一例として図８により説明する。

【００２６】この図８に示す磁心１Ｆにあっては、その
外表面上に例えばスプレー手段（図示略）によって塗着
させるようにすることによって、樹脂材料の粒子が自然
な状態で凹凸度が１０〜１００μｍの凹凸状を呈した状
況で樹脂層２Ｆが形成されるものである。

【００２７】かくして得られた磁心１Ｆの外周上に巻線
を巻装処理する際には、巻線は、樹脂層２Ｆ上でズレ動
くことなく安定的に整然と巻装されうるものである。

【００２８】なお、図示して詳しく説明するまでもな
く、前記した図１乃至図６に示す各磁心１〜１Ｅについ
ても同様の処理により、表面が凹凸状をなす樹脂層２〜
２Ｅを形成し、図８に示す磁心１Ｆと同様の機能を発揮
させることはいうまでもないことである。

【００２９】以上の説明は、いずれもリング状を呈する
磁心について行なったが、例えば図９に示すような四角
柱の磁心１Ｇにあっても、前記したリング状の磁心と同
様に樹脂層を形成し同様の効果を達成するものである
が、この例にあっては、実装時の安定性や、操作の一層
の容易性が認められるものである。

【００３０】

【発明の効果】この発明は、以上の通りであって、次の
ような顕著な効果を奏するものである。

【００３１】(1) 巻線と磁心との電気的な非導通性が大
巾に向上でき、しかも巻線の破断のおそれのない信頼性
の高い電子部品を得ることができる。

【００３２】(2) 磁心を被覆する絶縁用の樹脂層が、必
要とされる箇所に重点的に配備されているため、磁心の
軽量化を図り、所要樹脂分量の低減化による低コスト化
を達成しうる。

【００３３】(3) 樹脂層の表面が凹凸状を呈しているた
め巻線くずれが発生せず、優れたパワー伝達性を備えた
電子部品を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例１を示す電子部品の縦断面
図。

【図２】図１の電子部品用磁心のＫ−Ｋ断面図。

【図３】図１の磁心の変形例図。

【図４】図１の磁心の変形例図。

【図５】図１の磁心の変形例図。

【図６】図１の磁心の変形例図。

【図７】図１の磁心の変形例図。

【図８】この発明の実施例２の電子部品用磁心の縦断面
図。

【図９】図２の変形例図。

【図１０】従来品の電子部品の一部縦断面図。

【符号の説明】

Ｐ，Ｐ’ 電子部品 １，１Ａ〜１Ｇ 磁心 １１，１１Ａ〜１１Ｅ 内周部 １２，１２Ａ，１２Ｂ 外周部 １３ 側周部 １４〜１７，１４Ｂ〜１７Ｂ 稜線領域 ２，２Ａ〜２Ｇ 樹脂層 ３０ 巻線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉 藤 保 東京都台東区上野６丁目16番20号 太陽誘 電株式会社内 (72)発明者 戒 能 大 助 東京都台東区上野６丁目16番20号 太陽誘 電株式会社内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周に導電線を巻装してチップインダク
   タなどの電子部品に利用されるフェライト材料などで形
   成された磁心であって、その凸状をなす外向き稜線領域
   に、樹脂材料などからなる突弧状絶縁部を形成した電子
   部品用磁心。
2. 【請求項２】 外周の少なくとも一部分を樹脂材料など
   の薄い絶縁層で被覆してなる請求項１記載の電子部品用
   磁心。
3. 【請求項３】 前記絶縁層の外表面を、凹凸度が１０〜
   １００μｍとなる凹凸状となる樹脂材料を形成した請求
   項１記載の電子部品用磁心。
4. 【請求項４】 凸状をなす稜線領域に樹脂材料などから
   なる凹凸のついた突弧状絶縁部を形成した請求項１記載
   の電子部品用磁心。
5. 【請求項５】 外周に樹脂材料などからなる一部分を薄
   くした凹凸のついた絶縁部を形成した請求項１記載の電
   子部品用磁心。