JPH08315430A - ディスク基板の製造方法及びそのディスク基板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ディスクの内外縁部からの接着剤のはみ出しを
なくしてトリミング処理を省いたディスク基板の製造方
法及そのディスク基板を提供する。 【構成】２枚のディスク1,1 の少なくとも一方に記録情
報が転写され、この記録情報を有するディスク面に少な
くとも反射膜５を形成して互いに対面するディスク1,1
を重ね合わせて接着剤８により貼り合わせたディスク基
板10で、各ディスク１が、接着時にはみ出した接着剤の
溜り部となる環状の段部２または円周溝を、互いに対面
するディスク面の外周縁及び内周縁に形成したことを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、一般に使用されている
ＬＤ、さらに今後、映像部門やコンピュータへの記録媒
体として発展が期待されているＤＶＤ（デジタルビデオ
ディスク）等のように２枚のディスクを貼り合わせる形
式のディスク製造方法及びそのディスク構造に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来のディスクの構造は、外径１２０ｍ
ｍ、厚み１．２ｍｍの円盤で、透明基板、反射層、保護
層の３層構造になっている。信号は反射面上のビットと
呼ばれる突起の長さと間隔として記録され、ビットの列
が内から外へ向かって螺旋を描きトラックを形成してい
る。信号を取り出すために当てられるレーザビームのス
ポット径は反射面上では１．５μｍと小さいが、ディス
ク表面上では、１ｍｍと大きく、傷や塵に対して光信号
が乱されにくい構造となっている。

【０００３】この光ディスク（光磁気ディスクを含
む。）は、オーディオやビデオ、コンピュータ等の広い
分野で情報記録媒体として用いられるようになってきて
いるが、近年、その一種として、記録容量の向上等を目
的とし、互いに別に形成された二枚のディスク状薄形基
板（単に、ディスクともいう。）を互いに重ね合わせ
て、一体化したディスク基板が開発され、例えば、ＤＶ
Ｄ等への適用が考えられている。

【０００４】このような構造によれば、各ディスク状薄
形基板に対してそれぞれ信号を記録することができるこ
とから、従来の単一のディスク基板構造を有するものに
比して、２倍以上の記録容量を確保することが可能とな
るのである。

【０００５】ところで、このような重ね合わせ形式のデ
ィスク基板は、ＬＤでは、１．２ｍｍの肉厚、ＤＶＤで
は、０．６ｍｍの肉厚を有しており、これら一対のディ
スク状薄形基板を、それぞれ、通常の単一構造のディス
ク基板と同様に、スタンパを用いて成形し、信号記録面
にアルミニウム等の反射膜および保護層を形成した後、
ホットメルト接着剤や紫外線硬化接着剤を用いて、それ
ら一対のディスク状薄形基板を背中合わせに（両面が信
号記録面となる）接着することにより重ね合わせて形成
される。

【０００６】この接着剤の塗布方法としては、後述する
スピンコート法やロールコート法が挙げられる。しか
し、このような接着剤の塗布後に行われるディスクの接
着では、貼り合わせる際に接着剤のはみ出しがあるため
に、ディスクの内径及び外径をトリミング（エッジン
グ）処理する必要があった。

【０００７】このトリミングは、接着剤を切削により除
去することであるが、トリミング時に、切削された接着
剤粉が飛散して、ディスク基板の表面にくっついたりし
て不良の大きな原因となっていた。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】このような事情に鑑み
て、本発明は、ディスク基板の貼り合わせ時に、ディス
クの内外縁部からの接着剤のはみ出しをなくしてトリミ
ング処理を省いたディスク基板の製造方法及これに使用
するディスク基板を提供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のディスク基板の製造方法は、ディスク一面
側の外周縁及び内周縁に環状の段部または円周溝を形成
し、かつ、少なくとも一方のディスクには、前記段部等
を有するディスク面側に記録情報を転写させてなる２枚
のディスクを用意し、前記記録情報を有するディスク面
に対してアルミ等の反射膜を形成し、次に、対面させる
各ディスクの面側に接着剤を塗布し、前記ディスクの接
着面同士を対面させて重ね合わせることにより、２枚の
ディスクを貼り合わせる、各工程を備えていることを特
徴としている。

【００１０】また、本発明のディスク基板は、２枚のデ
ィスクの少なくとも一方に記録情報が転写され、この記
録情報を有するディスク面に少なくとも反射膜を形成し
て互いに対面するディスクを重ね合わせて接着剤により
貼り合わせる構造において、各ディスクが、接着時には
み出した接着剤の溜り部となる環状の段部または円周溝
を、互いに対面するディスク面の外周縁及び内周縁に形
成したことを特徴としている。

【００１１】

【作用】このような構成により、ディスクの重ね合わせ
面からはみ出した余分な接着剤は、接着剤の溜り部、す
なわち、ディスクの外周縁及び内周縁の環状の段部また
は円周溝に流れ込み、ディスクの外縁及び内縁から外側
へはみ出すことがないので、接着剤のトリミング処理を
する必要がなくなる。

【００１２】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図１及び図２は、本発明の実施例におけるディスク基板
の一方のディスク断面形状を示す断面図である。

【００１３】図１において、本発明のディスク基板１０
を製造するための重ね合わせ用ディスク１は、射出成形
により成形され、その信号面側１ａに記録情報としての
ビット１１が形成され、また同時に、信号面側１ａの外
周縁と内周縁に環状の段部２が設けられている。この外
周縁の段部２の寸法は、ディスク１の厚さ寸法Ｌ＝０．
６ｍｍに対して、深さ寸法Ａ及び径方向寸法Ｂが共に約
０．３ｍｍであり、また内周縁の段部２は深さ寸法Ｃが
０．２ｍｍであり、径方向寸法Ｄが０．５ｍｍとなって
いる。

【００１４】図２は、図１に示す段部２の代わりに、円
周溝３を形成した他の実施例を示しており、外周縁の円
周溝の深さ寸法Ｅは約０．２ｍｍ、径方向寸法Ｆは約
０．３ｍｍであり、内周縁の円周溝の深さ寸法Ｇは約
０．２ｍｍであり、径方向寸法Ｈは約０．２ｍｍであ
る。

【００１５】ここで、内周縁の円周溝３は、図１と同様
に段部２であってもよい。なお、内外縁の端部側の縁４
の厚さＭは、０．１〜０．２ｍｍ程度であり、高さ寸法
は信号面と同一面でなくて、深さ寸法Ｅよりも低くして
も良い。その理由は、端部側の縁４は、溝部に流れ出た
接着剤を堰止める役目あるいは、端面側に接着剤面をで
きる限り露出させないためである。

【００１６】このような同一形状のディスク１を射出成
形により成形し、以下に説明する製造方法により信号面
を対面させて重ね合わせ、これを接着することによりデ
ィスク基板１０を形成する。

【００１７】なお、本発明では、ディスク１は信号面側
に記録情報としてのビットが形成されているが、ＤＶＤ
等において、映像の情報がディスク基板１０の両面でな
く片面のみで充足される場合には、記録情報は片面のみ
のディスクとして良いことは言うまでもない。

【００１８】以下に、本発明のディスク基板１０の製造
方法を図３において説明する。

【００１９】まず、ディスク１の一面側に記録情報とし
てのビット１１を形成するとともに、この信号面側の外
周縁及び内周縁に段部２または円周溝３を形成したディ
スクを射出成形で製造する。この段部等を有するディス
クを２枚、もしくは映像情報がディスク基板の片面で間
に合う場合には、２枚のディスクのうち一方のディスク
はダミー用のディスクを用意する。

【００２０】このダミー用のディスクは、信号面側にビ
ットを形成しないで、単に、ディスク面の外周縁及び内
周縁に段部２または円周溝３のみを形成したものであ
る。

【００２１】図３ａには、この段部等を有する２枚のデ
ィスクのうち一方のディスクだけを示している。

【００２２】そして、図３ｂに示すように、このディス
ク１において、記録情報を有するディスク面に対してア
ルミ等の反射膜５を形成する。この製造工程におけるア
ルミ等の反射膜５はスパッタリングで形成されている。

【００２３】なお、一方のディスクとしてダミー用のデ
ィスクを用いる場合には、この反射膜を形成する必要が
ない。

【００２４】次に、図３ｃに示すように、反射膜５が形
成されたディスクの反射膜５上に、保護層６が形成され
る。そして、この保護層６の上に、図３ｄに示すよう
に、ホットメルト接着剤７または紫外線硬化接着剤８を
塗布する。一方、ダミー用のディスクを用いる場合に
は、反射膜や保護層を形成することなく、単に、段部等
を有するディスク面に直接接着剤のみ塗布する。

【００２５】上記接着剤の塗布工程において、紫外線硬
化接着剤８を用いた場合には、この塗布方法は、通常、
スピンコート法によっている。このスピンコート法で
は、ディスク１の信号面を上に向けて、これを回転盤上
に水平に置き、回転するディスク１の中心に上から接着
剤８を滴下させ、遠心力により、接着剤が信号面に広が
ることによって塗布が行われるようになっている。

【００２６】ただし、このスピンコート法は、ディスク
の直径がＤＶＤのように１２０ｍｍの場合は可能である
が、ＬＤのように直径の大きな場合には、適用すること
が難しく、ローラにより接着剤を塗布するローラコート
法で行うようになっている。また、ホットメルト接着剤
７は、粘性が高いのでスピンコート法を用いることがで
きず、この接着剤を使用する場合のディスクへの塗布
は、通常、ローラコート法で行うことが原則とされてい
る。

【００２７】さらに、図３ｅに示すように、接着剤とし
て紫外線硬化接着剤８を用いる場合、この接着剤は、保
護層と同一の組成材料からなり、また保護層の形成もス
ピンコート法等の塗布で行うことができるので、接着剤
８を保護層６として兼用することが可能となる。したが
って、ディスク基板１０の形成工程の手順としての反射
膜、保護層の形成のうち、保護層の形成方法を省略する
ことが可能となる。

【００２８】こうして、２枚のディスクを重ね合わせて
接着する前に、各ディスクは、アルミ等の反射膜５を形
成してその上に紫外線硬化接着剤８が塗布（図３ｅ）さ
れる。また、ダミー用のディスクを使用する場合は、こ
のディスクのみディスク面に直接接着剤が塗布される。
さらには、接着剤としてホットメルト接着剤７を用いる
場合には、図３ｄに示すように、各ディスクは、反射膜
５の上に保護層６を形成し、さらにこの保護層上にホッ
トメルト接着剤７が塗布されるようになっている。

【００２９】次の接着工程では、一例として図３ｅに示
すディスクを用いた場合、図４に示すように、紫外線接
着剤８が塗布されたディスク１と、同様に形成されたも
う一方のディスク１とが、段部等を有するディスク面を
互いに対面させて重ね合わされる。

【００３０】この接着工程では、低圧プレス等を用い
て、２枚のディスクが接着されるが、本発明のディスク
基板１０の製造では、図５に示すように、余分な接着剤
は、接着剤の溜り部としての段部２もしくは円周溝３に
流れ込み、ディスク１の外周縁及び内周縁から接着剤８
がはみ出すことなく貼り合わせが完了する。

【００３１】また、ディスクの貼り合わせは、接着剤を
乾燥させて固化させるために、従来と同様な乾燥もしく
は熱処理がなされるものであり、例えば、ＤＶＤでは、
単に低圧プレスによる方法で、また、ＬＤの場合は、熱
プレス等の方法により所望のディスク基板が形成され
る。

【００３２】こうして完成した、本発明のディスク基板
１０は、例えば、図５に示すような断面形状、すなわ
ち、ディスク１の信号面に対面して、各ディスクには反
射膜５が形成され、これらの反射膜５，５の間に接着剤
８が介在して、ディスク１が重ね合わされた構造となっ
ている。

【００３３】この重ね合わせ構造は、上述したことから
明らかなように、本発明のディスク基板１０においてデ
ィスク１，１の間に形成される層は、図３に示すよう
に、反射膜−接着剤−反射膜の３層構造の他に、反射膜
−保護層−接着剤−保護層−反射膜の５層構造、さらに
は、ダミー用のディスクを用いる場合には、反射膜−接
着剤からなる２層構造、反射膜−保護層−接着剤からな
る３層構造が可能である。

【００３４】なお、上述の本発明のディスクの段部２も
しくは円周溝３の形状において、外周縁の段部と内周縁
の段部の寸法が異なっているが、これは、接着剤のはみ
出し量が内周より外周の方が多いためであり、実際の測
定結果では、外周側は少なくとも０．２ｍｍ×０．２ｍ
ｍ以上のスペースがあればよく、内周側はわずかな段部
でもあればかなりの効果が得られた。

【００３５】また、図１及び図２において、段部２もし
くは円周溝３は、断面を角形状としたが、半円形状であ
っても良く、いずれにしてもディスクの貼り合わせ時に
接着剤がディスクの外側からはみ出ない形状であればよ
い。

【００３６】

【発明の効果】本発明は、上述した製造工程を順次行う
ことにより、余分な接着剤は段部または円周溝に流れ込
んで固化し、ディスクからはみ出ることなく、２枚のデ
ィスクを重ね合わせて貼り合わせることができる。

【００３７】この結果、接着剤のトリミング処理を省く
ことができ、２枚のディスクを貼り合わせる形式のＤＶ
Ｄ等のディスクの製造を容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のディスク基板の製造におけるディスク
の断面形状を示す第１実施例の断面図である。

【図２】図１と同様な本発明に係るディスク基板の製造
におけるディスクの断面形状を示す第２実施例の断面図
である。

【図３】本発明のディスク基板の一方のディスク上に形
成される層構造のパターンを示す模式図である。

【図４】本発明のディスク基板の重ね合わす前の状態を
示す一実施例の模式図である。

【図５】本発明のディスク基板の重ね合わせた後の状態
を示す一実施例の模式図である。

【符号の説明】

１ ディスク ２ 段部 ３ 円周溝 ４ 縁 ５ 反射膜 ６ 保護層 ７ 接着剤 １０ ディスク基板 １１ ビット

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ディスク一面側の外周縁及び内周縁に環状
   の段部または円周溝を形成し、かつ、少なくとも一方の
   ディスクには、前記段部等を有するディスク面側に記録
   情報を転写させてなる２枚のディスクを用意し、 前記記録情報を有するディスク面に対してアルミ等の反
   射膜を形成し、 次に、対面させる各ディスクの面側に接着剤を塗布し、 前記ディスクの接着面同士を対面させて重ね合わせるこ
   とにより、２枚のディスクを貼り合わせる、各工程を備
   えていることを特徴とするディスク基板の製造方法。
2. 【請求項２】記録情報を有するディスク面に対して、ア
   ルミ等の反射膜の形成工程と、接着剤の塗布工程との間
   に保護層を形成する工程を有していることを特徴とする
   請求項１に記載のディスク基板の製造方法。
3. 【請求項３】２枚のディスクの少なくとも一方に記録情
   報が転写され、この記録情報を有するディスク面に少な
   くとも反射膜を形成して互いに対面するディスクを重ね
   合わせて接着剤により貼り合わせるディスク基板におい
   て、 各ディスクが、接着時にはみ出した接着剤の溜り部とな
   る環状の段部または円周溝を、互いに対面するディスク
   面の外周縁及び内周縁に形成したことを特徴とするディ
   スク基板。