JPH08311231A - ハニカム状多孔質体及びその製造方法 - Google Patents

ハニカム状多孔質体及びその製造方法

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JPH08311231A
JPH08311231A JP14393895A JP14393895A JPH08311231A JP H08311231 A JPH08311231 A JP H08311231A JP 14393895 A JP14393895 A JP 14393895A JP 14393895 A JP14393895 A JP 14393895A JP H08311231 A JPH08311231 A JP H08311231A
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Japan
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solvent
honeycomb
polymer
linear polymer
porous body
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JP14393895A
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Akihiko Koiwai
明彦 小岩井
Yukiaki Hiyoudou
志明 兵頭
Tatsumi Hioki
辰視 日置
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価で製造容易なハニカム状多孔質体及びそ
の製造方法を提供すること。 【構成】 線状ポリマー21を溶媒22に溶解して,ポ
リマー溶液20を調製し,次に,ポリマー溶液20を冷
却して,雰囲気中の水蒸気230等の蒸気を結露させる
ことによりその水滴23等の液滴の一部をポリマー溶液
20の表面から内部に入り込ませる。次に,溶媒22を
蒸発させ,その後,液滴を除去する。これにより,多数
の細孔3を基材2の表面部に形成したハニカム状多孔質
体を得る。ポリマー溶液は,溶媒の蒸発に伴う気化熱に
よって冷却することができる。線状ポリマーとしては,
線状ポリスチレン等を用いる。溶媒としては,ジクロロ
メタンを用いることが好ましい。また,上記ポリマー溶
液の代わりに,線状ポリマーからなる基材の表面に溶媒
を供給してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,多数の細孔を有するハ
ニカム状多孔質体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】ハニカム状多孔質体は,例えば,医薬品,
生体関連物質用カプセル,規則構造を有する材料の合成
用鋳型,光学材料への応用が期待されている。上記ハニ
カム状多孔質体を製造する方法としては,例えば,G.
Widawski:Nature,vol.369,
p.387,1994に開示された方法がある。
【0003】この方法は,星型ポリマーを含む溶液を,
溶媒としての二硫化炭素と共に,水蒸気存在下で乾燥さ
せることによって,図8に示すごとく,直径0.2〜1
0μmの細孔81が基板85の表面に規則的に配列した
ハニカム状多孔質体82を得るというものである。
【0004】上記ハニカム状多孔質体の製造に当たって
は,室温においてポリマー溶液がゲル化することが必要
であると考えられている。そのため,上記星型ポリマー
としては,例えば,図9に示すごとく,複数のポリスチ
レン71がその中央部710において互いに結合してな
る星型ポリスチレン72(図9(a)),複数のポリス
チレン73が球状のポリパラフェニレン74を介して共
重合してなるブロック共重合体75(図9(b))が用
いられる。
【0005】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記星型ポリ
マーの製造に当たっては,合成工程が多く,複雑である
という欠点がある。そのため,星型ポリマーを用いる
と,ハニカム状多孔質体の製造コストが高くなってしま
う。
【0006】そこで,高価な星型ポリマーの代わりに,
安価な線状ポリマーを用いることが考えられる。しか
し,線状ポリマーは,上記のG.Widawski氏に
よる方法では,ハニカム状多孔質体は得られない(同雑
誌,p.387,line35)。その理由は,一般的
に線状ポリマー溶液のゲル化温度が低く,室温ではゲル
化しないためであると考えられる。
【0007】また,線状ポリマーの一種である線状ポリ
スチレンを含む溶液は,良溶媒としての二硫化炭素又は
ジクロロメタンを用いても室温ではゲル化しないといわ
れている(H.Tan:Macromolecule
s,Vol.16,p.28,1983)。
【0008】従って,従来,線状ポリマーからなるハニ
カム状多孔質体を得ることは,困難であると考えられて
いた。そこで,発明者らは,安価に且つ容易にハニカム
状多孔質体を製造するべく,鋭利検討を行った。その結
果,上記線状ポリマーを用いてハニカム状多孔質体を製
造する方法を発明した。
【0009】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,安価
で製造容易なハニカム状多孔質体及びその製造方法を提
供しようとするものである。
【0010】
【課題の解決手段】本願に係る第1発明は,線状ポリマ
ーを溶媒に溶解してポリマー溶液を調製し,次に,該ポ
リマー溶液を冷却して,雰囲気中の蒸気を結露させるこ
とによりその液滴の一部を上記ポリマー溶液の表面から
内部に入り込ませ,次に,上記溶媒を蒸発させ,その
後,上記結露した液滴を除去することを特徴とするハニ
カム状多孔質体の製造方法にある。
【0011】本発明において最も注目すべきことは,線
状ポリマーを用いること,該線状ポリマーを含むポリマ
ー溶液を冷却してその内部に結露した液滴の一部を入り
込ませること,及び該液滴を,溶媒蒸発後に除去するこ
とである。
【0012】上記線状ポリマーは,主鎖が直鎖状に連な
っていれば,側鎖の有無及びその長さは特に限定されな
い(図2参照)。
【0013】上記線状ポリマーの重量平均分子量(M
w)は,1000〜1000000であることが好まし
い。1000未満の場合には,ハニカム多孔質体の強度
が充分に得られないおそれがある。一方,100000
0を越える場合には,ポリマーが溶媒に充分溶解しない
おそれがある。
【0014】また,上記線状ポリマーの分散度(Mw/
Mn)は,特に限定されない。尚,上記線状ポリマーの
分散度(Mw/Mn)は,重量平均分子量(Mw)を数
平均分子量(Mn)により除することにより求められ
る。
【0015】上記線状ポリマーは,溶媒に溶解するもの
であれば,特に限定されない。上記線状ポリマーとして
は,例えば,線状ポリスチレン,ポリメチルメタクリレ
ート,ポリカーボネートがある。この中,特に線状ポリ
スチレンを用いることが好ましい。その理由は,ポリス
チレンに対する溶媒は種類が多く溶解度が高いからであ
る。上記線状ポリスチレンとは,例えば,ポリスチレン
の主鎖が直鎖状に連なっているものである。
【0016】上記溶媒の沸点は,結露させる液滴の沸点
よりも低いことが好ましい。その理由は,結露した液滴
が,溶媒の蒸発と共に蒸発してしまい,細孔を形成する
ことができないおそれがあるからである。
【0017】また,溶媒の沸点は,常温と同程度又はそ
れよりも高いことが好ましい。その理由は,常温よりも
低いと,常温でのポリマー溶液調製の困難性があるから
である。更に,溶媒の沸点は,常温と同程度又は僅かに
高いものが好ましい。これにより,常温で溶媒を急速に
蒸発させることができる。また,溶媒の急速な蒸発に伴
う気化熱によりポリマー溶液を冷却することができる。
【0018】以上のことから,溶媒の沸点は,20〜1
00℃であることが好ましい。20℃未満の場合には,
常温でのポリマー溶液調製の困難性がある。一方,10
0℃を越える場合には,溶媒の蒸発のためポリマー溶液
を高温に晒す必要がある。そのため,雰囲気中の蒸気を
結露させることが困難となる。なお,特に好ましくは下
限が30℃,上限が50℃である。
【0019】また,溶媒の比重は,液滴の比重よりも大
きいことが好ましい。例えば,液滴として水蒸気を結露
させる場合には溶媒の比重は,1よりも大きいことが好
ましい。その理由は,溶媒の比重が水よりも低い場合に
は水滴がポリマー溶液の表面に浮上せず,表面に細孔が
形成されないおそれがあるからである。
【0020】上記の特性を有する溶媒としては,例え
ば,ジクロロメタン,二硫化炭素がある。この中,特
に,ジクロロメタンを用いることが好ましい。その理由
は,ジクロロメタンは沸点が低いからである。上記液滴
は,該線状ポリマーを溶解せず,また,該溶媒と相溶し
ないものであれば,特に限定されない。液滴の沸点,比
重と,該溶媒のそれとの関係は,前述した通りである。
上記の特性を有する液滴としては,例えば水滴がある。
【0021】冷却前におけるポリマー溶液中の線状ポリ
マーの濃度は,0.01〜0.1g/ccであることが
好ましい。0.01g/cc未満の場合には,溶媒の蒸
発に長時間を要するおそれがある。一方,0.1g/c
cを越える場合には,すべての線状ポリマーを溶媒に溶
解させることが困難となるおそれがある。
【0022】次に,上記ポリマー溶液を冷却する。その
冷却温度は,液滴の沸点よりも低く,上記ポリマー溶液
の凝固温度よりも高い温度である。冷却方法としては,
例えば,上記ポリマー溶液を,溶媒の蒸発に伴う気化
熱によって冷却する方法,上記ポリマー溶液自体を,
冷蔵庫,冷水等の冷却手段により冷却する方法がある。
【0023】上記冷却は,蒸気の存在する雰囲気下にお
いて行う。これにより,雰囲気中の蒸気が結露して,そ
の液滴の一部が上記ポリマー溶液の表面から内部に入り
込む。また,雰囲気中の蒸気の相対分圧は,ポリマー溶
液,結露させる液滴,及び冷却の条件により異なるが,
20〜100%であることが好ましい。20%未満の場
合には,ポリマー溶液の表面に,多孔質体を形成するた
めに充分な量の液滴が結露しないおそれがある。
【0024】上記溶媒の蒸発は,例えば,溶媒の自然
乾燥,気流を吹きかけることによる強制乾燥,積極
的に加温して溶媒を蒸発させる方法により行うことがで
きる。この溶媒の蒸発は,上記ポリマー溶液内の液滴
が,蒸発しない条件で行うことが好ましい。液滴が溶媒
に先んじて蒸発すると,ポリマー溶液に細孔が形成され
ないおそれがあるからである。
【0025】上記ポリマー溶液内の液滴の除去は,例え
ば,温風を吹きかける,真空乾燥させる方法により
行うことができる。また,上記液滴の除去の際には,温
度を該線状ポリマーの軟化点以上にしない点に留意する
ことが好ましい。その理由は,ハニカム多孔質構造が破
壊されるおそれがあるからである。
【0026】次に,本願に係る第2発明は,線状ポリマ
ーからなる基材の表面に上記線状ポリマーを溶解させる
溶媒を供給して上記線状ポリマーを溶解させ,次に,該
線状ポリマーの溶液部を冷却して,雰囲気中の蒸気を結
露させることによりその液滴の一部を上記線状ポリマー
の溶液部の表面から内部に入り込ませ,次に,上記溶媒
を蒸発させ,その後,上記結露した液滴を除去すること
を特徴とするハニカム状多孔質体の製造方法にある。
【0027】上記製造方法は,線状ポリマーからなる基
材表面に溶媒を供給している点が,ポリマー溶液を用い
る第1発明と異なる。
【0028】本発明において,上記線状ポリマーからな
る基材は,少なくともその表面が線状ポリマーより形成
されているものであれば,特に限定しない。例えば,上
記基材は,それ自体が線状ポリマーであるもの,その表
面部だけが線状ポリマーの膜でありその内部は金属又は
セラミックスであるものがある。
【0029】上記基材の表面には,溶媒を供給する。そ
の供給方法は,例えば,基材を溶媒中に浸漬する方
法,スプレーにより溶媒を噴霧する方法,スポイト
等により溶媒を滴下する方法がある。上記線状ポリマ
ー,上記溶媒,線状ポリマーの溶液部の冷却,溶媒の蒸
発,結露した液滴の除去は,上述した第1発明と同様で
あることが好ましい。
【0030】次に,上記第1,第2発明により製造され
るハニカム状多孔質体としては,例えば,線状ポリマー
からなる基材と,該基材の表面に形成した多数の細孔と
からなり,該細孔は,ハニカム状に規則配列しており,
その直径は0.2〜10μmであることを特徴とするハ
ニカム状多孔質体がある。
【0031】上記細孔の直径は,0.2〜10μmであ
る。かかる範囲を逸脱する直径の細孔は,上記の製造方
法によっては形成し難い。また,0.2μm未満の場合
には,細孔が細密に配列しない問題がある。10μmを
越える場合には,細孔の直径が不均一になる問題があ
る。
【0032】上記ハニカム状多孔質体は,例えば,蛋白
質等の巨大分子の分子篩,無機微粒子用の鋳型,規則構
造を有する材料の合成用の鋳型,医薬品,生体関連物質
用のカプセル,又は光学材料の用途がある。
【0033】
【作用及び効果】本願に係る第1発明においては,ポリ
マー溶液の冷却により,雰囲気中の蒸気が結露して,そ
の液滴の一部がポリマー溶液の表面から内部に入り込
む。
【0034】次に,溶媒を蒸発させる。蒸発初期には,
ポリマー溶液の線状ポリマー濃度が低くその粘度も低
い。この場合には,液滴は,ポリマー溶液の表面を移動
でき,球状に成長しながら細密に凝集する。更に,蒸発
が進行すると,線状ポリマーの濃度が高くなり,それに
伴って粘度も高くなる。
【0035】そして,蒸発後期において,ポリマー溶液
の粘度が,ある臨界点以上になるともはや液滴は成長も
移動もすることができなくなった状態の基材が得られ
る。その後,上記基材より液滴を除去する。これによ
り,上記基材における液滴の存在していた部分に,細孔
が形成されて,多孔質構造のハニカム状多孔質体が得ら
れる。
【0036】従って,上記の製造方法によれば,従来ゲ
ル化しにくい,あるいは,ゲル化しないと考えられてい
た線状ポリマーを用いてハニカム状多孔質体を得ること
ができる。また,線状ポリマーは製造容易で安価である
ため,ハニカム状多孔質体の製造コストの低減化を図る
ことができる。
【0037】本願に係る第2発明においては,線状ポリ
マーからなる基材の表面に溶媒を供給した後,基材の冷
却,溶媒の蒸発,液滴の除去を行っている。そのため,
上記第1発明と同様に,安価に容易にハニカム状多孔質
体を製造することができる。また,本発明のハニカム状
多孔質体によれば,コストの低減化を図ることができ
る。
【0038】本発明によれば,安価で製造容易なハニカ
ム状多孔質体及びその製造方法を提供することができ
る。
【0039】
【実施例】本発明に係る実施例について,図1〜図5を
用いて説明する。本例のハニカム状多孔質体1は,図1
に示すごとく,線状ポリマーからなる基材2と,該基材
2の表面に形成された多数の細孔3とからなる。
【0040】基材2は,平均厚み20μmのポリマー膜
である。線状ポリマーの形状は,図2に示すごとく,各
ポリマーの主鎖が直鎖状に連なっている。線状ポリマー
は,線状ポリスチレンよりなる。この線状ポリスチレン
の重量平均分子量(Mw)は14000であり,その数
平均分子量(Mn)が4800であって,その分散度
(Mw/Mn)は3.0である。
【0041】細孔3は,基材2の表面に,約2.2μm
周期にハニカム状に規則配列しており,その平均直径は
約1.5μmである。上記ハニカム状多孔質体であるポ
リマー薄膜の表面の光学顕微鏡写真を,図3に示す。同
図において,六角形状の黒い部分が細孔3である。
【0042】次に,上記ハニカム状多孔質体の製造方法
について説明する。まず,上記線状ポリスチレンを,溶
媒としてのジクロロメタン(比重1.32)の中に溶解
して,ポリマー溶液を調製する。線状ポリスチレンの濃
度は,0.05g/ccである。
【0043】次に,図4に示すごとく,デシケータ91
の中に載置台92を設置し,その上に平皿93を固定す
る。尚,デシケータ91の内部の大きさは,幅200m
m×奥行き150mm×高さ170mmである。平皿9
3の中央部に基台94を固定し,その上にスライドガラ
ス95を載置する。また,平皿93内には,その基台9
4の周囲に,デシケータ内を飽和水蒸気圧に保持するた
めの蒸留水96を入れる。デシケータ91の上部には,
ゴム栓97をはめ込む。そして,デシケータ91内を密
閉して,その中の雰囲気を,温度21℃,湿度100%
RHに保持する。
【0044】次に,上記ポリマー溶液を注射器に入れ
て,注射器の針をゴム栓97に差し込み,上記のデシケ
ータ91内のスライドガラス95の上に,0.04ml
のポリマー溶液20を滴下し,これを放置する。これに
より,図5に示すごとく,ハニカム状多孔質体が形成さ
れる。
【0045】即ち,ポリマー溶液を放置すると,溶媒が
蒸発する。そして,その気化熱によりポリマー溶液が冷
却される。すると,図5(a)に示すごとく,デシケー
タ91内における雰囲気中の水蒸気230が結露して,
ポリマー溶液20の表面から内部に水滴23となってそ
の一部が入り込む。
【0046】溶媒の蒸発初期には,ポリマー溶液20の
線状ポリマー21の濃度が低くその粘度が低い。この場
合には,図5(b)に示すごとく,水滴23は,ポリマ
ー溶液20の表面を移動でき,球状に成長しながら細密
に凝集する。
【0047】更に,溶媒22の蒸発が進むと,ポリマー
溶液20の線状ポリマー21の濃度が高くなり,その粘
度も高くなる。そして,溶媒の蒸発後期において,ポリ
マー溶液20の粘度がある臨界点以上になると,図5
(c)に示すごとく,もはや水滴23は成長も移動もす
ることができなくなった状態の基材2が得られる。
【0048】その後,上記基材2の内部に一部が入り込
んだ水滴23が蒸発する。これにより,上記基材2の水
滴の存在していた部分に,細孔3が形成される。そし
て,図5(d)に示すごとく,基材2の表面に多数の細
孔3を有する,上記の多孔質構造のハニカム状多孔質体
が形成される。
【0049】従って,上記の製造方法によれば,従来ゲ
ル化しにくい,あるいはゲル化しないと考えられていた
線状ポリマーを用いてハニカム状多孔質体を得ることが
できる。また,線状ポリマーは製造容易で安価であるた
め,ハニカム状多孔質体の製造コストの低減化を図るこ
とができる。
【0050】実施例2 本例のハニカム状多孔質体は,線状ポリマーの射出成形
基板からなる基材と,該基材の表面部に形成した多数の
細孔とよりなる。線状ポリマーは,線状ポリスチレンで
ある。この線状ポリスチレンは,その重量平均分子量
(Mw)は270000であり,その数平均分子量(M
n)は108000であって,分散度(Mw/Mn)は
2.5である。
【0051】細孔は,基材の表面部に,約5.2μm周
期にハニカム状に規則配列しており,その平均直径は約
3.3μmである。上記ハニカム状多孔質体である射出
成形基板上に形成された微細なパターンを表す光学顕微
鏡写真を,図6に示す。また,シリカビーズ(平均直径
5μm)を載せた上記射出成形基板上に形成された微細
なパターンを表す光学顕微鏡写真を,図7に示す。図7
において,白くぼやけて見える球の部分がシリカビーズ
である。同図より,シリカビーズが細孔の上に規則的に
配置していることがわかる。
【0052】次に,上記ハニカム状多孔質体の製造方法
について説明する。まず,上記射出成形板からなる基材
を準備する。次に,大気雰囲気(温度22℃,湿度60
%RH)において,上記基材の表面に,溶媒としてのジ
クロロメタンをスポイトを用いて約0.1ml滴下す
る。続いて,大気中において,ドラフトにより,基材表
面を3分間乾燥させる。これにより,上記ハニカム状多
孔質体が得られる。
【0053】本例においては,線状ポリマーからなる基
材の表面に溶媒を供給して,ポリマー溶液部を形成さ
せ,それを乾燥させている。この乾燥の際には,実施例
1と同様に溶媒の蒸発による溶液部の冷却,大気中の水
蒸気による水滴の生成,溶液部の粘度増加,及び水滴の
蒸発といった現象が起こる。そのため,上記実施例1と
同様に,多数の細孔を有するハニカム状多孔質体を得る
ことができる。また,安価な線状ポリマーからなる基材
を用いているため,製造コストの低減化を図ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のハニカム状多孔質体の斜視図。
【図2】実施例1の,線状ポリマーの説明図。
【図3】実施例1の,光学顕微鏡により撮影された,ハ
ニカム状多孔質体である薄膜の図面代用写真。
【図4】実施例1のハニカム状多孔質体の製造方法を示
す説明図。
【図5】実施例1のハニカム状多孔質体の製造方法を示
す,基材の表面部の説明図。
【図6】実施例2の,光学顕微鏡により撮影された,ハ
ニカム状多孔質体である射出成形基板上に形成された微
細なパターンを示す図面代用写真。
【図7】実施例2の,光学顕微鏡により撮影された,シ
リカビーズを載置した,射出成形基板上に形成されたハ
ニカム状多孔質体の微細なパターンを示す図面代用写
真。
【図8】従来例の,ハニカム状多孔質体の細孔を示す説
明図。
【図9】従来例の,星型ポリマーの説明図。
【符号の説明】
1...ハニカム状多孔質体, 2...基材, 20...ポリマー溶液, 21...線状ポリマー, 22...溶媒, 23...水滴, 3...細孔,

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線状ポリマーを溶媒に溶解してポリマー
    溶液を調製し,次に,該ポリマー溶液を冷却して,雰囲
    気中の蒸気を結露させることによりその液滴の一部を上
    記ポリマー溶液の表面から内部に入り込ませ,次に,上
    記溶媒を蒸発させ,その後,上記結露した液滴を除去す
    ることを特徴とするハニカム状多孔質体の製造方法。
  2. 【請求項2】 線状ポリマーからなる基材の表面に上記
    線状ポリマーを溶解させる溶媒を供給して上記線状ポリ
    マーを溶解させ,次に,該線状ポリマーの溶液部を冷却
    して,雰囲気中の蒸気を結露させることによりその液滴
    の一部を上記線状ポリマーの溶液部の表面から内部に入
    り込ませ,次に,上記溶媒を蒸発させ,その後,上記結
    露した液滴を除去することを特徴とするハニカム状多孔
    質体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記線状ポリ
    マーは,線状ポリスチレンであることを特徴とするハニ
    カム状多孔質体の製造方法。
  4. 【請求項4】 線状ポリマーからなる基材と,該基材の
    表面に形成した多数の細孔とからなり,該細孔は,ハニ
    カム状に規則配列しており,その直径は0.2〜10μ
    mであることを特徴とするハニカム状多孔質体。
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