JPH0830728B2 - 耐圧検査方法及び装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、芯線導体を絶縁被覆したワークの耐圧検査
方法及びこの方法に用いる耐圧検査装置に関する。

〔従来の技術〕

導体を絶縁被覆してなるワークの通常の高耐圧検査に
ついて第２図乃至第４図を参照して示す。図において
（１）は、芯線導体（２）を樹脂等の絶縁部材（３）に
て絶縁被覆してなるワーク、（４）は検査に際しワーク
（１）を囲む接地導体、（５）は正負極（5a）（5b）と
浮遊極（5c）の三極針とからなり、正負極（5a）（5b）
の芯線導体（２）と接地導体（４）に接続した放電電
極、（６）は高圧発生回路（6a）と発振回路（6b）とか
らなる高圧パルス発生部、（Ｒ）は接地導体（４）とア
ース間に挿入した洩れ電流検出用抵抗、（７）は抵抗
（Ｒ）の電圧を検知する電圧計である。

上記ワーク（１）として、例えば第４図に示すよう
に、自動車用点火プラグ（８）に接続する高圧ケーブル
（９）の場合、その樹脂被覆（10）に継ぎ目やピンホー
ルがあり、洩れ電流が生じ易い接続部（10a）（10b）を
中心に高耐圧検査する。そこで、高圧ケーブルのプラグ
側端末（８′）を接続側受治具（11c）に設置すると共
に、接続部（10a）より導出している導体（12）を樹脂
（13）等で確実に絶縁処理した後、接続部（10a）（10
b）を接地側受治具（11a）（11b）に設置し、かつ，接
続部（10a）（10b）を接地導体（４）としての金属製数
珠玉（4a）（4b）にて囲んで接地する。

上記構成において芯線導体（２）及び放電電極の正極
（5a）に、第２図に示すように、高圧パルスを印加す
る。そうすると、ワーク（１）に洩れ電流がない場合、
電極（５）の間隙においてパルス状放電光が持続して発
生する一方、ワーク（１）に洩れ電流があると、電極
（５）側の放電がなく、抵抗（Ｒ）に電流が流れる。そ
して、電圧計（７）の電圧を判定し、ワーク（１）の耐
圧不良が判定される。尚、電圧計（７）に代えてネオン
ランプ等を用いてもよい。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで、上述した高耐圧検査装置によれば、ワーク
（１）における洩れ電流を抵抗（Ｒ）やネオンランプ等
で検出しているが、電気的検出手段であるため、電気的
ノイズの影響を受ける。ノイズが著しく大きくなると、
検出系と判定系の間でインピーダンスを高くとる必要が
あり、従って判定系はノイズ的に困難な回路となり、回
路的に不安定になるという不具合があった。

例えば、ワーク（１）が耐圧良好で、放電電極（５）
にて放電が発生しているにも拘らず、ワーク（１）側で
湿気等による洩れ電流を検出して誤判定することがあ
る。又、検出してから判定するまでの応答が遅くなった
り、検出感度が低下したりして同様に誤判断を招き易か
った。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、芯線導体を絶縁被覆したワークの絶縁部材
を接地導体で囲むと共に、芯線導体及び接地導体に一対
の放電電極を接続し、芯線導体に高圧パルスを印加して
これら放電電極間隙に発生する放電光の有無を検知し、
ワークの耐圧良、不良を判定することを特徴とした方法
であり、その装置は、ワークの芯線導体、及びワークの
絶縁部材を囲む接地導体とに接続した一対の放電電極
と、この放電電極に高圧パルスを印加する高圧パルス発
生部と、放電電極間隙に発生するパルス状放電光を検知
する受光部及びこの受光部出力より高圧パルスに同期し
た放電光の有無を検出してワークの耐圧良、不良を識別
する判定部とを具備したことを特徴とするものである。

〔作用〕

上記技術的手段によれば、放電電極の間隙に発生する
パルス状放電光を直接検知し、そのパルス光の有無を検
出してワーク側の洩れ電流の発生を検出し、絶縁耐圧の
良否を判定する。

〔実施例〕

本発明に係る耐圧検査方法及び装置の実施例を第１図
に示す装置を参照して方法と共に以下に説明する。な
お、第２図と同一部分には同一参照符号を附してその説
明を省略する。異なる点は、抵抗（Ｒ）や電圧計（７）
等を有する電気的洩れ電流検出系に代えて放電電極（1
5）、受光部（16）及び判定部（17）を有する光学的洩
れ電流検出系を設けたことである。ここで受光部（16）
は、放電電極（15）の間隙付近より導出した光ファイバ
（16a）と、光ファイバ（16a）の出力に接続され、受光
によって逆電圧を発生する高速性フォトダイオード（16
b）とを具備する。判定部（17）は、フォトダイオード
（16b）の出力に接続され、電極（15）に印加する高圧
パルスと電極（15）におけるパルス状放電光とを同期比
較するOSC同期比較回路（17a）と、OSC同期比較回路（1
7a）の出力に接続され、上記高圧パルスに同期したパル
ス状放電光の有無を検出してワーク（１）における洩れ
電流の発生有無を検出し、ワーク（１）の耐圧良、不良
を判定する判定部（17b）とを具備する。

上記構成に基づき本発明の方法及び装置の動作を次に
説明する。本発明に係る検査方法は、まずワーク（１）
の芯線導体（２）及び電極（15）の正極（15a）に高圧
パルスを印加する。そうすると、ワーク（１）の樹脂等
の絶縁部材（３）に洩れ電流がなければ、電極（15）の
間隙においてパルス状放電光が高圧パルスに同期して持
続的に発生する一方、上記洩れ電流が生じると、ワーク
（１）側に多くの電流が流れて電極（15）の間隙におい
てパルス状放電光が消える。そこで、上記電極間隙に発
生するパルス状放電光の有無を高圧パルスに同期して検
知し、洩れ電流の発生有無を検出してワーク（１）の耐
圧良否を判定する。

上記検査方法を具体的に実施する際、まず高圧パルス
発生部（６）にて50〜100Hz、25KV位の高圧パルスを印
加して電極（15）の間隙にパルス状放電光を発生させ
る。そして、放電光のパルス光（ａ）のみを光ファイバ
（16a）にて受光し、フォトダイオード（16b）にて電気
的変換したパルス波（ｂ）を受光部（16）から出力す
る。そこで、判定部（17）において上記高圧パルスに同
期して上記パルス波（ｂ）を検出し、ワーク（１）にお
いて洩れ電流がなければ、パルス波（ｂ）が持続的に発
生するため、ワーク（１）の耐圧良と判定する。一方、
洩れ電流があれば、その瞬間、ワーク（１）側に多くの
電流が流れてパルス波（ｂ）が消えるため、一周期でも
パルス波（ｂ）が欠けると、ワーク（１）の耐圧不良と
判定でき、高い判定精度を有する。上記判定精度として
は実用上、パルス波（ｂ）が２個以上、続いて欠けた場
合、耐圧不良とすればよい。又、受光部（16）は高速の
フォトダイオード（16b）が好適であるが、応答の早い
他の受光素子を用いてもよい。

〔発明の効果〕

本発明によれば、導体を絶縁被覆してなる高圧ケーブ
ル等の耐圧を検査する際、放電電極に発生する放電光を
直接検知し、その発生有無より洩れ電流を検出して耐圧
良、不良を判定するようにしたから、検出系が電気的に
独立した光学系となって電気的ノイズが加わらなくな
り、判定精度の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る耐圧検査装置の実施例を示すワー
クの側断面図と装置ブロック図、第２図は従来の耐圧検
査装置の具体例を示すワークの側断面と装置ブロック
図、第３図はワークの平面図、第４図は自動車用点火プ
ラグの高圧ケーブルの検査に係る構成を示す要部側面図
である。 （１）……ワーク、（２）……導体、 （３）……絶縁部材、（４）……接地導体、 （６）……高圧パルス発生部、 （15）……放電電極、（16）……受光部、 （17）……判定部。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】芯線導体を絶縁被覆したワークの絶縁部材
   を接地導体で囲むと共に、前記両導体間に各導体に対応
   する放電電極を接続し、上記芯線導体から高圧パルスを
   印加して上記放電電極の間隙に生ずる放電光を検知し、
   上記ワークの絶縁部材耐圧を判定することを特徴とする
   耐圧検査方法。
2. 【請求項２】絶縁被覆したワークの芯線導体とこのワー
   クの絶縁部材を囲む接地導体間に接続した一対の放電電
   極と、この放電電極に高圧パルスを印加する高圧パルス
   発生部と、上記放電電極間に発生するパルス状放電光を
   検知する受光部と、上記受光部の出力より高圧パルスに
   同期した放電光の有無を検出して上記ワークの絶縁耐圧
   良否を識別する判定部とを具備したことを特徴とするワ
   ークの耐圧検査装置。