JPH08299349A - 内視鏡用処置具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は弾性ワイヤからなるバスケット部の有
効捕捉空間を、より前方に形成することにより、そのバ
スケット部をシースに引き込み始めても、そのバスケッ
ト部の形状が急激に小さくならず、また、捕捉空間を先
端側寄りに形成することができて狭い空間でも結石等の
捕捉が確実に行なえる内視鏡用処置具を提供することを
目的とする。 【構成】シース２内に進退自在に挿通したワイヤの先端
に設けられ、複数の屈曲点５ａ〜５ｅを有する弾性ワイ
ヤ３を用いて拡開及び収縮自在な構成としたバスケット
部６を有する内視鏡用処置具において、前記複数の屈曲
点は３つ以上の外向きの屈曲点を含み、かつ前記外向き
の屈曲点の少なくとも半数が、前記バスケット部６の軸
方向中央の位置より前方に位置して配置してある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば、体腔内に挿入
して異物を把持するバスケット鉗子や、体腔内のポリー
プの切除を行う高周波スネア等の内視鏡用処置具に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】胆道や膀胱などの体腔内に発生した結石
等の異物を把持するためのバスケット鉗子が知られてい
る。一般的なバスケット鉗子は実公昭６１−９６０１号
公報において示されているように、屈曲点を設けた複数
本の弾性ワイヤにより弾性的に広がるバスケット部を構
成している。また、実公平５−４６４２６号公報にはバ
スケット部の弾性ワイヤが全体として略八角形の形状と
したものが提案されており、実公平６−９１号公報のも
のでは弾性ワイヤにおける外方向への屈曲点の数を内方
向への屈曲点の数より多くしたものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実公昭
６１−９６０１号公報や実公平５−４６４２６号公報に
おいて示されるバスケットの形状ではその結石を取り入
れるべき捕捉空間の最大開き幅の位置が、そのバスケッ
ト部の中央寄りに位置している。これを用いて結石を補
足する場合、弾性的に拡開したバスケット部に結石を取
り込んでからこれをシースに引き込み始めると、すぐに
バスケット部の広がりが小さくなってしまっていた。こ
のため、バスケット部の弾性ワイヤを引き込む過程で、
その弾性ワイヤの動きに乱れが生じて不安定になり易
く、捕捉作業が面倒であった。また、拡開したバスケッ
ト部の形状において、その前方の部分が比較的狭くつぼ
まる形状になっているため、結石を取り込めない無駄な
空間が先端側部分に比較的大きく形成される結果、特に
狭い体腔内での結石の捕捉が困難になるものであった。

【０００４】さらに、実公平６−９１号公報に示されて
いる、外方向への屈曲点を内方向の屈曲点より多く設け
たものでは捕捉空間が、より後方になってしまい、前述
したものと同様の不具合があった。

【０００５】本発明は前記課題に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、弾性ワイヤからなる処置
部の有効捕捉空間を、より前方に大きく形成することに
より、その処置部をシースに引き込み始めても、その処
置部の形状が急激に小さくならず、また、捕捉空間を先
端側寄りに大きく形成することにより狭い空間でも結石
等の捕捉が確実に行なえる内視鏡用処置具を提供するこ
とである。

【０００６】

【課題を解決する手段および作用】本発明は、シース内
に進退自在に挿通した操作用ワイヤの先端に設けられ、
複数の屈曲点を有する弾性ワイヤを用いて拡開及び収縮
自在な構成とした処置部を有する内視鏡用処置具におい
て、前記弾性ワイヤにおける複数の屈曲点は３つ以上の
外向きの屈曲点を含み、かつ前記外向きの屈曲点の少な
くとも半数が、前記処置部の軸方向中央の位置より前方
に位置して配置したことを特徴とするものである。この
ような構成によれば、処置部の捕捉空間をより前方にで
き、シースへ引き込み始めても処置部がすぐに小さくな
らず、スムーズな収縮が行われる。また、狭い空間でも
確実に捕捉物を捕らえることが可能である。

【０００７】

【実施例】

＜第１の実施例＞ （構成）図１を参照して、本発明の第１の実施例に係る
結石把持用バスケット鉗子を説明する。この実施例にお
ける結石把持用バスケット鉗子１はチューブからなる可
撓性のシース２内に挿通された複数の弾性ワイヤ３の先
端が先端チップ４によって結束されている。シース２内
に挿通された部分の弾性ワイヤ３によって進退自在な操
作用ワイヤを構成している。なお、別の操作ワイヤの先
端に複数の弾性ワイヤ３の各基端を連結して構成しても
よい。各弾性ワイヤ３の先端付近には先端チップ４から
基端に向かって、それぞれある間隔をおいて複数の屈曲
点５ａ〜５ｅが設けられている。これらの複数の弾性ワ
イヤ３は弾性的に開くバスケット部（処置部）６を構成
している。このバスケット部６は前記シース２の基端側
に設けられた手元操作部（図示せず）による操作で各弾
性ワイヤ３をシース２に対して進退することによりシー
ス２の先端から突没させられるようになっている。バス
ケット部６がシース２の先端から突き出すことによりそ
のバスケット部６は弾性的に開き、また、シース２に引
き込むことによりそれに応じてバスケット部６は収縮す
る。

【０００８】各弾性ワイヤ３の先端付近に形成される複
数の屈曲点５ａ〜５ｅは屈曲頂点が内向きに形成された
内向きの２つの屈曲点５ａ，５ｅと、屈曲頂点が外向き
に形成された外向きの３つの屈曲点５ｂ〜５ｄとから成
る。そして、シース２の先端から突き出すことによりそ
のバスケット部６は図１で示すように各弾性ワイヤ３自
身の弾性によって最大に広がり、このようなバスケット
部６は軸方向長さＬを有する。バスケット部６の中央線
７より前方に位置して外向きの３つの屈曲点５ｂ〜５ｄ
うち２つの屈曲点５ｂ，５ｃがある。つまり、外向きの
屈曲点が３つ以上有し、その半数以上が、バスケット部
６の軸方向長さＬの１／２の位置より前方に位置する構
成としてある。 （作用）この結石把持用バスケット鉗子１を使用するに
あたっては、これのシース２を内視鏡のチャンネルを介
して体腔内、例えば胆管内に挿入する。手元操作部にお
いての操作により操作ワイヤを介し、あるいは弾性ワイ
ヤ３を直接に押し進め、バスケット部６をシース２から
大きく突き出すと、そのバスケット部６は図１で示すよ
うに大きくかご状に脹らむ。そして、この脹らみの中に
結石を包み込むことによりその結石を回収する。 （効果）ここで、バスケット部６を構成する各弾性ワイ
ヤ３には外方向へ屈曲した３つの屈曲点５ｂ〜５ｄを設
け、そのうちの２つの屈曲点５ｂ，５ｃをバスケット部
６の中央線７の位置より前方に配置したので、かご状に
脹らんだバスケット部６の形状が丸みを帯び、有効な捕
捉部分が、より前方に位置することになる。このため、
その捕捉空間が先端側寄り位置して形成され、狭い空間
でも結石等の捕捉が容易に行なえる。

【０００９】また、弾性ワイヤ３からなる処置用バスケ
ット部６の有効捕捉空間を、より前方に位置して形成す
ることになり、その処置部の部分をシース２に引き込み
始めても、その処置部の形状が急激に小さくならない。
つまり、処置用バスケット部６がシース２に引き込み始
めてもすぐには膨脹したかご状の形状が小さくならず、
弾性ワイヤ３の動きが乱れることがなく、安定した収縮
作用が期待できるため、その結石等の捕捉作業が容易か
つ確実に行うことができるようになる。 ＜第２の実施例＞ （構成）図２を参照して、本発明の第２の実施例に係る
結石破砕用バスケット鉗子８を説明する。この実施例の
結石破砕用バスケット鉗子８は金属製の密巻きコイルか
ら成る可撓性のシース９内に挿通された操作ワイヤの先
端に結束部材１０を介してバスケット部６が設けられて
いる。このバスケット部６は複数の弾性ワイヤ３の基端
を前記結束部材１０によって束ねると共に操作ワイヤの
先端に接続し、弾性ワイヤ３の先端は先端チップ４によ
って束ねたものである。シース９の先端には複数の破砕
歯を形成した筒状の先端チップ部材２０が取り付けられ
ている。

【００１０】そして、この実施例においては先端チップ
４から結束部材１０に向かって第１〜第６の屈曲点５ａ
〜５ｆが設けられている。この６つのの屈曲点５ａ〜５
ｆの中で、第１の屈曲点５ａと第５の屈曲点５ｅは内向
きの屈曲点とし、第２〜４の屈曲点５ｂ〜５ｄと第６の
屈曲点５ｆは外向きの屈曲点となっている。そして、４
つの外向きの屈曲点のうち、２つの屈曲点５ｂ，５ｃは
処置用バスケット部６の中央線７の位置より前方に位置
している。 （作用）この結石破砕用バスケット鉗子８を使用するに
あたっては前述した第１の実施例の場合と同様、そのシ
ース９を体腔内に挿入し、シース９の先端からバスケッ
ト部６を突き出して膨脹させる。そして、この膨らんだ
バスケット部６内に結石を取り込んだ後、操作ワイヤを
牽引してバスケット部６をシース９内に引き込み、結石
を締め付け、また、先端チップ部材２０の破砕歯に押し
付けながら結石を締め付けて破砕する。これによっても
前述した第１の実施例と同じような効果が得られる。 ＜第３の実施例＞図３を参照して、本発明の第３の実施
例に係る結石把持用バスケット鉗子を説明するが、この
実施例は第１の実施例で示した結石把持用バスケット鉗
子１を以下の点で変形したものであり、それ以外は第１
の実施例と同じである。すなわち、３つの外向きの屈曲
点５ｂ〜５ｄが全て中央線７の位置より前方に位置して
いる。またバスケット部６の基端を結束部材１０で束ね
られている。この実施例の作用効果は第１の実施例の場
合と同じである。 ＜第４の実施例＞ （構成）図４を参照して、本発明の第４の実施例に係る
高周波スネアを説明する。この高周波スネア１１は電気
絶縁性を有する可撓性シース１２内に挿通された操作ワ
イヤ１３の先端にループ１４を形成している。ループ１
４は弾性を有した１本の導電性ワイヤを途中で折り返
し、その折返し点を先端として形成されている。ループ
１４の両側ワイヤ部分にはそれぞれ複数の屈曲点１５ａ
〜１５ｄを有している。屈曲点１５ａ〜１５ｄは１つの
内向きの屈曲点１５ａと、３つの外向きの屈曲点１５ｂ
〜１５ｄとから成り、ループ１４の軸方向長さＬの範囲
内で、中央線１６より前方に位置する部分に３つの全て
の外向きの屈曲点１５ｂ〜１５ｄがある。もちろん、１
つの内向きの屈曲点１５ａはループ１４の軸方向長さＬ
の範囲内で中央線１６より前方の最先端に位置して設け
られている。 （作用）この高周波スネア１１を使用するにあたっては
前述した実施例の場合と同様、内視鏡を介して体腔内に
挿入され、ポリープ等の病変部位近くにシース１２の先
端を誘導した後、操作ワイヤ１３を押し出してループ１
４を突き出して広げる。そして、ループ１４をポリープ
に掛け、操作ワイヤ１３を牽引してポリープを緊縛し、
高周波電流を通電することにより高周波電流によってポ
リープを切除する。

【００１１】第１の実施例等と同様、ループ１４の形状
が丸みを帯び、有効な捕捉部分の空間が、より前方に位
置することになり、また、シース１２に引き込み始めて
も、すぐにはループ１４が小さくならず、狭い部位でも
確実にポリープを捕捉して処置することができる。 ＜第５の実施例＞図５を参照して、本発明の第５の実施
例に係る高周波スネアを説明する。この高周波スネア１
１は前記第４の実施例の高周波スネア１１の変形例であ
る。すなわち、この実施例では３つの外向きの屈曲点１
５ｂ〜１５ｄのうち、２つ屈曲点１５ｂ，１５ｃが中央
線１６の位置より前方に位置する。残る外向きの屈曲点
１５ｄは中央線１６の位置より後方に位置しているとい
う点で、前記第４の実施例のものと相違する。この実施
例の作用効果は第４の実施例の場合と同じである。 ＜第６の実施例＞図６を参照して、本発明の第６の実施
例に係る高周波スネアを説明する。この高周波スネア１
１は前記第４，５の実施例の高周波スネア１１の変形例
である。すなわち、この実施例では５つの屈曲点１５ａ
〜１５ｅを有し、３つが外向きの屈曲点１５ｂ〜１５ｄ
であり、そのうちの２つ屈曲点１５ｂ，１５ｃが中央線
１６の位置より前方に位置して設けられている。この実
施例の作用効果も第４，５の実施例の場合と同じであ
る。

【００１２】なお、本発明は前述した実施例のものに限
定されるものではなく、その要旨の範囲内で他の種々の
変形例を考えられるものである。 ［付記］ (1)シース内に進退自在に挿通した操作用ワイヤの先端
に設けられ、複数の屈曲点を有する弾性ワイヤを用いて
拡開及び収縮自在な構成とした処置部を有する内視鏡用
処置具において、前記複数の屈曲点は３つ以上の外向き
の屈曲点を含み、かつ前記外向きの屈曲点の少なくとも
半数が、前記処置部の軸方向中央の位置より前方に位置
して配置してあることを特徴とする内視鏡用処置具。 (2)前記内視鏡用処置具はバスケット型把持鉗子である
ことを特徴とする付記第１項に記載の内視鏡用処置具。 (3)前記内視鏡用処置具は高周波スネアであることを特
徴とする付記第１項に記載の内視鏡用処置具。 (4)前記内方向への屈曲点の全数が、処置部の軸方向中
央位置より前方にあることを特徴とする付記第２項及び
第３項に記載の内視鏡用処置具。

【００１３】［付記各項の目的・効果・従来技術］ （目的）第２項のものは結石や異物を確実に捕捉するこ
とを目的とする。第３項のものはポリープ等の組織を確
実に捕捉することを目的とする。第４項のものはより捕
捉部分を前方に位置させることを目的とする。 （効果）第２項ではバスケットが、第３項ではスネアル
ープが、少しの引き込みでは小さくならず、また、より
前方に有効な捕捉部分が位置するので、狭い部位でも確
実に対象物を捕捉できる。第４項は有効な捕捉部分をさ
らに前方に位置させることにより、より確実な捕捉を達
成する。 （従来技術）本発明の従来技術と同じである。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように本発明の内視鏡用処
置具は、その処置部を構成する弾性ワイヤ部に、３つ以
上の外向きの屈曲点を含む複数の屈曲点を設けると共
に、前記外向きの屈曲点の少なくとも半数を、前記処置
部の中央位置より前方に位置して設けたので、有効な捕
捉部分をより前方に位置させて形成することができ、少
量の引き込みでも捕捉部分が小さくならず、また、狭い
空間でも確実に異物やポリープ等の捕捉を行うことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例に係る結石把持用バスケ
ット鉗子の処置部の説明図。

【図２】本発明の第２の実施例に係る結石把持用バスケ
ット鉗子の処置部の説明図。

【図３】本発明の第３の実施例に係る結石把持用バスケ
ット鉗子の処置部の説明図。

【図４】本発明の第４の実施例に係る高周波スネアの処
置部の説明図。

【図５】本発明の第５の実施例に係る高周波スネアの処
置部の説明図。

【図６】本発明の第６の実施例に係る高周波スネアの処
置部の説明図。

【符号の説明】

１…結石把持用バスケット鉗子、２…シース、３…弾性
ワイヤ、４…先端チップ、５ａ〜５ｅ…屈曲点、６…バ
スケット部、Ｌ…軸方向長さ、１１…高周波スネア、１
２…シース、１３…操作ワイヤ、１４…ループ、１５ａ
〜１５ｄ…屈曲点、１６…中央線。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シース内に進退自在に挿通した操作用ワイ
   ヤの先端に設けられ、複数の屈曲点を有する弾性ワイヤ
   を用いて拡開及び収縮自在な構成とした処置部を有する
   内視鏡用処置具において、 前記弾性ワイヤにおける複数の屈曲点は３つ以上の外向
   きの屈曲点を含み、かつ前記外向きの屈曲点の少なくと
   も半数が、前記処置部の軸方向中央の位置より前方に位
   置して配置したことを特徴とする内視鏡用処置具。