JPH08298247A - イオン注入方法およびその装置 - Google Patents

イオン注入方法およびその装置

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JPH08298247A JP7101924A JP10192495A JPH08298247A JP H08298247 A JPH08298247 A JP H08298247A JP 7101924 A JP7101924 A JP 7101924A JP 10192495 A JP10192495 A JP 10192495A JP H08298247 A JPH08298247 A JP H08298247A
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勝広 黒田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 【構成】イオン源から放出したイオンを所望のイオン注
入領域と略相似形の開口を有するマスクに通過させてパ
ターンイオンビームを形成し、このイオンビームをレジ
ストが塗布されてないウェハの所望の領域に投射して、
イオンを導入するイオン注入方法。 【効果】本発明によるイオン注入方法により、イオン注
入工程前後のレジスト工程が不要となり、半導体装置の
製造工程数が削減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイオン注入方法およびそ
の装置に関し、特に、半導体装置製造プロセスのイオン
注入においてホトレジストを用いないイオン注入方法と
それを実現する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】以下、従来のイオン注入方法について、
特にCMOS・LSIの製造プロセスにおけるウェル領
域形成としきい電圧制御の各工程を例に説明する。
【0003】現行のウェル領域形成は、以下のような手
順で行なう。図19を用いて説明する。(a)p型シリ
コン基板51を全面酸化させ、シリコン酸化膜52を被
着した後にシリコン窒化膜53を全面デポジションす
る。次に、ホトレジスト54を全面に塗布し、n型ウェ
ル領域に対応するパターンを縮小露光装置で感光させ
る。現像を行なった後、ドライエッチングを行なうこと
により、露光部のレジスト54と直下の窒化膜53を除
去し、n型ウェル用のパターンが開けられる。このパタ
ーニングした開口領域を用いてリンイオン55をシリコ
ン基板51中に注入し、高濃度n型不純物領域56を形
成する。(b)レジストをアッシング除去後、ウェット
酸化条件下でシリコン基板51を酸化して、厚膜のシリ
コン酸化膜58を形成するとともに、n型ウェル領域5
7を形成する。(c)シリコン窒化膜53を除去し、厚
膜のシリコン酸化膜58をマスクとしてフッ化ボロンイ
オン59を注入し、高濃度p型不純物領域60を形成す
る。(d)窒素雰囲気中でアニールし、p型ウェル領域
61を形成し、シリコン酸化膜52,58を除去する。
このように、従来のウェル形成方法では、レジスト塗
布、露光、現像、除去といった一連のホトレジスト工程
が必要であった。
【0004】しきい電圧制御のためのチャネルドープに
ついても、上記例と同様にホト工程が必要であった。図
20を用いて説明する。
【0005】(a)厚膜の酸化膜58部を持つ酸化膜5
1で被覆されたシリコン基板51にホトレジスト工程
(レジスト塗布、露光、現像)を施し、p型ウェル領域
61のレジストのみ除去し、レジスト62をマスクにフ
ッ化ボロンイオン59を所定のドーズ量だけ注入する。
これにより、チャネル領域となるシリコン基板表面はp
型不純物領域63が形成され、トランジスタのしきい電
圧が制御される。(b)イオン注入後、レジスト62を
除去し、再度ホトレジスト工程により、n型ウェル領域
のレジストのみ除去し、レジスト65をマスクにしてヒ
素イオン66の注入を行ない、P型トランジシスタのチ
ャネル領域となるn型不純物67が形成され、p型トラ
ンジスタのしきい電圧が制御できる。残ったレジスト6
5を除去することで、チャネルドープは完了する。この
ように、チャネルドープについては2回のホト工程が必
要であった。
【0006】上述の如き従来のイオン注入には、図21
のようなイオン注入装置を用いている。イオン注入装置
70は概ねドーパントイオンを発生するイオン源71、
放出イオン72を質量分離し、ドーパントイオン76と
不要イオン77、77’に選別する質量分離器73、ド
ーパントイオン76を通過させるアパチャ74、イオン
ビーム76を平行ビーム化させるレンズ78、ドーパン
トイオンビーム76を試料上で走査させる偏向器79、
ウエハ80を保持するステージ81などから構成され
る。ウエハ80の表面にホトレジスト82が塗布してあ
る。この時、イオンビームをウエハ面に均一に入射させ
るためにウエハ自体も面内に揺動させる方式もある。イ
オン源71にはドーパントを含むガスをプラズマにして
イオンを引出すマイクロ波イオン源などが用いられる。
【0007】イオン注入装置の従来例は、文献『イオン
・インプランテイション・テクニックス』(スプリンガー
・シリーズ・イン・エレクトロフィジックス10、ライセ
ル、グラウイッシュニグ編、1982年)の第3頁から
21頁にかけてハンス・グラウイッシュニグが記載して
いる『イオン・インプランテイション・システム・コンセ
プツ』と題する論文で知ることができる。
【0008】("Ion Implantation System Concepts"(Ha
ns Glawischnig)("Ion ImplantationTechniques, (Spri
nger Series in Electrophysics 10)" eds.H.Ryssel an
dH.Glawischnig, (1982) p.3-p.21.)(公知例1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】半導体デバイスの高性
能化に伴い、デバイスの加工寸法は縮小化、構造は複雑
化し、それを実現するためのプロセスも複雑化し、その
工程数は増大している。半導体デバイスのメーカにとっ
ては、デバイス製造の原価低減が直接収益に影響するた
め、複雑化しているプロセスを簡略し、製造コストを削
減することが最大の課題となっている。特に、半導体基
板に不純物を導入するイオン注入工程には、イオン注入
の前後に上述のようなホトレジスト工程を必要とする。
しかも、このイオン注入工程が半導体装置完成までの全
工程中に複数回必要であれば、その都度このような付随
する工程を行なわなければならない。これは、図21に
示すような従来のイオン注入装置で用いられるイオンビ
ームが直径数cmの太いビームであるため、上述のチャ
ネルドーピングやウェル形成、拡散層形成のような所望
の箇所に選択的にイオン注入するイオン注入工程では、
図22に示したように、シリコン基板85にホトレジス
ト86を塗布し、開口87を設けて、イオンビーム88
を照射しなければならない。この時、各開口に均一にイ
オンを導入するために、イオンビームと基板を相対的に
揺動させたりする。(図22ではイオンビームを走査し
ていることを示すために矢印を記した。)このレジスト
を設けるに伴ない、開口を開けるための露光や現像、イ
オン注入後のレジスト除去などの工程が必要となり、上
記の如き付随的な多数の複雑な工程が必要となる。ま
た、それらの工程のために、そのそれぞれの専用装置が
必要で、装置の費用、設置面積の確保、専用担当者の確
保など経済的負担となり、多くの工程を経ることによる
完成品歩留りの低下をもたらしていた。
【0010】また、従来のイオン注入によって作成され
た半導体装置に注目すると次のような問題点も有してい
る。従来工程によるウェル領域の形成方法においては、
図19(d)のように、p型ウェル領域61の表面より
もn型ウェル領域57の表面が低くなってしまう。これ
は、加工寸法の微細化が進むにつれ、図23に示すトラ
ンジスタゲート電極形成工程で問題となる。すなわち、
p型ウェル領域90中のn型MOSトランジスタのゲート
電極91とn型ウェル領域92中のp型MOSトランジス
タのゲート電極93のパターニングを同時に行うため、
各ゲート電極上に設けられたパターニング用のレジスト
表面に段差が生じる。この段差が約0.4μmになるた
め、例えば0.25μm以下の微細加工においては、レ
ジスト感光時の被写界深度が0.3μm程度であるの
で、像の鮮明な解像が困難になるという特有の問題を有
していた。
【0011】もし、レジストを用いずにイオン注入が実
現できれば、上記のレジスト塗布、露光、現像、レジス
ト除去などの工程は必要なくなり、半導体素子製造の工
程が大幅に削減できる。その結果、そのそれぞれの専用
装置が不要となり、装置設置面積の削減、多くの工程を
経ることによる歩留り低下の防止できるとともに、上述
のような半導体装置作成時に生じる問題も解決できるも
のと期待できる。
【0012】なお、レジストを用いずにイオン注入する
例には、集束イオンビーム(FIB)による方法があ
る。集束イオンビームは、図24に一例を示すように、
イオン源94、集束レンズ95や偏向器96、試料ステ
ージ99等から構成されるイオン光学系で、試料97に
到達するビーム直径を数10nm程度にまで集束させた
イオンビーム98である。集束イオンビーム98が非常
に細いため、あたかも一筆書きのように、1μm以下の
微小領域にでもレジストを用いずにイオン注入すること
ができる。例えば、エム・タムラらによる論文集ヌーク
リア・インスツルメント・アンド・メソッズ・イン・フィジ
クス・リサーチ、第B7/8巻、(1985年)第858頁から第86
3頁にかけての『フォーカスト・ボロン・イオン・ビーム・
インプランテーション・インテゥ・シリコン』と題する論
文がある。
【0013】(M.Tamura et al., Nuclear Instrument
and Methods in Physics Research,B7/8 (1985) 858-86
3, "Focused boron ion implantation into silicon")
(公知例2) また、レジストを用いずにイオン注入する別の方法とし
て、特開昭58−106822号に『不純物導入方法』
(公知例3)と題して開示されている。この方法は、図
25のように、所望の開口100を有する着脱可能なマ
スク101を、半導体基板102と所望の位置関係にな
るように僅かな空隙を保持して位置合わせをした後、イ
オンビームを照射し、上記マスク101の開口100を
介して上記半導体基板102にイオン注入を行なうもの
である。103はイオン注入領域である。この方法によ
り、従来行われていたウェハ表面にレジストを塗布し、
露光装置によってイオン注入領域を作成するといったレ
ジスト工程が不要となる。
【0014】しかしながら、このような他のイオン注入
技術にも次のような問題点を有していた。つまり、レジ
スト工程が不要なイオン注入を実現する公知例2の方法
では、ウェハ全体に渡ってイオン注入を行なおうとする
と、ビーム断面積が小さ過ぎることと、試料への到達イ
オン電流が小さいため、膨大な時間を要して現実的では
ない。また、公知例3の方法では、イオン注入領域とス
テンシルマスクの間に縮小光学系がないため、イオン注
入領域とステンシルマスクに設ける開口とは大きさが同
じにしなければならない。イオン注入領域の微細化に伴
い、ステンシルマスクに開口を設けること自体が困難と
なってくる。さらに、イオン注入領域の位置設定は、ス
テンシルマスクの設置位置によって決定されるため、ス
テンシルマスクの開口と試料の所望領域との位置合わせ
非常に難しくなってくる。このように、上記公知例3も
現実的ではなかった。
【0015】また、ステンシルマスクを用いたイオンビ
ーム装置の例として、基板表面に塗布したレジストを露
光するイオン投影型縮小露光装置がある。イオン投影型
縮小露光装置の詳細については、論文集『マイクロエレ
クトロニック・エンジニアリング』第17巻、(1992年)第2
29から240頁においてエイ・チャルプカらが『プログレス
・イン・イオン・プロジェクション・リソグラフィ』(A.Cha
lupka et al., "Progress in ion projection lithogra
phy",Microelectronic Engineering, 17 (1992) 229-24
0.)(公知例4)と題する論文に開示されている。この
方法はイオン露光によって、レジスト内での散乱が光や
電子よりも小さく、従来の光や電子ビームによる露光に
比べてシャープな像が露光できるという利点を持つ。し
かしながら、公知例4はウェハに塗布されたレジストへ
の露光装置であるため、依然としてレジスト工程を経な
ければならず、レジスト工程の削減は実現されない。
【0016】従って、レジスト塗布、パターン露光、現
像、レジスト除去など一連のホトレジスト工程を経るこ
となく効率良く、イオン注入が行なえる方法、また、こ
れを実現するイオン注入装置が強く望まれていた。
【0017】上記の問題点に鑑み、本発明は半導体装置
の製造工程の削減によって製造コストの低減を目指すも
のであり、特に、本発明の第1の目的は、イオン注入前
後でホトレジストを必要としないイオン注入方法を提供
することであり、第2の目的として第1目的を実現する
イオン注入装置、および、このイオン注入装置を用いた
製造装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、
(1)ドーパントイオンを放出するイオン源から引出し
たイオンビームを、開口パターンを有するステンシルマ
スクに照射し、上記開口パターンを通過したイオンビー
ムをイオン投射光学系によって試料に投射することで、
上記試料内にイオン注入領域を形成する方法により達成
される。また、(2)半導体装置製造プロセスにおける
イオン注入方法において、ドーパントイオンを放出する
イオン源から引出したイオンビームを、開口パターンを
有するステンシルマスクに照射し、上記開口パターンを
通過したパターンイオンビームをイオン投射光学系によ
って半導体基板に投射することで、上記半導体基板内に
ドーパントイオン注入領域を形成する方法によっても達
成できる。また、(3)上記(2)の方法において、第
1のステンシルマスクによって第1イオン種のイオン注
入領域を形成する第1イオン注入工程および、少なくと
も第2のステンシルマスクによって第2イオン種のイオ
ン注入領域を形成する第2イオン注入工程とからなる方
法によるか、または、(4)上記(2)または(3)の
方法が、その前工程に少なくとも上記半導体基板面上に
イオン注入領域を限定するホトレジストマスクのパター
ン形成工程を伴わない方法により達成される。また、
(5)上記(2)から(4)の方法が、ドーパントイオ
ンを放出するイオン源から引出したイオンビームを、開
口パターンを有するステンシルマスクに照射し、上記ス
テンシルマスクを透過したパターンイオンビームをイオ
ン投射光学系によって半導体基板に投射することで、上
記半導体基板内にドーパントイオン注入領域を形成する
イオン注入方法において、さらに、半導体基板表面に形
成した厚膜酸化膜によってイオン注入領域を制限する方
法によるか、特に、(6)上記(1)から(5)のいず
れかで、上記試料または半導体基板がシリコンであり、
かつ、該試料に投射されるイオン種がホウ素、リン、ヒ
素のうちの少なくともいずれかである方法により達成さ
れる。また、(7)上記(1)から(6)のいずれか
で、特に、パターンイオンビームの投射および停止、試
料への投射位置の移動を順次繰り返すことで、上記試料
または半導体基板上に上記イオン注入領域を少なくとも
2箇所以上形成する方法によって、同じイオン注入領域
を同一試料に多数形成できる。また、特に、(8)ドー
パントイオンを放出するイオン源から引出したイオンビ
ームを、開口パターンを有するステンシルマスクに照射
し、上記開口パターンを通過したイオンビームをイオン
投射光学系によって半導体基板に投射することで、レジ
スト工程を経ることなく上記半導体基板内にウェル領域
を形成することができ、特に、(9)第1のステンシル
マスクによって上記半導体基板に第1イオン種によるp
型ウェル領域を形成する第1イオン注入工程と、第2の
ステンシルマスクによって上記半導体基板に第2イオン
種によるn型ウェル領域を形成する第2イオン注入工程
とからなる方法により達成される。また、(10)半導
体装置製造プロセスにおけるイオン注入方法で、ドーパ
ントイオンを放出するイオン源から引出したイオンビー
ムを、開口パターンを有するステンシルマスクに照射
し、上記開口パターンを通過したイオンビームをイオン
投射光学系によって半導体基板に投射する方法により、
上記半導体基板内にチャネルドープ領域を形成できる。
特に、(11)第1イオン種のイオン注入による第1チ
ャネルドープ領域を形成する第1イオン注入工程、およ
び、上記第1チャネルドープ領域のうちの一部に対し
て、ステンシルマスクの開口パターンを通過した第2イ
オン種のイオンビームによるイオン注入を行なって第2
チャネルドープ領域を形成する第2イオン注入工程とか
らなる方法であってもよい。また、(12)上記半導体
装置製造プロセスにおけるイオン注入方法であって、半
導体基板表面に厚膜酸化膜または多結晶シリコンの少な
くとも何れかによるイオン注入制限領域を形成した後、
ドーパントイオンを放出するイオン源から引出したイオ
ンビームを、開口パターンを有するステンシルマスクに
照射し、上記開口パターンを通過したイオンビームをイ
オン投射光学系によって半導体基板に投射することで、
上記半導体基板内にドーパントイオン注入領域を形成す
ることができる。特に、(13)上記(7)から(1
2)のいずれかで、上記試料へのイオン注入量が1×1
11個/cm2以上、かつ、1×1014個/cm2未満で
あるか、上記試料に投射されるイオンビームのエネルギ
が30keV以下のうちのいずれかである方法により達
成される。また、(14)上記(1)から(3)のいず
れかにおいて、上記イオン照射光学系内でイオンビーム
の質量分離を行ない、ドーパントイオンのみで上記ステ
ンシルマスクを照射する方法によるか、(15)上記試
料または上記半導体基板上のイオン注入領域が、特に、
前記ステンシルマスクの開口パターンとほぼ相似的に縮
小した領域である方法によるか、(16)上記(1)か
ら(4)のいずれかにおいて、上記試料が化合物半導体
であり、かつ、上記試料に投射されるイオン種がシリコ
ン、ベリリウム、マグネシウム、セレン、酸素、イオウ
のうちの少なくともいずれかである方法によっても達成
される。さらに、(17)ドーパントイオンを放出する
イオン源から引出したイオンビームを、所望のイオン注
入領域に対応する開口パターンを有するステンシルマス
クに照射し、上記開口パターンを通過したイオンビーム
をイオン投射光学系によって試料に投射することで、上
記試料内にドーパントイオンの注入領域を形成するイオ
ン注入方法において、イオン注入に先立ち、上記ステン
シルマスクの上記開口パターンの近傍に設置した小開口
に限定して上記イオンビームを照射して、上記小開口を
通過したイオンビームによって試料面に設置したマーク
を検出し、試料ステージ位置もしくは上記ドーパントイ
オンビームの投射位置の少なくとも何れかの補正を行な
って、イオン注入領域の位置決めを伴なう方法による
か、または、(18)イオン注入に先立ち、上記試料表
面を観察できる顕微鏡によって試料面に設置したマーク
を検出し、上記ドーパントイオンビームの投射位置が所
望のイオン注入領域に一致するように試料ステージ位置
もしくは上記ドーパントイオンビームの投射位置の少な
くとも何れかの補正を行なってイオン注入領域の位置決
めを伴なう方法によって達成される。
【0019】また、上記第2の目的は、(19)ドーパ
ントイオンを放出するイオン源と、該イオン源から放出
したイオンを質量分離する質量分離器と、開口パターン
を有するステンシルマスクを搭載するマスクステージ
と、上記ステンシルマスクに上記イオン源から放出した
イオンビームを照射するイオン照射光学系と、上記開口
パターンを通過したイオンビームを試料に投射するイオ
ン投射光学系と、試料を保持して微動する試料ステージ
とを少なくとも備えることにより達成される。また、
(20)ドーパントイオンを放出するイオン源と、該イ
オン源から放出したイオンを質量分離する質量分離器
と、開口パターンを備えたステンシルマスクを保持する
マスクステージと、上記イオン源よりイオンビームを引
き出し上記ステンシルマスクに照射する照射光学系と、
試料を保持して微動する試料ステージと、上記開口パタ
ーンを通過したイオンビームを上記試料に投射する投射
光学系とを少なくとも備えたイオン注入装置において、
特に、上記マスクステージは複数種のステンシルマスク
を保持し、更に、該マスクステージを移動させる駆動手
段と、該駆動手段の制御を行なう信号処理装置とを備え
ることによって達成される。また特に、(21)上記
(19)または(20)において、上記イオン源がプラ
ズマイオン源または液体金属イオン源、電界電離ガスイ
オン源のうちのいずれかであるか、(22)上記(1
9)から(21)のいずれかにおいて、特に、上記イオ
ン源においてイオン化すべき材料がボロン、ヒ素、リ
ン、シリコン、ベリリウム、マグネシウム、セレン、酸
素、イオウからなる群のうちの少なくともいずれかを含
むガスまたは合金もしくは化合物であることにより達成
される。
【0020】また、(23)上記(20)において、特
に、上記イオン源は、複数のドーパントイオンを放出す
るイオン源であるか、または、ドーパントイオンを放出
する複数個のイオン源からなり、上記信号処理装置は少
なくとも上記イオン源の放出電流の制御、または、上記
複数のイオン源から特定のイオン源を選択する信号を発
信する装置であることにより達成される。特に、(2
4)上記(19)または(20)において、上記イオン
源から試料面に至るイオンビーム光学軸が鉛直方向であ
ることにより達成される。あるいはまた、上記上記イオ
ン照射光学系は、少なくとも上記イオン源から放出した
イオンビームを質量分離する質量分離器と、所望のイオ
ンビームを選択する質量分離アパチャを含むか、また
は、(25)上記イオン照射光学系は、上記イオン源か
ら放出したイオンビームの拡がりを狭める照射レンズを
含むことによるか、また、(26)上記イオン投射光学
系は上記ステンシルマスクを通過したイオンビームを試
料に投射させる投射レンズを含み、かつ、上記照射レン
ズ、上記投射レンズのうち、少なくともいずれかが加速
モードのアインツェルンレンズであることによるか、あ
るいはまた、(27)上記イオン投射光学系はステンシ
ルマスクを通過したイオンビームを試料に投射させる投
射レンズを含み、かつ、上記投射レンズの最終電極と試
料は同電位で、上記投射レンズの最終電極もしくは試料
が0から10Vの出力を有する電源に接続されたことに
よるか、または、(28)上記ステンシルマスクを照射
されるイオンビームのエネルギと、上記試料に投射され
るイオンビームのエネルギは同一であることによって達
成される。また、(29)上記(17)において、特
に、前記ステンシルマスクを通過したパターンイオンビ
ームを集束させる集束レンズのクロスオーバの直前また
は直後にビーム遮断手段または真空遮断手段の少なくと
もいずれかを備えることによるか、(30)上記(1
0)から(21)のいずれかにおいて、特に、上記イオ
ン源と上記ステンシルマスクの間に、上記イオン源から
の放出イオンの拡がりを制限するビーム制限アパチャを
備えることよるか、(31)上記(30)において、特
に上記ビーム制限アパチャは、該ビーム制限アパチャを
通過したイオンの拡がりの半開角が最大10°となる孔
径または位置関係にあることにより達成される。また、
(32)上記(19)から(31)のいずれかにおい
て、特に、上記イオン源からの放出イオンの初期エネル
ギが1から20keVであり、試料に投射されるパター
ンイオンビームの加速エネルギが1から40keVであ
ることにより達成される。
【0021】(33)上記(19)から(32)のいず
れかにおいて、特に、試料へ投射するパターンイオンビ
ームの電流密度が1nA/cm2から10μA/cm2
範囲内であることにより達成される。
【0022】(34)イオン源と、イオンの透過する開
口を備えたステンシルマスクを保持するマスクステージ
と、試料を保持し微動する試料ステージと、上記イオン
源よりイオンビームを引き出し上記マスクに照射する照
射光学系と、上記マスクを透過したイオンビームを上記
試料の任意位置へ照射して、上記マスクの像を上記試料
上に投射する投射光学系と、上記イオンビームを遮断す
る手段とを備えたイオン注入装置において、上記投射光
学系は投射レンズを一段のみ備え、かつ、上記照射光学
系が上記イオンビームを上記投射レンズのほぼ中心に集
束させる照射レンズを備えたことにより達成される。ま
た、(35)上記照射光学系がイオンビームをマスク上
で走査する走査偏向系を備えるとともに、上記走査偏向
系の偏向中心が上記イオンビームのクロスオーバにある
ことにより達成され、あるいは、(36)上記(35)
において、上記照射光学系は、上記走査偏向系が上記イ
オンビームを走査するのと連動して、上記イオンビーム
の集束状態を補正するダイナミック補正手段を備えるこ
とにより達成される。また、(37)上記(36)のダ
イナミック補正手段は、非点補正器と、集束補正レンズ
とを備えることにより、また、(38)上記(36)ま
たは(37)のダイナミック補正手段は、2段以上の偏
向補正器を備えたことにより、あるいはまた、(39)
上記(34)の投射レンズは、3枚電極の静電レンズで
あることにより、また、(40)上記(34)から(3
6)のいずれかのイオンビームは、上記マスクへ照射す
る上記イオンビームの加速電圧が1〜20kVであり、
上記試料上へ照射する上記イオンビームの加速電圧が1
〜50kVであることにより達成される。さらに、(4
1)複数個のチャンバおよび、これらと相互間のウエハ
の出し入れを行なうウエハハンドラ、上記複数個のチャ
ンバに連結され上記ウエハハンドラを収納するウエハハ
ンドラハウジングから構成されるマルチチャンバプロセ
ス装置において、上記チャンバのうち少なくとも1個が
上記(19)から(40)のいずれかのイオン注入装置
であることにより達成される。また、半導体装置は、
(42)上記(1)から(18)のいずれかのイオン注
入方法、または、上記(19)から(40)のいずれか
のイオン注入装置、または、上記(41)のマルチチャ
ンバプロセス装置の少なくともいずれかを用いて製造す
ることにより、また、(43)半導体装置において、隣
合うp型ウェル領域とn型ウェル領域が、互いのウェル
領域の基板表面に段差を有しない構造であることにより
達成される。
【0023】
【作用】本発明によれば、図1に概略を示したイオン注
入方法を用いることで、ホトレジストを用いることなく
所望の位置にイオン注入を行なうことができる。
【0024】所望のイオン注入領域パターンに対応する
開口パターン1有するステンシルマスク2にイオンビー
ム3を照射し、開口パターン2を通過したイオンビーム
4をイオン投射光学系5に導く。イオン投射光学系5
は、集束レンズなどを含み、イオン投射光学系5の光学
作用により、従来のホトレジストが塗布されていない試
料7にイオンビーム径を縮小して投射し、ステンシルマ
スク2の開口パターン1を縮小した形状のイオン注入領
域8を形成することができる。縮小倍率はイオン投射光
学系内に配置するレンズの焦点距離などに依存し、所望
のイオン倍率に合わせてイオン光学系を配置し、動作さ
せれば良い。イオンビームは試料面に到達する時点で所
望のイオン注入形状にパターン化されているため、従来
法によるレジストは用いる必要はなく、また、レジスト
塗布が不要であるため、レジストに係る工程、つまり、
レジスト塗布、露光、現像、アッシングの各工程が削減
でき、直接イオン注入することができる。
【0025】更に具体的には、イオン注入の機能を果た
すためのイオン注入装置の概略構成例を図2に示し、各
部の作用について説明する。
【0026】図2に示したイオン注入装置10は、イオ
ン源11と、開口パターンを有するステンシルマスク1
2を保持するマスクステージ13と、上記イオン源11
から放出するイオンビーム14を上記ステンシルマスク
12に照射するイオン照射光学系15と、上記ステンシ
ルマスク12を通過したイオンビーム16を試料17に
投射して上記ステンシルマスク12の開口パターンと略
相似形の投射領域を形成するイオン投射光学系18と、
上記試料17を保持して移動する試料ステージ19など
から構成される。19’は試料17をステップアンドリ
ピート式に移動できるステージである。イオン照射光学
系15やイオン投射光学系18は種々の光学部品から成
り、例えば、所望のドーパントイオンと不要なイオンを
分離する質量分離器、所望のイオンのみを通過させる質
量分離アパチャ、拡がりのあるイオンビームを集束させ
ステンシルマスクに照射する照射レンズ、パターンイオ
ンビームを集束し試料に投射させるための投射レンズ、
ビーム位置を調整するためのアライナ、イオンビームの
試料への到達を遮断させるブランカ、機械的シャッタな
どを含む。質量分離器には、ウィーンフィルタと称する
電極と磁極が直交して設置されたE×B質量分離器を用
いることで、所望のドーパントイオンビームを光学軸上
で通過させることができる。
【0027】イオン源11にはドーパントイオンを放出
する液体金属イオン源や電界電離ガスイオン源、微小発
生源を持つプラズマイオン源を用いる。
【0028】ステンシルマスク12は、所望のイオン注
入領域に対応する開口を有する。所望のイオン注入領域
を図3における(a)とすると、例えば、シリコンを基
板とするステンシルマスクは図(b)に示すような開口
をドライエッチングよって設けた。開口パターンの寸法
はイオン注入領域寸法とイオン光学系の縮小率で決ま
り、例えば、2μm平方の矩形領域を縮小率1/5の光
学系で作成するには、ステンシルマスク上に10μm平
方の矩形開口を設ければよい。
【0029】レンズは静電電極群であり、広がりを持つ
イオンビームの集束性を良好にするために電極構成や配
置、印加電圧は種々改変できる。試料に投射される像の
大きさは、ステンシルマスクに形成されたパターンの数
分の1に縮小されるようなレンズ配置をとる。
【0030】試料ステージ19’は試料17を保持する
とともに、ステップ・アンド・リピート式に移動でき
る。図4のように半導体ウェハ26におけるある1箇所
のサブフィールド25に対してパターン24のイオン注
入が完了すると、一旦、イオンビームをブランキング状
態にして、次のサブフィールドに試料ステージを移動し
てイオンビーム投射を行なう。この繰返しによって、ウ
ェハ26全面にレジストなしにイオン注入することがで
きる。
【0031】
【実施例】
(実施例1)本発明による第1の実施例を図5から図1
1を用いて説明する。
【0032】図5は、DRAMや不揮発性メモリのメモ
リチップ内の各構成ブロックの概略を示している。メモ
リマットMATは複数本の行と複数本の列のアレイ状に配
置されたメモリセルから構成されている。行デコーダXD
ECは外部アドレス信号ADを入力とし、複数本の行の中か
ら少なくとも一本の行を選択する。行デコーダXDECの出
力信号は電圧印加回路XSDECに接続されている。電圧印
加回路XSDECはCMOS回路から構成されたスイッチ群であ
り、メモリマットMAT内の選択された行に対応するメモ
リセルに所望の電圧を印加する。一方、センスアンプSA
CがメモリマットMATの列に接続されている。センスアン
プSACは、メモリセルへのデータの書き込みや読出しを
行うため、MOSトランジスタの差動対から構成されてい
る。この差動対を用いてデータの保持を行うこともでき
る。列デコーダYDECがセンスアンプSACと入出力I/Oの
間に形成されている。列デコーダYDECはMOSトランジス
タから構成され、入出力I/Oから所望のセンスアンプSA
Cにデータを転送することができる。データの書き込み
動作や読み出し動作は、例えばチップ選択信号CS等によ
り代表される、チップCHIP外部からの各種のチップ制御
信号を、CHIP内に設けられた制御回路CTRLで受け、制御
回路CTRLからのチップ内部制御信号が各デコーダに送ら
れることにより実行される。
【0033】図6は、図5に示されたメモリチップ内の
ウェル領域の形成レイアウトの一例である。図6(a)
はp型ウェル領域、図6(b)はn型ウェル領域のパタ
ーンである。レイアウトパターンは本実施例に限定され
るものではない。DRAMや不揮発性メモリはn型トラ
ンジスタから構成され、図5中のメモリマットMATはp
型拡散層からなるp型ウェル領域PW-MAT内に形成され
る。この領域の大きさは、一般にメモリチップ面積の4
0から60%であり、約40から60mm2の面積を占め
ている。すなわち、6mm×6mmや8mm×8mmのように、
メモリセルの加工最小寸法である0.3〜0.5μmに比
べはるかに大きい領域である。なお、図6ではメモリマ
ットMATを構成するp型ウェル領域PW-MATは1つの領域
により構成されているが、これを複数個のp型ウェル領
域により構成してもよい。
【0034】図7は電圧印加回路XSDECが2本の行に対
する最も簡単なCMOS回路を用いたインバータから構成さ
れている例を示している。図7(a)では、行デコーダ
XDECからの出力信号WI1、WI2を各インバータのゲート入
力信号とし、各p型MOSトランジスタのソース端子は電
源VPPに接続され、ウェル端子は電源VNWに接続されてい
る。同様に、各n型MOSトランジスタのソース端子は電
源VNNに接続され、ウェル端子は電源VPWに接続されてい
る。各インバータの出力はメモリマットMATへの出力端
子W1、W2となっている。図7(a)の回路図上では、各
MOSトランジスタが交互に配置されウェル領域NW1、PW
1、NW2、PW2が交互に配置されているが、これを図7
(b)に示すようにn型MOSトランジスタ同士またはp
型MOSトランジスタ同士をまとめて同じウェル領域NW、P
Wに形成できる。このように、メモリマットMATに電圧を
印加する電圧印加回路XSDECは、CMOS回路すなわちn型M
OSトランジスタとp型MOSトランジスタから構成されて
いるが、各行に対する各々のトランジスタを同一ウェル
中に形成できる。ここで、面積低減のために、メモリマ
ットMATを構成するp型ウェル領域PW-MATと電圧印加回
路XSDEC中のn型MOSトランジスタを含むp型ウェル領域
PW-XSDECを隣接して、または、同一ウェル領域として形
成することができる。行デコーダXDECについても同様に
各行に対するn型MOSトランジスタを一括して含むp型
ウェル領域PW-XDECが形成でき、さらに、センスアンプS
AC部のp型ウェル領域PW-SACや列デコーダYDECに対する
p型ウェル領域PW-YDEC、I/O回路に対するp型ウェル
領域PW-I/O、制御回路CTRLに対するp型ウェル領域PW-
CTRLを形成できる。一方、図6(b)に示すようにn型
ウェル領域に関しても、電圧印加回路XSDEC中のn型ウ
ェル領域NW-XSDEC、行デコーダXDECに対するn型ウェル
領域NW-XDEC、センスアンプSAC部のn型ウェル領域NW-S
AC、列デコーダYDECに対するn型ウェル領域NW-YDEC、I
/O回路に対するn型ウェル領域NW-I/O、制御回路CTRL
に対するn型ウェル領域NW-CTRLが形成できる。これら
のウェル領域の幅は約30μmから200μmであり、
また、イオン注入量もn型領域ではリンイオン(P+)
を、p型領域ではボロン(B+)またはフッ化ボロン(B
2+)を用いて1×1013〜2×1014/cm2であり、本発明
によるステンシルマスクを用いたイオン注入方法によっ
て十分達成できる面積と不純物量である。
【0035】図8から図11を用いて、メモリチップ形
成工程に少なくとも含まれるCMOS回路の形成方法の概略
を示す。ただし、本実施例の図中に含まれるマスクの図
示ではイオン注入領域とマスク開口領域が同一に示した
が、これは上述のとおり、ステンシルマスクを透過した
イオンビームはイオン投射光学系によって縮小されてウ
ェハ上に投射される。ここでは、ステンシルマスクとイ
オン注入領域の関係を強調するために同一寸法で記載し
た。また、ステンシルマスクとウエハの間にはイオン投
射光学系が、またステンシルマスクの上段にはイオン照
射光学系やイオン源が存在するが、図8から図11では
半導体装置製造プロセスを詳細に説明することが主眼で
あるため、イオン源やイオン照射光学系、イオン投射光
学系の図示は省略してある。
【0036】まず、図8(a)において、シリコン基板
201に約30nmの厚さのシリコン酸化膜202を形成
し、シリコン酸化膜202の周辺領域の一部に後述のス
テンシルマスクの位置合わせ用のマークとなる凹部25
0を予め形成する。この凹部250は、予め定めている
ウェハの基準位置に、例えば集束イオンビーム照射等に
よって直接形成することができる。また別の方法とし
て、例えばヒ素イオンを1×1015/cm2以上所望の領域に
注入し、ダメージを受けたシリコン酸化膜ではフッ酸等
によるエッチングが加速されることを用いて、マーク形
成用の開口を設けたステンシルマスクを用いて、ヒ素の
パターンイオンビームによってシリコン酸化膜202に
凹部250を形成することができる。この場合は、続い
てドライ工程によりシリコン基板201を0.1μm以上エ
ッチングし、明確なターゲット領域を形成することが望
ましい。また、マークとして凸部を形成してもよい。
【0037】続いて図8(a)に示すように、n型ウェ
ル領域形成用のステンシルマスク203を介して、リン
イオン204を例えば60KeVで約5×1012/cm2のドー
ズ量でシリコン基板201中に注入する。高濃度なn型
不純物領域205が形成される。本イオン注入では、先
に形成した凹部250に微弱なイオンビーム照射を行
い、その2次電子を観測するなどの方法により、ステン
シルマスクパターンのシリコンウェハ上での0.1μm以下
の正確な位置合わせが可能になる。さらに図8(b)で
は、p型ウェル形成用のステンシルマスク207を用い
て、ボロンイオンないしはフッ化ボロンイオン208を
シリコン基板中に注入する。これにより、高濃度なp型
不純物領域209が形成される。フッ化ボロンイオン2
08を注入する場合は、例えば60KeVで約5×1012/cm
2のドーズ量とし、ボロンイオンの場合には、約15KeV
とする。
【0038】本ウエハを例えば1100℃の窒素雰囲気中で
約20時間アニールすることにより、図8(c)のように
各不純物拡散層がシリコン基板201中に引き伸ばさ
れ、各々の表面不純物濃度が5×1016〜2×1017/cm2
度のn型ウェル領域210、p型ウェル領域211が形
成される。
【0039】以上の工程により、CMOS回路形成用の両ウ
ェル構造を得ることができる。これは、図19に示す従
来のウェル形成工程に比べて、ホトレジスト形成及びそ
の処理時間が不要なことや拡散時間が短い。さらに、本
実施例では、図19(d)のようなp/n型ウェル領域
間で段差が生じないため、後のゲート形成工程のような
微細加工プロセスにおいても被写界深度による加工の制
約を受けることがない。
【0040】図8以降のCMOS回路の形成工程について説
明する。図9(a)に示すように、マーク250領域を
除くシリコン酸化膜202上にシリコン窒化膜215を
約200 nmの厚さで形成する。なお、このシリコン窒化膜
の厚さは本膜厚に限るものではない。続いて、従来のホ
トレジスト工程を用いて、感光、現像、ベーク処理、レ
ジストエッチング、シリコン窒化膜215エッチング、
レジスト処理工程を経て、シリコン窒化膜215をトラ
ンジスタの活性領域となるようにパターニングする(図
9(b))。さらに、ウェット酸化条件の下、1000℃〜
1100℃の温度条件の下で、シリコン基板表面を酸化し、
300〜500nmの膜厚を有するシリコン酸化膜216を形成
する(図9(c))。シリコン酸化膜216は少なくと
もp型ウェル領域211とn型ウェル領域210の境界
表面を覆うように形成され、各ウェル領域中のトランジ
スタを互いに電気的に分離する。
【0041】次に、図10(a)のように、シリコン基
板201表面の薄膜シリコン酸化膜202領域にフッ化
ボロンイオン217を、例えば2×1012/cm2のドーズ量
をイオン注入する(n型MOSトランジスタ用チャネルイ
オン注入)。n型MOSトランジスタのチャネル領域とな
るシリコン基板表面にp型不純物領域218が形成さ
れ、p型ウェル領域211中のn型MOSトランジスタの
しきい値電圧が0.3〜0.5Vに制御される。さらに、図1
0(b)に示すように、ステンシルマスク220を介し
て、本発明のイオン注入法により、ヒ素イオン221を
n型ウェル領域210のシリコン酸化膜202中にの
み、例えば50KeVのエネルギー、3×1012/cm2のドー
ズ量で注入する(p型MOSトランジスタ用チャネルイオ
ン注入)。p型MOSトランジスタのチャネル領域となる
シリコン基板表面に弱いn型不純物領域222が形成さ
れる。図10(a)のボロンイオン濃度と図10(b)
のヒ素イオン濃度を調整することにより、p型MOSトラ
ンジスタのしきい値電圧が制御できる。本実施例では、
イオン注入用のステンシルマスク数を抑えるため、ヒ素
イオン注入に用いたステンシルマスク220をn型ウェ
ル領域形成に用いたステンシルマスク203と同一パタ
ーンとすることもできる。また、本実施例では、図10
(a)のフッ化ボロンイオン注入時には、全面イオン注
入の方式を用いたが、ここで、例えば図8(b)のp型
ウェル領域形成用のステンシルマスク207を用いて、
フッ化ボロンイオンのイオン注入を本発明の方法により
行うこともできる。
【0042】さらに、図11(a)に示すように、多結
晶シリコン層231を所望のゲート電極形状に加工し、
例えば、図10(b)のステンシルマスク220と同様
のパターンを備えたステンシルマスク232を用いて、
フッ化ボロンイオン233のイオン注入を本発明の方法
により、例えばエネルギー30keV、ドーズ量2×10
15/cm2で行い、p型不純物領域234が形成できる。続
いて、図11(b)に示すように、ステンシルマスク2
35を用いて、ヒ素イオン236を本発明のイオン注入
法により、例えばエネルギー30KeV、ドーズ量2×1015/
cm2で行い、n型不純物領域237が形成できる。上記
の各不純物領域は、各々のMOSトランジスタのソース・
ドレイン領域として働く。
【0043】ここで、ゲート電極となる多結晶シリコン
層231は、シリコン酸化膜216の膜厚の概略半分の
凹凸形状(0.2μm以下)を持つに過ぎず、0.25μmの微
細なゲート長のパターンも従来の光学露光装置の被写界
深度制約を受けることなく形成できるという効果があ
る。
【0044】以上、各ウェル領域に形成されるMOS型ト
ランジスタのしきい値電圧制御用のチャネルイオン注入
や拡散層形成工程においても、本発明のイオン注入法を
用いることができ、マスク枚数の低減を図るとともに、
各々の工程において従来のチャネルイオン注入に必要と
されたレジスト塗布工程、感光工程、現像工程、ベーク
工程、イオン注入工程、レジスト除去工程を、ステンシ
ルマスクによるイオン注入工程の1工程に削減でき、微
細加工CMOS回路形成工程の工程数削減に大きく寄与でき
る。
【0045】(実施例2) 〈実施例2の第1形態〉本発明に係るイオン注入装置の
実施例の詳細を図面をもとに説明する。図12におい
て、301は本発明によるイオン注入装置、302はイ
オン源であり、本実施例ではイオン源302はシリコン
に対するドーパントであるホウ素イオンを放出する液体
金属イオン源を用いた。このイオン源302でのイオン
化材料は白金/ホウ素合金である。303は質量分離器
であり、放出したイオン304を所望のドーパントイオ
ン305(本実施例ではホウ素1価イオン)と不要イオ
ン306(本実施例ではホウ素1価イオン以外のイオ
ン)に選別するものである。307はドーパントイオン
305のみを通過させ、不要イオン306を下流へ送ら
ないための質量分離アパチャである。この質量分離アパ
チャ307がステンシルマスク309の上流側に設置さ
れているため、不要イオン306がマスクを照射するこ
とがなく、ステンシルマスク309の損傷が軽減され寿
命が延びる。集束レンズ308のクロスオーバが質量分
離アパチャ307にあるため、ドーパントイオン305
と不要イオン306は容易に分離できる。310は質量
分離アパチャ307を通過して広がりを持つイオンをマ
スク309にほぼ垂直入射するように軌道を曲げる照射
レンズである。図では略式に楕円で示したが、実際は複
数枚の電極から構成されている。本例の場合、イオン照
射光学系311は、質量分離器303、質量分離アパチ
ャ307、集束レンズ308、照射レンズ310より構
成されている。
【0046】導電性のマスクホルダ312に保持された
ステンシルマスク309は所望のイオン注入領域に対応
する開口パターンを有するマスクで、シリコンが主成分
である。開口パターンはドライエッチングによって作成
した。ステンシルマスク309を通過して得られるドー
パントイオンによるパターン化したイオンビーム313
は集束レンズ314によって集束され、アパチャ315
を通過して、投影レンズ316によって試料317にほ
ぼ垂直に投射される。本例の場合、イオン投射光学系3
19は、集束レンズ314、アパチャ315、投射レン
ズ316によって構成されている。試料317は試料ス
テージ318上に保持されたシリコンウェハであり、表
面には従来のイオン注入で用いるレジストは塗布されて
いない。試料ステージ318はレーザ干渉計(図示せ
ず)を用いてXY方向に正確に移動でき、1領域分のイ
オン注入が完了すると、イオンビームをブランキング状
態(ブランカは図示せず)にするか、試料317とイオ
ン源302の間のいずれかの箇所に設けたシャッタ(図
12における320、320’)によって遮って、次の
領域にステップ・アンド・リピート方式によって位置決
め、再びイオン注入が行える。上記の操作の繰返しで試
料317全体にイオン注入を施すことができる。これら
のイオン光学系部品は真空容器321内にある。
【0047】本実施例では、上記のイオン光学系によっ
て、イオン源302からのイオンは、ビーム制限アパチ
ャ(図示せず)によってビーム半開角が5°に制限さ
れ、ステンシルマスク309上で直径40mmのビームに
なる。ステンシルマスク309には、24×24mmの領
域内にイオン注入すべき領域に対応する開口パターンが
設けられている。このパターンは投影レンズ316によ
り、試料317面で10×10mmの領域に縮小され(倍
率:約0.42)イオン注入される。この時の到達する
ドーパントイオン電流は0.1μAであった。
【0048】このような構成のイオン注入装置301は
下記の特徴を持つ。図12が従来のイオン注入装置(図
23)と全く異なる点は、イオン注入される領域がステ
ンシルマスクによって形成されたパターンイオンビーム
によるか、ホトレジストで開口パターンを設けているか
にある。つまり、従来、図22に示したように従来型イ
オン注入法では、レジスト86をウエハ85に密着して
塗布し、リソグラフィ技術を駆使して所望のイオン注入
領域に開口87、87’を設け、大口径のドーパントイ
オンビーム88を照射してイオン注入を行なっている。
また、イオン注入後はこのレジストを除去しなければな
らない。このように所望領域にイオン注入を行なうに
は、従来方法ではレジスト工程が不可欠であった。
【0049】一方、図12に示す本発明によるイオン注
入装置によると、試料(ウェハ)はイオン照射時には、
イオン注入領域形状にパターン化されているイオンビー
ムが投射されるため、従来法によるレジストマスクは用
いる必要はなく、直接イオン注入することができる。こ
のパターンイオンビームを得るためには、ステンシルマ
スクに所望のイオン注入領域と略相似形の開口パターン
を設け、ステンシルマスクの開口パターンと所望のイオ
ン注入領域の大きさの比率はステンシルマスクとウェハ
間に設置するイオン光学系の焦点距離に依存し、所望の
イオン倍率に合わせてイオン光学系を設置し、動作させ
れば良い。このようにホトレジスト塗布が不要であるた
め、ホトレジストに係る工程、つまり、塗布、露光、現
像、アッシングの各工程が削減できる。
【0050】このようなイオン注入方法における試料は
上述のシリコンウェハに限らず、ガリウムヒ素のような
化合物半導体でも良いし、半導体装置製造プロセスで扱
えないガラスやプラスチック等の材料でも良い。例え
ば、プラスチックに金イオンをパターンイオン注入する
ことで微小な導領域を作ることが可能で、また、透明ガ
ラスにラインアンドスペース状にパターンイオン注入し
て微小グレーティングなど微小パターンを作成できる。
さらには、イオン注入領域限定のために、従来のリソグ
ラフィ装置であるステッパや電子線リソグラフィ装置を
使わないため、対象とする材料は半導体ウエハのような
平板である必要はなく、曲面や立体物であっても適用で
きることが従来の半導体プロセスにおけるイオン注入法
とは大きく異なる。
【0051】公知例4のイオン投影型縮小露光装置は、
本発明によるイオン注入装置と以下の点で異なる。イオ
ン投影型縮小露光装置で用いるイオン種は軽元素ガス種
である水素、ヘリウムである。また、イオンビーム照射
は表面にレジストを被覆した試料に対して行なわれ、レ
ジストへのイオン露光を行なう装置である。従って、従
来のようにレジスト工程は必ず伴なう。さらに、放出イ
オンの実質的質量分離を行なうアパチャがステンシルマ
スクの下流側にあるため、放出イオンの殆ど全てがステ
ンシルマスクを照射する構造である。
【0052】本発明のイオン注入装置によればイオン注
入完了までに必要な装置は、本発明によるイオン注入装
置だけで済み、最低限の作業スペースを含めた床面積
は、従来のイオン注入に係わる装置であるレジスト塗布
機、光リソグラフィ装置(ステッパー)、現像機、中電
流イオン注入装置、アッシャの総面積、および、最低限
の作業スペースを含めた総床面積に対して約1/3に削
減できる。
【0053】〈実施例2の第2形態〉本実施例は別のイ
オン光学系の例であり、概略構成を図13に示す。本実
施例では複数のイオン源302、302’がイオン源ス
テージ330に設置されており、イオン源コントローラ
331により、必要に応じてイオン源を交換し、放出す
るイオン種を切り替えることができる。また、ステンシ
ルマスクは複数枚、マスクステージ312’に搭載され
ており、必要に応じてステンシルマスクをマスクコント
ローラ332によって交換することができる。搭載する
ステンシルマスクの開口パターンは異種同種に制限はな
い。これら、イオン源コントローラ331やマスクコン
トローラ332、更には試料ステージ318は信号処理
装置333からの信号によって制御される。
【0054】〈実施例2の第3形態〉本実施例は別のイ
オン光学系の例であり、概略構成を図14に示す。本実
施例は、実施例1に比べレンズを1組減らし、3組のア
インツェルンレンズ310’、314’、316’によ
って構成したイオン注入装置の例である。ステンシルマ
スク、マスクステージ、試料ステージなどは図12と同
じである。
【0055】図14において、イオン源302はシリコ
ンに対するドーパントであるホウ素イオンを放出するプ
ラズマイオン源である。このイオン源から放出されるホ
ウ素1価イオンの放射角電流密度(単位立体角当たりの
電流密度)は、全放出イオン電流10μA時、5μA/
srであり、放出イオンの拡がりは10°(半開角)で
ある。投射レンズ310’によって平行にされたイオン
ビームはステンシルマスク309へほぼ垂直入射する。
この時の照射領域は、放出イオン電流の角度分布を考慮
してビーム制限アパチャ335によって開き角の半分の
5°の領域に制限してステンシルマスク309を通過さ
せた。ステンシルマスク309の開口パターン(1辺2
0mmの矩形)の試料317’上に形成されるパターン
の縮小率は0.5である。この時、レジストの塗布され
ていない試料(ウェハ)317’上には、電流密度0.
1μA/cm2で、1辺10mmの矩形パターンイオン
ビーム337が到達する。イオン注入量(ドーズ)を1
×1012(個/cm2)に設定すると、イオン注入時間
は約1.6秒で終わる。照射されるイオンの持つエネル
ギーは10keVで、浅い領域へのイオン注入である。
直径8インチのウエハ上にこのパターンイオンビーム3
37でイオン注入を続けると、1枚のウエハは約460
ショットで完了し、1時間に約17枚の生産速度(スル
ープット)を発揮した。このスループットは従来プロセ
スにおいて、レジスト塗布、ステッパによる露光、現
像、従来式イオン注入、アッシングによるレジスト除
去、水洗までの一連工程に対して約8枚/時であるの
で、2倍以上のスループット向上が達成された。
【0056】本装置において、質量分離器303をイオ
ン源302の直後に設置し、集束レンズ314’のクロ
スオーバ地点に質量分離絞り315’を設置し、イオン
源302から放出される不要イオン306’を除去し
た。この質量分離絞り315’位置には、更に、ゲート
バルブを338を設置し、試料室339と、集束レンズ
314’やステンシルマスク309が設置されたイオン
光学系室340との真空分離ができるようにした。これ
により、試料317’の交換時にイオン源302やイオ
ン光学系を大気に曝すことなく高真空が維持できるとい
う効果を有する。
【0057】(実施例3)本実施例3では、本発明によ
るイオン注入装置のうち、特に、試料に投射したステン
シルマスクの像歪みを口径比の5次まで実質的に消去で
きる手段を備えたイオン注入装置を説明する。
【0058】従来例としては、ステンシルマスクのパタ
ーンをレジストに露光する装置としてイオン投射リソグ
ラフィ装置が特開平2−65117号(公知例5)があ
る。
【0059】さて、上記公知例5や本発明の装置等、ス
テンシルマスを用いるイオン投射装置においては、イオ
ン投射加工のスループットを向上させるために、できる
だけ大きなステンシルマスクを使えることが要求され
る。これは複数の小さなステンシルマスクを交換する作
業が増えるとスループットが低下するためである。ま
た、このような装置においては、試料上でのステンシル
マスクの像の歪みをできるだけ小さくすることが求めら
れる。ところが、これらは相反する要求で、ステンシル
マスクを投射するためのレンズ(軸対称の電磁レンズま
たは静電レンズ)は除去できない大きな幾何収差を持
ち、ステンシルマスクを大きくするとそのレンズの軸外
部分を使用するので投射したステンシルマスクの像は周
辺部に行くほど大きく歪む(像位置がずれる)からであ
る。一方、上記レンズの大きさは現状では直径数10c
mくらいが技術的に、また、装置として一般的寸法とし
て限度である。従って、限られたレンズの大きさに対
し、できるだけ大きなステンシルマスクを用いて、歪が
できるだけ小さい像を形成する光学系が求められる。
【0060】レンズの口径(またはレンズの厚み)に対
するステンシルマスクの大きさ(またはステンシルマス
クを透過したビームがレンズを通る部分の大きさ)の比
を口径比B(Bは1より十分小さい)とすると、投射し
た像の歪み(像の端で生じる像ずれの大きさ)は、Bの
n乗(nは正の奇数)に比例する量で表される。単純な
1段レンズでは3次(n=3)の歪みが最低次数の歪み
である。図16にBとBのn乗との関係をグラフに示
す。この図から判ることは、もし何らかの方法で実質的
に低次の歪みを消去することができれば、一定の像歪み
の許容値のもとで、より大きなステンシルマスクが使え
ることである。
【0061】上記公知例5では2段の投射レンズを用
い、試料上に投射されるステンシルマスクの像の3次歪
みを実質的に消去する工夫、つまり、試料の高さを収束
面に対して少し上にずらす方法を使っている。この方法
によって、単純な1段の投射レンズを使うシステムに比
べ、より大きなステンシルマスクを使うことができる。
しかしながら、上記従来の技術では試料に投射したステ
ンシルマスクの像にはまだ5次の歪みが残っているた
め、あまり大きなステンシルマスクを使うことはできな
い。
【0062】上記課題を解決するために、本実施例3で
は以下の改良を行なっている。(1)照射光学系に照射
レンズを設け、この照射レンズでステンシルマスクにイ
オンビームを照射するとともにステンシルマスクの前方
に上記イオンビームの収束点を作るように動作させる。
(2)投射光学系には投射レンズを1段のみ設け、照射
レンズの収束点がこの投射レンズのほぼ中心になるよう
に配置する。(3)照射光学系内にステンシルマスク上
でイオンビームを走査する走査偏向器を設ける。(4)
上記走査と連動して、上記照射レンズの収束点の位置ず
れを補正する手段を設ける。
【0063】上記(1)および(2)の手段によって、
投射レンズの軸外を使用しないので試料上での像歪みは
僅かしか残らない。正確には、投射レンズは照射光学系
の3次幾何収差で生じる上記収束点の広がりによって間
接的に僅かな像歪みを生じる。ここでは、照射光学系
(照射レンズや走査偏向器)の大きさがステンシルマス
クの大きさを間接的に制限し、上記像歪みは口径比(照
射光学系の口径対ステンシルマスクの大きさ)の9(=
3×3)次が最低次となる。すなわち、口径比の9次未
満の像歪みは実質的に消去される。また、投射レンズを
上記収束点の広がりに対して十分大きくすれば、像歪み
の絶対値も小さくなる。さらに、上記(3)および
(4)の手段によって、照射光学系の幾何収差が補正し
僅かに残った試料上の像歪みが更に小さくなる。正確に
はイオンビームの走査と連動して照射光学系の最低次の
3次幾何収差を、軸外の部分ごとに部分的に補正するこ
とにより(5次幾何収差は残る)、投射レンズが間接的
に発生する像歪みは上記口径比の15(=5×3)次が
最低次となる。すなわち、口径比の15次未満の像歪み
は実質的に消去される。
【0064】〈実施例3の第1形態〉以下、本発明によ
るイオン注入装置の具体的な実施例の詳細を図とともに
説明する。図15は本発明によるイオン注入装置を示す
構成図であり、図16はステンシルマスク対レンズ口径
比と像歪みとの関係を示す模式図である。本装置は、イ
オン源401(ホウ素イオンを放出する液体金属イオン
源)より引き出されたイオンビーム402は、照射光学
系403によりステンシルマスク404に照射される
(加速電圧は10kV)。ステンシルマスク404には
パターンを持つ貫通孔が設けられ、ステンシルマスク4
04はマスクステージ405に保持されている。ステン
シルマスクを透過したイオンビーム402は投射光学系
406により試料407に投射される(加速電圧は10
kV)。投射光学系406はステンシルマスク404の
像を試料407上に縮小して投射する(縮小率は1/
8)。試料407は試料ステージ408に移動可能に保
持されている。
【0065】照射光学系403は照射レンズ410(3
枚電極の静電レンズ)と、レンズ411(2枚電極の静
電レンズ)と制限アパチャ412とを含む。レンズ41
1はイオンビーム402を必要十分な強度で引き出すも
ので、不要な分は制限アパチャ412で制限している。
イオンビーム402の電流は約200nAである。照射
レンズ410はイオン源の像を約1倍で結像するように
イオンビーム402を集束しながら、ステンシルマスク
404に照射している。照射レンズ410の中心とイオ
ン源401の距離は約700mmである。照射レンズ4
10は加速モードのアインツエルレンズをなしており、
その両端の電極は接地され、中心電極は約−26kVに
保たれている。照射レンズ410の厚みは500mm、
直径は600mmである。ここで、一度に投射可能なス
テンシルマスク404のパターンの大きさは25mm角
である。
【0066】投射光学系406は投射レンズ420(3
枚電極の静電レンズ)と、ブランキング偏向器421
(2極の静電偏向器)と、ブランキングアパチャ422
とを含んでいる。イオンビーム402はブランキング偏
向器421によってブランキングアパチャ422上で偏
向されることにより試料407から遮断される。投射レ
ンズ420はステンシルマスク404の像を試料407
上に1/8倍で結像するようにイオンビーム402を収
束する。投射レンズ420の中心とステンシルマスク4
04との距離は約600mmである。投射レンズ420
は加速モードのアインツエルレンズであり、その両端の
電極は接地され、中心電極は約−39kVに保たれてい
る。ただし、倍率補正のために投射レンズ420の最終
段の電極と試料407は同電位に保たれ、接地電位より
数V変えられるようにしてある。投射レンズ420の厚
みは100mm、直径は150mmである。
【0067】本実施例の特徴は、投射光学系406に1
段のみの投射レンズ420を設けるとともに、照射光学
系403に照射レンズ410を設けて、ステンシルマス
ク404を透過したイオンビーム402を投射レンズ4
20のほぼ中心に集束させることにある。これにより、
試料407上に投射されたステンシルマスク404の像
には口径比の9次未満の歪みが実質的に消去される。像
歪みの許容値を一定とすると、図16からわかるよう
に、従来の5次の像歪みがある場合と比べて倍程度の大
きさのステンシルマスクが使えることになる。実際に試
料407上に投射した25mm角のステンシルマスク4
04の像は、その端で像歪み(ズレ)が約0.5μm、
像ぼけが0.3μmと非常に小さいものであった。
【0068】ここで、投射レンズ420と照射レンズ4
10との強度調整の一つの方法を示す。格子状にマーク
パターンを配置したステンシルマスク404を用意し、
まず、投射レンズ420の強度をいくつか変えて、レジ
ストを塗った試料407を露光、現像して中心のマーク
パターンの像ぼけを計測する。このぼけが最小になるよ
うに投射レンズ420の強度を設定する。次に、照射レ
ンズ410の強度を幾つか変えて、レジストを塗った試
料407を露光、現像してマークパターン全体の像分布
を計測する。このマークパターンの像分布が中心近傍で
樽型と糸巻き型の中間になるように照射レンズ強度を設
定する。
【0069】本実施例によれば、投射されたステンシル
マスクの像の歪みが微小になるのでイオン注入の寸法精
度が向上する効果がある。また、イオン注入の寸法精度
を従来のままにすると、ステンシルマスクを倍程度の大
きさにできるのでイオン注入のスループットを約4倍に
できる効果がある。なお、本実施例では投射レンズ42
0に3枚電極の静電レンズを使っているが、3枚電極は
試料407へのイオンビーム402の加速電圧が50k
V位までの低い場合に十分なレンズ作用を得るために有
効なものである。2枚電極の静電レンズでも4枚以上の
電極の静電レンズでも同様な作用は行なえるが、3枚以
上の電極を持つ静電レンズでは各電極の電位配分を少し
変えることによって、レンズ主面をずらしレンズ倍率を
補正できる利点がある。
【0070】〈実施例3の第2形態〉実施例3の第2形
態の概略構成図を図17に示す。イオン源441(リン
イオン放出用液体金属イオン源)より引き出されたイオ
ンビーム442は照射光学系403’により、ステンシ
ルマスク404に照射される(加速電圧は10kV)。
ステンシルマスク404を透過したイオンビーム442
は投射光学系406’により試料407に照射される
(加速電圧は20kV)。投射光学系406’はステン
シルマスク404の像を試料407上に縮小して投射す
る(縮小率は1/8)。ステンシルマスク404やマス
クステージ405、照射レンズ410、試料ステージ4
08は図15と同じである。
【0071】照射光学系403’は照射レンズ410
(3枚電極の静電レンズ)と、レンズ411’(3枚電
極の静電レンズ)と、制限アパチャ412’と、E×B
質量分離器414と、アライメント偏向器415と、ブ
ランキング偏向器421’(2極の静電偏向器)と、ブ
ランキングアパチャ422’と、走査偏向系430とを
含んでいる。レンズ411’(3枚電極静電レンズ)は
イオンビーム442を必要十分な強度で引き出し、クロ
スオーバ413を形成する。イオンビーム442の不要
な分は制限アパチャ422’で制限されている。イオン
ビーム442はブランキング偏向器421’によってブ
ランキングアパチャ422’上で偏向されることにより
試料407から遮断される。またイオンビーム442の
うち不要なイオン種成分はE×B質量分離器414によ
り質量分離アパチャを兼ねたブランキングアパチャ42
2’上で偏向されることにより試料407から遮断され
る。なお、E×B質量分離器414はイオンビーム44
2のクロスオーバ413をその中心に配置しており色収
差の発生を抑えている。アライメント偏向器415はイ
オンビーム442を偏向して、イオンビーム442の軸
が照射レンズ410と投射レンズ420の中心軸に通る
ようにする。なお、質量分離器414と、ブランキング
偏向器421’、ブランキングアパチャ422’とを照
射光学系403’内に設けたのはイオンビーム442の
照射によるステンシルマスク404の劣化を抑えるため
であって、これらを投射光学系406’内に設けても作
用は変わらない。
【0072】投射光学系406’は、投射レンズ420
(3枚電極の静電レンズ)と、位置補正偏向器423
(8極の静電偏向器)と、制限アパチャ424と、回転
補正器425(電磁コイル)を含んでいる。位置補正偏
向器423はステンシルマスク404を透過したイオン
ビーム442を試料407上で偏向することで試料40
7上でのステンシルマスク404の像位置を補正する。
制限アパチャ424は装置内で散乱したイオンビームな
どを除去する。回転補正器425はレンズ強度の無視で
きる電磁レンズで、ステンシルマスク404を透過した
イオンビーム442を回転させて試料407上でのステ
ンシルマスク404の像回転を補正する。投射レンズ4
20は上記第1形態と同じであるが、イオンビーム44
2を10kVから20kVに加速するために両端の電極
に印加する電圧を非対称にした。
【0073】本実施例の第1の特徴は、投射光学系40
6’に投射レンズ420(3枚電極の静電レンズ)を1
段のみ設けるとともに、照射光学系403’に照射レン
ズ410(3枚電極の静電レンズ)を設けて、イオンビ
ーム442を投射レンズ420のほぼ中心に集束させる
ことにある。これによって、試料上での像歪みがレンズ
口径比の9次未満は消去される。第2の特徴は、イオン
ビーム442のクロスオーバ413に偏向中心を持つ走
査偏向系430によりイオンビーム402をステンシル
マスク404上で走査することである。これにより、イ
オンビーム442の強度分布に左右されずにステンシル
マスク404上でのイオン照射分布を一様にすることが
可能となる。走査偏向系430は非点補正器を兼ねた主
走査偏向器431(8極の静電偏向器)と副走査偏向器
432(8極の静電偏向器)からなり、その合成偏向中
心がクロスオーバ413になるように偏向の強度比を設
定してある。E×B質量分離器414がない場合には走
査偏向器を一段にして、その中心をクロスオーバ413
においてもよい。本実施例の第3の特徴は、イオンビー
ム2の走査偏向系430によるステンシルマスク4上で
の走査と連動して照射光学系403’によるイオンビー
ム442の収束状態を補正(ダイナミック補正)するこ
とにある。照射レンズ410の軸外にイオンビーム44
2を通すと、そこでは3次幾何収差のために軸外方向に
少しレンズ作用が強く働くので、イオンビーム2の収束
点が投射レンズ420に対して少し手前外側にずれる。
そこで、非点補正器431の強度を上げるとともに、照
射レンズ410の強度を少し下げることによって、上記
収束点のずれを補正する。なお、照射レンズ410の強
度を調整する代わりにレンズ411’の強度を変えても
同様の作用ができる。これにより、試料407上に投射
されたステンシルマスク404の像に口径比の15次未
満の歪みが実質的に消去できる。像歪みの許容値を一定
とすると図16から判るように、従来の5次の像歪みが
ある場合と比べて3倍程度の大きさのステンシルマスク
が使えることになる。さらには、上記走査に合わせて走
査偏向系430の偏向強度比を変えて上記集束点の横方
向のずれも補正すると、試料407上でのステンシルマ
スク404の像ぼけがさらに改善される。実際に全ての
ダイナミック補正を行なった状態で、試料407上に投
射した40mm角のステンシルマスク4の像は、その端
で像歪み(ずれ)が約0.4μm、像ぼけが0.5μmと
非常に小さいものであった。
【0074】ここで、投射レンズ420と照射レンズ4
10との強度調整の一つの方法を示す。基本的な方式は
第1形態で説明したものと同じであるが、次に示す点を
それぞれ変更する。すなわち、(1)試料として検出マ
ークを一つ備えたものを用意する。(2)イオンビーム
をステンシルマスク上の特定のマークのみを照射するよ
うに走査偏向系を調整する(この間、走査はしない)。
(3)試料407上の検出マークを上記ステンシルマス
ク404上の特定のマークに対応する位置になるように
試料ステージ408を移動する。(4)イオンビーム4
42を位置補正偏向器でライン状に走査し、図示されて
いない2次電子検出器でイオン照射によってマークから
発生する信号を捕える。(5)上記信号をマークの露光
像の代わりとして、そのぼけや位置ずれを判断する。上
記のようにすれば、第1形態のようにレジストの露光、
現像の作業を伴わずに実時間で投射レンズ420と照射
レンズ410との強度調整ができる。
【0075】本実施例によれば、投射されたステンシル
マスクの像の歪みが微小になるので、イオン注入精度が
向上させる効果がある。また、イオン注入精度を従来の
ままにすると、ステンシルマスクを3倍程度の大きさに
できるのでイオン注入のスループットを約9倍にできる
という効果がある。なお、本第2形態では、走査偏向系
を照射レンズの前段に配置したが、これを逆転すること
もできる。この場合、走査偏向系の口径を大きくする必
要があるが、上記実施例と同様の効果がある。この場合
の走査偏向系430の偏向中心となるイオンビーム40
2のクロオーバは投射レンズ420の中心である。ま
た、照射光学系403’内にクロスオーバ413を作ら
なくても試料像の歪みの改善には同様の効果がある。こ
の場合の走査偏向系430の偏向中心となるイオンビー
ム402のクロスオーバーはイオン源441の仮想物点
である。
【0076】上述した本発明による2つの形態のイオン
注入装置によって、試料上に投射されるステンシルマス
クの像歪みを微小にできるので、試料に高精度でイオン
注入ができる効果があるとともに、大きなステンシルマ
スクを使えるのでイオン注入のスループットを向上させ
ることができる。
【0077】また、上記実施例3では2形態のイオン注
入装置の例を示したが、ここで示したイオン光学系の基
本思想は投影型イオン縮小露光装置や、投影型イオン光
学系と反応ガス供給系を兼ね備えて微細パターンエッチ
ングや微細パターンデポジションを行なう微細パターン
加工装置など投影型イオンビーム装置、更には投影型電
子ビーム投射装置にも同様に適用できる。電子投射装置
の場合には静電レンズや静電偏向器を、電磁レンズや電
磁偏向器に置き換えることが可能である。
【0078】(実施例4)図8、図9で示したように、
予め設けたマークを基準にパターンイオンビームの投射
位置を定めた。本実施例は、その具体的実施方法を示
す。
【0079】例えば図17においてステンシルマスク4
04には、イオン注入領域に対応する開口パターンの近
傍に小開口を設置し、試料407にはマークを形成して
おく。マークは図8、9のような凹部でもよいし、凸型
のものでもよい。この形成方法は問わない。次に、イオ
ンビームをステンシルマスク上の上記小開口のみを照射
するように走査偏向系を調整する。この時、イオンビー
ムはステンシルマスク上で走査させない。試料407上
のマークをステンシルマスク404上の小開口に対応す
る位置になるように試料ステージ408を移動する。イ
オンビーム442を位置補正偏向器でライン状に走査
し、図示されていない2次電子検出器でイオン照射によ
ってマークから発生する信号を捕える。事前に求めた小
開口を通過して試料に投射させる位置と開口パターンを
通過して試料に投射される位置の関係と、上の操作よっ
て得たマーク位置を基に、所望のイオン注入領域に開口
パターンを通過したイオンビームが投射する位置に試料
ステージ位置を補正する。このような操作によって所望
の位置にイオン注入することができる。
【0080】また、別の例として、図12から図15、
図17に示されているイオン光学系に走査型電子顕微鏡
を設置する例である。イオンビームの投射領域の近傍の
試料表面状態を走査型電子顕微鏡による2次電子像によ
って観察することができる。電子ビーム軸とイオンビー
ム軸のズレを事前に計測しておき、電子ビームによって
試料上のマークを検出して、その時のマーク座標からイ
オン注入すべき領域の座標を計算し、事前に計測した電
子ビーム軸とイオンビーム軸のズレを考慮して、イオン
ビーム軸に所望のイオン注入領域の中心が来るように試
料ステージを補正した後、所望のパターンのイオン注入
を行なってもよい。
【0081】(実施例5)本実施例は、複数個の処理室
を持ち、その内の少なくとも1個のチャンバが実施例2
または実施例3で示したイオン注入装置であるマルチチ
ャンバプロセス装置の上面図である。このマルチチャン
バプロセス装置は、プロセスチャンバ500、501、
502、503とロードロックチャンバ504A、50
4Bが、ウェハハンドラ505、505’を備えてウェ
ハ506、506’を夫々のチャンバに搬送する搬送チ
ャンバ507にゲートバルブ508A、508B、50
8C、508D、508E、508Fを介して結合され
た装置で、基本的にはウェハを大気に触れさせることな
く連続して複数のプロセスが処理できる。チャンバの
数、各チャンバに設置する装置はこの例に限定されるこ
とはない。
【0082】図15におけるチャンバ500、501、
502、503は本発明によるイオン注入装置であり、
特に、チャンバ500、502はボロンイオンを注入す
るためのイオン源とステンシルマスクを有するイオン注
入装置であり、501、503はそれぞれリンイオン、
ヒ素イオンを注入するためのイオン注入装置である。ロ
ードロックチャンバ504Aに投入したウェハ509
は、ゲートバルブ508F開放後、ウェハハンドラ50
5によって搬送チャンバ507に導入される。ゲートバ
ルブ508E閉鎖後、ゲートバルブ508Aを開放し、
ウェハ509(506)を本発明によるイオン注入装置
のサンプルステージ(図示せず)に設置する。その後、
ゲートバルブ508Aを閉鎖し、所定の真空度まで真空
引きするが、各チャンバとも超高真空状態であるため、
イオン注入装置におけるステージの排気は短時間で済
む。この状態で、ボロンパターンイオンビームによるイ
オン注入を開始する。所定のイオン注入条件でウェハ全
体に渡ってイオン注入することでこの工程は完了する。
必要な場合、ウェハ506をチャンバ500からチャン
バ501に移動させ、次のイオン注入を開始する。この
間のゲートバルブの開閉は上記と同様である。また、チ
ャンバ502には、チャンバ500と別のパターンを有
するステンシルマスクを設置して、別工程のイオン注入
を並行して行なってもよい。このような工程により、少
なくとも1種類のイオン注入を確実に、短時間に、更
に、大気に曝すことなく実行できる。このように、本発
明によるイオン注入装置はレジストを必要としないた
め、レジスト塗布、洗浄というウエットな工程がなくな
り完全ドライ化され、他のドライプロセス用半導体製造
装置、分析装置と連結させることができる。これによ
り、半導体装置の製造が効率的となるとともに、歩留り
が向上した。
【0083】以上の本実施例で示したイオン注入方法お
よびイオン注入装置による効果をまとめると以下のよう
になる。
【0084】(1)半導体プロセスにおいて、レジスト
レスでイオン注入できるため、レジスト塗布、露光、現
像、従来のイオン注入、アッシング工程が削減される。
それに伴って、これら装置に係る担当者の人件費、装置
の運転費用、メンテナンス費が削減され、更に、これら
装置と本発明によるレジストレスイオン注入装置の置換
により、半導体製造装置の占有床面積が削減される。こ
れらを総合的に評価して、本発明によるレジストレスイ
オン注入方法を用いることで、半導体装置の製造コスト
を削減することができた。
【0085】(2)本発明によるイオン注入方法は、レ
ジストが不要であるため、レジスト塗布というウエット
工程がなくなり、イオン注入前後の工程が完全ドライ化
できる。これにより、多数の製造装置を連結したマルチ
チャンバプロセス装置に取り付けることができる。
【0086】(3)上記(1)に記載の如くイオン注入
前後の工程が削減されるため、各工程間のウェハの搬送
作業が削減される。これに伴い搬送時に生じる異物の付
着などの危険性が低減され、デバイス製造の歩留が向上
する。
【0087】
【発明の効果】本発明によるイオン注入方法およびその
装置によって、従来、イオン注入工程の前後に行われて
いたレジスト塗布、露光、現像、従来のイオン注入さら
にアッシングによるレジスト除去などレジスト工程が削
減され、半導体装置製造に関わる時間的、経済的削減が
実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるイオン注入方法の概念を説明する
ための概略図である。
【図2】本発明によるイオン注入装置の概略を説明する
ための図である。
【図3】本発明によるイオン注入装置の概略を説明する
ための図で、特に(a)は所望のイオン注入領域のパター
ン、(b)は(a)のパターンに対応するステンシルマスク
例を示す図である。
【図4】本発明によるイオン注入方法の概念を説明する
ための図である。
【図5】メモリチップ内の概略構成を説明するためのブ
ロック図である。
【図6】メモリチップ内のウエル領域の形成レイアウト
の一例であり、特に(a)はp型ウェル領域のパター
ン、(b)はn型ウェル領域のパターンを示すための図で
ある。
【図7】電圧印加回路とウェル領域の関係の一例を説明
するため図で、特に(a)はn型とp型の小ウェル領域
が混在する場合で、(b)はn型MOSトランジスタ同
士、p型MOSトランジスタ同士をまとめて同じウェル
領域に形成した例を説明するための図である。
【図8】本発明によるイオン注入方法を用いた半導体装
置の形成方法の概略を示す図で、特に、ウェル領域の形
成手順を説明するための断面図である。
【図9】本発明によるイオン注入方法を用いた半導体装
置の形成方法の概略を示す図で、特に、ウェル領域に厚
膜の酸化膜を形成する手順を説明するための断面図であ
る。
【図10】本発明によるイオン注入方法を用いた半導体
装置の形成方法の概略を示す図で、特に、チャネルドー
プ層を形成するための手順を説明するための断面図であ
る。
【図11】本発明によるイオン注入方法を用いた半導体
装置の形成方法の概略を示す図で、特に、拡散層を形成
する方法を示す断面図である。
【図12】本発明によるイオン注入装置の一実施例の概
略構成を示す図である。
【図13】本発明によるイオン注入装置の別の実施例の
概略構成を示す図である。
【図14】本発明によるイオン注入装置の更に別の実施
例の概略構成を示す図である。
【図15】本発明による別のイオン注入装置の構成を示
す図である。
【図16】ステンシルマスク対レンズ口径比と像歪みの
関係を示す図である。
【図17】本発明による更に別のイオン注入装置の構成
を示す図である。
【図18】本発明によるイオン注入装置の別の実施例
で、特にマルチチャンバプロセス装置に適用した例を説
明するための概略構成図である。
【図19】ホトレジスト工程を経る従来のイオン注入方
法を用いた半導体装置の形成方法の概略を示す図で、特
に、ウェル領域の形成手順を説明する図である。
【図20】ホトレジスト工程を経る従来のイオン注入方
法を用いた半導体装置の形成方法の概略を示す図で、特
に、チャネルドープ領域の形成手順を説明する図であ
る。
【図21】従来用いられているイオン注入装置の概略構
成図である。
【図22】ホトレジストを用いる従来のイオン注入方法
を説明するための図である。
【図23】従来のイオン注入方法を用いて形成される半
導体装置の断面形状である。
【図24】細束ビームでイオン注入を行なう集束イオン
ビーム装置の概略構成図である。
【図25】試料に近接してステンシルマスクを設置した
イオン注入法の従来例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…開口パターン、2、12…ステンシルマスク、3…
イオンビーム、4…パターンイオンビーム、5、18…
イオン投射光学系、7…試料、8…イオン注入領域、1
0…イオン注入装置、11…イオン源、15…イオン照
射光学系。40…イオンビーム、41…レジスト、42
…ウェハ、43…イオン注入すべき領域(開口)、44
…イオン注入領域。50…イオンビーム、51…レジス
トマスク、52…試料、53…開口パターン、65…レ
ジスト、102…質量分離器、105…質量分離絞り、
108…パターンイオンビーム、109…不要イオン、
110…ゲートバルブ。201…シリコン基板、20
2、216…シリコン酸化膜、203、207、22
0、232、235…ステンシルマスク、204…リン
イオン、205、222、234…n型イオン注入領
域、208、217、233…フッ化ボロンイオン、2
09、118、234…p型イオン注入領域、210、
245…n型ウェル領域、211…p型ウェル領域、2
15、241…シリコン窒化膜、221、236…ヒ素
イオン、231…多結晶シリコン層。302…イオン
源、311…イオン照射光学系、319…イオン投射光
学系、313…パターンイオンビーム、401、441
…イオン源、403、403’…照射光学系、404…
ステンシルマスク、405…マスクステージ、406、
406’…投射光学系、407…試料、408…試料ス
テージ、410…照射レンズ、420…投射レンズ、4
22、422’…アパチャ。MAT…メモリマット、X
DEC…行デコーダ、AD…外部アドレス信号、XSD
EC…電圧印加回路、SAC…センスアンプ、YDEC
…列デコーダ、I/O…入出力、CS…チップ選択信
号、CHIP…チップ、CTRL…制御回路、 PW-
MAT、PW-XSDEC、PW-XDEC、PW-SA
C、PW-YDEC、PW-I/O、PW-CTRL…p型
ウェル領域のパターン NW-XSDEC、NW-XDEC、NW-SAC、NW-
YDEC、NW-I/O、NW-CTRL…n型ウェル領
域のパターン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 間所 祐一 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 黒田 勝広 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 早田 康成 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (43)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ドーパントイオンを放出するイオン源から
    引出したイオンビームを、開口パターンを有するステン
    シルマスクに照射し、上記開口パターンを通過したパタ
    ーンイオンビームをイオン投射光学系によって試料に投
    射することで、上記試料にイオン注入領域を形成するこ
    とを特徴とするイオン注入方法。
  2. 【請求項2】半導体装置製造プロセスにおけるイオン注
    入方法であって、ドーパントイオンを放出するイオン源
    から引出したイオンビームをイオン照射光学系によって
    開口パターンを有するステンシルマスクに照射し、上記
    開口パターンを通過したイオンビームをイオン投射光学
    系によって半導体基板に投射することで、上記半導体基
    板内にドーパントイオンの注入領域を形成することを特
    徴とするイオン注入方法。
  3. 【請求項3】ドーパントイオンを放出するイオン源から
    引出したイオンビームを、イオン照射光学系によって開
    口パターンを有するステンシルマスクに照射し、上記開
    口パターンを通過したイオンビームをイオン投射光学系
    によって半導体基板に投射することで、上記半導体基板
    内にドーパントイオンの注入領域を形成する半導体装置
    製造プロセスにおけるイオン注入方法において、第1の
    ステンシルマスクによって第1イオン種のイオン注入領
    域を形成する第1イオン注入工程および、少なくとも第
    2のステンシルマスクによって第2イオン種のイオン注
    入領域を形成する第2イオン注入工程とからなることを
    特徴とするイオン注入方法。
  4. 【請求項4】請求項2または3記載のイオン注入方法
    が、特に、その前工程に上記半導体基板面上にイオン注
    入領域を限定するホトレジストマスクのパターン形成工
    程を伴わないことを特徴とするイオン注入方法。
  5. 【請求項5】半導体装置製造プロセスにおけるイオン注
    入方法であって、ドーパントイオンを放出するイオン源
    から引出したイオンビームを開口パターンを有するステ
    ンシルマスクに照射し、上記開口パターンを通過したイ
    オンビームをイオン投射光学系によって半導体基板に投
    射することで、半導体基板表面に形成した厚膜酸化膜に
    よって注入領域が制限された半導体基板内にドーパント
    イオンの注入領域を形成することを特徴とするイオン注
    入方法。
  6. 【請求項6】請求項1から5のいずれかに記載のイオン
    注入方法において、特に、上記試料または半導体基板が
    シリコンであり、かつ、上記試料に投射されるイオン種
    がホウ素、リン、ヒ素のうちの少なくともいずれかを含
    むことを特徴とするイオン注入方法。
  7. 【請求項7】請求項1から6のいずれかに記載のイオン
    注入方法において、特に、上記開口パターンを通過した
    イオンビームの投射および停止、試料の移動を順次繰り
    返すことで、上記試料または半導体基板に同形のイオン
    注入領域を少なくとも2箇所以上形成することを特徴と
    するイオン注入方法。
  8. 【請求項8】半導体装置製造プロセスにおけるイオン注
    入方法であって、ドーパントイオンを放出するイオン源
    から引出したイオンビームを、開口パターンを有するス
    テンシルマスクに照射し、上記開口パターンを通過した
    イオンビームをイオン投射光学系によって半導体基板に
    投射することで、レジスト工程を経ることなく上記半導
    体基板にウェル領域を形成することを特徴とするイオン
    注入方法。
  9. 【請求項9】請求項8記載のイオン注入方法において、
    特に、第1のステンシルマスクによって上記半導体基板
    に第1イオン種によるウェル領域を形成する第1イオン
    注入工程と、第2のステンシルマスクによって上記半導
    体基板に第2イオン種によるウェル領域を形成する第2
    イオン注入工程とからなることを特徴とするイオン注入
    方法。
  10. 【請求項10】半導体装置製造プロセスにおけるイオン
    注入方法であって、ドーパントイオンを放出するイオン
    源から引出したイオンビームを、開口パターンを有する
    ステンシルマスクに照射し、上記開口パターンを通過し
    たイオンビームをイオン投射光学系によって半導体基板
    に投射することで、上記半導体基板にチャネルドープ領
    域を形成することを特徴とするイオン注入方法。
  11. 【請求項11】請求項10記載のイオン注入方法におい
    て、特に、第1イオン種のイオン注入による第1チャネ
    ルドープ領域を形成する第1イオン注入工程、および、
    ステンシルマスクの開口パターンを通過した第2イオン
    種のイオンビームによるイオン注入を上記第1チャネル
    ドープ領域のうちの一部に対して行なって第2チャネル
    ドープ領域を形成する第2イオン注入工程とからなるこ
    とを特徴とするイオン注入方法。
  12. 【請求項12】半導体装置製造プロセスにおけるイオン
    注入方法であって、ドーパントイオンを放出するイオン
    源から引出したイオンビームを、開口パターンを有する
    ステンシルマスクに照射し、上記開口パターンを通過し
    たイオンビームをイオン投射光学系によって半導体基板
    に投射することで、上記半導体基板にドーパントイオン
    注入領域を形成するイオン注入方法において、特に、イ
    オン注入前に、半導体基板表面に形成した厚膜酸化膜ま
    たは多結晶シリコンのうちの少なくとも何れかによって
    イオン注入制限領域を形成する工程を施すことを特徴と
    するイオン注入方法。
  13. 【請求項13】請求項7から11のいずれかに記載のイ
    オン注入方法が、特に、上記試料へのイオン注入量が1
    ×1011個/cm2以上、かつ、1×1014個/cm2
    満であるか、上記試料に投射されるイオンビームのエネ
    ルギが30keV以下のうちのいずれかであることを特
    徴とするイオン注入方法。
  14. 【請求項14】請求項1から3のいずれかに記載のイオ
    ン注入方法において、上記イオン照射光学系内でイオン
    ビームの質量分離を行ない、ドーパントイオンのみで上
    記ステンシルマスクを照射することを特徴とするイオン
    注入方法。
  15. 【請求項15】請求項1から3のいずれかに記載のイオ
    ン注入方法において、上記試料または上記半導体基板上
    のイオン注入領域が、特に、前記ステンシルマスクの開
    口パターンとほぼ相似的に縮小した領域であることを特
    徴とするイオン注入方法。
  16. 【請求項16】請求項1から4のいずれかに記載のイオ
    ン注入方法において、特に、上記試料が化合物半導体で
    あり、かつ、上記試料に投射されるイオン種がシリコ
    ン、ベリリウム、マグネシウム、セレン、酸素、イオウ
    のうちの少なくともいずれかを含むことを特徴とするイ
    オン注入方法。
  17. 【請求項17】ドーパントイオンを放出するイオン源か
    ら引出したイオンビームを、所望のイオン注入領域に対
    応する開口パターンを有するステンシルマスクに照射
    し、上記開口パターンを通過したイオンビームをイオン
    投射光学系によって試料に投射することで、上記試料内
    にドーパントイオンの注入領域を形成するイオン注入方
    法において、 イオン注入に先立ち、上記ステンシルマスクの上記開口
    パターンの近傍に設置した小開口に限定して上記イオン
    ビームを照射して、上記小開口を通過したイオンビーム
    によって試料面に設置したマークを検出し、試料ステー
    ジ位置もしくは上記ドーパントイオンビームの投射位置
    の少なくとも何れかの補正を行なって、イオン注入領域
    の位置決めを行なうことを特徴とするイオン注入方法。
  18. 【請求項18】ドーパントイオンを放出するイオン源か
    ら引出したイオンビームを、所望のイオン注入領域に対
    応する開口パターンを有するステンシルマスクに照射
    し、上記開口パターンを通過したイオンビームをイオン
    投射光学系によって試料に投射することで、上記試料内
    にドーパントイオンの注入領域を形成するイオン注入方
    法において、 イオン注入に先立ち、顕微鏡によって試料面に設置した
    マークを検出し、上記ドーパントイオンビームの投射位
    置が所望のイオン注入領域に一致するように試料ステー
    ジ位置もしくは上記ドーパントイオンビームの投射位置
    の少なくとも何れかの補正を行なってイオン注入領域の
    位置決めを行なうことを特徴とするイオン注入方法。
  19. 【請求項19】ドーパントイオンを放出するイオン源
    と、該イオン源から放出したイオンを質量分離する質量
    分離器と、開口パターンを有するステンシルマスクを搭
    載するマスクステージと、上記ステンシルマスクに上記
    イオン源から放出したイオンビームを照射するイオン照
    射光学系と、上記開口パターンを通過したイオンビーム
    を試料に投射するイオン投射光学系と、試料を保持して
    微動する試料ステージとを少なくとも備えたことを特徴
    とするイオン注入装置。
  20. 【請求項20】ドーパントイオンを放出するイオン源
    と、該イオン源から放出したイオンを質量分離する質量
    分離器と、開口パターンを備えたステンシルマスクを保
    持するマスクステージと、上記イオン源よりイオンビー
    ムを引き出し上記ステンシルマスクに照射する照射光学
    系と、試料を保持して微動する試料ステージと、上記開
    口パターンを通過したイオンビームを上記試料に投射す
    る投射光学系とを少なくとも備えたイオン注入装置にお
    いて、特に、 上記マスクステージは複数のステンシルマスクを保持
    し、更に、上記マスクステージを移動させる駆動手段
    と、上記駆動手段の制御を行なう信号処理装置とを備え
    たことを特徴とするイオン注入装置。
  21. 【請求項21】請求項19または20記載のイオン注入
    装置において、上記イオン源がプラズマイオン源または
    液体金属イオン源、電界電離ガスイオン源のうちのいず
    れかであることを特徴とするイオン注入装置。
  22. 【請求項22】請求項19から21のいずれかに記載の
    イオン注入装置において、特に、上記イオン源において
    イオン化すべき材料がボロン、ヒ素、リン、シリコン、
    ベリリウム、マグネシウム、セレン、酸素、イオウから
    なる群のうちの少なくともいずれかを含むガスまたは合
    金もしくは化合物であることを特徴とするイオン注入装
    置。
  23. 【請求項23】請求項20記載のイオン注入装置におい
    て、特に、上記イオン源は、複数のドーパントイオンを
    放出するイオン源であるか、または、ドーパントイオン
    を放出する複数個のイオン源からなり、上記信号処理装
    置は少なくとも上記イオン源の放出電流の制御、また
    は、上記複数のイオン源から特定のイオン源を選択する
    信号を発信することを特徴とするイオン注入装置。
  24. 【請求項24】請求項19または20に記載のイオン注
    入装置において、上記イオン源から試料面に至るイオン
    ビーム光学軸が鉛直方向であることを特徴とするイオン
    注入装置。
  25. 【請求項25】請求項19または20記載のイオン注入
    装置において、特に、上記イオン照射光学系は、少なく
    とも上記イオン源から放出したイオンビームを質量分離
    する質量分離器と、所望のイオンビームを選択する質量
    分離アパチャを含むことを特徴とするイオン注入装置。
  26. 【請求項26】請求項19または20記載のイオン注入
    装置において、特に、上記イオン照射光学系は、少なく
    ともイオン源から放出したイオンビームを上記ステンシ
    ルマスクにほぼ垂直に照射させるための照射レンズを含
    み、また、上記イオン投射光学系は少なくとも上記ステ
    ンシルマスクを通過したイオンビームを試料に投射させ
    る投射レンズを含み、かつ、上記照射レンズ、上記投射
    レンズのうち、少なくともいずれかが加速モードのアイ
    ンツェルンレンズであることを特徴とするイオン注入装
    置。
  27. 【請求項27】請求項19または20記載のイオン注入
    装置において、上記イオン投射光学系はステンシルマス
    クを通過したイオンビームを試料に投射させる投射レン
    ズを含み、かつ、上記投射レンズの最終電極と試料は同
    電位で、上記投射レンズの最終電極もしくは試料が0か
    ら10Vの出力を有する電源に接続されたことを特徴と
    するイオン注入装置。
  28. 【請求項28】請求項19または20記載のイオン注入
    装置において、上記ステンシルマスクを照射されるイオ
    ンビームのエネルギと、上記試料に投射されるイオンビ
    ームのエネルギは同一であることを特徴とするイオン注
    入装置。
  29. 【請求項29】請求項17記載のイオン注入装置におい
    て、特に、前記ステンシルマスクを通過したパターンイ
    オンビームを集束させる集束レンズのクロスオーバの直
    前または直後にビーム遮断手段または真空遮断手段の少
    なくともいずれかを備えたことを特徴とするイオン注入
    装置。
  30. 【請求項30】請求項10から21のいずれかに記載の
    イオン注入装置において、特に、上記イオン源と上記ス
    テンシルマスクの間に、上記イオン源からの放出イオン
    の拡がりを制限するビーム制限アパチャを備えたことを
    特徴とするイオン注入装置。
  31. 【請求項31】請求項30記載のイオン注入装置におい
    て、特に上記ビーム制限アパチャは、該ビーム制限アパ
    チャを通過したイオンの拡がりの半開角が最大10°と
    なる孔径または位置関係にあることを特徴とするイオン
    注入装置。
  32. 【請求項32】請求項19から31のいずれかに記載の
    イオン注入装置において、特に、上記イオン源からの放
    出イオンの初期エネルギが1から20keVであり、試
    料に投射されるパターンイオンビームの加速エネルギが
    1から40keVであることを特徴とするイオン注入装
    置。
  33. 【請求項33】請求項19から32のいずれかに記載の
    イオン注入装置において、特に、試料へ投射するパター
    ンイオンビームの電流密度が1nA/cm2から10μ
    A/cm2の範囲内であることを特徴とするイオン注入
    装置。
  34. 【請求項34】イオン源と、イオンの透過する開口を備
    えたステンシルマスクを保持するマスクステージと、試
    料を保持し微動する試料ステージと、上記イオン源より
    イオンビームを引き出し上記マスクに照射する照射光学
    系と、上記マスクを透過したイオンビームを上記試料の
    任意位置へ照射して、上記マスクの像を上記試料上に投
    射する投射光学系と、上記イオンビームを遮断する手段
    とを備えたイオン注入装置において、上記投射光学系は
    投射レンズを一段のみ備え、かつ、上記照射光学系が上
    記イオンビームを上記投射レンズのほぼ中心に集束させ
    る照射レンズを備えたことを特徴とするイオン注入装
    置。
  35. 【請求項35】請求項34記載のイオン注入装置におい
    て、上記照射光学系は、上記イオンビームをマスク上で
    走査する走査偏向系を備えるとともに、上記走査偏向系
    の偏向中心が上記イオンビームのクロスオーバにあるこ
    とを特徴とするイオン注入装置。
  36. 【請求項36】請求項35記載のイオン注入装置におい
    て、上記照射光学系は、上記走査偏向系が上記イオンビ
    ームを走査するのと連動して、上記イオンビームの集束
    状態を補正するダイナミック補正手段を備えたことを特
    徴とするイオン注入装置。
  37. 【請求項37】請求項36記載のイオン注入装置におい
    て、上記ダイナミック補正手段は、非点補正器と、集束
    補正レンズとを備えたことを特徴とするイオン注入装
    置。
  38. 【請求項38】請求項36または37記載のイオン注入
    装置において、上記ダイナミック補正手段は、2段以上
    の偏向補正器を備えたことを特徴とするイオン注入装
    置。
  39. 【請求項39】請求項34記載のイオン注入装置におい
    て、上記投射レンズは、3枚電極の静電レンズであるこ
    とを特徴とするイオン注入装置。
  40. 【請求項40】請求項34から36のいずれかに記載の
    イオン注入装置において、上記イオンビームは、イオン
    ビームであり、上記マスクへ照射する上記イオンビーム
    の加速電圧が1〜20kVであり、上記試料上へ照射す
    る上記イオンビームの加速電圧が1〜50kVであること
    を特徴とするイオン注入装置。
  41. 【請求項41】複数個のチャンバおよび、これらと相互
    間のウエハの出し入れを行なうウェハハンドラ、上記複
    数個のチャンバに連結され上記ウェハハンドラを収納す
    るウェハハンドラハウジングから構成されるマルチチャ
    ンバプロセス装置において、上記チャンバのうち少なく
    とも1個が請求項19から40のいずれかに記載のイオ
    ン注入装置であることを特徴とするマルチチャンバプロ
    セス装置。
  42. 【請求項42】請求項1から18のいずれかに記載のイ
    オン注入方法、または、請求項19から40のいずれか
    に記載のイオン注入装置、または、請求項41記載のマ
    ルチチャンバプロセス装置の少なくともいずれかを用い
    て製造されたことを特徴とする半導体装置。
  43. 【請求項43】半導体装置において、隣合うp型ウェル
    領域とn型ウェル領域が、互いのウェル領域の基板表面
    に段差を有しない構造であることを特徴とする半導体装
    置。
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