JPH08295833A - インクジェットプリンタ用インク - Google Patents

インクジェットプリンタ用インク

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JPH08295833A
JPH08295833A JP10208395A JP10208395A JPH08295833A JP H08295833 A JPH08295833 A JP H08295833A JP 10208395 A JP10208395 A JP 10208395A JP 10208395 A JP10208395 A JP 10208395A JP H08295833 A JPH08295833 A JP H08295833A
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JP
Japan
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ink
weight
electrochemical reaction
agent
electrode
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JP10208395A
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English (en)
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Hisahiro Tanaka
久裕 田中
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、電極とインクの電気化学反応を抑
制して電極の寿命を延ばすとともに、たとえ電気化学反
応が生じてもこの電気化学反応を制御して発色剤の種類
による電極の寿命の差をなくすことができ、信頼性に優
れるとともにインクジェットヘッドの耐久性や制御性に
優れたインクジェットプリンタ用インクの提供を目的と
する。 【構成】 本発明のインクジェットプリンタ用インク
は、発色剤と、湿潤剤と、比抵抗調整剤と、発色剤,湿
潤剤及び比抵抗調整剤を溶解する溶剤と、を有するイン
クジェットプリンタ用インクであって、系内に電気化学
反応制御剤が含有され、かつ、25℃において比抵抗が
8〜50Ω・cmである構成を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インク滴を飛翔させて
印字または印画させるインクジェットプリンタに用いら
れるインクジェットプリンタ用インクに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、プリンタにおいて、印字の高速
化、カラー化、低騒音化の要求が高まってきている。こ
こで、インクジェット記録方式のプリンタ(以下インク
ジェットプリンタと称す)は、現在の種々記録方式のプ
リンタの中でも、低騒音ノンインパクト記録方式であ
り、また、インク滴を飛翔させてプリンター用紙上に画
像を形成するため高速記録が可能であり、さらに、普通
紙に特別な定着処理なしに記録できるために、前述の要
求を満足できる極めて有用な記録方式として注目されて
いる。
【0003】インクジェットプリンタの印字機構として
は、大別して連続方式とオンデマンド方式があり、オン
デマンド方式には、ピエゾ素子で駆動するカイザー方
式、ステムメ方式、グールド方式、バブルジェット方式
等がある。ここで、バブルジェット方式とは、インクジ
ェットプリンタ用インク(以下インクと称す)を加熱し
てインク中にバブルを発生させその体積変化でインクを
飛翔させるものである。また、このバブルジェット方式
を応用したものとして、インクに直接通電し、インク自
体のジュール熱により加熱・沸騰させ、バブルの体積変
化によりインクを飛翔させる通電発熱方式等がある。
【0004】これらインクジェットプリンタに使用され
るインクとして、特開昭55−29546号公報(以下
イ号公報と称す)には、0.1〜9重量%の水溶性染
料、7〜45重量%の多価アルコール類および水におけ
るミセル濃度での表面張力が20〜50dyne/cm を示す
界面活性剤を0.35〜25重量%含有し、残部が水か
らなるインクジェット記録用速乾性インクが開示されて
いる。
【0005】以下にイ号公報に開示されたインクを用い
た従来の通電発熱方式のインクジェットヘッドについ
て、図面を参照しながら説明する。図1は従来の通電発
熱方式のインクジェットヘッドを示す要部断面模式図で
あり、図2は図1におけるA−A’線断面模式図であ
る。1は従来の通電発熱方式のインクジェットヘッド、
2は非導電性材料等からなり後述する圧力室6の底面を
形成する基板、3は後述するインク10に電流/電圧を
流すために基板2の上面に所定間隔を持って積層された
一対の電極、4は電極3の露出面積を規定するとともに
後述するインク流路7を形成して基板2及び電極3の上
面に積層された絶縁層、5は絶縁性材料からなり後述す
る隣り合う各ノズル孔9間の干渉を防ぐために絶縁層4
の上面に積層された仕切り部、6は基板2,電極3,絶
縁層4,仕切り部5及び後述するノズルプレート8によ
り形成された圧力室、7はインク10を圧力室6に供給
するために圧力室6に連設されたインク流路、8は仕切
り部5の上面に積層,接着等され圧力室6の上面を形成
するノズルプレート、9はノズルプレート8における圧
力室6の上部に形成されバブルの膨張によりインク10
が吐出されるノズル孔、10はインク流路7から供給さ
れ圧力室6及びノズル孔9に充填されたインク、11は
バブルの膨張によりノズル孔9から吐出されプリンター
用紙(図示せず)に飛翔し印字されるインク滴、12は
電極3を通ってインク10中を流れる電流/電圧を制御
するために電極3に配線された信号発生装置である。
尚、図1中矢印イは信号発生装置12から印加された情
報信号である電流/電圧により電極3間に介在するイン
ク10中に形成される電気力線を示し、また、図1中矢
印ロは信号発生装置12から印加された情報信号である
電流/電圧によりインク10中を流れる電流/電圧の電
流通過部を示すものである。尚、信号発生装置12から
の記録信号である電流/電圧としては、交流電圧,特に
所定の印字周期間に所定のパルス周期を持って印加され
る交互通電電圧等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、インクを、電極とインクが直接接する通電
発熱方式のインクジェットヘッドに適用し、電極から電
流/電圧を通電してインクの沸騰を繰り返していると、
電極の表面がインクとの電気化学反応により酸化されて
しまい、次第にインクに電流/電圧を印加することがで
きなくなり、次第にインクの沸騰に時間がかかるように
なるという問題点を有していた。このため、1ドットを
印字するために規定された沸騰時間内にインクを吐出す
ることができなくなり、比較的短時間で電極が寿命とな
り、記録性等の信頼性や経済性に欠けるという問題点を
有していた。また、カラープリンター等では、ブラック
用の発色剤を用いたインクだけでなく、その他イエロ
ー,マゼンタ,シアン等の各発色剤を用いたインクを使
用しており、このため、発色剤の種類によって、電極と
の電気化学反応による酸化等の程度が異なってしまい、
インクによって電極の寿命が異なるため色再現性に欠け
るとともに制御性や耐久性に欠けるという問題点を有し
ていた。
【0007】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、電極とインクの電気化学反応を抑制して電極の寿命
を延ばすとともに、例え電気化学反応が生じてもこの電
気化学反応を制御して発色剤の種類による電極の寿命の
差をなくすことができ、高品質印字に優れるとともにイ
ンクジェットヘッドの耐久性や信頼性,制御性に優れた
インクジェットプリンタ用インクを提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の請求項1に記載されたインクジェットプリン
タ用インクは、発色剤と、湿潤剤と、比抵抗調整剤と、
発色剤,湿潤剤及び比抵抗調整剤を溶解する溶剤と、を
有するインクジェットプリンタ用インクであって、系内
に電気化学反応制御剤が含有され、かつ、25℃におい
て比抵抗が8〜50Ω・cmである構成を有しており、本
発明の請求項2に記載されたインクジェットプリンタ用
インクは、請求項1において、電気化学反応制御剤が、
エチレンジアミン4酢酸塩,ニトリロ3酢酸塩,モノエ
タノールアミン,ジエタノールアミン,トリエタノール
アミン,N−メチル−ジエタノールアミン,n−モノプ
ロパノールアミンエチレンジアミン等の内いずれか1又
はこれらの混合物である構成を有しており、本発明の請
求項3に記載されたインクジェットプリンタ用インク
は、請求項1又は2の内いずれか1において、電気化学
反応制御剤の含有量が、全系中0.001〜5重量%,
好適には0.1〜1重量%の範囲にある構成を有してお
り、本発明の請求項4に記載されたインクジェットプリ
ンタ用インクは、請求項1乃至3の内いずれか1におい
て、25℃において粘度が10cp以下,好適には5cp以
下であり、及び/又は、表面張力が25〜55dyne/cm
,好適には30〜45dyne/cm であり、及び/又は、
pHが6〜10,好適には7〜9である構成を有してい
る。
【0009】ここで、発色剤は、プリンター用紙等の上
面に印字または印画される印字の色を決定するものであ
る。発色剤としては、ブラック,イエロー,マゼンタ,
シアン等の色を映し出すものが使用される。これら発色
剤として具体的には、直接染料,塩基性染料,酸性染
料,分散染料,反応性染料,スピリット染料等の各種染
料や、カーボンブラック,フタロシアニンブルー,ジオ
キサンイエロー,キナクリドンレッド等の各種顔料が好
適に用いられる。発色剤は、系中に0.5重量%〜10
重量%,好適には1重量%〜5重量%含有されるのが好
ましい。発色剤の含有量が1重量%より少なくなるにつ
れ印字濃度が低下する傾向が現れだし、0.5重量%よ
り少なくなると特にその傾向が著しくなり、発色剤の含
有量が5重量%より多くなるにつれインクがノズルに目
詰まりする傾向が現れだし、10重量%より多くなると
特にその傾向が著しくなるので、いずれも好ましくな
い。
【0010】湿潤剤は、水より沸点の高いものであり、
ノズル孔におけるインクジェットプリンタ用インクの乾
燥を防止するために用いられる。湿潤剤として具体的に
は、ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコー
ル,ブチレングリコール,ヘキシレングリコール等のア
ルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリ
コール,例えばエチレングリコールエチルエーテル,ジ
エチレングリコールメチルエーテル,ジエチレングリコ
ールエチルエーテル等のジエチレングリコールの低級ア
ルキルエーテル,グリセリン等の多価アルコールが挙げ
られる。これら湿潤剤は、単独又は2種以上混合して用
いてもよい。湿潤剤は、系中に0.1重量%〜10重量
%,好適には0.5重量%〜3重量%含有されるのが好
ましい。湿潤剤の含有量が0.5重量%より少なくなる
につれインクジェットプリンタ用インクが乾燥し易くな
りノズル孔が目詰まりする傾向が現れだし、0.1重量
%より少なくなると特にその傾向が著しくなり、湿潤剤
の含有量が3重量%より多くなるにつれインクジェット
プリンタ用インクの比抵抗が上昇する傾向が現れだし、
10重量%より多くなると特にその傾向が著しくなるの
で、いずれも好ましくない。
【0011】比抵抗調整剤は、通電発熱方式のインクジ
ェットプリンタにおいては、インクジェットプリンタ用
インクに導電性を持たせるために必要である。この比抵
抗調整剤としては、塩化アンモニウム,酢酸アンモニウ
ム,塩化ナトリウム,塩化カリウム,塩化リチウム,過
塩素酸リチウム,臭化カリウム等の無機塩類等が挙げら
れる。その他、比抵抗調整剤は下記一般式(化1)で表
される化合物が好適に用いられる。
【0012】
【化1】
【0013】比抵抗調整剤が、一般式(化1)で表され
る化合物である場合、発色剤等を十分に溶剤に溶解させ
ることができ、インクジェットプリンタ用インクの固化
物の析出やカビの発生等による経時劣化を防止すること
ができる。この一般式(化1)で表される化合物の具体
的な例としては、モノエタノールアミン硫酸塩,ジエタ
ノールアミン硫酸塩,トリエタノールアミン硫酸塩,ジ
エタノールアミン塩酸塩,トリエタノールアミン塩酸
塩,トリプロパノールアミン硫酸塩,ジメタノールアミ
ン硫酸塩,ジエタノールアミン硝酸塩等が挙げられる。
これら比抵抗調整剤は、単独又は2種以上混合して用い
てもよい。比抵抗調整剤は、材料により各々導電率が異
なるため添加量は一概には規定できないが1〜40重量
%の範囲が好ましい。
【0014】溶剤は、発色剤や湿潤剤,比抵抗調整剤等
を溶解させるものである。溶剤としては、水やこの水に
混合しうる有機溶剤等が挙げられる。水は、イオン交換
水,純水,蒸留水等が好適に用いられる。また、有機溶
剤としては、メチルアルコール,エチルアルコール,n
−プロピルアルコール,イソプロピルアルコール等のア
ルキルアルコール,アセトン,ジアセトンアルコール等
のケトン又はケトンアルコール,ジメチルホルムアミ
ド,ジメチルアセトアミド等のアミド類,テトラヒドロ
フラン,ジオキサン等のエーテル類,エチレングリコー
ルモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチル
エーテル等のエーテルアルコール類等又はこれらの混合
物が挙げられる。これら水や有機溶剤等は単独又は2種
以上混合して用いてもよい。溶剤として水を単独で使用
する場合、水は、系中に40重量%〜80重量%、好適
には50重量%〜70重量%含有されるのが好ましい。
水の含有量が50重量%より少なくなるにつれインクジ
ェットプリンタ用インクのプリンター用紙への浸透性が
過大となる傾向が現れだし、40重量%より少なくなる
と特にその傾向が著しくなり、水の含有量が70重量%
より多くなるにつれインクジェットプリンタ用インクの
プリンター用紙への浸透性が低下する傾向が現れだし、
80重量%より多くなると特にその傾向が著しくなるの
で、いずれも好ましくない。溶剤として水と有機溶剤等
を混合して使用する場合、水は、系中に30重量%〜8
0重量%,好適には50重量%〜70重量%含有される
のが好ましい。また、有機溶剤等は、系中に0.1重量
%〜10重量%,好適には0.5重量%〜5重量%含有
されるのが好ましい。水の含有量が50重量%より少な
くなるにつれインクジェットプリンタ用インクのプリン
ター用紙への浸透性が過大となる傾向が現れだし、30
重量%より少なくなると特にその傾向が著しくなり、水
の含有量が70重量%より多くなるにつれインクジェッ
トプリンタ用インクのプリンター用紙への浸透性が低下
する傾向が現れだし、80重量%より多くなると特にそ
の傾向が著しくなるので、いずれも好ましくない。ま
た、有機溶剤の含有量が0.5重量%より少なくなるに
つれインクジェットプリンタ用インクのプリンター用紙
への浸透性が低下する傾向が現れだし、0.1重量%よ
り少なくなると特にその傾向が著しくなり、有機溶剤等
の含有量が5重量%より多くなるにつれインクジェット
プリンタ用インクのプリンター用紙への浸透性が過大と
なる傾向が現れだし、10重量%より多くなると特にそ
の傾向が著しくなるので、いずれも好ましくない。
【0015】電気化学反応制御剤は、電極の金属イオン
に優先的に配位し、電極とインクジェットプリンタ用イ
ンクの電気化学反応を防止するものである。この電気化
学反応制御剤としては、エチレンジアミン4酢酸塩,ニ
トリロ3酢酸塩,モノエタノールアミン,ジエタノール
アミン,トリエタノールアミン,N−メチル−ジエタノ
ールアミン,n−モノプロパノールアミンエチレンジア
ミン等が挙げられる。これら電気化学反応制御剤は、単
独又は2種以上混合して用いてもよい。電気化学反応制
御剤は、系中に0.001重量%〜5重量%,好適には
0.01重量%〜3重量%,更に好適には0.05〜1
重量%含有されるのが好ましい。電気化学反応制御剤の
含有量が0.05重量%より少なくなるにつれ電極が酸
化する傾向が現れだし、0.001重量%より少なくな
ると特にその傾向が著しくなり、電気化学反応制御剤の
含有量が1重量%より多くなるにつれ電極が溶解する傾
向が現れだし、5重量%より多くなると特にその傾向が
著しくなるので、いずれも好ましくない。
【0016】また、電気化学反応制御剤の含有量は、発
色剤の種類等に応じて適宜選択するのが好ましい。発色
剤の種類によって酸化能が異なるからである。具体的に
は、インクジェットプリンタ用インク中にブラック用の
発色剤を用いた場合、電気化学反応制御剤の含有量は、
0.05重量%〜3重量%,好適には0.1重量%〜1
重量%,更に好適には0.15重量%〜0.5重量%含
有されるのが好ましい。ブラック用の発色剤を用いた場
合、電気化学反応制御剤の含有量が0.15重量%より
少なくなるにつれ電極が酸化する傾向が現れだし、0.
05重量%より少なくなると特にその傾向が著しくな
り、また、電気化学反応制御剤の含有量が0.5重量%
より多くなるにつれ電極が溶解する傾向が現れだし、3
重量%より多くなると特にその傾向が著しくなるので、
いずれも好ましくない。また、インクジェットプリンタ
用インク中にイエロー用の発色剤を用いた場合、電気化
学反応制御剤の含有量は、0.02重量%〜1重量%,
好適には0.03重量%〜0.3重量%,更に好適には
0.05重量%〜0.2重量%含有されるのが好まし
い。イエロー用の発色剤を用いた場合、電気化学反応制
御剤の含有量が0.05重量%より少なくなるにつれ電
極が酸化する傾向が現れだし、0.02重量%より少な
くなると特にその傾向が著しくなり、電気化学反応制御
剤の含有量が0.2重量%より多くなるにつれ電極が溶
解する傾向が現れだし、1重量%より多くなると特にそ
の傾向が著しくなるので、いずれも好ましくない。ま
た、インクジェットプリンタ用インク中にマゼンタ用の
発色剤を用いた場合、電気化学反応制御剤の含有量は、
0.001重量%〜0.2重量%,好適には0.01重
量%〜0.1重量%,更に好適には0.03重量%〜
0.05重量%含有されるのが好ましい。マゼンタ用の
発色剤を用いた場合、電気化学反応制御剤の含有量が
0.03重量%より少なくなるにつれ電極が酸化する傾
向が現れだし、0.001重量%より少なくなると特に
その傾向が著しくなり、電気化学反応制御剤の含有量が
0.05重量%より多くなるにつれ電極が溶解する傾向
が現れだし、0.2重量%より多くなると特にその傾向
が著しくなるので、いずれも好ましくない。また、イン
クジェットプリンタ用インク中にシアン用の発色剤を用
いた場合、電気化学反応制御剤の含有量は、0.002
重量%〜0.3重量%,好適には0.02重量%〜0.
2重量%,更に好適には0.03重量%〜0.1重量%
含有されるのが好ましい。シアン用の発色剤を用いた場
合、電気化学反応制御剤の含有量が0.03重量%より
少なくなるにつれ電極が酸化する傾向が現れだし、0.
002重量%より少なくなると特にその傾向が著しくな
り、電気化学反応制御剤の含有量が0.1重量%より多
くなるにつれ電極が溶解する傾向が現れだし、0.3重
量%より多くなると特にその傾向が著しくなるので、い
ずれも好ましくない。
【0017】本発明のインクジェットプリンタ用インク
は、更に、インク液物性を調整するため、界面活性剤,
pH調整剤,粘度調整剤等を添加してもよい。
【0018】界面活性剤は、インクジェットプリンタ用
インクの速乾性を上げるために添加されるとともにイン
クジェットプリンタ用インクの蒸発を防止するために添
加されるものである。この界面活性剤として具体的に
は、脂肪酸塩類,高級アルコール硫酸エステル塩類,液
体脂肪油硫酸エステル塩類,脂肪アルコールリン酸エス
テル塩類,二塩基性脂肪酸エステル等のスルホン塩類,
脂肪酸アミドスルホン酸塩類,アルキルアリルスルホン
酸塩類,ホルマリン縮合のナフタリンスルホン酸塩類,
アルキルピリジウム塩,ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル類,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル類,ポリオキシエチレンアルキルエステル類,ソルビ
タンアルキルエステル類,ポリオキシエチレンソルビタ
ンアルキルエステル類等が挙げられる。
【0019】pH調整剤は、調合されるインクジェット
プリンタ用インクに悪影響を及ぼさずに、所望のpH値
に調整できるものであれば、特に限定されるものではな
いが、具体的には、低級アルカノールアミン,アルカリ
金属水酸化物の1価の水酸化物,水酸化アンモニウム等
が挙げられる。
【0020】粘度調整剤は、インクジェットプリンタ用
インクの粘度を調整するものである。この粘度調整剤と
して具体的には、ポリビニルアルコール,ヒドロキシプ
ロピルセルロース,カルボキシメチルセルロース,ヒド
ロキシエチルセルロース,メチルセルロース,水溶性ア
クリル樹脂,ポリビニルピロリドン,アラビアゴムスタ
ーチ等が挙げられる。
【0021】更に、プリンター用紙に付着されたインク
滴(又は印字)の被膜の強度を補強するために、アルキ
ッド樹脂,アクリル樹脂,アクリルアミド樹脂,ポリビ
ニルアルコール,ポリビニルピロリドン等の樹脂重合体
が添加されてもよい。
【0022】本発明のインクジェットプリンタ用インク
の比抵抗は、少なくとも25℃において8Ω・cm〜50
Ω・cm,好適には15Ω・cm〜25Ω・cmとされるのが
好ましい。インクジェットプリンタ用インクの比抵抗が
15Ω・cmより小さくなるにつれ比抵抗調整剤の含有量
が多くなり発色剤の溶解安定性が低下しノズル孔が目詰
まりする傾向が現れだし、8Ω・cmより小さくなると特
にその傾向が著しくなり、インクジェットプリンタ用イ
ンクの比抵抗が25Ω・cmより大きくなるにつれ比抵抗
調整剤の含有量が少なくなり所望の駆動条件でのインク
の沸騰安定性が得られなくなる傾向が現れだし、50Ω
・cmより多くなると特にその傾向が著しくなるので、い
ずれも好ましくない。
【0023】また、本発明のインクジェットプリンタ用
インクの粘度は、少なくとも25℃において10cp以
下,好適には5cp以下とされるのが好ましい。インクジ
ェットプリンタ用インクの粘度が5cpより大きくなるに
つれ、インク滴のノズル孔からの吐出に不都合が生じる
傾向が現れだし、10cpより多くなると特にその傾向が
著しくなるので、好ましくない。
【0024】さらに、本発明のインクジェットプリンタ
用インクの表面張力は、少なくとも25℃において25
〜55dyne/cm ,更に好適には30dyne/cm 〜45dyne
/cmとされるのが好ましい。インクジェットプリンタ用
インクの表面張力が30dyne/cm より小さくなるにつれ
印字の細線滲み性が低下する傾向が現れだし、25dyne
/cm より小さくなると特にその傾向が著しくなり、イン
クジェットプリンタ用インクの表面張力が、45dyne/c
m より大きくなるにつれ色重ね印字の色滲み性が低下す
る傾向が現れだし、25dyne/cm より多くなると特にそ
の傾向が著しくなるので、いずれも好ましくない。
【0025】さらに、本発明のインクジェットプリンタ
用インクのpHは、6〜10,好適には7〜9とされる
のが好ましい。インクジェットプリンタ用インクのpH
が7より小さくなるにつれ染料の溶解安定性が低下する
傾向が現れだし、pHが6より小さくなると特にその傾
向が著しくなり、インクジェットプリンタ用インクのp
Hが9より大きくなるにつれ染料の退色性が低下する傾
向が現れだし、pHが10より大きくなると特にその傾
向が著しくなるので、いずれも好ましくない。
【0026】
【作用】この構成によって、以下の作用を奏する。すな
わち、 インクジェットプリンタ用インク中に電気化学反応制
御剤が含有されていることにより、電気化学反応制御剤
の電離イオンを電極の金属イオンに優先的に配位させる
ことができ、インクジェットプリンタ用インクと電極と
の電気化学反応を抑制することができる。また25℃に
おいてインクジェットプリンタ用インクの比抵抗が8〜
50Ω・cmとされていることにより、電流/電圧を印加
したときインクジェットプリンタ用インクを効率良く加
熱・沸騰させることができる。 電気化学反応制御剤が、エチレンジアミン4酢酸塩,
ニトリロ3酢酸塩,モノエタノールアミン,ジエタノー
ルアミン,トリエタノールアミン,N−メチル−ジエタ
ノールアミン,n−モノプロパノールアミンエチレンジ
アミン等の内いずれか1又はこれらの混合物からなるこ
とにより、これら電気化学反応制御剤の電離イオンを電
極の金属イオンに優先的に配位させることができ、イン
クジェットプリンタ用インクと電極との電気化学反応を
抑制することができる。 電気化学反応制御剤の含有量が、インクジェットプリ
ンタ用インク中に0.001〜5重量%,好適には0.
01〜3重量%含有されていることにより、電気化学反
応制御剤の電離イオンを電極の金属イオンに優先的に配
位させることができ、インクジェットプリンタ用インク
と電極との電気化学反応を抑制することができるだけで
なく、発色剤の種類に応じて電気化学反応制御剤の添加
量を変えることにより、発色剤の種類によって電気化学
反応の程度の差をなくすことができ、電極の寿命に差が
できることを防止できる。 25℃においてインクジェットプリンタ用インクの粘
度が10cp以下,好適には5cp以下とされていることに
より、微小なノズル孔に目詰まりさせることなく効率よ
く吐出させることができると共に高速吐出応答性を向上
させることができる。また、25℃においてインクジェ
ットプリンタ用インクの表面張力が25〜55dyne/cm
,好適には30〜45dyne/cm とされていることによ
り、プリンター用紙上に記録された印字の速乾性を向上
させることができ、色重ね時の滲み等をなくすことがで
きる。さらに、25℃においてインクジェットプリンタ
用インクのpHが6〜10,好適には7〜9とされてい
ることにより、良好な染料の溶解安定性や退色性を得る
ことができる。
【0027】
【実施例】以下本発明の一実施例について、図面等を参
照しながら説明する。
【0028】(実施例1)発色剤としてカヤセットブラ
ック008(N)ピュアー(Kayaset Blac
k 008(N)pure;日本化薬(株)社製)を3
重量%、湿潤剤としてグリセリンを1重量%、比抵抗調
整剤としてモノエタノールアミン硝酸塩を16重量%、
溶剤としてイオン交換水を75.8重量%およびイソプ
ロピルアルコールを4重量%、電気化学反応制御剤とし
てエチレンジアミン4酢酸塩を0.2重量%各々準備
し、各原料を混合した(以下混合液と称す)。次に、得
られた混合液を十分均一になるまで撹拌した後、網目径
0.45μmの濾剤(住友電工(株)社製;商品名フロ
ロポアフィルタ)を用いた加圧濾過器で加圧濾過を行
い、本発明の第1実施例におけるインクジェットプリン
タ用インクを作製した。
【0029】次に、得られた本発明の第1実施例におけ
るインクジェットプリンタ用インクについて、比抵抗,
粘度,及び表面張力を測定した。まず、本発明の第1実
施例におけるインクジェットプリンタ用インクを恒温槽
中で25℃に調整した。次に、比抵抗を、導電率計
((株)堀場製作所社製;商品名ES−12)を用いて
測定した。また、粘度は、振動式粘度計(山一電機
(株)社製;商品名VISCOMATE VM−1A−
L)を用いて測定した。表面張力は、全自動平行式エレ
クトロ表面張力計(協和科学(株)社製;商品名ESB
−V)を用いて、白金板によるウイルヘルミー法(吊板
式)によって、測定した。pHはpHメーター(東亜電
波工業社製;商品名HM−20E)を用いて測定した。
この結果、本発明の第1実施例におけるインクジェット
プリンタ用インクは、25℃において、比抵抗は20Ω
・cm、粘度は2.0cp、表面張力は50dyne/cm である
ことがわかった。
【0030】以上のように製造された本発明の第1実施
例におけるインクジェットプリンタ用インクを用いて、
吐出安定性試験を行った。以下その結果について説明す
る。
【0031】まず、図1に示した通電発熱方式のインク
ジェットヘッドを準備し、このインクジェットヘッド
に、本発明の第1実施例におけるインクジェットプリン
タ用インクを充填した。ここで、インクジェットヘッド
は、ノズル孔の直径が40μmのものを使用した。次
に、(表1)に示す条件で、吐出安定性試験を行った。
【0032】
【表1】
【0033】吐出安定性試験として、電圧レベル23
V,パルス周期3MHz,印字周期10kHzで連続し
て6時間電流/電圧を印加した後の電極の状態を光学顕
微鏡を用いて観察した。また、前述した6時間連続して
電流/電圧を印加した際のインク滴の吐出状態を光学顕
微鏡を用いて観察した。更に、前述した6時間連続して
電流/電圧を印加した際に、沸騰時間が50μsを超え
た時の通電回数を電極の寿命とし、これを確認した。こ
の結果を(表2)に示す。
【0034】
【表2】
【0035】この(表2)から明らかなように、本発明
の第1実施例におけるインクジェットプリンタ用インク
は、電極に印字周期10kHzで連続して6時間電流/
電圧を印加しても電極に電気化学反応による酸化や溶解
等はみられず、また、印字の際に均一なインク滴を安定
に吐出しており、すなわちノズル孔から吐出されたイン
ク滴は一定方向に適正量吐出されており、また、沸騰時
間が50μsを超えた通電回数は3億回に達していた。
したがって、本発明の第1実施例におけるインクジェッ
トプリンタ用インクは、電極との電気化学反応を防止す
ることができ、電極及び記録性の経時劣化が殆どなく優
れた効果が得られることがわかった。
【0036】以上のように本実施例によれば、インクジ
ェットプリンタ用インクが電気化学反応制御剤としてエ
チレンジアミン4酢酸塩を含有しているので、このエチ
レンジアミン4酢酸塩を電極の金属イオンと配位させ、
電極とインクジェットプリンタ用インクの電気化学反応
を防止することができ、この結果、電極の経時劣化を防
止でき、これにより、吐出安定性の経時劣化を防止でき
た。
【0037】(比較例1)電気化学反応制御剤であるエ
チレンジアミン4酢酸塩が未添加である以外は、実施例
1と同様にして、従来のインクジェットプリンタ用イン
クを作製した。
【0038】以上のように製造された従来のインクジェ
ットプリンタ用インクを用いて、吐出安定性試験を行っ
た。以下その結果について説明する。まず、実施例1と
同様にして、吐出安定性試験を行った。その結果を(表
2)に示した。
【0039】この(表2)から明らかなように、電気化
学反応制御剤であるエチレンジアミン4酢酸塩を添加し
ない従来のインクジェットプリンタ用インクでは、電極
に6時間連続して電流/電圧を印加すると電極に電気化
学反応による酸化等がみられ、また、その酸化の程度が
大きいことがわかった。また、電流/電圧印加開始から
3時間でインク滴が大きくなり、上質紙上に印字された
ドット径が大きくなることがわかった。更に、通電回数
5千回で沸騰時間が50μsを超えていた。したがっ
て、従来のインクジェットプリンタ用インクは、電極と
電気化学反応を生じ、電極に酸化等を生じさせ、この結
果、電極が経時劣化し、電極の寿命が短くなり、また記
録性が低下していることがわかった。
【0040】(実施例2)電気化学反応制御剤としてN
−メチル−ジエタノールアミンを1重量%、溶剤として
イオン交換水を75重量%およびイソプロピルアルコー
ルを4重量%含有させた以外は、実施例1と同様にし
て、本発明の第2実施例におけるインクジェットプリン
タ用インクを作製した。
【0041】以上のように製造された本発明の第2実施
例におけるインクジェットプリンタ用インクを用いて、
吐出安定性試験を行った。以下その結果について説明す
る。まず、実施例1と同様にして、吐出安定性試験を行
った。その結果を(表2)に示した。
【0042】この(表2)から明らかなように、本発明
の第2実施例におけるインクジェットプリンタ用インク
は、印字周期10kHzで連続して6時間電流/電圧を
印加すると電極に若干の酸化等がみられたが、印字の
際、均一なインク滴を安定に吐出しており、沸騰時間が
50μsを超えた通電回数も2億回に達していた。した
がって、本発明の第2実施例におけるインクジェットプ
リンタ用インクは、電極との電気化学反応を抑制するこ
とができ、電極及び記録性の経時劣化が殆どなく優れた
効果が得られることがわかった。
【0043】以上のように本実施例によれば、インクジ
ェットプリンタ用インクが電気化学反応制御剤としてN
−メチル−ジエタノールアミンを含有しているので、こ
のN−メチル−ジエタノールアミンを電極の金属イオン
と優先的に配位させ、電極とインクジェットプリンタ用
インクの電気化学反応を防止することができ、この結
果、電極の経時劣化を防止でき、これにより、吐出安定
性の経時劣化を防止できた。
【0044】(実施例3〜5,比較例2〜4)発色剤と
してカヤセットイエローJ−005(Kayaset
YellowJ−005;日本化薬(株)社製)を3重
量%,および電気化学反応制御剤としてエチレンジアミ
ン4酢酸塩を0.1重量%含有させた以外は、実施例1
と同様にして、本発明の第3実施例におけるインクジェ
ットプリンタ用インクを作製した。また、発色剤として
カヤセットレッドJ−011(Kayaset Red
J−011;日本化薬(株)社製)を3重量%,およ
び電気化学反応制御剤としてエチレンジアミン4酢酸塩
を0.04重量%含有させた以外は、実施例1と同様に
して、本発明の第4実施例におけるインクジェットプリ
ンタ用インクを作製した。さらに、発色剤としてカヤセ
ットシアンJ−301(KayasetCyan J−
301;日本化薬(株)社製)を3重量%,および電気
化学反応制御剤としてエチレンジアミン4酢酸塩を0.
05重量%含有させた以外は、実施例1と同様にして、
本発明の第5実施例におけるインクジェットプリンタ用
インクを作製した。さらに、電気化学反応制御剤である
エチレンジアミン4酢酸塩が未添加である以外は、実施
例3〜5と同様にして、従来のインクジェットプリンタ
用インク(比較例2〜4)を作製した。
【0045】以上のように製造された本発明の第3〜5
実施例におけるインクジェットプリンタ用インクと、従
来のインクジェットプリンタ用インクを用いて、吐出安
定性試験を行った。以下その結果について説明する。ま
ず、実施例1と同様にして、吐出安定性試験を行った。
その結果を(表3)及び(表4)に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】この(表3)から明らかなように、本発明
の第3〜5実施例におけるインクジェットプリンタ用イ
ンクでは、電極に印字周期10kHzで連続して6時間
電流/電圧を印加しても電極に電気化学反応による酸化
や溶解等はみられず、また、印字の際に均一なインク滴
を安定に吐出していたことは勿論、発色剤の種類によっ
て電気化学反応制御剤であるエチレンジアミン4酢酸塩
の含有量を変えたことにより、沸騰時間が50μsを超
えた通電回数は3億回に揃っていた。したがって、本発
明の第3〜5実施例におけるインクジェットプリンタ用
インクは、電極との電気化学反応を防止することがで
き、電極及び記録性の経時劣化が殆どなく優れた効果が
得られ、また、発色剤の種類による電気化学反応による
酸化溶解等の進行程度を制御でき、インクの色による電
極の寿命の差をなくすことができた。一方、(表4)か
ら明らかなように、電気化学反応制御剤であるエチレン
ジアミン4酢酸塩を添加しない従来のインクジェットプ
リンタ用インクでは、6時間連続して電流/電圧を印加
すると電極に電気化学反応による酸化等がみられ、ま
た、その酸化の程度が大きかった。また、電流/電圧印
加開始から2〜3時間でインク滴が大きくなり、上質紙
上に印字されたドット径が大きくなっており、また、通
電回数2〜5千万回程度で沸騰時間が50μsを超えて
いた。さらに、これら記録性や電極の寿命は、インクジ
ェットプリンタ用インクに使用された発色剤の種類によ
って異なっていることがわかった。すなわち、上質紙上
に記録された印字又は印画のドット径が大きくなるの
は、比較例2では電流/電圧印加開始から2時間、比較
例3では3時間、比較例4では2時間であった。また、
沸騰時間が50μsを超える通電回数は、比較例2では
2千万回、比較例3では5千万回、比較例4では3千万
回であることがわかった。
【0049】以上のように本実施例によれば、インクジ
ェットプリンタ用インクが電気化学反応制御剤としてエ
チレンジアミン4酢酸塩を含有しているので、このエチ
レンジアミン4酢酸塩を電極の金属イオンと優先的に配
位させ、電極とインクジェットプリンタ用インクの電気
化学反応を防止することができ、また、発色剤の種類に
応じて電気化学反応制御剤の含有量を変えたので、例え
電極と電気化学反応を生じてもこの電気化学反応を制御
してインクの色による電極の寿命の差をなくすことがで
きた。
【0050】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、以下の優
れた効果を奏する。すなわち、 発色剤と、湿潤剤と、比抵抗調整剤と、発色剤,湿潤
剤及び比抵抗調整剤を溶解する溶剤と、を有するインク
ジェットプリンタ用インクであって、系内に電気化学反
応制御剤が含有され、かつ、25℃において比抵抗が8
〜50Ω・cmであるので、電気化学反応制御剤を、この
インクジェットプリンタ用インクを適用したインクジェ
ットヘッドの電極の金属イオンに配位させ、電極表面で
の電気化学反応を抑制することができ、かつ電極に電流
/電圧を印加してインクジェットプリンタ用インクを効
率良く加熱点沸騰させることができる。この結果、電極
の酸化を抑えることができ、電極の寿命を伸ばすことが
できるので、耐久性や信頼性に優れたインクジェットプ
リンタ用インクを実現できるものである。 電気化学反応制御剤が、エチレンジアミン4酢酸塩,
ニトリロ3酢酸塩,モノエタノールアミン,ジエタノー
ルアミン,トリエタノールアミン,N−メチル−ジエタ
ノールアミン,n−モノプロパノールアミンエチレンジ
アミン等の内いずれか1又はこれらの混合物からなる場
合、これら電気化学反応制御剤をインクジェットヘッド
の電極の金属イオンに配位させ、電極表面での電気化学
反応を抑制し、電極の酸化を抑えることができる。この
結果、電極の寿命を伸ばすことができ、耐久性や信頼性
に優れたインクジェットプリンタ用インクを実現できる
ものである。 電気化学反応制御剤の含有量が、全系中0.001〜
5重量%,好適には0.01〜3重量%の範囲にある場
合、電気化学反応制御剤をインクジェットヘッドの電極
の金属イオンに配位させ、電極表面での電気化学反応を
抑制し、電極の酸化を抑えることができるだけでなく、
発色剤の種類によって電気化学反応の程度の差をなくす
ことができ、電極の寿命に差ができることを防止でき
る。この結果、信頼性に優れるとともにインクジェット
ヘッドの耐久性や制御性に優れたインクジェットプリン
タ用インクを実現できるものである。 25℃において粘度が10cp以下,好適には5cp以下
であり、及び/又は、表面張力が25〜55dyne/cm ,
好適には30〜45dyne/cm であり、pHが6〜10,
好適には7〜9である場合、微小なノズル孔に目詰まり
させることなく効率よく吐出させることができ、また、
プリンター用紙上に記録された印字の速乾性を向上させ
ることができ、滲み等をなくすことができ、この結果、
信頼性に優れたインクジェットプリンタ用インクを実現
できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の通電発熱方式のインクジェットヘッドを
示す要部断面模式図
【図2】図1におけるA−A’線断面模式図
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 基板 3 電極 4 絶縁層 5 仕切り部 6 圧力室 7 インク流路 8 ノズルプレート 9 ノズル孔 10 インク 11 インク滴 12 信号発生装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発色剤と、湿潤剤と、比抵抗調整剤と、前
    記発色剤,前記湿潤剤及び前記比抵抗調整剤を溶解する
    溶剤と、を有するインクジェットプリンタ用インクであ
    って、系内に電気化学反応制御剤が含有され、かつ、2
    5℃において比抵抗が8〜50Ω・cmであることを特徴
    とするインクジェットプリンタ用インク。
  2. 【請求項2】前記電気化学反応制御剤が、エチレンジア
    ミン4酢酸塩,ニトリロ3酢酸塩,モノエタノールアミ
    ン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン,N−
    メチル−ジエタノールアミン,n−モノプロパノールア
    ミンエチレンジアミン等の内いずれか1又はこれらの混
    合物であることを特徴とする請求項1に記載のインクジ
    ェットプリンタ用インク。
  3. 【請求項3】前記電気化学反応制御剤の含有量が、全系
    中0.001〜5重量%,好適には0.01〜3重量%
    の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2の内いず
    れか1に記載のインクジェットプリンタ用インク。
  4. 【請求項4】25℃において粘度が10cp以下,好適に
    は5cp以下であり、及び/又は、表面張力が25〜55
    dyne/cm ,好適には30〜45dyne/cm であり、及び/
    又は、pHが6〜10,好適には7〜9であることを特
    徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載のインク
    ジェットプリンタ用インク。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005023099A (ja) * 2003-06-30 2005-01-27 Toyo Ink Mfg Co Ltd 電極腐蝕を起こさない非水性インクジェットインキ
WO2007054570A1 (de) * 2005-11-14 2007-05-18 Basf Se Aminhaltige katalysatortinte für brennstoffzellen

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