JPH0828673A - 自動変速制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃費に有利な変速パターンと燃費に不利な変
速パターンとを有した自動変速制御装置において、燃料
が少なくなった場合の走行可能距離の延長を図り燃料切
れにつながるトラブルの発生を防止すること。 【構成】 燃料の残量を検出する燃料検出手段ｆを設
け、変速制御手段ｄが変速制御の際に用いる変速パター
ンを、燃費に優れる所定の変速パターンと、この所定の
変速パターンよりも燃費に劣る他の変速パターンとに切
り換える変速パターン切換手段ｅを、燃料の残量が所定
量に減った時に変速パターンとして燃費に優れる所定の
変速パターンを選択するよう構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動変速制御装置に関
し、特に、燃料の残量が少なくなった時の燃費の向上を
図る技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動変速制御装置として、シフト
スケジュールの変速点が異なる複数の変速パターンが設
定され、運転者の操作などに基づいて変速パターンを切
り換えて変速比の切換制御を行うようにしたものが知ら
れている（例えば、特開昭５８−１８７６４０号公報や
特開昭５９−９７３５１号公報参照）。

【０００３】したがって、このような従来装置では、必
要に応じて変速点を高速側にシフトさせた変速パターン
（パワーパターン）を用いて加速に優れたスポーツ走行
を行ったり、変速点を低速側にシフトさせた変速パター
ン（エコノミパターン）を用いて燃費の有利な経済走行
を行ったりすることができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来装置では、燃料の残量に関わらず選択操作あ
るいは走行状態に応じて指定された変速パターンで走行
し続けるため、燃料の残量が少なくなり経済走行を行わ
ねばならない時においてもパワーパターンを選択してい
ると、運転者がこれに気付かない場合には、燃費の悪い
パワーパターンによる走行を続け、エコノミパターンの
ような燃費に優れた他の変速パターンで走行した場合に
比べて走行可能距離が短くなってしまうという問題があ
った。

【０００５】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
成されたもので、燃費に有利な変速パターンと燃費に不
利な変速パターンとを有した自動変速制御装置におい
て、燃料が少なくなった場合の走行可能距離の延長を図
り、燃料切れにつながるトラブルの発生を防止すること
を目的として成されたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明は、図１のクレーム対応図に示すように、自
動変速機ａの変速比を変更する変速アクチュエータｂ
と、運転状態を含む走行状態を検出する走行状態検出手
段ｃと、走行状態に応じて予め設定された変速パターン
にしたがって変速アクチュエータｂの作動を制御する変
速制御手段ｄと、この変速制御手段ｄが変速制御の際に
用いる変速パターンを、燃費に優れる所定の変速パター
ンと、この所定の変速パターンよりも燃費に劣る他の変
速パターンとに切り換える変速パターン切換手段ｅとを
備えた自動変速制御装置において、前記走行状態検出手
段ｃに、燃料の残量を検出する燃料検出手段ｆを設け、
燃料の残量が所定量に減った時に前記変速パターン切換
手段ｅが変速パターンとして前記所定の変速パターンを
選択するよう構成した。

【０００７】また、請求項２記載の装置では、前記他の
変速パターンとして前記所定の変速パターンに比べて変
速点が高車速に設定されたパワーパターンを有し、か
つ、運転者による選択操作あるいは所定の走行条件が成
立した時に前記パワーパターンを選択するよう構成され
た前記変速パターン切換手段ｅを、燃料の残量が所定量
に減った時には前記パワーパターンの選択を禁止するよ
う構成した。

【０００８】また、請求項３記載の装置では、前記他の
変速パターンとして前記所定の変速パターンに比べて変
速点が高車速に設定されたパワーパターンを有し、所定
の走行条件が成立したら前記パワーパターンを自動的に
選択するよう構成された変速パターン切換手段ｅを、燃
料の残量が所定量に減った時には、パワーパターンを選
択するための走行条件の閾値を、パワーパターンを選択
し難くなる値に変更するよう構成した。

【０００９】

【作用】図１を参照しつつ本発明の作用を説明すると、
パワーパターンのように走行性に優れるが燃費に劣る変
速パターンで走行している時に、燃料の残量が所定量ま
で減ったら、変速パターン切換手段は、変速制御手段が
変速の際に用いる変速パターンとして燃費に優れる変速
パターンを選択する。したがって、運転者が燃料の残量
が減ったことに気付いていなくても、燃費に優れた変速
パターンが自動的に選択されて走行可能距離が延長され
る。

【００１０】また、請求項２の装置では、上述のように
燃料の残量が減った場合に、変速パターン切換手段は、
パワーパターンの選択を禁止する。したがって、この
時、変速パターン切換手段が運転者の操作あるいは所定
の走行条件の成立でパワーパターンを選択している場合
には、変速パターンを燃費に優れた所定の変速パターン
に切り換え、一方、この時点でこの燃費に優れた所定の
変速パターンを選択している場合には、運転者がパワー
パターンの選択操作を行ったり、あるいはパワーパター
ンを選択する走行条件が成立しても、パワーパターンに
切り換わらないようにする。

【００１１】また、請求項３記載の装置では、上述のよ
うに燃料の残量が減った場合に、変速パターン切換手段
は、パワーパターンを選択するための走行条件の閾値
を、パワーパターンを選択し難くなる値に変更する。し
たがって、パワーパターンの走行条件が成立しにくくな
り、パワーパターンを選択する頻度が低下する。

【００１２】

【実施例】本発明実施例を図面に基づいて説明する。図
２は、本発明の実施例の自動変速制御装置を示す全体図
であって、図中１は自動変速機ＡＴの変速作動を制御す
るＡ／Ｔコントロールユニット（変速制御手段）１で、
このＡ／Ｔコントロールユニット１は、走行状態検出手
段として、図外のスロットルバルブの全閉で投入される
アイドルスイッチ２，スロットルバルブの所定開度（例
えば、１／２）で投入されるフルスロットルスイッチ
３，スロットルバルブの開度を検出するスロットルセン
サ４，エンジンＥの回転数を検出するエンジン回転数セ
ンサ５，図外のセレクトレバーの位置を検出するインヒ
ビタスイッチ６，ミッションオイルの温度を検出する温
度センサ７，図外のアウトプットシャフトの回転を車速
として検出する車速センサ８，車室内に設けられて運転
者により操作されるモード切換スイッチ２１，図外の燃
料タンク内の燃料の残量を検出する燃料センサ２２が接
続されているとともに、エンジンＥの駆動制御を行うEC
CSコントロールユニット１０と信号のやり取りを行うよ
う構成されている。そして、このＡ／Ｔコントロールユ
ニット１は、各センサ２〜８，２１，２２ならびにECCS
コントロールユニット１０からの入力に基づき、車速と
スロットル開度に応じて予め設定された後述のシフトス
ケジュールに従って、シフトソレノイドＡ，Ｂ，オーバ
ランクラッチソレノイド１１，ロックアップソレノイド
１２，ライン圧ソレノイド１３（以上、変速アクチュエ
ータ）の駆動を制御して摩擦締結要素を締結あるいは解
放させて前進４速（４速はオーバードライブ）・後退１
速の変速制御を行う。

【００１３】前記Ａ／Ｔコントロールユニット１は、シ
フトスケジュールにしたがって変速制御を行うが、この
シフトスケジュールとして、図３（ａ）に示すエコノミ
パターンと、同図（ｂ）に示すパワーパターンとの２種
類の変速パターンが設定されており、図示のように、パ
ワーパターンはエコノミパターンに比べて変速点が高速
側にシフトされている。

【００１４】そして、Ａ／Ｔコントロールユニット１
は、上記２種類の変速パターンの内でいずれを選択する
かの切換制御を行っている。これについて説明すると、
この切換制御として基本的には２通りの制御があり、こ
の２通りの制御の選択は前記モード切換スイッチ２１に
より行う。このモード切換スイッチ２１は、前記パワー
パターンを手動操作で選択するパワーモードと、Ａ／Ｔ
コントロールユニット１により自動選択を行うオートモ
ードとの２モードに切換可能に構成されている。そし
て、オートモードを選択した場合には、前記Ａ／Ｔコン
トロールユニット１は、所定の走行条件が成立しない場
合には、基本的にはエコノミパターンを選択する一方
で、所定の走行条件が成立した場合には、自動的にパワ
ーパターンを選択するように構成されている。なお、本
実施例の場合、前記所定の走行条件としてアクセル踏込
速度が用いられ、アクセル踏込速度が設定された閾値以
上となった時にパワーパターンを自動的に選択するよう
に構成されている。この閾値は、スロットル開度ならび
に車速により、図４に示すように、スロットル開度が大
きい程、かつ車速が低い程パワーパターンを選択し易い
よう、即ち小さな値に設定されている。以上説明した、
手動によるパワーモードの選択ならびに、上記走行条件
に応じた自動的な変速パターンの選択制御を、以下、本
明細書では「通常切換制御」と言うことにする（なお、
以上説明した通常切換制御については、例えば、昭和６
３年３月 日産自動車株式会社発行のNISSANフルレンジ
電子制御オートマチックトランスミッション整備要領書
RE4R03A 型の第Ｉ３４〜３５頁参照のこと）。

【００１５】さらに、前記Ａ／Ｔコントロールユニット
１は、変速パターンの切換において上記周知の通常切換
制御の他に、以下に説明する新規な変速パターンの切換
制御を行うもので、この制御について図５のフローチャ
ートにより説明する。

【００１６】まず、ステップＳ１では、燃料センサ２２
からの入力に基づいて、燃料の残量が所定値以下となっ
たか否かを判定し、ＹＥＳでステップＳ２に進み、ＮＯ
でステップＳ３に進む。

【００１７】ステップＳ２では、変速パターンとしてエ
コノミパターンを選択し、一方、ステップＳ３では、前
記通常切換制御に基づいて変速パターンを選択する。

【００１８】次に、本実施例装置の動作について説明す
る。

【００１９】燃料の残量が十分である時には、変速パタ
ーンの切換制御では通常切換制御が成され（ステップＳ
１→Ｓ３の流れ）、モード切換スイッチ２１によりオー
トモードを選択した場合には、前述の所定の走行条件が
成立しない限りはシフトスケジュールとしてエコノミパ
ターンを選択し、この走行条件が成立したらパワーパタ
ーンを選択する。また、モード切換スイッチ２１で手動
によりパワーモードを選択した場合には、シフトスケジ
ュールとしてパワーパターンを選択する。

【００２０】燃料の残量が所定量以下まで減少した時に
は、ステップＳ１→Ｓ２の流れとなって、シフトスケジ
ュールとしてエコノミパターンを選択する。この場合、
モード切換スイッチ２１によりパワーモードを選択して
も、また、オートモードを選択している状態で、パワー
パターンを選択するための走行条件が成立していてもエ
コノミパターンを選択するものである。

【００２１】したがって、運転者が燃料の残量が減った
ことに気付いていなくても、シフトスケジュールとして
エコノミパターンを選択することで、燃費が悪化するこ
とがなく、パワーパターンを選択した場合に比べて走行
可能距離が延長され、燃料切れにつながるトラブルの発
生を防止することができる。

【００２２】次に、他の実施例について説明するが、第
１実施例との相違点は、Ａ／Ｔコントロールユニット１
の内部の制御内容のみであるので、この相違点のみを説
明することとする。

【００２３】図６は請求項２の発明の実施例である第２
実施例の自動変速制御装置の制御流れを示すフローチャ
ートであって、この実施例では、ステップＳ２２におい
て、パワーパターンをキャンセルするよう構成してい
る。

【００２４】したがって、燃料の残量が減ったら燃費に
劣るパワーパターンに基づく変速が禁止されて、走行可
能距離が延長される。なお、この実施例では、通常切換
制御において選択するシフトスケジュールとして、第１
実施例で示したノーマルパターンならびにパワーパタン
に加えて、ノーマルパターンの１速を禁止したスノーパ
ターン［図３（ｃ）参照］を有するように設定した場
合、燃料の残量が減った時にスノーパターンの選択は禁
止されないようにできる。

【００２５】図７は請求項３の発明の実施例である第３
実施例の自動変速制御装置の制御流れを示すフローチャ
ートであって、この実施例では、ステップＳ３２におい
て、オートパワーパターンを選択する走行条件の閾値を
高速側にシフトする。すなわち、パワーパターンを選択
する走行条件の１つであるアクセル踏込速度の閾値を通
常よりも大きな値に設定している。

【００２６】したがって、モード切換スイッチ２１をパ
ワーモードに設定していた場合、所定の走行条件が成立
すると、運転者の意志に関係なくパワーモードが選択さ
れるが、燃料の残量が少なくなってからは、このような
自動的なパワーモードの選択が成され難くなって、これ
によっても、不用意に燃料が減ってしまい難くでき、燃
料切れにつながるトラブルの発生を防止することができ
る。ちなみに、この実施例では、運転者がモード切換ス
イッチ２１によりパワーモードを選択操作した場合に
は、運転者のパワーモード選択の意志を尊重し、運転者
が意識していない自動制御によるパワーモードの選択の
頻度のみを低下させているものである。

【００２７】以上、実施例について説明してきたが具体
的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明
に含まれる。

【００２８】

【発明の効果】以上説明してきたように本発明の自動変
速制御装置では、燃料の残量が所定量まで減ったら、運
転者がそれに気付いているか否かに関わらず、請求項１
に記載のものでは、燃費に優れている変速パターンを選
択するようにし、請求項２に記載のものでは燃費に劣る
変速パターンの選択を禁止した結果、同様に燃費に優れ
た変速パターンが選択されるようにしたため、燃料が少
なくなってからの走行可能距離が不用意に短くなること
がなく、燃料切れにつながるトラブルの発生を防止する
ことができるという効果が得られる。

【００２９】また、請求項３記載のものでは、燃料の残
量が所定量まで減ったら、パワーパターンを自動的に選
択するための走行条件の閾値を、パワーパターンを選択
し難くなる値に変更するようにしたため、パワーパター
ンを自動的に選択する頻度が低くなり、上記と同様に、
燃料が少なくなってからの走行可能距離が不用意に短く
なることがなく、燃料切れにつながるトラブルの発生を
防止することができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の自動変速制御装置を示すクレーム対応
図である。

【図２】本発明第１実施例の自動変速制御装置を示す全
体図である。

【図３】実施例装置のシフトスケジュールを示す図であ
って（ａ）はエコノミパターンを示し（ｂ）はパワーパ
ターンを示し、（ｃ）はスノーパターンを示している。

【図４】第１実施例装置のＡ／Ｔコントロールユニット
のファジイ制御によるパワーパターンの選択特性図であ
る。

【図５】第１実施例装置のＡ／Ｔコントロールユニット
の制御流れを示すフローチャートである。

【図６】第２実施例装置のＡ／Ｔコントロールユニット
の制御流れを示すフローチャートである。

【図７】第３実施例装置のＡ／Ｔコントロールユニット
の制御流れを示すフローチャートである。

【符号の説明】

ａ 自動変速機 ｂ 変速アクチュエータ ｃ 走行状態検出手段 ｄ 変速制御手段 ｅ 変速パターン切換手段 ｆ 燃料検出手段

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動変速機の変速比を変更する変速アク
   チュエータと、 運転状態を含む走行状態を検出する走行状態検出手段
   と、 走行状態に応じて予め設定された変速パターンにしたが
   って変速アクチュエータの作動を制御する変速制御手段
   と、 この変速制御手段が変速制御の際に用いる変速パターン
   を、燃費に優れる所定の変速パターンと、この所定の変
   速パターンよりも燃費に劣る他の変速パターンとに切り
   換える変速パターン切換手段と、を備えた自動変速制御
   装置において、 前記走行状態検出手段に、燃料の残量を検出する燃料検
   出手段を設け、 燃料の残量が所定量に減った時に前記変速パターン切換
   手段が変速パターンとして前記所定の変速パターンを選
   択するよう構成したことを特徴とする車両の自動変速制
   御装置。
2. 【請求項２】 自動変速機の変速比を変更する変速アク
   チュエータと、 運転状態を含む走行状態を検出する走行状態検出手段
   と、 走行状態に応じて予め設定された変速パターンにしたが
   って変速アクチュエータの作動を制御する変速制御手段
   と、 この変速制御手段が変速制御の際に用いる変速パターン
   を、燃費に優れる所定の変速パターンと、この所定の変
   速パターンよりも燃費に劣る他の変速パターンとに切り
   換える変速パターン切換手段と、を備え、 前記変速パターン切換手段は、前記他の変速パターンと
   して前記所定の変速パターンに比べて変速点が高車速に
   設定されたパワーパターンを有し、かつ、運転者による
   選択操作あるいは所定の走行条件が成立した時に前記パ
   ワーパターンを選択するよう構成された自動変速制御装
   置において、 前記走行状態検出手段に、燃料の残量を検出する燃料検
   出手段を設け、 前記変速パターン切換手段を、燃料の残量が所定量に減
   った時には前記パワーパターンの選択を禁止するよう構
   成したことを特徴とする請求項１記載の自動変速制御装
   置。
3. 【請求項３】 自動変速機の変速比を変更する変速アク
   チュエータと、 運転状態を含む走行状態を検出する走行状態検出手段
   と、 走行状態に応じて予め設定された変速パターンにしたが
   って変速アクチュエータの作動を制御する変速制御手段
   と、 この変速制御手段が変速制御の際に用いる変速パターン
   を、燃費に優れる所定の変速パターンと、この所定の変
   速パターンよりも燃費に劣る他の変速パターンにと切り
   換える変速パターン切換手段と、を備え、 前記変速パターン切換手段は、前記他の変速パターンと
   して前記所定の変速パターンに比べて変速点が高車速に
   設定されたパワーパターンを有し、所定の走行条件が成
   立したら前記パワーパターンを自動的に選択するよう構
   成された自動変速制御装置において、 前記走行状態検出手段に、燃料の残量を検出する燃料検
   出手段を設け、 前記変速パターン切換手段を、燃料の残量が所定量に減
   った時には、パワーパターンを選択するための走行条件
   の閾値を、パワーパターンを選択し難くなる値に変更す
   るよう構成したことを特徴とする請求項１記載の自動変
   速制御装置。