JPH08272390A - 音程変換装置 - Google Patents

音程変換装置

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JPH08272390A
JPH08272390A JP7277994A JP27799495A JPH08272390A JP H08272390 A JPH08272390 A JP H08272390A JP 7277994 A JP7277994 A JP 7277994A JP 27799495 A JP27799495 A JP 27799495A JP H08272390 A JPH08272390 A JP H08272390A
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JP
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pitch
signal
input
output
data
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Application number
JP7277994A
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English (en)
Inventor
Takashi Katayama
崇 片山
Tadashi Tamura
忠司 田村
Masaharu Matsumoto
正治 松本
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 出力信号の歪が少なく、S/N比が優れてい
る音程変換装置を提供すること。 【構成】 目標音程を入力する音程入力手段4と、入力
された目標音程に基づき、補間係数を出力する補間係数
制御手段14と、目標音程の音程に音程変換するよう
に、入力ディジタル信号のデータ長を調整し、補間係数
制御手段14から出力される補間係数で補間することに
より入力ディジタル信号に対して音程変換を行う音程変
換手段3とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、AV(オーディ
オ、ビジュアル)機器において、音響信号の音程を任意
の音程に変換する音程変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、音程を任意に変換する装置は
いろいろなものが提案されている。カラオケ用機器で用
いられているキーコントローラがその代表例である。こ
れらの専用機器では、アナログ処理においては再生速度
を変化させたり、ディジタル処理ではサンプリング周波
数を変化させる等の処理を行って、音程変換を実現して
いる。
【0003】近年、カラオケソフトの多様化から、専用
の再生機だけではなく、一般の様々な機器で簡単に音程
変換する必要性が出てきている。これらの機器では再生
速度及びサンプリング周波数を変化させることは困難な
ため、DSP等を用いて信号処理を行い音程変換を実現
している。この技術について、以下図面を用いて説明す
る。
【0004】図25は、従来の音程変換装置の構成を示
すブロック図であり、図26は、音程変換装置の音程変
換部を示すブロック図である。図25及び図26におい
て、1は入力信号、2はA/D変換器、3は音程変換手
段、4は音程入力手段、5はD/A変換器、6は出力信
号、11はデータ長調整手段である。
【0005】入力された音響信号1はA/D変換器2で
ディジタル信号に変換される。入力信号がA/D変換器
2と同じサンプリング周波数でサンプリングされている
場合には、A/D変換器2は必要ない。このディジタル
信号を音程変換手段3に入力し、また、変化させる目標
の音程を音程入力手段4に入力する。音程入力手段4
は、入力された音程となるような制御信号を音程変換手
段3に送る。そうすると、音程変換手段3は、その制御
信号を受けて、A/D変換器2からの信号の音程変換を
行う。音程変換手段3は、図26に示すように、データ
長調整手段11から構成されている。
【0006】ここで、音程の変換は以下の手順で行う。
【0007】例えば、音程変換により、周波数f1の入
力信号を周波数f2の出力信号に変換する場合について
図を用いて説明する。図27(a)において、周波数f
1 の入力信号を周波数f2 の出力信号に変換すること
は、図27(b)のように、それぞれの信号帯域をαf
1、αf2とした場合、周波数軸上で信号帯域を(f2
1)倍することに等しい。言い替えれば、これはサン
プリング周波数を(f1/f2)倍することに等しい。こ
れを時間軸で考えると図27(c)のようになる。図中
のT1、T2は、 T1 = 1/f12 = 1/f2 で表される。
【0008】図27では例として、(n+1)T2=n
1となる場合について示している。これは、 f2/f1 = (n+1)/n と表せる。
【0009】時間軸上で考えた場合、周波数f1の入力
信号を周波数f2に変換するためには、入力信号のnサ
ンプル分のデータを(n+1)サンプル相当の時間で再
生すれば実現できる。そのためには、データ長調整手段
11において、nサンプルに1回データを補間すればよ
い。補間するデータは、データ間のつながりを考えて、
補間する前の点のデータと同じ数値にする。図では(f
2/f1)=(n+1)/nの場合について説明したが、
(f2/f1)が1以上のどのような割合の場合でも同様
の手法を取ることができる。
【0010】以上、入力信号の周波数を実質的に高くす
る例について説明した。この逆に周波数を低くする手法
に関しては、上述した手法において、「データを補間す
る手法」に代えて「データを間引く」手法を取り入れる
ことにより、1>(f2/f1)>0のどのような場合で
も、音程変換を実現することができる。
【0011】前述の音程変換の処理を行った結果の一例
を図28に示す。図28は、入力信号に5kHzの正弦波を
入力した場合で、入力データ16個に1回の割合でデー
タを補間して得られた出力信号(5.312kHz)のスペクト
ルを示している。
【0012】また、以上の手法により音程変換を行った
出力データは、処理前の入力データと比較して、信号長
が変化している。機器によってはこの信号長を調整する
必要があるものもある。この場合の入力信号長と出力信
号長を合わせる手法を図29、30、31を用いて説明
を行う。
【0013】図29は、従来の出力信号長調整手段を持
つ音程変換装置のブロック図である。すなわち、図25
の音程変換装置の音程変換部18の出力に出力信号長調
整手段16が接続された構成である。
【0014】図30は、従来の音程変換装置における出
力信号長調整手段の調整手法を表す図である。図30で
は前述の音程変換部出力信号が入力信号より長くなった
場合に、音程変換部出力信号を調整して、信号長を合わ
せた場合の出力信号長調整手法であり、図31は音程変
換部出力信号長が入力信号長より短くなった場合に、音
程変換部出力信号を調整して、信号長を合わせる信号長
調整手法である。図30、31において、データA,B
は音程変換部入力データ、データA'、B'、A''、B''
は音程変換部出力データである。
【0015】図30において、データA、Bは所定の時
間フレームTにおける音程変換装置の入力データであ
り、そのデータ長はそれぞれL1 である。この入力デー
タを音程変換部18で音程変換した出力は、それぞれデ
ータA',B'となり、データ長はそれぞれL2 となる
(図22(b))。入力信号長と音程変換部出力データ
信号長を合わせるために、図30(c)の出力信号長調
整手段出力のように、データA'とB'の一部を重ねて出
力する。この時、データA'及びB'の重なる部分のデー
タ長は、 2L2−2L1 で与えられる。つまり図中の出力信号長調整手段出力デ
ータの先頭から、 L2−(2L2−2L1)=2L1−L2 の点からL2の点までデータB'が重なるようにする。
【0016】この時、データA',B'をそのまま重ねる
と、重ねる部分と重ねない部分の間でデータに不連続が
生じ、音が歪んでしまう。このため、データを重ねる領
域について、データA'はフェードアウト、データB'は
フェードインさせるクロスフェードの処理を行う事によ
り、音の歪みを低減させる。
【0017】同様に図31を用いて、音程変換部出力信
号長が入力信号長より短くなった場合に、音程変換部出
力信号長を調整して、信号長を合わせる出力信号長調整
手法について説明を行う。
【0018】図31において、データA、Bは所定の時
間フレームTにおける音程変換装置の入力データであ
り、そのデータ長はそれぞれL1 である。この入力デー
タを音程変換部18で音程変換した出力は、それぞれデ
ータA'',B''となり、データ長は、それぞれL1より
短いL3となる(図31(b))。
【0019】入力信号長と音程変換部出力信号長を合わ
せるために、図中の音程変換部出力のように、データ
A''とB''を2回繰り返すデータを作成する(図31
(c))。このデータを図30に示す出力信号長調整手
段出力と同様に、データが重なる部分はクロスフェード
の処理を行い、出力データの歪みを低減させながら、出
力信号長を入力信号長に合わせる。
【0020】上記の出力信号長調整手法は、現在所定の
フレームサイズ単位で行われている。このようにして音
程変換及びデータ長調整を行ったデータを、図29のD
/A変換器5に入力して音程を変換した出力6が得られ
る。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の構成では、入力信号の周波数が低い場合
は、S/N比が高い音程変換が実現できるが、入力信号
の周波数が高くなるにつれ、補間及び、間引くことによ
るデータの誤差が大きくなり、入力信号に対する高調波
雑音及び帯域内に雑音が発生し易くなる。その結果、周
波数が高くなるにつれ、データ長調整手段での歪が大き
くなり、S/N比が悪くなる。
【0022】また、入出力信号長を等しくするように信
号長調整を行った場合、出力信号長調整手段において
は、フレーム毎にクロスフェードを行うことにより、フ
レームサイズに従った周期的な雑音、及び低周波数帯域
に信号歪が発生する場合があり、S/N比が悪くなる。
【0023】本発明は、従来のこのような課題を改善
し、歪が少なく、S/N比が優れている音程変換装置を
提供することを目的とするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】請求項1の本発明は、デ
ィジタル信号を入力する信号入力手段と、その入力ディ
ジタル信号に対する音程変換時の目標音程を入力する音
程入力手段と、その入力された目標音程に基づき、補間
係数を出力する補間係数制御手段と、入力ディジタル信
号を、入力された目標音程の音程に音程変換するよう
に、入力ディジタル信号のデータ長を調整するデータ長
調整手段と、そのデータ長調整手段の出力を、補間係数
制御手段から出力される補間係数で補間する補間演算手
段と、その補間された信号を出力する信号出力手段とを
備えた音程変換装置である。
【0025】請求項2の本発明は、ディジタル信号を入
力する信号入力手段と、その入力ディジタル信号に対す
る音程変換時の目標音程を入力する音程入力手段と、そ
の入力された目標音程に基づき、補間係数を出力する補
間係数制御手段と、入力ディジタル信号を、補間係数制
御手段から出力される補間係数で補間する補間演算手段
と、その補間演算手段の出力を、入力された目標音程の
音程に音程変換するように、補間演算手段の出力のデー
タ長を調整するデータ長調整手段と、そのデータ長調整
手段の出力信号を出力する信号出力手段とを備えた音程
変換装置である。
【0026】請求項7の本発明は、入力ディジタル信号
に対する音程変換時の目標音程を入力する音程入力手段
と、その入力された目標音程に基づき、入力ディジタル
信号に対して音程変換を行う音程変換手段と、入力ディ
ジタル信号の周波数成分を検出する信号周波数成分検出
手段と、音程変換手段の出力の信号長を入力ディジタル
信号の信号長になるように、検出された周波数成分に応
じて、少なくとも最も歪及び雑音が少なくなるようなク
ロスフェード処理を行う出力信号長調整手段とを備えた
音程変換装置である。
【0027】請求項8の本発明は、入力ディジタル信号
に対する音程変換時の目標音程を入力する音程入力手段
と、その入力された目標音程に基づき、入力ディジタル
信号に対して音程変換を行う音程変換手段と、その音程
変換手段の出力の信号長を入力ディジタル信号の信号長
になるようにクロスフェード処理を行う出力信号長調整
手段と、その出力信号長調整手段の出力の周波数成分を
検出する信号周波数成分検出手段とを備え、出力信号長
調整手段は、信号周波数成分検出手段により検出された
周波数成分に応じて、少なくとも最も歪及び雑音が少な
くなるようなクロスフェード処理を行う音程変換装置で
ある。
【0028】請求項9の本発明は、入力ディジタル信号
に対する音程変換時の目標音程を入力する音程入力手段
と、その入力された目標音程に基づき、入力ディジタル
信号に対して音程変換を行う音程変換手段と、その音程
変換手段の出力の信号長を入力ディジタル信号の信号長
になるようにクロスフェード処理を行う出力信号長調整
手段と、その出力信号長調整手段の出力の周波数成分及
び入力ディジタル信号の周波数成分を検出する信号周波
数成分検出手段とを備え、出力信号長調整手段は、信号
周波数成分検出手段により検出された周波数成分に応じ
て、少なくとも最も歪及び雑音が少なくなるようなクロ
スフェード処理を行う音程変換装置である。
【0029】従って本発明は、データ長調整手段により
出力信号長を調整する際に、高調波雑音及び帯域内雑音
を抑えるように信号を補間することによって、歪の少な
い音程変換装置を実現できる。
【0030】また、例えば、オーバサンプリング手段を
備えることにより、入力信号の周波数が高くなっても高
調波成分及び、帯域内に発生する雑音を抑えることがで
き、より歪が少なく、よりS/Nが優れている音程変換
装置を実現できる。
【0031】また、入力信号、又は出力信号、あるいは
それら信号の周波数特性によってクロスフェード処理、
例えば出力信号長調整手段のフレームサイズ及びクロス
フェードにおけるフェードインフェードアウトの時間を
調整することによって、歪が少なく、よりS/Nが優れ
ている音程変換装置を実現できる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をその実施の形態
を示す図面に基づいて説明する。 (実施の形態1)図1は、本発明の第1の実施の形態に
おける音程変換装置の構成を示すブロック図であり、図
2は、図1における音程変換部の構成を示すブロック図
である。従来例と同様の機能のものについては、同じ番
号及び記号で示している。
【0033】図1及び図2において、1は入力信号、2
はA/D変換器、3は音程変換手段、4は音程入力手
段、5はD/A変換器、6は出力信号、11はデータ長
調整手段、12は補間係数演算手段、14は補間係数制
御手段である。ここで、A/D変換器2と音程変換手段
3との接続部が信号入力手段であり、音程変換手段3と
D/A変換器5との接続部が信号出力手段である。
【0034】入力信号1は、A/D変換器2でディジタ
ル信号に変換された後、音程変換手段3に入力される。
入力信号がディジタルの場合は、入力信号1を直接音程
変換手段3に入力する。
【0035】一方、音程入力手段4に入力信号をどの音
程に変換するかの情報、すなわち目標音程が入力され、
入力された音程に応じ、データ長調整手段11及び補間
係数制御手段14に制御信号が伝えられる。音程入力手
段4からの信号を受け、データ長調整手段11は、目標
音程になるようにデータ長の調整を行う。このデータ長
の調整は、入力データn個に1個のデータを補間する、
または間引く事により処理を行う。この結果、出力信号
の周波数は、入力信号に比べ、データを補充する事によ
り、 n/(n+1)倍 データを間引く事により、 n/(n−1)倍 される事になる。
【0036】補間係数演算手段12では、補間係数制御
手段14からの補間係数(例えば、目標音程に対応する
音程変換比率等が考えられる)を用いて、データ長調整
手段11の出力を補間する。この補間手法を以下に示
す。
【0037】図3は、n個のデータを(n+1)個に滑
らかに調整する例である。図3(a)は、データ長調整
手段11の入力データ列21であり、サンプリング周波
数fでサンプリングされたパルス列である。図3(b)
はデータ長調整手段11の出力データ列22であり、該
入力データ列同様にサンプリング周波数fでサンプリン
グされたパルス列である。入力データ列21はn個のデ
ータT1〜Tnであるとする。つまり、この個数でデータ
長調整手段11はデータを1つ補充する。そのため、入
力データ21に対し、出力データ列22は1個データが
多くなっており、補充されたデータTn+1は、Tnと同じ
大きさになっている。図3(b)で従来装置に対して歪
を小さくするためには、図3(a)のn個のデータ列2
1の包絡と、図3(b)の(n+1)個のデータ列22
の包絡が相似になればよい。そのため、図3(b)は図
3(a)を時間軸上で(n+1)/n倍に引き延ばした
形状になるように補間係数を設定する。
【0038】補間係数を設定するために、図3(b)の
(n+1)個の該出力データ列22を、図3(a)のn
個の該入力データ列21の間隔に、サンプリング周期を
狭めて重ねる。これを図3(c)に示す。図3(c)で
は、データを区別するために該出力データ列22を点線
で示している。図3(c)の出力データ列22のサンプ
リング周期は、図3(a)の該入力データ列21のサン
プリング周期のn/(n+1)倍になっている。
【0039】図3(c)において、データ列の包絡が等
しくなるように、出力データ列22の振幅が、入力デー
タ列21を結ぶ線上になるように補間を行う。本実施の
形態では、データの処理を簡略化するため、入力データ
列21間は直線で結ぶものとする。尚、本発明はこれに
限られるものではなく、様々な補間で得られる曲線を用
いてもよい。
【0040】図3(c)において、入力データ列21の
最初の2点間の部分を拡大した図を、図3(d)に示
す。図3(d)で該入力データはT1、T2で、補間処理
後の該出力データをS1、S2で示す。出力波形S2の位
置は、サンプリング周期の差から、入力データT1及び
2の間を(n:1)に分ける位置にある。これがk番
目の位置の場合は、出力データS1はT1,T2 間を(n
+1−k:k)に分ける位置にある。ただし、(1≦k
≦n+1)である。
【0041】図3(d)で出力波形S2 は、大きさが点
23の位置になるように調整する。入力データT1及び
2間は直線とするため、図3(d)中の直線Lより上
は、直角三角形になり、点23と出力データS1 とで構
成される三角形24は、入力データT2で構成される三
角形と相似になる。これを利用して、出力データS
2は、
【0042】
【数1】
【0043】のように表すことができる。k番目のデー
タの場合は、
【0044】
【数2】
【0045】のように表される。この式のTk の係数部
が補間係数となる。補間係数は(数2)よりnとkを用
いて表すことができる。この補間係数を補間係数制御手
段14によって提供する。このように補間係数を設定す
る事により、入力データ列21と出力データ列22の包
絡が相似になり、従来方式よりも歪が少ない音程変換を
実現することができる。
【0046】上記の音程変換手段3の出力をD/A変換
器5に入力し、音程変換結果を出力信号6として出力す
る。
【0047】本実施の形態における音程変換装置を用い
た場合の音程変換と、従来方式の場合の比較を以下に説
明する。比較する場合の各条件は、該音程変換装置入力
信号は5kHz 正弦波、該A/D変換器2のサンプリング
周波数は44.1kHz、17個のデータに1個のデータを増
やす、つまり出力周波数は 5*17/18=4.72kHzである。本
実施の形態では、以上のような条件で比較を行ったが、
サンプリング周波数、データの補間間隔が変わった場合
でも、本実施の形態と同様の効果が得られる。該入力信
号の周波数が低くなると雑音は低減し、高くなると雑音
が増大するが、本実施の形態では代表値として5kHzを選
ぶこととする。
【0048】図4及び図5において、従来方式は点線
で、本実施の形態の音程変換装置の結果は実線で示して
いる。シミュレーションの結果、図4において、音程変
換した信号成分のスペクトルは等しいが、従来方式では
音程変換出力以外に多くの高調波成分、帯域内雑音が生
じており、信号ダイナミックレンジは約17[dB]である。
これに対し、本実施の形態における音程変換装置では従
来装置に比べ、雑音レベルを約15[dB]下げることができ
ている。これにより、信号ダイナミックレンジを約35[d
B]に改善することができた。
【0049】また、本実施の形態の装置を実際の回路で
構成した場合の特性を図5に示す。図5においても、シ
ミュレーション結果(図4)とほぼ同じ結果が示されて
おり、高調波成分及び帯域内雑音が減少していることが
分かる。信号ダイナミックレンジでは、従来装置が15[d
B]であるのに対し、本実施の形態の音程変換装置では、
約35[dB]に改善されている。
【0050】以上の結果から、本実施の形態による音程
変換装置を用いることにより、従来装置より、高調波成
分及び帯域内雑音を抑えることができ、歪が少ない音程
変換を実現することができる。
【0051】本実施の形態では、入力データn個毎に1
つデータを補充する方式について例を挙げて説明を行っ
たが、同様の手法を用いることにより、入力データn個
毎に1つデータを間引きする方式も行うことができる。
その場合、(数2)は、
【0052】
【数3】
【0053】のようになり、(数3)のように補間係数
を設定することによって、従来方式よりも高調波雑音、
帯域内雑音を減少させることができる(ただし、データ
を間引く手法に関しては後述の第2の実施の形態の手法
を用いた方が、よりS/N比の優れた音程変換装置を構
成することができる)。
【0054】以上の手法を用いることにより、歪の少な
い音程変換を実現することができる。入力データn個に
1個のデータを補間することにより、音程を下げること
ができ、nを小さくすることにより、音程の下がり分を
大きくする事ができる。また、該入力データn個に1個
のデータを補間した後、データを間引くことにより、音
程を上げることもできる。同様に、該入力データn個に
1個のデータを間引くことにより、音程を上げることが
でき、nを小さくすることにより、音程の上がり分を大
きくする事ができる。また、該入力データn個に1個の
データを間引いた後、データを補間することにより、音
程を下げることもできる。
【0055】本実施の形態では、入力データn個に1個
のデータを補間または間引くことにより音程変換を実現
したが、入力データn個にm個のデータを補間または間
引くことにより、音程変換する事もできる。しかし、m
を大きくすることにより、データの歪が大きくなり、S
/N比は悪くなる。 (実施の形態2)以下、本発明の第2の実施の形態につ
いて、図面を参照しながら説明する。
【0056】本発明の第2の実施の形態における音程変
換装置の構成を示すブロック図は、図1の構成と同様で
あり、図6は、図1における音程変換部の構成を示すブ
ロック図である。従来例と同様の機能のものについて
は、同じ番号及び記号で示している。
【0057】図1及び図6において、1は入力信号、2
はA/D変換器、3は音程変換手段、4は音程入力手
段、5はD/A変換器、6は出力信号、11はデータ長
調整手段、12は補間係数演算手段、14は補間係数制
御手段である。
【0058】入力信号1は、A/D変換器2でディジタ
ル信号に変換された後、音程変換手段3に入力される。
入力信号がディジタルの場合は、入力信号1を直接音程
変換手段3に入力する。
【0059】一方、音程入力手段4に目標音程が入力さ
れ、入力された音程に応じ、データ長調整手段11及び
補間係数制御手段14に制御信号が伝えられる。音程入
力手段4からの信号を受け、補間係数演算手段12では
補間係数制御手段14からの補間係数を用いて、A/D
変換器2の出力を補間する。この補間係数演算手段12
の出力をデータ長調整手段11に入力し、データ長の調
整を行う。この補間手法及びデータ長調整手法を以下に
示す。
【0060】図7はn個のデータを(n−1)個に滑ら
かに調整する例である。図7(a)はデータ長調整手段
11の入力データ列21であり、T1〜Tnのn個のパル
ス列である。前述の第1の実施の形態と同様の手法を用
い、n個のデータを(n−1)個のデータに変換すると
きには、出力データ列30が、図7(b)の点線のデー
タ列S1〜Sn-1になるよう調整する。これにより、出力
データの周波数を、入力に対しn/(n−1)倍にでき
る。
【0061】図7(b)において、出力データ列30
が、入力データ列21間を結ぶ線上になるように補間を
行う。本実施の形態では、データの処理を簡略化するた
め、入力データ列21間は直線で結ぶものとする。尚、
本発明はこれに限られるものではなく、様々な補間で得
られる曲線を用いてもよい。
【0062】第1の実施の形態と同様に考えることによ
り、出力データ列30は(数3)のように表される。こ
の式でkは該出力データの、k番目のデータの意味であ
る。この式のTk の係数部が補間係数となる。補間係数
は(数3)よりnとkを用いて表すことができる。この
補間係数を補間係数制御手段14によって提供する。こ
のように補間係数を設定する事により、入力データ列2
1と、出力データ列30の包絡が相似となり、従来方式
よりも歪が少ない音程変換を実現することができる。
【0063】上記の音程変換手段3の出力をD/A変換
器5に入力し、音程変換結果を出力信号6として出力す
る。
【0064】本実施の形態における音程変換装置を用い
た場合の音程変換と、従来方式の場合の比較を以下に説
明する。比較する場合の各条件は、該音程変換装置入力
信号は5kHz 正弦波、該A/D変換器2のサンプリング
周波数は44.1kHz、17個のデータに対して1個データ
を減らす、つまり出力周波数は 5*17/16=5.31kHzであ
る。本実施の形態では以上のような条件で比較を行った
が、サンプリング周波数、データの補間間隔が変わった
場合でも、本実施の形態と同様の効果が得られる。該入
力信号の周波数が低くなると雑音は低減し、高くなると
雑音が増大するが、本実施の形態では代表値として5kHz
を選ぶこととする。
【0065】図8及び図9において、従来方式は点線
で、本実施の形態の音程変換装置の結果は実線で示して
いる。シミュレーションの結果、図8において、音程変
換した信号成分のスペクトルは等しいが、従来方式では
音程変換出力以外に、多くの高調波成分、帯域内雑音が
生じており、信号ダイナミックレンジは約17[dB]であ
る。これに対し、本実施の形態における音程変換装置で
は、従来装置に比べ、雑音レベルを約15[dB]下げること
ができている。これにより、信号ダイナミックレンジを
約35[dB]に改善することができた。
【0066】また、本実施の形態の装置を実際の回路で
構成した場合の特性を図9に示す。図9においても、シ
ミュレーション結果(図8)とほぼ同じ結果が示されて
おり、高調波成分及び帯域内雑音が減少していることが
分かる。信号ダイナミックレンジでは、従来装置が15[d
B]であるのに対し、本実施の形態の音程変換装置では、
約35[dB]に改善されている。
【0067】以上の結果から、本実施の形態による音程
変換装置を用いることにより、従来装置より、高調波成
分及び帯域内雑音を抑えることができ、歪が少ない音程
変換を実現することができる。
【0068】本実施の形態では、該入力データn個毎に
1つのデータを間引きする方式について、例を挙げて説
明を行ったが、同様の手法を用いることにより、該入力
データn個毎に1つのデータを補充する方式も行うこと
ができる。その場合、(数3)は(数2)のようにな
る。これをデータ長調整手段11において、データ長を
n個から(n+1)個に変えることにより、周波数をn
/(n+1)倍にできる。以上のように補間係数を設定
することによって、従来方式よりも高調波雑音、帯域内
雑音を減少させることができる(ただし、データを補間
する手法に関しては前述の第1の実施の形態の手法を用
いた方が、よりS/N比の優れた音程変換装置を構成す
ることができる)。
【0069】以上の手法を用いることにより、歪の少な
い音程変換を実現することができる。該入力データn個
に1個のデータを補間することにより、音程を下げるこ
とができ、nを小さくすることにより、音程の下がり分
を大きくする事ができる。また、該入力データn個に1
個のデータを補間した後、データを間引くことにより、
音程を上げることもできる。同様に、該入力データn個
に1個のデータを間引くことにより、音程を上げること
ができ、nを小さくすることにより、音程の上がり分を
大きくする事ができる。また、該入力データn個に1個
のデータを間引いた後、データを補間することにより、
音程を下げることもできる。(実施の形態3) 以下、
本発明の第3の実施の形態について、図面を参照しなが
ら説明する。
【0070】図10は、本発明の第3の実施の形態にお
ける音程変換装置の構成を示すブロック図であり、図1
1は、図10における音程変換部の構成を示すブロック
図である。従来例と同様の機能のものについては、同じ
番号及び記号で示している。
【0071】図10及び図11において、1は入力信
号、2はA/D変換器、3は音程変換手段、4は音程入
力手段、5はD/A変換器、6は出力信号、7はオーバ
サンプリング手段、8は第1のフィルタ手段、9は第2
のフィルタ手段、10はダウンサンプリング手段、11
はデータ長調整手段、12は補間係数演算手段、14は
補間係数制御手段である。ここで、オーバサンプリング
手段7及び第1のフィルタ手段8は信号入力手段に含ま
れ、ダウンサンプリング手段10及び第2のフィルタ手
段9は信号出力手段に含まれている。
【0072】本実施の形態では、入力データn個に1個
のデータを補充する手法について、図面及び上記第1の
実施の形態で説明した方法を用いて説明を行う。
【0073】入力信号1は、A/D変換器2でディジタ
ル信号に変換された後、オーバサンプリング手段7に入
力される。入力信号がディジタルの場合は、入力信号1
を直接オーバサンプリング手段7に入力する。
【0074】オーバサンプリング手段7では、入力信号
を、A/D変換器2のサンプリング周波数fs1の2倍以
上のサンプリング周波数fs2でオーバサンプリングす
る。サンプリング周波数fs1間の補間データは、本実施
の形態では、手前のデータと同じものを用いるが、0を
挿入したり、直線補間を行っても同様の効果が得られ
る。オーバサンプリングする事により、見かけ上、入力
信号周波数が(fs1/fs2)倍されたことと等価とな
る。fs1<fs2のために、処理する信号は、周波数が
(fs1/fs2)倍に下がったものと同様の特性になる。
本発明の音程変換装置では、前述したように入力信号の
周波数が低くなると雑音が減少するので、オーバサンプ
リングすることによりS/N比が改善され、オーバサン
プリング周波数が高くなるほど、よりS/N比が改善さ
れる。
【0075】オーバサンプリング手段7の出力を第1の
フィルタ手段8に入力する。第1のフィルタ手段8の周
波数特性は、fs1の半分の周波数以下の周波数領域を通
過させる低域通過特性である。これにより、音程変換時
において、エーリアスの発生を防ぐと共に、オーバサン
プリング手段7で補間したデータを、滑らかにつなげ
る。
【0076】一方、音程入力手段4に目標音程が入力さ
れ、入力された音程に応じて、データ長調整手段11、
及び音程変換部の中の補間係数制御手段14に制御信号
が伝えられる。第1のフィルタ手段8の出力を受け、デ
ータ長調整手段11では、音程入力手段4からの制御信
号に基づいて、データ長の調整を行う。補間係数演算手
段12では、補間係数制御手段14からの補間係数を用
いて、データ長調整手段11の出力を補間する。データ
長調整手法及び補間手法については、上記第1の実施の
形態に示す手法と同様に行う。
【0077】データ長調整手段11で処理された信号を
第2のフィルタ手段9に入力する。第2のフィルタ手段
9の周波数特性はフィルタ手段8と同様に、A/D変換
器2のサンプリング周波数fs1の半分の周波数以下の周
波数領域を通過させる低域通過特性である。これによ
り、音程変換手段3で音程変換を行った後の信号のサン
プリング周波数を、A/D変換器2のサンプリング周波
数に戻す場合に発生するエーリアスを防ぐ。
【0078】第2のフィルタ手段9の出力をダウンサン
プリング手段10に入力する。ここで、サンプリング周
波数fs2にオーバサンプリングされたデータを、A/D
変換器2のサンプリング周波数であるfs1に変換する。
本実施の形態では、ダウンサンプリングの手段として、
(fs2/fs1)回に一回、データを出力し、残りのデー
タは無視する手法をとるが、本発明はこれに限られるも
のではなく、他の様々なダウンサンプリング手法を用い
てもよい。
【0079】ダウンサンプリング手段10でダウンサン
プリングされた信号を、D/A変換器5に入力し、D/
A変換器5からアナログ信号に変換された出力信号6が
得られる。
【0080】以上のように、入力信号をオーバサンプリ
ングすることにより、音程変換手段3内で、見かけ上、
入力信号の周波数を下げ、S/N比を向上することがで
きる。この音程変換装置のシミュレーション及び実際の
回路構成による測定結果を以下に示す。
【0081】シミュレーション及び実測の際の条件は、
音程変換装置の入力信号は5kHz正弦波、A/D変換器2
のサンプリング周波数は 44.1kHz、オーバサンプリング
周波数は88.2kHzで、17個のデータに1個データを増
やす、つまり出力周波数は 5*17/18=4.72 kHzである。
本実施の形態では以上のような条件で行ったが、サンプ
リング周波数、データの補間間隔が変わった場合でも、
本実施の形態と同様の効果が得られる。入力信号の周波
数が低くなると雑音は低減し、高くなると雑音が増大す
るが、本実施の形態では代表値として5kHzを選ぶことと
する。また、オーバサンプリング周波数を高くすること
により、該入力信号を低くするのと同様の効果があり、
よりS/N比を改善できる。
【0082】シミュレーションの結果を図12に示す。
シミュレーション及び実測結果では、上記第1の実施の
形態の手法を用いた結果は点線で、本実施の形態の音程
変換装置の結果は実線で示している。図12において、
上記第1の実施の形態の方式では音程変換出力以外に、
多くの高調波成分、帯域内雑音が生じており、信号ダイ
ナミックレンジは約35[dB]である。これに対し、本実施
の形態における音程変換装置では、従来装置に比べて、
雑音レベルを約15[dB]下げることができ、帯域内雑音は
表示域以下になっている。これにより、信号ダイナミッ
クレンジを約50[dB]に改善することができた。
【0083】また、本実施の形態の装置を実際の回路で
構成した場合の特性を図13に示す。図13において
も、シミュレーション結果(図12)とほぼ同じ結果が
示されており、高調波成分及び帯域内雑音が減少してい
ることが分かる。信号ダイナミックレンジでは、第1の
実施の形態が33[dB]であるのに対し、本実施の形態の音
程変換装置では、約48[dB]に改善されている。
【0084】以上、入力データn個に1個のデータを補
充する手法について説明したが、入力データn個に1個
のデータを間引く手法についても、上記第1の実施の形
態と同様に、本構成法を用いることにより実現でき、第
1の実施の形態の構成の音程変換装置よりもS/N比を
改善することができる(ただし、データを間引く手法に
関しては、後述の第4の実施の形態の手法を用いた方
が、よりS/N比の優れた音程変換装置を構成すること
ができる)。
【0085】以上の結果より、本実施の形態によるオー
バサンプリングを用いた音程変換装置を用いることによ
り、従来装置、及び上記第1の実施の形態に示す構成よ
り、高調波成分及び帯域内雑音を抑えることができ、歪
が少ない音程変換を実現することができる。また、オー
バサンプリング周波数を高くすることにより、更にS/
N比を改善することができる。 (実施の形態4)以下、本発明の第4の実施の形態につ
いて、図面を参照しながら説明する。
【0086】本発明の第4の実施の形態における音程変
換装置の構成を示すブロック図は、図10と同様であ
り、図14は、図10における音程変換部の構成を示す
ブロック図である。従来例と同様の機能のものについて
は、同じ番号及び記号で示している。
【0087】図10及び図14において、1は入力信
号、2はA/D変換器、3は音程変換手段、4は音程入
力手段、5はD/A変換器、6は出力信号、7はオーバ
サンプリング手段、8は第1のフィルタ手段、9は第2
のフィルタ手段、10はダウンサンプリング手段、11
はデータ長調整手段、12は補間係数演算手段、14は
補間係数制御手段である。
【0088】本実施の形態では、入力信号n個を(n−
1)個の出力信号に滑らかに調整する手法について、図
面及び上記第2の実施の形態を用いて説明を行う。
【0089】入力信号1は、A/D変換器2でディジタ
ル信号に変換された後、オーバサンプリング手段7に入
力される。入力信号がディジタルの場合は、入力信号1
を直接オーバサンプリング手段7に入力する。
【0090】オーバサンプリング手段7では、入力信号
を、A/D変換器2のサンプリング周波数fs1の2倍以
上のサンプリング周波数fs2でオーバサンプリングす
る。サンプリング周波数fs1間の補間データは、本実施
の形態では、手前のデータと同じものを用いているが、
0を挿入したり、直線補間を行っても同様の効果が得ら
れる。
【0091】オーバサンプリングする事により、見かけ
上、入力信号周波数が(fs1/fs2)倍されたことと等
しくなる。fs1<fs2のために、処理する信号は、周波
数が(fs1/fs2)倍に下がったものと同様の特性にな
る。本実施の形態の音程変換装置では、前述したように
入力信号の周波数が低くなると雑音が減少するので、オ
ーバサンプリングすることによりS/N比が改善され、
オーバサンプリング周波数が高くなるほど、よりS/N
比が改善される。
【0092】オーバサンプリング手段7の出力を第1の
フィルタ手段8に入力する。第1のフィルタ手段8の周
波数特性は、fs1の半分の周波数以下の周波数領域を通
過させる低域通過特性である。これにより、音程変換時
において、エーリアスの発生を防ぐと共に、オーバサン
プリング手段7で補間したデータを、滑らかにつなげ
る。
【0093】一方、音程入力手段4に目標音程が入力さ
れ、入力された音程に応じて、データ長調整手段11及
び、音程変換部の中の補間係数制御手段14に制御信号
が伝えられる。補間係数演算手段12では、音程入力手
段4からの信号を受けた補間係数制御手段14からの補
間係数を用いて、A/D変換器2の出力を補間する。こ
の補間係数演算手段12の出力を、データ長調整手段1
1に入力し、データ長の調整を行う。補間手法及びデー
タ長調整手法については、第2の実施の形態に示す手法
と同様に行う。
【0094】このようにして補間係数演算手段12で処
理され、データ長調整された信号を第2のフィルタ手段
9に入力する。第2のフィルタ手段9の周波数特性は第
1のフィルタ手段8と同様に、A/D変換器2のサンプ
リング周波数fs1の半分の周波数以下の周波数領域を通
過させる低域通過特性である。これにより、音程変換手
段3で音程変換を行った後の信号のサンプリング周波数
を、A/D変換器2のサンプリング周波数に戻す場合
に、エーリアスが発生するのを防ぐ。
【0095】第2のフィルタ手段9の出力をダウンサン
プリング手段10に入力する。ここで、サンプリング周
波数fs2にオーバサンプリングされたデータを、A/D
変換器2のサンプリング周波数であるfs1に変換する。
本実施の形態では、ダウンサンプリングの手段として、
(fs2/fs1)回に一回、データを出力し、残りのデー
タは無視する手法をとるが、本実施の形態はこれに限ら
れるものではなく、他の様々なダウンサンプリング手法
を用いてもよい。
【0096】ダウンサンプリング手段10でダウンサン
プリングされた信号を、D/A変換器5に入力し、D/
A変換器5にてアナログ信号に変換された出力信号6が
得られる。
【0097】以上のように、入力信号をオーバサンプリ
ングすることにより、音程変換手段3内で、見かけ上、
入力信号の周波数を下げ、S/N比を向上することがで
きる。この音程変換装置のシミュレーション及び実際の
回路構成による測定結果を以下に示す。
【0098】シミュレーション及び実測の際の条件は、
音程変換装置の入力信号は5kHz正弦波、A/D変換器2
のサンプリング周波数は 44.1kHz、オーバサンプリング
周波数は88.2kHz、17個データに対して1個データを
減らす、つまり出力周波数は5*17/16=5.31 kHzである。
本実施の形態では以上のような条件で行ったが、サンプ
リング周波数、データの補間間隔が変わった場合でも、
本実施の形態と同様の効果が得られる。入力信号の周波
数が低くなると雑音は低減し、高くなると雑音が増大す
るが、本実施の形態では代表値として5kHzを選ぶことと
する。また、オーバサンプリング周波数を高くすること
により、入力信号を低くするのと同様の効果があり、よ
りS/N比を改善できる。
【0099】シミュレーションの結果を図15に示す。
シミュレーション及び実測結果においては、第2の実施
の形態の手法を用いた結果は点線で、本実施の形態の音
程変換装置の結果は実線で示している。図15におい
て、第2の実施の形態の方式では音程変換出力以外に、
多くの高調波成分、帯域内雑音が生じており、信号ダイ
ナミックレンジは約35[dB]である。これに対し、本実施
の形態における音程変換装置では、従来装置に比べて、
雑音レベルを約15[dB]下げることができ、帯域内雑音は
表示域以下になっている。これにより、信号ダイナミッ
クレンジを約50[dB]に改善することができた。
【0100】また、本実施の形態の装置を実際の回路で
構成した場合の特性を図16に示す。図16において
も、シミュレーション結果(図15)とほぼ同じ結果が
示されており、高調波成分及び帯域内雑音が減少してい
ることが分かる。信号ダイナミックレンジでは、第2の
実施の形態が33[dB]であるのに対し、本実施の形態の音
程変換装置では、約48[dB]に改善されている。
【0101】以上、入力データn個に1個のデータを間
引く手法について説明したが、入力データn個に1個の
データを補充する手法についても、第2の実施の形態と
同様に、本構成法を用いることにより実現でき、第2の
実施の形態の構成の音程変換装置よりもS/N比を改善
することができる(ただし、データを補充する手法に関
しては、前述の第3の実施の形態の手法を用いた方が、
よりS/N比の優れた音程変換装置を構成することがで
きる)。
【0102】以上の結果より、本実施の形態によるオー
バサンプリングを用いた音程変換装置を用いることによ
り、従来装置及び、前記第1及び2の実施の形態に示す
構成より、高調波成分及び帯域内雑音を抑えることがで
き、歪が少ない音程変換を実現することができる。ま
た、オーバサンプリング周波数を高くすることにより、
更にS/N比を改善することができる。 (実施の形態5)以下、本発明の第5の実施の形態につ
いて、図面を参照しながら説明する。
【0103】図18は、本発明の第5の実施の形態にお
ける音程変換装置の構成を示すブロック図であり、図1
9は、図18における出力信号長調整手段の構成を示す
ブロック図である。従来例と同様の機能のものについて
は、同じ番号及び記号で示している。
【0104】図18及び図19において、1は入力信
号、2はA/D変換器、15は信号周波数成分検出手
段、16は出力信号長調整手段、19は出力信号長調整
手段用係数メモリ、5はD/A変換器、6は出力信号、
18は音程変換部であり、音程変換部18は、上記第1
あるいは第2の実施の形態における音程変換部と同様で
あり、音程入力手段4、データ長調整手段11、補間係
数演算手段12、補間係数制御手段14を含む構成であ
る。又は、上記第3あるいは第4の実施の形態における
音程変換部、オーバサンプリング手段7、第1のフィル
タ手段8、第2のフィルタ手段9、ダウンサンプリング
手段10を含む構成である。
【0105】本実施の形態では、入力信号n個を音程変
換部18により(n+1)個の出力信号に滑らかに調整
した信号(音程変換部出力)を、入力信号と同じ信号長
に合わせる手法について、図面を用いて説明を行う。
【0106】図18において、入力信号1は、A/D変
換器2でディジタル信号に変換された後、音程変換部1
8及び信号周波数成分検出手段15に入力される。入力
信号がディジタルの場合は、入力信号1を直接音程変換
部18及び信号周波数成分検出手段15に入力する。
【0107】信号周波数成分検出手段15では、入力さ
れた入力信号の周波数成分を検出し、制御信号を出力信
号長調整手段16に出力する。この信号周波数成分の検
出方法は高速フーリエ変換等、如何なる信号周波数検出
手法を用いてもよい。
【0108】音程変換部18では入力信号を受け、上記
第1から第4の実施の形態のいずれかのような手法を用
いて音程変換を行う。本実施の形態では、音程変換部出
力は音程変換手段により、入力データn点に対し、(n
+1)点の出力データを出力信号長調整手段16に出力
するものである。
【0109】出力信号長調整手段16では、信号長を調
整するために、音程変換部出力は、ある所定の時間T毎
に区切られる。この時間Tの間の出力データ単位を1フ
レームとする。本実施の形態の場合、1フレーム内の音
程変換部18の出力信号のデータ数は、入力信号、1フ
レームに対し、(n+1)/nの長さになる。この出力
信号長を、入力信号長と等しくするために、図30に示
す、従来方式と同様の手法を用いて信号長を合わせる。
【0110】従来の出力信号長調整手段16(図29参
照)では、信号長を調整するために、ある所定のフレー
ム長と、所定のフェードイン・フェードアウト時間のク
ロスフェードを用いていたが、この手法では入力信号が
音声や管楽器の音のようにピッチ周期を持つ場合、入力
信号の周波数成分によって、ピッチ周期の周期音がふる
えて聞こえるような歪みが生じる場合がある。また、フ
レーム長が固定されているため、フレーム周期毎に発生
する不連続信号により周期雑音が発生する。
【0111】これらの信号歪み、雑音を防ぐために本発
明では、信号周波数成分検出手段15において、入力信
号中の最も大きい信号周波数成分及び、100Hz 以下の低
域の歪成分を検出し、出力信号長調整手段16に制御信
号を出力する。出力信号長調整手段16では、その制御
信号に基づき、入力信号の周波数成分及び歪成分に対応
して、フレーム長及びフェードイン・フェードアウト時
間を変化させる。この変化させるフレーム長及びフェー
ドイン・フェードアウト時間は予め予備実験を行い、最
も歪み・雑音が少なくなるよう調整を行った値を用い
る。この値は係数メモリ19に予め格納されており、信
号周波数成分検出手段15の制御信号に基づいて、出力
信号長調整手段16に転送される。出力信号長調整手段
16ではこの値に応じて、クロスフェードのフェードイ
ン・フェードアウト時間の調整を行って、信号長の調整
を行う。クロスフェードのフェードイン・フェードアウ
ト時間を調整した例を図17に示す。
【0112】本実施の形態のシミュレーション結果を図
20に示す。シミュレーションの条件は、音程変換装置
の入力信号は5kHz正弦波、A/D変換器2のサンプリン
グ周波数は 44.1kHz、17個のデータに1個データを増
やす、つまり出力周波数は 5*17/18=4.72kHzである。本
実施の形態では代表値として5kHzを選ぶこととする。図
20中の実線が本発明による音程変換装置の周波数特性
例で、破線は、同様の入力信号の場合の従来装置の周波
数特性例である。図20より、本実施の形態による音程
変換装置は、従来のものより帯域内雑音が減少している
ことが分かる。これにより信号歪み及び帯域内雑音が低
減できる。
【0113】以上、音程変換部出力信号長(n+1)
を、入力信号長nと等しくする手法について説明した
が、音程変換部出力信号長(n−1)を入力信号長nに
する手法についても同様に、従来の図31の出力信号長
調整手法と本構成法を用いることにより実現できる。
【0114】以上の結果より、本実施の形態による出力
信号長調整手段16を用いた音程変換装置を用いること
により、従来装置より、高調波成分及び帯域内雑音を抑
えることができ、歪が少ない音程変換を実現することが
できる。 (実施の形態6)以下、本発明の第6の実施の形態につ
いて、図面を参照しながら説明する。
【0115】図21は、本発明の第6の実施の形態にお
ける音程変換装置の構成を示すブロック図であり、図2
1における出力信号長調整手段16の構成を示すブロッ
ク図は、図19と同様である。従来例と同様の機能のも
のについては、同じ番号及び記号で示している。
【0116】図21及び図19において、1は入力信
号、2はA/D変換器、15は信号周波数成分検出手
段、16は出力信号長調整手段、19は出力信号長調整
手段用の係数メモリ、5はD/A変換器、6は出力信
号、18は音程変換部であり、音程変換部18は、上記
第1あるいは第2の実施の形態における音程変換部と同
様であり、音程入力手段4、データ長調整手段11、補
間係数演算手段12、補間係数制御手段14を含む構成
である。又は、上記第3あるいは第4の実施の形態にお
ける音程変換部、オーバサンプリング手段7、第1のフ
ィルタ手段8、第2のフィルタ手段9、ダウンサンプリ
ング手段10を含む構成である。
【0117】本実施の形態では、入力信号n個を音程変
換部18により(n+1)個の出力信号に滑らかに調整
した信号(音程変換部出力)を、入力信号と同じ信号長
に合わせる手法について、図面を用いて説明を行う。
【0118】図21において、入力信号1は、A/D変
換器2でディジタル信号に変換された後、音程変換部1
8に入力される。入力信号がディジタルの場合は、入力
信号1を直接音程変換部18入力する。
【0119】音程変換部18では入力信号を受け、上記
第1から第4の実施の形態のいずれかのような手法を用
いて音程変換を行う。本実施の形態では、音程変換部出
力は音程変換手段により、入力データn点に対し、(n
+1)点の出力データを出力信号長調整手段16に出力
する。更に、出力信号長調整手段16の出力は、信号周
波数成分検出手段15及びD/A変換器5に出力され
る。
【0120】信号周波数成分検出手段15では、入力さ
れた出力信号長調整手段16の出力信号の周波数成分を
検出し、制御信号を出力信号長調整手段16に出力す
る。信号周波数成分の検出方法は高速フーリエ変換等、
如何なる信号周波数検出手法を用いてもよい。
【0121】出力信号長調整手段16では、信号長を調
整するために、音程変換部出力が、ある所定の時間T毎
に区切られる。この時間Tの間の出力データ単位を1フ
レームとする。本実施の形態の場合、1フレーム内の音
程変換部18の出力信号のデータ数は、入力信号、1フ
レームに対し、(n+1)/nの長さになる。この出力
信号長を、入力信号長と等しくするために、図30に示
す、従来方式と同様の手法を用いて信号長を合わせる。
【0122】従来の出力信号長調整手段16(図29参
照)では、信号長を調整するために、ある所定のフレー
ム長と、所定のフェードイン・フェードアウト時間のク
ロスフェードを用いていたが、この手法では入力信号が
音声や管楽器の音のようにピッチ周期を持つ場合、入力
信号の周波数成分によって、ピッチ周期の周期音がふる
えて聞こえるような歪みが生じる場合がある。また、フ
レーム長が固定されているため、フレーム周期毎に発生
する不連続信号により周期雑音が発生する。
【0123】これらの信号歪み、雑音を防ぐために本発
明では、信号周波数成分検出手段15において、出力信
号長調整手段16の出力信号中の最も大きい信号周波数
成分及び、100Hz 以下の低域の歪成分を検出し、出力信
号長調整手段16に制御信号を出力する。出力信号長調
整手段16では、その制御信号に基づき、出力信号の周
波数成分及び歪成分に対応して、フレーム長及びフェー
ドイン・フェードアウト時間を変化させる。この変化さ
せるフレーム長及びフェードイン・フェードアウト時間
は予め予備実験を行い、最も歪み・雑音が少なくなるよ
う調整を行った値を用いる。この値は係数メモリ19に
予め格納されており、信号周波数成分検出手段15の制
御信号に基づいて、出力信号長調整手段16に転送され
る。出力信号長調整手段16ではこの値に応じて、クロ
スフェードのフェードイン・フェードアウト時間の調整
を行って、信号長の調整を行う。クロスフェードのフェ
ードイン・フェードアウト時間を調整した例を図17に
示す。
【0124】本実施の形態のシミュレーション結果を図
22に示す。シミュレーションの条件は、音程変換装置
の入力信号は5kHz正弦波、A/D変換器2のサンプリン
グ周波数は44.1kHz、17個のデータに1個データを増
やす、つまり出力周波数は 5*17/18=4.72 kHzである。
本実施の形態では代表値として5kHzを選ぶこととする。
図22中の実線が本発明による音程変換装置の周波数特
性例で、破線は、同様の入力信号の場合の従来装置の周
波数特性例である。図22より、本実施の形態による音
程変換装置は、従来のものより帯域内雑音が減少してい
ることが分かる。これにより信号歪み及び帯域内雑音が
低減できる。
【0125】以上、音程変換部出力信号長(n+1)
を、入力信号長nと等しくする手法について説明した
が、音程変換部出力信号長(n−1)を入力信号長nに
する手法についても同様に、従来の図31の出力信号長
調整手法と本構成法を用いることにより実現できる。
【0126】以上の結果より、本実施の形態による出力
信号長調整手段16を用いた音程変換装置を用いること
により、従来装置より、高調波成分及び帯域内雑音を抑
えることができ、歪が少ない音程変換を実現することが
できる。 (実施の形態7)以下、本発明の第7の実施の形態につ
いて、図面を参照しながら説明する。
【0127】図23は、本発明の第7の実施の形態にお
ける音程変換装置の構成を示すブロック図であり、図2
3における出力信号長調整手段16の構成を示すブロッ
ク図は、図19と同様である。従来例と同様の機能のも
のについては、同じ番号及び記号で示している。
【0128】図23及び図19において、1は入力信
号、2はA/D変換器、15は信号周波数成分検出手
段、16は出力信号長調整手段、19は出力信号長調整
手段用の係数メモリ、5はD/A変換器、6は出力信
号、18は音程変換部であり、音程変換部18は、上記
第1あるいは第2の実施の形態における音程変換部と同
様であり、音程入力手段4、データ長調整手段11、補
間係数演算手段12、補間係数制御手段14を含む構成
である。又は、上記第3あるいは第4の実施の形態にお
ける音程変換部、オーバサンプリング手段7、第1のフ
ィルタ手段8、第2のフィルタ手段9、ダウンサンプリ
ング手段10を含む構成である。
【0129】本実施の形態では、入力信号n個を音程変
換部18により(n+1)個の出力信号に滑らかに調整
した信号(音程変換部出力)を、入力信号と同じ信号長
に合わせる手法について、図面を用いて説明を行う。
【0130】図23において、入力信号1は、A/D変
換器2でディジタル信号に変換された後、音程変換部1
8及び信号周波数成分検出手段15に入力される。入力
信号がディジタルの場合は、入力信号1を直接音程変換
部18及び信号周波数成分検出手段15に入力する。
【0131】音程変換部18では入力信号を受け、上記
第1から第4の実施の形態のいずれかのような手法を用
いて音程変換を行う。本実施の形態では、音程変換部出
力は音程変換手段により、入力データn点に対し、(n
+1)点の出力データを出力信号長調整手段16に出力
される。出力信号長調整手段16の出力はD/A変換器
5及び信号周波数成分検出手段15に出力される。
【0132】信号周波数成分検出手段15では、入力さ
れた入力信号及び出力信号長調整手段16の出力の差の
信号周波数成分を検出し、制御信号を出力信号長調整手
段16に出力する。信号周波数成分の検出方法は高速フ
ーリエ変換等、如何なる信号周波数検出手法を用いても
よい。
【0133】出力信号長調整手段16では、信号長を調
整するために、音程変換部出力は、ある所定の時間T毎
に区切られる。この時間Tの間の出力データ単位を1フ
レームとする。本実施の形態の場合、1フレーム内の音
程変換部18の出力信号のデータ数は、入力信号、1フ
レームに対し、(n+1)/nの長さになる。この出力
信号長を、入力信号長と等しくするために、図30に示
す、従来方式と同様の手法を用いて信号長を合わせる。
【0134】従来の出力信号長調整手段16(図29参
照)では、信号長を調整するために、ある所定のフレー
ム長と、所定のフェードイン・フェードアウト時間のク
ロスフェードを用いていたが、この手法では入力信号が
音声や管楽器の音のようにピッチ周期を持つ場合、入力
信号の周波数成分によって、ピッチ周期の周期音がふる
えて聞こえるような歪みが生じる場合がある。また、フ
レーム長が固定されているため、フレーム周期毎に発生
する不連続信号により周期雑音が発生する。
【0135】これらの信号歪み、雑音を防ぐために本発
明では、信号周波数成分検出手段15において、入力信
号と出力信号長調整手段16の出力信号の差成分の最も
大きい信号周波数成分及び、100Hz 以下の低域の歪成分
を検出し、出力信号長調整手段16に制御信号を出力す
る。出力信号長調整手段16では、その制御信号に基づ
き、入力信号の周波数成分及び歪成分に対応して、フレ
ーム長及びフェードイン・フェードアウト時間を変化さ
せる。この変化させるフレーム長及びフェードイン・フ
ェードアウト時間は予め予備実験を行い、最も歪み・雑
音が少なくなるよう調整を行った値を用いる。この値は
係数メモリ19に予め格納されており、信号周波数成分
検出手段15の制御信号に基づいて、出力信号長調整手
段16に転送される。出力信号長調整手段16ではこの
値に応じて、クロスフェードのフェードイン・フェード
アウト時間の調整を行って、信号長の調整を行う。クロ
スフェードのフェードイン・フェードアウト時間を調整
した例を図17に示す。
【0136】本実施の形態のシミュレーション結果を図
24に示す。シミュレーションの条件は、音程変換装置
の入力信号は5kHz正弦波、A/D変換器2のサンプリン
グ周波数は44.1kHz、17個のデータに1個データを増
やす、つまり出力周波数は 5*17/18=4.72 kHzである。
本実施の形態では代表値として5kHzを選ぶこととする。
図24中の実線が本発明による音程変換装置の周波数特
性例で、破線は、同様の入力信号の場合の従来装置の周
波数特性例である。図24より、本実施の形態による音
程変換装置は、従来のものより帯域内雑音が減少してい
ることが分かる。これにより信号歪み及び帯域内雑音が
低減できる。
【0137】以上、音程変換部出力信号長(n+1)
を、入力信号長nと等しくする手法について説明した
が、音程変換部出力信号長(n−1)を入力信号長nに
する手法についても同様に、従来の図31の出力信号長
調整手法と本構成法を用いることにより実現できる。
【0138】以上の結果より、本実施の形態による出力
信号長調整手段16を用いた音程変換装置を用いること
により、従来装置より、高調波成分及び帯域内雑音を抑
えることができ、歪が少ない音程変換を実現することが
できる。
【0139】以上のように、本発明の音程変換装置は、
信号のデータ長を変化させる場合に、信号を滑らかにつ
なぐような補間を用いることにより、歪の少ない音程変
換装置を実現することが可能である。また、上記手法の
音程変換時にオーバーサンプリングを用い、見かけ上、
入力信号の周波数を下げることにより、更にS/N比の
優れた音程変換装置を実現することが可能となる。ま
た、上記手法の音程変換時において、出力信号長を調整
する場合、入力及び音程変換部出力信号によって、信号
長調整フレーム長及び、クロスフェードのフェードイン
・フェードアウト時間を調整することにより、S/N比
の優れた音程変換装置を実現することが可能である。
【0140】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように本
発明は、音程入力手段に入力された目標音程に基づき、
補間係数を出力する補間係数制御手段と、目標音程の音
程に音程変換するように、入力ディジタル信号のデータ
長を調整するデータ長調整手段と、そのデータ長調整手
段の出力を、補間係数制御手段から出力される補間係数
で補間する補間演算手段とを備えている場合は、歪みを
少なくできるという長所を有する。
【0141】また、上記の音程変換時にオーバーサンプ
リングを用い、見かけ上、入力信号の周波数を下げるこ
とにより、更にS/N比の優れた出力信号が得られると
いう利点がある。
【0142】また、入力ディジタル信号の周波数成分を
検出する信号周波数成分検出手段と、音程変換手段の出
力の信号長を入力ディジタル信号の信号長になるよう
に、検出された周波数成分に応じて、少なくとも最も歪
及び雑音が少なくなるようなクロスフェード処理を行う
出力信号長調整手段とを備えている場合は、周期的な雑
音、信号歪みを低減でき、S/N比を改善できるという
利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の音程変換装置のブ
ロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の音程変換部の構成
を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における音程変換手
法を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の音程変換装置と従
来の装置の、シミュレーションにおける、音程変換出力
の周波数特性例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態の音程変換装置と従
来の装置の、実際の回路構成における、音程変換出力の
周波数特性例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の音程変換部の構成
を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における音程変換手
法を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の音程変換装置と従
来の装置の、シミュレーションにおける、音程変換出力
の周波数特性例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の音程変換装置と従
来の装置の、実際の回路構成における、音程変換出力の
周波数特性例を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態における音程変換
装置のブロック図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態の音程変換部の構
成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態の音程変換装置と
第1の実施の形態の音程変換装置の、シミュレーション
における、音程変換出力の周波数特性例を示す図であ
る。
【図13】本発明の第3の実施の形態の音程変換装置と
第1の実施の形態の音程変換装置の、実際の回路構成に
おける、音程変換出力の周波数特性例を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態の音程変換部の構
成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態の音程変換装置と
第2の実施の形態の音程変換装置の、シミュレーション
における、音程変換出力の周波数特性例を示す図であ
る。
【図16】本発明の第4の実施の形態の音程変換装置と
第2の実施の形態の音程変換装置の、実際の回路構成に
おける、音程変換出力の周波数特性例を示す図である。
【図17】出力信号長をn/(n+1)倍する出力信号
長調整手法で、クロスフェードのフェードインフェード
アウト時間を調整した例を示す図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態の構成を示すブロ
ック図である。
【図19】本発明の第5、第6及び第7の実施の形態の
出力信号長調整手段の構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の第5の実施の形態の音程変換装置と
従来の音程変換装置の、シミュレーションにおける、出
力信号の周波数特性例を示す図である。
【図21】本発明の第6の実施の形態の構成を示すブロ
ック図である。
【図22】本発明の第6の実施の形態の音程変換装置と
従来の音程変換装置の、シミュレーションにおける、出
力信号の周波数特性例を示す図である。
【図23】本発明の第7の実施の形態の構成を示すブロ
ック図である。
【図24】本発明の第7の実施の形態の音程変換装置と
従来の音程変換装置の、シミュレーションにおける、出
力信号の周波数特性例を示す図である。
【図25】従来の音程変換装置のブロック図である。
【図26】従来の音程変換装置の音程変換部の構成を示
すブロック図である。
【図27】従来の音程変換装置における音程変換手法を
示す図である。
【図28】従来の音程変換装置の入力と出力の周波数特
性例を示す図である。
【図29】入力信号長と出力信号長を等しくする出力信
号長調整手段を備えた従来の音程変換装置のブロック図
である。
【図30】従来の出力信号長をn/(n+1)倍する出
力信号長調整手法を示す図である。
【図31】従来の出力信号長をn/(n−1)倍する出
力信号長調整手法を示す図である。
【符号の説明】
1 入力信号 2 A/D変換器 3 音程変換手段 4 音程入力手段 5 D/A変換器 6 出力信号 7 第1のフィルタ手段 8 オーバーサンプリング手段 9 第2のフィルタ手段 10 ダウンサンプリング手段 11 データ長調整手段 12 補間係数演算手段 14 補間係数制御手段 15 信号周波数成分検出手段 16 出力信号長調整手段 18 音程変換部 19 係数メモリ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディジタル信号を入力する信号入力手段
    と、その入力ディジタル信号に対する音程変換時の目標
    音程を入力する音程入力手段と、その入力された目標音
    程に基づき、補間係数を出力する補間係数制御手段と、
    前記入力ディジタル信号を、前記入力された目標音程の
    音程に音程変換するように、前記入力ディジタル信号の
    データ長を調整するデータ長調整手段と、そのデータ長
    調整手段の出力を、前記補間係数制御手段から出力され
    る補間係数で補間する補間演算手段と、その補間された
    信号を出力する信号出力手段とを備えたことを特徴とす
    る音程変換装置。
  2. 【請求項2】 ディジタル信号を入力する信号入力手段
    と、その入力ディジタル信号に対する音程変換時の目標
    音程を入力する音程入力手段と、その入力された目標音
    程に基づき、補間係数を出力する補間係数制御手段と、
    前記入力ディジタル信号を、前記補間係数制御手段から
    出力される補間係数で補間する補間演算手段と、その補
    間演算手段の出力を、前記入力された目標音程の音程に
    音程変換するように、前記補間演算手段の出力のデータ
    長を調整するデータ長調整手段と、そのデータ長調整手
    段の出力信号を出力する信号出力手段とを備えたことを
    特徴とする音程変換装置。
  3. 【請求項3】 補間係数は、前記目標音程に対応した音
    程変換比率であることを特徴とする請求項1、又は2記
    載の音程変換装置。
  4. 【請求項4】 信号入力手段は、前記入力ディジタル信
    号をオーバーサンプリングするオーバーサンプリング手
    段と、そのオーバーサンプリング手段の出力のうち前記
    入力ディジタル信号におけるサンプリング周波数の半分
    の周波数より低い周波数を通過させる低域通過特性を有
    する第1のフィルタ手段とを有し、前記信号出力手段
    は、その信号出力手段に入力される信号のうち前記入力
    ディジタル信号におけるサンプリング周波数の半分の周
    波数より低い周波数を通過させる低域通過特性を有する
    第2のフィルタ手段と、その第2のフィルタ手段からの
    出力信号をダウンサンプリングするダウンサンプリング
    手段とを有することを特徴とする請求項1、2、又は3
    記載の音程変換装置。
  5. 【請求項5】 データ長調整手段は、入力されるデータ
    に対して、出力データ長を短くするように、前記音程入
    力手段に入力された目標音程によって決定される個数の
    データにつき1個のデータを出力しないように処理を行
    うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の音
    程変換装置。
  6. 【請求項6】 データ長調整手段は、入力されるデータ
    に対して、出力データ長を長くするように、前記音程入
    力手段に入力された目標音程によって決定される個数の
    データにつき1個のデータを補充するように処理を行う
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の音程
    変換装置。
  7. 【請求項7】 入力ディジタル信号に対する音程変換時
    の目標音程を入力する音程入力手段と、その入力された
    目標音程に基づき、前記入力ディジタル信号に対して音
    程変換を行う音程変換手段と、前記入力ディジタル信号
    の周波数成分を検出する信号周波数成分検出手段と、前
    記音程変換手段の出力の信号長を前記入力ディジタル信
    号の信号長になるように、前記検出された周波数成分に
    応じて、少なくとも最も歪及び雑音が少なくなるような
    クロスフェード処理を行う出力信号長調整手段とを備え
    たことを特徴とする音程変換装置。
  8. 【請求項8】 入力ディジタル信号に対する音程変換時
    の目標音程を入力する音程入力手段と、その入力された
    目標音程に基づき、前記入力ディジタル信号に対して音
    程変換を行う音程変換手段と、その音程変換手段の出力
    の信号長を前記入力ディジタル信号の信号長になるよう
    にクロスフェード処理を行う出力信号長調整手段と、そ
    の出力信号長調整手段の出力の周波数成分を検出する信
    号周波数成分検出手段とを備え、前記出力信号長調整手
    段は、前記信号周波数成分検出手段により検出された周
    波数成分に応じて、少なくとも最も歪及び雑音が少なく
    なるような前記クロスフェード処理を行うことを特徴と
    する音程変換装置。
  9. 【請求項9】 入力ディジタル信号に対する音程変換時
    の目標音程を入力する音程入力手段と、その入力された
    目標音程に基づき、前記入力ディジタル信号に対して音
    程変換を行う音程変換手段と、その音程変換手段の出力
    の信号長を前記入力ディジタル信号の信号長になるよう
    にクロスフェード処理を行う出力信号長調整手段と、そ
    の出力信号長調整手段の出力の周波数成分及び前記入力
    ディジタル信号の周波数成分を検出する信号周波数成分
    検出手段とを備え、前記出力信号長調整手段は、前記信
    号周波数成分検出手段により検出された周波数成分に応
    じて、少なくとも最も歪及び雑音が少なくなるような前
    記クロスフェード処理を行うことを特徴とする音程変換
    装置。
  10. 【請求項10】 入力ディジタル信号の周波数成分に対
    応して、前記クロスフェード処理における、最も歪、雑
    音が少なくなるような所定の条件データを格納するメモ
    リを備え、前記出力信号長調整手段は、前記信号周波数
    成分検出手段により検出された周波数成分に基づき、前
    記メモリに格納された条件データを利用して前記クロス
    フェード処理を行うことを特徴とする請求項7、8、又
    は9記載の音程変換装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6300553B2 (en) 1999-12-28 2001-10-09 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Pitch shifter

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6300553B2 (en) 1999-12-28 2001-10-09 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Pitch shifter

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