JPH08272376A - 自動車の騒音低減方法及び騒音低減装置 - Google Patents

自動車の騒音低減方法及び騒音低減装置

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JPH08272376A
JPH08272376A JP7077709A JP7770995A JPH08272376A JP H08272376 A JPH08272376 A JP H08272376A JP 7077709 A JP7077709 A JP 7077709A JP 7770995 A JP7770995 A JP 7770995A JP H08272376 A JPH08272376 A JP H08272376A
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JP
Japan
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noise
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Application number
JP7077709A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Hayashi
和宏 林
Toshiya Ikezawa
敏哉 池澤
Hiroshi Umehara
啓 梅原
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車室内騒音を低減するための制御量(遅延時
間及び増幅率)を、正確且つ速やかに最適値に更新でき
る騒音低減方法及び装置を提供する。 【構成】 エンジンの回転信号を遅延・増幅して車体パ
ネル加振用の駆動信号を生成する騒音低減装置におい
て、制御量(回転信号の遅延時間T,増幅率G)の更新
は、まず制御量を、初期値Aから増加方向にB,C,…
と順に補正して行き、モニタ信号の振幅が増加方向に変
化した時点(制御量E)で制御量の補正を停止し、その
後制御量を初期値Aに戻し、同様の手順で、制御量を減
少方向(F側)に補正し、減少方向への補正終了後、モ
ニタ信号の振幅が最小となった制御量Dを最適値として
更新する、といった手順で行なう。また制御量の補正に
は、補正前の制御量にて騒音低減制御を実行した際に得
られたモニタ信号の振幅に基づき、振幅が小さいほど小
さくなるように設定した補正値を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の動力源である
エンジン等の振動に伴い生じる車室内騒音を低減する騒
音低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車の動力源であるエンジ
ン等の振動に伴い車室内に生じる比較的低周波(50〜
100Hz程度)のこもり音を低減する騒音低減装置と
して、動力源の振動に対応したエンジン回転数と、車室
内のこもり音とを検出し、これら各検出信号に基づき、
こもり音低減のための加振力信号を生成し、この信号に
て加振装置を駆動することにより、加振装置からこもり
音と略同一振幅及び略逆位相の加振音を発生させ、この
加振音とこもり音とを干渉させることにより、こもり音
を低減する、アクティブ型の騒音低減装置が提案されて
いる(特開平2−156799号公報)。
【0003】また、この提案の装置では、加振力信号の
位相及び振幅ゲインを制御するに当たって、予め設定さ
れた固定データを利用していると、温度,湿度等の周囲
の環境条件や、適用する自動車の特性変化等によって、
最適な加振力信号を生成できなくなることから、検出し
たこもり音をモニタ信号として、これに位相遅れ角を試
行錯誤的に与えることにより、モニタ信号の実効値が最
小となる最適位相遅れ角を求め、またゲインを漸増しな
がら試行錯誤的に最適ゲインを求めるようにしている。
【0004】従って、この提案の装置によれば、周囲環
境の変化や自動車の特性変化等に影響されることなく、
車室内の騒音状態に対応した最適な加振力信号を生成す
ることができ、車室内騒音を良好に低減することができ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記提案の
装置においては、最適位相遅れ角を求めるに当たって、
位相遅れ角を予め設定した固定値(0,180/N,360/N,…,1
80・(N-1)/N)にて段階的に変化させることにより試行錯
誤的に求めるようにしていたため、その固定値と固定値
との間に真の最適値がある場合に、最適位相遅れ角とし
て真の最適値を設定することができなかった。
【0006】また、最適位相遅れ角の設定は、位相遅れ
角として、予め設定されている全ての固定値を順次設定
して、そのときのモニタ信号の実効値を検出し、その
後、モニタ信号の実効値が最小となった位相遅れ角を検
索して、その値を最適位相遅れ角とする、といった手順
で行なわれるため、現在設定されている位相遅れ角の最
適値からのずれに関係なく、常に一定の時間を要し、最
適値を設定するのに時間がかかるといった問題もある。
【0007】また更に、上記提案の装置において、最適
ゲインを設定する際には、予め設定されているゲインを
基準に、そのゲインを漸増しながら、最適ゲインを検出
するようにしているため、最適ゲイン設定後、騒音低減
状態が悪化して最適ゲインを再度設定する場合にでも、
最適ゲインの設定動作を最初からやり直す必要があり、
最適ゲインの設定にも時間がかかるといった問題もあ
る。
【0008】本発明は、こうした問題に鑑みなされたも
ので、騒音低減のための加振装置の駆動信号(加振力信
号)を生成するのに使用される制御量(位相遅れ角,ゲ
イン等)の最適値を、より正確に、且つ速やかに更新す
ることのできる自動車の騒音低減方法及び装置を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1に記載の発明は、自動車の動力源
の振動を検出し、該検出した振動信号を予め最適値とし
て設定された所定の制御量にて遅延及び増幅して、前記
動力源の振動に伴う車室内の騒音を打ち消すための駆動
信号を生成し、該駆動信号にて所定の加振装置を振動さ
せると共に、該駆動信号にて前記加振装置を振動させた
後の車室内の騒音状態を表わす騒音信号に基づき、車室
内の騒音を目標以下に低減できているか否かを判断し
て、騒音を目標以下に低減できていない場合には、前記
騒音信号に基づき、前記制御量の最適値を更新する自動
車の騒音低減方法において、現在最適値として設定され
ている制御量を基準に、該制御量を増加及び減少方向に
夫々所定の補正値にて順次補正すると共に、該制御量を
増加又は減少方向に補正する度に、該補正後の制御量に
基づき前記駆動信号を生成して前記加振装置を振動さ
せ、その後、制御量の増加又は減少方向への補正に伴い
騒音信号が減少方向に変化しているかどうかを判断し
て、騒音信号が減少方向に変化していれば前記制御量の
同一方向への補正を継続させ、逆に騒音信号が増加方向
に変化していれば前記制御量の同一方向への補正を停止
させ、前記制御量の増加及び減少方向への補正が共に停
止されると、該制御量の補正によって騒音信号が最も小
さくなったときの制御量を、該制御量の最適値として設
定する、ことにより前記制御量の最適値を更新し、更に
前記制御量を増加又は減少方向に順次補正する際の補正
値には、前記制御量を該補正値にて増加又は減少方向に
補正する前の制御量にて駆動信号を生成した際に得られ
た騒音信号に基づき、該騒音信号が小さいほど小さい値
となるように設定した補正値を用いることを特徴とす
る。
【0010】一方、請求項2に記載の発明は、図13に
例示する如く、自動車の動力源の振動を検出する振動検
出手段と、前記動力源の振動に伴う車室内の騒音を打ち
消すための振動を発生する加振手段と、前記振動検出手
段にて検出された振動信号を、予め最適値として設定さ
れた所定の制御量にて遅延及び増幅して、前記加振手段
の駆動信号を生成し、該生成した駆動信号にて前記加振
手段を駆動する制御手段と、車室内の騒音の大きさに対
応した騒音信号を発生する騒音状態検出手段と、該騒音
信号から車室内の騒音を目標以下に低減できているか否
かを判定し、騒音を目標以下に低減できていない場合
に、前記騒音信号に基づき前記制御量の最適値を更新す
る制御量更新手段と、を備えた自動車の騒音低減装置に
おいて、前記制御量更新手段は、現在最適値として設定
されている制御量を基準に、該制御量を増加及び減少方
向に夫々所定の補正値にて順次補正すると共に、該補正
後の制御量にて前記制御手段を順次動作させる制御量補
正手段と、該制御量補正手段が前記補正後の制御量にて
前記制御手段を動作させる度に、前記制御量の増加又は
減少方向への補正に伴い前記騒音状態検出手段から出力
される騒音信号が減少したかどうかを判定して、前記騒
音信号が減少している場合には、前記制御量補正手段に
よる制御量の同一方向への補正を継続させ、前記騒音信
号が増加している場合には、前記制御量補正手段による
制御量の同一方向への補正を停止させる騒音判定手段
と、該騒音判定手段により、前記制御量補正手段による
前記制御量の増加及び減少方向への補正が共に停止され
ると、前記制御量補正手段による制御量補正後の騒音信
号が最も小さくなったときの制御量を、前記制御量の最
適値として設定変更する最適値変更手段と、前記制御量
補正手段が制御量を補正する際の補正値として、前記制
御量を該補正値にて増加又は減少方向に補正する前の制
御量にて駆動信号を生成した際に得られた騒音信号に基
づき、該騒音信号が小さいほど小さい値を設定する補正
値設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】また、請求項3に記載の発明は、請求項2
に記載の自動車の騒音低減装置におて、前記制御量補正
手段は、前記騒音判定手段にて制御量の一方向への補正
が停止されるまでの間、前記制御量を増加又は減少方向
の一方向に順次補正し、前記騒音判定手段にて、該方向
への制御量の補正が停止されると、前記制御量の補正方
向を変更して、現在最適値として設定されている制御量
を基準とする前記制御量の補正を再開することを特徴と
する。
【0012】次に、請求項4に記載の発明は、請求項2
又は請求項3に記載の自動車の騒音低減装置において、
前記制御量更新手段は、前記制御量の最適値として、ま
ず前記振動信号の遅延量及び増幅率の内の一方の最適値
を設定し、その後、該設定した最適値を用いて前記制御
手段を動作させることにより、前記振動信号の遅延量及
び増幅率の内の残りの最適値を設定することを特徴とす
る。
【0013】また次に請求項5に記載の発明は、請求項
2〜請求項4のいずれか記載の自動車の騒音低減装置に
おいて、前記補正値設定手段は、前記騒音信号の信号レ
ベルに所定の補正係数を乗じて、前記制御量の補正値を
設定することを特徴とする。また、請求項6に記載の発
明は、請求項2〜請求項4のいずれか記載の自動車の騒
音低減装置において、前記補正値設定手段は、前記騒音
信号の信号レベルを複数の領域に区分した各信号領域毎
に予め設定された補正値を記憶する補正値記憶手段を備
え、該補正値記憶手段の中から前記騒音信号の信号レベ
ルに対応した補正値を検索して設定することを特徴とす
る。
【0014】
【作用及び発明の効果】上記のように、請求項1に記載
の騒音低減方法において、動力源の振動信号を遅延及び
増幅して加振装置駆動用の駆動信号を生成するための制
御量(最適値)を更新する際には、現在最適値として設
定されている制御量を基準として、その制御量を増加及
び減少方向に夫々所定の補正値にて順次補正すると共
に、その補正後の制御量にて騒音低減制御を順次実行す
る。そして、制御量の増加又は減少方向への補正によっ
て騒音信号が増加方向に変化すると、制御量の補正を停
止することにより、制御量の増加及び減少方向への補正
によって振動信号が最小となる制御量を求め、その値を
制御量の最適値として設定変更する。また制御量を補正
するに当たって使用する補正値には、従来装置のように
予め設定された一定値ではなく、制御量を該補正値にて
増加又は減少方向に補正する前の制御量にて駆動信号を
生成した際に得られた騒音信号に基づき、騒音信号が小
さいほど小さい値となるように設定された値を使用す
る。
【0015】従って、補正前の制御量にて駆動信号を生
成した際に得られた騒音信号が大きい程、制御量が増加
或は減少方向に大きく補正されることになり、騒音信号
が大きい場合には制御量を最適値側に大きく変化させる
ことができる。また、補正値は、補正後の制御量が最適
値に近付くにつれて小さくなり、最適値近傍では、制御
量は最適値側に少しずつ変化する。このため、制御量を
予め設定した固定値にて段階的に変化させる従来装置の
ように、最適値として設定される制御量が真の最適値か
ら大きくずれるようなことはなく、制御量の最適値とし
て、真の最適値により近い値を設定することができる。
また、制御量の補正時には、補正後の制御結果である騒
音信号の変化状態を監視し、騒音信号が増加する方向へ
の制御量の補正は実行しないようにしているため、制御
量(最適値)の更新に要する時間を短くすることがで
き、最適値を用いた騒音低減制御をより速やかに実現す
ることが可能になる。
【0016】次に請求項2に記載の騒音低減装置におい
ては、制御手段が、振動検出手段にて検出された車両動
力源の振動信号を、予め最適値として設定された所定の
制御量にて遅延及び増幅して、加振手段の駆動信号を生
成し、この生成した駆動信号にて加振手段を駆動する。
すると、加振手段は、この駆動信号に応じて振動し、そ
の振動により、動力源の振動に伴う車室内の騒音が抑制
される。
【0017】また制御量更新手段は、騒音状態検出手段
から出力される騒音信号に基づき、加振手段の振動によ
って車室内の騒音を目標以下に低減できているか否かを
判定し、騒音を目標以下に低減できていない場合には、
現在最適値として設定されている制御量は、温度,湿度
等の周囲環境や車両の運転状態に適合していないと判断
して、騒音信号に基づき、以降の騒音低減装置にて使用
される制御量の最適値を更新する。
【0018】また制御量更新手段においては、制御量補
正手段が、現在最適値として設定されている制御量を基
準に、制御量を増加及び減少方向に夫々所定の補正値に
て順次補正すると共に、その補正後の制御量にて制御手
段を順次動作させる。そして、この制御量補正手段が補
正後の制御量にて制御手段を動作させる度に、騒音判定
手段が、制御量の増加又は減少方向への補正に伴い騒音
状態検出手段から出力される騒音信号が減少したかどう
かを判定し、騒音信号が減少している場合には、制御量
補正手段による制御量の同一方向への補正を継続させ、
騒音信号が増加している場合には、制御量補正手段によ
る制御量の同一方向への補正を停止させる。そしてこの
騒音判定手段により、制御量補正手段による制御量の増
加及び減少方向への補正が共に停止されると、最適値更
新手段が、制御量補正手段による制御量補正後の騒音信
号が最も小さくなったときの制御量を、その後騒音低減
制御に用いる制御量の最適値として設定変更する。ま
た、制御量補正手段が制御量を補正する際の補正値に
は、補正値設定手段が、制御量をこの補正値にて増加又
は減少方向に補正する前の制御量にて駆動信号を生成し
た際に得られた騒音信号に基づき、騒音信号が小さいほ
ど小さい値を設定する。
【0019】即ち、請求項2に記載の騒音低減装置は、
請求項1の騒音低減方法を実現する装置であり、当該装
置によれば、制御手段が加振手段の駆動信号を生成する
に当たって使用する制御量を、速やかに、且つ正確に真
の最適値に近付けることができ、温度,湿度等の周囲環
境や車両の運転状態に対応して常に良好な騒音低減制御
を実現することが可能になる。
【0020】また、請求項3に記載の騒音低減装置にお
いては、制御量補正手段が、騒音判定手段にて制御量の
一方向への補正が停止されるまでの間、制御量を増加又
は減少方向の一方向に順次補正し、騒音判定手段にて、
制御量の補正が停止されると、制御量の補正方向を変更
して、現在最適値として設定されている制御量を基準と
する制御量の補正を再開する。
【0021】即ち、制御量の最適値を更新するには、制
御量を、更新前の最適値を基準に、増加方向及び減少方
向に夫々交互に補正するようにしてもよいが、この場
合、各補正方向毎に補正した最新の制御量とそのときの
制御結果(騒音信号)とを個々に記憶しておき、制御量
の補正時には、前回同一方向に補正した際の制御量及び
そのときの騒音信号を読出し、補正値の設定及びその補
正値による制御量の補正を行なわなければならず、制御
が煩雑になってしまう。
【0022】そこで、請求項3の騒音低減装置において
は、制御量の最適値を更新する際には、まず、制御量を
増加或は減少の一方向にのみ順次補正して行き、補正後
の制御結果(騒音信号)が増加すると、制御量の補正方
向を反転して、現在最適値として設定されている制御量
を基準に、反転した補正方向に沿って制御量を順次補正
することにより、制御量(最適値)更新時の補正動作を
より簡単に行なうことができるようにしているのであ
る。
【0023】尚、この場合、各補正方向において、騒音
信号が最小となる制御量は、制御量の補正を停止したと
きの制御量の補正前の値(つまり前回補正した制御量)
であるため、制御量の最適値を求めるために、制御量を
補正する度に、その値と騒音信号とを記憶する必要はな
く、最適値の設定も容易に行なうことができる。
【0024】次に、請求項4に記載の騒音低減装置にお
いては、制御量更新手段が、制御量の最適値として、ま
ず振動信号の遅延量及び増幅率の内の一方の最適値を設
定し、その後、その設定した最適値を用いて制御手段を
動作させることにより、振動信号の遅延量及び増幅率の
内の残りの最適値を設定する。
【0025】即ち、制御手段は、振動検出手段にて検出
されたエンジン等の車両動力源の振動信号を遅延及び増
幅することにより、動力源の振動に伴い生じる車室内装
置を打ち消すための駆動信号を生成するものであり、そ
の制御量としては、少なくとも振動信号の遅延量と増幅
率との2つのパラメータが存在する。そして、この遅延
量と増幅率との最適値を共に更新するには、遅延量と増
幅率とを各々増加及び減少方向に補正しながら、騒音信
号が最小となる値を求めるようにしてもよいが、この場
合、騒音信号は遅延量と増幅率との組み合せにより変化
するため、遅延量と増幅率とのあらゆる組み合せを考慮
しながらこれら各値の補正を行なわなければならず、制
御量の更新動作が煩雑になる。
【0026】そこで、請求項4の騒音低減装置において
は、遅延量と増幅率との2つ制御量を共に更新する場合
には、まず2つの制御量の内の一方を増加及び減少方向
に順次補正して、騒音信号が最小となる制御量を求め、
その値をその制御量の最適値として設定変更し、次に残
りの制御量について、同様の手順で最適値を求める、と
いうように、各制御量毎に順次最適値を求めるようにし
ているのである。従って、請求項4の騒音低減装置によ
れば、遅延量と増幅率との組み合せを考慮することな
く、制御量である遅延量及び増幅率の最適値を更新する
ことができ、制御量の更新動作が複雑になるのを防止で
きる。
【0027】また次に請求項5に記載の騒音低減装置に
おいては、補正値設定手段が、騒音信号の信号レベルに
所定の補正係数を乗じて制御量の補正値を設定する。従
って、請求項5の騒音低減装置によれば、制御量の補正
値を騒音信号に応じて設定する際の設定動作を極めて簡
単に行なうことができる。
【0028】一方、請求項6に記載の騒音低減装置にお
いては、補正値設定手段が、騒音信号の信号レベルを複
数の領域に区分した各信号領域毎に予め設定された補正
値を記憶する補正値記憶手段を備えており、補正値設定
時には、この補正値記憶手段の中から騒音信号の信号レ
ベルに対応した補正値を検索して、制御量補正のための
補正値を設定する。
【0029】従って、請求項6の騒音低減装置によれ
ば、制御量の補正値を騒音信号に応じて設定するに当た
って、例えば、騒音信号が大きい場合には、補正値の騒
音信号に対する変化割合を大きくし、騒音信号が小さい
場合には、補正値の騒音信号に対する変化割合を小さく
するというように、騒音信号に対して補正値を所望の変
化特性にて設定することが可能になる。
【0030】つまり、請求項5の騒音低減装置において
は、騒音信号の信号レベルに所定係数を乗じることで補
正値を設定するため、補正値を極めて簡単に設定するこ
とができるが、請求項6の騒音低減装置においては、騒
音信号の信号レベルを複数の領域に区分した各信号領域
毎に補正値を設定しておくことができるので、騒音信号
に対する補正値の変化特性を任意に設定することがで
き、最適値近傍では制御量を極めて小さい補正値にて漸
増又は漸減させて、制御量に真の最適値を設定できるよ
うにし、逆に騒音信号が大きく、制御量が真の最適値か
ら大きくずれている場合には、制御量を増加又は減少方
向により大きく変化させて、制御量を最適値側により速
やかに近付けることができるようにする、といったこと
が可能になる。
【0031】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面と共に説明す
る。本実施例の騒音低減装置は、自動車の動力源である
エンジンの振動によって生じる車室内騒音を低減するた
めのものであり、図2に示す如く、エンジン2の回転に
応じたパルス信号(回転信号)を発生する振動検出手段
としての回転センサ4と、エンジン2から車室6に至る
振動の伝達経路となる車両下方の車体パネル8の振動を
検出する振動センサ10と、車室6内の運転席に組込ま
れ、運転者の耳許での騒音を検出するマイクロホン12
と、車体パネル8を加振するアクチュエータ14と、回
転センサ4,振動センサ10及びマイクロホン12から
の出力信号に基づき、車室内騒音が目標レベル以下にな
るようにアクチュエータ14を駆動制御する制御部20
とから構成されている。
【0032】なお、振動センサ10及びマイクロホン1
2は、共に車室6内の振動状態を検出するためのもので
あり、本発明の騒音状態検出手段に相当する。そして、
振動センサ10には、圧電素子等からなる周知の加速度
センサが使用される。また、アクチュエータ14は、本
発明の加振手段に相当するものであり、制御部からの駆
動信号の大きさ及び周波数に応じて可動体を変位させる
ことにより車体パネルを加振する電磁アクチュエータが
使用される。
【0033】次に、制御部20は、図1に示す如く、回
転センサ4から出力される矩形状の回転信号を正弦波状
に波形整形する波形整形部22と、この波形整形部22
にて波形整形された回転信号を所定の遅延時間Tにて遅
延させる遅延処理部24と、遅延処理部24による遅延
後の回転信号を所定の増幅率Gにて増幅する増幅処理部
26と、この増幅処理部26による増幅後の回転信号を
アクチュエータ14の駆動信号として出力する出力部2
8とを備え、回転センサ4からの回転信号を遅延及び増
幅することによりアクチュエータ14の駆動信号を生成
する。
【0034】また、制御部20には、振動センサ10か
ら出力される車体パネル8の振動に対応した振動信号、
及びマイクロホン12から出力される車室内騒音に対応
したマイク信号を夫々取込み、これら両信号のいずれか
を制御に用いる騒音状態を表わすモニタ信号として選択
するモニタ信号判別部30と、このモニタ信号判別部3
0にてモニタ信号として選択された振動信号又はマイク
信号の振幅Pを算出する振幅算出部32と、この振幅算
出部32にて算出されたモニタ信号の振幅Pに基づき、
この振幅Pが目標値以下となるよう(換言すれば車室6
内の騒音が最小となるよう)に、遅延処理部24及び増
幅処理部26における回転信号の遅延時間T及び増幅率
Gの最適値を設定する最適制御量算出部34とが備えら
れており、これら各部の動作によって、エンジン振動に
伴い生じる車室6内の騒音を常に目標レベル以下に抑制
できるようにされている。
【0035】また更に、制御部20には、波形整形部2
2にて波形整形された回転信号からエンジン2の単位時
間当たりの回転数(つまり回転速度)を算出する回転数
算出部36と、この算出されたエンジン回転数が予め設
定された所定の回転数範囲内にあるか否かによって、当
該装置による騒音低減制御を実行するか否かを判断し、
騒音低減制御を実行しない場合には出力部28からアク
チュエータ14への駆動信号の出力を停止させる制御実
行判断部38とが備えられ、これら各部の動作によっ
て、エンジン回転数が、車両乗員に不快感を与える騒音
を発生する所定の回転数範囲内にある場合にのみ、騒音
低減制御を実行するようにされている。
【0036】ここで、制御部20内の上記各部22〜3
8は、制御部20の機能を表わす機能ブロックであり、
制御部20は、実際には、マイクロコンピュータにより
構成されているため、上記各部22〜38の各機能は、
夫々、マイクロコンピュータの制御処理により実現され
る。そこで次に、上記各部22〜38の機能を実現する
ために制御部(マイクロコンピュータ)20において実
際に実行される制御処理について、図3〜図8に示すフ
ローチャートに沿って詳しく説明する。
【0037】まず図3は、エンジン2の始動後、制御部
20において繰返し実行される騒音低減処理全体の流れ
を表わすフローチャートである。図3に示す如く、この
処理が開始されると、まずS100(S:ステップを表
わす)にて、以降の処理で使用されるフラグやタイマ等
を初期設定する初期化処理を実行する。そして、続くS
110では、回転センサ4からの回転信号(High又はLo
w )を取込み、S120にて、この取り込んだ回転信号
を積分処理して回転信号を正弦波状に波形整形する波形
整形部22としての処理を実行する。
【0038】また、続くS130では、この波形整形し
た回転信号の周期からエンジン回転数を算出する回転数
算出部36としての処理を行ない、S140にて、この
算出したエンジン回転数が予め騒音低減制御を実行すべ
き回転領域として設定された所定回転数範囲内にあるか
どうかを判定する制御実行判断部38としての処理を実
行する。そして、エンジン回転数が所定回転数範囲内に
なければ、騒音低減制御の実行条件は成立していないと
判断して、再度S110に移行し、逆にエンジン回転数
が所定回転数範囲内にあれば、騒音低減制御の実行条件
が成立していると判断して、続くS150に移行する。
【0039】尚、S140にて騒音低減制御の実行の要
・否を判定するのに使用される回転数範囲は、予めエン
ジン回転数を変化させて、そのとき車室6内の騒音レベ
ルが大きくなる(突出する)ピーク回転数を実験的に求
め、そのピーク回転数の内、エンジンの比較的低回転域
に存在するピーク回転数付近の回転数領域を、騒音低減
制御を実行する回転数範囲として設定する、といった手
順で設定されている。
【0040】つまり、自動車において、エンジン振動は
車体パネルを介して車室内に伝達されるため、車室内騒
音が大きくなるピーク回転数は、車体パネルの振動の伝
達特性に応じて変化し、またそのピーク回転数は、エン
ジンの全回転領域内で複数箇所に現れる。そこで、本実
施例では、車室内騒音が大きくなる複数のピーク回転数
を実験的に求め、そのピーク回転数の内の比較的低回転
領域でのピーク回転数付近を、騒音低減制御を実行する
回転数範囲として設定しているのである。
【0041】例えば、実験車両において、車室6内の騒
音レベルが突出するピーク回転数は、1072[r.p.
m.],1420[r.p.m.],2300[r.p.m.],3100
[r.p.m.]の4つであった。この場合、これらピーク回転
数の内、運転者に最も不快感を与える騒音は、1072
[r.p.m.]及び1420[r.p.m.]のピーク回転数付近の騒
音であると考えられるので、騒音低減制御を実行する回
転数範囲としては、例えば1000[r.p.m.]〜1500
[r.p.m.]程度の回転数範囲を設定すればよい。
【0042】次にS150では、制御開始後、或は以降
の処理で回転信号に対する制御量である遅延時間T又は
増幅率Gを変更した後、制御結果を振動センサ10又は
マイクロホン12にて検出できるまでの所定の応答時間
が経過したかどうかを判断する。そして、所定の応答時
間が経過していなければ、振動センサ10又はマイクロ
ホン12からの出力信号に基づく制御量の最適値への更
新動作を実行することができないので、S210に移行
し、現在設定されている遅延時間T及び増幅率Gに基づ
き、回転信号を遅延及び増幅して駆動信号を生成し、ア
クチュエータ14に駆動信号を出力する駆動信号出力処
理を実行し、再度S110に移行する。
【0043】一方、S150にて、所定の応答時間が経
過したと判断されると、S160に移行して、現在、後
述のS240にて制御量の最適値を算出している途中で
あるか否かを判定し、現在、制御量の最適値の算出中で
なければ、S170に移行して、振動センサ10及びマ
イクロホン12から出力される振動信号及びマイク信号
の振幅を夫々算出する。そして、S180では、現在S
170において上記各信号の振幅を算出している途中で
あるか否かを判断し、振幅算出中であれば、S210に
そのまま移行し、逆に振幅算出中でなければ、S190
に移行して、S170にて算出された各信号の振幅に基
づき、騒音低減制御に用いる(換言すれば制御量の更新
に用いる)モニタ信号として、騒音信号及びマイク信号
の内のいずれを使用するかを判別するモニタ信号判別部
30としての処理を実行する。
【0044】次に、S200では、S190にてモニタ
信号として設定された騒音信号又はマイク信号の振幅
が、予め設定された目標値以下になっているか否かを判
断することにより、現在車室6内の騒音を充分低減でき
ているか否かを判断する。そして、モニタ信号の振幅が
目標値以下で、車室6内の騒音を充分低減できていれ
ば、そのままS210に移行し、逆にモニタ信号の振幅
が目標値よりも大きく、車室6内の騒音を充分低減でき
ていなければ、S240に移行して、制御量の最適値を
算出する最適制御量算出部34としての最適値算出処理
を実行し、S210に移行する。
【0045】一方、S160にて、現在、制御量の最適
値の算出中であると判断された場合には、S220に移
行して、現在モニタ信号として設定されている騒音信号
又はマイク信号の振幅Pを算出する振幅算出部32とし
ての処理を実行する。そして、続くS230では、現在
S220においてモニタ信号の振幅Pを算出している途
中であるか否かを判断し、振幅算出中であれば、S21
0にそのまま移行し、逆に振幅算出中でなければ、S2
40に移行して、制御量の最適値の算出動作を行なった
後、S210に移行する。
【0046】次に図4は、S170及びS220にて、
振動信号及びマイク信号の振幅、或はその内のいずれか
一方であるモニタ信号の振幅Pを算出する際に実行され
る振幅算出処理の詳細を表わすフローチャートである。
図4に示す如く、S170及びS220の振幅算出処理
では、まずS310にて、当該処理による振幅算出動作
が開始されてから、予め設定された振幅算出時間が経過
したか否かを判断し、振幅算出時間が経過していなけれ
ば、S320にて、振幅を算出すべき振動信号及びマイ
ク信号、或はモニタ信号の信号レベル(電圧)を読み込
む。そして、S330では、その読み込んだ信号レベル
が、振幅算出動作開始後に読み込んだ全ての信号レベル
よりも大きいか否かを判断して、その読み込んだ信号レ
ベルが大きい場合に、その値を最大値として設定する、
といった手順で、振動信号及びマイク信号、或はモニタ
信号の最大値を算出する。
【0047】また、続くS340では、S320にて読
み込んだ信号レベルが、当該振幅算出処理を開始した後
に読み込んだ全ての信号レベルよりも小さいか否かを判
断して、その読み込んだ信号レベルが小さい場合に、そ
の値を最小値として設定する、といった手順で、振動信
号及びマイク信号、或はモニタ信号の最小値を算出す
る。そして、S340の処理終了後は、当該処理を一旦
終了する。
【0048】尚、S170において、振動信号及びマイ
ク信号の振幅を各々算出する場合に、上記S330及び
S340では、当然のことながら、これら各信号毎に、
その信号レベルの最大値及び最小値が算出される。一
方、S310にて、振幅算出時間が経過したと判断され
た場合には、S350に移行して、上記S330及びS
340にて既に算出されている振動信号及びマイク信号
或はモニタ信号の最大値及び最小値を読込み、その偏差
(最大値−最小値)を、対応する信号の振幅として算出
する。そして、続くS360にて、次回の振幅算出動作
を正確に実行するために、振幅算出経過時間計時用タイ
マの経過時間をリセットし、当該処理を終了する。
【0049】即ち、S170又はS220の振幅算出処
理において、振動信号及びマイク信号或はモニタ信号の
振幅を算出する際には、図9に示す如く、予め設定され
た振幅算出時間中に入力される振動信号及びマイク信号
(或はそのいずれか一方)の信号レベルを繰返し読込
み、その時間中に最大値及び最小値となる信号レベルを
各々検出し、その偏差を、振動信号及びマイク信号、或
はモニタ信号の振幅として算出するのである。
【0050】なお、振幅算出時間には、騒音低減制御の
実行条件であるエンジン2の所定回転数範囲内で生じる
騒音信号の周期よりも若干大きい所定値が予め設定され
ている。従って、この振幅算出時間は、振動信号或はマ
イク信号の周期よりも長くなり、検出した最大値及び最
小値から、その信号の振幅を正確に検出することができ
る。
【0051】またこの振幅算出時間は、S130にて算
出したエンジン回転数により可変できるようにしてもよ
い。つまり、エンジン2の高速回転域では、低速回転域
に比べて、振動信号,マイク信号の周期が短くなるた
め、これに対応して、振幅算出時間を、エンジン回転数
が高いほど短くなるように変化させるようにすれば、最
適値の算出に要する時間を必要最小限に抑えることがで
き、延いては最適値算出処理(S240)による最適値
算出時間を短縮することができる。
【0052】次に図5は、S190にて実行されるモニ
タ信号判別処理の詳細を表わすフローチャートである。
図5に示す如く、この処理では、S410にて、上記S
170の振幅算出処理にて算出された最新のマイク信号
の振幅が、前回算出されたマイク信号の振幅よりも小さ
く、マイク信号が減少しているか否か、換言すれば、車
室6内の騒音が減少方向にあるか否かを判定する。
【0053】そして、マイク信号が減少していれば、S
420に移行し、今度は、上記S170の振幅算出処理
にて算出された最新の振動信号の振幅が、前回算出され
た振動信号の振幅よりも小さく、振動信号が減少してい
るか否か、換言すれば、車体パネル8の振動もマイク信
号と同様減少方向に変化しているか否かを判定する。そ
して、振動信号がマイク信号と同様に減少している場合
には、S430にて、モニタ信号として、振動信号を設
定し、当該処理を終了する。
【0054】一方、S410にてマイク信号が減少して
いないと判断された場合、或はS420にて振動信号が
減少していないと判断された場合には、正常な騒音低減
制御を実行できていないと判断して、S440に移行
し、モニタ信号として、車室6内の実際の騒音状態に対
応したマイク信号を設定し、当該処理を終了する。
【0055】即ち、このモニタ信号判別処理において
は、マイク信号及び振動信号が共に減少している正常時
には、温度,湿度等の周囲環境や車両の走行状態の影響
を受け難く、しかもアクチュエータ14の駆動に伴う制
御結果を応答遅れなく検出可能な振動センサ10をモニ
タ信号検出用のセンサとして設定し、逆にマイク信号及
び振動信号の少なくとも一方が増加方向にあり、良好な
騒音低減制御を実行できていない場合には、振動センサ
10に比べて周囲環境の影響を受け易く、また応答遅れ
があるものの、車両乗員が受ける車室6内の実際の騒音
状態を検出可能なマイクロホン12をモニタ信号検出用
のセンサとして設定するのである。
【0056】次に、図6は、S210にて実行される駆
動信号出力処理の詳細を表わすフローチャートである。
図6に示す如く、この処理が開始されると、まずS51
0にて、上記S120にて波形整形された回転信号を現
在設定されている遅延時間Tだけ遅延させる遅延処理部
24としての処理を実行する。即ち、制御部20はマイ
クロコンピュータからなり、当該処理は全てマイクロコ
ンピュータの一処理として実現されるため、図10に示
す如く、上記S110及びS120では、回転センサ4
から入力される矩形状の回転信号を当該処理の実行周期
にてサンプリングして、そのサンプリング結果を積分処
理し、その積分処理後の回転信号の大きさ(信号レベ
ル)をRAM内に時系列的に記憶することにより、波形
整形後の回転信号を生成する。従って、このS510で
は、RAM内に時系列的に記憶された信号レベルの中か
ら、現時点より遅延時間T前に生成された信号レベルを
読み込み、その値を遅延後の現時点の回転信号として設
定する。
【0057】尚、S120において回転信号を波形整形
するために実行される積分処理は、S110にて回転信
号を取り込むサンプリング処理を実行する前に、アナロ
グのローパスフィルタを用いて実行することも可能であ
る。また、こうして回転信号の遅延処理が実行される
と、今度は、S520にて、その遅延処理後の回転信号
を、現在設定されている増幅率Gにて増幅する増幅処理
部26としての処理を実行する。つまり、このS520
では、図10に示す如く、S510にて求めた遅延処理
後の信号レベルの、全信号の平均レベル(つまり正弦波
の零点)からのずれV(正又は負の値となる)に増幅率
Gを乗じることにより、現時点の増幅後の回転信号を算
出する。
【0058】そして、続くS540では、この算出した
増幅処理後の回転信号を駆動信号としてアクチュエータ
14に出力し、アクチュエータ14を駆動する、出力部
28としての処理を実行し、当該処理を一旦終了する。
尚、本実施例においては、上記のように回転センサ4か
らの回転信号を遅延及び増幅してアクチュエータ14の
駆動信号を生成・出力する駆動信号出力処理(S21
0)と、回転センサ4からの回転信号を取込み、この信
号を波形整形するS110及びS120の処理とによっ
て、本発明の制御手段が実現される。
【0059】次に図7は、上記S240にて実行される
制御量(遅延時間T及び増幅率G)の最適値算出処理の
詳細を表わすフローチャートである。この最適値算出処
理は、本発明の制御量更新手段に相当するものであり、
まず遅延時間Tの最適値を算出し、次に増幅率Gの最適
値を算出する、というように、制御量である遅延時間T
及び増幅率Gの最適値を同時に算出するのではなく、遅
延時間Tまたは増幅率Gの内、車両特性上変化し易い方
(本実施例では、遅延時間T)から順に、最適値を算出
する。
【0060】従って、この処理が開始されると、図7
(a)に示す如く、まずS610にて、遅延時間Tの最
適値は既に算出したか否かを判定し、遅延時間Tの最適
値が未だ算出できていない場合には、S620にて、遅
延時間Tの最適値算出のための処理を実行し、逆に遅延
時間Tの最適値が既に算出されておれば、S630に
て、増幅率Gの最適値算出のための処理を実行する、と
いった手順で実行される。そして、遅延時間T及び増幅
率Gの最適値を各々算出するS620及びS630の処
理は、図7(b)に示す如き手順で実行される。
【0061】即ち、S620及びS630では、まずS
700にて、モニタ信号の振幅Pに基づき、モニタ信号
の振幅Pが小さいほど小さい値となるように、制御量
(遅延時間T又は増幅率G)に対する補正量を算出す
る。尚、この補正量の算出には、モニタ信号の振幅の全
領域を、値a,b,c,…,z(a≧b≧c,…≧z)
にて複数に分割し、その分割した各振幅領域P>a,a
≧P>b,b≧P>c,…,y≧P>z毎に、補正量と
して設定すべき値A,B,C,…,Z(A≧B≧C,…
≧Z)が夫々設定された補正量算出用のデータ、若しく
は、モニタ信号の振幅Pをパラメータとする補正量算出
用の演算式が用いられる。
【0062】つまり、例えば、上記データを用いて補正
量を算出する際には、ROM等の記憶素子にそのデータ
を格納しておき、図8(a)に示す如く、モニタ信号の
振幅Pは上記複数の振幅領域のいずれに属するかどうか
を判定して、その記憶したデータから振幅Pが属する振
幅領域に対応した補正量を読み出す、といった手順で補
正量を算出し、演算式を用いて補正量を算出する際に
は、図8(b)に示す如く、モニタ信号の振幅P或はそ
のn乗値Pn (n:1,2,3,…)にに予め設定され
た補正量算出用の定数αを乗じることにより補正量を算
出する。
【0063】また、補正量の算出に使用されるモニタ信
号の振幅Pには、モニタ信号の振幅が目標値を越えて当
該最適値算出処理が開始された直後(S200→S24
0)には、S170にて算出された振動信号及びマイク
信号の振幅の内、S190にてモニタ信号として設定さ
れた信号の振幅Pが使用され、当該最適値算出処理が開
始された後は、S220にて算出されたモニタ信号の振
幅Pが使用される。
【0064】こうして、S700にて制御量に対する補
正量が算出されると、今度は、S710にて、制御量を
増加方向(プラス側)に補正するか減少方向(マイナス
側)に補正するかを判定する。そして、制御量の補正方
法がプラス側であれば、S720に移行して、以降の処
理にて、制御量の補正を開始したときにセット(=1)
され、補正方法がプラス側からマイナス側或はその逆に
変更されたときにリセット(=0)されるフラグFが、
リセット状態か否かを判断する。
【0065】尚、S100の初期化処理では、制御量の
補正方法として、制御量を増加方向に補正するプラス側
が初期設定され、フラグFは、リセット状態に初期設定
される。従って、当該装置の起動後、当該最適値算出処
理(S240)が始めて実行されたときには、S710
にて補正方法はプラス側であると判定され、S720に
てフラグFはリセット状態であると判定されることにな
る。
【0066】次に、S720にてフラグFがリセット状
態であると判断されると、S740に移行して、制御量
(この場合、現在最適値として設定されている制御量の
初期値)にS700にて算出した補正量を加えることに
より、制御量を初期値からプラス側に補正する。そし
て、続くS750にて制御量のプラス側への補正を開始
した旨を記憶すべくフラグFをセットし、続くステップ
S760にて、前記S150にて制御量補正後の応答時
間経過を判定させるための応答判定設定処理を行ない、
当該処理を一旦終了する。
【0067】この結果、当該最適値算出処理にて制御量
を一旦補正した後は、補正後の制御量にてアクチュエー
タ14の駆動信号を生成して車体パネル8を加振させた
後の制御結果を、振動センサ10及びマイクロホン12
にて検出できるようになり、しかも、これら各センサ1
0,12からの出力信号の内、モニタ信号として設定さ
れている信号の振幅PがS220にて算出されるまでの
間、当該最適値算出処理は実行されず、補正後の制御量
に基づく制御結果として、S220にてモニタ信号の振
幅Pが算出されてから、当該最適値算出処理が再開され
ることになる。
【0068】次に、S720にてフラグFが既にセット
されていると判断された場合には、S730に移行し、
S220にて得られたモニタ信号の振幅Pが制御量を補
正する前の振幅よりも減少しているか否か、換言すれば
前回制御量をプラス側へ補正した結果、車室内騒音は減
少方向に変化したか否かを判定する。そして、モニタ信
号の振幅Pが減少している場合には、S740に移行し
て、S700にて算出した補正量を用いて、制御量(こ
の場合、S740にて前回補正した値)を更にプラス側
に補正し、更にS750,S760の処理を順次実行し
た後、当該処理を一旦終了する。
【0069】一方、S730にてモニタ信号の振幅Pが
減少していないと判断された場合、つまり制御量のプラ
ス側への補正によって車室内騒音は増加方法(悪化方
向)に変化した場合には、S770に移行して、S74
0にて現在の制御量を算出する前の制御量の値(換言す
れば、制御量のプラス側への補正によって車室内騒音が
増加する直前の制御量の値)とその制御量にて騒音低減
制御を実行したときのモニタ信号の振幅Pとを記憶し、
制御量の値を、現在最適値として設定されている制御量
の初期値に変更する。そして、以降の処理では制御量を
マイナス側に補正すべく、続くS780にて、フラグF
をリセットし、S790にて、制御量の補正方法を現在
設定されているプラス側からマイナス側に変更した後、
S760に移行し、S760の処理実行後、当該処理を
一旦終了する。
【0070】次に、S710にて制御量の補正方法はマ
イナス側であると判断された場合には、S800に移行
して、フラグFがリセット状態か否かを判断する。そし
て、フラグFがリセット状態であれば、現在、制御量の
補正方法がプラス側からマイナス側に変更された直後で
あり、制御量のマイナス側への補正は未だ行なっていな
いと判断して、S820に移行し、制御量(この場合、
現在最適値として設定されている制御量の初期値)か
ら、S700にて算出した補正量を減じることにより、
制御量をマイナス側に補正する。そして、続くS840
にて制御量のマイナス側への補正を開始した旨を記憶す
べくフラグFをセットし、更にステップS760を実行
した後、当該処理を一旦終了する。
【0071】次に、S800にてフラグFがセットされ
ていると判断された場合には、S810に移行し、S2
20にて得られたモニタ信号の振幅Pが制御量を補正す
る前の振幅よりも減少しているか否か、換言すれば制御
量のマイナス側への補正によって車室内騒音は減少方向
に変化したか否かを判定する。そして、モニタ信号の振
幅Pが減少している場合には、S820に移行して、S
700にて算出した補正量を用いて、制御量(この場
合、S820にて前回補正した値)を更にマイナス側に
補正し、更にS840,S760の処理を順次実行した
後、当該処理を一旦終了する。
【0072】一方、S810にてモニタ信号の振幅Pが
減少していないと判断された場合、つまり制御量のマイ
ナス側への補正によって車室内騒音は増加方法(悪化方
向)に変化した場合には、S850に移行する。そし
て、S850では、S820にて現在の制御量を算出す
る前の制御量(換言すれば、制御量のマイナス側への補
正によって車室内騒音が増加する直前の制御量の値)
と、S770にて制御量のプラス側補正時にモニタ信号
の振幅Pが増加方向に転じた際に記憶した制御量との
内、騒音低減制御を実行した際にモニタ信号の振幅Pが
小さくなる側の制御量を、制御量の最適値として選択す
る、最適値の算出処理を実行する。そして、続くS86
0では、S850にて最適値として選択した制御量を、
以降の騒音低減制御で用いる制御量の初期値として設定
し直し、続くS870にて、フラグFをリセット状態に
設定し、S880にて、制御量の補正方法をマイナス側
からプラス側に変更した後、当該処理を終了する。
【0073】即ち、本実施例において、遅延時間T及び
増幅率Gの各制御量の最適値を算出するに当たっては、
まず制御量を、現在最適値として設定されている初期値
から、モニタ信号の振幅Pが増加方向に変化するまで、
順次、増加方向(プラス側)に補正して行き、モニタ信
号の振幅変化が減少方向から増加方向に反転する直前の
制御量(換言すれば制御量のプラス側への補正によって
モニタ信号の振幅Pが最小となる制御量)を求め、次に
制御量を初期値に戻して、制御量のプラス側補正時と同
様に、モニタ信号の振幅Pが増加方向に変化するまで制
御量を減少方向(マイナス側)に補正して行き、モニタ
信号の振幅変化が減少方向から増加方向に反転する直前
の制御量(換言すれば制御量のマイナス側への補正によ
ってモニタ信号の振幅Pが最小となる制御量)を求め、
これら二つの制御量の内、モニタ信号の振幅Pが小さく
なる側の制御量を、最適値として設定するのである。
【0074】従って、例えば、図11に示す如く、現在
最適値として設定されている初期値「A」よりも大きい
プラス側にモニタ信号の振幅を最小にできる真の最適値
があり、制御量を初期値「A」よりも小さいマイナス側
に補正してもモニタ信号の振幅を低減できないような場
合には、制御量は、まず初期値「A」から「B」,
「C」,…へと順にプラス側に補正され、モニタ信号の
振幅Pの変化が減少方向から増加方向に変化する「E」
にて、制御量のプラス側補正が中止されて、モニタ信号
の振幅が最小となる制御量として「D」が記憶される。
すると制御量は、一旦初期値「A」に戻され、初期値
「A」から「F」へとマイナス側に補正されるが、この
場合、制御量を初期値「A」から「F」に補正した時点
でモニタ信号の振幅Pが増加するので、制御量を「F」
に補正した後は制御量のマイナス側補正が直ちに中止さ
れ、制御量のマイナス側補正時に振幅Pが最小となる制
御量は初期値「A」となる。この結果、制御量の最適値
としては、プラス側補正時にモニタ信号の振幅Pが最小
となった制御量「D」が設定され、以降、制御量「D」
が最適値を表わす初期値として制御に使用されることに
なる。
【0075】尚、上記のように制御量をプラス側(又は
マイナス側)に順次補正して行った場合、図12に示す
如く、外乱の影響又は振幅算出誤差の影響等によって、
制御量が真の最適値「H」に達する前に、モニタ信号の
振幅Pが制御量補正前の振幅より増加することが考えら
れる。そして、この場合、S730及びS810におい
て、単にモニタ信号の振幅Pが制御量補正前の振幅より
も減少しているかどうかを判断するようにしていると、
外乱又は振幅算出誤差の影響を受けてモニタ信号の振幅
が増加方向に変化したとき(制御量「E」)に、その前
の制御量「D」を最適値として誤設定してしまう。
【0076】そこで、S730及びS810において、
モニタ信号の振幅変化を判定する場合には、所定の「し
きい値」を用い、モニタ信号の振幅Pが補正前の振幅に
「しきい値」を加えた値よりも大きい場合にのみ、S7
70又はS850に移行し、それ以外の場合には、モニ
タ信号の振幅Pは減少方向に変化していると判定して、
S740又はS820に移行するようにしてもよい。そ
して、このようにすれば、図12に示す如く、振幅Pが
一時的に増加した制御量「E」から「G」,「H」,
「I」へと、制御量の同一方向(図ではプラス側)への
補正が継続して行なわれ、真の最適値「H」を通過した
時点(制御量「I」)で、モニタ信号の振幅Pが減少し
ていないと判断して、制御量の初期値を真の最適値
「H」に変更することができる。
【0077】ここで、本実施例では、上記最適値算出処
理において、モニタ信号の振幅Pに応じて制御量(遅延
時間T,増幅率G)の補正量を設定するS700の処理
が、本発明の補正値設定手段に相当し、制御量を補正し
た後のモニタ信号の振幅Pの増・減状態を判定して、制
御量のプラス側又はマイナス側への補正を継続するか停
止するかを切り替えるS730及びS810の処理が、
本発明の騒音判定手段に相当し、制御量をプラス側又は
マイナス側に補正するS740及びS820の処理が、
本発明の制御量補正手段に相当し、制御量のプラス側及
びマイナス側への補正結果から最適値を算出して制御量
の初期値を更新するS850及びS860の処理が、本
発明の最適値変更手段に相当する。
【0078】以上説明したように、本実施例の自動車の
騒音低減装置においては、アクチュエータ14の駆動信
号を生成するに使用する制御量(即ち遅延時間T及び増
幅率G)を更新する際には、現在最適値として設定され
ている制御量の初期値を基準として、その制御量をプラ
ス側及びマイナス側に順次補正して行き、補正によって
騒音信号が増加方向に変化した時点で制御量の補正を停
止することにより、制御量の各方向への補正によってモ
ニタ信号の振幅が最小となる制御量を求め、その値を最
適値として制御量の初期値を変更する。そして、その最
適値算出時に制御量を補正する際には、補正前のモニタ
信号の振幅Pに応じて、その振幅が小さいほど小さくな
るように設定した補正量を用いる。
【0079】従って、図11から明らかな如く、モニタ
信号の振幅が大きい場合には、制御量はプラス側或はマ
イナス側に大きく補正され、制御量が最適値に近付くに
つれて、制御量は最適値側に少しずつ補正されることに
なる。このため、制御量を予め設定した固定値にて段階
的に変化させる従来装置のように、最適値として設定さ
れる制御量が真の最適値から大きくずれるようなことは
なく、制御量の最適値を、効率良く、しかも極めて正確
に算出することが可能になる。
【0080】また本実施例では、制御量のプラス側及び
マイナス側への補正は、モニタ信号の振幅Pを監視しな
がら実行し、振幅Pが増加方向に変化する場合には、制
御量が最適値とは反対側に補正されることになるので、
その方向への制御量の補正を中止する。このため、制御
量の最適値の算出に要する時間を短くすることができ、
最適値を用いた騒音低減制御を速やかに実現することが
可能になる。
【0081】また更に、本実施例では、制御量の初期値
に対するプラス側及びマイナス側への補正を、プラス側
から順番に行うようにしているため、プラス側補正時及
びマイナス側補正時にモニタ信号が最小となる制御量の
検出を容易に行うことができ、しかも、制御量である遅
延時間T及び増幅率Gの最適値の算出も、遅延時間Tか
ら順番に行うようにしているため、これら各制御量
(T,G)の最適値の算出も比較的簡単に行うことがで
きる。
【0082】また、補正量の算出に当たっては、図8
(a)に示した如く、予め設定した補正量算出用のデー
タを用いて、そのデータからモニタ信号の振幅Pに対応
した補正量を検索するようにしてもよく、図8(b)に
示した如く、モニタ信号の振幅Pに予め設定された定数
αを乗じて補正量を算出するか、または次の関係式 補正量=α×(振幅)n 但し、n:1,2,3,… に基づき算出してもよいが、このようにモニタ信号の振
幅P又はそのn乗値Pnに定数αを乗じて補正量を算出
するようにした場合には、モニタ信号の振幅Pに対応し
た補正量を極めて簡単に算出することができ、逆に補正
量算出用のデータから補正量を検索するようにした場合
には、データを記憶しておくためのROM等の記憶素子
が必要になるものの、モニタ信号の振幅Pに対する補正
量の変化割合を任意に設定できるので、最適値の算出精
度をより向上することが可能になる。また、モニタ信号
の振幅Pのn乗値Pn に定数αを乗じて補正量を算出す
るようにした場合、nが大きい程、モニタ信号の振幅P
が最適値から離れているときの補正値に対して最適値近
傍での補正値を極めて小さい値に設定できる。従って、
この場合にも、nの値を任意に設定することにより、最
適値の算出精度を向上することができる。
【0083】一方、本実施例では、こうした制御量更新
のためのモニタ信号を、アクチュエータ14により加振
する車体パネルの振動を検出する振動センサ10と、車
室内騒音を直接検出可能なマイクロホン12との2種の
騒音状態検出手段にて検出できるように構成し、通常時
には、振動センサ10からの出力信号をモニタ信号とし
て使用し、騒音低減制御を実行しているにもかかわら
ず、振動センサ10からの出力信号とマイクロホン12
からの出力信号とのいずれか又はその両方が増加した場
合にのみ、マイクロホン12からの出力信号をモニタ信
号として使用するようにしている。このため、通常時に
は、制御量補正後の車室6内の騒音状態を応答遅れなく
検出することができ、誤制御が生じる虞のある場合に
は、騒音状態の検出の応答性は若干低下するものの、騒
音状態を高精度に検出することができる。従って、制御
量を速やかに且つ正確に最適値に更新することができ、
騒音低減制御の応答性及び制御精度を共に向上すること
が可能になる。
【0084】また、本実施例では、エンジン回転数が車
両乗員に対して不快な騒音を発生する所定回転数範囲内
にある場合にのみ、騒音低減制御を実行し、それ以外の
運転領域では、制御を実行しないようにしているため、
騒音低減制御の実行領域を必要最小限に抑えることがで
きる。そして、アクチュエータ14の振動特性や、アク
チュエータ14の駆動信号を生成する制御系の特性(換
言すれば制御部20を構成するマイクロコンピュータの
動作特性)を、騒音低減制御の実行領域の周波数特性に
対応させればよく、装置構成を簡素化することが可能に
なる。
【0085】また更に、本実施例では、車室6内の騒音
状態を判定するに当たって、振動センサ10及びマイク
ロホン12からの出力信号の最大値と最小値とからその
振幅を算出するようにしているため、出力信号の実効値
を求める一般的な装置のように、実効値算出用の特別な
演算処理を行う必要がなく、騒音状態を簡単且つ高速に
検出することができ、これによっても制御の応答性を向
上することができる。
【0086】以上、本発明の一実施例について説明した
が、本発明はこうした実施例に限定されるものではな
く、種々の態様をとることができる。例えば、上記実施
例では、エンジン振動を車室内に伝達する騒音伝達経路
となる車体パネル8をアクチュエータ14にて加振する
ことにより車室内騒音を低減する装置について説明した
が、加振手段として、車室内の空気を直接加振して騒音
低減用の音波を発生するスピーカ等の発音手段を用いた
システムであっても、本発明を適用して、上記実施例と
同様の効果を得ることができる。
【0087】また上記実施例では、自動車の動力源であ
るエンジン2の振動状態を検出するセンサとして、回転
センサ4を用い、回転センサ4から出力される回転信号
を遅延及び増幅することにより、アクチュエータ14の
駆動信号を生成するようにしたが、例えばエンジン振動
を振動センサを用いて直接検出し、その振動センサから
の出力信号を遅延及び増幅することにより、アクチュエ
ータ14の駆動信号を生成するようにしても、エンジン
振動によって生じる車室内騒音を良好に抑制することが
できる。
【0088】また上記実施例では、制御量の最適値を更
新するに当たって、最初に遅延時間Tの最適値を更新
し、次に増幅率Gの最適値を更新するものとして説明し
たが、この順序はどちらからでもよく、増幅率Gの最適
値の更新から始めてもよい。また同様に、これら各制御
量の最適値を求めるに際には、制御量をプラス側から補
正し、その後補正方向をマイナス側に変更するものとし
て説明したが、制御量の補正をマイナス側から始めるよ
うにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の騒音低減装置を構成する制御部の各
機能を表わすブロック図である。
【図2】 実施例の騒音低減装置全体の構成を表わす概
略構成図である。
【図3】 制御部において実行される騒音低減処理全体
の流れを表わすフローチャートである。
【図4】 制御部において実行される振幅算出処理の詳
細を表わすフローチャートである。
【図5】 制御部において実行されるモニタ信号判別処
理の詳細を表わすフローチャートである。
【図6】 制御部において実行される駆動信号出力処理
の詳細を表わすフローチャートである。
【図7】 制御部において実行される最適値算出処理の
詳細を表わすフローチャートである。
【図8】 制御部において実行される補正量算出処理の
具体例を表わすフローチャートである。
【図9】 図4の振幅算出処理の実行手順を説明する説
明図である。
【図10】 図6の駆動信号出力処理における駆動信号
の生成過程を説明する説明図である。
【図11】 図7の最適値算出処理の実行手順を説明す
る説明図である。
【図12】 モニタ信号の増減判定にしきい値を設けた
場合の最適値算出処理の実行手順を説明する説明図であ
る。
【図13】 本発明の構成を例示するブロック図であ
る。
【符号の説明】
2…エンジン 4…回転センサ 6…車室 8…
車体パネル 10…振動センサ 12…マイクロホン 14…ア
クチュエータ 20…制御部 22…波形整形部 24…遅延処理
部 26…増幅処理部 28…出力部 30…モニタ信
号判別部 32…振幅算出部 34…最適制御量算出部 36…回転数算出部 38…制御実行判断部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車の動力源の振動を検出し、該検出
    した振動信号を予め最適値として設定された所定の制御
    量にて遅延及び増幅して、前記動力源の振動に伴う車室
    内の騒音を打ち消すための駆動信号を生成し、該駆動信
    号にて所定の加振装置を振動させると共に、該駆動信号
    にて前記加振装置を振動させた後の車室内の騒音状態を
    表わす騒音信号に基づき、車室内の騒音を目標以下に低
    減できているか否かを判断して、騒音を目標以下に低減
    できていない場合には、前記騒音信号に基づき、前記制
    御量の最適値を更新する自動車の騒音低減方法におい
    て、 現在最適値として設定されている制御量を基準に、該制
    御量を増加及び減少方向に夫々所定の補正値にて順次補
    正すると共に、該制御量を増加又は減少方向に補正する
    度に、該補正後の制御量に基づき前記駆動信号を生成し
    て前記加振装置を振動させ、その後、制御量の増加又は
    減少方向への補正に伴い騒音信号が減少方向に変化して
    いるかどうかを判断して、騒音信号が減少方向に変化し
    ていれば前記制御量の同一方向への補正を継続させ、逆
    に騒音信号が増加方向に変化していれば前記制御量の同
    一方向への補正を停止させ、前記制御量の増加及び減少
    方向への補正が共に停止されると、該制御量の補正によ
    って騒音信号が最も小さくなったときの制御量を、該制
    御量の最適値として設定する、ことにより前記制御量の
    最適値を更新し、 更に前記制御量を増加又は減少方向に順次補正する際の
    補正値には、前記制御量を該補正値にて増加又は減少方
    向に補正する前の制御量にて駆動信号を生成した際に得
    られた騒音信号に基づき、該騒音信号が小さいほど小さ
    い値となるように設定した補正値を用いることを特徴と
    する自動車の騒音低減方法。
  2. 【請求項2】 自動車の動力源の振動を検出する振動検
    出手段と、 前記動力源の振動に伴う車室内の騒音を打ち消すための
    振動を発生する加振手段と、 前記振動検出手段にて検出された振動信号を、予め最適
    値として設定された所定の制御量にて遅延及び増幅し
    て、前記加振手段の駆動信号を生成し、該生成した駆動
    信号にて前記加振手段を駆動する制御手段と、 車室内の騒音の大きさに対応した騒音信号を発生する騒
    音状態検出手段と、 該騒音信号から車室内の騒音を目標以下に低減できてい
    るか否かを判定し、騒音を目標以下に低減できていない
    場合に、前記騒音信号に基づき前記制御量の最適値を更
    新する制御量更新手段と、 を備えた自動車の騒音低減装置において、 前記制御量更新手段は、 現在最適値として設定されている制御量を基準に、該制
    御量を増加及び減少方向に夫々所定の補正値にて順次補
    正すると共に、該補正後の制御量にて前記制御手段を順
    次動作させる制御量補正手段と、 該制御量補正手段が前記補正後の制御量にて前記制御手
    段を動作させる度に、前記制御量の増加又は減少方向へ
    の補正に伴い前記騒音状態検出手段から出力される騒音
    信号が減少したかどうかを判定して、前記騒音信号が減
    少している場合には、前記制御量補正手段による制御量
    の同一方向への補正を継続させ、前記騒音信号が増加し
    ている場合には、前記制御量補正手段による制御量の同
    一方向への補正を停止させる騒音判定手段と、 該騒音判定手段により、前記制御量補正手段による前記
    制御量の増加及び減少方向への補正が共に停止される
    と、前記制御量補正手段による制御量補正後の騒音信号
    が最も小さくなったときの制御量を、前記制御量の最適
    値として設定変更する最適値変更手段と、 前記制御量補正手段が制御量を補正する際の補正値とし
    て、前記制御量を該補正値にて増加又は減少方向に補正
    する前の制御量にて駆動信号を生成した際に得られた騒
    音信号に基づき、該騒音信号が小さいほど小さい値を設
    定する補正値設定手段と、 を備えたことを特徴とする自動車の騒音低減装置。
  3. 【請求項3】 前記制御量補正手段は、前記騒音判定手
    段にて制御量の一方向への補正が停止されるまでの間、
    前記制御量を増加又は減少方向の一方向に順次補正し、
    前記騒音判定手段にて、該方向への制御量の補正が停止
    されると、前記制御量の補正方向を変更して、現在最適
    値として設定されている制御量を基準とする前記制御量
    の補正を再開することを特徴とする請求項2に記載の自
    動車の騒音低減装置。
  4. 【請求項4】 前記制御量更新手段は、前記制御量の最
    適値として、まず前記振動信号の遅延量及び増幅率の内
    の一方の最適値を設定し、その後、該設定した最適値を
    用いて前記制御手段を動作させることにより、前記振動
    信号の遅延量及び増幅率の内の残りの最適値を設定する
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の自動車
    の騒音低減装置。
  5. 【請求項5】 前記補正値設定手段は、前記騒音信号の
    信号レベルに所定の補正係数を乗じて、前記制御量の補
    正値を設定することを特徴とする請求項2〜請求項4の
    いずれか記載の自動車の騒音低減装置。
  6. 【請求項6】 前記補正値設定手段は、前記騒音信号の
    信号レベルを複数の領域に区分した各信号領域毎に予め
    設定された補正値を記憶する補正値記憶手段を備え、該
    補正値記憶手段の中から前記騒音信号の信号レベルに対
    応した補正値を検索して設定することを特徴とする請求
    項2〜請求項4のいずれか記載の自動車の騒音低減装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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