JPH08266099A - 永久磁石同期電動機の制御装置 - Google Patents

永久磁石同期電動機の制御装置

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JPH08266099A
JPH08266099A JP7125460A JP12546095A JPH08266099A JP H08266099 A JPH08266099 A JP H08266099A JP 7125460 A JP7125460 A JP 7125460A JP 12546095 A JP12546095 A JP 12546095A JP H08266099 A JPH08266099 A JP H08266099A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 弱め界磁制御や最大効率制御を行うに際し、
モータの特性変動に関わらず効率がよいd軸電流値を与
える永久磁石同期電動機の制御装置を提供する。 【構成】 判断値出力手段106は電流誤差値eの積分
値から基準値erefが減算された判断値Hanを出力す
る。そしてd軸電流指令手段110はHan>0の場合に
はid *を増加あるいは保持し、Han<0の場合にはid *
を減少あるいは保持する。ここで、d軸電流印加開始回
転数、力行か回生、効率重視かトルク重視によってid *
の増減を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気自動車等で用いる同
期電動機に対し弱め界磁制御または最大効率制御を行う
とき、同期電動機の効率が良くなるようにd軸電流値を
同期電動機に与える、永久磁石同期電動機の制御装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気学会研究会資料産業電力電気応用研
究会IEA-92-30(文献1)は、界磁電流指令値id*を下
記式1に示すように計算し、弱め界磁制御を行うことを
示している。
【0003】
【数1】
【0004】なお、ωbaseは基底回転数を示し、ωmax
は、最大回転数を示し、idmは、最大回転数ωmax時の
d軸電流を示している。
【0005】また、平成3年電気学会産業応用部門全国
大会講演論文集、No74、P310〜315(文献2)では、界磁
電流指令値id*を、目標回転数、d軸巻線リアクタン
ス、q軸巻線リアクタンス、固定子巻線抵抗、単位速度
での無負荷誘起電圧等を用いて計算し、弱め界磁制御を
行うことを示している。
【0006】特開昭57ー196896号公報または特
開昭62−7396号公報では、制御器が実時間で実測
したモータトルクまたは電流と、指令値との、誤差(実
現度合い)を検出し、その誤差をフィードバックする。
このことによって、実時間で、電動機状態に応じたid
電流をモータに与えることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】文献1、2に記載され
ている従来の方法では、高速回転領域での弱め界磁制御
において、目標回転数ωに応じて式により界磁電流id
を与えている。
【0008】しかし、実際の電動機では、運転状態によ
る抵抗値の変化や経時変化により電動機の定数が変化す
る(常温付近で温度が70度上がるとモータの電気抵抗
は約3割大きくなる)。そのため、これらの従来方法の
演算式で計算されたidが最適なidであるとは限らな
い。
【0009】そこで、高速回転で高トルクを出力したい
場合は、特性変化分を見越して多めのid電流を与える
必要があった(例えば、インダクタンス4mH、固定子
周波数133Hz、印加電圧80Vにおいて逆起電圧が
80V、トルク電流iq1Aを実現するために必要なid
は抵抗が1Ωのとき1.95A、1.3Ωのとき2.6
3Aというように増大する)。
【0010】そのため、多めに与えたidの分だけ銅損
が増加し、効率が悪くなるという問題点がある。
【0011】それに対し、idをフィードバックによっ
て求め供給する特開昭57ー196896号公報や特開
昭62ー7396号公報においては以下に示すように、
設計手法または制御動作が不十分であり実現性のある安
定な動作を実現しにくいという問題がある。
【0012】1.特性変動が非常に大きい場合、特性変
動に対して容易に対応できない。
【0013】2.応答性を向上させる方式に関しては述
べられていない。
【0014】3.電動機の力行、回生において各々最適
なd軸電流を与えることができない。
【0015】4.フィードバック制御によりidを求め
る方法以外の効率向上に関しては述べられていない。
【0016】5.例えば、バッテリの電圧が低下し、同
期電動機に供給される端子電圧が低下した場合に総電流
に対しd軸電流が流れ過ぎ効率が悪くなる。
【0017】6.基準値が一つでは効率最大化とトルク
最大化の両立が不可能である。
【0018】7.d軸、q軸電流を別々に制御すること
ができず一方の応答性が犠牲になる。
【0019】8.回路異常やシステム異常が生じた場合
の対処が明確でない。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明による永久磁石同
期電動機の制御装置は、直軸固定子電流であるd軸電流
の指令値と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とか
ら演算された固定子の各相電流指令値を出力する電流指
令手段と、前記各相電流指令値に基づき各相に電流を供
給する入力印加手段と、前記入力印加手段が前記各相に
電流をさらに供給できる割合を示す飽和度を生成する飽
和度出力手段と、飽和度の基準値を出力する基準出力手
段と、前記飽和度から前記飽和度の基準値を減算した判
断値を計算する判断値出力手段と、前記判断値が正の場
合、電流位相を進め、前記判断値が零になるように前記
d軸電流の指令値を増加させ、前記判断値が負の場合、
前記d軸電流の指令値を減少し、減少したd軸電流の指
令値が設定された最小値を越えて減少したとき、前記d
軸電流の指令値を前記最小値に保持するd軸電流指令手
段と、前記q軸電流の指令値を与えるq軸電流指令手段
とを備えており、そのことによって上記目的が達成され
る。
【0021】前記飽和度出力手段が、前記少なくとも固
定子の相電流指令値と、前記永久磁石同期電動機の相電
流の値との差に基づいて前記飽和度を生成してもよい。
【0022】前記飽和度出力手段が、少なくとも1相の
電流と、前記少なくとも1相に相当する相の電流指令値
との差を積分した値に基づいて、前記飽和度を生成して
もよい。
【0023】前記飽和度出力手段が、前記差を積分する
ための積分器を備え、前記積分器が前記積分する割合を
調整するために前記制御装置に変更可能な素子を有して
もよい。
【0024】前記判断値が正である場合、前記d軸電流
指令手段が前記d軸電流の指令値を増加させ、前記増加
させたd軸電流の指令値が予め設定された最大値より大
きいとき、前記d軸電流指令手段が前記d軸電流の指令
値を前記予め設定された最大値に設定し、前記判断値が
負である場合、前記d軸電流指令手段が前記d軸電流の
指令値を減少させ、前記永久磁石同期電動機の回転数が
予め設定された回転数以下のとき、前記d軸電流指令手
段が前記d軸電流の指令値を予め設定された最小値に設
定してもよい。
【0025】前記飽和度出力手段が、前記q軸電流の指
令値と、前記永久磁石同期電動機の固定子に流れるq軸
電流の値との差を積分した値に基づいて前記飽和度を生
成してもよい。
【0026】前記基準出力手段が、前記各相の電流指令
値および前記永久磁石同期電動機の回転数の少なくとも
1つに基づいて前記基準値を変更してもよい。
【0027】前記飽和度出力手段が、前記差を積分する
ために、積分器をさらに備え、前記積分器が前記積分す
る割合を調整するために、前記制御装置に変更可能な素
子を有してもよい。
【0028】前記飽和度出力手段が、少なくとも1つの
電流値指令値に基づいて演算したトルク指令値と、前記
永久磁石同期電動機の実際のトルクとの差に基づいて、
前記飽和度を生成してもよい。
【0029】前記飽和度出力手段が、少なくとも1相の
電流指令値を積算演算した値と、前記永久磁石同期電動
機の固定子に流れる、前記相電流指令値を積算演算した
値との差に基づいて前記飽和度を生成してもよい。
【0030】前記判断値が正である場合、前記d軸電流
指令手段が前記d軸電流の指令値を増加させ、前記増加
させたd軸電流の指令値が予め設定された最大値より大
きいとき、前記d軸電流指令手段が前記d軸電流の指令
値を前記予め設定された最大値に設定し、前記判断値が
負である場合、前記d軸電流指令手段が前記d軸電流の
指令値を減少させ、前記減少させたd軸電流の指令値が
予め設定されたd軸最小値より小さいとき、前記d軸電
流指令手段が前記d軸電流の指令値を前記予め設定され
た最小値に設定してもよい。
【0031】前記d軸電流指令手段が、前記判断値が正
である場合、前記d軸電流の指令値を増加させ、前記判
断値が負である場合、前記d軸電流の指令値を減少さ
せ、前記減少させた前記d軸電流の指令値が予め設定さ
れたd軸最小値より小さいとき、前記d軸電流の指令値
を前記予め設定された最小値に設定し、前記q軸電流指
令手段が、前記d軸電流の指令値と前記q軸電流の指令
値とをベクトル加算した合成電流値の予め設定された最
大値から前記d軸電流の指令値をベクトル減算した値お
よび前記q軸電流の指令値のうち小さい値を前記q軸電
流の指令値にしてもよい。
【0032】前記制御装置が、前記永久磁石同期電動機
の回転速度を検出する速度検出手段と、ある一定期間の
間、前記d軸電流の指令値が一定範囲内の値であり、前
記回転速度が一定範囲内の値である場合、強制的に前記
d軸電流の指令値を変更するタイミングを出力する変更
タイミング出力手段と、変更タイミングが出力された場
合、前記d軸電流の指令値と前記q軸電流の指令値とを
合成した合成電流指令値を一定の値に保持し、前記d軸
電流の指令値を変更するd軸電流変更手段と、前記d軸
電流変更手段が前記d軸電流の指令値を変更させた後、
前記回転速度が前記d軸電流の指令値を変更する前の回
転速度より増加した場合、前記d軸電流の指令値を変更
した後の前記d軸電流指令値を用いる動作と、前記回転
速度が減少する場合、前記d軸電流の指令値を変更する
前の前記d軸電流指令値を用いる動作とを、前記変更タ
イミング出力手段が許可する期間の間繰り返し行い、前
記d軸電流の指令値を更新するd軸電流更新手段と、を
さらに備え、前記d軸電流更新手段が前記d軸電流の指
令値を変更し、かつ前記判断値が正である場合、前記d
軸電流更新手段が、前記基準出力手段の前記基準値を新
たに演算した基準値に変更し、前記判断値が負である場
合、前記d軸電流更新手段が、d軸電流の指令手段に前
記d軸電流更新手段から出力される値に基づき、予め設
定されたd軸電流の最小値、または、d軸電流の指令値
を演算する式の係数を設定してもよい。
【0033】前記q軸電流の指令値が予め設定した値以
上に大きく変化した場合、前記q軸電流指令値から求め
られたd軸の電流の初期指令値を出力する電流初期値出
力手段をさらに備えてもよい。
【0034】前記制御装置は、前記d軸電流の指令値の
変化する割合を決定し出力する変化割合出力手段をさら
に備え、前記変化割合出力手段が、予め決められた一定
の変化割合または前記判断値、または前記d軸電流の指
令値から演算した変化割合を出力し、前記d軸電流指令
手段が、前記判断値が正の場合、前記d軸電流の指令値
を前記変化割合に基づいて増加させ、前記d軸電流の指
令値が予め設定された最大値を越えて増加したときは、
前記d軸電流の指令値を前記予め設定された最大値に保
持し、前記判断値が負の場合、前記d軸電流の指令値を
前記変化割合に基づいて減少させ、前記d軸電流の指令
値が予め設定された最小値を越えて減少したときは、前
記d軸電流の指令値を前記予め設定された最小値に保持
してもよい。
【0035】前記判断値が正の場合の前記変化割合が、
前記判断値が負の場合の変化割合よりも大きくてもよ
い。
【0036】前記変化割合出力手段が、少なくとも2つ
以上の変化割合を有し、前記少なくとも2つ以上の変化
割合が選択してもよい。
【0037】前記制御装置は、前記永久磁石同期電動機
の動作が、力行の状態であるか、または回生の状態であ
るかを判断する力行回生判断手段をさらに備え、前記変
化割合出力手段が、前記判断された状態に基づきd軸電
流の指令値を変化させる割合を決定してもよい。
【0038】前記力行の状態で前記d軸電流の指令値を
変化させる割合が、前記回生の状態で前記d軸電流の指
令値を変化させる割合より小さくてもよい。
【0039】前記基準出力手段が、前記力行回生判断手
段の出力に基づき基準値を変化させてもよい。
【0040】前記d軸電流指令手段が、前記判断値が正
の場合、前記d軸電流の指令値を前記変化割合に基づい
て増加させ、設定された最大値を越えて前記d軸電流の
指令値が増加したとき、前記d軸電流の指令値に前記設
定された最大値を保持させ、前記判断値が負の場合、前
記d軸電流の指令値を前記変化割合に基づいて減少さ
せ、設定された最小値を越えて前記d軸電流の指令値が
減少したとき、前記d軸電流の指令値に前記最小値を保
持させ、前記力行回生判断手段が、力行または回生の運
転状態の変化を示す信号を生成し、前記永久磁石同期電
動機の回転速度および前記q軸電流の指令値の少なくと
も1つに基づき、前記d軸電流の指令値を前回のd軸電
流の指令値から変化させてもよい。
【0041】前記d軸電流指令手段が、前記永久磁石同
期電動機の制動トルクの許容値が小さい場合、トルク指
令値の減少に応じてリラクタンストルクを発生させるd
軸電流の減少を抑えるために、前記d軸電流の指令値を
急激に減少させないくてもよい。
【0042】本発明による他の永久磁石同期電動機の制
御装置は、直軸固定子電流であるd軸電流の指令値と横
軸固定子電流であるq軸電流の指令値から求められた固
定子の各相電流の指令値を出力する電流指令手段と、前
記各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する入力印
加手段と、久磁石同期電動機の動作が力行であるのか、
あるいは前記永久磁石同期電動機の動作が回生であるの
かの状態を判断する力行回生判断手段と、前記力行回生
判断手段が前記状態を回生であると判断し、かつ前記永
久磁石同期電動機の回転数およびトルクが弱め界磁領域
に属していない場合、前記永久磁石同期電動機に零以上
の力行のリラクタンストルクを発生させるために前記d
軸電流の指令値を出力するd軸電流指令手段と、前記q
軸電流の指令値を与えるq軸電流指令手段とを備えてお
り、そのことによって上記目的が達成される。
【0043】本発明による更に他の永久磁石同期電動機
の制御装置は、直軸固定子電流であるd軸電流の指令値
と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算さ
れた固定子の各相電流指令値を出力する電流指令手段
と、前記各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する
入力印加手段と、永久磁石同期電動機の動作が力行であ
るのか、あるいは前記永久磁石同期電動機の動作が回生
であるのかの状態を判断する力行回生判断手段と、前記
力行回生判断手段が前記状態を回生であると判断した場
合、前記d軸電流の指令値を与えるd軸電流指令手段
と、前記d軸電流指令が零でない場合、リラクタンスト
ルクが発生する分、前記d軸電流の指令値の増加に応じ
て前記q軸電流の指令値を小さくするq軸電流指令手段
とを備えており、そのことによって上記目的が達成され
る。
【0044】本発明による更に他の永久磁石同期電動機
の制御装置は、直軸固定子電流であるd軸電流の指令値
と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算さ
れた固定子の各相電流指令値を出力する電流指令手段
と、前記各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する
入力印加手段と、前記入力印加手段が前記各相に電流を
さらに供給できる割合を示す飽和度を生成する飽和度出
力手段と、飽和度の基準値を出力する基準出力手段と、
前記飽和度から前記飽和度の基準値を減算した判断値を
出力する判断値出力手段と、インバータに印可される電
圧を測定し、測定した電圧値を出力する電圧測定手段
と、前記測定した電圧値に基づき前記d軸電流の指令値
の最大値を出力するd軸電流最大値出力手段と、前記判
断値が正の場合、前記d軸電流の指令値を増加し、増加
したd軸電流の指令値が前記d軸電流最大値を越えて増
加したとき、前記d軸電流の指令値を前記d軸電流最大
値に保持し、前記判断値が負の場合、前記d軸電流の指
令値を減少し、減少したd軸電流の指令値が設定された
最小値を越えて減少したとき、前記d軸電流の指令値を
前記最小値に保持するd軸電流指令手段と、前記q軸電
流の指令値を与えるq軸電流指令手段とを備えており、
そのことによって上記目的が達成される。
【0045】前記d軸電流最大値出力手段が、前記測定
した電圧値が減少すれば、前記d軸電流の指令値の最大
値を減少させてもよい。
【0046】本発明による他の永久磁石同期電動機の制
御装置は、直軸固定子電流であるd軸電流の指令値と横
軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算された
固定子の各相電流指令値を出力する電流指令手段と、前
記各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する入力印
加手段と、永久磁石同期電動機に印可される電圧を測定
し、測定した電圧値を出力する電圧測定手段と、前記測
定した電圧値が減少すれば、前記d軸電流の指令値の最
大値を減少させるd軸電流指令手段と、前記q軸電流の
指令値を与えるq軸電流指令手段とを備えており、その
ことによって上記目的が達成される。
【0047】本発明による更に他の永久磁石同期電動機
の制御装置は、直軸固定子電流であるd軸電流の指令値
と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算さ
れた固定子の各相電流の指令値を出力する電流指令手段
と、前記各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する
入力印加手段と、前記入力印加手段が前記各相に電流を
さらに供給できる割合を示す飽和度を生成する飽和度出
力手段と、効率重視の運転状況およびトルク重視の運転
状況のうち1つの前記運転状況を出力する運転状況決定
手段と、飽和度の基準値を前記運転状況に基づき出力す
る基準出力手段と、前記飽和度から前記飽和度の基準値
を減算した判断値を出力する判断値出力手段と、前記d
軸電流の指令値が、前記判断値が正の場合、電流位相を
進め、前記判断値が零になるよう前記d軸電流の指令値
を増加させるd軸電流指令手段と、前記q軸電流の指令
値を与えるq軸電流指令手段とを備えており、そのこと
によって上記目的が達成される。
【0048】前記運転状況決定手段が効率重視を出力す
る場合の基準値が、前記運転状況決定手段がトルク重視
を出力する場合の基準値より大きくてもよい。
【0049】前記基準出力手段は、前記永久磁石同期電
動機の回転数および電流の少なくとも一つがそれぞれ予
め設定された値を越えた場合、運転状況決定手段が前記
トルク重視と判断し、前記効率重視の場合の基準値より
も小さい基準値を出力してもよい。
【0050】本発明による更に他の永久磁石同期電動機
の制御装置は、直軸固定子電流であるd軸電流の指令値
と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算さ
れた固定子の各相電流の指令値を出力する電流指令手段
と、前記各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する
入力印加手段と、効率重視の運転状況およびトルク重視
の運転状況のうち1つの前記運転状況を出力する運転状
況決定手段と、前記効率重視を出力する場合のd軸電流
の指令値が、前記トルク重視を出力する場合のd軸電流
の指令値より小さい、前記d軸電流の指令値を与えるd
軸電流指令手段と、前記q軸電流の指令値を与えるq軸
電流指令手段とを備えており、そのことによって上記目
的が達成される。
【0051】本発明による更に他の永久磁石同期電動機
の制御装置は、直軸固定子電流であるd軸電流の指令値
と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算さ
れた固定子の各相電流指令値を出力する電流指令手段
と、前記各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する
入力印加手段と、前記入力印加手段が前記各相に電流を
さらに供給できる割合を示す飽和度を生成する飽和度出
力手段と、飽和度の基準値を出力する基準出力手段と、
基準値を出力する基準出力手段と、前記飽和度に応じて
d軸の基準値を出力するd軸基準出力手段と、前記飽和
度に応じてq軸の基準値を出力するq軸基準出力手段
と、前記飽和度から前記d軸の基準値を減算した値に基
づいて、d軸の判断値を出力するd軸判断値出力手段
と、前記飽和度の処理値から前記q軸基準値を減算した
値に基づいて、q軸の判断値を出力するq軸判断値出力
手段と、前記d軸判断値が正の場合、前記d軸電流の指
令値を増加させ、増加させた前記d軸電流の指令値が設
定された最大値を越えて増加したとき、前記d軸電流の
指令値を前記設定された最大値に保持し、前記d軸判断
値が負の場合、前記d軸電流の指令値を減少させ、前記
減少させたd軸電流の指令値が設定された最小値を越え
て減少したとき、前記d軸電流の指令値を前記設定され
た最小値に保持するd軸電流指令手段と、前記q軸電流
の指令値を与えるq軸電流指令手段と、前記q軸判断値
が正であり、かつ前記d軸電流の指令値が前記設定され
た最大値の場合、前記q軸電流指令手段によって指令さ
れたq軸電流の指令値を減少させ、前記減少させたq軸
電流の指令値をq軸電流変更指令値とし、前記q軸判断
値が負であり、前記d軸電流の指令値が前記設定された
最大値であり、かつ前記q軸電流変更指令値が前記q軸
電流指令手段によって指令されたq軸電流の指令値以下
の場合、前記q軸電流の指令値を増加させるq軸電流指
令変更手段とを備えており、そのことによって上記目的
が達成される。
【0052】前記d軸基準出力手段から出力されるd軸
基準値が、q軸基準出力手段から出力されるq軸基準値
よりも小さくてもよい。
【0053】本発明による更に他の永久磁石同期電動機
の制御装置は、直軸固定子電流であるd軸電流の指令値
と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算さ
れた固定子の各相電流指令値を出力する電流指令手段
と、前記各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する
入力印加手段と、前記入力印加手段が前記各相に電流を
さらに供給できる割合を示す飽和度を生成する飽和度出
力手段と、効率重視の運転状況およびトルク重視の運転
状況のうち1つの前記運転状況を出力する運転状況決定
手段と、飽和度の基準値を前記運転状況に基づき出力す
る基準出力手段と、前記飽和度から前記飽和度の基準値
を減算した判断値を出力する判断値出力手段と、前記判
断値が正の場合、電流位相を進め、判断値が零になるよ
うd軸電流指令を増加させる第1のd軸電流指令手段
と、回路あるいは動作の異常を検出する異常検出手段
と、予め設定されたテーブルあるいは演算式に基づいて
前記d軸電流の指令値を得る第2のd軸電流指令手段
と、前記q軸電流の指令値を与えるq軸電流指令手段
と、前記異常検出手段が回路あるいは動作の異常を検出
しない場合、第1のd軸電流指令手段から出力される前
記d軸指令値を選択し、前記異常検出手段が回路あるい
は動作の異常を検出した場合、第2のd軸電流指令手段
から出力される前記d軸指令値を選択するd軸電流選択
手段とを備えており、そのことによって上記目的が達成
される。
【0054】
【作用】判断値出力手段は、実時間でインバータの飽和
度に基づいてidを増減するための判断値を作成する。
そして、d軸電流指令手段は、判断値に基づき、判断値
が正の場合d軸電流の指令値を増加し、増加したd軸電
流の指令値が設定された最大値を越えて増加したときは
最大値に保持する。判断値が負の場合、予め設定された
d軸最小値を越えて減少したとき、あるいは回転数が予
め設定された回転数設定値以下になったとき、最小値に
保持する。このように、id電流を、フィードバック積
分制御動作によって求めるとともに、弱め界磁に入る回
転数設定など安定に動作させる条件を設ける。これらに
よって、現在の電動機の状態に応じて、効率面で最適な
id電流を実時間で安定に与えることができる。このこ
とによって、高効率な永久磁石同期電動機の制御装置を
提供することができる。
【0055】
【実施例】第1の実施例 本発明の第1の実施例の永久磁石同期電動機(以下同期
電動機と省略)の制御装置について、図面を参照しなが
ら説明する。
【0056】図1は、本発明の第1の実施例における制
御装置の構成を示すブロック図である。
【0057】第1の実施例の制御装置は、飽和度出力手
段104と、判断値出力手段106と、基準出力手段1
08と、d軸電流指令手段110と、q軸電流指令手段
130と、電流指令手段136、入力印加手段138と
を備えている。
【0058】なお、この制御装置は、同期電動機100
の電流を検出する電流検出手段102をさらに備えてい
てもよい。
【0059】次に、弱め界磁制御について、数2および
図2を用いて簡単に説明する。
【0060】同期電動機100の基礎式(数2)は公知
である。
【0061】
【数2】
【0062】なお、Vは電動機に供給される端子電圧を
示し、ωは角速度を示し、Rは1相当たりの固定子巻線
抵抗を示し、ψは単位速度での無負荷誘起電圧を示し、
d、Lqはd軸、q軸の相インダクタンスそれぞれを示
し、idは直軸固定子電流(d軸電流)を示し、iqは横
軸固定子電流(q軸電流)を示している。
【0063】図2は、d−q座標は回転座標を示してい
る。id、iqは、それぞれd軸電流の直流量、q軸電流
の直流量を示している。
【0064】同期電動機100の運転状態が力行である
場合と、同期電動機100の運転状態が回生である場合
とでは、動作が異なるのでそれぞれ別に説明する。ここ
で、力行とは、同期電動機100が機械出力を発生して
いる状態であり、電源から電力が入力されている状態で
ある。バッテリを使っている場合ではバッテリを放電し
ている状態である。回生とは、電動機が機械エネルギー
を電気エネルギーに変換している状態であり、電源に電
力が入力されている状態である。バッテリを使っている
場合ではバッテリが充電されている状態である。
【0065】同期電動機100が力行する場合、弱め界
磁制御のベクトル図(図2a)に示すように、同期電動
機100の回転速度ωを上昇させると、誘起電圧ωψが
大きくなる。誘起電圧ωψ、R・iq およびω・Lq・iq
をベクトル加算した電圧値vが、電圧制限円に達する
と、同期電動機100は、電圧値vが電圧制限円に達し
たときの同期電動機100の回転速度ω以上に、回転速
度を上げることができなくなる。
【0066】なお、電源がバッテリ等である場合には、
バッテリの劣化によって、バッテリの端子電圧および電
流値が変化する。しかしながら、ここでは簡単のため、
バッテリの端子電圧(電圧制限円の半径)は一定である
と仮定する。
【0067】次に、同期電動機100の回転速度を上昇
させることを考える。図2(b)に示すように、idを同期
電動機100に流すことによって、電圧制限円内に戻る
方向の電圧ω・Ld・idが発生する。このことによって、
同期電動機100に回転速度を上昇させる電圧余裕が発
生する(図2b)。同期電動機100の回転速度が一定
である場合、発生した電圧余裕の分だけ、同期電動機1
00にトルクを発生させるトルク電流を流すことがで
き、同期電動機100にさらにトルクを発生させること
ができる(図2c)。ここで、id>0を電流位相を進
める方向に定義する。上述したように、同期電動機10
0にd軸電流を流し、電圧余裕を発生させる制御を弱め
界磁制御という。このような弱め界磁制御の一例は、特
開昭62−7396号公報に示されている。
【0068】なお、電圧余裕を発生させるためのd軸電
流idは、電動機に供給される端子電圧が電圧制限円内
にもどるために必要最小限の電流でよい。必要最小限以
上のd軸電流idを同期電動機100に与えると、銅損
が増加し、同期電動機100の効率が悪くなる。なぜな
ら、図6(a)に示す非突極機(一般的な電動機)に、d
軸電流を与えても、トルクが発生しないからである。
【0069】非突極機の場合は常に最小限のidを流す
ことで高効率の制御が実現できる。回生の場合も力行と
同じように説明できる。
【0070】また、図6(b)は、逆突極機を示してい
る。逆突極機または突極機にidを流した場合、後述す
るリラクタンストルクが発生するため、idをLdおよび
qに応じて適切に供給する方が同期電動機100の効
率が良くなる。
【0071】次に、インバータの飽和について図3、図
4、図5を用いて説明する。
【0072】120度づつ位相の異なった3相の電流指
令値(iU *(t)、iV *(t)、iW *(t))は、電流
はd軸電流指令とq軸電流指令を用いて、次式より表さ
れる(以後、交流値などのように時間対して変動する値
であることを特に示す必要がない場合には(t)を省略
する。また*は指令値を示す)。
【0073】 iU *(t)=ー(2/3)1/2{id *・cosωt+iq *・sinωt} iV *(t)=ー(2/3)1/2{id *・cos(ωt−2π/3)+iq *・sin(ωt−2π/3)} iW *(t)=ー(2/3)1/2{id *・cos(ωt+2π/3)+iq *・sin(ωt+2π/3)} 上記制御装置の一対の端子を介して、同期電動機100
の固定子に流れる実際の電流(iU(t)、iV(t)、
W(t))は、電流検出手段102によって検出され
る。検出された電流(iU(t)、iV(t)、i
W(t))は、飽和度出力手段104に出力される。飽
和度出力手段104は、図3(a)に示す比例積分器を有
している。比例積分器の一端には、電流指令値(i
U *(t)、iV *(t)、iW *(t))が入力され、比例
積分器の他端には、検出された電流(iU(t)、i
V(t)、iW(t))が入力される。比例積分器は、電
流指令値(iU *(t)、iV *(t)、iW *(t))と検
出された電流(iU(t)、iV(t)、iW(t))と
の差を比例積分し、PWM用電流誤差(eU(t)、eV
(t)、eW(t))として出力される。
【0074】図3(b)は、後述するインバータが飽和し
ている場合の、U相の電流指令値iU *(t)とU相の電
流iU(t)とを示している。
【0075】図3(c)は、そのインバータが飽和してい
ない場合の、U相の電流指令値iU *(t)とU相の電流
U(t)とを示している。
【0076】インバータが飽和している場合は、電流指
令手段136が電流指令信号を出力しても、インバータ
が指令された電流を生成することができず、上記制御装
置の一対の端子には、指令された電流が供給されない。
【0077】インバータが飽和している場合を、インバ
ータのスイッチングから考察する。図4は、入力印加手
段138に含まれるインバータの一例を示している。イ
ンバータは、半導体スイッチQ1〜Q6、ダイオードD
1〜D6、半導体スイッチQ1〜Q6のオン−オフを制
御するベースドライブ回路140、三角搬送波発生回路
142を有している。
【0078】ベースドライブ回路140には、U相のP
WM用電流誤差eU(t)、V相のPWM用電流誤差eV
(t)、および三角搬送波発生回路142が発生する三
角搬送波が入力される。各PWM用電流誤差と搬送波信
号とを比較して得られるパルス幅変調信号に従い、ベー
スドライブ回路140は、インバータの各相の半導体ス
イッチQ1〜Q6をオン−オフする。例えば、U相のP
WM用電流誤差eU(t)が三角搬送波より大きい場
合、ベースドライブ回路140は、半導体スイッチQ1
をオンし、半導体スイッチQ4をオフする。また、U相
のPWM用電流誤差eU(t)が三角搬送波より小さい
場合、ベースドライブ回路140は、半導体スイッチQ
4をオンし、半導体スイッチQ1をオフする。他の相に
ついても、同様に動作する。
【0079】なお、そのインバータは、U相のPWM用
電流誤差eU(t)、V相のPWM用電流誤差eV(t)
を用いて、同期電動機100の固定子に供給される電流
(iU(t)、iV(t)、iW(t))を発生させてい
るが、U相のPWM用電流誤差、V相のPWM用電流誤
差、およびW相のPWM用電流誤差のうち1相のPWM
用電流誤差を用いて上記電流(iU(t)、iV(t)、
W(t))を発生させてもよい。さらに、上記3相か
ら任意の2組の相を選択し、選択された2組のPWM用
電流誤差を用いて上記電流(iU(t)、iV(t)、i
W(t))を発生させてもよい。さらに、上記3相のP
WM用電流誤差をすべて用いて上記電流(iU(t)、
V(t)、iW(t))を発生させてもよい。
【0080】図5は、インバータが飽和している場合と
インバータが飽和していない場合との、PWM用電流誤
差信号および半導体スイッチQ1とQ4との動作をそれ
ぞれ示している。
【0081】オン−オフが半周期毎に片寄っている場
合、同期電動機100の固定子に指令された電流を流す
ために、十分なスイッチングをおこなっても、これ以上
電流を流すことができない。なお、インバータの飽和度
は、PWM用電流誤差の大きさによって定義されてもよ
い。例えば、PWM用電流誤差が大きいときインバータ
の飽和度も大きくなり、PWM用電流誤差が小さいとき
インバータの飽和度も小さくなる。
【0082】インバータの飽和度を小さくするために、
以下に示すように同期電動機100の固定子にidを流
し、電流位相を進める弱め界磁を行うことができる。
【0083】同期電動機100に実際に供給される3相
の電流(iU(t)、iV(t)、iW(t))の内の1
相分の電流i(t)、つまりU相、V相、W相のどの相
の電流を用いてもよい。iU(t)、iV(t)、あるい
はiW(t)が電流検出手段102によって検出されて
もよい。検出された電流i(t)は飽和度出力手段10
4に入力される。電流指令手段136は、上述した電流
指令値(iU *(t)、iV *(t)、iW *(t))を求め
る式にd軸電流idおよびq軸電流iqを代入し、電流指
令値i*(t)を演算する。飽和度出力手段104は、
その相の電流指令値i*(t)から、その検出された電
流i(t)を減算する。飽和度出力手段104は、減算
した結果に対して絶対値をとり、絶対値をとった結果で
ある電流誤差e(t)を積分する。積分した結果は、判
断値出力手段106に入力される。
【0084】なお、飽和度出力手段104が、誤差の絶
対値の積分を演算する代わりに、誤差の2乗の積分また
は誤差の最大値を判断値出力手段106に入力してもよ
い。変動成分が大きくなるので、周期変動する電流誤差
e(t)をそのまま以後の処理に使用することは困難で
ある。そこで、1相分の電流を時間領域で積分すること
によって、同期電動機100を制御するのに十分に変動
が少ない直流値を得ることができる。
【0085】なお、理論的には、3相分の電流を用いて
直流分に近い値を演算できるが、u、v、w相各々の電
流の2乗値を演算し加算するため演算が複雑である。
【0086】判断値出力手段106は、(数3)に示す
ように、電流誤差e(t)の積分値から、基準出力手段
108によって設定される基準erefを減算し、減算し
た結果である判断値Hanを出力する。
【0087】
【数3】
【0088】ここで、基準出力手段108は、積分時間
に基づいて基準erefを変化させる。具体的には、電流
誤差e(t)の積分時間が電流誤差e(t)の半周期T
/2であれば、(数4)を演算することによって基準値
refを出力する。また、速度ωを用いた(数5)を演
算することによって基準erefを求めてもよい。なお、
ここでは電流誤差e(t)の半周期を積分時間として用
いたが、積分時間は任意の時間でよい。ただし、電流誤
差e(t)は周期的に変化するため、積分時間は半周期
の整数倍であることが望ましい。
【0089】
【数4】
【0090】
【数5】
【0091】ここで、判断値Hanが大きいということは
電流誤差が大きいことを意味する。言い換えると、実際
に同期電動機100に供給されるq軸電流がq軸電流指
令値に追従しなしことを意味している。このことは、同
期電動機100の高速回転領域では、電圧余裕が少ない
ため同期電動機100が力行する場合、回転数に見合っ
たトルクを発生させるq軸電流が、流れないことを意味
する。同期電動機100が回生する場合は、回転数に見
合ったトルクを発生させるq軸電流が流れすぎることを
意味する。このような電圧余裕が少ない状態では、指令
され出力されるべき、回転速度またはトルクを得るため
には、d軸電流idを増加すればよい。
【0092】同期電動機100が力行する場合とは、具
体的には、判断値が大きい状態であり、同期電動機10
0に電流を流すために駆動装置の半導体スイッチQ1〜
Q6(図1の入力印加手段138の構成要素の一部)を
導通状態にしても必要な電流が流れない状態である。
【0093】逆に判断値Hanが小さいということは、電
流誤差が小さいことを意味する。つまり、このことは、
実際に同期電動機100に供給される電流が電流指令値
に対して良く追従していることを意味する。判断値Han
が小さく、同期電動機100が力行する場合、現在同期
電動機100に流れているd軸電流idを変化させず、
現在同期電動機100に流れているq軸電流iq以上の
q軸電流iqを流したり、同期電動機100の回転速度
を増加させることが可能なる。
【0094】同期電動機100が力行または回生する場
合とも、d軸電流が多く流れすぎる傾向がある。損失を
少なくするという観点から、d軸電流idを減少させる
ことが好ましい。なお、d軸電流idを加える必要が特
にない場合は、非突極機では、d軸電流idが零であっ
てもよい。
【0095】判断値Hanは、同期電動機100に与えら
れる電流指令が実際にどれだけ実現できているかを示し
ている。電流指令が実現できていなければ、実現できる
ようd軸電流idを増加させる。電流指令が実現できて
いれば、現在の回転速度または現在のトルクの状態を維
持し、同期電動機100の効率が最もよくなるようにd
軸電流idを減少させればよい。
【0096】以上より、d軸電流指令手段110は、判
断値出力手段106の出力に基づきd軸電流を変化させ
る。例えば、Han>0の場合には、d軸電流指令手段1
10は、d軸電流の指令値id *を増加あるいは保持す
る。d軸電流の指令値id *を保持する場合とは、d軸電
流の指令値id*が予め設定された最大値id *maxになっ
た場合である。
【0097】また、Han<0の場合には、d軸電流指令
手段110は、d軸電流の指令値id *を減少あるいは前
回値を保持する。d軸電流の指令値id *を保持する場合
とは、d軸電流の指令値id *が予め設定された最小値i
d *minになった場合である。
【0098】一般的に、非突極機の場合は、id *=0あ
るいは若干id *を加え位相が進んだ値を最小値id *min
として用いる。なお、一般には、非突極機ではid *=0
のとき非突極機の効率が最も良くなる。しかし、非突極
機の鉄損が大きい場合には、位相を少し進め、少し弱め
界磁を行いステータ磁束を少なくすることによって、鉄
損を少なくするすることができる。これによって、鉄損
と銅損の釣合がとれ、最も効率が良くなる。
【0099】また、逆突極機がリラクタンストルクを利
用する場合、リラクタンストルクを発生させるために、
位相をある程度(10゜〜40゜)進めておく。弱め界
磁領域でない場合、d軸電流の指令値id *の最小値id *
minは、例えば30゜を固定位相進み量とすると、id *m
in=i*・sin30゜として与える。(詳しくは後述す
る。)そして、弱め磁界の場合は、具体的には(数6)
の演算を行う。
【0100】
【数6】
【0101】ここで、id *(i)およびid *(i-1)は、今回
および前回のd軸電流の指令値id *のそれぞれを表す。
【0102】上式の積分動作を含んだ制御動作をより詳
しく説明する。
【0103】Han>0の場合、Han=0となるまで、d
軸電流指令手段110は、制御動作毎にd軸電流の指令
値id *をK1・Hanづつ増加する。このような動作は、積
分動作によって行うことができる。このような動作を行
うことによって、Hanを0にすることができる。
【0104】d軸電流の指令値がid *=id *maxの場
合、d軸電流の指令値をid *maxに固定する。そして、
an=0となると、d軸電流指令手段110は、負荷ト
ルクが一定の場合、一定のd軸電流の指令値id *を与え
続ける。
【0105】次に、負荷トルクが小さくなったり、もし
くは回転数が低くなったりして、Han<0となると、d
軸電流指令手段110は、d軸電流の指令値id *を減少
してゆく。そして、同期電動機100のバランスがと
れ、Han=0となると、d軸電流指令手段110は、d
軸電流の指令値id *の減少をやめ、一定のd軸電流の指
令値id *を電流指令手段136に与える。さらに弱め界
磁を必要としない領域まで回転数が低くなると、d軸電
流指令手段110は、すでに述べた最小値id *minを電
流指令手段136に与える。たとえ、Han<0であって
も、d軸電流の指令値id *が最小値id *min以下になる
ようには、d軸電流指令手段110は、d軸電流の指令
値id *を減少させない。
【0106】次に、q軸電流指令手段130は、q軸電
流の指令値iq *を同期電動機100の回転速度を指令す
る指令速度ω*と同期電動機100の実際の速度ωとの
誤差と定数Kを用い(数7)により演算する。
【0107】
【数7】
【0108】なお、q軸電流の指令値iq *を指令速度ω
*とは無関係に指令してもよいことはいうまでもない。
【0109】そして求められたd軸電流の指令値とq軸
電流の指令値とは電流指令手段136によって(数8)
のようにベクトル演算される。ベクトル演算された結果
として、同期電動機100に供給すべき電流である合成
電流の指令信号の大きさとその位相θとが出力される。
【0110】
【数8】
【0111】ここで、合成電流値I*が最大電流設定値
imax以上になる場合、id *の優先順位が高く、iq *
(数9)で与えられる。
【0112】
【数9】
【0113】ここで、imax=id *maxと設定すると、同
期電動機100が力行する場合、最大電流設定値imax
を超えるような過大なトルク電流であるq軸電流の指令
値iq *が与えられた場合でも、電流指令手段136は、
電流誤差の積分値が基準値になるまでd軸電流の指令値
d *を増加する。d軸電流の指令値id *が増加した分だ
け、q軸電流の指令値iq *が減少してゆくこととなる。
【0114】このことは、同期電動機100が最大の出
力を出せるように、d軸電流の指令値id *およびq軸電
流の指令値iq *のバランスを調整していることを意味す
る。すなわち、最大電流を同期電動機100に供給する
とき、最大トルクを実現することができる。
【0115】次に、入力印加手段138は、実際に同期
電動機100に合成された指令値に基づいた電流を流す
ための動作を行う。すでに述べた電流指令値(i
U *(t)、iV *(t)、iW *(t))を求める式によっ
て、d軸電流の指令値およびq軸の電流の指令指令値に
基づき、120度づつ位相が異なる、u、v、およびw
相の3相の電流指令値を、2相ー3相変換の式を用いて
出力する。そして、飽和度出力手段104は、PWM用
電流誤差e(t)と10kHz程度の三角搬送波信号とを
比較する。比較して得られたパルス幅変調信号に従い、
各相の半導体スイッチQ1〜Q6が制御され、指令され
た電流を同期電動機100に供給する。
【0116】判断値出力手段106は、電流誤差e
(t)の積分値から基準値erefを減算し、減算した結
果である判断値Hanを出力する。Han>0の場合には、
d軸電流指令手段110は、d軸電流の指令値id *を増
加あるいは保持する。Han<0の場合には、d軸電流指
令手段110は、d軸電流の指令値id *を減少あるいは
保持する。
【0117】すなわち、Hanが大きい場合は指示された
出力を得ていない状態であり、最小限のidを加えるこ
とによりq軸電流を流し指示された回転速度やトルクを
出力する。逆に判断値Hanが小さい場合はd軸電流id
がもう少し減少しても指示された出力を実現できる状態
であり、d軸電流指令手段110がd軸電流idを減少
し効率を上げる。このことにより、効率面で、d軸電流
dが自動的に最適に調整され、同期電動機100の弱
め界磁制御を高効率に実現することができる。
【0118】図6(a)に示す非突極型ロータに対し議論
を進めてきた。突極型ロータや図6(b)に示す逆突極型
ロータの場合は、すでに述べてきた弱め界磁制御のd軸
電流idに加え、後述するリラクタンストルク分のd軸
電流idを減算または加算すればよい。
【0119】なお、d軸電流指令手段110は、(数
6)に示すような積分動作による制御を行うと述べた。
さらに、d軸電流指令手段110は、(数10)に示す
ようなPID(比例積分微分)制御を行っても同様の効
果を得ることは言うまでもない。
【0120】
【数10】
【0121】ここで、Ka、Kb、Kcは定数とする。
【0122】さらに、非線形ゲインを利用できるファジ
ー制御または適応制御等の制御方式を用いても、積分に
相当する動作を含んでいれば、d軸電流の指令値id *
求めることができる。
【0123】また、飽和度出力手段104は、電流指令
信号の半周期に対する各相の半導体スイッチQ1〜Q6
の開期間あるいは閉期間を計測することによってインバ
ータの飽和度を検出することができる。
【0124】なお、3相の電流(iU(t)、i
V(t)、iW(t))の1相の飽和度を計算するだけで
はなく、3相の電流(iU(t)、iV(t)、i
W(t))のうち2または3相の電流を電流検出手段1
02が検出し、飽和度出力手段104が2相または3相
の飽和度の平均値をそれぞれ計算しても良い。2相また
は3相の飽和度の平均値を用いることによって、同期電
動機100を制御する精度が向上し、同期電動機100
の効率が良くなることは言うまでもない。
【0125】エンコーダ検出信号等の周期に同期させる
場合、(数4)または(数5)で示したように、周期や
回転速度に応じて基準値出力手段108から出力される
誤差の基準値erefが変更されることに注意する。
【0126】ここで、同期電動機100の回転速度に関
係なく一定周期で同期電動機100に流れる電流を検出
する場合は、検出タイミングにより誤差積分値が変化す
ること注意しなければならない。
【0127】上述した第1の実施例では、判断出力手段
106で求められた判断値Hanは、d軸電流指令手段に
入力されていたが、q軸電流を用いてHanを求めても第
1の実施例と同様の効果が得られる。q軸電流を用いて
anを求めるために、以下に示す構成が、第1の実施例
とは異なる。飽和出力手段104には、q軸電流指令手
段130の出力iq *が入力される(図示されず)。
【0128】また、飽和出力手段104には、以下によ
って求められたq軸電流iqも入力される。
【0129】同期電動機100に実際に供給される3相
の電流値(iU、iV、iW)が電流検出手段102によ
ってそれぞれ検出される。なお、2相の電流値のみを検
出する場合は、iU+iV+iW=0という関係を用いて
残りの1相の電流値を求める。そして、回転座標系を示
すd−q軸で表された電流成分iqを以下の式を用いて
求める。(idは求める必要はない。)
【0130】
【数11】
【0131】飽和度出力手段104がq軸電流指令値i
q *から検出電流値iqを減算する。減算した結果である
電流誤差eを積分した値が基準値erefと比較され、比
較された結果である判断値Hanが出力される。
【0132】この場合、飽和度出力手段104の構成は
複雑になるが直接必要なトルク電流iqを管理している
ので、同期電動機100のトルクをさらに精度良く制御
できる。
【0133】なお、同期電動機100に流れる電流から
q軸電流成分を精度よく分離する回路がアナログ回路で
構成された場合、アナログ回路の構成が複雑になる。従
って、同期電動機100に流れる電流からq軸電流成分
を精度よく分離するためには、ディジタル回路を用いる
ことが望ましい。そのため、d軸電流指令手段110ま
たはq軸電流指令手段130、電流指令手段136、飽
和度出力手段104、および判断出力手段106からな
るフィードバック制御信号演算はディジタル化されるこ
とが好ましい。
【0134】さらに、上述した第1の実施例の飽和度出
力手段104が下記に示す構成をとってもよい。初め
に、飽和度出力手段104が電流誤差の半周期の間で1
相の指令値と実際に同期電動機100に流れる電流との
差を積分した値に基づいて、インバータの飽和度を検出
する場合を考える。同期電動機100の動作電圧を低く
した場合、同期電動機100の回転数が低くなり、電流
誤差の半周期が長くなる。その結果、積分時間が長くな
り、上記積分した値が大きくなる。上記積分した値がA
/D変換器の出力最大値より大きくなると、A/D変換
器の出力最大値によって、上記積分した値が制限され
る。このような場合、上記積分した値をA/D変換器
(図示されず)の出力最大値より小さくするなるよう
に、飽和度出力手段104が有する積分器(図示され
ず)のゲインを小さくすればよい。このように、積分器
のゲインの設定を変更することは、同期電動機100を
低回転数で使用する場合非常に有効である。たとえば、
スイッチ(図示されず)によって上記ゲインの切り換え
る構成または可変抵抗によって上記ゲインを変更する構
成をとることにより、積分した値がA/D変換器の出力
最大値に制限されないようにできる。これにより制御装
置の適用範囲が広がる。
【0135】さらに、上述した第1の実施例が電流検出
手段102を備える代わりに、同期電動機100のトル
クの測定するトルク検出手段(図示されず)を備えてい
ても良い。この場合、電流指令手段は、d軸電流の指令
値およびq軸電流の指令値から、同期電動機100に与
えられる指令トルクを演算し、出力する。飽和度出力手
段104では、指令トルクから測定したトルクを減算
し、減算した結果を飽和度として出力してもよい。第1
の実施例がこのような構成を有していても、d軸電流が
制御されることは言うまでもない。
【0136】さらに、上述した第1の実施例の飽和度出
力手段104が下記に示す構成をとってもよい。飽和度
出力手段104は、少なくとも1相の電流の指令値i*
(t)を積算演算した電流値の積分値と、対応する実際
に同期電動機100に流れる電流を検出した検出値i
(t)の積分値との差に基づいてインバータの飽和度を
検出する。これによって、それぞれの信号の位相差によ
る誤差を削除することができ、同期電動機100に実際
に流れる電流の管理を正確に行うことができる。
【0137】さらに、上述した第1の実施例のd軸電流
指令手段110が下記に示す構成をとってもよい。d軸
電流指令手段110が予め設定された設定回転数以下の
場合、d軸電流の指令値を下限設定値id *minに保持す
る。回転数が大きくなるまで、d軸電流の指令値を一定
値に設定する。このことにより、同期電動機100の出
力トルクが抑えられるため、同期電動機100の速度応
答性は犠牲になるが、効率の良い同期電動機の制御装置
を提供することができる。
【0138】また、(数6)に示すように、d軸電流の
指令値が予め設定された、上限値と下限値との間に保持
される。特に上限値が低い場合は、同様に応答性は犠牲
になるが効率の良い制御装置となる。
【0139】なお、基準出力手段が回転数と電流指令値
の少なくとも1つに基づいて基準値を変更してもよい
(この構成は図示されず)。このような構成によって、
以下に示す効果が生じる。同期電動機の回転数が大きく
なると、銅損よりも鉄損が大きくなりすぎる。そこで、
d軸電流idを増加させ、弱め界磁を進めることによっ
て、磁束を小さくし、鉄損を少なくすることができる。
このことによって、銅損(電流の2乗に比例)が鉄損と
バランスがとれる。その結果、さらに効率の向上が可能
になる。そこで、回転数が増加すると基準値を小さく
し、弱め界磁を進めることが効果的である。
【0140】第2の実施例 以下に、本発明の第2の実施例の永久磁石同期電動機1
00の制御装置について、図面を参照しながら説明す
る。発明の第2の実施例は、idを強制的に変化させ、
最も効率が良くなるようにd軸電流idを調整すること
ができる制御装置である。
【0141】図7は本発明の第2の実施例における永久
磁石同期電動機100の制御装置の構成を示す全体図で
ある。第2の実施例では、第1の実施例に、変更タイミ
ング出力手段250、d軸電流変更手段252、速度検
出手段254、d軸電流更新手段256が付加されてい
る。さらに、基準出力手段208、d軸電流指令手段2
10、およびq軸電流指令手段230は、第1の実施例
の基準出力手段108、d軸電流指令手段110、およ
びq軸電流指令手段130とは異なる。第1の実施例と
同じ構成には、同じ番号を付し、説明を省略する。
【0142】図7に示される永久磁石同期電動機100
の制御装置についてその動作を説明する。
【0143】変更タイミング出力手段250は、速度検
出手段254が検出する同期電動機100の回転速度お
よびd軸電流から、同期電動機100が定常状態である
と判断した場合、強制的にd軸電流を変化させる変更タ
イミングをd軸電流変更手段252に出力する。ここで
定常状態とは、回転速度およびd軸電流がある一定期間
に一定範囲内である場合をいう。なお、d軸電流は、電
流検出手段102が検出する。
【0144】次に、q軸電流指令手段230およびd軸
電流変更手段252が変更タイミング出力手段250か
らの指示を受けた場合、(数12)を満たすように合成
電流値が一定に保持されたままd軸電流が減少する。d
軸電流idおよびq軸電流iqがサイン波の場合、合成電
流値を一定に保持したままd軸電流を減少させること
は、合成電流の指令値の位相を変化させることと等価で
ある。d軸電流idの比率が大きくなれば電流位相は進
む。
【0145】
【数12】
【0146】例えば、iq *=10A、id *=6A(I*
=11.66A)のとき、変更タイミング出力手段25
0が定常状態であると判断した場合、q軸電流指令手段
230とd軸電流変更手段252は、iq *=10.12
A、id *=5.8A(I*=11.66A)のようにそ
れぞれ変化させる。
【0147】また、速度検出手段254は、すでに定常
状態の回転速度を検出している場合を考える。速度検出
手段254は、d軸電流idを変化させた後の回転速度
を検出する。d軸電流更新手段256は、d軸電流id
を変化させる前の回転速度とd軸電流idを変化させた
後の回転速度を比較する。d軸電流idを変化させた
後、回転速度が増加する場合には、d軸電流idを変化
させた後のd軸電流にd軸電流idの指令値を変更す
る。なぜなら、このような状態では、d軸電流idが同
期電動機100に余分に供給され、効率が悪いからであ
る。なお、d軸電流更新手段256は、d軸電流変更手
段252を介してd軸電流の指令値id *を受け取る。
また、d軸電流idを変化させた後、回転速度が減少す
る場合には、電流指令手段136は、d軸電流idを変
化させる前のd軸電流idをd軸電流idの指令値として
用いる。なお、d軸電流idの指令値を更新した場合
は、更新したd軸電流idの指令値が最適値であるか否
かを継続して調べる必要がある。同様に、d軸電流id
の1回目の変更で、回転速度が減少する場合であって
も、d軸電流idを増加して回転速度が増加するか否か
を調べる。
【0148】回転速度が増加する場合には、d軸電流値
dの変更を継続する。すなわち、d軸電流値idが最適
値となるまで変更してゆく必要がある。変更動作中で
は、図7の電流指令手段136のスイッチは、電流指令
手段136とd軸電流変更手段252とにつながってい
る。
【0149】また、d軸電流idを増加させるような外
部トルク指令等がない場合は、変更タイミング出力手段
250は、d軸電流idを変更する許可をd軸電流変更
手段252に継続して与える。この場合、繰り返しd軸
電流が更新される。
【0150】なお、d軸電流idを変更してから、同期
電動機100の回転速度が十分変化するまでの時間遅れ
が比較的長い場合には、d軸電流idを変更してから一
定期間が経過した後(上記一定期間は、上記時間遅れよ
り長い時間である)に同期電動機100の回転速度を判
断すればよい。上述した動作によって、d軸電流更新手
段256は最適なd軸電流id *の指令値を求め出力する
ことができる。
【0151】ここで、変更タイミング出力手段250が
定常状態であると判断し、かつ判断値出力手段106の
判断値が正の場合には、基準出力手段208は、更新し
たd軸電流id *の指令値に基づいて新たな基準値を出力
する。言い換えると、d軸電流id *の指令値が減少した
場合、基準出力手段208は、減少した量に応じて基準
値を増加させる。また逆に、d軸電流id *の指令値が増
加した場合、基準出力手段208は、増加した量に比例
するように基準値を減少させる。なお、基準出力手段1
08は、d軸電流変更手段252d軸電流更新手段25
6を介して同期電動機100の状態を示す信号を受け取
る。
【0152】次に、判断値出力手段106の判断値が負
の場合について述べる。非突極機の場合、d軸電流id
は、上述したように零あるいは予め設定された値でよ
い。しかし逆突極機の場合、弱め界磁領域でなくとも
(数13)の第2項のリラクタンストルクを利用できる
ので、d軸電流idが供給される。
【0153】
【数13】
【0154】d軸電流更新手段256が、弱め界磁領域
でない通常領域の動作において、d軸電流の指令値id *
の変更値に基づき、(数14)の演算式の係数を変える
場合について述べる。d軸電流の指令値id *が増加した
場合は、(数14)のKを増加させ、d軸電流の指令値
d *が減少した場合は、Kを減少させる。その場合、実
際の制御動作について以下に述べる。d軸電流指令手段
210が合成電流の指令値I*を計算する。q軸電流指
令手段は、計算された合成電流の指令値I*およびd軸
電流の指令値id *を受け取る(図示されず)。q軸電流
指令手段は、(数8)を用いて、計算された合成電流の
指令値I*およびd軸電流の指令値id *に基づいて、q
軸電流の指令値iq *を求める。なお、係数Kの値を変化
させることによって、同期電動機の回転速度およびトル
クが変化する。
【0155】なお、通常領域とは、図14の斜線で示さ
れた領域である。また、図14の斜線で示されていない
領域は、弱め界磁制御を行うことによって新たに増加し
た動作領域である。
【0156】
【数14】
【0157】後の動作は、第1の実施例と同様であるの
で説明を省略する。
【0158】上述したように、同期電動機100の定常
状態を判断してd軸電流idを最適値に調整する手段を
付加することによって、経時変化や環境変化に対しても
高効率な運転が可能な制御装置が実現できる。
【0159】なお、逆突極機では、通常領域のd軸電流
dを変更する場合、よく利用されるトルクであること
が望ましい。さらに、変更タイミング出力手段250も
そのことが考慮されていることが望ましい。なぜなら、
あまり使用しない動作点でd軸電流idの変更を行って
も意味がないからである。
【0160】なお、非突極機の通常領域では、d軸電流
dが設定された零近傍からあまり変動しないので、d
軸電流idを変更する必要がないため変更タイミング出
力手段250は通常領域で変更タイミングを出力しな
い。
【0161】また、d軸電流idの最小値は、弱め界磁
を行わない場合のd軸電流idの値であり、逆突極機で
は零でない。
【0162】第3の実施例 本発明の第3の実施例の永久磁石同期電動機100の制
御装置について、図面を参照しながら説明する。本発明
の第3の実施例は、テーブル等で設定されたd軸電流i
dの初期値を用いることによって、応答性を向上させ
た、永久磁石同期電動機100の制御装置である。
【0163】図8は、本発明の第3の実施例における永
久磁石同期電動機100の制御装置の構成を示す全体図
である。第3の実施例は、上記第1の実施例に、電流初
期値出力手段340、速度検出手段254、およびq軸
電流変化量手段370を付加したものである。さらに、
d軸電流指令手段310は、第1の実施例のd軸電流指
令手段110とは異なる。第1の実施例と同じ構成に
は、同じ番号を付し、説明を省略する。
【0164】図8に示すように構成された永久磁石同期
電動機100の制御装置について、その動作を以下に説
明する。
【0165】外部から入力されるq軸電流の指令値が予
め設定した値以上に大きい場合、電流初期値出力手段3
40は、外部からのq軸電流の指令値と速度検出手段3
54が出力した回転速度とに対応する、テーブル等で予
め与えられる値に基づいてd軸電流の指令の初期値id_
*iniを出力する。
【0166】ここで、電流初期値出力手段340は、
(数2)に従って、速度検出手段254が検出した回転
数およびトルクから計算したd軸電流idを出力する。
【0167】なお、d軸電流idは、(数2)等の計算
式に基づいてリアルタイムで演算した値、または実際に
端子電圧や温度など様々データを基づいて実験によって
求めた値を用いても良い。
【0168】d軸電流指令手段310は、電流初期値出
力手段340から出力される値をd軸電流値の初期値と
して用いる。d軸電流指令手段310は、第1の実施例
のd軸電流指令手段110と同様に、判断値が正の場
合、前記d軸電流を増加あるいは保持する。また、判断
値が負の場合、d軸電流指令手段310は、d軸電流を
減少あるいは保持する。
【0169】テーブル等で予め設定されたd軸電流id
の初期値id_iniを用いることによって、d軸電流が同
期電動機100を動作させるのに最適なd軸電流に収束
する時間を短縮させることができる。
【0170】また、必要とされるq軸電流の指令値iq *
を実現する時間が短縮され同期電動機100の応答性が
向上する。
【0171】また、q軸電流変化量手段370は、q軸
電流指令手段からのq軸電流の指令値を受け取り、現時
点から少なくとも2つ前のq軸電流の指令値を保持して
いてもよい。q軸電流の外部からの指令値の変化の設定
値を低く設定し、Han>0の場合に、q軸電流変化量
{iq *(i-1)−iq *(i-2)}を用いて、d軸電流指令値手
段310が、以下の式でd軸電流を求めることができ
る。
【0172】 id *(i)=id *(i-1)+K・Han+Kq・{iq *(i-1)−iq *(i-2)} 同様にiq *の変化量に応じて、d軸電流id *を与えるの
で速度の応答性が向上する。
【0173】第4の実施例 本発明の第4の実施例の永久磁石同期電動機100の制
御装置について、図面を参照しながら説明する。本発明
の第4の実施例は、同期電動機100が回生するときの
d軸電流idが変化する割合を、同期電動機100が力
行するときのd軸電流idが変化する割合より大きくす
る。このことにより、第4の実施例は、d軸電流id
最適となる時間を短縮することができ、さらに、同期電
動機100に急ブレーキがかからないような安全に制御
することができる。
【0174】初めに、回生と力行とについて説明する。
【0175】上述したように、力行とは、電動機が機械
出力を発生している状態である。言い換えると、電源の
電力が電動機に供給されている状態である。バッテリを
使っているときは、バッテリを放電している状態であ
る。また、回生とは、電動機が機械エネルギーを電気エ
ネルギーに変換している状態である。言い換えると、電
源に電力が入力されている状態である。バッテリを使っ
ているときは、バッテリを充電している状態である。回
生のq軸電流iqの符号は、力行のq軸電流iqの符号と
逆になる。従って、図9に示すように、誘起電圧ωψと
R・iqとは逆向きのベクトルとなる。
【0176】次に、同期電動機100が高速回転してお
り、d軸電流idが小さいときを考える。この場合、合
成した電圧値Vは、電圧制限円の外側にあり、安定に存
在することはできない(図9(a))。q軸電流iqが指令
された値より多く流れることによって、誘起電圧ωψと
逆向きのベクトルR・iqとが大きくなり、合成した電圧
値がV制限円の中に入いる。このようにして、指令した
値よりも大きなq軸電流iqが流れる(図9(b))。ここ
で、電動機が回生しているとき、q軸電流の指令値とは
負のトルクの指令値を意味する。つまり、指令した負の
トルクは実現されない。言い換えると、指令した値より
も大きな負のトルクが発生し、電動機にブレーキがかか
る。電動機にブレーキがかかる状態を回避するために
は、十分な大きさのd軸電流idを電動機に流してやれ
ばよい(図9(c))。電動機が力行する場合と同じよう
に、d軸電流idは電圧制限円に戻るために最小限の電
流でよく、d軸電流idを最小限の値以上に与えるとd
軸電流idを流すことにより発生する銅損によって効率
が悪くなる。
【0177】図10は、本発明の第4の実施例の構成を
示す全体図である。第4の実施例は、第1の実施例に、
力行回生判断手段420、変化割合出力手段422を付
加したものである。上記付加した手段以外は、第1の実
施例で述べたものと同様である。
【0178】第1の実施例と同じ構成には、同じ番号を
付し、説明を省略する。
【0179】第1の実施例と同様に判断値が求められ、
求められた判断値によって(数15)の演算がd軸電流
指令手段110で行われる。
【0180】
【数15】
【0181】ところで、id *が変化する割合は、(数1
5)中の予め設定された一定値K1、K2によって決定さ
れてもよい。なお、これらの値は、以下のように決定さ
れてもよい。
【0182】力行回生判断手段420は、同期電動機1
00の運転状態が力行であるのか回生であるのかを判断
し、判断した運転状態を変化割合出力手段422に入力
する。
【0183】具体的には、後述のq軸電流指令手段13
0によって指令されたq軸電流の指令値iq *の符号が正
の場合には力行と判断し、負の場合には回生と判断す
る。
【0184】そして、変化割合出力手段422は、力行
の時には力行のためのK1、K2を出力し、回生の時には
回生のためのK1、K2を出力し、d軸電流指令手段11
0に入力する。具体的には、K1、K2をテーブルで与え
ればよい。
【0185】このように、電動機の運転状態によってd
軸電流の指令値id *の変化する割合を変えることによ
り、現実に即した同期電動機100の弱め界磁制御を実
現することができる。なお、力行および回生のK1、K2
のそれぞれは、電流制限値の1/100から1/2の値
をとる。この電流制限値Imは、半導体スイッチQ1〜
Q6に最大に流すことができる電流または各配線に最大
に流すことができる電流等によって定まる。また、d軸
電流の指令値の最大値id *maxとは、Im・sin60°≦i
d *max≦Im・sin90°の値である。また、d軸電流の指
令値の最小値id *minとは、Im・sin0°≦id *min≦Im
・sin40°の値である。
【0186】また、変化割合を次式で与えてもよい。
【0187】変化割合Kは、 K=K0・{id *(i-1)−id *(i-2)}/{Han(i-1)−Ha(i-2)} と表せる。
【0188】ただし、Han>0となった初回は、Kを演
算することができないので、K=Kminとする(Kmin
0<1)。
【0189】すなわち、現在のHanに対するd軸電流i
dの影響度合いを演算し、その値を変化割合として用い
ることによって、必要なd軸電流idを迅速に得ること
ができる。
【0190】ここで、変化割合は、制御系のゲインに相
当し、変化割合を大きくすることは整定時間が短くなる
ようにゲイン設定をすることを意味する。すでに述べた
ように、PID等の制御手法を用いても変化割合Kを同
様に設定できることは言うまでもない。
【0191】すでに述べたように、必要に応じてd軸電
流idを同期電動機100に素早く加えなければ応答性
が劣化する。d軸電流idを加えすぎると、効率が悪く
なるが応答性の劣化はない。効率が悪くなっても、俊敏
な応答性を得たい場合は、d軸電流idが増加する場合
の変化割合を、idが減少する場合の変化割合より大き
く設定すればよい。このことによって、応答性の良い制
御装置が得られる。
【0192】しかしながら、例えば、同期電動機100
に与えることができるエネルギ量が少ないとき、応答性
が悪くなっても、高い効率で同期電動機100を運転し
たい。
【0193】この場合、d軸電流idが増加する場合の
変化割合を、idが減少する場合の変化割合より小さく
設定すればよい。
【0194】このように、必要な状態に応じて、応答性
重視と効率重視の設定を切り換えることができる。
【0195】また、応答性重視と効率重視の設定を切り
換えるために、第4の実施例は、外部スイッチを備えて
いてもよい。
【0196】また、外部スイッチの状態を連続的または
断続的に切り換えることによってd軸電流の指令値の変
化する割合を変化させ、容易に好みの応答速度を得るこ
とも可能である。なお、外部スイッチは、使用者によっ
て操作される。
【0197】また、q軸電流の指令値(指令速度)を変
化させても、d軸の変化割合を変化させた場合と同様の
効果を得ることは言うまでもない。
【0198】すでに述べたが、同期電動機100の高速
回転域において、d軸電流idが少なく、同期電動機1
00が力行する場合、q軸電流iqが流れず、必要とさ
れるトルクを出力することができない。一方、同期電動
機が回生する場合、q軸電流iqが流れすぎ、急激(1
秒以内に)に負のトルクが発生する。急激な負のトルク
の発生は、同期電動機に急激なブレーキをもたらす。同
期電動機が運転されているとき、同期電動機の回転に急
激にブレーキがかかることは、たいへん危険である。同
期電動機を安全に運転するために、回生の場合、d軸電
流id *の変化割合を大きくする。このことによって、俊
敏に、十分な大きさのd軸電流idが同期電動機に流れ
るようになり、急激なブレーキがかかることを防ぐこと
ができる。従って、同期電動機が安全に回転する。
【0199】(数3)において、基準erefを大きく設
定すると判断値Hanは小さくなる。
【0200】そして、(数15)の演算によって求めら
れるd軸電流の指令値id *は小さい値に落ちつく。反対
に、基準erefを小さく設定すると判断値Hanは大きく
なる。これは、基準erefの設定によってd軸電流の指
令値id *の落ちつく値が制御されることを示している。
そのため、基準erefが大きく設定されると、id *が流
れにくい高効率な制御ができる。一方、基準erefが小
さく設定されると、d軸電流の指令値id *が多く流れト
ルク指令に忠実な制御ができる。そこで、力行の場合は
基準erefを大きく設定し、同期電動機100が高効率
に制御される。回生の場合は基準erefを小さく設定す
ることによって、トルク指令に忠実な、つまり急にブレ
ーキがかからないように、同期電動機100が制御され
る。
【0201】図2および図9に示すように、力行の場合
のq軸電流iqの符号は、回生の場合のq軸電流iqの符
号と異なる。そして、運転状態が変わったときにはq軸
電流iqの符号が変わり、最小限必要とされるd軸電流
dが一瞬のうちに変化する。実際は、図2および図9
から分かるように、R・iqに着目すると力行のとき必要
とされるd軸電流idよりも回生のとき必要とされるd
軸電流idのほうが少ない。
【0202】そのため、力行から回生に前記運転状態が
変化したときは、最小限必要とされるd軸電流idが減
少し、回生から力行に前記運転状態が変化したときは、
最小限必要とされるd軸電流idは増加する。このよう
なd軸電流idの変化に迅速に対応するためには、運転
状態が変化したときに、演算式やテーブルなどに基づい
てd軸電流の指令値id *を変化させることが必要であ
る。
【0203】具体的には(数16)のような演算を行
う。
【0204】
【数16】
【0205】ここで、Ka、Kbは比例定数であり、ω0
は弱め界磁制御をしないときの最大回転数である。な
お、(数17)のような演算を用いてもよい。
【0206】
【数17】
【0207】ここで、d軸電流の新指令値id *newは、
運転状態が変化した後に新たに設定されるd軸電流の指
令値id *である。id *prevは運転状態が変化する前のd
軸電流の指令値id *である。iq *prevは、運転状態変化
前のq軸電流の指令値iq *である。iq *nowは、運転状
態変化後のq軸電流の指令値iq *である。また、Kc、
Kdは定数である。このような設定を行うことにより、
運転状態の変化に対して、d軸電流idを迅速に応答さ
せることができる。
【0208】なお、(数16)および(数17)などを
用いて、d軸電流の指令値id *を変化させるのは、運転
状態が変化した後1回のみである。2回目以降では、d
軸電流の指令値id *は(数15)を用いて決定される。
【0209】すでに、逆突極ロータに関しては、総合d
軸電流の指令値id *=リラクタンストルク分のd軸電流
の指令値id *+弱め界磁分のd軸電流の指令値id *で与
えられることはすでに述べた。(同期電動機100の安
定は、力行のd軸電流変化割合と制動トルクの許容値と
に影響されるが、同期電動機100はほぼ安定に動作す
る)。
【0210】しかし、トルク指令であるq軸電流の指令
値iq *が小さくなると、リラクタンストルク分のd軸電
流の指令値id *が小さくなる。その結果、総合d軸電流
の指令値id *が小さくなる。そこで、弱め界磁領域で、
q *が大きい所から減少してゆき回生に急激に変化する
場合に制動トルクの許容値が小さいと制動トルク許容値
をオーバーする恐れがある。そのため、q軸電流の指令
値iq *が、急激に小さくなる場合、q軸電流の指令値i
q *に連動して、d軸電流の指令値id *が急激に減少する
のを抑える。すなわち、リラクタンストルク分のd軸電
流の指令値id *は減少せず、弱め界磁分のd軸電流の指
令値id *のみ減少するように、制御装置に動作させる。
このことによって、総合d軸電流の指令値id *が急激に
減少することを避けることができる。また、同期電動機
100を安全に動作させる許容値内で、制動トルクが発
生する。
【0211】また、リラクタンストルクを利用できるロ
ータ構造において、力行回生判断手段420が回生を出
力している場合を考える。例えば、弱め界磁分のd軸電
流が同期電動機100に供給されている場合は、d軸電
流によって、リラクタンス制動トルクが発生する。そこ
で、一定の制動トルクを同期電動機100に与えたい場
合は、リラクタンス制動トルクを得るために新たにd軸
電流として使用される量だけ、q軸電流の量を少なく
(q軸電流の振幅を小さく)与えることによって一定の
制動トルクが得られ、安定した運転が実現する。
【0212】第5の実施例 本発明の第5の実施例について図面を参照しながら説明
する。
【0213】本発明の第5の実施例は、制動トルクによ
って発生する回生電流を多く得ることができ、高効率化
が可能な永久磁石同期電動機100の制御装置である。
【0214】図11は、本発明の第5の実施例の構成を
示すブロック図である。第5の実施例は、第4の実施例
に速度検出手段254を付加し、変化割合出力手段42
2、電流検出手段102、誤差出力手段104、判断値
出力手段106、基準出力手段108を削除したもので
ある。また、第5の実施例のq軸電流指令手段530
は、第4の実施例のq軸電流指令手段130と異なる。
【0215】以上のように構成された永久磁石同期電動
機100の制御装置についてその動作を説明する。第5
の実施例では、フィードバック制御を行わず、d軸電流
d *、q軸電流iq *をテーブル等で与えることによっ
て、同期電動機100が制御される。
【0216】すでに述べた実施例と異なる所は、d軸電
流指令手段510がq軸電流指令手段530から出力さ
れるq軸電流の指令値iq *および速度検出手段254か
ら出力される回転数に基づいてd軸電流の指令値id *
テーブルや演算式で与えることである。
【0217】ここで、力行回生判断手段420が、回生
を出力し、弱め界磁を発生させない場合、d軸電流の指
令値を零にし、あるいは力行のd軸電流の指令値の符号
とは、逆の符号でd軸電流の指令値を出力する。第5の
実施例は、リラクタンストルクを利用できる構造の同期
電動機の場合に有効である。なぜなら、(数13)から
明らかなように回生の場合、iq<0、id<0とする
と、第1項のマグネットトルクは制動トルクとして働
く。しかし、リラクタンストルクは力行に働くこととな
る。その結果、総合制動トルクが小さくなり、制動トル
クに対する回生電流を多くすることができる。
【0218】なお、第5の実施例では、フィードバック
制御を用いていないが、上述した制御は、フィードバッ
ク制御においても適用できることは言うまでもない。す
なわち、判断値出力手段が出力する値が負の場合、弱め
界磁領域でないとみなし、同様にd軸電流の指令値を零
にし、あるいは力行のd軸電流の指令値の符号とは、逆
の符号でd軸電流の指令値を出力する。
【0219】判断値出力手段が出力する値が正の場合、
制動トルクを制御するために、id>0とすることはす
でに述べた通りである。
【0220】第6の実施例 次に、本発明の第6の実施例について、図面を参照しな
がら説明する。本発明の第6の実施例は、同期電動機1
00に供給される電圧を測定し、その電圧をもとにd軸
電流の指令値の最大値を決定し、高効率化が可能な永久
磁石同期電動機100の制御装置である。
【0221】図12は、本実施例電動機の制御装置の構
成を示すブロック図である。第6の実施例は、第1の実
施例に電圧測定手段640とd軸電流最大値出力手段6
42を付加したものである。付加した手段を除く手段
は、第1の実施例で述べたものと同様である。そこで、
同様の動作を行うものについては説明を省略する。図1
2に示される第6の実施例の動作を以下に説明する。
【0222】同期電動機100に供給される電圧Vを電
圧測定手段640によって測定し、出力する。そして、
電圧Vはd軸電流最大値出力手段642に入力される。
d軸電流最大値出力手段642では電圧Vからd軸電流
最大値id *maxを演算し、出力する(id *maxは、後述す
る(数18)等で計算される)。なお、図4に示すイン
バータの端子aと端子bとの間の電圧を測定しても、電
圧Vは得られる。
【0223】そして、d軸電流最大値id *maxはd軸電
流指令手段110に入力され、(数6)の演算をすると
きに用いられる。
【0224】以降の動作は、第1の実施例と同様であり
省略する。
【0225】以上のように、同期電動機100に供給さ
れる電圧によって、d軸電流の指令値の最大値を変化さ
せることができる。このことによって、最適な総電流を
生成するためのd軸電流を与えることができる。
【0226】バッテリなどの電源を使っている場合、放
電が進むにつれ端子電圧が下がっていく。そのため、同
期電動機100に供給される電圧は小さくなり、同期電
動機100に流すことができる総電流は小さくなる。こ
こで、d軸電流の最大値が一定の場合、総電流に対する
d軸電流の割合は大きくなり、d軸電流を流し過ぎてい
る。第1の実施例を説明するところで述べたように、d
軸電流は必要最小限で流れればよく、d軸電流を流し過
ぎていることは効率の悪化を示している。同期電動機1
00に供給される電圧が小さくなればなるほど、d軸電
流の指令値の最大値を小さくすればよい。
【0227】具体的には(数18)のように演算を行
う。
【0228】
【数18】
【0229】ここで、Kbatteryは定数である。なお、
d *maxが電圧Vに関する他の関数やテーブルで与えて
もよいことは言うまでもない。
【0230】また、同期電動機に印加される電圧が小さ
くなると、d軸電流の指令値の最大値が小さくなる。こ
のことによって、最適な総電流を生成するためのd軸電
流を与えることができ、効率の悪化を防ぐという効果が
ある。
【0231】上述した構成を、実施例5で述べたフィー
ドバックを用いない構成に適用してもよい。この場合、
同様に効率の悪化を防ぐという効果がある。
【0232】第7の実施例 次に、本発明の第7の実施例について、図面を参照しな
がら説明する。第7の実施例は、運転状況を決定しそれ
に応じた基準を設定することで、様々な運転状況の実現
が可能である。
【0233】図13は、第7の実施例の構成を示すブロ
ック図である。第7の実施例は、第1の実指例に運転状
況決定手段750を付加したものである。第1の実施例
の基準出力手段108は、第7の実施例の基準出力手段
708とは異なる。第1の実施例と同じ構成には、同じ
番号を付し、動作の説明を省略する。
【0234】図13に示される第7の実施例の動作につ
いて説明する。まず、基準値、d軸電流の指令値、運転
状況の関係を説明する。基準値を変化させるとd軸電流
の指令値が変化する。なぜなら、基準値が大きいという
ことは大きな飽和度(電流誤差)を許すということであ
り、十分なd軸電流が同期電動機100に流れていなく
てもよいということである。したがって、基準値が大き
いとd軸電流の指令値は小さくなる。このことは(数
6)の性質からも明らかである。反対に、基準値が小さ
いとd軸電流の指令値は大きくなる。このように基準値
を変化させることにより、d軸電流の指令値を制御する
ことができる。
【0235】ここで、トルクが必要なときは、効率は落
ちるがトルク重視の運転状況を選択し、その運転状況に
見合った基準値を与える。この基準値に基づいて、d軸
電流の指令値を生成し、必要なトルクが実現される。一
方、通常運転においては高効率な効率重視の運転状況を
選択し、その運転状況に見合った基準値を与える。この
基準値に基づいて、d軸電流の指令値を生成し、高効率
が実現される。以上の考え方に基づき同期電動機100
の制御が行われる。
【0236】運転状況決定手段750は、運転状況とし
て、効率重視の運転状況およびトルク重視の運転状況の
2つのうち1つを出力する。例えば、この運転状況の設
定は外部スイッチで容易に切換可能である。そして、運
転状況は、基準出力手段708に入力される。基準出力
手段708は、運転状況に応じて基準値を決定する。具
体的には、理論式や実験によりテーブルが予め作成され
る。そのテーブルによりそれぞれの運転状況とそれぞれ
の基準値を対応させる。そして、対応した基準値が出力
され判断値出力手段106に入力される。
【0237】以降の動作は、第1の実施例と同様であり
説明を省略する。
【0238】このように、普段は同期電動機100が高
効率で運転され、トルクが必要なときだけトルク重視の
運転状況が選択され、必要トルクが出力される。
【0239】なお、運転状況決定手段750は、2つの
運転状況しか出力し得なかったが、2つ以上の運転状況
のうちから1つの運転状況を出力してもよいことは言う
までもない。
【0240】次に、運転状況決定手段が、予め設定され
た合成電流値の最大値以上の指令を与える場合にトルク
重視と判断すると、基準出力手段は効率重視の場合より
小さい基準値を出力する。これにより、総合電流指令値
の値によって自動的にトルク重視と効率重視設定との切
換が可能となる。なお、図14では、トルク重視の領域
および効率重視の領域が、弱め界磁制御を行ったときに
発生する領域である。また、通常領域とは、図14の斜
線で示した領域である。
【0241】なお、合成電流ではなく、トルク電流また
はトルク電流と回転数との2つの信号を用いてトルク重
視と効率重視設定を自動的に切り換えても同様の効果を
有することは言うまでもない。
【0242】すでに述べたように、効率は、d軸電流i
dが多くなるほど悪くなる。そこで、効率重視運転が、
外部スイッチ等によって指令された場合は、下記1〜3
の対応が考えられる。
【0243】1.合成電流の最大値を小さくする。
【0244】2.同期電動機100の最大回転数を低く
する。
【0245】3.iqに対するidの比率(電流位相の進
み角)の最大値を小さくする。すなわちトルク重視に比
べidの最大値を小さく抑えることで効率化が図れるこ
ととなる。
【0246】上記1〜3の各々の非突極電動機の動作範
囲を図15(a)〜(c)に示す(図15は、トルクと回転数
との関係を示している)。図15(a)〜(c)に示すよう
に、同期電動機100がトルク重視または効率重視で制
御されてもよい。
【0247】なお、上記構成は、実施例5で述べたフィ
ードバックを用いない構成にも適用できることはいうま
でもない。
【0248】第8の実施例 次に、本発明の第8の実施例について説明する。第8の
実施例は、d軸電流の判断値とq軸電流の基準値を別々
に設定したものであり、d軸電流の整定値とq軸電流の
整定値を別々に制御することが可能である。
【0249】図16は、第8の実施例の構成を示すブロ
ック図である。第8の実施例は、第1の実施例から判断
値出力手段106と基準出力手段108を削除し、d軸
判断値出力手段806、q軸判断値出力手段807、d
軸基準出力手段808、q軸基準出力手段809、およ
びq軸電流変更手段831を付加したものである。第8
の実施例のd軸電流指令手段810およびq軸電流指令
手段830は、第1の実施例のd軸電流指令手段110
およびq軸電流指令手段130と異なる。
【0250】第1の実施例と同じ構成には同じ番号を付
し、動作の説明は省略する。
【0251】第8の実施例の動作について以下に説明す
る。
【0252】飽和度出力手段104では、実際の電流指
令値i*(t)から検出電流値i(t)を減算した電流
誤差e(t)が積分され、出力される。積分された値
は、d軸判断値出力手段806とq軸判断値出力手段8
07に入力される。d軸判断値出力手段806は、(数
19)に示すように電流誤差e(t)の積分値からd軸
基準出力手段808に設定された基準erefdが減算され
る。d軸判断値出力手段806は、減算された結果であ
る判断値Handを出力する。
【0253】また同様に、q軸判断値出力手段807は
(数19)に示すように、電流誤差e(t)の積分値か
ら、q軸基準出力手段809に設定された基準erefq
減算する。q軸判断値出力手段807は、減算された結
果である判断値Hanqを出力する。
【0254】
【数19】
【0255】なお、第1の実施例と同様に、誤差の半周
期T/2を用いた(数20)や、速度ωを用いた(数2
1)の演算によって基準erefd、erefqを求め出力す
る。
【0256】
【数20】
【0257】
【数21】
【0258】以下、第1の実施例と同様に、d軸電流指
令手段810によって、d軸電流の指令値が決定され
る。ただし、(数6)におけるHanは、第8の実施例の
場合Handと置き換える。
【0259】ところで、非突極性モータの場合は、一般
的にd軸電流idが少ないほど効率が良い。そこで最大
特性は少し抑えられるが効率の低下を防ぐため、d軸電
流値の上限値を最大電流値の2分の1程度に抑えている
場合がある。このような場合、d軸電流が小さく抑えら
れるため、指令されたq軸電流を流すことはできない。
そこで、q軸電流の指令値を以下のように決定すればよ
い。
【0260】q軸電流指令手段830は、(数8)の演
算等によって与えられるq軸電流の指令値iq *_oを出力
し、q軸電流変更手段831に入力する。(数22)に
示すように、q軸判断値出力手段807から出力される
判断値Hanqが正であり、d軸電流の指令値の上限がid
*maxの場合は、q軸電流変更手段831が、d軸電流変
更と同様の演算によって、実際に与えるq軸電流の指令
値iq *を前回のq軸電流の指令値から減少させる。判断
値が負であり、d軸電流の指令値が上限id *maxであ
り、かつ変更指令値iq *(i)がiq *_o以下である場合、
q軸電流変更手段831が、q軸電流の指令値を増加す
ることによって、q軸電流の指令値iq *を実際に同期電
動機100に供給することが可能な電流値として与える
ことができる。
【0261】また、上記の条件に合わない場合は、q軸
電流変更手段831は、iq *_oを変更せずに、q軸電流
の指令値として電流指令手段136に出力する。
【0262】
【数22】
【0263】ここでq軸電流の指令値iq *(i)およびiq
*(i-1)は、今回と前回とのq軸電流iqの指令値を表
す。
【0264】次に、2つの基準値を変化させ電流の指令
値が制御されることによって以下の効果が生じる。ここ
で、d軸電流の基準値とq軸電流の基準値とが同じであ
ると、d軸電流の指令値とq軸電流の指令値とを別々に
制御することはできない。しかし、d軸電流の基準値と
q軸電流の基準値を別々に与えることによって、d軸電
流の判断値とq軸電流の判断値とをそれぞれ出力するこ
とができる。従って、第8の実施例では、d軸電流の指
令値とq軸電流の指令値とを別々に制御することができ
る。
【0265】次に、必要なd軸電流がid *maxよりも少
しだけ大きく、(数6)によりd軸電流が大きくなりつ
つある状態を考える。d軸電流id *が小さいため電流誤
差が大きく、d軸判断値が正であるために、(数6)に
よりd軸電流id *が大きくなっていく傾向にある。やが
て、d軸電流の指令値id *は、id *maxに達する。
【0266】もし、d軸電流の基準値とq軸電流の基準
値が同じであるなら、d軸電流の判断値とq軸電流の判
断値は同じになる。q軸判断値が正であるため、(数2
2)によってq軸電流の指令値iq *は減少する。そし
て、q軸電流の指令値iq *が少しだけ小さな値になった
ところで整定する。もし、この制御系にノイズがはいる
などして電流誤差が小さくなると、q軸電流の指令値i
q *が増加し、iq*_oよりも大きくなる。一方、d軸電流
の指令値id *は減少する。このように、ノイズが本発明
の制御装置に加わった結果、d軸電流の指令値id *の制
御とq軸電流の指令値iq *の制御を繰り返し行うように
なる。
【0267】また、電流誤差が大きいため、(数22)
に従い、d軸電流の指令値id *が小さくなる。この結
果、電流誤差が小さくなり、(数22)に従いq軸電流
の指令値iq *が大きくなる。q軸電流の指令値iq *がi
q *_oよりも大きくなるため、q軸電流の指令値iq *がi
q *_oに設定される。一方、(数6)によって、d軸電流
の指令値id *は小さくなる。その結果、電流誤差が再び
大きくなるというようにd軸電流の指令値id *の制御と
q軸電流の指令値iq *がの制御を繰り返し行うようなこ
ともある。
【0268】そこで、d軸電流の基準値がq軸電流の基
準値よりも小さく、前段落と同じ状態、つまり、必要な
d軸電流がid *maxよりも少しだけ大きく、(数6)に
よりd軸電流が大きくなりつつある状態を考える。d軸
判断値が正であるために、(数7)によりid *が大きく
なっていく。やがて、d軸電流の指令値id *は、id *ma
xに達する。ここで、d軸電流の基準値が、q軸電流の
基準値よりも小さいため、q軸判断値は負になる。その
ため、q軸電流の指令値iq *は増加しようとする。しか
し、q軸電流の指令値iq *がiq *_oよりも大きくなるた
め、結局、q軸電流の指令値iq *はiq*_oに保たれる。
【0269】上述したように、ノイズによって多少電流
誤差が変動しても、q軸電流の指令値iq *は変化しな
い。よって、d軸電流の指令値id *の制御とq軸電流の
指令値iq *の制御を繰り返し行うことがなくなる。
【0270】このようにd軸電流の基準値をq軸電流の
基準値よりも小さくすると、いわゆる遊びと同じ効果も
持ち、安定した制御ができることとなる。
【0271】第9の実施例 次に、本発明の第9の実施例について図面を参照しなが
ら説明する。第9の実施例は、上述した制御装置に異常
が生じた場合にも同期電動機の駆動が可能な制御装置で
ある。
【0272】図17は、第9の実施例のブロック図を示
している。
【0273】第9の実施例は、第1の実施例に速度検出
手段、第1のd軸電流指令手段910、第2のd軸電流
指令手段911、異常検出手段960、d軸電流選択手
段962を付加し、d軸電流指令手段110を削除した
ものである。第1の実施例と同様の構成要素には、同じ
番号を付し、その動作の説明については省略する。
【0274】まず、第1のd軸電流指令手段910は、
第1の実施例で述べたd軸電流指令手段110と同様の
動作を行ってd軸電流の指令値を出力する。また、第2
のd軸電流指令手段911は、第5の実施例で述べたd
軸電流指令手段510と同様の動作を行ってd軸電流の
指令値を出力する。このように、第9の実施例は、2つ
のd軸電流指令手段を有している。異常検出手段910
は、回路や動作の異常及びその異常箇所を検出する。C
PU動作が異常の場合は、同期電動機100が固定され
た電流位相で動作させる(図では示してないが、一般に
は、モータの位置検出信号に同期させることで容易に固
定した位相は出力可能である)。また制御を行うための
積分器回路部だけが異常である場合は、予め設定された
回転数やトルク指令電流から求められるテーブルから与
えられるd軸電流の指令値が与えられればよい(当然固
定電流位相で動作させても良い)。通常は、d軸電流選
択手段962は、フィードバック制御を行う第1のd軸
電流指令手段910から出力される前記d軸指令値を選
択する。しかし、異常検出手段960から異常が検出さ
れた場合には、d軸電流選択手段962は第2のd軸電
流指令手段911から出力される前記d軸指令値を選択
する。
【0275】なお、異常検出手段910が検出する異常
には、センサー(電流検出手段102および速度検出手
段254)の異常も含まれる。
【0276】以上により、異常が生じた場合にもd軸電
流指令が可能となり同期電動機100は継続して動作す
ることが可能となる。
【0277】なお、異常動作検出手段960を単に制御
動作の切り替え用としてスイッ等で構成し、出荷時など
で制御以外の基本動作確認を行いたい場合、テーブル制
御への切り替え手段として用いても良い。
【0278】なお、ここまで個々の実施例は個々の手段
を付加した場合について個々に述べてきた。ここで、こ
れら各々の手段を組み合わせた構成とすることによっ
て、各々の組み合わされた効果が得られることは言うま
でもない。
【0279】なお、上記実施例では、同期電動機の固定
子に電流が流れると記した。同期電動機の固定子とは、
交流電流を流したとき回転磁界を発生させる同期電動機
の巻線を意味している。たとえば、永久磁石が固定され
動かない場合は、同期電動機の固定子とは、電機子のこ
とである。
【0280】
【発明の効果】本発明によれば、少なくとも次の効果が
得られる。
【0281】d軸電流指令手段が、同期電動機の運動状
態によってd軸電流指令値を最適値に調整するので、経
時変化または環境変化等の特性変動が生じても、同期電
動機を高効率で運転させることが可能である。また、電
流初期値出力手段が、テーブル等で設定されたd軸電流
指令値の初期値を有することによって、d軸電流指令値
が目的のd軸電流指令値に収束する時間が短縮される。
更に、力行回生判断手段が、同期電動機の力行または回
生状態を検出することによって、力行および回生におい
て最適なd軸電流を与えることができる。電圧測定手段
が、同期電動機に供給される電源電圧を測定することに
よって、フィードバック制御を用いなくても、同期電動
機を制御することができる。さらに、電源がバッテリな
どから形成されている場合において、その電源の電圧が
降下しても、適正なd軸電流指令値を生成することがで
きる。
【0282】また、効率重視とトルク重視との運転状況
を決定し、各々の運転状況によって基準値を切り換える
ことにより、様々な運転が可能になる。また、d軸電流
とq軸電流とを別々に制御することができるので、d軸
電流指令値の応答性とq軸電流指令値の応答性とのそれ
ぞれをよくすることができる。
【0283】フィードバック制御を行うための回路また
はシステムに異常が生じた場合であっても、第2のd軸
電流指令手段が予め定められた値に基づいてd軸電流を
指令するので、同期電動機を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の永久磁石同期電動機の制御装置の第1
の実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)から(c)は、力行時における弱め界磁制御の
説明のためのベクトル図である。
【図3】(a)は、比例積分器示す図であり、(b)および
(c)は、前記比例積分器に入力される相電流指令値およ
び実際の相電流を示す図である。
【図4】電流印加手段の詳細図である。
【図5】飽和している場合としていない場合のPWM信
号を示す図である。
【図6】(a)および(b)は、非突極電動機ロータおよび逆
突極電動機ロータの図である。
【図7】本発明の第2の実施例の制御装置の構成を示す
ブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施例の制御装置の構成を示す
ブロック図である。
【図9】(a)から(c)は、回生時における弱め界磁制御の
説明のためのベクトル図である。
【図10】本発明の第4の実施例の制御装置の構成を示
すブロック図である。
【図11】本発明の第5の実施例の制御装置の構成を示
すブロック図である。
【図12】本発明の第6の実施例の制御装置の構成を示
すブロック図である。
【図13】本発明の第7の実施例の制御装置の構成を示
すブロック図である。
【図14】弱め界磁領域における効率重視設定とトルク
重視設定の自動切り換えの領域を示す図である。
【図15】(a)から(c)は、効率重視設定とトルク重視設
定の自動切り換えの動作範囲図である。
【図16】本発明の第8の実施例の制御装置の構成を示
すブロック図である。
【図17】本発明の第9の実施例の制御装置の構成を示
すブロック図である。
【符号の説明】
100 同期電動機 102 電流検出手段 104 飽和度出力手段 106 判断値出力手段 108、208、708 基準出力手段 110、210、310、510、810 d軸電流指
令手段 130、230、530、830 q軸電流指令手段 136 電流指令手段 138 入力印加手段 250 変更タイミング出力手段 252 d軸電流変更手段 254 速度検出手段 256 d軸電流更新手段 340 電流初期値出力手段 370 q軸電流変化量手段 420 力行回生判断手段 422 変化割合出力手段 640 電圧測定手段 642 d軸電流最大値出力手段 750 運転状況決定手段 806 d軸判断値出力手段 807 q軸判断値出力手段 808 d軸基準出力手段 809 q軸基準出力手段 831 q軸電流変更手段 910 第1のd軸電流指令手段 911 第2のd軸電流指令手段 960 異常検出手段 962 d軸電流選択手段
フロントページの続き (72)発明者 玉木 悟史 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直軸固定子電流であるd軸電流の指令値
    と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算さ
    れた固定子の各相電流指令値を出力する電流指令手段
    と、 該各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する入力印
    加手段と、 該入力印加手段が該各相に電流をさらに供給できる割合
    を示す飽和度を生成する飽和度出力手段と、 飽和度の基準値を出力する基準出力手段と、 該飽和度から該飽和度の基準値を減算した判断値を計算
    する判断値出力手段と、 該判断値が正の場合、電流位相を進め、該判断値が零に
    なるように該d軸電流の指令値を増加させ、該判断値が
    負の場合、該d軸電流の指令値を減少し、減少したd軸
    電流の指令値が設定された最小値を越えて減少したと
    き、該d軸電流の指令値を該最小値に保持するd軸電流
    指令手段と、 該q軸電流の指令値を与えるq軸電流指令手段と、 を備える永久磁石同期電動機の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記飽和度出力手段が、前記少なくとも
    1つの固定子の相電流指令値と、前記永久磁石同期電動
    機の相電流の値との差に基づいて前記飽和度を生成す
    る、請求項1記載の永久磁石同期電動機の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記飽和度出力手段が、前記q軸電流の
    指令値と、該永久磁石同期電動機の固定子に流れるq軸
    電流の値との差を積分した値に基づいて前記飽和度を生
    成する、請求項1記載の永久磁石同期電動機の制御装
    置。
  4. 【請求項4】 前記飽和度出力手段が、前記差を積分す
    るための積分器を備え、該積分器が前記積分する割合を
    調整するために、前記制御装置に変更可能な素子を有す
    る、請求項3記載の永久磁石同期電動機の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記飽和度出力手段が、少なくとも1つ
    の電流指令値に基づいて演算したトルク指令値と、前記
    永久磁石同期電動機の実際のトルクとの差に基づいて、
    前記飽和度を生成する、請求項1記載の永久磁石同期電
    動機の制御装置。
  6. 【請求項6】 前記飽和度出力手段が、少なくとも1相
    の電流指令値を積算演算した値と、前記永久磁石同期電
    動機の固定子に流れる、該相電流指令値を積算演算した
    値との差に基づいて前記飽和度を生成する、請求項1記
    載の永久磁石同期電動機の制御装置。
  7. 【請求項7】 前記判断値が正である場合、前記d軸電
    流指令手段が前記d軸電流の指令値を増加させ、該増加
    させたd軸電流の指令値が予め設定された最大値より大
    きいとき、該d軸電流指令手段が該d軸電流の指令値を
    該予め設定された最大値に設定し、 該判断値が負である場合、該d軸電流指令手段が該d軸
    電流の指令値を減少させ、該減少させたd軸電流の指令
    値が予め設定されたd軸最小値より小さいとき、該d軸
    電流指令手段が該d軸電流の指令値を該予め設定された
    最小値に設定する、請求項1記載の永久磁石同期電動機
    の制御装置。
  8. 【請求項8】 前記d軸電流指令手段が、前記判断値が
    正である場合、前記d軸電流の指令値を増加させ、該判
    断値が負である場合、該d軸電流の指令値を減少させ、
    該減少させた該d軸電流の指令値が予め設定されたd軸
    最小値より小さいとき、該d軸電流の指令値を該予め設
    定された最小値に設定し、 前記q軸電流指令手段が、該d軸電流の指令値と該q軸
    電流の指令値とをベクトル加算した合成電流値の予め設
    定された最大値から該d軸電流の指令値をベクトル減算
    した値および前記q軸電流の指令値のうち小さい値を該
    q軸電流の指令値にする、請求項1記載の永久磁石同期
    電動機の制御装置。
  9. 【請求項9】 前記制御装置が、前記永久磁石同期電動
    機の回転速度を検出する速度検出手段と、 ある一定期間の間、前記d軸電流の指令値が一定範囲内
    の値であり、該回転速度が一定範囲内の値である場合、
    強制的に該d軸電流の指令値を変更するタイミングを出
    力する変更タイミング出力手段と、 変更タイミングが出力された場合、該d軸電流の指令値
    と前記q軸電流の指令値とを合成した合成電流指令値を
    一定の値に保持し、該d軸電流の指令値を変更するd軸
    電流変更手段と、 該d軸電流変更手段が該d軸電流の指令値を変更させた
    後、該回転速度が該d軸電流の指令値を変更する前の回
    転速度より増加した場合、該d軸電流の指令値を変更し
    た後の該d軸電流指令値を用いる動作と、該回転速度が
    減少する場合、該d軸電流の指令値を変更する前の該d
    軸電流指令値を用いる動作とを、該変更タイミング出力
    手段が許可する期間の間繰り返し行い、該d軸電流の指
    令値を更新するd軸電流更新手段と、をさらに備え、 該d軸電流更新手段が該d軸電流の指令値を変更し、か
    つ前記判断値が正である場合、該d軸電流更新手段が、
    前記基準出力手段の該基準値を新たに演算した基準値に
    変更し、 該d軸電流更新手段が該d軸電流の指令値を変更し、か
    つ該判断値が負である場合、該d軸電流更新手段が、d
    軸電流の指令手段に該d軸電流更新手段から出力される
    値に基づき、予め設定されたd軸電流の最小値、また
    は、d軸電流の指令値を演算する式の係数を設定する、
    請求項1記載の永久磁石同期電動機の制御装置。
  10. 【請求項10】 q軸電流の指令値が予め設定した値以
    上に大きく変化した場合、該q軸電流指令値から求めら
    れたd軸の電流の初期指令値を出力する電流初期値出力
    手段をさらに備える、請求項1記載の永久磁石同期電動
    機の制御装置。
  11. 【請求項11】 前記制御装置は、前記d軸電流の指令
    値の変化する割合を決定し出力する変化割合出力手段を
    さらに備え、 該変化割合出力手段が、予め決められた一定の変化割合
    または前記判断値と該d軸電流の指令値から演算した変
    化割合を出力し、 前記d軸電流指令手段が、該判断値が正の場合、該d軸
    電流の指令値を該変化割合に基づいて増加させ、該d軸
    電流の指令値が予め設定された最大値を越えて増加した
    ときは、該d軸電流の指令値を該予め設定された最大値
    に保持し、 該判断値が負の場合、該d軸電流の指令値を該変化割合
    に基づいて減少させ、該d軸電流の指令値が予め設定さ
    れた最小値を越えて減少したときは、該d軸電流の指令
    値を該予め設定された最小値に保持する、請求項1記載
    の永久磁石同期電動機の制御装置。
  12. 【請求項12】 前記判断値が正の場合の前記変化割合
    が、該判断値が負の場合の変化割合よりも大きい、請求
    項11記載の永久磁石同期電動機の制御装置。
  13. 【請求項13】 前記変化割合出力手段が、少なくとも
    2つ以上の変化割合を有し、該少なくとも2つ以上の変
    化割合が選択できる、請求項11記載の永久磁石同期電
    動機の制御装置。
  14. 【請求項14】 前記制御装置は、前記永久磁石同期電
    動機の動作が、力行の状態であるか、または回生の状態
    であるかを判断する力行回生判断手段をさらに備え、 前記変化割合出力手段が、該判断された状態に基づきd
    軸電流の指令値を変化させる割合を決定する、請求項1
    1記載の永久磁石同期電動機の制御装置。
  15. 【請求項15】 前記力行の状態で前記d軸電流の指令
    値を変化させる割合が、前記回生の状態で該d軸電流の
    指令値を変化させる割合より小さい、請求項14記載の
    永久磁石同期電動機の制御装置。
  16. 【請求項16】 前記基準出力手段が、前記力行回生判
    断手段の出力に基づき基準値を変化させる、請求項14
    記載の永久磁石同期電動機の制御装置。
  17. 【請求項17】 前記d軸電流指令手段が、前記判断値
    が正の場合、前記d軸電流の指令値を前記変化割合に基
    づいて増加させ、設定された最大値を越えて該d軸電流
    の指令値が増加したとき、該d軸電流の指令値に該設定
    された最大値を保持させ、 該判断値が負の場合、該d軸電流の指令値を該変化割合
    に基づいて減少させ、設定された最小値を越えて該d軸
    電流の指令値が減少したとき、該d軸電流の指令値に該
    最小値を保持させ、 前記力行回生判断手段が、力行または回生の運転状態の
    変化を示す信号を生成し、前記永久磁石同期電動機の回
    転速度および前記q軸電流の指令値の少なくとも1つに
    基づき、前記d軸電流の指令値を前回のd軸電流の指令
    値から変化させる、請求項14記載の永久磁石同期電動
    機の制御装置。
  18. 【請求項18】 前記d軸電流指令手段が、前記永久磁
    石同期電動機の制動トルクの許容値が予め決められた値
    より小さい場合、トルク指令値の減少に応じて生じるリ
    ラクタンストルクを発生させるd軸電流の減少を抑える
    ために、前記d軸電流の指令値を急激に減少させない、
    請求項14記載の永久磁石同期電動機の制御装置。
  19. 【請求項19】 直軸固定子電流であるd軸電流の指令
    値と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値から求めら
    れた固定子の各相電流の指令値を出力する電流指令手段
    と、 該各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する入力印
    加手段と、 永久磁石同期電動機の動作が力行であるのか、あるいは
    該永久磁石同期電動機の動作が回生であるのかの状態を
    判断する力行回生判断手段と、 該力行回生判断手段が該状態を回生であると判断し、か
    つ該永久磁石同期電動機の回転数およびトルクが弱め界
    磁領域に属していない場合、該永久磁石同期電動機に零
    以上の力行のリラクタンストルクを発生させるために該
    d軸電流の指令値を出力するd軸電流指令手段と、 該q軸電流の指令値を与えるq軸電流指令手段と、 を備える永久磁石同期電動機の制御装置。
  20. 【請求項20】 直軸固定子電流であるd軸電流の指令
    値と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算
    された固定子の各相電流指令値を出力する電流指令手段
    と、 該各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する入力印
    加手段と、 永久磁石同期電動機の動作が力行であるのか、あるいは
    該永久磁石同期電動機の動作が回生であるのかの状態を
    判断する力行回生判断手段と、 該力行回生判断手段が該状態を回生であると判断した場
    合、該d軸電流の指令値を与えるd軸電流指令手段と、 該d軸電流指令が零でない場合、リラクタンストルクが
    発生する分、該d軸電流の指令値の増加に応じて該q軸
    電流の指令値を小さくするq軸電流指令手段と、 を備える永久磁石同期電動機の制御装置。
  21. 【請求項21】 直軸固定子電流であるd軸電流の指令
    値と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算
    された固定子の各相電流指令値を出力する電流指令手段
    と、 該各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する入力印
    加手段と、 該入力印加手段が該各相に電流をさらに供給できる割合
    を示す飽和度を生成する飽和度出力手段と、 飽和度の基準値を出力する基準出力手段と、 該飽和度から該飽和度の基準値を減算した判断値を出力
    する判断値出力手段と、 インバータに印可される電圧を測定し、測定した電圧値
    を出力する電圧測定手段と、 該測定した電圧値に基づき該d軸電流の指令値の最大値
    を出力するd軸電流最大値出力手段と、 該判断値が正の場合、該d軸電流の指令値を増加し、増
    加したd軸電流の指令値が該d軸電流最大値を越えて増
    加したとき、該d軸電流の指令値を該d軸電流最大値に
    保持し、 該判断値が負の場合、該d軸電流の指令値を減少し、減
    少したd軸電流の指令値が設定された最小値を越えて減
    少したとき、該d軸電流の指令値を該最小値に保持する
    d軸電流指令手段と、 該q軸電流の指令値を与えるq軸電流指令手段と、 を備える永久磁石同期電動機の制御装置。
  22. 【請求項22】 前記d軸電流最大値出力手段が、前記
    測定した電圧値が減少すれば、前記d軸電流の指令値の
    最大値を減少させる、請求項21記載の永久磁石同期電
    動機の制御装置。
  23. 【請求項23】 直軸固定子電流であるd軸電流の指令
    値と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算
    された固定子の各相電流指令値を出力する電流指令手段
    と、 該各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する入力印
    加手段と、 永久磁石同期電動機に印可される電圧を測定し、測定し
    た電圧値を出力する電圧測定手段と、 該測定した電圧値が減少すれば、該d軸電流の指令値の
    最大値を減少させるd軸電流指令手段と、 該q軸電流の指令値を与えるq軸電流指令手段と、 を備える永久磁石同期電動機の制御装置。
  24. 【請求項24】 直軸固定子電流であるd軸電流の指令
    値と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算
    された固定子の各相電流の指令値を出力する電流指令手
    段と、 該各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する入力印
    加手段と、 該入力印加手段が該各相に電流をさらに供給できる割合
    を示す飽和度を生成する飽和度出力手段と、 効率重視の運転状況およびトルク重視の運転状況のうち
    1つの該運転状況を出力する運転状況決定手段と、 飽和度の基準値を該運転状況に基づき出力する基準出力
    手段と、 該飽和度から該飽和度の基準値を減算した判断値を出力
    する判断値出力手段と、 該d軸電流の指令値が、該判断値が正の場合、電流位相
    を進め、該判断値が零になるよう該d軸電流の指令値を
    増加させるd軸電流指令手段と、 該q軸電流の指令値を与えるq軸電流指令手段と、 を備える永久磁石同期電動機の制御装置。
  25. 【請求項25】 前記運転状況決定手段が効率重視を出
    力する場合の基準値が、該運転状況決定手段がトルク重
    視を出力する場合の基準値より大きい、請求項24記載
    の永久磁石同期電動機の制御装置。
  26. 【請求項26】 前記基準出力手段は、前記永久磁石同
    期電動機の回転数および電流の少なくとも一つがそれぞ
    れ予め設定された値を越えた場合、運転状況決定手段が
    前記トルク重視と判断し、前記効率重視の場合の基準値
    よりも小さい基準値を出力する、請求項24記載の永久
    磁石同期電動機の制御装置。
  27. 【請求項27】 直軸固定子電流であるd軸電流の指令
    値と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算
    された固定子の各相電流の指令値を出力する電流指令手
    段と、 該各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する入力印
    加手段と、 効率重視の運転状況およびトルク重視の運転状況のうち
    1つの該運転状況を出力する運転状況決定手段と、 該効率重視を出力する場合のd軸電流の指令値が、該ト
    ルク重視を出力する場合のd軸電流の指令値より小さ
    い、該d軸電流の指令値を与えるd軸電流指令手段と、 該q軸電流の指令値を与えるq軸電流指令手段と、 を備える永久磁石同期電動機の制御装置。
  28. 【請求項28】 直軸固定子電流であるd軸電流の指令
    値と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算
    された固定子の各相電流指令値を出力する電流指令手段
    と、 該各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する入力印
    加手段と、 該入力印加手段が該各相に電流をさらに供給できる割合
    を示す飽和度を生成する飽和度出力手段と、 飽和度の基準値を出力する基準出力手段と、 基準値を出力する基準出力手段と、 該飽和度に応じてd軸の基準値を出力するd軸基準出力
    手段と、 該飽和度に応じてq軸の基準値を出力するq軸基準出力
    手段と、 該飽和度から該d軸の基準値を減算した値に基づいて、
    d軸の判断値を出力するd軸判断値出力手段と、 該飽和度の処理値から該q軸基準値を減算した値に基づ
    いて、q軸の判断値を出力するq軸判断値出力手段と、 該d軸判断値が正の場合、該d軸電流の指令値を増加さ
    せ、増加させた該d軸電流の指令値が設定された最大値
    を越えて増加したとき、該d軸電流の指令値を該設定さ
    れた最大値に保持し、該d軸判断値が負の場合、該d軸
    電流の指令値を減少させ、該減少させたd軸電流の指令
    値が設定された最小値を越えて減少したとき、該d軸電
    流の指令値を該設定された最小値に保持するd軸電流指
    令手段と、 該q軸電流の指令値を与えるq軸電流指令手段と、 該q軸判断値が正であり、かつ該d軸電流の指令値が該
    設定された最大値の場合、該q軸電流指令手段によって
    指令されたq軸電流の指令値を減少させ、該減少させた
    q軸電流の指令値をq軸電流変更指令値とし、 該q軸判断値が負であり、該d軸電流の指令値が該設定
    された最大値であり、かつ該q軸電流変更指令値が該q
    軸電流指令手段によって指令されたq軸電流の指令値以
    下の場合、該q軸電流の指令値を増加させるq軸電流指
    令変更手段と、 を備える永久磁石同期電動機の制御装置。
  29. 【請求項29】 前記d軸基準出力手段から出力される
    d軸基準値が、q軸基準出力手段から出力されるq軸基
    準値よりも小さい、請求項28記載の永久磁石同期電動
    機の制御装置。
  30. 【請求項30】 直軸固定子電流であるd軸電流の指令
    値と横軸固定子電流であるq軸電流の指令値とから演算
    された固定子の各相電流指令値を出力する電流指令手段
    と、 該各相電流指令値に基づき各相に電流を供給する入力印
    加手段と、 該入力印加手段が該各相に電流をさらに供給できる割合
    を示す飽和度を生成する飽和度出力手段と、 効率重視の運転状況およびトルク重視の運転状況のうち
    1つの該運転状況を出力する運転状況決定手段と、 飽和度の基準値を該運転状況に基づき出力する基準出力
    手段と、 該飽和度から該飽和度の基準値を減算した判断値を出力
    する判断値出力手段と、 該判断値が正の場合、電流位相を進め、判断値が零にな
    るようd軸電流指令を増加させる第1のd軸電流指令手
    段と、 回路あるいは動作の異常を検出する異常検出手段と、 予め設定されたテーブルあるいは演算式に基づいて該d
    軸電流の指令値を得る第2のd軸電流指令手段と、 該q軸電流の指令値を与えるq軸電流指令手段と、 該異常検出手段が回路あるいは動作の異常を検出しない
    場合、第1のd軸電流指令手段から出力される該d軸指
    令値を選択し、該異常検出手段が回路あるいは動作の異
    常を検出した場合、第2のd軸電流指令手段から出力さ
    れる該d軸指令値を選択するd軸電流選択手段と、 を備える永久磁石同期電動機の制御装置。
  31. 【請求項31】 前記飽和度出力手段が、少なくとも1
    相の電流と、該少なくとも1相に相当する相の電流指令
    値との差を積分した値に基づいて、前記飽和度を生成す
    る、請求項1記載の永久磁石同期電動機の制御装置。
  32. 【請求項32】 前記飽和度出力手段が、前記差を積分
    するための積分器をさらに備え、該積分器が前記積分す
    る割合を調整するために前記制御装置に変更可能な素子
    を有する、請求項31記載の永久磁石同期電動機の制御
    装置。
  33. 【請求項33】 前記判断値が正である場合、前記d軸
    電流指令手段が前記d軸電流の指令値を増加させ、該増
    加させたd軸電流の指令値が予め設定された最大値より
    大きいとき、該d軸電流指令手段が該d軸電流の指令値
    を該予め設定された最大値に設定し、 該判断値が負である場合、該d軸電流指令手段が該d軸
    電流の指令値を減少させ、前記永久磁石同期電動機の回
    転数が予め設定された回転数以下のとき、該d軸電流指
    令手段が該d軸電流の指令値を予め設定された最小値に
    設定する、請求項1記載の永久磁石同期電動機の制御装
    置。
  34. 【請求項34】 前記基準出力手段が、前記各相の電流
    指令値および前記永久磁石同期電動機の回転数の少なく
    とも1つに基づいて前記基準値を変更する、請求項1記
    載の永久磁石同期電動機の制御装置。
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