JPH08260239A - 高配向非晶性ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

高配向非晶性ポリエステル繊維およびその製造方法

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JPH08260239A
JPH08260239A JP5876795A JP5876795A JPH08260239A JP H08260239 A JPH08260239 A JP H08260239A JP 5876795 A JP5876795 A JP 5876795A JP 5876795 A JP5876795 A JP 5876795A JP H08260239 A JPH08260239 A JP H08260239A
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temperature
glass transition
birefringence
fiber
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JP5876795A
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Tatsu Taniguchi
龍 谷口
Tadashi Tanabe
忠 田辺
Katsuhiro Fujimoto
克宏 藤本
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 衣料用の高強力、高熱応力を有する高収縮性
のポリエステル繊維。 【構成】 少なくとも86モル%のポリエチレンフタレ
ートを含むポリエステル繊維であって、複屈折率が0.
07〜0.20、結晶化度0〜5%を有するポリエステ
ル繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高強度のポリエステル
繊維を安定に製造するに適した高配向非晶性ポリエステ
ル繊維およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】衣料用のポリエステル繊維は、一般に複
屈折0.03程度の未延伸繊維糸を熱延伸することで製
造されてきた。加工糸用ポリエステル繊維原糸として、
部分配向糸(POY)が汎用されている。POY原糸
は、2次加工に先立って仮より加工の際に熱延伸され
る。ポリエステル繊維を紡糸、延伸を連続して行なう方
法で製造する方法も知られているが、紡糸−延伸連続法
の延伸は専ら熱延伸に準じる条件が採用されている。5
000m/分以上の超高速紡糸で製品原糸を製造するこ
とも行われている。しかし、超高速紡糸では紡糸途上で
ネッキングが起こり、結晶に富む繊維が製造される。
【0003】一般に延伸によって高強度のポリエチレン
テレフタレート繊維を製造するためには、高倍率の熱延
伸を行って結晶間により多くのタイ分子を形成させる必
要がある。しかし、通常の未延伸糸若しくは配向度がそ
れほど高くない繊維を延伸する通常の熱延伸法では、延
伸の途中で結晶化が起こり延伸張力が高くなるので、延
伸倍率が上がりにくくなり、また非晶分子鎖が十分引き
伸ばされないうちに結晶構造が固定されてしまうために
高強度のポリエチレンテレフタレート繊維糸を製造する
ことが困難であった。また、高配向であっても結晶性を
有する繊維の熱延伸では、既に結晶構造ができてしまっ
ているために分子鎖の引き揃えが不均一になり、また延
伸張力が高くなり高倍率の延伸が困難になるために、熱
延伸によって高強度繊維を製造することが困難であっ
た。
【0004】一方、通常のポリエチレンテレフタレート
未延伸糸をガラス転移温度に近い温度で冷延伸しても、
延伸倍率の上昇に伴い配向結晶化が起るので、低結晶性
でありながら高度に配向した非晶構造を有するポリエチ
レンテレフタレート糸が得られなかった。汎用のPOY
(部分配向糸)の製造方法において、その紡糸速度を大
きくすることで高度に配向した非晶構造を有するポリエ
チレンテレフタレート繊維糸を製造しようとしても、非
晶部で高度に配向が進む前にネッキングが発生し結晶化
が起こる傾向があり、極めて低結晶性でありながら高度
に配向した非晶構造のポリエチレンテレフタレート繊維
糸を得ることが困難である。
【0005】特公昭62−162014号公報には、紡
糸過程で一度糸を冷却した後、70〜120℃の加熱帯
域で延伸する方法で、高複屈折率を有するポリエチレン
テレフタレート繊維を製造する方法が記載されている。
しかし、この製造方法では、繊維の結晶化度が5%を越
えてしまい、極めて低い結晶性と高度に配向した非晶構
造とを併せもつ構造のポリエチレンテレフタレート繊維
を得ることができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、極めて低結
晶性でありながら高度に配向した非晶構造を有するポリ
エステル繊維及びその製造方法の提供を課題とするもの
である。本発明の目的は、通常程度の重合度のポリエス
テルからでも衣料用高強度ポリエステル繊維を製造する
方法を提供することにある。本発明は、高熱応力を有す
る高熱収縮性のポリエチレンテレフタレート繊維を提供
することもその課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、極めて低結
晶性でありながら高度に配向した非晶構造を有するポリ
エステル繊維を製造するために鋭意研究を重ねた結果、
ガラス転移温度〜ガラス転移温度+40℃未満の温度条
件下での冷延伸でいったん低結晶性かつある程度の配向
度を有する糸を製造した後に(以下この延伸を冷延伸1
と称することがある)、引き続きガラス転移温度未満の
温度で冷延伸(以下この延伸を冷延伸2と称することが
ある)を行った場合に、極めて低結晶性でありながら高
度に配向した非晶構造を有するポリエステル繊維を製造
ができることを見いだした。また、よく知られた通常の
POY製造方法によって極めて低結晶性かつある程度の
配向度を有するPOYを製造した後に、引き続きガラス
転移温度未満の温度で冷延伸を行った場合に、同様にし
て極めて低結晶性でありながら高度に配向した非晶構造
を有するポリエステル繊維を製造できることも見いだし
た。
【0008】即ち、本発明は、ポリエチレンテレフタレ
ートを少なくとも85モル%含み、下記(a)(b)に
示される特性を有するポリエステル繊維である。 (a)複屈折率が0.07〜0.20 (b)結晶化度0〜5%。 本発明のポリエステル繊維は、一つにはポリエチレンテ
レフタレートを少なくとも85モル%含む複屈折率が0
〜0.04の未延伸糸をガラス転移温度以上ガラス転移
温度+50℃未満の温度条件下で1.1倍以上4倍未満
の延伸倍率で延伸を行った後に、引き続きガラス転移点
未満の温度条件下で1.1倍以上4倍未満の延伸倍率で
延伸することで製造することができる。二つには、ポリ
エチレンテレフタレートを少なくとも85モル%含むポ
リマーを2500m/分からネック点が発生し始める速
度未満の巻取速度で複屈折率0.04〜0.06の部分
配向糸を紡糸し、引き続きガラス転移温度未満の温度条
件下で1.1倍以上3倍未満の延伸倍率で延伸を行うこ
とにより製造することができる。
【0009】本発明の前記冷延伸が適用される「ポリエ
チレンテレフタレートを少なくとも85モル%含む未延
伸糸」とは、エチレンテレフタレート単位を少なくとも
85モル%以上、好ましくは90%モル以上含有するポ
リエステルから構成され実質的に分子配向していない糸
をいう。前記のポリエステルとしては、コスト、熱安定
性、染色性等より考慮して、変成されていないポリエチ
レンテレフタレートのストレートポリマーが最も好まし
いが、他のエステル形成単位を15モル%未満、好まし
くは10モル%未満添加して変性したポリエチレンテレ
フタレートであってもよい。例えば、このような少量の
他種エステル形成単位としては、ジエチレングリコー
ル、炭素数が1〜10の他のポリメチレングリコール、
ヘキサヒドロ−p−キシレングリコールなどのグリコー
ル類、イソフタル酸、ジ安息香酸、ヘキサヒドロテレフ
タル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香
族ジカルボン酸、ヒドロキシ酢酸のようなヒドロキシ酸
ならびにこれら類似のものがある。
【0010】本発明において重合体の分子量の大きさ
は、O−クロロフェノール中35℃で測定した値より算
出した固有粘度で表されるが、高強度ポリエチレンテレ
フタレート糸を製造するには固有粘度が0.50以上、
特に0.70以上の重合体であることが好ましい。ま
た、未延伸繊維における分子配向の程度は、複屈折率に
より表される。本発明方法では冷延伸1を行うにあたっ
ての未延伸繊維は、複屈折率が0.0005〜0.04
0の範囲内にある未延伸繊維を使用するとき特に好まし
い結果が得られる。
【0011】前記した本発明の独特の冷延伸に用いる未
延伸繊維は、以下の溶融紡糸法によって調製することが
できる。すなわち、紡糸口金から溶融押出しされた糸を
冷却空気中で冷却後、集束装置を経て油剤付与装置によ
るり集束及び油剤付与した後に、巻取速度200m/mi
n.〜2500m/min.でワインダーに巻取ることで調製
することができる。
【0012】本発明方法が適用されるPOY(部分配向
糸)とは、前記「ポリエチレンテレフタレートを少なく
とも85モル%含み未延伸糸」と同じポリマーを以下の
POY製造方法により製造したものである。すなわち、
紡糸口金から溶融押出しされた糸を冷却空気中で冷却
後、集束装置を経て油剤付与装置により集束及び油剤付
与した後に、巻取速度2500m/min.〜ネッキングが
発生する速度未満で巻取ることで調製することができ
る。
【0013】本発明において、冷延伸は、ホットプレー
ト、加熱ロール等の加熱手段を備えた延伸装置を用いて
実施することができる。工業的に使用されている加熱手
段を備えた延伸装置で実施するのが好ましい。延伸は、
繊維がネッキングを起こさない条件下にて行うことが肝
要である。本発明の方法では、未延伸糸は、冷延伸1に
おいては、供給ロール表面温度もしくは供給ロール−延
伸ロール間の加熱帯域の温度はガラス転移温度〜ガラス
転移温度+40℃の温度範囲、好ましくはガラス転移温
度+10℃〜ガラス転移温度+30℃の範囲内にある実
質的に一定の温度に保持される。また、延伸倍率は未延
伸糸の複屈折率によって異なるが、ある程度の配向度
(Δn≧0.04)になるような倍率以上ネッキングが
発生し始める倍率未満の延伸、具体的には1.1倍以上
4倍未満、好ましくは1.2倍以上3倍未満の一定の倍
率が選ばれる。
【0014】未延伸糸のガラス転移温度は、ポリマーの
組成、分子量等によって異なるために、ポリマーに応じ
て適正な延伸温度を選択する必要がある。例えば、固有
粘度0.73のポリエチレンテレフタレート糸(ガラス
転移温度70℃)の場合、延伸温度は70℃〜110
℃、好ましくは80℃〜100℃の範囲内である。延伸
倍率もポリマーの組成、分子量、未延伸糸の複屈折率に
よって異なるために糸によって適正な倍率を選択する必
要がある。例えば、固有粘度0.73のポリエチレンテ
レフタレート未延伸糸(複屈折率0.001)を冷延伸
する場合、80℃の加熱条件下で2倍以上4倍未満の延
伸倍率で延伸すれば、ネッキングが発生せず、複屈折率
が0.04〜0.10の中程度の配向度を有する低結晶
性の繊維を得ることができる。また、例えば複屈折率
0.01の未延伸糸の冷延伸を行う場合、80℃の加熱
条件下で1.5倍以上3.3倍未満の冷延伸で複屈折率
0.04〜0.10の中程度の配向性を有する低結晶性
の繊維を得ることができる。加熱は供給ロール表面で行
うことが好ましいが、加熱帯域は、ホットプレート、加
熱空気、加熱蒸気、加熱不活性ガス、遠赤外線ヒーター
のいずれかを使用しても、また供給ロールとは別に加熱
手段を付加して、両方で加熱しても同様の効果が得られ
る。
【0015】冷延伸1で得られる繊維は、できるだけ低
結晶性である必要があり、未延伸糸の配向度によって異
なるが、冷延伸温度をT(℃)として延伸倍率を1.1
〜(6−T/30)に保持した場合、低結晶性で適度に
配向した非晶構造を有するポリエステル繊維を得ること
ができる。また、延伸速度を速くして行った場合には、
糸が加熱帯を通過する時間が短くなるために、糸温度が
加熱帯域の温度に比べて低い温度までしか昇温しないの
で、加熱帯域の温度を高くする必要がある。延伸時の糸
温度がガラス転移点+40℃以上になるような延伸条件
では、ある程度の配向度になるような延伸倍率で延伸し
たときに配向結晶化が進み結晶が生成し易いので好まし
くない。また、延伸時の糸温度がガラス転移温度未満に
しかならないような延伸条件では、均一な細化延伸を行
うことが困難になり、糸直径や糸物性が不均一な糸にな
るので好ましくない。
【0016】冷延伸2では、供給ロールの表面温度をガ
ラス転移温度未満、好ましくは20℃〜ガラス転移温度
−10℃の範囲内にある一定の温度に保持し、冷延伸2
に供給する糸の複屈折率によって異なるが延伸倍率を
1.1倍以上4倍未満、好ましくは1.2倍以上3倍未
満の一定の倍率にして延伸を行う。例えば固有粘度0.
73、複屈折率0.04のポリエチレンテレフタレート
糸では70℃未満、好ましくは20℃〜60℃の範囲内
にある一定の温度に保持し、延伸倍率1.2倍〜3倍、
好ましくは1.4倍〜2.2倍の範囲内の一定の倍率に
て延伸を行う。冷延伸2の延伸温度をガラス転移温度以
上の温度条件下で行った場合には、繊維を高配向性にす
るために高倍率の延伸を行ったときに結晶化が起こって
しまい好ましくない。冷延伸2の延伸温度をガラス転移
点温度よりも十分低い温度、例えば30℃で延伸を行っ
た場合、糸が破断する直前の倍率まで延伸を行っても結
晶の生成は見られずに、低結晶性で高度に配向したポリ
エステル繊維を得ることができる。供給ロールの表面温
度を高くした方が延伸張力が低くなり、延伸の安定性が
高くなる。しかし、一方では結晶化速度が速くなるので
極めて高配向度の非晶糸を製造する場合には、より低温
での延伸が好ましい。安定した品質の本発明出の繊維を
得るためには、常に延伸温度を一定に維持する必要があ
る。製造コストの面からは10℃以上、好ましくは20
℃以上の一定の温度で延伸を行うことが好ましい。
【0017】本発明では、複屈折率が0.04〜0.0
6の範囲内にあるPOY繊維を使用するときに特に好ま
しい結果が得られる。前記の複屈折率を有するPOYを
延伸するに際し、供給ロールの表面温度をガラス転移温
度未満、好ましくは20℃〜ガラス転移温度−10℃の
範囲内にある一定の温度に保持し、POYの複屈折率に
より異なるが、延伸倍率を1.1倍以上3倍未満、好ま
しくは1.2倍以上2.5倍未満の一定の倍率にて延伸
を行う。例えば、固有粘度0.73、複屈折率0.04
7のPOYを30℃の温度条件下で冷延伸した場合に
は、1.4倍以上2倍未満の延伸倍率で複屈折率0.1
0〜0.20の低結晶性高配向度の繊維を得ることがで
きる。しかし、2倍以上の延伸をした場合にはネッキン
グが発生し結晶化が進んで本発明のポリエステル繊維を
得ることができない。また、POYの複屈折率が低いと
きには、配向度を高くするために冷延伸倍率を大きくし
ていくとネッキングが発生して結晶化が進んでしまうの
で、高配向ではあるが極めて低結晶性ではなくなり請求
項1で特定する高配向で非結晶性のポリエステル繊維を
得ることはできない。
【0018】以上の方法により得られる本発明の高度に
配向した非晶構造を有するポリエステル繊維は、そのま
ま織物、編物等の布帛としてから、その熱収縮性を活用
して種々の高次加工方法と組み合わせ様々な風合いのポ
リエステル繊維製品を調製することができる。本発明の
ポリエステル繊維を用いて高強度のポリエステル繊維を
得るには、熱処理により結晶を発現成長させればよい。
具体的には、供給ロールと延伸ロールの間に加熱帯域を
有する通常の延伸装置を用いて加熱帯域を130℃以上
で単糸が融着する温度未満の温度条件下、破断倍率の
0.9倍以下の延伸倍率で延伸することによって、高強
度のポリエステル繊維を得ることができる。加熱帯域に
おける加熱手段としてはホットプレート、加熱空気、加
熱蒸気、加熱不活性ガス、遠赤外線ヒーターを用いるこ
とができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。本発
明の実施例で示される各物性値は、以下の方法で測定し
たものである。 (1)破断強度、破断伸度の測定 東洋ボールドウィン社製テンシロンにより糸長20cm、
引っ張り速度20cm/分で測定した。 (2)沸水収縮率の測定 初期長約1mの試料を1/30g/dの初荷重下の長さ
(L0 )を測定後、100℃×30分の沸水処理を行
い、同様の荷重下で長さ(L1 )を測定し、次式により
算出した。
【0020】 沸水収縮率(%)={(L0 −L1 )/L0 }×100 (3)熱応力値の測定 カネボウエンジニアリング(株)製の熱応力試験機を用
い、長さ10cmの試料に1/30g/dの初荷重を加え
て糸長を一定に保持し、300℃/180秒の一定速度
で昇温させたときの極大の応力値から初荷重を差し引い
て求めた。 (4)複屈折率(Δn)の測定 ナトリウムランプを光源とし、浸液としてオリーブ油を
用いて偏光顕微鏡で測定を行った。 (5)結晶化度(X)の測定 理学電機製X線発生装置を用い、CuKαを線源として
測定した。2θ=10°〜47°までの散乱曲線から、
ピーク分離法で結晶相の面積(Sx)と非晶相の面積S
aを求め次式により結晶化度を計算した。
【0021】 X(%)={Sx/(Sa+Sx)}×100 (6)密度の測定 密度勾配液として四塩化炭素とトルエンの混合液を用い
て、密度勾配管法により測定を行った。
【0022】実施例1 固有粘度0.73のポリエチレンテレフタレートチップ
を溶融紡糸して、巻取速度400m/分で引き取り、1
05d/12fの未延伸糸を得た。この未延伸繊維の複
屈折率は、0.001、ガラス転移温度は70℃で、X
線散乱が明確な結晶回折ピークを示さないものであっ
た。この未延伸糸の強度及び伸度は、それぞれ0.9g
/d及び690.1%であった。この未延伸糸を延伸温
度80ででて1.6〜6.0倍の延伸を行った。得られ
た糸の物性を表1に示す。また、この時のX線散乱を図
1に示す。表1からわかるように、延伸倍率3倍以下
(No.1〜3)では結晶化度が5%以下の低結晶性繊
維が得られた。延伸倍率4倍以上(No.4〜6)では
結晶化度が5%以上であり、図1のようにX線散乱にお
いて、明確な結晶性ピークを示す結晶を有する繊維が得
られた。
【0023】次に、表1で結晶化度が5%以下であった
No.1,2及び3の低結晶性繊維を30℃で種々の倍
率で延伸を行った。冷延伸1の延伸倍率が1.0倍のも
の(No.1)は冷延伸2において延伸むらができ、均
一な繊維が得られなかった。No.2及び3を用いて得
た繊維の物性を表2(No.7〜12)に示し、一線散
乱を図2に示す。表2から明らかなように得られた繊維
は、結晶化度5%いかで、複屈折率が0.07〜0.2
0の低結晶性項配向繊維であり、X線散乱において図2
に示されるように明確な結晶回折ピークが観測されなか
った。これらの繊維は、結晶化度5%を超える他の繊維
に比べて伸度、沸水収縮率共に高い値を示すもので、非
結晶性の高配向糸特有の性能を示すもので、低結晶性高
配向繊維特有の性能を示した。
【0024】実施例2 固有粘度0.73のポリエチレンテレフタレートチップ
を溶融紡糸して、巻取速度1500m/分で引き取り、
215d/36fの未延伸糸を得た。この未延伸糸の複
屈折率は0.017、ガラス転移温度は72℃でX線散
乱が明確な結晶回折ピークを示さないものであった。こ
の未延伸糸の強度および伸度はそれぞれ1.56g/d
および400.1%であった。この未延伸糸を冷延伸1
にて90℃で2.072倍延伸した後、冷延伸2にて3
0℃で1.186〜1.608倍の延伸を行った。(N
o.13〜17)得られた糸の物性を表3に示す。表3
からわかるようにこれらの糸は結晶化度が5%以下で複
屈折率が0.07〜0.20の範囲内の低結晶性高配向
繊維であった。
【0025】一方冷延伸1の温度が120℃であること
以外は上記と同一の条件で延伸を行った。(No.18
〜22)得られた糸の物性を表4に示す。表4からわか
るようにこれらの糸は結晶化度が5%を超えた結晶性高
配向繊維であり、本発明の低結晶性高配向繊維は得られ
なかった。上記の糸(No.13〜22)を220℃で
熱処理した。熱処理は延伸糸を、その糸の破断伸度の
0.9倍伸長下に、220℃のヒーター長1mのホット
プレート上を通過走行させながら巻取り行った。得られ
た熱処理糸の物性を表3,4に示す。これらの表からわ
かるように、結晶性高配向繊維(No.18〜22)の
熱処理糸に比べ、本発明の低結晶性高配向繊維(No.
13〜17)の熱処理糸は著しく高強度の繊維であっ
た。同様にして製造した低結晶性高配向繊維と結晶性高
配向繊維の熱処理繊維の伸度と強度の関係、延伸倍率と
強度の関係、延伸倍率と張力の関係を図3〜5に示す。
これらの図からわかるように、結晶性高配向繊維の熱処
理繊維に比べ、低結晶性高配向繊維の熱処理繊維は同じ
延伸倍率、同じ伸度で比較した場合、高強度であり、ま
た同じ延伸倍率で比較した場合の延伸張力も低い。従っ
て低結晶性高配向繊維を用いることにより、熱処理によ
って、より高強度の繊維を安定して製造することができ
る。
【0026】このように繊維の配向と結晶性構造を徹底
して分離して繊維構造を設計することで通常程度の分子
量のポリマーから高強度の繊維を製造することができ
る。本実施例の方法を、更に高分子量のポリエチレンテ
レフタレートに適用することにより、更に高強度のポリ
エチレンテレフタレート繊維を容易に製造することがで
きる。
【0027】実施例3 固有粘度0.73のポリエチレンテレフタレートチップ
を溶融紡糸して、巻取速度3500m/分で引き取り、
215d/36fの部分配向糸(POY)を得た。この
部分配向糸の複屈折率は0.048、ガラス転移温度は
75℃でX線散乱が明確な結晶回折ピークを示さないも
のであった。この部分配向糸の強度および伸度はそれぞ
れ2.4g/dおよび129.0%であった。この部分
配向糸を種々の冷延伸条件にて延伸した。延伸条件およ
び得られた繊維の物性を表5,6に、沸水収縮率と最大
熱応力の関係を図6に示す。表5からわかるように、ガ
ラス転移点以下の温度で延伸を行ったもの(No.25
〜29)は結晶化度が5%以下で、複屈折率が0.07
〜0.20の範囲の低結晶性高配向繊維であった。一方
表6からわかるようにガラス転移点以上の温度で延伸を
行ったもの(No.30〜34)は結晶化度が5%を超
えた結晶性高配向繊維であり、本発明の低結晶性高配向
繊維は得られなかった。また図6からわかるように結晶
性高配向繊維に対して低結晶性高配向繊維は、同じ沸水
収縮率で比較した場合の最大熱応力が高い、熱収縮性の
優れた繊維であった。
【0028】このように中程度の配向度を有した低結晶
性部分配向繊維を製造した後に、ガラス転移点以下の温
度で冷延伸をすることにより、低結晶性部分配向繊維の
結晶成長を抑制して高配向化することができ、得られた
低結晶性高配向繊維は高い沸水収縮率を示しながら、汎
用のポリエチレンテレフタレート繊維に比べ非常に大き
な収縮応力を持つものである。一方、低結晶性部分配向
繊維をガラス転移点以上の温度で延伸した場合は結晶成
長を抑制することができず、得られた結晶性高配向繊維
では高い沸水収縮率と大きな収縮応力とを両立させるこ
とはできない。
【0029】このことは結晶化を抑制する共重合成分の
添加なしにポリエチレンテレフタレートのストレートポ
リマーで、実用に共しうる熱応力値の大きな高沸水収縮
繊維の製造を可能にする。
【0030】
【発明の効果】本発明より通常程度の分子量のポリマー
から衣料用高強度ポリエステル繊維を提供することがで
きる。本発明を高分子量ポリマーポリエステルに適用す
ることによりこれまで以上の衣料用高強度ポリエステル
繊維を提供することができる。本発明は、独特の微細構
造を有するポリエステル繊維を提供することで、高度の
熱収縮特性を活かしての優れた風合いをもつ高収縮衣料
用繊維ポリエステル繊維の製造を可能にするものであ
る。本発明によって得られるポリエステル繊維は、極め
て低結晶性で非晶相の割合が多いポリエステル繊維であ
るから、共重合ポリマーを使用せずに、ポリエチレンテ
レフタレート100%ポリマーで高い熱応力と沸水収縮
率を有する繊維を提供できる。このことで、染色性、染
色堅牢性及び熱加工特性に問題のあった共重合タイプ高
熱収縮ポリエステル繊維に代わる高性能衣料用ポリエス
テル繊維素材を提供することができる。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるポリエステル繊維の赤道軸広角X
線散乱を示す図である。
【図2】本発明のポリエステル繊維が比較対照するポリ
エステル繊維の赤道軸広角X線散乱を示す図である。
【図3】本発明のポリエステル繊維の製造方法における
未延伸繊維の延伸倍率に対する強度変化を、比較対照例
と共に示す図である。
【図4】本発明のポリエステル繊維と比較ポリエステル
繊維の伸度に対する強度変化を示す図である。
【図5】本発明のポリエステル繊維と比較ポリエステル
繊維の延伸倍率に対する熱延伸時の張力変化を示す図で
ある。
【図6】本発明のポリエステル繊維と比較ポリエステル
繊維の沸水収縮率に対する熱応力値の変化を示す図であ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレートを少なくと
    も85モル%含み下記(a)(b)で示される特性を有
    するポリエステル繊維: (a)複屈折率が0.07〜0.20 (b)結晶化度0〜5%。
  2. 【請求項2】 ポリエチレンテレフタレートを少なくと
    も85モル%含む複屈折率が0〜0.04の未延伸糸
    を、ガラス転移温度以上ガラス転移温度+40℃未満の
    温度条件下で1.1倍以上4倍未満の延伸倍率で延伸を
    行った後に、引き続きガラス転移点未満の温度条件下で
    1.1倍以上4倍未満の延伸倍率で延伸を行う請求項1
    記載のポリエステル繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリエチレンテレフタレートを少なくと
    も85モル%含むポリマーを2500m/分からネック
    点が発生し始める速度未満の巻取速度で複屈折率0.0
    4〜0.06の部分配向糸を紡糸し、引き続きガラス転
    移温度未満の温度条件下で1.1倍以上3倍未満の延伸
    倍率で延伸を行う請求項1記載のポリエステル繊維の製
    造方法。
JP5876795A 1995-03-17 1995-03-17 高配向非晶性ポリエステル繊維およびその製造方法 Withdrawn JPH08260239A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008308786A (ja) * 2007-06-14 2008-12-25 Teijin Fibers Ltd 高タフネス繊維の製造方法
US8147956B2 (en) 2007-10-19 2012-04-03 Es Fiber Visions Co., Ltd. Hot-melt adhesive polyester conjugate fiber

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