JPH08254232A - ディスクブレーキ装置 - Google Patents

ディスクブレーキ装置

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Publication number
JPH08254232A
JPH08254232A JP5763895A JP5763895A JPH08254232A JP H08254232 A JPH08254232 A JP H08254232A JP 5763895 A JP5763895 A JP 5763895A JP 5763895 A JP5763895 A JP 5763895A JP H08254232 A JPH08254232 A JP H08254232A
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JP
Japan
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rotor
disc
brake pad
disc rotor
brake
Prior art date
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Application number
JP5763895A
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English (en)
Inventor
Mitsuhiro Doi
三浩 土井
Tsutomu Hamabe
勉 浜辺
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ディスクブレーキ装置において、制動を解除し
た際に、ブレーキパッドをディスクロータから小さな力
で離隔できるようにする。 【構成】回入側に配設されるアンチラトルスプリング8
Aの腕部8d側のパッド保持部8fがロータ径方向外側
端面6E,7Eを径方向内側に向けて付勢する付勢力を
1 、そのアンチラトルスプリング8Aの腕部8e側の
パッド保持部8fがロータ径方向内側端面6F,7Fを
径方向外側に付勢する付勢力をF2 、回出側に配設され
るアンチラトルスプリング8Bの腕部8d側のパッド保
持部8fがロータ径方向外側端面6E,7Eを径方向内
側に向けて付勢する付勢力をF3 、そのアンチラトルス
プリング8Bの腕部8e側のパッド保持部8fがロータ
径方向内側端面6F,7Fを径方向外側に付勢する付勢
力をF4 とした場合に、それら付勢力F1 〜F4 を、F
1 >F2 ,F3 <F4 という関係にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車輪と共に回転する
ディスクロータの摩擦摺動面にブレーキパッドを押圧さ
せることにより制動を行うディスクブレーキ装置に関
し、特に、制動を解除した際に、ブレーキパッドをディ
スクロータから小さな力で離隔できるようにしたもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来のディスクブレーキ装置としては、
例えば、実開昭56−4037号公報(第1従来例)や
実開平3−12630号公報(第2従来例)等に開示さ
れたものがある。即ち、これら従来のディスクロータで
は、ブレーキパッドをディスクロータから離隔させる方
向に付勢するばね機構を設け、そのばね機構の作用によ
り、非制動時におけるブレーキパッド及びディスクロー
タ間のクリアランスを確保するようにしていた。
【0003】つまり、上記第1従来例にあっては、ブレ
ーキパッドをディスクロータ軸方向に進退可能に弾性保
持するスプリングを、そのブレーキパッドがディスクロ
ータ側に移動するに連れて縮む方向に弾性変形する形状
とし、もって、非制動時にブレーキパッドをディスクロ
ータから離隔させるようにしていた。また、上記第2従
来例にあっては、ディスクロータを両側から挟み込むよ
うに一対のブレーキパッドを有するディスクブレーキ装
置において、それら一対のブレーキパッド間に離隔方向
に弾性力を発揮する例えばV字状のスプリングを掛け渡
していて、そのV字状のスプリングの復元力を利用して
非制動時にブレーキパッドをディスクブレーキから離隔
させるようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
1従来例にあっては、ブレーキパッドを弾性保持するス
プリングを利用してそのブレーキパッドをディスクロー
タから離隔させるようになっているが、実際にはブレー
キパッドはトルクメンバとの間で摺動しつつ移動するた
め、ブレーキパッドをディスクロータから離隔させる際
にはその摺動抵抗に打ち勝つだけの弾性力が必要となる
ので、その離隔方向の弾性力をある程度大きくすること
になるが、これでは、その離隔方向の弾性力が大きくな
った分だけ制動時におけるブレーキパッドの押圧力を大
きくしなければならないから、運転者のブレーキ踏み力
をそのままにするには、マスタシリンダ等の出力を上げ
なければならないという不具合がある。なお、スプリン
グの弾性保持力を小さくしてそのスプリング及びブレー
キパッド間の摺動抵抗を小さくすれば、スプリングの離
隔方向の弾性力を大きくしなくてもブレーキパッドを離
隔させることができるようになるが、スプリングの弾性
保持力が小さくなると、非制動時等に路面側から入力さ
れる振動等によってブレーキパッドが揺れ動いてトルク
メンバ等と衝突して異音が発生してしまう。
【0005】これに対し、上記第2従来例にあっては、
V字状のスプリングによるブレーキパッドの離隔力は、
そのブレーキパッドの外周部の一部に作用するため、そ
の力の作用点では離隔力は大きくても、作用点から遠い
部位では離隔力が極めて小さくなってしまうから、一対
のブレーキパッドは、V字状のスプリングが掛け渡され
た部位が、そのスプリングから遠い部位を支点として開
くようになり、その支点となった部位ではディスクロー
タから離隔することができなかった。なお、V字状のス
プリングのばね定数を大きくすることにより大きな離隔
力を発生させる、或いはV字状のスプリングを多数設け
ることによりブレーキパッドを平行に変位させることも
考えられるが、前者では、上記第1従来例と同様に、離
隔力が大きくなった分マスタシリンダ等の出力を上げな
ければならないという不具合があるし、後者では、組立
時やブレーキパッドの交換時等に多数のV字状のスプリ
ングを掛け渡す手間が必要なってコストアップを招いて
しまうし、そもそもスペース的な余裕が小さければ必要
な数だけのスプリングを掛け渡すこと事態が不可能であ
る。
【0006】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、制動を
解除した際に、ブレーキパッドをディスクロータから小
さな力で離隔することができるディスクブレーキ装置を
提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、車輪と共に回転するディス
クロータの摩擦摺動面に対向して配置されるブレーキパ
ッドと、このブレーキパッドをディスクロータ軸方向に
摺動可能に支持し且つ車体側に固定されて前記ブレーキ
パッドからの制動トルクを受けるトルクメンバと、前記
ブレーキパッドを前記ディスクロータに向けて押圧する
押圧手段と、を備えたディスクブレーキ装置において、
前記ブレーキパッドのディスクロータ正転方向回入側を
ディスクロータ径方向内側に向かわせ且つディスクロー
タ正転方向回出側をディスクロータ径方向外側に向かわ
せる回転モーメントを生成する回転モーメント生成手段
を設けた。
【0008】また、上記目的を達成するために、請求項
2に係る発明は、車輪と共に回転するディスクロータの
摩擦摺動面に対向して配置されるブレーキパッドと、車
体側に固定され且つ前記ブレーキパッドからの制動トル
クを受けるトルクメンバと、このトルクメンバに設けら
れ且つ前記ブレーキパッドをディスクロータ軸方向に摺
動可能に支持するアンチラトルスプリングと、前記ブレ
ーキパッドを前記ディスクロータに向けて押圧する押圧
手段と、を備えたディスクブレーキ装置において、前記
アンチラトルスプリングに、前記ブレーキパッドのディ
スクロータ径方向外側端面を径方向内側に向けて付勢す
る外側弾性保持部と、前記ブレーキパッドのディスクロ
ータ径方向内側端面を径方向外側に向けて付勢する内側
弾性保持部と、を設けるとともに、前記ブレーキパッド
におけるディスクロータ正転方向回入側では、前記外側
弾性保持部の付勢力を前記内側弾性保持部の付勢力より
も大きくし、前記ブレーキパッドにおけるディスクロー
タ正転方向回出側では、前記内側弾性保持部の付勢力を
前記外側弾性保持部の付勢力よりも大きくした。
【0009】そして、請求項3に係る発明は、上記請求
項2に係る発明であるディスクブレーキ装置において、
前記外側弾性保持部は、前記ブレーキパッドのディスク
ロータ径方向外側端面のディスクロータ正転方向回入側
寄りの位置に当接する第1外側弾性保持部と、前記ブレ
ーキパッドのディスクロータ径方向外側端面のディスク
ロータ正転方向回出側寄りの位置に当接する第2外側弾
性保持部と、を有し、前記内側弾性保持部は、前記ブレ
ーキパッドのディスクロータ径方向内側端面のディスク
ロータ正転方向回入側寄りの位置に当接する第1内側弾
性保持部と、前記ブレーキパッドのディスクロータ径方
向内側端面のディスクロータ正転方向回出側寄りの位置
に当接する第2内側弾性保持部と、を有し、前記第1外
側弾性保持部の付勢力を前記第1内側弾性保持部の付勢
力よりも大きくし、前記第2内側弾性保持部の付勢力を
前記第2外側弾性保持部の付勢力よりも大きくした。
【0010】さらに、請求項4に係る発明は、上記請求
項2,3に係る発明であるディスクブレーキ装置におい
て、前記外側弾性保持部の前記ブレーキパッドのディス
クロータ径方向外側端面に当接するパッド保持面を、前
記ディスクロータに近い側の端部が遠い側の端部よりも
ディスクロータ径方向内側に位置する方向に傾斜させる
とともに、前記内側弾性保持部の前記ブレーキパッドの
ディスクロータ径方向内側端面に当接するパッド保持面
を、前記ディスクロータに近い側の端部が遠い側の端部
よりもディスクロータ径方向外側に位置する方向に傾斜
させた。
【0011】一方、上記目的を達成するために、請求項
5に係る発明は、車輪と共に回転するディスクロータの
摩擦摺動面に対向して配置されるブレーキパッドと、車
体側に固定され且つ前記ブレーキパッドからの制動トル
クを受けるトルクメンバと、このトルクメンバに設けら
れ且つ前記ブレーキパッドをディスクロータ軸方向に摺
動可能に支持するアンチラトルスプリングと、前記ブレ
ーキパッドを前記ディスクロータに向けて押圧する押圧
手段と、を備えたディスクブレーキ装置において、前記
アンチラトルスプリングに、前記ブレーキパッドのディ
スクロータ径方向内側端面を径方向外側に向けて付勢す
る内側弾性保持部を設けるとともに、その内側弾性保持
部のディスクロータ正転方向回出側の付勢力をディスク
ロータ正転方向回入側の付勢力よりも大きくし、そし
て、前記ブレーキパッドのディスクロータ径方向外側端
面のうち当該ブレーキパッドの摩擦摺動面のディスクロ
ータ径方向外側端部よりもディスクロータ径方向外側に
位置する部分であって且つディスクロータ正転方向中央
部付近にディスクロータ径方向外側から当接して支持す
るパッド押圧クリップを設けた。
【0012】そして、請求項6に係る発明は、上記請求
項5に係る発明であるディスクブレーキ装置において、
前記内側弾性保持部は、前記ブレーキパッドのディスク
ロータ径方向内側端面のディスクロータ正転方向回入側
寄りの位置に当接する第1内側弾性保持部と、前記ブレ
ーキパッドのディスクロータ径方向内側端面のディスク
ロータ正転方向回出側寄りの位置に当接する第2内側弾
性保持部と、を有し、前記第2内側弾性保持部の付勢力
を前記第1内側弾性保持部の付勢力よりも大きくした。
【0013】さらに、請求項7に係る発明は、上記請求
項5,6に係る発明であるディスクブレーキ装置におい
て、前記内側弾性保持部の前記ブレーキパッドのディス
クロータ径方向内側端面に当接するパッド保持面を、前
記ディスクロータに近い側の端部が遠い側の端部よりも
ディスクロータ径方向外側に位置する方向に傾斜させ
た。
【0014】また、請求項8に係る発明は、上記請求項
2〜7に係る発明であるディスクブレーキ装置におい
て、前記ブレーキパッドのディスクロータ正転方向回入
側端面と、前記ブレーキパッドのディスクロータ正転方
向回出側端面とに、ディスクロータ回転方向に突出した
凸部を形成するとともに、前記ブレーキパッドのディス
クロータ正転方向回入側端面に対向する前記トルクメン
バのディスクロータ正転方向回入側端面と、前記ブレー
キパッドのディスクロータ正転方向回出側端面に対向す
る前記トルクメンバのディスクロータ正転方向回出側端
面とに、前記凸部をディスクロータ軸方向に摺動可能に
受け入れる凹部を形成し、そして、前記トルクメンバの
ディスクロータ正転方向回入側端面の前記凹部を、前記
トルクメンバのディスクロータ正転方向回出側端面の前
記凹部よりも、ディスクロータ径方向外側にオフセット
させた。
【0015】そして、請求項9に係る発明は、上記請求
項2〜7に係る発明であるディスクブレーキ装置におい
て、前記ブレーキパッドのディスクロータ正転方向回入
側端面と、前記ブレーキパッドのディスクロータ正転方
向回出側端面とに、ディスクロータ回転方向に突出した
凸部を形成するとともに、前記ブレーキパッドのディス
クロータ正転方向回入側端面に対向する前記トルクメン
バのディスクロータ正転方向回入側端面と、前記ブレー
キパッドのディスクロータ正転方向回出側端面に対向す
る前記トルクメンバのディスクロータ正転方向回出側端
面とに、前記凸部をディスクロータ軸方向に摺動可能に
受け入れる凹部を形成し、そして、前記ブレーキパッド
のディスクロータ正転方向回入側端面の前記凸部を、前
記ブレーキパッドのディスクロータ正転方向回出側端面
の前記凸部よりも、ディスクロータ径方向内側にオフセ
ットさせた。
【0016】さらに、請求項10に係る発明は、上記請
求項1〜9に係る発明であるディスクブレーキ装置にお
いて、前記ディスクロータを両側から挟み込むように一
対の前記ブレーキパッドを対向配置させるとともに、そ
れらブレーキパッドを離隔する方向に付勢するばね機構
を設けた。
【0017】
【作用】請求項1に係る発明にあっては、制動中にディ
スクロータの摩擦摺動面に押し付けられるブレーキパッ
ドには、ディスクロータの摩擦摺動面の周速が内周側よ
りも外周側の方が速いため、ディスクロータ正転方向回
入側をディスクロータ径方向外側に向かわせ且つディス
クロータ正転方向回出側をディスクロータ径方向内側に
向かわせる回転モーメント(以下、制動モーメントと称
す。)が入力される。従って、制動中のブレーキパッド
は、その制動モーメントによって回転変位した状態でト
ルクメンバに支持されることになる。
【0018】そして、このような制動状態から非制動状
態に移行する際に押圧手段によるブレーキパッドの押圧
が解除されると、ブレーキパッドにはディスクロータに
よる制動モーメントが入力されなくなるので、ブレーキ
パッドは、回転モーメント生成手段による回転モーメン
トによって、制動モーメントによる回転とは逆方向に回
転することになる。
【0019】すると、その逆方向に回転する間は、ブレ
ーキパッドがトルクメンバから浮いた状態となるから、
それらブレーキパッド及びトルクメンバ間の摩擦抵抗が
低下し、ブレーキパッドは、ディスクロータから小さな
力でも離れる状態となる。請求項2に係る発明にあって
も、制動中の動作は上記請求項1に係る発明と同様であ
る。そして、制動状態から非制動状態に移行し、押圧手
段によるブレーキパッドの押圧が解除されると、アンチ
ラトルスプリングの外側弾性保持部と内側弾性保持部と
の付勢力に、ディスクロータ正転方向回入側では前者の
方が大きくなり、ディスクロータ正転方向回出側では後
者の方が大きくなるように差を与えているから、それら
付勢力を受けるブレーキパッドは、制動モーメントによ
る回転とは逆方向に回転する。すると、請求項1に係る
発明と同様に、その逆方向の回転の間は、ブレーキパッ
ドがトルクメンバから浮いてブレーキパッド及びトルク
メンバ間の摩擦抵抗が低下し、ブレーキパッドは、ディ
スクロータから小さな力でも離れる状態となる。
【0020】請求項3に係る発明にあっては、第1外側
弾性保持部の付勢力が第1内側弾性保持部の付勢力より
も大きいため、ブレーキパッドのディスクロータ正転方
向回入側は、ディスクロータ径方向内側に変位しようと
する。これに対し、第2内側弾性保持部の付勢力が第2
外側弾性保持部の付勢力よりも大きいため、ブレーキパ
ッドのディスクロータ正転方向回出側は、ディスクロー
タ径方向外側に変位しようとする。従って、リテーナス
プリングによって、ブレーキパッドには、制動モーメン
トによる回転とは逆方向に回転させようとする回転モー
メントが入力されることになる。
【0021】さらに、請求項4に係る発明にあっては、
外側弾性保持部のパッド保持面と内側弾性保持部のパッ
ド保持面との間の距離がディスクロータに近い側が遠い
側よりも狭くなるように、各パッド保持面が傾斜してい
るので、制動開始時に押圧手段に押圧されてブレーキパ
ッドがディスクロータ側に変位すると、その変位がパッ
ド保持面を介して外側弾性保持部及び内側弾性保持部に
伝達され、それら外側弾性保持部及び内側弾性保持部は
ディスクロータに近づく方向に弾性変形する。このた
め、制動状態から非制動状態に移行し、押圧手段による
ブレーキパッドの押圧が解除されると、弾性変形してい
た外側弾性保持部及び内側弾性保持部がディスクロータ
から離れる方向に復元するから、これによってブレーキ
パッドはディスクロータから離れる方向の力を受けて変
位する。
【0022】そして、ブレーキパッドがディスクロータ
から離れる際には、上述した請求項2又は請求項3に係
る発明と同様の作用により、ブレーキパッドは、制動モ
ーメントによる回転とは逆方向に回転し、ディスクロー
タから小さな力でも離れる状態となっているから、外側
弾性保持部及び内側弾性保持部のディスクロータ軸方向
のばね定数が小さくても、ブレーキパッドはディスクロ
ータから離れる。
【0023】一方、請求項5に係る発明にあっても、制
動中の動作は上記請求項1に係る発明と同様である。そ
して、制動状態から非制動状態に移行し、押圧手段によ
るブレーキパッドの押圧が解除されると、内側弾性保持
部の付勢力に、ディスクロータ正転方向回出側の方がデ
ィスクロータ正転方向回入側よりも大きくなるように差
を与えているし、ブレーキパッドのディスクロータ径方
向外側端面のディスクロータ正転方向中央部付近は、パ
ッド押圧クリップにより支持されているから、内側弾性
保持部による付勢力を受けるブレーキパッドは、そのパ
ッド押圧クリップを支点として、制動モーメントによる
回転とは逆方向に回転する。すると、請求項1に係る発
明と同様に、その逆方向の回転の間は、ブレーキパッド
がトルクメンバから浮いてブレーキパッド及びトルクメ
ンバ間の摩擦抵抗が低下し、ブレーキパッドは、ディス
クロータから小さな力でも離れる状態となる。
【0024】しかも、パッド押圧クリップは、ディスク
ロータ径方向外側端面のうち、ブレーキパッドの摩擦摺
動面のディスクロータ径方向外側端部よりも径方向外側
に位置する部位を支持するため、制動解除時にブレーキ
パッドがそのパッド押圧クリップを支点として開くよう
にディスクロータから離れても、ブレーキパッドの摩擦
摺動面は確実にディスクロータの摩擦摺動面から離れる
ことになる。
【0025】また、請求項6に係る発明にあっては、第
2内側弾性保持部の付勢力が第1内側弾性保持部の付勢
力よりも大きいため、ブレーキパッドのディスクロータ
正転方向回出側は、ディスクロータ正転方向内側より
も、ディスクロータ径方向外側に変位しようとするか
ら、リテーナスプリングによって、ブレーキパッドに
は、制動モーメントによる回転とは逆方向に回転させよ
うとする回転モーメントが入力されることになる。
【0026】さらに、請求項7に係る発明にあっては、
内側弾性保持部のパッド保持面が、ディスクロータに近
い側がディスクロータ径方向外側に位置するように傾斜
しているので、制動開始時に押圧手段に押圧されてブレ
ーキパッドがディスクロータ側に変位すると、その変位
がパッド保持面を介して内側弾性保持部に伝達され、内
側弾性保持部はディスクロータに近づく方向に弾性変形
する。このため、制動状態から非制動状態に移行し、押
圧手段によるブレーキパッドの押圧が解除されると、弾
性変形していた内側弾性保持部がディスクロータから離
れる方向に復元するから、これによってブレーキパッド
はディスクロータから離れる方向の力を受けて変位す
る。
【0027】そして、ブレーキパッドがディスクロータ
から離れる際には、上述した請求項5又は請求項6に係
る発明と同様の作用により、ブレーキパッドは、制動モ
ーメントによる回転とは逆方向に回転し、ディスクロー
タから小さな力でも離れる状態となっているから、外側
弾性保持部及び内側弾性保持部のディスクロータ軸方向
のばね定数が小さくても、ブレーキパッドはディスクロ
ータから離れる。
【0028】しかも、このようにブレーキパッドがディ
スクロータから離れる際には、ブレーキパッドのディス
クロータ径方向内側端面に離隔力が入力されるから、実
際には、ブレーキパッドは、そのディスクロータ径方向
外側端面を支持するパッド押圧クリップを支点として開
くように変位するが、そのパッド押圧クリップは、上述
したように、ディスクロータ径方向外側端面のうち、ブ
レーキパッドの摩擦摺動面のディスクロータ径方向外側
端部よりも径方向外側に位置する部位を支持するため、
ブレーキパッドの摩擦摺動面は確実にディスクロータの
摩擦摺動面から離れることになる。
【0029】請求項8に係る発明にあっては、ブレーキ
パッドに形成された凸部とトルクメンバに形成された凹
部とが摺動可能に若干の余裕を持って嵌まり合うととも
に、上記請求項1〜7に係る発明と同様の作用により、
非制動時のブレーキパッドには、制動モーメントとは逆
方向の回転モーメントが入力され、それら凸部及び凹部
もディスクロータ径方向に相対変位しようとする。しか
し、ディスクロータ正転方向回入側端面に形成された凹
部が、ディスクロータ正転方向回出側端面に形成された
凹部よりも、ディスクロータ径方向外側にオフセットし
ているため、上記回転モーメントによりブレーキパッド
が大きく回転変位する前に、凸部及び凹部のディスクロ
ータ径方向で対向する面が面接触することなり、非制動
時のブレーキパッドはその状態で保持される。従って、
非制動時のブレーキパッドに制動モーメントとは逆方向
の回転モーメントが入力されても、そのブレーキパッド
は安定した状態でトルクメンバに支持される。
【0030】請求項9に係る発明にあっても、ブレーキ
パッドのディスクロータ正転方向回入側端面に形成され
た凸部が、ディスクロータ正転方向回出側端面に形成さ
れた凸部よりも、ディスクロータ径方向内側にオフセッ
トしているため、上記請求項8に係る発明と同様に、回
転モーメントによりブレーキパッドが大きく回転変位す
る前に凸部及び凹部のディスクロータ径方向で対向する
面が面接触するから、非制動時のブレーキパッドは安定
した状態でトルクメンバに支持される。
【0031】そして、請求項10に係る発明にあって
は、ばね機構が一対のブレーキパッドを離隔する方向に
付勢するが、それらブレーキパッドは、回転モーメント
により制動モーメントによる回転とは逆方向に回転し、
ディスクロータから小さな力でも離れる状態となってい
るから、ばね機構の付勢力が小さくても、ブレーキパッ
ドはディスクロータから離れる。
【0032】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1乃至図5は本発明の第1実施例の構成を示
す図であって、この実施例は、本発明に係るディスクブ
レーキ装置を車両の制動装置に適用したものである。先
ず、構成を説明すると、このディスクブレーキ装置1
は、車輪と共に回転するディスクロータ2の径方向外側
から見た平面図である図1に示すように、ディスクロー
タ2の周方向の任意の位置(通常は、車両前方,上方又
は後方を向く位置)にてそのディスクロータ2の径方向
外側から近接してこれを跨ぐように車体側に固定された
トルクメンバ3を有していて、このトルクメンバ3に
は、ディスクロータ軸方向(ディスクロータ2の回転軸
に沿った方向であり、図1の上下方向である。以下ロー
タ軸方向と称す。)に進退可能にシリンダボディ4が支
持されている。
【0033】具体的には、トルクメンバ3のディスクロ
ータ正転方向(車両前進時にディスクロータ2が回転す
る方向であり、図1,図2の右方から左方に向かう方向
である。以下ロータ正転方向と称す。)に沿った方向の
両端部には、そのディスクロータ2の外周面に近接して
ロータ軸方向に沿って延びる二つの筒部3A,3Bが設
けられるとともに、それら筒部3A,3B間にてディス
クロータ2を跨ぐシリンダボディ4には、それら筒部3
A,3Bの先端部に対向する位置までロータ正転方向に
沿って延びる腕部4A,4Bが一体に設けられている。
そして、その腕部4A,4Bのディスクロータ2側を向
く面には、ロータ軸方向に延びて筒部3A,3B内に進
退可能に挿入されるスライドピン5A,5Bが固定され
ていて、それら筒部3A,3Bに対してスライドピン5
A,5Bが進退することにより、シリンダボディ4がト
ルクメンバ3に対してロータ軸方向に進退可能となって
いる。なお、筒部3A,3Bとスライドピン5A,5B
との間はグリースにより潤滑されており、その筒部3
A,3Bの開口側端面と腕部4A,4Bとの間には蛇腹
円筒状の弾性体からなるダストブーツ4aが設けられて
いる。
【0034】また、トルクメンバ3には、ディスクロー
タ2を両側から挟み込むように対向配置され、そのディ
スクロータ2の両摩擦摺動面に対向する一対のブレーキ
パッド6,7が支持されている。これらブレーキパッド
6,7は、ディスクロータ2側に位置するライニング6
A,6Bと、その裏側に固定される裏金6B,7Bとを
重ね合わせた部材であって、ライニング6A,7Aより
も縦横に幅広の裏金6B,7Bの外周部が、ロータ軸方
向に進退可能にトルクメンバ3に支持されている。
【0035】より具体的には、図1をA方向から見た一
部破断正面図である図2(ただし、図2ではディスクロ
ータ2は省略している。)にも示すように、ブレーキパ
ッド7は、その裏金7Bのディスクロータ正転方向回入
側(正転時のディスクロータ2がディスクブレーキ装置
1に入り込む側であり、以下、単に回入側と称す。)に
位置する回入側端面7aからロータ正転方向逆側に突出
する凸部7Cと、裏金7Bのディスクロータ正転方向回
出側(正転時のディスクロータ2がディスクブレーキ装
置1から出て行く側であり、以下、単に回出側と称
す。)に位置する回出側端面7bからロータ正転方向側
に突出する凸部7Dと、を有する一方、回入側端面7a
に対向するトルクメンバ3の回入側端面3aには、凸部
7Cを余裕を持って受け入れることができる凹部3Cが
形成され、回出側端面7bに対向するトルクメンバ3の
回出側端面3bには、凸部7Dを余裕を持って受け入れ
ることができる凹部3Dが形成されている。
【0036】ただし、回入側の凹部3Cは、回出側の凹
部3Dよりも、ディスクロータ径方向(このディスクブ
レーキ装置1の配設位置におけるディスクロータ2の径
方向であって、図2上下方向である。以下ロータ径方向
と称す。)外側に位置するようにオフセットしている。
そして、トルクメンバ3には、その回入側端面3a及び
回出側端面3bの表面に沿って薄い金属板からなるアン
チラトルスプリング8A,8Bが固定されていて、これ
により、ブレーキパッド7は、アンチラトルスプリング
8A,8Bを介して、ロータ軸方向に摺動可能にトルク
メンバ3に支持されている。
【0037】なお、ブレーキパッド6の構成及びその支
持状態も、上述したブレーキパッド7と同様である。そ
して、アンチラトルスプリング8A,8Bは、ブレーキ
パッド6,7側から見た正面図である図3、図3を右方
から見た側面図である図4、斜視図である図5にもそれ
ぞれ示すように、ディスクロータ2を跨ぐようにコ字形
に形成された連結部8aと、その連結部8aの左右下部
に連続してブレーキパッド6側並びにブレーキパッド7
側の凹部3C,3Dに嵌め込まれる一対の凹陥部8b
と、それら一対の凹陥部8bに連続しトルクメンバ3の
回入側端面3a又は回出側端面3bに沿ってロータ径方
向内側に延びる一対の平板部8cと、を有している。実
際には、凹陥部8bが形成される位置は、凹部3C,3
Dが上述のようにオフセットしているため、アンチラト
ルスプリング8Aとアンチラトルスプリング8Bとでは
異なっている。
【0038】さらに、アンチラトルスプリング8A,8
Bには、連結部8aの左右両側上端部から裏金6B,7
Bのロータ径方向外側端面6E,7E(図2には、径方
向内側端面7Eのみが示される。)に径方向外側から対
向する位置まで延びる薄板からなる一対の腕部8dと、
両平板部8cの下端部から裏金6B,7Bのロータ径方
向内側端面6F,7F(図2には、径方向内側端面7F
のみが示される。)に径方向内側から対向する位置まで
延びる薄板からなる一対の腕部8eと、が形成されると
ともに、各腕部8d,8eの先端部には、裏金6B,7
B側が曲面となる半円筒形のパッド保持部8fが、その
軸方向が略ロータ軸方向を向くように形成されていて、
それら各パッド保持部8fは、板ばねとして機能する各
腕部8d,8eの無負荷時の形状を適宜調整することに
より、裏金6B,7Bの径方向外側端面6E,7E,径
方向内側端面6F,7Fを所定の弾性力を持って押圧方
向に付勢するようになっている。ただし、アンチラトル
スプリング8Aの各腕部8d,8eに形成されたパッド
保持部8fは、ロータ径方向外側端面6E,7E,ロー
タ径方向内側端面6F,7Fのロータ正転方向中央部よ
りも回入側寄りの位置に当接するようになっており、ア
ンチラトルスプリング8Bの各腕部8d,8eに形成さ
れたパッド保持部8fは、ロータ径方向外側端面6E,
7E,ロータ径方向内側端面6F,7Fのロータ正転方
向中央部よりも回出側寄りの位置に当接するようになっ
ている。
【0039】そして、一方の各腕部8dに形成された各
パッド保持部8fは、その腕部8dに捩じれ方向の初期
変形を与えることにより、ディスクロータ2に近い側が
遠い側よりもロータ径方向内側に位置するように傾斜し
ている。これに対し、他方の各腕部8eに形成された各
パッド保持部8fは、その腕部8eに捩じれ方向の初期
変形を与えることにより、ディスクロータ2に近い側が
遠い側よりもロータ径方向外側に位置するように傾斜し
ている。従って、各パッド保持部8fの裏金6B,7B
に接触するパッド保持面も、同様に傾斜している。
【0040】ここで、本実施例では、各パッド保持部8
fによる付勢力を、その配設位置に応じて異ならせてい
る。即ち、ブレーキパッド6,7の裏金6B,7Bとア
ンチラトルスプリング8A,8Bとの支持関係を表す図
6に示すように、回入側に配設されるアンチラトルスプ
リング8Aの腕部8d側のパッド保持部8fがロータ径
方向外側端面6E,7Eを径方向内側に向けて付勢する
付勢力をF1 、そのアンチラトルスプリング8Aの腕部
8e側のパッド保持部8fがロータ径方向内側端面6
F,7Fを径方向外側に付勢する付勢力をF2 、回出側
に配設されるアンチラトルスプリング8Bの腕部8d側
のパッド保持部8fがロータ径方向外側端面6E,7E
を径方向内側に向けて付勢する付勢力をF3 、そのアン
チラトルスプリング8Bの腕部8e側のパッド保持部8
fがロータ径方向内側端面6F,7Fを径方向外側に付
勢する付勢力をF4 とした場合に、それら付勢力F1
4 間に、 F1 >F2 ……(1) F3 <F4 ……(2) という関係が成立するように、各腕部8d,8eの無負
荷時の形状等が調整されている。
【0041】一方、シリンダボディ4は、ブレーキパッ
ド6,7の裏金6B,7Bを外側から挟み込むような形
状となっている。そして、シリンダボディ4のディスク
ロータ2よりも車両内側(図1上側)に位置する部分に
は、図2に示すようにブレーキパッド6の裏金6Bに対
向し且つ軸がロータ軸方向を向くシリンダ孔10が形成
されていて、そのシリンダ孔10内には、周面が図示し
ないシールリングに支持された押圧手段としてのピスト
ン11が進退可能に配設されている。そして、シリンダ
孔10の底面とこれに対向するピストン11の端面との
間の空間が図示しないマスタシリンダ等に接続されてい
て、これによりその空間にブレーキペダルの操作に応じ
て油圧が供給又は排出されてピストン11がロータ軸方
向に進退するようになっている。
【0042】また、シリンダボディ4のディスクロータ
2よりも車両外側(図1下側)に位置する部分には、他
方のブレーキパッド7の裏金7Bに対向する押圧手段と
しての二つの爪部14A,14Bが、ロータ正転方向に
離隔した位置に形成されている。次に、本実施例の作用
を説明する。
【0043】即ち、ブレーキパッド6,7の裏金6B,
7Bには、アンチラトルスプリング8A,8Bの各腕部
8d,8eからパッド保持部8fを介して付勢力F1
4が常時入力されているため、それらブレーキパッド
6,7がピストン11や爪部14A,14Bによって押
圧されておらず、しかもそれらブレーキパッド6,7の
ライニング6A,7Aがディスクロータ2の摩擦摺動面
に摺接していない非制動状態では、ブレーキパッド6,
7は、それら付勢力F1 〜F4 のみを受けることにな
る。
【0044】すると、それら付勢力F1 〜F4 には、上
記(1),(2)式に示すような大小関係があるため、
裏金6B,7Bの回入側の部位は、付勢力F1 が付勢力
2に打ち勝ってロータ径方向内側に移動しようとし、
これに対し裏金6B,7Bの回出側の部位は、付勢力F
4 が付勢力F3 に打ち勝ってロータ径方向外側に移動し
ようとする結果、それら裏金6B,7Bには、図6に示
すような回転モーメントM1 が入力され、ブレーキパッ
ド6,7全体がその回転モーメントM1 により回転す
る。
【0045】そして、その回転モーメントM1 によるブ
レーキパッド6,7の回転は、回入側の凸部6C,7C
がロータ径方向内側に移動させ、回出側の凸部6D,7
Dをロータ径方向外側に移動させることになるが、それ
ら凸部6C,7C,6D,7Dを受け入れている凹部3
C,3Dには上述のようなオフセットを与えているた
め、ブレーキパッド6,7が大きく回転する前に、図6
に実線で示すように、凸部6C,7Cの下面とこれに対
向する凹部3Cの内面とは面接触し、凸部6D,7Dの
上面とこれに対向する凹部3Dの内面とは面接触するよ
うになる。
【0046】従って、非制動中のブレーキパッド6,7
は、図7(a)に概略図示するように、殆ど傾かない安
定した状態に保持され、これにより非制動時におけるブ
レーキパッド6,7のがたつきや異音の発生が防止され
る。この状態から運転者がブレーキペダルを踏み込む
と、マスタシリンダ等によって増圧分配された油圧がシ
リンダ孔10内に供給されるから、その油圧によってピ
ストン11がディスクロータ2に近づく方向に変位す
る。すると、ピストン11の先端部がブレーキパッド6
の裏金6Bを押圧するため、そのブレーキパッド6がデ
ィスクロータ2に近づく方向に変位し、そのライニング
6Aがディスクロータ2の摩擦摺動面に摺接する。
【0047】この状態からシリンダ孔10内の油圧によ
ってさらにピストン11がディスクロータ2側に変位し
ようとすると、ブレーキパッド6がディスクロータ2を
押圧することによる反力によりシリンダボディ4自体
が、ピストン11とは逆に車両内側に変位するから、爪
部14A,14Bもディスクロータ2に近づく方向に変
位してブレーキパッド7の裏金7Bを押圧するようにな
って、そのブレーキパッド7がディスクロータ2に近づ
く方向に変位し、そのライニング7Aがディスクロータ
2の摩擦摺動面に摺接する。
【0048】そして、このようなブレーキパッド6,7
の動作は極短い時間内に行われるため、ブレーキペダル
を踏み込むのと殆ど同時に両ブレーキパッド6,7によ
ってディスクロータ2が両側から挟み込まれることにな
り、ブレーキパッド6,7とディスクロータ2との間の
摩擦によってディスクロータ2の回転力が熱に変換され
て制動が行われるのである。
【0049】ブレーキパッド6,7がディスクロータ2
に摺接すると、ディスクロータ2の摩擦摺動面での周速
がロータ径方向外側ほど速いことから、それらブレーキ
パッド6,7には、回転モーメントM1 とは逆方向の制
動モーメントM2 が入力されることになり、かかる制動
モーメントM2 は極めて大きいため、ブレーキパッド
6,7はその制動モーメントM2 によって回転すること
になる。
【0050】つまり、ブレーキパッド6,7は、その凸
部6C,7C,6D,7Dが図6の実線の状態から破線
の状態に移行する方向に回転するから、ブレーキパッド
6,7は、図7(b)に概略図示するような状態でトル
クメンバ3に保持されることになり、ディスクロータ2
からブレーキパッド6,7に入力された制動トルクは、
アンチラトルスプリング8A,8B及びトルクメンバ3
を介して車体側に支持されることになる。
【0051】なお、裏金6B,7Bに当接する各パッド
保持部8fが、それらのディスクロータ2に近い側のロ
ータ径方向の間隔が狭まるようになっているため、上述
したように制動開始時にブレーキパッド6,7がディス
クロータ2側に向けて変位すると、パッド保持部8fが
ディスクロータ2側に押し込まれ、それらパッド保持部
8fが形成された腕部8d,8eはディスクロータ2に
近づく方向に弾性変形することになる。つまり、腕部8
eであれば、図6のB方向矢視図である図8に示すよう
に、制動開始時に実線の状態から破線の状態に移行する
ように弾性変形し、制動中はその状態を維持する。腕部
8dについても、特に図示はしないが、図8と同様の弾
性変形し、制動中はその状態を維持する。
【0052】このような制動状態からブレーキペダルの
踏み込みが解除されると、シリンダ孔10内の油圧が排
出されるから、ピストン11は弾性変形していたシール
リングの復元作用によりディスクロータ2から離れる方
向に変位し、これに伴ってシリンダボディ4全体が車両
外側に変位するからその爪部14A,14Bもディスク
ロータ2から離れる方向に変位し、ピストン11及び爪
部14A,14Bによるブレーキパッド6,7の押圧が
解除される。
【0053】すると、ブレーキパッド6,7に入力され
ていた制動モーメントM2 がなくなるから、ブレーキパ
ッド6,7は、回転モーメントM1 によって、制動モー
メントM2 による回転とは逆方向に回転することにな
る。つまり、ブレーキパッド6,7は、図7(b)の状
態から図7(a)の状態に移行するように、回転するこ
になる。
【0054】そして、そのような回転をしている間は、
ブレーキパッド6,7がトルクメンバ3から浮いた状態
となるから、それらブレーキパッド6,7及びトルクメ
ンバ3間の摩擦抵抗が低下し、ブレーキパッド6,7
は、小さな力でもロータ軸方向に変位可能な状態とな
る。一方、ピストン11及び爪部14A,14Bによる
ブレーキパッド6,7の押圧が解除されると、図8に破
線で示すような状態に弾性変形していた各腕部8d及び
8eが、自己の弾性力によりディスクロータ2から離れ
る方向に復元するため、その先端部に形成されたパッド
保持部8fもディスクロータ2から離れる方向に変位
し、これによって、ブレーキパッド6,7にディスクロ
ータ2から離れる方向の力が入力される。
【0055】そして、ブレーキパッド6,7への回転モ
ーメントM1 の入力と、腕部8d,8eの弾性復元によ
るブレーキパッド6,7への離隔力の入力とは、制動が
解除された直後に同時に起こるため、制動が解除される
と殆ど同時に、ブレーキパッド6,7はディスクロータ
2から離れる方向に変位するのである。この結果、非制
動時には、ディスクロータ2の摩擦摺動面と、ブレーキ
パッド6,7のライニング6A,7Aの表面との間のク
リアランスを確実に確保することができ、そのライニン
グ6A,7Aの表面が不必要に磨耗してブレーキパッド
6,7の交換頻度を上げてしまう等の不具合を招かない
のである。
【0056】そして、ブレーキパッド6,7をディスク
ロータ2から離隔させる力は、上述のように腕部8d,
8eのロータ軸方向のばね力によって得ているが、ブレ
ーキパッド6,7をディスクロータ2から離隔させる際
には、それらブレーキパッド6,7にアンチラトルスプ
リング8A,8Bの弾性保持力を利用して積極的に回転
を与えてトルクメンバ3から浮かせることにより、極小
さな力でブレーキパッド6,7が変位するようになって
いるから、腕部8d,8eのロータ軸方向のばね力を特
に大きくする必要はないのである。従って、制動時にお
けるブレーキパッド6,7の押圧力を大きくする必要な
どはないから、例えばマスタシリンダの出力を上げる等
の対策は不要である。
【0057】しかも、各ブレーキパッド6,7の裏金6
B,7Bは、回入側及び回出側のそれぞれにおいて、ロ
ータ径方向両側から挟み込むように腕部8d,8eに支
持されていて、各腕部8d,8eがブレーキパッド6,
7をディスクロータ2から離隔させる力を発生するた
め、ブレーキパッド6,7のライニング6A,7Aは略
平行にディスクロータ2から離れるようになる。従っ
て、それらライニング6A,7Aをより確実にディスク
ロータ2から離隔させることができるのである。
【0058】さらに、本実施例の構成であれば、ブレー
キパッド6,7を保持するアンチラトルスプリング8
A,8Bの腕部8d,8eの弾性変形を利用して、それ
らブレーキパッド6,7をディスクロータ2から離隔さ
せる力を得るようにしているため、ブレーキパッド6,
7をトルクメンバ3に取り付ける際に例えば離隔力を発
生するためのスプリングをそれらブレーキパッド6,7
間に掛け渡す必要がないから、組立時やパッド交換時の
工数増大を招くこともない。
【0059】ここで、本実施例では、アンチラトルスプ
リング8A,8Bの各腕部8d,8e及び各パッド保持
部8fが回転モーメント生成手段に対応し、アンチラト
ルスプリング8A,8Bのロータ径方向外側の腕部8d
及びパッド保持部8fが外側弾性保持部に対応し、アン
チラトルスプリング8A,8Bのロータ径方向内側の腕
部8e及びパッド保持部8fが内側弾性保持部に対応
し、回入側に位置するアンチラトルスプリング8Aのロ
ータ径方向外側の腕部8d及びパッド保持部8fが第1
外側弾性保持部に対応し、回出側に位置するアンチラト
ルスプリング8Bのロータ径方向外側の腕部8d及びパ
ッド保持部8fが第2外側弾性保持部に対応し、回入側
に位置するアンチラトルスプリング8Aのロータ径方向
内側の腕部8e及びパッド保持部8fが第1内側弾性保
持部に対応し、回出側に位置するアンチラトルスプリン
グ8Bのローラ径方向内側の腕部8e及びパッド保持部
8fが第2内側弾性保持部に対応し、各パッド保持部8
fのブレーキパッド6,7側を向く面がパッド保持面を
構成する。
【0060】図9乃至図13は本発明の第2実施例を示
す図である。なお、全体的な構成は上記第1実施例と同
様であるため、その図示及び説明は省略するとともに、
上記第1実施例と同様の部材及び部位には、同じ符号を
付し、その重複する説明は省略する。即ち、本実施例に
あっては、アンチラトルスプリング8A,8Bの斜視図
である図9に示すように、各アンチラトルスプリング8
A,8Bは、ロータ径方向内側のみに腕部8eを有し、
上記第1実施例では設けていたロータ径方向外側の腕部
8dを省略している。
【0061】また、シリンダボディ4の斜視図である図
10に示すように、シリンダボディ4には、ディスクロ
ータ2等の放熱性向上のためにその上面中央部に形成さ
れた方形の窓4Cの内側に、薄い金属板からなるパッド
押圧クリップ20が固定されている。パッド押圧クリッ
プ20の長手方向中央部には、その斜視図である図11
にも示すように、幅方向に延びる直線に沿って下方に向
けて突出するように湾曲させてなる幅方向に長い突出部
20Aが形成されるとともに、パッド押圧クリップ20
の長手方向両端部には、窓4Cの縁部分を上下から挟み
込む断面コ字状の嵌合部20Bが形成されている。
【0062】そして、パッド押圧クリップ20は、突出
部20Aをブレーキパッド6,7側を向けるとともに、
その突出部20Aが連続する方向である幅方向をロータ
軸方向に一致させた状態で、両嵌合部20Bをシリンダ
ボディ4の窓4Cの縁部分に嵌め合わせることにより、
シリンダボディ4に固定されるようになっている。ただ
し、ブレーキパッド6,7をトルクメンバ3に取り付け
た状態の概略図である図12に示すように、パッド押圧
クリップ20の突出部20Aは、その下方への突出高さ
を適宜調整することにより、ブレーキパッド6,7の裏
金6B,7Bのロータ径方向外側端面6E,7Eのロー
タ正転方向中央部付近に当接して、そのロータ径方向外
側端面6E,7Eを若干の付勢力を持ってロータ径方向
内側に押圧するようになっている。
【0063】さらに、本実施例にあっては、回入側に配
設されるアンチラトルスプリング8Aの腕部8eのパッ
ド保持部8fがロータ径方向内側端面6F,7Fを径方
向外側に付勢する付勢力をF5 、回出側に配設されるア
ンチラトルスプリング8Bの腕部8eのパッド保持部8
fがロータ径方向内側端面6F,7Fを径方向外側に付
勢する付勢力をF6 、とした場合に、それら付勢力F5
及びF6 間に、 F5 <F6 ……(3) という関係が成立するように腕部8eの無負荷時の形状
等が調整されている。なお、パッド押圧クリップ20の
突出部20Aがロータ径方向外側端面6E,7Eを径方
向内側に付勢する付勢力をF7 は、付勢力F5 ,F6
同程度の大きさであればよく、大小関係はあまり問題で
はない。
【0064】その他の構成は、上記第1実施例と同様で
ある。このような構成であると、非制動時には、裏金6
B,7Bのロータ径方向内側端面6F,7Fには、アン
チラトルスプリング8A,8Bの各腕部8eからパッド
保持部8fを介して付勢力F5 ,F6 が入力されるとと
もに、裏金6B,7Bのロータ径方向外側端面6E,7
Eの中央部には突出部20Aから付勢力F7 が入力され
ているため、それら付勢力F5 〜F7 の大きさに上記の
ような関係があると、裏金6B,7Bには、上記第1実
施例と同様の回転モーメントM1 が入力されるから、ブ
レーキパッド6,7全体は、その回転モーメントM1
より突出部20Aを支点として回転する。
【0065】従って、この第2実施例であっても、上記
第1実施例と同様に、非制動中のブレーキパッド6,7
は、図7(a)に示すように安定した状態に保持され、
それらブレーキパッド6,7のがたつきが防止される。
また、非制動状態から制動状態に移行する際の動作は、
上記第1実施例と同様であるから、制動時のブレーキパ
ッド6,7は、図7(b)に示すような状態でトルクメ
ンバ3に保持される。
【0066】そして、制動状態から非制動状態に移行す
る際に、ブレーキパッド6,7に対するロータ軸方向の
押圧力が解除されると、上記第1実施例と同様に、ブレ
ーキパッド6,7は、回転モーメントM1 によって、制
動モーメントM2 による回転とは逆方向に回転すること
になるから、ブレーキパッド6,7及びトルクメンバ3
間の摩擦抵抗が低下し、ブレーキパッド6,7は、小さ
な力でもロータ軸方向に変位可能な状態となる。
【0067】一方、ブレーキパッド6,7に対するロー
タ軸方向の押圧力が解除されると、ブレーキパッド6,
7のディスクロータ2側への変位により弾性変形してい
た腕部8eが自己の弾性力により復元し、パッド保持部
8fもディスクロータ2から離れる方向に変位し、これ
によって、裏金6B,7Bのロータ径方向内側端面6
F,7Fに、ディスクロータ2から離れる方向の力が入
力される。
【0068】そして、上記第1実施例と同様に、回転モ
ーメントM1 とディスクロータ2から離れる方向の力と
は制動が解除された直後に同時に起こるため、制動が解
除されると殆ど同時に、ブレーキパッド6,7はディス
クロータ2から離れる方向に変位するのである。ただ
し、本実施例では、裏金6B,7Bのロータ径方向内側
端面6F,7Fのみにディスクロータ2から離れる方向
の力が入力されるため、図12をC方向から見た場合の
部分断面図である図13に示すように、ブレーキパッド
6,7は、突出部20Aに支持されたロータ径方向外側
端面6E,7Eを支点として、ロータ径方向内側端面6
F,7F側がロータ軸方向に沿って左右に開くように、
ディスクロータ2から離れることになる。
【0069】しかし、かかる動作の際に支点となるロー
タ径方向外側端面6E,7Eの突出部20Aに支持され
た部分は、実際にディスクロータ2の摩擦摺動面に摺接
するライニング6A,7Aのロータ径方向外側端面より
もさらにロータ径方向外側に位置するため、ライニング
6A,7Aの摩擦摺動面は、確実にディスクロータ2か
ら離隔することになる。
【0070】このように、本実施例の構成であっても、
非制動時には、ディスクロータ2の摩擦摺動面と、ライ
ニング6A,7Aの表面との間のクリアランスを確実に
確保することができるから、上記第1実施例と同様に、
ブレーキパッド6,7の交換頻度を上げてしまう等の不
具合を招かないのである。その他の作用効果も、上記第
1実施例と同様である。
【0071】ここで、本実施例にあっては、アンチラト
ルスプリング8A,8B及びパッド押圧クリップ20
が、回転モーメント発生手段に対応する。なお、上記各
実施例では、トルクメンバ3側に形成される凹部3C,
3Dをロータ径方向に適宜オフセットさせることによ
り、非制動時における安定した保持状態を得るようにし
ているが、凹部3C,3Dをオフセットさせなくても、
例えば図14に示すように、裏金6B,7Bに形成され
る凸部6C,7C,6D,7Dをロータ径方向にオフセ
ットさせても、同様の作用効果が得られる。ただし、凸
部6C,7C,6D,7Dをオフセットさせる場合に
は、回入側の凸部6C,7Cが、回出側の凸部6D,7
Dよりも、ロータ径方向内側に位置するようにオフセッ
トさせる必要がある。
【0072】また、上記各実施例では、アンチラトルス
プリング8A,8Bの腕部8d,8eのロータ軸方向の
ばね力を利用して、制動時から非制動時に移行した際に
ブレーキパッド6,7をディスクロータ2から離隔させ
るようにしているが、これに限定されるものではなく、
例えば、各パッド保持部8fをロータ軸方向に平行にし
て、パッド保持部8fと裏金6B,7Bとの間に滑りが
生じるようにするとともに、シリンダボディ4を省略し
た状態のディスクブレーキ装置1の斜視図である図15
に示すように、ブレーキパッド6,7の裏金6B,7B
間に離隔方向に付勢力を発揮するように、ばね機構とし
てのV字スプリング21,22を掛け渡し、そのV字ス
プリング21,22により、非制動時にブレーキパッド
6,7をディスクロータ2から離隔する方向に変位させ
てもよい。なお、このような構成の場合、ブレーキパッ
ド6,7を離隔させる力は、裏金6B,7Bのロータ径
方向外側端面等の一部に入力されるため、その力が入力
される部位から遠い位置ではブレーキパッド6,7がデ
ィスクロータ2から離隔しないことが懸念されるが、上
記第1実施例や第2実施例のような構成であれば、制動
が解除された直後はブレーキパッド6,7とトルクメン
バ3との摺動抵抗が極めて小さくなっているため、離隔
させる力が一部に入力されても、ブレーキパッド6,7
全体をディスクロータ2から離隔させることができる。
【0073】そして、回転中のディスクロータ2の摩擦
摺動面には、製造コストには常識的な上限があることか
ら、微小ではあるが、ディスクロータ2の組付誤差や製
造誤差に起因する面振れ(通常、両振幅で50〜100
μm程度の面振れ)があるため、ディスクロータ2が回
転中であれば、その摩擦摺動面の面振れによって、ブレ
ーキパッド6,7のそれぞれには、ディスクロータ2か
ら離隔する方向の力が入力される。従って、上記第1実
施例や第2実施例のように、制動が解除された直後はブ
レーキパッド6,7とトルクメンバ3との摺動抵抗を極
めて小さくできれば、アンチラトルスプリング8A,8
Bの腕部8d,8eのロータ軸方向のばね力を利用せ
ず、また、図15に示すようなV字スプリングを利用し
なくても、ブレーキパッド6,7をディスクロータ2か
ら離隔させることはできる。
【0074】さらに、上記第1実施例では、各ブレーキ
パッド6,7を、回入側及び回出側のそれぞれにおい
て、ロータ径方向両側からパッド保持部8fで挟み込む
ように4点で支持し、それら各パッド保持部8fから入
力される付勢力F1 〜F4 を上記(1),(2)式に示
すような関係とすることより、回転モーメントM1 を発
生させるようにしているが、これに限定されるものでは
なく、例えば、付勢力を弱く設定するパッド保持部8f
は省略してもよい。つまり、上記第1実施例において
は、回入側に位置するアンチラトルスプリング8Aのロ
ータ径方向内側の腕部8e及びパッド保持部8fと、回
出側に位置するアンチラトルスプリング8Bのロータ径
方向外側の腕部8d及びパッド保持部8fとを省略して
も、回転モーメントM1 は生じるから、同様の作用効果
が得られるのである。同様の観点から、上記第2実施例
においては、回入側のアンチラトルスプリング8Aの腕
部8e及びパッド保持部8fを省略してもよい。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、制動状態から非制動状態に移行する際に、
ブレーキパッドを積極的に回転させることにより、ブレ
ーキパッドをトルクメンバから浮かせるようにしたた
め、それらブレーキパッド及びトルクメンバ間の摩擦抵
抗が低下し、ブレーキパッドはディスクロータから小さ
な力でも離れる状態となるから、非制動時におけるブレ
ーキパッド及びディスクロータ間のクリアランスを容易
に確保できるという効果がある。
【0076】また、請求項2に係る発明であれば、アン
チラトルスプリングに、ブレーキパッドのディスクロー
タ径方向外側端面を径方向内側に付勢する外側弾性保持
部と、ブレーキパッドのディスクロータ径方向内側端面
を径方向外側に付勢する内側弾性保持部とを設け、それ
ら外側弾性保持部及び内側弾性保持部の付勢力を、ディ
スクロータ正転方向回入側及び出側のそれぞれで適宜異
ならせたため、制動状態から非制動状態に移行する際
に、ブレーキパッドを積極的に回転させることができる
という効果がある。
【0077】特に、請求項3に係る発明であれば、請求
項2に係る発明における外側弾性保持部及び内側弾性保
持部のそれぞれに、ディスクロータ正転方向回入側寄り
の位置及びディスクロータ正転方向回出側寄りの位置を
保持する部位を設け、それら保持する部位の付勢力の大
小関係を適宜設定したため、より確実に、制動状態から
非制動状態に移行する際に、ブレーキパッドを積極的に
回転させることができるという効果がある。
【0078】そして、請求項4に係る発明であれば、ア
ンチラトルスプリングの各弾性保持部をブレーキパッド
のディスクロータ側への変位に追従して弾性変形するよ
うにしたため、これによってブレーキパッドをディスク
ロータから離隔させる力が得られるから、上記請求項
2,請求項3に係る発明の効果と合わさって、制動状態
から非制動状態に移行する際に、ブレーキパッドをディ
スクロータから確実に離隔できるという効果がある。
【0079】また、請求項5に係る発明であれば、アン
チラトルスプリングにブレーキパッドのディスクロータ
径方向内側端面を径方向外側に付勢する内側弾性保持部
を設け、その内側弾性保持部の付勢力をディスクロータ
正転方向回入側及び出側で異ならせるとともに、ブレー
キパッドのディスクロータ径方向外側端面のディスクロ
ータ正転方向中央部付近を支持するパッド押圧クリップ
を設けたため、請求項2に係る発明と同様に、制動状態
から非制動状態に移行する際に、ブレーキパッドを積極
的に回転させることができるという効果がある。
【0080】特に、請求項6に係る発明であれば、上記
請求項5に係る発明における内側弾性保持部にディスク
ロータ正転方向回入側寄りの位置及びディスクロータ正
転方向回出側寄りの位置を保持する部位を設け、それら
保持する部位の付勢力の大小関係を適宜設定したため、
上記請求項3に係る発明と同様に、より確実に、制動状
態から非制動状態に移行する際に、ブレーキパッドを積
極的に回転させることができるという効果がある。
【0081】そして、請求項7に係る発明であれば、ア
ンチラトルスプリングの各弾性保持部をブレーキパッド
のディスクロータ側への変位に追従して弾性変形するよ
うにしたため、上記請求項4に係る発明と同様に、ブレ
ーキパッドをディスクロータから離隔させる力が得られ
るから、上記請求項5,請求項6に係る発明の効果と合
わさって、制動状態から非制動状態に移行する際に、ブ
レーキパッドをディスクロータから確実に離隔できると
いう効果がある。
【0082】さらに、請求項8又は請求項9に係る発明
であれば、トルクメンバ側に形成される凹部又はブレー
キパッド側に形成される凸部を適宜ディスクロータ径方
向にオフセットさせたため、非制動時のブレーキパッド
を安定した状態でトルクメンバに保持でき、がたつきや
異音の発生を防止できるという効果がある。そして、請
求項10に係る発明であれば、上記請求項1〜9に係る
発明の効果と合わさって、非制動時には、ばね機構の付
勢力により、ブレーキパッドをディスクロータから離隔
させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の全体構成を示す平面図で
ある。
【図2】図1をA方向から見た一部破断正面図である。
【図3】アンチラトルスプリングの正面図である。
【図4】アンチラトルスプリングの側面図である。
【図5】アンチラトルスプリングの斜視図である。
【図6】ブレーキパッドの支持状態を説明する図であ
る。
【図7】第1実施例の動作を説明する概略図である。
【図8】第1実施例の動作を説明する図であって、図6
をB方向から見た図である。
【図9】第2実施例のアンチラトルスプリングの斜視図
である。
【図10】第2実施例のシリンダボディの斜視図であ
る。
【図11】パッド押圧クリップの斜視図である。
【図12】第2実施例におけるブレーキパッドの支持状
態を説明する図である。
【図13】第2実施例の動作を説明する図であって、図
12をC方向から見た断面図である。
【図14】ブレーキパッドの凸部にオフセットを与えた
場合の説明図である。
【図15】ブレーキパッド間にV字スプリングを掛け渡
した状態の斜視図である。
【符号の説明】
1 ディスクブレーキ装置 2 ディスクロータ 3 トルクメンバ 3a 回入側端面 3b 回出側端面 4 シリンダボディ 6,7 ブレーキパッド 6A,7A ライニング 6B,7B 裏金 6C,7C,6D,7D 凸部 6E,7E ロータ径方向外側端面 6F,7F ロータ径方向内側端面 8A,8B アンチラトルスプリング 8d,8e 腕部 8f パッド保持部(外側弾性保持部,内側弾性
保持部) 11 ピストン(押圧手段) 14A,14B 爪部(押圧手段) 21,22 V字スプリング(ばね機構)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪と共に回転するディスクロータの摩
    擦摺動面に対向して配置されるブレーキパッドと、この
    ブレーキパッドをディスクロータ軸方向に摺動可能に支
    持し且つ車体側に固定されて前記ブレーキパッドからの
    制動トルクを受けるトルクメンバと、前記ブレーキパッ
    ドを前記ディスクロータに向けて押圧する押圧手段と、
    を備えたディスクブレーキ装置において、 前記ブレーキパッドのディスクロータ正転方向回入側を
    ディスクロータ径方向内側に向かわせ且つディスクロー
    タ正転方向回出側をディスクロータ径方向外側に向かわ
    せる回転モーメントを生成する回転モーメント生成手段
    を設けたことを特徴とするディスクブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 車輪と共に回転するディスクロータの摩
    擦摺動面に対向して配置されるブレーキパッドと、車体
    側に固定され且つ前記ブレーキパッドからの制動トルク
    を受けるトルクメンバと、このトルクメンバに設けられ
    且つ前記ブレーキパッドをディスクロータ軸方向に摺動
    可能に支持するアンチラトルスプリングと、前記ブレー
    キパッドを前記ディスクロータに向けて押圧する押圧手
    段と、を備えたディスクブレーキ装置において、 前記アンチラトルスプリングに、前記ブレーキパッドの
    ディスクロータ径方向外側端面を径方向内側に向けて付
    勢する外側弾性保持部と、前記ブレーキパッドのディス
    クロータ径方向内側端面を径方向外側に向けて付勢する
    内側弾性保持部と、を設けるとともに、前記ブレーキパ
    ッドにおけるディスクロータ正転方向回入側では、前記
    外側弾性保持部の付勢力を前記内側弾性保持部の付勢力
    よりも大きくし、前記ブレーキパッドにおけるディスク
    ロータ正転方向回出側では、前記内側弾性保持部の付勢
    力を前記外側弾性保持部の付勢力よりも大きくしたこと
    を特徴とするディスクブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 前記外側弾性保持部は、前記ブレーキパ
    ッドのディスクロータ径方向外側端面のディスクロータ
    正転方向回入側寄りの位置に当接する第1外側弾性保持
    部と、前記ブレーキパッドのディスクロータ径方向外側
    端面のディスクロータ正転方向回出側寄りの位置に当接
    する第2外側弾性保持部と、を有し、前記内側弾性保持
    部は、前記ブレーキパッドのディスクロータ径方向内側
    端面のディスクロータ正転方向回入側寄りの位置に当接
    する第1内側弾性保持部と、前記ブレーキパッドのディ
    スクロータ径方向内側端面のディスクロータ正転方向回
    出側寄りの位置に当接する第2内側弾性保持部と、を有
    し、前記第1外側弾性保持部の付勢力を前記第1内側弾
    性保持部の付勢力よりも大きくし、前記第2内側弾性保
    持部の付勢力を前記第2外側弾性保持部の付勢力よりも
    大きくした請求項2記載のディスクブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 前記外側弾性保持部の前記ブレーキパッ
    ドのディスクロータ径方向外側端面に当接するパッド保
    持面を、前記ディスクロータに近い側の端部が遠い側の
    端部よりもディスクロータ径方向内側に位置する方向に
    傾斜させるとともに、前記内側弾性保持部の前記ブレー
    キパッドのディスクロータ径方向内側端面に当接するパ
    ッド保持面を、前記ディスクロータに近い側の端部が遠
    い側の端部よりもディスクロータ径方向外側に位置する
    方向に傾斜させた請求項2又は請求項3記載のディスク
    ブレーキ装置。
  5. 【請求項5】 車輪と共に回転するディスクロータの摩
    擦摺動面に対向して配置されるブレーキパッドと、車体
    側に固定され且つ前記ブレーキパッドからの制動トルク
    を受けるトルクメンバと、このトルクメンバに設けられ
    且つ前記ブレーキパッドをディスクロータ軸方向に摺動
    可能に支持するアンチラトルスプリングと、前記ブレー
    キパッドを前記ディスクロータに向けて押圧する押圧手
    段と、を備えたディスクブレーキ装置において、 前記アンチラトルスプリングに、前記ブレーキパッドの
    ディスクロータ径方向内側端面を径方向外側に向けて付
    勢する内側弾性保持部を設けるとともに、その内側弾性
    保持部のディスクロータ正転方向回出側の付勢力をディ
    スクロータ正転方向回入側の付勢力よりも大きくし、そ
    して、前記ブレーキパッドのディスクロータ径方向外側
    端面のうち当該ブレーキパッドの摩擦摺動面のディスク
    ロータ径方向外側端部よりもディスクロータ径方向外側
    に位置する部分であって且つディスクロータ正転方向中
    央部付近にディスクロータ径方向外側から当接して支持
    するパッド押圧クリップを設けたことを特徴とするディ
    スクブレーキ装置。
  6. 【請求項6】 前記内側弾性保持部は、前記ブレーキパ
    ッドのディスクロータ径方向内側端面のディスクロータ
    正転方向回入側寄りの位置に当接する第1内側弾性保持
    部と、前記ブレーキパッドのディスクロータ径方向内側
    端面のディスクロータ正転方向回出側寄りの位置に当接
    する第2内側弾性保持部と、を有し、前記第2内側弾性
    保持部の付勢力を前記第1内側弾性保持部の付勢力より
    も大きくした請求項5記載のディスクブレーキ装置。
  7. 【請求項7】 前記内側弾性保持部の前記ブレーキパッ
    ドのディスクロータ径方向内側端面に当接するパッド保
    持面を、前記ディスクロータに近い側の端部が遠い側の
    端部よりもディスクロータ径方向外側に位置する方向に
    傾斜させた請求項5又は請求項6記載のディスクブレー
    キ装置。
  8. 【請求項8】 前記ブレーキパッドのディスクロータ正
    転方向回入側端面と、前記ブレーキパッドのディスクロ
    ータ正転方向回出側端面とに、ディスクロータ回転方向
    に突出した凸部を形成するとともに、前記ブレーキパッ
    ドのディスクロータ正転方向回入側端面に対向する前記
    トルクメンバのディスクロータ正転方向回入側端面と、
    前記ブレーキパッドのディスクロータ正転方向回出側端
    面に対向する前記トルクメンバのディスクロータ正転方
    向回出側端面とに、前記凸部をディスクロータ軸方向に
    摺動可能に受け入れる凹部を形成し、そして、前記トル
    クメンバのディスクロータ正転方向回入側端面の前記凹
    部を、前記トルクメンバのディスクロータ正転方向回出
    側端面の前記凹部よりも、ディスクロータ径方向外側に
    オフセットさせた請求項2乃至請求項7のいずれかに記
    載のディスクブレーキ装置。
  9. 【請求項9】 前記ブレーキパッドのディスクロータ正
    転方向回入側端面と、前記ブレーキパッドのディスクロ
    ータ正転方向回出側端面とに、ディスクロータ回転方向
    に突出した凸部を形成するとともに、前記ブレーキパッ
    ドのディスクロータ正転方向回入側端面に対向する前記
    トルクメンバのディスクロータ正転方向回入側端面と、
    前記ブレーキパッドのディスクロータ正転方向回出側端
    面に対向する前記トルクメンバのディスクロータ正転方
    向回出側端面とに、前記凸部をディスクロータ軸方向に
    摺動可能に受け入れる凹部を形成し、そして、前記ブレ
    ーキパッドのディスクロータ正転方向回入側端面の前記
    凸部を、前記ブレーキパッドのディスクロータ正転方向
    回出側端面の前記凸部よりも、ディスクロータ径方向内
    側にオフセットさせた請求項2乃至請求項7のいずれか
    に記載のディスクブレーキ装置。
  10. 【請求項10】 前記ディスクロータを両側から挟み込
    むように一対の前記ブレーキパッドを対向配置させると
    ともに、それらブレーキパッドを離隔する方向に付勢す
    るばね機構を設けた請求項1乃至請求項9のいずれかに
    記載のディスクブレーキ装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005140263A (ja) * 2003-11-07 2005-06-02 Advics:Kk ディスクブレーキのパッドサポート、及びそのパッドサポートを備えるディスクブレーキ
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DE102022107382A1 (de) 2022-03-29 2023-10-05 Dr. Ing. H.C. F. Porsche Aktiengesellschaft Bremssattelanordnung für eine Bremsvorrichtung eines Kraftfahrzeuges

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DE102022107382B4 (de) 2022-03-29 2024-07-11 Dr. Ing. H.C. F. Porsche Aktiengesellschaft Bremssattelanordnung für eine Bremsvorrichtung eines Kraftfahrzeuges

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