JPH0825096B2 - 加工装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は，分解ガスおよびオイルミストの処置がで
きる放電加工装置などの加工装置に関するものである。

〔従来の技術〕

第６図，第７図は，従来の放電加工装置を示す図で，
第６図は縦断面図，第７図は平面図である。

図中，（１）は加工槽，（２）は加工槽（１）内に置
かれた被加工物，（３）は被加工物（２）を放電加工す
る電極，（４）は加工槽（１）内に供給された加工液，
（５）放電加工によつて発生する加工液（４）の分解ガ
ス，（６）は加工液が室温によつて気化したオイルミス
トである。（７）は，加工槽（１）上部に設置された空
気噴出装置であり，（８）は空気噴出装置（７）によつ
て発生された空気の流れであり，（９）は，発生した空
気の流れ（８）を吸引する吸引口であり，（10）は吸引
装置である。

従来の放電加工装置は以上のように構成され，放電加
工によつて発生する分解ガス（５）と，室温によつて気
化したオイルミスト（６）は，加工槽（１）の上部に発
生する空気の流れ（８）により吸引口（９）に導かれ処
置される。

〔発明が解決しようとする課題〕

従来の放電加工装置は以上のように構成されているの
で，空気噴出装置（７）が加工槽（１）の上部に設置さ
れているため，発生された空気の流れ（８）は加工槽
（１）の上部に層流となるだけである。実際の放電加工
時は，被加工物（２）の大きさにより加工液（４）の高
さが変化するため，この高さによつては人体の有害な分
解ガス（５）が加工液（４）の上面に現われた時点で補
促することができず，加工槽（１）の全体に拡散してか
ら，補促せざるを得ない場合もあり，特に加工槽（１）
の壁周辺に近い位置のものほど補促の効率が落ちてい
た。

またこの場合，補促の効率を低下させないためには空
気噴出装置（７）の圧力を高くして，空気の流れ（８）
を速くする必要があるが，設備も大きくなり，また放電
加工機本体に局部的な温度変化を生ずる可能性があるた
め精度の高い加工には適用できなかつた。

この発明は上記問題点を解決するためになされたもの
で，空気流れを加工液から一定の高さで常に層流にする
ことにより，発生した分解ガスを直ちに加工液面上で補
促し，吸引装置へ導くことにより，低い空気圧で補促の
効率を高めるようにした加工装置を提供することを目的
とする。

〔課題を解決するための手段〕

この発明に係る、加工を補促するため加工時に被加工
物を浸す液体と、被加工物を浸した液体を入れた加工槽
と、加工槽の液体上部に液面と並行に流れる気流を起こ
す気流発生装置と、この気液を吸引する気流吸引装置と
を有し、被加工物の加工により液体から発生するガスを
除去する加工装置においては、加工槽の液体の液面の位
置を検出する手段、検出された液面の位置に応じて、気
流発生装置と気流吸引装置の少なくとも一方を液面から
一定の位置に昇降移動させる手段、を備えたものであ
る。

〔作用〕

この発明における加工装置は、加工槽の液体の液面の
位置を検出する手段によって加工液面高さが検出される
と、それに応じて気流発生装置と気流吸引装置の一方ま
たは両方を昇降移動させ、その気流を加工液面から一定
位置に保持する。

〔実施例〕

第１図，第２図，第３図はこの発明に係る第１の加工
装置の一実施例を示す図で，第１図は縦断面図，第２図
は平面図，第３図は空気噴出装置部分の正面図，（１）
〜（10）は上記従来装置と同様のものである。

図中，（12）は加工槽（１）内に立設された支柱，
（13）は支柱（12）に案内され駆動機（14）により昇降
する空気圧供給ブロック，（17）は空気圧供給ブロック
（13）の上に固定された噴出孔（7a）〜（7e）から一定
の高さに配置された液面高さ検出器，（18）は検出器
（17）の出力を駆動機（14）に伝達する信号線である。
（15）は空気圧供給ブロック（13）に送る空気圧を発生
するポンプ，（16）は供給された空気圧を調整するバル
ブ，（11）は加工槽（１）内に立設された加工液面設定
用の堰板である。

上記のように構成された放電加工装置においてはポン
プ（15）によつて発生された空気圧は，調節バルブ（1
6）によつて最適に調節され，空気圧供給ブロック（1
3）および空気噴出装置（７）に介して噴出孔（7a）〜
（7e）より加工液（４）の上面に空気の流れ（８）を供
給し，加工槽（１）の反対側より，吸引装置（９）によ
り分解ガス（５），オイルミスト（６）とともに補促さ
れ，処理される．そして液面高さ検出器（17）は加工液
面の高さの変化を検出し，その変化に応じた信号を信号
線（18）を通じて駆動機（14）に送出する。

この信号に応じて駆動機（14）は動作し，空気圧供給
ブロック（13）を昇降させ，噴出孔（7a）〜（7e）を加
工液（４）面から一定高さに保持する。その結果，発生
する分解ガス（５），オイルミスト（６）を効率良く補
促できるようになり，作業環境が著しく改善されるとと
もに，発生する空気圧を必要最小限に抑えることによ
り，局所的な空気の流れ（８）による機械本体の熱変位
も抑えられ，作業環境の改善と高精度加工が同時に達成
可能となつた。

なお，実施例では液面高さ検出器（17）を噴出孔（7
a）〜（7e）から一定の高さに配置するものとしたが，
これを可変にして被加工物（２）および電極（３）の形
状に応じて数値制御プログラムで制御するようにしても
よい。

また，上記実施例では，液面高さ検出器（17）を用い
て液面を検出する場合を示したが，液面の高さが検出で
きるものであればよく，たとえば，液面上に浮く浮きな
どでもよい。

次に，この発明に係る第２の加工装置について説明す
る。前述した加工装置は加工液の液面の位置を検出し，
この液面と連動するようにしたものであつたが，次に示
す加工装置は，液面の位置を決定する部材と連動するよ
うにしたものである。

第４図，第５図はこの発明の一実施例を示す図で，第
４図は縦断面図，第５図は平面図で，図中（１）〜（1
0）までは上記従来装置と同様のものである。

図において（11）は加工液（４）の液面高さを設定す
る堰板であり，空気噴出装置（７）が取り付けられてい
る。（15）は空気噴出装置（７）に送る空気圧を発生さ
せるポンプ，（16）は発生した空気圧を調整するバルブ
である。

堰板（11）は，上下に移動できるように設計されてお
り，その上辺部に加工液（４）の液面が位置するように
なる。すなわち，加工液（４）追加や，加工液（４）内
への被加工物（２）や電極（３）の浸漬があり液面が加
工槽（１）内で上昇しても堰板（11）の上辺部からこぼ
れおちるため，液面は，堰板（11）の設置位置により決
まつてしまう。

このように第４図，第５図に示した加工装置は，加工
液の液面高さを設定する加工液面高さ設定堰板（11）
と，空気噴出孔（7a）〜（7e）を有して上記堰板に固定
されこの堰板と連動して上記空気噴出孔の位置を常に加
工液面から一定の位置に保持するように構成された空気
噴出装置（７）とを設けたものである。

上記のように構成された放電加工装置においてはポン
プ（15）によつて発生された空気圧は調整バルブ（16）
によつて最適に調整され，空気噴出装置（７）は加工液
（４）の上面に空気の流れ（８）を層流にして供給す
る。加工槽（１）の反対側にある吸引口（９）は，空気
の流れとともに，分解ガス（５），オイルミスト（６）
を補促して回収する。そして加工液面の高さを設定する
堰板（11）に固定された空気噴出装置（７）は常に加工
液面から一定の位置に保持される。その結果加工により
発生する分解ガス（５），オイルミスト（６）を，作業
者による調整作業によることなく効率よく補促，回収で
きることになり，作業環境が著しく改善されるととも
に，発生する空気圧を必要最小限に抑えることにより，
局所的な空気の流れ（８）による機械本体の熱変位も抑
えられ，無人化と，作業環境の改善と，高精度加工が同
時に可能となつた。

なお，上記実施例では，液面を設定する部材として堰
板（11）の場合を示したが，加工液（４）の液面を設定
する部材であればよく堰板（11）に限られるものではな
い。

また，上記２つの実施例では噴出孔（7a）〜（7e）よ
り空気を噴出する例を示したが，気流が発生できればよ
く，他の方法でもよい。

また，上記２つの実施例では，気流発生装置のみを移
動可能としたが，気流吸引装置を移動可能としてもよ
い。さらに一方のみならず両方を移動可能としてもよ
い。

また，上記２つの実施例では放電加工装置の例を示し
たが，加工中に不要気体が発生し，これを除去した方が
よい加工装置であればよく，この発明と同一の効果を奏
する。

〔発明の効果〕

以上のようにこの発明では，気流発生装置と気流吸引
装置の少なくとも一方を昇降可能に構成し，加工液面高
さが変化してもこれを連動でき，その結果，気流を加工
液面から一定位置に保持するようにしたので，空気の必
要最小限の流量で不要ガスを回収でき，省力化，作業環
境の改善，および高精度加工を達成できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による放電加工装置の一実施例を示す
縦断面図， 第２図はこの発明による放電加工装置の一実施例を示す
平面図， 第３図は空気噴出装置の正面図， 第４図はこの発明による放電加工装置の他の実施例を示
す縦断面図， 第５図はこの発明による放電加工装置の他の実施例を示
す平面図， 第６図は従来の放電加工装置を示す縦断面図， 第７図はその平面図である。 （１）は加工槽，（２）は被加工物，（３）は電極，
（４）は加工液，（５）は分解ガス，（６）はオイルミ
スト，（７）は空気噴出装置，（7a）〜（7e）は噴出
孔，（８）は空気の流れ，（９）は吸引口，（10）は吸
引装置，（11）は堰板，（12）は支柱，（13）は空気圧
供給ブロック，（14）は駆動機，（15）はポンプ，（1
6）はバルブ，（17）は液面高さ検出器である。 なお，図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】（ａ）加工を促進するため加工時に被加工
   物を浸す液体と、 （ｂ）被加工物を浸した液体を入れた加工槽と、 （ｃ）加工槽の液体上部に液面と並行に流れる気流を起
   こす気流発生装置と、 （ｄ）この気流を吸引する気流吸引装置と を有し、被加工物の加工により液体から発生するガスを
   除去する加工装置において、以下の手段を備えたことを
   特徴とする加工装置 （ｅ）加工槽の液体の液面の位置を検出する手段、 （ｆ）検出された液面の位置に応じて、気流発生装置と
   気流吸引装置の少なくとも一方を液面から一定の位置に
   昇降移動させる手段。