JPH08237057A - 弾性表面波装置とその周波数特性調整方法 - Google Patents

弾性表面波装置とその周波数特性調整方法

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JPH08237057A
JPH08237057A JP3865095A JP3865095A JPH08237057A JP H08237057 A JPH08237057 A JP H08237057A JP 3865095 A JP3865095 A JP 3865095A JP 3865095 A JP3865095 A JP 3865095A JP H08237057 A JPH08237057 A JP H08237057A
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acoustic wave
surface acoustic
thin film
voltage
film
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Hokuhoa Uu
ホクホア ウー
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 弾性表面波装置の中心周波数を所望の値にす
る。 【構成】 圧電基板11上のすだれ状のIDT15の上
には、誘電体膜20と電極用金属薄膜21が形成されて
いる。圧電基板11が金属のステムに搭載され、電極用
金属薄膜21とステム間に駆動直流電圧が印加される。
駆動直流電圧によって、電極用金属薄膜21とステムの
間に静電引力が発生し、静電引力によって圧電基板11
とIDT15の表面圧力が増加する。表面圧力の増加で
弾性表面波の伝搬速度が変化し、所望の中心周波数が得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弾性表面波フィルタ等
の弾性表面波装置とその周波数特性調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に弾性表面波装置は、電気信号に
基づいて弾性表面波(Surface Acoustic Wave ;以下、
SAWという)を励振するためのすだれ状のトランスデ
ューサ(Interdigital Transducer ;以下、IDTとい
う)を有している。そのIDTに対する加工によって、
弾性表面波装置に種々の特性と機能がもたらされる。従
来、弾性表面波装置と言えば、主に弾性表面波フィルタ
を示していたが、現在では弾性表面波共振子も多く利用
されるようになり、表面弾性波装置の範囲も広くなって
いる。この他に、弾性表面波コンボルバもIDTを有し
ているので、弾性表面波装置の一つである。
【0003】図2は、従来の弾性表面波装置を示す構造
図であり、例として弾性表面波共振子が示されている。
この弾性表面波共振子は、LiTaO3 やLiNbO3
等の圧電基板1を有している。圧電基板1上にはアルミ
ニウム或いはアルミニウムを主材料とする薄膜の下敷き
2が形成され、その下敷き2の上に入力端子3及び出力
端子4が形成されている。入力端子3及び出力端子4
は、金の薄膜のボンディングパッドである。入力端子3
及び出力端子4は、下敷き2を介してSAW励振用のI
DT5にそれぞれ接続されている。IDT5は、入力端
子3に接続された電極指5aと出力端子4に接続された
電極指5bとで構成されている。IDT5は下敷き2と
同時に作製されたものであり、そのIDT5の膜厚と材
質は、下敷き2と同じである。IDT5の両側には、反
射器6が形成されている。反射器6もIDT5と同時に
作製され、その反射器6の膜厚と材質はIDT5と同じ
である。反射器6は、アルミニウムパターン7を介して
アース線用金薄膜のボンディングパッド8にそれぞれ接
続されている。用途によっては、反射器6が不要となる
場合もある。使用目的によってIDT5の形状や配置は
様々であり、多少のバリエーションはあるが、他の表面
弾性波装置の構成も図2と基本的に同じ構造である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
弾性表面波装置では、次のような課題があった。一般的
に、各種弾性表面波装置は、特定の周波数帯域において
機能するように設計されている。その周波数帯域の中心
周波数Fc は、電極指5a,5bのピッチ、即ち電極指
間の間隔と、その膜厚と、圧電基板1上のSAWの伝搬
速度とで決まってくる。使用する圧電基板1の種類(例
えば、LiTaO3 ,LiNbO3 、水晶等)とIDT
5の材質が決まってくると、およそ電極間の間隔と、そ
の膜厚も自然に決まってくる。製造工程において、それ
らIDT5の電極指5a,5bの間隔は膜厚より先に決
められるので、最終的に中心周波数Fc を左右するのは
IDT5の膜厚となる。IDT5の膜厚が設計値よりも
厚くなると、SAWの伝搬速度が遅くなり、中心周波数
c が低域側に移動する。逆に設計値よりも薄くなる
と、SAWの伝搬速度が速くなり、中心周波数Fc が高
域側に移動する。したがって、所望の中心周波数Fc
得るためには、IDT5の膜厚をいかに正確に形成でき
るかに、かかっている。
【0005】従来の弾性表面波装置において、IDT5
は蒸着で形成される場合が、ほとんどである。また、ス
パッタリングで形成される場合もある。蒸着でIDT5
を形成した方が、スパッタリングで形成するよりも膜厚
の精度が高い上に膜質もよい。現在、市場に出回ってい
る蒸着機のうちで高性能なものは、5パーセント程度の
精度でIDT5を成膜できる。例えば、36゜YXcu
tのLiTaO3 の圧電基板1上に、主材料をアルミニ
ウムとしたIDT5を形成する場合、その蒸着機を用い
ても所望の中心周波数Fc が835MHzに対して、83
5±2MHzの中心周波数の弾性表面波装置しか得られな
い。この精度が許容される場合はよいが、そうでない場
合には、周波数特性を調整する必要がある。周波数特性
の調整方法には、基本的に二通りの方法がある。即ち、
中心周波数Fc が低域に移動している場合に用いられる
方法か、または中心周波数Fc が高域に移動している場
合に用いられる方法かによって、周波数特性の調整が行
われていた。
【0006】中心周波数Fc が低域に移動している場合
はIDT5の膜厚が設計値よりも厚いので、ドライエッ
チングで膜厚を少しずつ減じ、中心周波数Fc を所望の
値に調整する。中心周波数Fc が高域に移動している場
合、IDT5の膜厚が設計値よりも薄いので、まず、I
DT5上にスパッタリング等で絶縁膜の例えばSiO2
やZnOをやや厚目に堆積する。そして、ドライエッチ
ングまたはウェットエッチングで、その絶縁膜を削り、
中心周波数Fc を所望の値に調整する。ただし、ウェッ
トエッチングの場合、エッチング速度が速いので、ID
T5がエッチングされないような注意が必要である。い
ずれにしても、これら二通りの周波数特性の調整方法に
は手間と時間がかかり、弾性表面波装置のコストの上昇
が避けられなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、上記課題
を解決するために、圧電基板上にすだれ状に形成され、
与えられた高周波信号に基づき弾性表面波を励振するト
ランスデューサを備えた弾性表面波装置において、前記
トランスデューサの上に堆積された誘電体膜と、前記誘
電体膜上に形成された電極用金属薄膜とを、設けてい
る。第2の発明は、第1の発明の弾性表面波装置を金属
板または金属薄膜上に搭載し、それら金属板または金属
薄膜と前記電極用金属薄膜との間に可変直流電圧を加え
て静電力を発生させ、前記圧電基板の表面圧力を連続的
に制御するようにしている。第3の発明は、第1の発明
の弾性表面波装置を金属板または金属薄膜に搭載し、そ
れら金属板または金属薄膜と前記電極用金属薄膜との間
に、複数の電圧値から選択された電圧値を出力する電圧
源を接続し、該選択された電圧値に基づく静電力を発生
させて前記圧電基板の表面圧力を段階的に制御するよう
にしている。
【0008】
【作用】弾性表面波装置の周波数特性である中心周波数
c 等は、IDTの膜厚が設計値よりも厚くなると低域
側に移動し、薄くなると高域側に移動する。IDTによ
って励振されたSAWの伝搬速度が変化することが、中
心周波数Fc 等の移動の原因である。即ち、IDTの膜
厚が厚くなると、圧電基板の表面圧力が増加してSAW
の伝搬速度が遅くなり、SAWの伝搬速度に反比例して
中心周波数Fc 等が低域側に移動する。同様に、IDT
の膜厚が薄くなると、圧電基板の表面圧力が減少してS
AWの伝搬速度が速くなり、中心周波数Fc 等が高域側
に移動する。換言すれば、圧電基板におけるSAWの伝
搬する領域の表面圧力が、弾性表面波装置の中心周波数
c 等を左右するといっても、過言ではない。第1〜第
3の発明によれば、IDTの上の誘電体膜上に電極用金
属薄まくを設けているので、弾性表面波装置を金属板ま
たは金属薄膜に搭載したとき、該金属板または金属薄膜
と電極用金属膜が一つのコンデンサを構成する。金属板
または金属薄膜と電極用金属膜との間に直流電圧を印加
すると、それらの間には静電力が発生して互いに引き合
う。即ち、圧電基板とIDTには、表面圧力が生じて周
波数特性が変化する。従って、前記課題を解決できるの
である。
【0009】
【実施例】第1の実施例 図1(1)〜(3)は、本発明の第1の実施例を示す弾
性表面波共振子の構造図であり、同図(1)は上面図、
同図(2)は同図(1)のA−A断面図、同図(3)は
拡大断面図である。この弾性表面波装置は弾性表面波共
振子であり、材質がLiTaO3 やLiNbO3 等で構
成された圧電基板11を有している。圧電基板11上に
はアルミニウム或いはアルミニウムを主材料とする薄膜
の下敷き12が形成され、その下敷き12の上に入力端
子13及び出力端子14が形成されている。入力端子1
3及び出力端子14は、金の薄膜のボンディングパッド
である。入力端子13及び出力端子14は、下敷き12
を介してすだれ状のSAW励振用のIDT15にそれぞ
れ接続されている。IDT15の膜厚と材質は下敷き1
2と同じである。IDT15の両側には、反射器16が
形成されている。反射器16もIDT15と同時に作製
され、反射器16の膜厚と材質はIDT15と同じであ
る。各反射器16は、アルミニウムパターン17を介し
てアース線用金薄膜のボンディングパッド18にそれぞ
れ接続されている。
【0010】IDT15の電極指の間と上部には、誘電
体膜20である誘電体薄膜或いは圧電体薄膜が、図1の
(2)および(3)のように形成されている。誘電体膜
20の上部には電極用金属薄膜21が形成されている。
IDT15及びアースと薄膜21とは電気的に完全に独
立しているが、電極用金属薄膜21の横には、図示しな
い外部回路と接続するための金薄膜ボンディングパッド
19が設けられている。薄膜21の材料の選択条件とし
ては、密度が低くIDTに不要な表面圧力を加えないも
のが適切である。この選択条件に該当するものには、ア
ルミニウムまたはアルミニウムを主体とした合金等が考
えられる。図3は、図1の製造工程を示す断面図であ
り、この図を参照しつつ、弾性表面波共振子の製造工程
を説明する。
【0011】第1ステップにおいて、圧電基板11上に
図1における下敷き12、IDT15、反射器16、パ
ターン17を成膜して形成する。これらの膜の標準膜厚
は、例えば、1000Åとする。第2ステップにおい
て、下敷き12、IDT15、反射器16、及びパター
ン17の成膜された圧電基板11の上にレジスト22を
全面に塗布する。第3ステップで、マスクパターン23
を通して露光を行う。第4ステップでは不要なレジスト
を除去することで、パターンを形成する。続いて、第5
ステップでは第4ステップで得られた試料の上に、誘電
体膜20の例えばSiO2 、ZnOまたはSi3 4
堆積する。誘電体膜20の膜厚はIDT15の約1.5
〜2.0倍程度であり、該誘電体膜20の成膜方法はス
パッタリング法でよい。第6ステップにおいて、誘電体
膜20の上に電極用金属薄膜21を、蒸着またはスパッ
タリング法等で積層する。次の第7ステップにおいて、
不要なレジスト22のパターン、不要な誘電体膜20、
不要な電極用金属薄膜21をリフトオフで除去すること
により、IDT15の上部にのみに、誘電体膜20とそ
の上の電極用金属薄膜21を形成することができる。第
7ステップの後、入力端子13、出力端子14、アース
線用ボンディングパッド18等が形成される。
【0012】以上の工程によって図1の弾性表面波共振
子の構造は完成する。ここで、弾性表面波共振子の周波
数特性である中心周波数Fc が、所望の値によりも高い
場合、次のように調整を行う。弾性表面波共振子のチッ
プをパッケージに実装するとき、単独用パッケージの中
でも共用パッケージの中でも、下敷きの金属膜または金
属板が必要である。以下、この金属膜あるいは金属板を
電極用金属膜Bという。弾性表面波共振子の中心周波数
c を調整する本実施例において、その電極用金属膜B
と電極用金属薄膜21との間に直流電界が印加されるよ
うに、該電極用金属膜Bと電極用金属薄膜21を外部直
流回路に接続する。図4は、図1と外部直流回路との接
続を示す略図である。電極用金属膜Bと図1の弾性表面
波共振子の電極用金属薄膜21とに、可変電圧直流電圧
源30の電圧を印加すれば、電極用金属膜Bと電極用金
属薄膜21とに電位差が生じる。その結果、電極用金属
膜Bと電極用金属薄膜21との間に静電力が働き、互い
に引き合うようになる。
【0013】図5は、ステムに搭載した図1の弾性表面
波共振子を示す図であり、図6(1)(2)は、図5の
A−A断面とB−B断面を示す図である。弾性表面波共
振子のチップは電極用金属膜Bとなるステム40に搭載
される。ステム40は入力端子41及び出力端子42を
有している。各端子41,42は、ガラス43で囲われ
てステム40本体とは絶縁されている。入力端子41が
弾性表面波共振子の入力端子13にボンディングワイヤ
44で接続され、出力端子42が弾性表面波共振子の出
力端子14にボンディングワイヤ45で接続されてい
る。一方、弾性表面波共振子のアース線用ボンディング
パッド18は、ボンディングワイヤ46でステム40の
本体に接続され、そのステム40の本体に形成されたア
ース端子47が外部に導出されている。電極用金属薄膜
21を外部に接続するためのボンデイングパッド19
は、ボンディングワイヤ48で直流電圧端子49に接続
され、該直流電圧端子49が図示しない直流電圧源30
に接続されている。直流電圧端子49の周囲もガラス4
3で囲まれ、ステム40とその直流電圧端子49が絶縁
されている。ステム40の上部は金属の蓋50でカバー
され、弾性表面波共振子のチップが密閉される構造であ
る。
【0014】次に、図1、図5及び図6に示された弾性
表面波共振子の動作を説明する。入力端子41を介して
数MHz以上の高周波信号が入力端子13に入力される
と、電気的に該入力端子13に接続された電極指15a
に高周波電圧がかかる。このとき、電極指15aに隣接
して出力端子14に接続された電極指15bには、誘導
的に高周波電圧が発生するが、位相的に遅れているの
で、入力端子13と出力端子14間には電位差が生じ
る。これによって、電極指下の圧電基板11の表面は歪
み、入力信号と同じ周波数のSAWが励振する。SAW
の励振で電極指15aと電極指15bの結合はいっそう
強まり、出力端子14からある帯域の高周波信号が出力
される。出力端子14から出力される高周波信号の帯域
は、励振したSAWの伝搬速度に左右されることは、す
でに述べている。本実施例の重点は、SAWの伝搬速度
を電気的に制御することである。その圧電基板11のS
AWの伝搬する表面の圧力が増すと、該SAWの伝搬速
度は低下し、弾性表面波装置の中心周波数Fc が低域側
に移動する。本実施例では電極用金属薄膜21が可変電
圧直流電圧源30に接続されているので、該電極用金属
薄膜21と電極用金属膜Bとなるステム40の間には駆
動直流電圧が印加される。したがって、電極用金属薄膜
21とステム40の間には静電力が働いて、互いに引き
合うことになる。結果として、弾性表面波共振子のID
T15と圧電基板11が圧力を受けるので、SAWの伝
搬速度が遅くなる。
【0015】駆動直流電圧が高ければ高いほど、IDT
15にかかる圧力が増し、SAWの伝搬速度もこれに反
比例して下がる。即ち、駆動直流電圧で連続的にSAW
の伝搬速度を下げることにより、弾性表面波共振子の中
心周波数Fc を連続的に低域側に下げることができ、中
心周波数Fc を所望の値にすることができる。以上のよ
うに、本実施例にでは、IDT15の上部に誘電体膜2
0を介して電極用金属薄膜21を備え、図4の電極用金
属膜Bに対応するステム40に弾性表面波共振子を搭載
している。即ち、電極用金属薄膜21とステム40を両
電極とした一つのコンデンサに弾性表面波共振子系が収
められた構成となっている。そのため、電極用金属薄膜
21とステム40間に電位差が生じると静電力で引き合
い、弾性表面波共振子のIDT15に圧力が加わり、I
DT15の膜厚を増加するのと、同様の効果が得られ
る。
【0016】電極用金属膜Bと電極用金属薄膜21の間
の静電力Fは、次の(i)式で表すことができる。 F=−εSV2 /2/d2 ・・・(i) 但し、ε;電極用金属膜Bと電極用金属薄膜21間の誘
電率であり、ほぼ圧電基板11の誘電率に等しい。 S;電極用金属膜Bと電極用金属薄膜21の対向面積で
あり、ほぼ電極用金属薄膜21の面積に等しい。 d;電極用金属膜Bと電極用金属薄膜21の間隔であ
り、ほぼ圧電基板11の厚さに等しい。 V;電極用金属膜Bと電極用金属薄膜21間に印加され
る駆動直流電圧 (i)式中の“−”符号は、静電力Fが吸引力であるこ
とを示している。なお、(i)式については、次の文献
にも示されている。 文献;卯本重郎著、“電磁気学”(昭52)昭晃堂、P.
103 弾性表面波共振子にかかる力は、電極用金属膜Bと電極
用金属薄膜21にかかる駆動直流電圧Vの二乗に比例す
る。即ち、それほど電圧Vが高くなくても、弾性表面波
共振子のIDT15に高い表面圧力をかけることができ
る。その表面圧力Pは、次の(ii)式となる。 P=F/S=−εV2 /2/d2 ・・・(ii) また、励振したSAWの伝搬速度は表面圧力Pに反比例
し、弾性表面波共振子の中心周波数Fc が該伝搬速度に
比例する。つまり、弾性表面波共振子の中心周波数Fc
が表面圧力Pに反比例する。(ii)式により、表面圧力
は駆動直流電圧Vの二乗に比例するので、中心周波数F
c が、電圧Vの二乗に反比例することになる。
【0017】図7(1)(2)は、図1の弾性表面波共
振子の周波数特性を示す図であり、同図(1)は駆動直
流電圧Vと中心周波数の関係、同図(2)は駆動直流電
圧Vによる周波数特性の変動を示している。電極用金属
薄膜21と電極用金属膜B間の電圧Vが零のときの弾性
表面波共振子の中心周波数はF0 であり、弾性表面波共
振子に電圧Vをかける前の中心周波数である。図7
(1)中のF1 は、所望の中心周波数の値であり、V1
はその時の駆動直流電圧の値である。電圧Vは連続的に
可変であるので、中心周波数Fcも連続的に可変であ
る。図7(2)は弾性表面波共振子の挿入損失を示して
いる。駆動直流電圧Vを印加する前の弾性表面波共振子
の周波数特性は、特性曲線60となるが、その電圧V1
を印加すると特性曲線61のようになる。
【0018】理論的には、絶縁破壊等の事故が発生しな
い限り、駆動直流電圧Vが高くなればなるほど、中心周
波数Fc が低下する。ここで、実用的に数ボルトの駆動
直流電圧Vで数メガヘルツの中心周波数Fc を移動させ
ることは可能であり、絶縁破壊が発生する程の電圧V
を、電極用金属膜Bのステム40と電極用金属薄膜21
に印加する必要はない。しかし、図7(1),(2)で
示すように、所望の中心周波数F1 は、必ず直流駆動電
圧Vが零の時の中心周波数F0 以下になるように、弾性
表面波共振子を製造しなくてはならない。つまり、直流
駆動電圧Vで中心周波数Fc を中心周波数F0 より低く
することはできるが、その逆はできない。したがって、
例えばIDT15を蒸着で形成する時に、蒸着機の成膜
精度を考慮して、中心周波数F0 が所望の中心周波数F
1 の値よりも、高いように成膜する必要がある。中心周
波数F0 が中心周波数F1 に近ければ近いほど、直流駆
動電圧Vが低くて済み、圧電基板11に不要な歪みを与
えなくて済む。また、理論的には電極用金属薄膜21と
電極用金属膜B、つまりステム40との間には電流が流
れないので、消費電力はない。即ち、本実施例では、駆
動直流電圧をかけるための、可変電圧直流電圧源30が
必要であるが、弾性表面波共振子の中心周波数Fc を確
実に所望の値F1 に調整することが可能であり、設計の
自由度と製造歩留まりが大きく改善される。特に、高精
度の中心周波数を必要とする弾性表面波共振子には、非
常に有効である。
【0019】第2の実施例 本実施例で用いられる弾性表面波共振子は、図1の弾性
表面波共振子と同じ構造であり、図5および図6と同様
のステム40に搭載される。弾性表面波共振子上に形成
された電極用金属薄膜21と電極用金属膜Bに相当する
ステム40は、第1の実施例の可変電圧直流電圧源30
とは異なる階段状電圧を出力する直流電圧源に接続され
ている。図8(1)(2)は、本発明の第2の実施例の
弾性表面波共振子の周波数特性を示す図であり、この図
を参照しつつ、第2の実施例の弾性表面波共振子の周波
数特性調整方法を説明する。直流電圧源は、複数の電圧
から選択した電圧を出力する機能を有し、例えば、図8
の(1)のような周期Tで、駆動電圧V1 ,V2 を出力
する。即ち、時刻tが0とT1 の間(0<t<T1 )の
とき電圧0、時刻tがT1 とT2 の間(T1<t<
2 )のとき駆動電圧V1 、時刻tがT2 とT3 の間
(T2 <t<T3 )のとき駆動電圧V2 を出力する。こ
のような駆動電圧を弾性表面波共振子の電極用金属薄膜
21に出力することにより、弾性表面波共振子の挿入損
失の周波数特性は図8の(2)ようになり、静電力によ
って弾性表面波共振子の中心周波数Fc が変化する。時
刻tが0とT1 の間(0<t<T1 )においては、周波
数特性が特性曲線80となり、中心周波数はF0 とな
る。時刻tがT1 とT2 の間(T1 <t<T2 )におけ
る周波数特性は特性曲線81となり、中心周波数はF1
となる。時刻tがT2 とT3 の間(T2 <t<T3 )の
とき周波数特性は特性曲線82となり、中心周波数はF
2 となる。
【0020】以上のように、本実施例では、駆動電圧を
制御することで、一つの弾性表面波共振子に、いろいろ
な周波数特性を持たせることが可能となっている。な
お、本発明は、上記実施例に限定されず種々の変形と応
用が可能である。その変形例及び応用例としては、例え
ば次のようなものがある。 (I) 第1及び第2の実施例では、弾性表面波共振子
の例を示しているが、本発明は、IDTを有する全ての
弾性表面波装置の周波数特性を調整することが可能であ
る。よって、特に弾性表面波共振子を用いて帯域フィル
タを構成するときに、弾性表面波共振子同士の共振周波
数と***振周波数の精度をよく合わすことが、簡単にな
る。また、共振周波数と***振周波数を制御すること
で、帯域フィルタの帯域幅を広げたり狭めたりすること
も可能である。 (II) 弾性表面波共用器では、分波回路と周波数帯域
の隣接する送信用弾性表面波フィルタと受信用弾性表面
波フィルタが用いられている。各弾性表面波フィルタの
中心周波数Fc は、互いに約30MHz離れている。ここ
で、第2の実施例で説明したような中心周波数の調整方
法を用いれば、送信用弾性表面波フィルタと受信用弾性
表面波フィルタだけで、分波回路の不要な弾性表面波共
用器が構成できる。即ち、送信用弾性表面波フィルタが
正常に作動するときに、受信用弾性表面波フィルタの中
心周波数Fc1を該送信用弾性表面波フィルタに悪影響を
与えない方に移動させ、逆に、受信用弾性表面波フィル
タが正常に作動するとき、送信用弾性表面波フィルタの
中心周波数Fc2を移動させる。このようにすることで分
波回路が不要となると共に、分波回路を用いた場合より
も低損失の弾性表面波共用器を構成することができる。 (III) 第1,第2の実施例では、電極用金属膜Bに相
当する部分をステム40に設定しているが、圧電基板1
1の下側に電極用金属膜を形成しておき、それを電極用
金属膜Bとする構成としてもよい。この場合、ステム材
質の選定の自由度が上がる。
【0021】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、第1〜第3
の発明によれば、IDTの上に誘電体膜と電極用金属膜
とを設けているので、該電極用金属膜と弾性表面波装置
を搭載する金属膜或いは金属板とは、一つのコンデンサ
となる。電極用金属膜と弾性表面波装置を搭載する金属
膜或いは金属板との間に電圧を印加することにより、そ
れらの間に静電引力が発生して圧電基板及びIDTの表
面に圧力がかかり、弾性表面波装置の周波数特性が変化
する。よって、第2の発明のように、可変直流電圧を用
いれば、弾性表面波装置の中心周波数を所望の値にする
ことができる。また、第3の発明のように、段階的に電
圧を変化させれば、一つの弾性表面波装置に異なった周
波数特性を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す弾性表面波共振子
の構造図である。
【図2】従来の弾性表面波共振子を示す構造図である。
【図3】図1の製造工程を示す断面図である。
【図4】図1と外部直流回路との接続を示す図である。
【図5】ステムに搭載した図1の弾性表面波共振子を示
す図である。
【図6】図6は、図5の断面図である。
【図7】図1の弾性表面波共振子の周波数特性を示す図
である。
【図8】本発明の第2の実施例の弾性表面波共振子の周
波数特性を示す図である。
【符号の説明】
11 圧電基板 12 下敷き 13 入力端子 14 出力端子 15 IDT 20 誘電体 21 電極用金属膜 30 可変電圧直流電圧源 40 ステム B 電極用金属膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電基板上にすだれ状に形成され、与え
    られた高周波信号に基づき弾性表面波を励振するトラン
    スデューサを備えた弾性表面波装置において、 前記トランスデューサの上に堆積された誘電体膜と、前
    記誘電体膜上に形成された電極用金属薄膜とを、設けた
    ことを特徴とする弾性表面波装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の弾性表面波装置を金属板
    または金属薄膜上に搭載し、それら金属板または金属薄
    膜と前記電極用金属薄膜との間に可変直流電圧を加えて
    静電力を発生させ、前記圧電基板の表面圧力を連続的に
    制御することを特徴とする弾性表面波装置の周波数特性
    調整方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の弾性表面波装置を金属板
    または金属薄膜に搭載し、それら金属板または金属薄膜
    と前記電極用金属薄膜との間に、複数の電圧値から選択
    された電圧値を出力する電圧源を接続し、該選択された
    電圧値に基づく静電力を発生させて前記圧電基板の表面
    圧力を段階的に制御することを特徴とする弾性表面波装
    置の周波数特性調整方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004112378A (ja) * 2002-09-19 2004-04-08 Nec Corp フィルタ、複合フィルタ、それらを搭載したフィルタ実装体、集積回路チップ、電子機器およびそれらの周波数特性変更方法
WO2013073472A1 (ja) * 2011-11-18 2013-05-23 株式会社村田製作所 チューナブル弾性波装置

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