JPH08226059A - 繊維強化樹脂成形品及びその製法 - Google Patents

繊維強化樹脂成形品及びその製法

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JPH08226059A
JPH08226059A JP7056651A JP5665195A JPH08226059A JP H08226059 A JPH08226059 A JP H08226059A JP 7056651 A JP7056651 A JP 7056651A JP 5665195 A JP5665195 A JP 5665195A JP H08226059 A JPH08226059 A JP H08226059A
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thermoplastic resin
resin
fibers
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JP7056651A
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Shuji Yumitori
修二 弓取
Ryosaku Kadowaki
良策 門脇
Takao Yokumoto
貴生 浴本
Toshiaki Okumura
俊明 奥村
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 強化繊維と粉粒状もしくは繊維状の熱可塑性
樹脂を含む混合物の成形品における片面側が、熱可塑性
樹脂の溶融固化による基材部として形成され、他方側が
熱可塑性樹脂の不十分溶融もしくは非溶融に基づく強化
繊維の膨出による空隙内包部として形成された繊維強化
樹脂成形品とその製法を開示する。 【効果】 繊維間空隙を残し吸音、断熱、振動防止等の
作用を有する空隙内包部と、強化層となる支持層が、強
化繊維を介して結合一体化され、基材等による構造強度
の補強などを要することなくそのままの形態で吸音部
材、断熱部材、衝撃緩衝部材等として有効に活用でき、
また本発明法によれば、こうした特徴を有する繊維強化
樹脂成形品を、簡単な手順で効率よく製造することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、緻密な繊維強化樹脂製
基材の片面に、繊維間空隙を多数有し吸音、断熱、振動
減衰等の機能を発揮する空隙内包部が一体的に形成され
た繊維強化樹脂成形品、及びその製法に関するものであ
り、この成形品は、たとえば自動車等に用いられるアン
ダーシールド材やノイズシールド材の如く、エンジン音
の吸音性能が求められる部材等として有効に活用でき
る。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車等の車体下部に取り付けら
れる吸音用のアンダーシールド材としては、従来より、
ガラス繊維マットをアルミ箔等で包み込んだん吸音性部
材を、鋼板等の金属基材の片面に接着剤等で接合したも
のが用いられている。
【0003】他方繊維強化熱可塑性樹脂系の複合材料
は、安価でしかも優れた機械的特性を有しており、また
リサイクル性にも優れているといった特徴を有している
ところから、様々の分野で広く活用されている。この種
の複合材料の代表的な材料構成は、強化繊維としてガラ
ス繊維や炭素繊維を使用し、熱可塑性樹脂としてポリプ
ロピレン等のポリオレフィン系樹脂を複合したものであ
り、最近では、この種の繊維強化熱可塑性樹脂系複合材
料を、上記の様なアンダーシールド材として有効利用し
ようとする動きも見られる。
【0004】ところが、通常の繊維強化熱可塑性樹脂系
複合材料は、安価で錆を生じることがなくしかもリサイ
クル性にも優れているといった利点を有している反面、
肝心の吸音性能は備えていない。従って、この複合材料
をアンダーシールド用の素材として利用する際には、あ
くまでも基板としての機能を期待し得るに止まり、その
表面に上記と同様のアルミ箔等で包み込んだガラス繊維
マット等の吸音部材を貼り付けなければならない。
【0005】何れにしても従来の吸音材は、基材の表面
にガラス繊維マット等を主たる構成素材とする吸音性部
材を貼り付けたものであるから、こうした構成から必然
的に生じてくる問題として、下記の如き様々の難点が指
摘される。
【0006】基材に吸音性部材を接着剤等で貼り付け
なければならないので、接合作業が煩雑で手数を要し、
生産効率の低下やコストアップの問題が避けられない。 ガラス繊維マット等の貼り付け作業時などにガラス繊
維の破断片が飛散し、作業者の皮膚を刺激したり環境汚
染を生じる。 アンダーシールド材を回収してリサイクルしようとす
ると、夫々の構成素材であるアルミ箔、ガラス繊維マッ
ト、基材を一旦分離しなければならず、その作業が非常
に煩雑で分別回収費用が嵩むため、工業規模でのリサイ
クルは殆んど行なわれていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、優れ
た吸音特性等を有すると共にリサイクル性にも優れ、し
かも軽量で取扱い性に優れた繊維強化樹脂成形品を提供
すると共に、その様な繊維強化樹脂成形品を生産性よく
安価に製造することのできる方法を提供しようとするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る繊維強化樹脂成形品の構成は、強
化繊維と粉粒状もしくは繊維状の熱可塑性樹脂を含む混
合物の成形品における片面側が、熱可塑性樹脂の溶融固
化による基材部として形成され、他方側が熱可塑性樹脂
の不十分溶融もしくは非溶融に基づく強化繊維の膨出に
よる空隙内包部として形成されたものであるところに要
旨を有するものである。
【0009】また本発明に係る製法の構成は、強化繊維
と粉粒状もしくは繊維状の熱可塑性樹脂を含む綿状混合
物を予備成形し、繊維間空隙を残したプリフォーム体を
得た後、該プリフォーム体の片側を熱可塑性樹脂の溶融
温度以上に加熱し溶融させてから冷却固化させ、他方側
は、熱可塑性樹脂の溶融温度より低い温度の不十分加熱
もしくは非加熱によって強化繊維の膨出による空隙内包
部とするところに要旨を有している。
【0010】
【作用】上記の様に本発明の繊維強化樹脂成形品は、強
化繊維と粉粒状もしくは繊維状の熱可塑性樹脂を含む混
合物の成形品における片面側が、熱可塑性樹脂の溶融固
化により構造強度の高められた基材部として形成され、
他方側は熱可塑性樹脂の不十分溶融もしくは非溶融に基
づく強化繊維の膨出により、吸音、断熱、衝撃吸収等の
諸機能を発揮する空隙内包部として形成されたものであ
り、これらが一体となって、構造強度と吸音等の諸機能
性を兼ね備えたものとなるばかりでなく、従来の吸音材
等に比べて取扱い性が極めて良好で且つリサイクル性に
おいても非常に優れた特徴を発揮する。
【0011】しかもこの繊維強化樹脂成形品は、以下に
詳述する様な方法を採用することにより、簡単に生産性
よく製造することができる。以下、本発明の製法を詳述
しつつ得られる成形品の特徴を説明していく。
【0012】本発明を実施するに当たっては、原料素材
として強化繊維と、繊維状もしくは粉粒状の熱可塑性樹
脂を、例えば後述する様な気流混合法等によって均一に
混合した綿状混合体を使用し、該綿状混合体を予備成形
することにより、最終成形品とほぼ同一寸法・形状のプ
リフォーム体を製造する。
【0013】プリフォーム体を得るための予備成形法と
しては、上記綿状混合体を任意の型に充填して加圧する
方法等を採用すればよいが、この綿状混合体は強化繊維
と繊維状もしくは粉粒状の熱可塑性樹脂が均一に混合さ
れたものであって、加圧予備成形の後圧力を解除する
と、繊維の有する弾性的復帰力によって膨らもうとする
性質を有しているので、加圧だけではプリフォーム体の
形状を安定に保つことは難しい。従って、プリフォーム
体としての形状を保持するには、加圧の後ニードルパン
チ処理等を施して形状を安定化することが必要となる。
【0014】プリフォーム体としての形状を安定化させ
る他の方法としては、予備成形工程で綿状混合体を、そ
の中に含まれる熱可塑性樹脂の溶融温度付近まで昇温し
た状態で比較的低い圧力で加圧し、熱可塑性樹脂の一部
を溶融させて強化繊維同士の絡み合い部に該溶融樹脂を
付着せしめ、プリフォーム体としての形状を整えながら
冷却固化させる方法を採用することもできる。このとき
の加熱には、加熱板や赤外線を用いた加熱や熱風加熱な
ど公知の任意の加熱法を採用することが可能である。
【0015】かくして得られるプリフォーム体は、一部
が溶融固化していることもある熱可塑性樹脂と強化繊維
の間に無数の隙間を有するものであり、それ自身で吸
音、断熱、衝撃緩衝等の諸機能を備えているが、基本的
に繊維同士が絡まり合っただけのものであるから構造強
度に乏しく、これをそのままで吸音材等として使用する
には、先に述べた従来のガラス繊維マット等と同様に金
属板の如き補強用の基材と貼り合わせて強化しなければ
ならない。
【0016】そこで本発明では、このプリフォーム体の
有する吸音等の諸機能を保持したままで全体としての構
造強度を高めるため、該プリフォーム体の片側を熱可塑
性樹脂の溶融温度以上に加熱し、該片側の熱可塑性樹脂
を溶融し強化繊維の繊維間隙間に流延させた状態で冷却
固化させる一方、反対側は熱可塑性樹脂の溶融温度より
低い温度に保って不十分加熱もしくは非加熱の状態で繊
維間隙間を実質的にそのまま残した空隙内包部とする。
【0017】図1〜3はこの状態を模式的に示した断面
説明図であり、図1は予備成形前の綿状混合体1を示し
ており、強化繊維と熱可塑性樹脂が均一に混合されただ
けのものである。図2は、該綿状混合体を予備成形して
プリフォーム体2としたもので、ニードルパンチによっ
て与えられる拘束力あるいは一部の熱可塑性樹脂の溶融
固化による繊維間の接合によって、所定の形状に保たれ
ている(図中Nは、ニードルパンチによって与えられた
拘束部を示している)。
【0018】図3は、該プリフォーム体2を改質する工
程を追って示す断面模式図であり、図3(A)に示す如
くプリフォーム体2を上下型3a,3bの間に挟み込
み、該上下型3a,3bの上面側或は下面側(図では下
面側)から、プリフォーム体2を熱可塑性樹脂の溶融温
度以上に加熱する。そうすると、該プリフォーム体2に
おける加熱面側(下面側)の熱可塑性樹脂Rは溶融し、
図3(B)に示す如く強化繊維の繊維間隙間に熱可塑性
樹脂Rが流延して充満される。この状態で、必要により
適度に加圧整形してから冷却すると、図3(C)に示す
如くプリフォーム体2の加熱面側には、熱可塑性樹脂が
強化繊維間の隙間に浸入して冷却固化した剛性の支持層
4が形成されると共に、その反対面、即ち不十分加熱も
しくは非加熱の上面側は、プリフォーム体2に形成され
ていた繊維間隙間がそのまま空隙内包部5として残され
る。その結果、該支持層4が全体としての構造強度を保
障すると共に、空隙内包部5は吸音、断熱、衝撃緩和等
の諸機能を発揮することになり、そのままで吸音材等と
して有効に利用することのできる繊維強化樹脂成形体と
なる。
【0019】尚上記では、上下型3a,3bの一方側か
らプリフォーム体2を加熱する方法を示したが、加熱手
段はこの様な方法に限定される訳ではなく、要は片面側
のみを熱可塑性樹脂の溶融温度以上に昇温できると共
に、反対面側は熱可塑性樹脂の溶融温度未満の温度に保
ち得る限りどの様な加熱法を採用してもよく、例えば上
下面のみならず側面までも規制できる金型を用いてその
片面側のみから加熱しつつ整形する方法、あるいは熱風
を片面側のみに吹き付け、必要によっては反対面側には
冷風を吹き付けて昇温を抑制し、片面側の熱可塑性樹脂
のみを溶融させる方法などを採用することも可能であ
る。また場合によっては、プリフォーム体2を予め加温
しておき、加熱面側の昇温をより短時間で行なえる様に
することもできるが、この場合は、熱伝導等によって反
対面側までも熱可塑性樹脂の溶融温度以上に昇温するこ
とのない様、反対面側は水冷や空冷等によって冷却でき
る様にしておくことが望ましい。
【0020】加熱面側の加熱温度は、原料素材として使
用する熱可塑性樹脂の溶融温度に応じて決めるべきもの
であるから一律に決めることはできないが、例えばポリ
プロピレン系樹脂を使用する場合の好ましい加熱条件
は、150〜250℃、より好ましくは180〜220
℃の範囲であり、プリフォーム体2を予熱しておく場合
は、それより若干低目の温度に加熱すればよい。加熱時
間は、該加熱により形成すべき支持層4の厚みに応じ
て、厚めに形成したい場合は相対的に長時間、薄めにし
たい場合は相対的に短時間とすべきである。
【0021】本発明において、綿状混合体の構成素材と
なる熱可塑性樹脂の種類は特に制限されず、前記したポ
リプロピレン系樹脂の他、ポリエチレン等の他のポリオ
レフィン系樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド
系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアクリレート系樹脂等
の汎用樹脂、更にはポリスルホン、ポリフェニレンスル
フィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポ
リアミドイミド等の耐熱性に優れた熱可塑性樹脂等も用
いることができる。これらの中でも、コストや性能等を
総合的に考慮して特に好ましいのは、ポリプロピレン系
樹脂である。該ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプ
ロピレンのホモポリマーは勿論のこと、ポリプロピレン
−エチレンブロック共重合体、ポリプロピレン−エチレ
ンランダム共重合体、無水マレイン変性ポリプロピレン
系樹脂等を使用することができ、これらの熱可塑性樹脂
は夫々単独で使用してもよく、あるいは2種以上を複合
して使用することも可能である。
【0022】また、上記熱可塑性樹脂と複合される強化
繊維としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、金属繊
維、セラミックス繊維、アラミド繊維、ポリアミド繊
維、ポリエステル繊維、アクリル繊維等の人工繊維が挙
げられるが、これらの中でも特に好ましいのはガラス繊
維や炭素繊維である。このほか麻や綿等の天然繊維、更
には古紙を解繊したセルロース系繊維等を使用すること
も可能であり、特に、古紙を解繊したセルロース系繊維
を利用することは、リサイクルおよび環境保護の両面か
らして有利である。但し、古紙を解繊したセルロース繊
維等の天然繊維は、強化繊維としては剛性不足の嫌いが
あるので、剛性の高い上記の様な人工繊維を主たる強化
繊維として使用し、それらに空隙率や強度特性などを阻
害しない範囲で天然繊維を混合して使用することが望ま
しい。
【0023】上記熱可塑性樹脂と強化繊維の混合法とし
ては、圧縮空気等の圧縮気体を用いた気流混合法を採用
し、強化繊維と熱可塑性樹脂繊維を共に解繊しながら混
合する方法が好ましい。該気流混合法を採用するときの
好ましい強化繊維の寸法サイズは、前記支持層としての
構造強度や吸音、断熱、振動抑制機能なども考慮して適
宜選定すればよいが、一般的なのは繊維系が1〜100
μm程度、より好ましくは3〜20μm程度で繊維長が
1〜100mm、より好ましくは5〜50mm程度のも
のが好ましく、また繊維状の熱可塑性樹脂を使用する場
合の好ましい繊維系や繊維長さも、上記強化繊維とほぼ
同程度の範囲である。
【0024】綿状混合物を構成するこれら熱可塑性樹脂
と強化繊維の配合比率は特に制限されず、要求される構
造強度や吸音、断熱、振動減衰性能の程度も考慮してそ
の都度決めればよく、熱可塑性樹脂繊維:強化繊維の重
量比で10〜90%:90〜10%の広い範囲から選定
できるが、より一般的なのは30〜70%:70〜30
%の範囲である。
【0025】上記気流混合法を採用すれば、強化繊維や
熱可塑性樹脂の寸法サイズや配合比率等に拘らず、どの
様な場合でも両者を効率よく均一混合することができる
ので好ましい。このとき、強化繊維に対して30重量%
程度以下の比較的少量の粉粒状熱可塑性樹脂を混合する
場合は、平均粒子径が100μm程度未満の微細な粉粒
状熱可塑性樹脂を用いた方が均一な混合物が得られ易
く、一方強化繊維に対して30重量%を超える粉粒状熱
可塑性樹脂を混合する場合は、平均粒子径が100μm
〜3mm程度の比較的粗粒の粉粒状熱可塑性樹脂を用い
た方が均一な混合物が得られ易い。
【0026】プリフォーム体の片面側に形成される支持
層の厚みは、求められる複合成形体の構造強度や吸音、
断熱、衝撃緩和性能の程度に応じて設定すべきものであ
って一律に決めることはできないが、標準的な基準とし
ては示すならば、強化層となる支持層の厚さは0.5〜
10mm程度、より一般的には1〜5mm程度とし、繊
維間空隙を残したままで吸音等の機能層としての作用を
発揮する部分、即ち非加熱の空隙内包部の厚さは1〜2
00mm、より一般的には5〜50mmの範囲が好まし
い。
【0027】
【実施例】以下実施例によって本発明を更に具体的に示
すが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前
・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全
て本発明の技術範囲に包含される。
【0028】実施例1 繊維径13μm、繊維長13mmのチョップドガラス繊
維(旭ファイバーグラス社製、商品名「FT599」)
200gを、圧縮空気の吹込み流を撹拌源とする気流撹
拌装置に投入し、空気吹込み流量800リットル/分で
15秒間攪拌し解繊した。ついで、繊維径13μm、繊
維長13mmのポリプロピレン系樹脂繊維(大和紡績社
製)300gを加えて更に15秒間攪拌することによ
り、均一な綿状混合物を得た。この綿状混合物を250
mm×250mm×50mmの型枠に詰め込み、ニード
ルパンチ処理を施し形を整えてプリフォーム体とした。
該プリフォーム体の片面を230℃の加熱盤に20秒間
押し当てて該片面側のポリプロピレン系樹脂を加熱溶融
させた後、直ちに金型に装入して圧縮成形しつつ冷却固
化した(金型温度:60℃、冷却時間:30秒、圧力:
80kg/cm2 )。
【0029】得られた成形体は、加熱処理面側にポリプ
ロピレン系樹脂がガラス繊維の繊維隙間に充満した状態
で溶融固化した約2mmの支持層が形成されており、そ
の反対側非加熱部の約20mmは、繊維が毛羽立ったま
まで残されていた。また該非加熱部の支持層との界面で
は、ガラス繊維の一部が支持層内に埋め込まれた状態と
なっており、両者の界面は、該ガラス繊維を介して強固
に結合されていた。得られた複合成形体から直径88m
mの試験片を切り出して吸音特性を測定したところ、1
500Hzにおける吸音係数は0.6であり、優れた吸
音特性を有していることが確認された。
【0030】実施例2 実施例1で用いたのと同じチョップドガラス繊維300
gと、実施例1で用いたのと同じポリプロピレン系樹脂
繊維(大和紡績社製)200gとを使用し、圧縮空気を
用いた気流混合法により、実施例1と同様にして解繊し
ながら均一に混合して綿状混合物を得、マット状に押し
固めてからニードルパンチ処理を施し、250mm×2
50mm×30mmのプリフォーム体とした。
【0031】該プリフォーム体の片面を230℃の加熱
盤に30秒間押し当てて該片面側のポリプロピレン系樹
脂を加熱溶融させた後、直ちに金型に装入して圧縮成形
しつつ冷却固化した(金型温度:50℃、冷却時間:3
0秒、圧力:100kg/cm2 )。
【0032】得られた成形体は、加熱処理面側にポリプ
ロピレン系樹脂がガラス繊維の繊維隙間に充満した状態
で溶融固化した約3mmの支持層が形成されており、そ
の反対側非加熱部の約15mmは、繊維が毛羽立ったま
まで残されていた。また該非加熱部の支持層との界面で
は、ガラス繊維の一部が支持層内に埋め込まれた状態と
なっており、両者の界面は、該ガラス繊維を介して強固
に結合されていた。得られた複合成形体から直径88m
mの試験片を切り出して吸音特性を測定したところ、1
500Hzにおける吸音係数は0.55であり、優れた
吸音特性を有していることが確認された。
【0033】比較例1 チョップドガラス繊維(同前)200gとポリプロピレ
ン系樹脂繊維(同前)300gとを使用し、以下実施例
1と同様にして綿状混合物を得、更にマット状に押し固
めてからニードルパンチ処理してプリフォーム体とし
た。
【0034】このプリフォーム体を熱間プレスに挟んで
上下面から220℃で5分間加熱加圧し、プリフォーム
体中の熱可塑性樹脂の全てを溶融してから冷却固化し、
厚み方向の全てにおいてガラス繊維の繊維間空隙が熱可
塑性樹脂の溶融固化物で満たされ、毛羽立ちの全くない
厚さ6mmの複合成形体を得た。
【0035】得られた複合成形体から直径88mmの試
験片を切り出して吸音特性を測定したところ、1500
Hzにおける吸音係数は0.05であり、吸音材として
実用化し得る様なものではなかった。
【0036】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、繊
維間空隙を残し吸音、断熱、振動防止等の作用を有する
空隙内包部と、強化層となる支持層が、強化繊維を介し
て結合一体化され、基材等による構造強度の補強などを
要することなくそのままの形態で吸音部材、断熱部材、
衝撃緩衝部材等として有効に活用でき、また本発明法に
よれば、こうした特徴を有する繊維強化樹脂成形品を、
簡単な手順で効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する綿状混合物を示す説明図であ
る。
【図2】本発明に係る繊維強化樹脂成形体を得る際の中
間製品となるプリフォーム体を示す説明図である。
【図3】本発明の製法を例示する概略断面説明図であ
る。
【符号の説明】
1 綿状混合体 2 プリフォーム体 3a,3b 成形用金型 N ニードルパンチ処理部 4 支持層 5 空隙内包部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥村 俊明 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化繊維と粉粒状もしくは繊維状の熱可
    塑性樹脂を含む混合物の成形品における片面側が、熱可
    塑性樹脂の溶融固化による基材部として形成され、他方
    側が熱可塑性樹脂の不十分溶融もしくは非溶融に基づく
    強化繊維の膨出による空隙内包部として形成されたもの
    であることを特徴とする繊維強化樹脂成形品。
  2. 【請求項2】 強化繊維と粉粒状もしくは繊維状の熱可
    塑性樹脂を含む綿状混合物を予備成形し、繊維間空隙を
    残したプリフォーム体を得た後、該プリフォーム体の片
    側を熱可塑性樹脂の溶融温度以上に加熱し溶融させてか
    ら冷却固化させ、他方側は、熱可塑性樹脂の溶融温度よ
    り低い温度の不十分加熱もしくは非加熱によって強化繊
    維の膨出による空隙内包部とすることを特徴とする繊維
    強化樹脂成形品の製法。
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