JP3125281B2 - 表面に樹脂フィルムをもつ繊維成形体およびその製造方法 - Google Patents

表面に樹脂フィルムをもつ繊維成形体およびその製造方法

Info

Publication number
JP3125281B2
JP3125281B2 JP27674294A JP27674294A JP3125281B2 JP 3125281 B2 JP3125281 B2 JP 3125281B2 JP 27674294 A JP27674294 A JP 27674294A JP 27674294 A JP27674294 A JP 27674294A JP 3125281 B2 JP3125281 B2 JP 3125281B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
resin film
melting point
resin
flow rate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP27674294A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08132564A (ja
Inventor
守 深谷
寿仁 尾関
正和 磯貝
嗣己 三宮
正己 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP27674294A priority Critical patent/JP3125281B2/ja
Publication of JPH08132564A publication Critical patent/JPH08132564A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3125281B2 publication Critical patent/JP3125281B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面に樹脂フィルムを
もつ繊維成形体(いわゆる熱成形用の積層体よりなるマ
ット状成形体と称される)の製造方法に関する。本発明
の製造方法により製造された繊維成形体は、例えば、自
動車等の内装材、特に車室内の天井面の形状に沿って熱
賦形され通気止性に優れた天井用成形材として利用でき
る。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の天井材として軽量で耐熱
性、機械的強度、吸音性、熱賦形性が優れた繊維成形体
およびその製造方法が提供されている。例えば、 (1)特開平5−93352号公報には、従来の繊維成
形体およびその表面に積層した表皮材が通気性をもつた
め、自動車の天井材として用いた場合、気圧変化などで
生ずる通気によって汚れてくることを解決することを目
的とし、無機繊維と熱可塑性樹脂繊維とを主材料とする
マット状物(繊維集積体)と、その表面に熱可塑性樹脂
フィルムと、熱可塑性樹脂繊維より高い融点の耐熱性樹
脂層とを順に設けた構成およびそれらを加熱してマット
状成形体(繊維成形体)を得る製造方法が提案されてい
る。 (2)特開昭64−52862号公報には、無機繊維と
接着材として作用する熱可塑性樹脂(有機繊維あるいは
有機粉末)とよりなるマット状物(繊維集積体)の表面
に、熱可塑性樹脂フィルムを積層した積層シ−トを、熱
可塑性樹脂の溶融温度以上に加熱後、圧縮し、圧縮を解
除するととともに、熱可塑性樹脂の溶融温度以上に加熱
し、マット状物の厚みを回復した後、冷却して熱成形性
複合シートを得る製造方法が提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
(1)ところが、特開平5−93352号公報に開示さ
れた製造方法の場合には、マット状物(繊維集積体)
と、その表面に熱可塑性樹脂フィルムと、熱可塑性樹脂
繊維より高い融点の耐熱性樹脂層とを順に設けるため、
前記耐熱性樹脂層を余分に用いる必要があり、製造コス
トおよび製品コストを上昇させる。
【0004】又、溶融していない耐熱性樹脂層があるた
め、熱賦形性が劣る。 (2)また、特開昭64−52862号公報に開示され
た製造方法の場合には、積層シ−トを、熱可塑性樹脂の
溶融温度以上に加熱するため、積層シ−トの表面を形成
する熱可塑性樹脂フィルムが溶融し、ピンホール状の孔
が開く。このため、製造された熱成形性複合シートは、
通気性をもち、自動車の天井材として用いた場合、気圧
変化などで生ずる通気によって通気汚れが生じる。
【0005】なお、その製造時に、ピンホール状の孔が
開くことを回避するために、積層シートの加熱温度を低
くすると、無機繊維と熱可塑性樹脂フィルムとの良好な
接合状態が得られず、かつ製造後の熱成形性複合シート
の強度を低下させる。また、ピンホール状の孔が開くこ
とを回避するため、フィルムの厚さを大きくすると、重
量が大きくなり、軽量な複合シートが得られない。
【0006】本発明は、基材繊維と低融点樹脂バインダ
とを混合した繊維集積体の表面に、流れ特性を限定した
熱可塑性樹脂フィルムを積層し、ー体化することによ
り、通気止性をもち、通気汚れを防止できるとともに、
製造コストおよび製品コストを上昇させず、軽量で高強
度、高剛性を備え、成形性に優れた繊維成形体およびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、繊維集積体
(マット状物)に積層された熱可塑性樹脂フィルムを熱
可塑性樹脂の融点以上に加熱し、繊維集積体を構成して
いる基材繊維に接合するとき、熱可塑性樹脂フィルムに
ピンホール状の孔が開く原因を解決するため研究した。
【0008】その結果、熱可塑性樹脂フィルムは、加熱
温度におけるメルトフロレートが、基材繊維とともに混
合集積され繊維集積体を形成する樹脂バインダのメルト
フロレートよりも大きく、加熱溶融時に流れやすいた
め、ピンホール状の孔が開くことを見出した。そして基
材繊維に混合集積され繊維集積体を形成する樹脂バイン
ダとして融点を特定した低融点樹脂バインダを用いると
ともに、低融点樹脂バインダと樹脂フィルムの加熱温度
におけるメルトフロレートを特定することにより、基材
繊維と樹脂フィルムとの接合状態が良く、しかも樹脂フ
ィルムにピンホール状の孔が開くことのない繊維成形体
(マット状成形体)が得られることを確認し、本発明を
完成した。
【0009】本発明の表面に樹脂フィルムをもつ繊維成
形体の製造方法は、無機繊維あるいは高融点有機繊維又
は金属繊維よりなる基材繊維と低融点樹脂バインダを混
合集積した繊維集積体と、該繊維集積体の少なくともー
面側に積層された樹脂フィルムを加熱し該基材繊維どう
しを該低融点樹脂バインダを溶融凝固して接合しかつそ
の表面に該樹脂フィルムをー体的に接合した表面に樹脂
フィルムをもつ繊維成形体の製造方法において、前記低
融点樹脂バインダの融点は前記樹脂フィルムの融点と同
じかもしくは高い関係にあり、前記低融点樹脂バインダ
の加熱温度におけるメルトフロレート(JIS−K72
10)は、前記樹脂フィルムのメルトフロレートより大
きい関係にあることを特徴とする。
【0010】本発明の表面に樹脂フィルをもつ繊維成形
体は、無機繊維あるいは高融点有機繊維又は金属繊維よ
りなる基材繊維と、該基材繊維どおしを接合した低融点
樹脂バインダとで形成された繊維集積体と、該繊維集積
体の少なくともー面側に積層されー体的に接合した樹脂
フィルムと、よりなり、前記低融点樹脂バインダの融点
は、前記樹脂フィルムの融点と同じかもしくは高い関係
にあり、前記低融点樹脂バインダの加熱温度におけるメ
ルトフロレートは、前記樹脂フィルムのメルトフロレー
トより大きい関係にあることを特徴とする。
【0011】加熱温度は、前記低融点樹脂バインダの軟
化点以上でよい。好ましくは樹脂の流れ性の点より融点
以上がよく、また加熱温度が高すぎると樹脂劣化や熱分
解が起こるため、融点+80℃以下がよい。低融点樹脂
バインダの融点は、65℃〜260℃、樹脂フィルムの
融点は、65℃〜260℃、で用いることができる。
【0012】また例えば、低融点樹脂バインダの融点が
170℃のとき、樹脂フィルムの融点は110℃〜17
0℃の範囲で用いることが好ましい。樹脂フィルムのメ
ルトフロレート(JIS−K7210)は、小さければ
より良い。試験条件として試験温度が低融点樹脂バイン
ダの融点から融点+80℃であり、試験荷重が2.16
kgf{21.18N}のとき、メルトフロレートは
0.9以下がよい。好ましくは0.1以下がよい。
【0013】例えば、前記低融点樹脂バインダのメルト
フロレート(JIS−K7210)は、樹脂フィルムの
メルトフロレート(JIS−K7210条件14)を
0.05としたとき、1.0以上に設定される。なお、
低融点樹脂バインダおよび樹脂フィルムのメルトフロレ
ートは、重合度と分子量分布を変化させることによっ
て、種々設定することができる。
【0014】低融点樹脂バインダは、繊維、液状、粉末
のいずれかを用いることができる。例えば、前低融点樹
脂バインダとしては、予め繊維集積体の形成時に基材繊
維とともに混合された後、加熱溶融し前記基材繊維を結
着する樹脂パウダー、熱可塑性繊維などを用いることが
できる他、無機繊維あるいは高融点有機繊維又は金属繊
維よりなる基材繊維を集積した繊維集積体を、浸すこと
によって、繊維集積体を構成する基材繊維間に含浸さ
せ、含浸した後、加熱により前記基材繊維を結着するエ
マルジョンや、水系樹脂や、有機溶剤を含む樹脂などを
用いることができる。
【0015】特に分散性、取り扱いやすさの点より繊維
状が好ましい。前記熱可塑性繊維としては、例えばポリ
プロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系、ポリエ
チレンテレフタレートなどのポリエステル系、ナイロン
6、ナイロン66などのポリアミド系、ポリアクリロニ
トリル、ポリビニルアルコ−ル、ポリ塩化ビニリデン、
セルロースなどの繊維を用いることができる。
【0016】前記エマルジョンとしては、例えばSB
(スチレン・ブタジエン樹脂)系、アクリル系、PVA
(ポリビニルアルコール)、フェノ−ルエマルジョン、
飽和ポリエステルエマルジョン、EVA(エチレン・酢
酸ビニル樹脂)などである。前記樹脂パウダーとして
は、例えばポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウ
ダー、フェノ−ルパウダーなどである。
【0017】前記水系樹脂としては、例えば水性系フェ
ノ−ルなどである。樹脂の種類は、加熱条件、コストの
点よりオレフィン系が好ましい。基材繊維とは、低融点
樹脂バインダが溶融する温度に加熱されても、溶融しな
い繊維を称し、無機繊維、高融点有機繊維、金属繊維な
どが用いられる。無機繊維としては、ガラス繊維、アル
ミナ繊維、炭素繊維、セラミック繊維、岩石繊維などを
用いることができる。
【0018】高融点有機繊維としては、加熱されて溶融
する温度が低融点樹脂バインダの溶融する温度よりも、
高い樹脂繊維を称す。高融点有機繊維としては、ポリエ
ステル系、ナイロン系、アラミド系、フェノ−ル系繊
維、フッ素繊維などの樹脂繊維を用いることができる。
樹脂フィルムとしては、前記熱可塑性繊維を形成する熱
可塑性樹脂として列挙したものと同じものなどが用いら
れる。またリサイクルおよび接合の点より同質材料が好
ましい。
【0019】繊維成形体(マット成形体)の製造途中で
形成される繊維集積体は、繊維集積体を構成する各繊維
どおしを良好な絡みおよび分散状態とすることが望まし
い。このため、例えば、カードウエブを積層しニードル
パンチ等を行い不織布状の繊維集積体とすることができ
る。繊維集積体と樹脂フィルムを加熱した後、厚みを圧
縮する方向に加圧することにより、基材繊維の隙間に低
融点樹脂バインダが軟化した樹脂を隅々までほぼ均ーに
浸透させ、基材繊維どおしを結合させ、また樹脂フィル
ムをより強固に繊維集積体と接合させることができる。
加圧を解除した後、低融点樹脂バインダの軟化点以上に
加熱し、基材繊維のスプリングバック機能を利用して厚
みを回復させて嵩高くし、冷却して規定の厚さに保持さ
れた繊維成形体を得る。
【0020】繊維成形体は、その表面、すなわち、両面
もしくは片面に、ー体的に接合した樹脂フィルムをも
つ。
【0021】
【作用】本発明の表面に樹脂フィルムをもつ繊維成形体
およびその製造方法によると、その製造方法を実施する
に先立ち、予め用意された繊維集積体は、無機繊維ある
いは高融点有機繊維又は金属繊維よりなる基材繊維と、
低融点樹脂バインダを混合集積したものであり、その繊
維集積体は少なくともー面側に樹脂フィルムを積層して
いる。
【0022】そして前記低融点樹脂バインダの融点は樹
脂フィルムの融点と同じかもしくは高い関係にあり、低
融点樹脂バインダの加熱温度におけるメルトフロレート
は、樹脂フィルムのメルトフロレートより大きい関係に
ある。このため、繊維集積体と、繊維集積体の少なくと
もー面側に積層された樹脂フィルムを、低融点樹脂バイ
ンダの融点以上に加熱した場合、樹脂フィルムは、繊維
集積体に含まれる低融点樹脂バインダより先かもしくは
同時に溶融する。
【0023】そしてこの樹脂フィルムおよび低融点樹脂
バインダの溶融時に、前記メルトフロレートの大小の差
により、溶融した低融点樹脂バインダが繊維集積体の厚
み方向および面方向に流れて各基材繊維の隙間を埋めつ
くす。しかし樹脂フィルムは溶融しても前記厚み方向に
流れる量が大幅に低減されるため、従来のようにピンホ
ールを形成しない。
【0024】ついで、繊維集積体および樹脂フィルムが
冷却されることにより、前記溶融部分が凝固して接合し
かつその表面に樹脂フィルムをー体的に接合した表面に
樹脂フィルムをもつ繊維成形体を得ることができる。
【0025】
【実施例】
(実施例1) 本発明の表面に樹脂フィルムをもつ繊
維成形体およびその製造方法の実施例1を以下に説明す
る。実施例1の表面に樹脂フィルムをもつ繊維成形体の
製造方法を実施するに際して、予め繊維集積体が用意さ
れる。
【0026】繊維集積体は、基材繊維として用いたガラ
ス繊維(Φ10μm×繊維長さ67mm)と、低融点樹
脂バインダとして用いたポリプロピレン繊維(デニール
6d/f×繊維長さ64mm)とを、ガラス繊維300
g/m2 :ポリプロピレン繊維300g/m2 の配合比
率で混合し、カード機により所定の形状および大きさに
形成し、ー方の表面に樹脂フィルムとしてポリエチレン
フィルム(厚さ150μm)を積層したものである。繊
維集積体は、ガラス繊維どうしおよびポリプロピレン繊
維が複雑に絡み合った状態となっている。
【0027】ここで、実施例1の製造方法で用いられる
繊維集積体は、ポリプロピレン繊維と、ポリエチレンフ
ィルムとの両者の融点の関係およびメルトフロレート
(MFR)の関係に特色をもつ。すなわちポリプロピレ
ン繊維として融点が173℃、メルトフロレート(JI
S−K7210条件14)が20に設定されたものを用
い、ポリエチレンフィルムとして融点が140℃、メル
トフロレート(JIS−K7210条件14)が0.0
7に設定されたものを用いたことにある。
【0028】このー方の表面にポリエチレンフィルムを
積層した繊維集積体を用いて実施例1の製造方法が実施
される。この繊維集積体は、加熱時に、まず、ポリエチ
レンフィルムがポリプロピレン繊維よりも先に溶融しそ
のー部が繊維集積体の表面領域に存在するガラス繊維と
ポリプロピレン繊維を接合し、続いてポリプロピレン繊
維が溶融し繊維集積体の厚み方向および厚み方向と直交
する方向に存在するガラス繊維を接合する。
【0029】すなわち、前記繊維集積体を、ポリプロピ
レン繊維の融点173℃以上の190℃に加熱すると、
融点が140℃と低いポリエチレンフィルムは、それよ
り融点が173℃と高いポリプロピレン繊維より先に溶
融し、この後、ポリプロピレン繊維が溶融する。ところ
が、ポリエチレンフィルムは、メルトフロレート(JI
S−K7210条件14)が0.07であり、ポリプロ
ピレン繊維のメルトフロレート(JIS−K7210条
件14)との20と比べ、格段に小さいため、この分、
溶融流れがポリプロピレン繊維の溶融流れより大幅にが
遅く、緩慢となる。すなわち、ポリエチレンフィルムと
ポリプロピレン繊維とは、互いに溶融状態にあるとき、
メルトフロレートが大きいほうが流れやすく、小さいほ
うが流れにくくなる。
【0030】従って、ポリエチレンフィルムは、溶融し
ても流れにくいため、溶融流れの拡散が遅く、ポリエチ
レンフィルムに対向する狭い範囲の領域(ポリエチレン
フィルムに極めて近い範囲の領域)のガラス繊維および
ポリプロピレン繊維を確実に接合するにとどまる。この
結果、ポリエチレンフィルムより溶融し流れでる流量は
少なくてすみ、加熱、溶融時のポリエチレンフィルムに
ピンホールを生成せずにすむ。
【0031】ー方、これに反し、ポリプロピレン繊維が
溶融すると、そのメルトフロレート(JIS−K721
0条件14)は20と、前記ポリエチレンフィルムのメ
ルトフロレート(JIS−K7210条件14)の0.
07と比べ、格段に大きく流れやすいため、流れによる
拡散が速く、かつ広い領域範囲に拡散するため、繊維集
積体を前記加熱後、厚みを圧縮する方向に加圧したと
き、ガラス繊維の隙間の隅々まで浸透してガラス繊維ど
おしの接合効果を高める。
【0032】そして繊維集積体に対する加圧を解除した
後、ポリプロピレンの軟化点以上に加熱し、ガラス繊維
のスプリングバック機能を利用し、加圧による押し潰れ
を回復させて嵩高くするとともに冷却し、規定の厚さを
保持する。このときの加圧力は、樹脂バインダを浸透さ
せるため、0.1kgf/cm2{9.8kPa}以上
でよく、また、加圧力が大きすぎると樹脂バインダが流
れ過ぎてサイド部より樹脂バインダのみがはみだしてし
まうため、200kgf/cm2 {19.6MPa}以
下がよい。好ましくは、1kgf/cm2 {98kP
a}以上から50kgf/cm2 {4.9MPa}がよ
い。
【0033】このようにして図1に示される繊維成形体
1が製造される。繊維成形体1は、前記冷却によって、
ガラス繊維10どうしの交絡点に付着した溶融状態のポ
リプロピレンが凝固し、かつバインダ11として作用し
ている。またー方の表面12には、積層されたポリエチ
レンフィルム13が表面12との間に溶融状態のポリエ
チレンが凝固し、かつバインダ14として作用してい
る。
【0034】実施例1の製造方法により得られた、ー方
の表面12に結合されたポリエチレンフィルム13をも
つ繊維成形体1は、ガラス繊維10どうしの交絡点がバ
インダ11により強固に結合でき、また前記ポリエチレ
ンフィルム13にピンホールを生成していない。またポ
リエチレンフィルム13は、繊維集積体1の図略のポリ
プロピレン繊維の融点以上に加熱した時に、溶融して
も、ピンホールを形成することがないため、より高温に
加熱でき、かつこの分、ガラス繊維10に確実に接合す
ることができる。
【0035】このため、製造された繊維成形体1は、強
度を向上でき、かつポリエチレンフィルム13にピンホ
ールがないため、従来のようにピンホールを防止するた
め、繊維集積体の少なくともー面側に、前記接着作用を
なす樹脂フィルムと、耐熱性を備えた樹脂層との2つの
部品を構成部品としないで済、製造コストおよび製品コ
ストを上昇せずにすむ。
【0036】さらに実施例1の製造方法により製造され
た繊維成形体1は、例えば、自動車室内の天井面の形状
に沿って熱賦形され、天井面に装着し、天井用成形材と
して用いた場合、通気止性に優れるため、通気汚れを発
生させない。なお、前記実施例1の繊維成形体1の製造
方法では、前記低融点バインダとしてポリプロピレン繊
維を用いたが、これに限定されるものではなく、液状
(エマルジョン)・粉末等を用いることができる。
【0037】(実施例2)実施例2の表面に樹脂フィル
ムをもつ繊維成形体の製造方法によれば、繊維集積体と
して、ガラス繊維(Φ10μm×繊維長さ50mm)
と、低融点樹脂バインダとして用いたポリエチレン繊維
(デニール6d/f×繊維長さ51mm)とを、ガラス
繊維300g/m2 :ポリエチレン繊維300g/m2
の配合比率で混合し、カード機により所定の形状および
大きさに形成し、ー方の表面および他方の表面上に樹脂
フィルムとしてポリエチレンフィルム(厚さ130μ
m)を積層したものである。
【0038】ここで、実施例2の製造方法で用いられる
繊維集積体は、ポリエチレン繊維と、ポリエチレンフィ
ルムとの両者の融点の関係およびメルトフロレート(M
FR)の関係に特色をもつ。すなわちポリエチレン繊維
として融点が130℃、メルトフロレート(JIS−K
7210条件14)が25に設定されたものを用い、ポ
リエチレンフィルムとして融点が130℃、メルトフロ
レート(JIS−K7210条件14)が0.1に設定
されたものを用いたことにある。
【0039】ポリエチレンフィルムのメルトフロレート
と厚さの関係を表1に示す。
【0040】
【表1】 (*JIS−K7210条件14) なお、前記以外は、実施例1の製造方法の場合と同じよ
うにして、表面に樹脂フィルムをもつ繊維成形体が製造
される。
【0041】(実施例3)実施例3の表面に樹脂フィル
ムをもつ繊維成形体の製造方法によれば、繊維集積体と
して、ガラス繊維(Φ13μm×繊維長さ25mm)
と、低融点樹脂バインダとして用いたポリプロピレン繊
維(デニール9d/f×繊維長さ76mm)とを、ガラ
ス繊維200g/m2 :ポリプロピレン繊維300g/
2 の配合比率で混合し、カード機により所定の形状お
よび大きさに形成し、ー方の表面に樹脂フィルムとして
ポリエチレンフィルム(厚さ100μm)を積層したも
のである。
【0042】ここで、実施例3の製造方法で用いられる
繊維集積体は、ポリプロピレン繊維と、ポリエチレンフ
ィルムとの両者の融点の関係およびメルトフロレート
(MFR)の関係に特色をもつ。すなわちポリプロピレ
ン繊維として融点が167℃、メルトフロレート(JI
S−K7210条件14)が15に設定されたものを用
い、ポリエチレンフィルムとして融点が135℃、メル
トフロレートが0.01に設定されたものを用いたこと
にある。
【0043】なお、前記以外は、実施例1の製造方法の
場合と同じようにして、表面に樹脂フィルムをもつ繊維
成形体が製造される。 (実施例4)実施例4の表面に樹脂フィルムをもつ繊維
成形体の製造方法によれば、繊維集積体として、実施例
3に示す同じ構成のものを用い、かつー方の表面および
他方の表面に実施例3に示すポリエチレンフィルムをそ
れぞれ積層したものである。
【0044】なお、前記以外は、実施例3の製造方法の
場合と同じようにして、図2に示すように、ー方の表面
12および他方の表面12aにそれぞれ積層されたポリ
エチレンフィルム13および13aをもつ繊維成形体1
Aが製造される。この繊維成形体1Aには、ガラス繊維
10どうしの交絡点に付着した溶融状態のポリプロピレ
ンが凝固し、かつバインダ11として作用している。ま
たー方の表面12および他方の表面12aには、積層さ
れたポリエチレンフィルム13および13aがー方の表
面12および他方の表面12aとの間に溶融状態のポリ
エチレンが凝固し、かつバインダ14および14aとし
て作用している。 このため、実施例4の製造方法で得
られた繊維成形体1Aは、前記積層されたポリエチレン
フィルム13および13aによって、サンドイッチ状に
補強され、強化されている。
【0045】(実施例5)実施例5の表面に樹脂フィル
ムをもつ繊維成形体の製造方法によれば、繊維集積体と
して、実施例3に示す同じ構成のものを用い、繊維集積
体をブレンダ機、カード機等の混合機、解繊機を用い
て、ガラス繊維およびポリプロピレン繊維を混合、解繊
した繊維集積体となしたこと以外は、実施例3の製造方
法と同じである。
【0046】実施例5で得られた繊維成形体は、その面
方向の全領域で面重量を均ー化でき、かつ面重量のバラ
ツキを低減することができる。 (実施例6)実施例6の表面に樹脂フィルムをもつ繊維
成形体の製造方法によれば、繊維集積体として、実施例
3あるいは実施例5に示す同じ構成のものを用い、繊維
集積体をニードルパンチ機にてニードルパンチを実施し
不織布状としたこと以外は、実施例3あるいは実施例5
の製造方法と同じである。
【0047】実施例6で得られた繊維成形体は、ガラス
繊維が繊維成形体の厚み方向にも配向するため、強度が
向上する。
【0048】
【効果】本発明の繊維成形体の製造方法を実施すること
により得られた繊維成形体は、その製造時に、繊維集積
体の少なくともー面側に積層された樹脂フィルムを加熱
した場合、繊維集積体に含まれる低融点樹脂バインダが
樹脂フィルムより先かもしくは同時に溶融する。
【0049】そしてこの低融点樹脂バインダおよび樹脂
フィルムの溶融時に、前記メルトフロレートの差によ
り、溶融した低融点樹脂バインダが繊維集積体の厚み方
向および面方向に流れて各基材繊維の隙間を埋めつく
す。しかし、樹脂フィルムは溶融しても前記厚み方向に
流れる量が大幅に低減されるため、従来のようにピンホ
ールを形成することがない。
【0050】また樹脂フィルムは、溶融しても、ピンホ
ールを形成することがないため、より高温に加熱でき、
かつこの分、基材繊維に確実に接合することができる。
このため、製造された繊維成形体は、強度を向上でき、
かつ樹脂フィルムにピンホールがないため、従来のよう
にピンホールを防止するため、繊維集積体の少なくとも
ー面側に、前記接着作用をなす樹脂フィルムと、耐熱性
を備えた樹脂層との2つの部品を構成部品としないで
済、製造コストおよび製品コストを上昇せずにすむ。
【0051】従って、自動車等の内装材、特に車室内の
天井面の形状に沿って熱賦形され通気止性に優れた天井
用成形材として利用でき、かつこの天井用成形材は、温
度変化などで生ずる通気がなく、通気汚れも生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の製造方法で得られた繊維成形体(マ
ット状成形体)を断面して示す断面図である。
【図2】実施例4の製造方法で得られた繊維成形体を断
面して示す断面図である。
【符号の説明】
1、1A…繊維成形体(マット状成形体) 1
0…ガラス繊維 11…ガラス繊維の交絡点に結着した低融点樹脂バイン
ダ 12…ー方の表面 12a…他方の表面 13、13a…ポリエチレンフィルム 14、14a…ガラス繊維に結着したポリエチレンフィ
ルム
フロントページの続き (72)発明者 磯貝 正和 愛知県刈谷市豊田町1丁目1番地 豊田 紡織株式会社内 (72)発明者 三宮 嗣己 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 藤原 正己 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−165431(JP,A) 特開 平5−16138(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機繊維あるいは高融点有機繊維又は金属
    繊維よりなる基材繊維と低融点樹脂バインダを混合集積
    した繊維集積体と、該繊維集積体の少なくともー面側に
    積層された樹脂フィルムを加熱し該基材繊維どうしを該
    低融点樹脂バインダを溶融凝固して接合しかつその表面
    に該樹脂フィルムをー体的に接合した表面に樹脂フィル
    ムをもつ繊維成形体の製造方法において、 前記低融点樹脂バインダの融点は、前記樹脂フィルムの
    融点と同じかもしくは高い関係にあり、 前記低融点樹脂バインダの加熱温度におけるメルトフロ
    レートは、前記樹脂フィルムのメルトフロレートより大
    きい関係にあることを特徴とする表面に樹脂フィルムを
    もつ繊維成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】無機繊維あるいは高融点有機繊維又は金属
    繊維よりなる基材繊維と、該基材繊維どおしを接合した
    低融点樹脂バインダとで形成された繊維集積体と、 該繊維集積体の少なくともー面側に積層されー体的に接
    合した樹脂フィルムと、よりなり、 前記低融点樹脂バインダの融点は、前記樹脂フィルムの
    融点と同じかもしくは高い関係にあり、 前記低融点樹脂バインダの加熱温度におけるメルトフロ
    レートは、前記樹脂フィルムのメルトフロレートより大
    きい関係にあることを特徴とする表面に樹脂フィルをも
    つ繊維成形体。
JP27674294A 1994-11-10 1994-11-10 表面に樹脂フィルムをもつ繊維成形体およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3125281B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27674294A JP3125281B2 (ja) 1994-11-10 1994-11-10 表面に樹脂フィルムをもつ繊維成形体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27674294A JP3125281B2 (ja) 1994-11-10 1994-11-10 表面に樹脂フィルムをもつ繊維成形体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08132564A JPH08132564A (ja) 1996-05-28
JP3125281B2 true JP3125281B2 (ja) 2001-01-15

Family

ID=17573712

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27674294A Expired - Fee Related JP3125281B2 (ja) 1994-11-10 1994-11-10 表面に樹脂フィルムをもつ繊維成形体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3125281B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08132564A (ja) 1996-05-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN109803858B (zh) 用于覆罩机动车辆的壁的隔音板
KR101974469B1 (ko) 딥 드로우 복합물 및 이를 사용하는 방법
EP0758577B1 (en) Stampable sheet made by papermaking technique and method for manufacturing lightweight molded stampable sheet
US5971099A (en) Soundproof material
KR20140016949A (ko) 방열 및 방음을 위한 성형 다층 라이닝
JP7175690B2 (ja) 車両用アンダーカバー
KR20140015484A (ko) 성형 다층 라이닝의 제조 방법
MXPA03007271A (es) Material laminar acustico termoformable.
US7772143B2 (en) Multilayer, composite, fleece material and a method for manufacturing a multilayer, composite, fleece material
JP2004217052A (ja) 車両用内装材及び車両用内装材の製造方法
JP2003049351A (ja) 高性能吸音材
JP2013086599A (ja) 車両用アンダーカバー及びその製造方法
JP3125281B2 (ja) 表面に樹脂フィルムをもつ繊維成形体およびその製造方法
JPH07229049A (ja) 再生プラスチックを用いた合成ファイバ材料部材
JP2007038854A (ja) 自動車用内装材およびその製造方法
JPH079632A (ja) 成形複合体及びその製造方法
JP3154627B2 (ja) 繊維成形体の製造方法
JP6527791B2 (ja) 車両用外装防音材の製造方法
WO2018075734A1 (en) Acoustic absorber composited baffle assembly
JP4180433B2 (ja) 自動車用内装材及びその製造方法
DE10307906A1 (de) Dachverkleidungs-/Kanaleinheit und Schweißverfahren hierzu
JP2004122545A (ja) 熱成形性芯材及びこれを用いた自動車用内装材
JP3574209B2 (ja) 軽量スタンパブルシート表皮貼合品
JP2009029219A (ja) 自動車用内装材
JP4963169B2 (ja) ホットメルト接着シート、車両用内装品及び車両用内装品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees