JP3032582B2 - 繊維強化熱可塑性樹脂成形品の外観改良方法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂成形品の外観改良方法

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JP3032582B2 JP2406644A JP40664490A JP3032582B2 JP 3032582 B2 JP3032582 B2 JP 3032582B2 JP 2406644 A JP2406644 A JP 2406644A JP 40664490 A JP40664490 A JP 40664490A JP 3032582 B2 JP3032582 B2 JP 3032582B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抄造技術により製造さ
れる繊維強化熱可塑性樹脂成形素材を加熱加圧成形して
得られる成形品の外観改良方法に関するものである。本
発明による繊維強化熱可塑性樹脂成形品は、産業用部品
に広く使用される。
【0002】
【従来の技術】最近、金属のプレス加工で製造されてい
た産業用部品が、比較的長い強化繊維と熱可塑性樹脂か
ら構成されている繊維強化熱可塑性樹脂のプレス成形品
に代替される傾向にある。繊維強化熱可塑性樹脂の特徴
は、予熱した繊維強化熱可塑性樹脂シート状成形素材
(以後該成形素材をシート状成形素材と称する)を室温
あるいは加熱した成形型内に挿入し短時間で圧縮成形す
ることにより複雑な成形品を製造することができ、さら
にその成形品が高い機械的強度を有し、軽量である点に
ある。
【0003】シート状成形素材の製造方法は、次の2つ
に分類する事ができる。(1)ラミネート法:ニードリ
ング(複数本の強化繊維に針を突き刺し、互いに絡まり
合わせる工程)を行ったマット状強化繊維と熱可塑性樹
脂を積層し、ダブルベルトコンベア式プレスのスチール
ベルトの間に挿入し、加熱、加圧を行い、さらに冷却し
てシート状成形素材を製造する方法(特開昭48−80
172号公報、特開昭52−40558号公報、特開昭
55−77525号公報)、および(2)抄造法:抄造
技術を応用して、直径3〜30μm φ、長さ3〜50mm
の強化繊維と熱可塑性樹脂粉末を均一に分散した不織材
料を製造し、この不織材料を原料とし加熱、加圧を行い
さらに冷却してシート状成形素材を製造する方法(特公
昭52−12283号公報、特公昭55−9119号公
報)である。
【0004】シート状成形素材は、加熱加圧成形する際
に重要なこととして、複雑な成形品において強化繊維が
熱可塑性樹脂と分離することなく流動し、また成形品の
表面に強化繊維が浮き上がることによる外観の低下が生
じないようにすることが要求される。
【0005】シート状成形素材の成形特性は、その製造
方法によって強化繊維の形態が違うため著しく異なる。
ラミネート法で製造されたシート状成形素材では、マッ
ト中の強化繊維がニードリング処理により拘束されてい
るため、成形型内で流動する際に強化繊維と熱可塑性樹
脂が分離しやすいという問題が生じる。
【0006】一方、抄造技術により製造されたシート状
成形素材では、均一に分散した不連続の強化繊維が相互
の束縛の少ない状態で熱可塑性樹脂中に存在しており、
成形型内で強化繊維と熱可塑性樹脂が分離することなく
流動するため、均質な成形品を提供することができる。
しかし、このシート状成形素材は、成形前にマトリック
スである熱可塑性樹脂の軟化点または融点以上に加熱さ
れる際、熱可塑性樹脂の強化繊維に対する結合力が弱ま
るため、強化繊維が元に戻ろうとするスプリングバック
によりシートの膨張が発生する。これは、抄造技術によ
り製造された不織材料では強化繊維がランダムに配向し
ているために、非常にかさ高いという性質に起因してい
る。不織材料の厚みは、強化繊維の形状と抄造条件によ
り異なるが、繊維強化熱可塑性樹脂のプレス成形で一般
的に用いられる空隙を除去したシート状成形素材に比べ
10倍程度の厚みを有している。
【0007】抄造技術による繊維強化熱可塑性樹脂の成
形加工の一例を図1(a)に示した。シート状成形素材
1は、一般的に遠赤外線加熱炉3内で予熱されるが、そ
の際にシートの膨脹が発生する。膨脹は、シートの表面
から始まり次第に熱が板厚中心部におよぶにつれて全体
的に膨脹し、それと共に断熱空気層が形成されるため熱
伝導率が低下する。シート表面では、強化繊維が膨張に
伴い露出し、さらにシートの熱伝導率の低下による局部
加熱により熱可塑性樹脂の熱分解が生じるため、外観が
著しく悪化する。結果として、この膨張した加熱シート
をプレス成形して得られる成形品5の外観の低下が、シ
ート外観を受け継ぐために生じる。
【0008】抄造技術による繊維強化熱可塑性樹脂材料
の表面平滑性を改良する方法として、繊維強化熱可塑性
樹脂の外表面に、熱可塑性樹脂フイルムを積層する方法
が提案されている(特開昭58−191122号公
報)。しかし、この方法は繊維強化熱可塑性樹脂シート
の外観改良であって、このシートを成形素材として用い
た場合は、プレス成形で得られる成形品の外観と機械的
性質の低下という問題を引き起こす。熱可塑性樹脂フィ
ルムを積層したシート状成形素材を加熱した場合、表面
部の溶融した熱可塑性樹脂の溶融粘度が小さいために、
該フィルムは膨張した繊維強化熱可塑性樹脂層内部に吸
収され、強化繊維のスプリングバックによるシート表面
への露出を押さえる効果が十分でないために、シート外
観が悪化し、成形品外観の低下に結び付く。この問題を
解決するためには、積層する熱可塑性樹脂フイルムを厚
くする必要があるが、結果として成形品中の強化繊維の
含有量の減少による機械的性質の低下につながる。
【0009】また、ラミネート法によるシート状成形素
材は、マトリックスに微小な球状フィラーを含んだ熱可
塑性樹脂を用いることにより、その成形品の外観を改善
する方法が特開昭61−112642号公報に記載され
ている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、抄造技術に
より製造される繊維強化熱可塑性樹脂成形品の新しい外
観改良方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、直径
3〜30μm φ、長さ3〜50mmの強化繊維5〜30%
体積%と熱可塑性樹脂粉末から構成されるマット状の不
織材料である繊維強化熱可塑性樹脂の外表面に、3〜3
0体積%の無機フィラーを含有したフィルム状の熱可塑
性樹脂を積層して加熱加圧成形することを特徴とする繊
維強化熱可塑性樹脂成形品の外観改良方法である。さら
に、前記不織材料が、加熱加圧成形したシート状材料で
ある繊維強化熱可塑性樹脂成形品の外観改良方法を要旨
とするものである。
【0012】本発明により無機フィラー含有熱可塑性樹
脂を積層した繊維強化熱可塑性樹脂の成形加工の一例を
図1(b)に示した。本発明のシート状成形素材におい
ても、図1(a)に示した従来材と同様に、遠赤外線加
熱炉3の予熱で強化繊維のスプリングバックによりシー
ト膨張が発生する。但し、繊維強化熱可塑性樹脂の外表
面に積層される無機フィラー含有熱可塑性樹脂層は膨張
せず、3〜30体積%の無機フイラーの含有によりその
溶融粘度が増大するため、膨張した繊維強化熱可塑性樹
脂層内部への吸収と強化繊維のスプリングバックによる
シート表面への露出を抑える効果が発現する。そのた
め、無機フィラー含有熱可塑性樹脂層6が繊維強化熱可
塑性樹脂層1を完全に覆った状態で加熱できるため、従
来材で見られるようにシート表面の著しい外観悪化は生
じない。結果として、本発明のシート状成形素材をプレ
ス成形して得られた成形品5の外観は、従来材に比べて
非常に改善される。また、積層する熱可塑性樹脂層の厚
みを薄くすることが出来、その熱可塑性樹脂層中に無機
フィラーの補強効果も加えられるため、成形品強度につ
いてもこれまでの方法に比べて有利である。
【0013】本発明では、無機フィラーとして、炭酸カ
ルシウム、タルク等の微粒子状フィラーや、マイカ等の
板状フィラー、チョツプドガラス繊維、ロックウール繊
維等の繊維状フィラーを用いる。無機フィラーは、強度
発現を目的として、熱可塑性樹脂との接着性を向上する
ために、シランカプリング剤等で表面処理することが望
ましい。
【0014】無機フィラー含有熱可塑性樹脂層のマトリ
ックスである熱可塑性樹脂は、積層する繊維強化熱可塑
性樹脂層と同じものを用いるのが一般的であるが、表皮
部に外観改良以外の耐熱性、硬度等の向上を必要とする
場合は、目的に応じた熱可塑性樹脂を選択するか、異な
る樹脂との混合物を用いてもよい。
【0015】熱可塑性樹脂への無機フィラーの添加量
は、熱可塑性樹脂の増粘効果と機械的性質の向上を目的
として3体積%以上に、安定したフィルム成形が可能な
30体積%以下とする。無機フィラーと熱可塑性樹脂
は、均一分散を実施するために押し出し機で混練するこ
とが好ましく、Tダイ等で成形されたフイルムを繊維強
化熱可塑性樹脂の外表面に積層することが望ましい。
【0016】熱可塑性樹脂に添加する無機フィラーの選
択は、成形品の外観改良ニーズによって決定する必要が
ある。より平滑な成形品外観を得るためには、直径2〜
10μm φの微粒子状のタルクまたは炭酸カルシウム等
を用いることにより、熱可塑性樹脂中に緻密な無機フィ
ラーの分散を実施することが好ましい。また、積層する
無機フィラー含有熱可塑性樹脂層の強度を向上させるた
めには、フィラーの補強効果の発現を目的として、アス
ペクト比(繊維長/繊維径)の大きな直径3〜30μm
φ、長さ3〜10mmのチョップドガラス繊維またはロッ
クウール繊維等を用いることが望ましい。さらに、両者
の特徴を生かす意味では、これらの無機フィラーを混合
して用いてもよい。
【0017】積層する無機フィラー含有熱可塑性樹脂フ
ィルムの厚みは、その成形品の外観改良ニーズおよび使
用される環境等の用途と、無機フィラーの添加量により
変化するが、シート状成形素材が加熱される際に安定し
た被覆層を保持するために、0.2mm以上にすることが
望ましい。
【0018】本発明では、抄造技術により製造される繊
維強化熱可塑性樹脂を用いるが、その製造工程の一例を
図2に示した。直径3〜30μm φ,長さ3〜50mmの
ガラス繊維等の強化繊維2と熱可塑性樹脂粉末7を分散
槽8内の水中に連続的に投入する。分散槽内では、強化
繊維と樹脂粉末を均一に分散させるために攪はんが行わ
れ、さらにその分散液をポンプ9によりメッシュ状ベル
トコンベア10の上側に設置されたヘッドボックス11
に供給する。ヘッドボックスの下側に設置したウェット
ボックス12内を負圧に保ち、ヘッドボックス内の分散
液の吸引、脱水を行い連続的に強化繊維と熱可塑性樹脂
粉末が均一に分散した複合体である不織材料13を製造
する。この不織材料を、通風式の熱風乾燥機14で乾燥
するのと同時に熱可塑性樹脂の一部または全部を、その
軟化点もしくは融点以上に加熱して溶融させ、冷却して
強化繊維を熱可塑性樹脂で結合した不織材料とし、次い
でダブルベルトコンベア式連続プレス15で加熱加圧を
行いさらに冷却してシート状に成形し、最終的にはリー
ルアップ16を行うか、加熱加圧成形に必要とされる寸
法に応じた形状にカッター17で切断して、シート状成
形素材1を製造する。
【0019】シート状成形素材としては、不織材料をダ
ブルベルトコンベア式連続プレスで成形する際に、シー
ト内の空隙を完全に除去したもののほかに、空隙が存在
しているものを提供することができる。またダブルベル
トコンベア式連続プレスを使用せず、不織材料を空隙が
存在しているシート状成形素材として提供することがで
きる。
【0020】この方法で用いられる強化繊維の直径は、
取扱の容易さと経済的な観点により直径3μm φ以上
で、十分な強度を発現させるために30μm φ以下にす
ることが好ましく。繊維長は強度発現の観点から3mm以
上で、均一な分散が可能な50mm以下にすることが望ま
しい。
【0021】繊維強化熱可塑性樹脂の機械的性質は、強
化繊維の添加量の増大に伴い向上する。しかしながら強
化繊維の添加量は、繊維をマトリックスである熱可塑性
樹脂により十分含浸するために、5〜30体積%とする
ことが望ましい。
【0022】強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊
維、金属繊維のほかに無機繊維、有機繊維が用いられ
る。強化繊維は、水中での良好な分散を目的として親水
性を向上するために水溶性高分子、湿潤剤で、強度発現
を目的として熱可塑性樹脂との接着性を向上するために
シランカプリング剤等で、表面処理を行うことが望まし
い。
【0023】熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−アクリ
ルニトリル共重合体、スチレン−アクリルニトリル共重
合体、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセター
ル、ポリエチレンテレフタレート、ポブチレンテレフタ
レート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリ
フェニレンスルフィド等の樹脂であり、またこれらの2
種類またはそれ以上の混合物をも含み、これらに一般的
に用いられる可塑剤、熱安定剤、光安定剤、充填材、染
顔料、耐衝撃剤、増量材、核剤、加工助剤等を添加する
こともできる。
【0024】本発明における繊維強化熱可塑性樹脂の外
表面に、無機フィラーを含有した熱可塑性樹脂を積層す
る方法は、押し出し機のTダイ等で成形されたフイルム
を繊維強化熱可塑性樹脂の外表面に積層し、プレス成形
機で加熱加圧し、さらに冷却して成形することにより容
易に行うことができるる工業的に行う一例としては、図
3に概要を示した積層工程を、図2に示した繊維強化熱
可塑性樹脂の製造工程における熱風乾燥機14とダブル
ベルトコンベア式連続プレス15の間に設けることが効
率的である。熱可塑性樹脂18と無機フィラー19は、
均一分散を実施するために押し出し機20で混練され、
さらにTダイ21で無機フィラー含有熱可塑性樹脂フィ
ルム22に成形され、不織材料13の外表面に供給され
る。不織材料と無機フィラー含有熱可塑性樹脂フィルム
は、ダブルベルトコンベア式連続プレス15で加熱加圧
され、さらに冷却されて目的とする無機フィラー含有熱
可塑性樹脂積層シート状成形素材23が製造される。
【0025】図3の積層工程において不織材料の代わり
に、不織材料をダブルベルトコンベア式連続プレス等で
成形したシート状材料を用いることは容易に実施でき
る。また、図3では、不織材料の両側に無機フィラー含
有熱可塑性樹脂を積層しているが、成形品用途により片
側の外観改良のみを要求される場合は、不織材料また
は、シート状成形素材の片側にのみ無機フィラー含有熱
可塑性樹脂を積層することもできる。本発明の繊維強化
熱可塑性樹脂成形品の外観改良方法により、一般的な加
熱加圧成形品の外観は著しく改良されるが、圧空成形等
においても有益な結果がもたらされる。
【0026】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。 実施例1 強化繊維として直径10μm φ、長さ25mmのガラス繊
維と、熱可塑性樹脂として直径3mmφの球状ペレットを
粉砕し、その粉砕品をふるい分けにより70mesh(開孔
径0.212mm)から10mesh(開孔径1.7mm)まで
に分級したポリプロピレン樹脂粉末を用いて、抄造技術
によりガラス繊維40重量%(19.0体積%)とポリ
プロピレン樹脂60重量%(81.0体積%)の組成
で、目付け量が4000g/m2 の不織材料を製造した。
【0027】無機フィラーとして直径3μm φの微粒子
状のタルクと、熱可塑性樹脂として上記のポリプロピレ
ン樹脂を用いて、タルク含有ポリプロピレン樹脂フィル
ムを製造した。フィルムは、タルク20重量%(7.4
体積%)とポリプロピレン樹脂80重量%(92.6体
積%)の組成を押し出し機で混練し、Tダイで厚み0.
2mmに成形した。
【0028】上記の不織材料およびタルク含有ポリプロ
ピレン樹脂フィルムを用いて、表1に示した構成のシー
ト状成形素材をホットプレス成形により成形した。不織
材料だけを原料とするシート状成形素材Aは比較例とし
て製造した。シート状成形素材B〜Dにおいては、フィ
ルムを不織材料の外表面の両側に積層した。ホットプレ
ス成形の条件は、予熱を210℃、無負荷で5分間行
い、続いて圧力20kgf/cm2 で5分間加圧し、冷却固化
してシートを成形した。
【0029】これらのシート状成形素材を用いて、図1
に示したような成形加工により15×15cmの平板を成
形し、その外観と曲げ特性を評価した。成形品と同じ大
きさに切断されたシート状成形素材を遠赤外線加熱炉中
で、その表面が220℃になるまで加熱し、さらに60
℃に温度調節された金型内に挿入し、圧力100kgf/cm
2 でプレス成形することにより成形品を得た。成形品外
観の評価は、ガラス繊維の浮き出しを中心に目視で実施
した。曲げ特性の評価は、成形品からJISK−720
3に準じた試験片を切り出し、実施した。
【0030】
【表1】
【0031】不織材料だけを原料とするシート状成形素
材Aは、図1(a)に示したように、加熱時にシートが
膨張し、その表面においてガラス繊維の浮き上がりが生
じた。そのため、成形品外観もガラス繊維の露出による
悪化が認められた。
【0032】不織材料の外表面にタルク含有ポリプロピ
レン樹脂フィルムを積層したシート状成形素材B〜Cに
おいても、加熱時にシート膨張が生じた。しかし、タル
ク含有ポリプロピレン樹脂層は膨張せず、内部のガラス
繊維強化熱可塑性樹脂層を覆った状態で加熱できるた
め、シート状成形素材Aのようなシート表面の外観悪化
は生じなかった。結果として、それらの成形品の外観も
改善された。但し、タルク含有ポリプロピレン樹脂フィ
ルムを1枚積層の場合は、一部のガラス繊維の露出が確
認された。これは、タルク含有ポリプロピレン樹脂層の
一部が、膨張したガラス繊維強化熱可塑性樹脂層内部に
吸収され、ガラス繊維のスプリングバックによるシート
表面への露出を抑える効果が十分発現しなかったために
生じた。タルク含有ポリプロピレン樹脂フィルムを2枚
(0.4mm)以上積層した場合は、内部のガラス繊維強
化熱可塑性樹脂層を完全に覆った状態で加熱できるた
め、シート表面のガラス繊維の露出はなく、その成形品
外観も著しく改善された。成形品肉厚は、タルク含有ポ
リプロピレン樹脂フィルムの積層により厚くなった。曲
げ特性が、タルク含有ポリプロピレン樹脂フィルムの積
層により低下した理由は、タルクがガラス繊維強化熱可
塑性樹脂層のガラス繊維に比べて補強効果が小さいため
である。
【0033】実施例2 実施例1と同じタルクと、ポリプロピレン樹脂を用い
て、タルク40重量%(17.6体積%)とポリプロピ
レン樹脂60重量%(82.4体積%)の組成を、実施
例1と同様に押し出し機で混練し、Tダイで厚み0.2
mmのタルク含有ポリプロピレン樹脂フィルムを成形し
た。実施例1と同じ不織材料と上記のタルク含有ポリプ
ロピレン樹脂フィルムを用いて、表2に示した構成のシ
ート状成形素材を実施例1と同じ条件でホットプレス成
形により成形した。フィルムは、不織材料の外表面の両
側に積層した。これらのシート状成形素材を用いて、実
施例1と同様な成形加工により、15×15cmの平板を
成形し、その外観と曲げ特性を評価した。
【0034】実施例3 無機フィラーとして、直径10μm φ、長さ3mmのチョ
ップドガラス繊維と実施例1と同じポリプロピレン樹脂
を用いてチョップドガラス繊維40重量%(19.0体
積%)とポリプロピレン樹脂60重量%(81.0体積
%)の組成を、実施例1と同様に押し出し機で混練し、
Tダイで厚み0.4mmチョップドガラス繊維含有ポリプ
ロピレン樹脂フィルムを成形した。実施例1と同じ不織
材料と上記のチョップドガラス繊維含有ポリプロピレン
樹脂フィルムを用いて、表2に示した構成のシート状成
形素材を実施例1と同じ条件でホットプレス成形により
成形した。フィルムは、不織材料の外表面の両側に積層
した。これらのシート状成形素材を用いて、実施例1と
同様な成形加工により、15×15cmの平板を成形し、
その外観と曲げ特性を評価した。
【0035】
【表2】
【0036】実施例2では、実施例1に比べて積層する
タルク含有ポリプロピレン樹脂のタルクの含有量を増加
させた。タルク含有量の増加により、その溶融粘度が増
大し、膨張したガラス繊維強化熱可塑性樹脂層内部への
吸収が抑えられ、ガラス繊維のスプリングバックによる
シート表面への露出を抑える効果が十分発現した。その
ため実施例2では、タルク含有ポリプロピレン樹脂フィ
ルムを1枚(0.2mm)積層した場合でも、ガラス繊維
強化熱可塑性樹脂層を完全に覆った状態で加熱できシー
ト表面のガラス繊維の露出はなく、その成形品の外観も
改善された。
【0037】曲げ特性に関しても、タルク含有量の増加
により実施例1に比べて改善された。無機フィラー含有
熱可塑性樹脂層のフィラー含有量を増加させることは、
その積層厚みを薄くすることができ、成形品の機械的性
質が向上するため、有効な成形品の外観改良につなが
る。
【0038】実施例3では、チョップドガラス繊維含有
ポリプロピレン樹脂層中のチョップドガラス繊維が、一
部表面に浮き出すため、実施例2−Bに比べて、その成
形品の外観特性が劣る。しかし、成形品の曲げ特性は、
優れていることが確認された。実施例3のチョップドガ
ラス繊維含有ポリプロピレン樹脂フィルム中のチョップ
ドガラス繊維は、押し出し機の混練効果により平均繊維
長が約0.3mmまで破損していたが、タルクに比べてア
スペクト比が大きいため補強効果が効果的に発現する。
成形品の機械的性質を重視した場合は、繊維状の無機フ
ィラーを用いることが有効である。
【0039】比較例 実施例1と同じポリプロピレン樹脂を用いて、実施例1
と同様に押し出し機で混練し、Tダイで厚み0.2mmの
ポリプロピレン樹脂フィルムを成形した。実施例1と同
じ不織材料と上記のポリプロピレン樹脂フィルムを用い
て、表3に示した構成のシート状成形素材を実施例1と
同じ条件でホットプレス成形により成形した。フィルム
は、不織材料の外表面の両側に積層した。これらのシー
ト状成形材料を用いて、実施例1と同様な成形加工によ
り、15×15cmの平板を成形し、その外観と曲げ特性
を評価した。
【0040】
【表3】
【0041】比較例では、ポリプロピレン樹脂フィルム
を4枚(0.8mm)以上積層しなければ、良好な成形品
外観が得られなかった。実施例に比べて成形品の外観改
良効果が劣る理由は、積層されたポリプロピレン樹脂の
溶融粘度が、実施例の無機フィラー含有ポリプロピレン
樹脂に比べて小さいため、膨張した繊維強化熱可塑性樹
脂層内部に吸収され、ガラス繊維のスプリングバックに
よるシート表面への露出を抑える効果が十分発現しなか
ったためである。また、ポリプロピレン層は、フィラー
で強化されていないため、成形品強度も低下することが
確認された。
【0042】実施例4 実施例1で比較例として製造したシート状成形素材A
に、実施例1で用いたタルク含有ポリプロピレン樹脂フ
ィルムを積層し、表1に示した構成のシート状成形素材
を実施例1と同じ条件でホットプレス成形により成形し
た。フィルムは、不織材料の外表面の両側に積層した。
これらのシート状成形素材を用いて、実施例1と同様な
成形加工により、15×15cmの平板を成形し、その外
観と曲げ特性を評価した。
【0043】
【表4】
【0044】実施例4では、実施例1と同じ構成の無機
フィラー含有熱可塑性樹脂積層シート状成形素材を製造
するに当たり、積層工程において不織材料の代わりに不
織材料をプレス成形した繊維強化熱可塑性樹脂シートを
用いた。実施例4の場合も、その成形品外観と曲げ特性
において、実施例1と同じ結果が得られた。
【0045】本発明では、積層工程において不織材料又
は、その加熱加圧成形品である繊維強化熱可塑性樹脂シ
ートのどちらを用いた場合でも、同様な効果がもたらさ
れることが確認できた。但し、繊維強化熱可塑性樹脂シ
ートを用いる場合は、不織材料から繊維強化熱可塑性樹
脂シートを成形する工程と、無機フィラー含有熱可塑性
樹脂を積層する工程で、二度の加熱、加圧さらに冷却を
行う必要がある。そのため、不織材料に直接無機フィラ
ー含有熱可塑性樹脂を積層する方法が、工程を簡略化す
ることができるため有利である。
【0046】
【発明の効果】本発明により、抄造技術により製造され
るシート状成形素材を加熱加圧成形した成形品の外観が
改良された。本発明では、無機フィラー含有熱可塑性樹
脂を繊維強化熱可塑性樹脂に積層するため、積層厚みを
薄くすることができ、無機フィラーの補強効果により、
成形品強度の低下も抑えられるため、これまでの方法に
比べて有利である。本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形
品の外観改良方法により、一般的な加熱加圧成形品の外
観は著しく改良されるが、圧空成形等においても有益な
結果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は、繊維強化熱可塑性樹脂の成
形加工の一例を示す概略図である。
【図2】抄造技術による繊維強化熱可塑性樹脂の製造工
程の一例を示す概略図である。
【図3】無機フィラー含有熱可塑性樹脂を繊維強化熱可
塑性樹脂に積層する工程の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 繊維強化熱可塑性樹脂シート状成形素材 2 強化繊維 3 遠赤外線加熱炉 4 金型 5 成形品 6 無機フィラー含有熱可塑性樹脂層 7 熱可塑性樹脂粉末 8 分散槽 9 ポンプ 10 メッシュ状ベルトコンベア 11 ヘッドボックス 12 ウェットボックス 13 不織材料 14 熱風乾燥機 15 ダブルベルトコンベア式連続プレス 16 リールアップ 17 カッター 18 熱可塑性樹脂 19 無機フィラー 20 押し出し機 21 Tダイ 22 無機フィラー含有熱可塑性樹脂フィルム 23 無機フィラー含有熱可塑性樹脂積層シート状成形
素材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−49430(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B29C 70/00 - 70/88

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直径3〜30μm φ、長さ3〜50mmの
    強化繊維5〜30%体積%と熱可塑性樹脂粉末から構成
    されるマット状の不織材料である繊維強化熱可塑性樹脂
    の外表面に、3〜30%体積%の無機フィラーを含有し
    フィルム状の熱可塑性樹脂を積層して加熱加圧成形す
    ることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂成形品の外観
    改良方法。
  2. 【請求項2】 不織材料が、加熱加圧成形したシート状
    材料である請求項1記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品
    の外観改良方法。
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