JPH08225472A - 1,2−ジクロロエタン中に含まれるクロロプレン類の除去方法 - Google Patents

1,2−ジクロロエタン中に含まれるクロロプレン類の除去方法

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JPH08225472A
JPH08225472A JP7032417A JP3241795A JPH08225472A JP H08225472 A JPH08225472 A JP H08225472A JP 7032417 A JP7032417 A JP 7032417A JP 3241795 A JP3241795 A JP 3241795A JP H08225472 A JPH08225472 A JP H08225472A
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JP
Japan
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edc
dichloroethane
benzene
chloroprenes
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Application number
JP7032417A
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Inventor
Hiroshi Oshima
浩 大島
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C17/00Preparation of halogenated hydrocarbons
    • C07C17/38Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
    • C07C17/395Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by treatment giving rise to a chemical modification of at least one compound

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  • Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 1,2−ジクロロエタン中に含まれるクロロ
プレン類を除去する工業的実施可能な方法を開発する。 【構成】 1,2−ジクロロエタン中に含まれるクロロ
プレン類を除去するにあたり、鉄または鋼の存在下で、
1,2−ジクロロエタン中に含まれるクロロプレン類
を、四塩化炭素、ベンゼン、ナフタレン、ナフタレンの
水素化物ならびに常圧での沸点が150℃以上であっ
て、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、フェノキ
シ基および水酸基のうちの1種以上を1〜3個置換基と
して有するベンゼン誘導体よりなる群から選ばれた1種
以上と反応させて除去することを特徴とする1,2−ジ
クロロエタン中に含まれるクロロプレン類の除去方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱分解によって塩化ビニ
ルを製造するのに用いる1,2−ジクロロエタン(以
下、EDCという)中に含まれるクロロプレン類の除去
方法に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】EDCを
熱分解させて塩化ビニルを製造するとき、精製されたE
DCは400〜550℃で熱分解せしめられる。このと
き、副生物の生成を抑制し、反応管のコーキングによる
閉塞を防止するために、通常EDCの分解率は50〜6
5%に制御される。
【0003】分解ガスは、主に塩化水素、塩化ビニルお
よび未分解のEDCからなり、急冷されたのち蒸留によ
って塩化水素、塩化ビニルおよび未分解EDCに分離さ
れる。前記塩化ビニルは、塩化ビニル分離塔の塔頂から
製品として分離され、未分解EDCは塔底から分離され
る。
【0004】前記未分解EDC中には、熱分解の副反応
によって生じた多種の副生物と原料EDC中に含まれて
いた不純物でEDCの熱分解時に変化しなかったものが
含まれる。そのような物質として、たとえば塩化エチ
ル、塩化ビニリデン、シス−1,2−ジクロロエチレ
ン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジ
クロロエタン、クロロホルム、クロロプレン、1−クロ
ロブタジエン−1,3、四塩化炭素、ベンゼン、トリク
ロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1,1−ト
リクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,
1,2,2−テトラクロロエタン、モノクロロベンゼ
ン、ジクロロベンゼンなどが知られている。
【0005】このうち、クロロプレンは、主要な副生物
であるが、重合しやすいなどの点で取扱いが困難であ
る。さらに、精製工程で消費する多大の熱エネルギーを
節約するために未分解EDCの精製が不充分となって、
クロロプレンが熱分解原料として用いるEDC中に混入
すると、EDCの熱分解反応が抑制されて所定の分解率
をえることができなくなったり、EDCを熱分解させる
反応管のコーキングを促進したり、1,3−ブタジエン
などの塩化ビニルの重合に支障をきたす不純物が増加し
たりするなど、様々な悪影響を及ぼす。これらの影響は
熱分解原料として用いるEDC中のクロロプレン含量が
100ppmをこえると顕著になることが知られてい
る。
【0006】また、1−クロロブタジエン−1,3はク
ロロプレンの異性体であって、クロロプレンよりもその
生成量は少ないが、クロロプレンとほぼ同様の性質を有
し、熱分解原料として用いるEDC(精製EDC)中に
混入すると、クロロプレンのばあいと同様にEDCの熱
分解反応に悪影響を及ぼしたり、塩化ビニルの品質が低
下したりする。しかも、EDCとの沸点差がクロロプレ
ンよりも小さいために蒸留による分離がクロロプレンよ
り困難であり、精製EDC中に混入しやすい。これらの
理由によって未分解EDC中に含まれるクロロプレンや
1−クロロブタンジエン−1,3を除去する方法は、E
DCを熱分解して塩化ビニルを製造する一連の技術の中
で重要な位置を占めており、これまで多くの方法が提案
されてきている。
【0007】なお、1−クロロブタジエン−1,3の処
理法もクロロプレンの処理法とほぼ同様であり、クロロ
プレンの処理法は1−クロロブタジエン−1,3の処理
法としても適用することができる。
【0008】未分解EDC中に含まれるクロロプレンの
処理法として最もよく工業的に採用されている方法は、
クロロプレンを塩素化する方法である。
【0009】通常よく用いられている方法としては、塩
化ビニル分離塔の塔底液としてえられる未分解EDC
を、エチレンを塩素化してEDCを製造する反応器に供
給して、未分解EDC中のクロロプレンをエチレンとと
もに塩素化して高沸点物に変え、まず、他の工程からの
粗EDCとともに低沸点物用の分離塔に供給して低沸点
物を分離し、ついで高沸点物用の分離塔でEDCを蒸留
によって分離し、塔底からクロロプレンの塩素化物を他
の高沸点物とともに分離する方法があげられる。ここ
で、前記高沸点物用の分離塔で分離回収した精製EDC
は、熱分解原料として塩化ビニルの製造に用いられる。
【0010】しかし、この方法のばあい、クロロプレン
の塩素化の際にEDCの塩素化も同時におこり、多量の
1,1,2−トリクロロエタンが副生するため、多くの
エチレンと塩素とを消費するという欠点がある。
【0011】この欠点を改良する方法として数多くの改
善法が提案されている。たとえば、特公昭50−376
43号公報には、エチレンと塩素とからEDCを製造す
る反応器とは別の反応器で未分解EDC中のクロロプレ
ンを塩素化する方法が、また、特公昭57−61331
号公報や欧州特許第452,909号明細書には、未分
解EDC中のクロロプレンを塩素化するにあたり、少量
のo−クレゾールを添加して1,1,2−トリクロロエ
タンの副生を抑制する方法が開示されている。さらに、
塩化ビニルの分離塔の塔底からえられる未分解EDCを
さらに蒸留してクロロプレンを他の低沸点成分とともに
分離したのち処理しようとする提案がある。この方法の
ばあい、クロロプレンを5〜10%(重量%、以下同
様)に濃縮すると重合がおこり、配管や蒸留塔のトレイ
および凝縮器を閉塞するため、塔頂にEDCを留出させ
て5%以下にEDCで希釈しなければならないが、ED
Cを多量に含む低沸点留分をそのまま焼却などの廃棄処
分にするとEDCの損失が大きすぎる。それで、EDC
の損失を少なくするため、前記低沸点留分中のクロロプ
レンを塩素化して高沸点物に変えたのち蒸留によって分
離し、EDCを回収する方法も提案されている。この方
法においても、クロロプレンの塩素化に伴って、EDC
が塩素化され、1,1,2−トリクロロエタンが副生す
るなどの欠点は解決されない。
【0012】この欠点を改善する1つの方法として、特
公平2−47968号公報には、1,1,2−トリクロ
ロエタン副生の主原因である塩素ラジカルの生成を抑制
するため、塩素化反応器の出口液の一部を入口に循環さ
せてクロロプレンを含む低沸点留分を希釈することによ
り、塩素化反応器入口のクロロプレン濃度を低下させ
て、1,1,2−トリクロロエタンの副生を抑制する方
法が提案されている。
【0013】しかし、この方法のばあいも1,1,2−
トリクロロエタンの副生が減少するとはいえ、少量の副
生はさけられず、EDCの損失を伴ううえに、1,1,
2−トリクロロエタンの副生に伴って塩化水素が副生す
るので、その除去のために水洗などしなければならず、
水洗するとEDC中に水が溶解するので再び蒸留によっ
て水分を除去しなければならないというような問題が生
じる。
【0014】EDCを熱分解して塩化ビニルを製造する
ばあい、クロロプレンの他にベンゼンが副生する。ベン
ゼンはクロロプレンにくらべて塩素化されにくいので、
未分解EDC中のクロロプレンを塩素化しても、ベンゼ
ンは塩素化されないで残る。また、ベンゼンはEDCと
共沸するので、EDCから分離するのが困難である。こ
のベンゼンを含むEDCを再び熱分解反応に用いると、
熱分解反応の過程でベンゼンはほとんど変化しないため
に、副生したベンゼンが加わってEDC中のベンゼン濃
度が次第に増大する。熱分解反応の原料として用いるE
DC中のベンゼン濃度が0.4モル%をこえると、反応
管のコーキングを促進して反応管が閉塞しやすくなる。
したがって、熱分解反応の原料として用いるEDC中の
ベンゼン濃度を0.4モル%以下になるようにEDC中
から除去する必要がある。
【0015】また、英国特許第1,266,676号明
細書には、クロロプレンを含む低沸点留分を塩化第2鉄
を触媒として用いて塩素化すると、クロロプレンととも
に含まれるベンゼンも塩素化されるので、そののち蒸留
することによってクロロプレンとベンゼンとを含まない
EDCをうることができると記載されている。
【0016】しかし、この方法のばあい、EDC中にと
けている多量の塩化第2鉄を蒸留する前に除去しなけれ
ばならず、操作が繁雑である。
【0017】さらに、ドイツ特許第4033047号明
細書および同第4139632号明細書には、塩化ビニ
ル分離塔の塔底からえられる未分解EDCをフラッシュ
蒸留により低沸点物を含むEDC流と高沸点物を含むE
DC流とに分け、低沸点物を含む(クロロプレンとベン
ゼンを含む)EDC流を金属鉄の存在下で塩素化したの
ち高沸点物を含むEDC流と合わせ、さらに塩素化した
のち蒸留によってクロロプレンおよびベンゼンの塩素化
物を含む高沸点物とEDCとを分け、精製EDCをうる
方法が提案されている。
【0018】この方法では、金属鉄を触媒として塩素化
するため、EDCを含む反応液中に多量の塩化第2鉄が
生成し、そのままでは蒸留することが困難であるので塩
化鉄を除去しなければならず、操作が繁雑である。ま
た、第2の塩素化の条件によっては未反応の塩素を多量
に含んだまま反応液を蒸留塔に供給することになり、蒸
留塔を腐食させるおそれが大である。
【0019】このように、未分解EDC中に含まれるク
ロロプレンを塩素化して高沸点物に変えたのちEDCを
蒸留して精製EDCをえ、他の高沸点物とともにクロロ
プレンの塩素化物を分離する方法には、多くの欠点があ
る。すなわち、1,1,2−トリクロロエタンの副生に
よってEDCを消費する、1,1,2−トリクロロエタ
ンの副生に伴って塩化水素が生成するので、それによる
装置の腐食を防止するために水洗などの方法によって除
去しなければならないが、水洗するとEDC中に水が溶
解するので再び蒸留によって水分を除去しなければなら
ない、クロロプレンの塩素化物は熱に不安定であって蒸
留中に分解しやすく、塩化水素を発生しやすい、発生し
た塩化水素は高沸点物用分離塔の塔頂から精製EDCと
ともに留出するので、精製EDC中に溶解し、この精製
EDCを使用する工程の装置を腐食させる原因となるな
どの欠点がある。
【0020】塩素化法は簡便ではあるが、このように多
くの欠点をもっているので、塩素化法以外の他の方法も
検討されている。
【0021】たとえば英国特許第1,184,153号
明細書では、塩化アルミニウムを触媒として未分解ED
C中のクロロプレンをベンゼンと反応させる方法が提案
されている。
【0022】しかし、この方法は1000〜1500w
t ppmの多量の塩化アルミニウムを使用しなければ
ならないうえに、反応終了後に反応混合物から塩化アル
ミニウムを除去しなければならない。EDC中の塩化ア
ルミニウムの除去は通常水洗によって行なわれるが、水
とEDCに不溶な水酸化アルミニウムが多量に生成して
分離が困難となる。
【0023】また、未分解EDC中のクロロプレンをパ
ラジウムや白金を触媒として水素化する方法が米国特許
第4,145,367号明細書およびドイツ特許第2,
217,694号明細書に提案されている。
【0024】この方法によると、クロロプレン、1−ク
ロロブタジエン−1,3およびベンゼンが水素化され
て、クロロブテン類、クロロブタン類、ブタン、エタン
およびシクロヘキサンが生成する。これらの中には、ク
ロロブタン、クロロブテン、シクロヘキサン、シクロヘ
キセン、シクロヘキサジエンのように、EDCとの沸点
差が小さく、蒸留によってEDCから分離できず、さら
に精製EDCに混入するとEDCの熱分解反応を抑制す
る物質も含まれる。さらに、水素化触媒の寿命が短いた
めに、EDCを熱分解して塩化ビニルを製造するための
技術としては採用できない。
【0025】一方、特開平4−77440号公報および
特開平2−286629号公報には、塩化ビニル分離塔
の塔底からえられる未分解EDCを蒸留してえた低沸点
留分を100〜250℃に加熱することにより、低沸点
留分中のクロロプレンをEDCに変化させる方法が提案
されている。この方法が現実に可能であれば工業的には
非常に望ましい方法ではあるが、その実施例をみると、
みかけ上クロロプレンが減少した分だけEDC含量がふ
えているだけで、実際はクロロプレンが重合または他の
反応によって減少しただけであって、EDCの量がふえ
たわけではない可能性が大きい。
【0026】上述のように、EDCを熱分解して塩化ビ
ニルを製造するときに副生するクロロプレンおよび1−
クロロブタジエン−1,3を工業的に満足できる方法で
処理し、EDCから分離し、これらを含有しない精製E
DCを回収する工業的に実施可能な先行技術は見当らな
い。それゆえ、欠点が多く不満足ではあるが、他にかわ
る方法がないので、塩素化法があいかわらず採用されて
いるのが実状である。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明者は前述のごとき
従来の技術における問題を解決するため鋭意検討を重ね
た結果、未分解EDC中のクロロプレン類をベンゼンや
四塩化炭素と反応させる際に、塩化アルミニウム(英国
特許第1,184,153号明細書)、塩化第2鉄(英
国特許第1,266,676号明細書)など後処理の面
倒な触媒を用いる従来技術と違って、後処理の簡単な触
媒を用いる反応系にすればよいとの考えに到達し、本発
明を完成するに至った。
【0028】すなわち、本発明は、1,2−ジクロロエ
タン中に含まれるクロロプレン類を除去するにあたり、
鉄または鋼の存在下で、1,2−ジクロロエタン中に含
まれるクロロプレン類を、四塩化炭素、ベンゼン、ナフ
タレン、ナフタレンの水素化物ならびに常圧での沸点が
150℃以上であって、アルキル基、フェニル基、アル
コキシ基、フェノキシ基および水酸基のうちの1種以上
を1〜3個置換基として有するベンゼン誘導体よりなる
群から選ばれた1種以上と反応させて除去することを特
徴とする1,2−ジクロロエタン中に含まれるクロロプ
レン類の除去方法(請求項1)、反応温度が50〜25
0℃である請求項1記載の方法(請求項2)、1,2−
ジクロロエタン中に含まれるクロロプレン類1モルに対
して、四塩化炭素、べンゼン、ナフタレン、ナフタレン
の水素化物ならびに常圧での沸点が150℃以上であっ
て、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、フェノキ
シ基および水酸基のうちの1種以上を1〜3個置換基と
して有するベンゼン誘導体よりなる群から選ばれた1種
以上を1モル以上加えて反応させる請求項1記載の方法
(請求項3)、1,2−ジクロロエタン中に含まれるク
ロロプレン類が、1,2−ジクロロエタンを不完全に熱
分解して塩化ビニルを製造した際の塩化ビニル分離塔の
塔底液中に含まれるクロロプレン類である請求項1記載
の方法(請求項4)、1,2−ジクロロエタン中に含ま
れるクロロプレン類が、1,2−ジクロロエタンを不完
全に熱分解して塩化ビニルを製造した際の塩化ビニル分
離塔の塔底液からクロロプレンを分離する分離塔の塔頂
液中に含まれるクロロプレン類である請求項1記載の方
法(請求項5)、1,2−ジクロロエタン中に含まれる
クロロプレン類が、1,2−ジクロロエタンを不完全に
熱分解して塩化ビニルを製造した際の未分解1,2−ジ
クロロエタン中に含まれるクロロプレン類であり、該未
分解1,2−ジクロロエタンへの四塩化炭素、ベンゼ
ン、ナフタレン、ナフタレンの水素化物ならびに常圧で
の沸点が150℃以上であって、アルキル基、フェニル
基、アルコキシ基、フェノキシ基および水酸基のうちの
1種以上を1〜3個置換基として有するベンゼン誘導体
よりなる群から選ばれた1種以上の添加が、1,2−ジ
クロロエタン蒸発器の上流側で行なわれ、反応後1,2
−ジクロロエタン蒸発器の上部に付設した蒸留塔によっ
て1,2−ジクロロエタンと反応生成物とを分離する請
求項1記載の方法(請求項6)、および1,2−ジクロ
ロエタン中に含まれるクロロプレン類を、1,2−ジク
ロロエタンに対してあわせて0.01〜0.5モル%の
四塩化炭素およびベンゼンと反応させたのち1,2−ジ
クロロエタン蒸発器に供給する請求項6記載の方法(請
求項7)に関する。
【0029】ここで、EDCに含まれるクロロプレン類
とは、クロロプレン、その異性体である1−クロロブタ
ジエン−1,3およびこれらに塩化水素が付加した1,
3−ジクロロブテン−2、1,3−ジクロロブテン−1
の単独または混合物を指す。1,3−ジクロロブテン−
2および1,3−ジクロロブテン−1は塩化ビニル分離
塔の塔底からえられる未分解EDC中に存在する。他の
ジクロロブテンの異性体、たとえば3,4−ジクロロブ
テン−1や1,4−ジクロロブテン−2も存在するかも
しれないがその量は少ない。いずれにしてもジクロロブ
テン類はいずれも熱に不安定であってEDCを精製する
蒸留塔内で容易に分解し、クロロプレン、1−クロロブ
タジエンおよび塩化水素を生成する。したがって、どの
ジクロロブテンであっても、ジクロロブテンを含むED
Cを蒸留すると精製EDC中にクロロプレン、1−クロ
ロブタジエン−1,3が混入するので、熱分解反応の原
料として用いると前記のような問題が生じる。それで、
前記精製EDCを熱分解反応の原料として使用する前に
これに含まれるジクロロブテンもクロロプレンおよび1
−クロロブタジエン−1,3と同じように予め除去しな
ければならない。
【0030】
【実施例】本発明では、クロロプレン類を含むEDCか
らクロロプレン類を除去するために、四塩化炭素、ベン
ゼン、ナフタレン、ナフタレンの水素化物ならびに常圧
での沸点が150℃以上であって、置換基としてアルキ
ル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ド
デシル基など炭素数1〜12のアルキル基)、フエニル
基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキ
シ基、ブトキシ基、ドデシルオキシ基などの炭素数1〜
12のアルコキシ基)、フェノキシ基および水酸基のう
ちの1種以上を1〜3個置換基として有するベンゼン誘
導体から選ばれた1種以上(以下、ベンゼン等ともい
う)が、EDC中のクロロプレン類と反応せしめられ
る。クロロプレン類とベンゼン等とを反応させる結果、
クロロプレン類と反応して生じた生成物の沸点は200
℃以上となり、蒸留によってEDCと容易に分離するこ
とができるようになる。その結果、EDCから塩化ビニ
ルを製造する際にクロロプレン類が含まれるばあいの問
題が低減せしめられる。また、反応生成物はクロロプレ
ンの塩素化物よりは熱的に安定であり、塩化水素の発生
量も少ない。
【0031】前記ベンゼンは常圧での沸点が約80℃で
あって、常圧での沸点が84℃であるEDCとの沸点差
が小さく、しかもEDCと共沸するので蒸留によってE
DCと分離するのは困難であるが、精製EDC中に混入
しても、EDCの熱分解反応を抑制する作用は小さいた
め、本発明に用いることができる。
【0032】ベンゼンはEDCの熱分解反応の副反応に
よって生成する副生物の1つであるため、ベンゼンをベ
ンゼン等として用いれば副生したベンゼンをそのまま用
いることができる。副生したベンゼンだけでは不足なら
系外から必要分を追加して用いればよい。
【0033】なお、ベンゼンを含むEDCを熱分解反応
の原料として用いると、熱分解反応の過程でベンゼンは
ほとんど変化しないために、副生したベンゼンが加わっ
て、このEDC中のベンゼン濃度が次第に増加してい
く。このEDC中のベンゼン濃度が0.4モル%をこえ
ると反応管のコーキングを促進して反応管が閉塞しやす
くなる。それで、この熱分解反応の原料として用いるE
DC中のベンゼン濃度を0.4%以下に保つ必要があ
る。EDCの熱分解反応の副反応によって生成するベン
ゼンの量はモル数で比較してクロロプレン類の数分の一
であって、またクロロプレン類とベンゼンとはモル比で
ほぼ1:1で反応する。したがって、本発明の方法でク
ロロプレン類とベンゼンとを反応させると、外部からベ
ンゼンを添加しないのであれば、EDC中のベンゼン濃
度は次第に減少していく。減少量に応じて外部からベン
ゼンを添加することによって、EDC中のベンゼン濃度
を適正に保つことができる。さらに、EDCの蒸発器ま
たはその上流側でクロロプレン類をベンゼンと反応させ
るばあい、一般にベンゼンの含有量の方がクロロプレン
類より大きいばあいが多いので、外部からベンゼンを添
加しなくてもそのまま反応させることもできる。
【0034】四塩化炭素も沸点が約78℃であってED
Cとの沸点差が小さく、また、EDCと共沸するので蒸
留によってEDCと分離するのは困難であるが、精製E
DC中に混入してもEDC熱分解反応を抑制する作用は
なく、むしろEDC熱分解反応を促進する作用を有する
ので、本発明に用いることができる。
【0035】四塩化炭素はEDCを熱分解して生成した
塩化水素をエチレンと酸素と反応させてEDCを製造す
るオキシ塩素化反応の副生成物の1つであるため、四塩
化炭素をベンゼン等として用いれば副生した四塩化炭素
をそのまま用いることができる。副生した四塩化炭素だ
けでは不足なら系外から必要分を追加して用いればよ
い。
【0036】ナフタレンは常圧での沸点が約218℃で
あってEDCとの蒸留分離が容易であり、蒸留によって
精製EDCから分離することができるので、本発明に用
いることができる。ナフタレンをベンゼン等として用い
るとEDC蒸発器の上部に付設した段数の小さい蒸留塔
によっても分離できるので好ましい。
【0037】ナフタレンの水素化物としては、ジヒドロ
ナフタレン、テトラリンのようにベンゼン環を残した水
素化物があげられる。これらの化合物は、常圧での沸点
が200℃付近であり、EDCとの蒸留分離が容易であ
り、蒸留によって精製EDCから分離することができる
ので、本発明に用いることができる。ナフタレンの水素
化物をベンゼン等として用いるとEDC蒸発器の上部に
付設した段数の小さい蒸留塔によっても分離できるので
好ましい。
【0038】前記ベンゼン誘導体としては、たとえばク
メン、メシチレン、ドデシルベンゼン、ビフエニル、ア
ニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、フェノ
ール、クレゾール、キシレノールなどがあげられる。ベ
ンゼン誘導体であっても、トルエン、キシレン、エチル
ベンゼンなどは常圧での沸点が150℃以下であって蒸
留によってEDCと分離するのが困難であるうえに、少
量でも精製EDC中に混入すると、EDCの熱分解反応
を著しく抑制するので、本発明においてクロロプレン類
と反応させるものとしては適さない。前記ベンゼン誘導
体をベンゼン類として用いるとEDC蒸発器の上部に付
設した段数の小さい蒸留塔によっても分離できるので好
ましい。
【0039】前記ベンゼン、四塩化炭素、ナフタレン、
ナフタレンの水素化物ならびにベンゼン誘導体は単独で
用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0040】EDC中に含まれるクロロプレン類と反応
させるベンゼン等は、クロロプレン類の合計1モルに対
して通常1モル以上、好ましくは30モル以下、さらに
は5〜25モルであるのが好ましい。ベンゼン等の使用
量が少なすぎるばあいには、クロロプレン類が未反応物
として残りやすくなり、また、多く用いても本発明の目
的であるクロロプレン類との反応にとってとくに効果が
あがるわけでもなく、無駄であり、後述するようにコー
キングを促進する傾向を示すので、むしろ有害である。
【0041】ところで、前述のように副生するベンゼン
および四塩化炭素を用いると経済的に有利である。これ
らの濃度は、熱分解反応の形式や精製の条件、また本発
明の方法を適用する工程内の場所によっても異なるが、
熱分解反応の原料として用いるEDC中には、通常四塩
化炭素が300〜1000モルppm、ベンゼンが30
0〜2000モルppm含まれているばあいが多い。こ
のばあいにおいて、たとえばクロロプレン類が合計で1
50モルppm含まれていれば、すでにクロロプレン類
1モルあたりベンゼンおよび四塩化炭素が合計で4〜2
0モル含まれていることになり、そのまま、または要す
ればクロロプレン類1モル当り5〜25モルとなるよう
にベンゼン、四塩化炭素などのベンゼン等を外部から補
充すればよい。このばあい、過剰のベンゼン、四塩化炭
素は熱分解反応の反応管に供給されるので、これらが多
すぎるとこの反応管のコーキングを促進する傾向を示
す。したがって、このばあい、ベンゼンおよび四塩化炭
素などのベンゼン等の濃度は合計で5000モルppm
(0.5モル%)以下にするのがEDC熱分解の反応管
のコーキングを抑制する点から望ましい。ベンゼン等と
してベンゼンおよび四塩化炭素を使用するばあい、これ
らの比率にはとくに制限はないが、四塩化炭素は300
0モルppm以下、ベンゼンは4000モルppm以下
が好ましい。
【0042】クロロプレン類とベンゼン等とを反応させ
る温度としては50〜250℃、さらには80〜240
℃が好ましい。反応温度が50℃未満のばあいには、反
応速度が小さく、反応器の容積が大きくなり、経済的に
不利となる傾向にある。一方、250℃をこえるばあい
には、クロロプレン類やEDCが脱塩化水素してタール
や炭素状物質(炭化物)を生成しやすくなる傾向が生じ
る。
【0043】反応の圧力は温度によって異なるが、反応
させる温度でEDCが液体状態を保つ圧力であればよ
い。
【0044】クロロプレン類とベンゼン等との反応に
は、鉄または鋼が触媒として用いられる。触媒として使
用する鉄または鋼はEDCに不溶であり、かつ反応中に
塩化第2鉄のようなEDCに可溶な物質に変化しないの
で、触媒の分離が容易となり、好ましい。
【0045】前記鉄または鋼の具体例としては、たとえ
ば鉄、炭素鋼、低合金鋼またはステンレス鋼などがあげ
られる。これらのうちでは鉄または炭素鋼が活性が高い
ので好ましい。
【0046】前記触媒の形状としては、細い管を束ねた
多管構造体、粒状物を充填した充填層、繊維状のスチー
ルウールを充填した充填層、金網状構造物を充填した充
填層、金属製ラシヒリングを充填した充填層、金属製の
ハニカム構造体、その他を用いることができる。また、
鉄または鋼製の容器中で反応させるばあい、効率はよく
ないが器壁も触媒として作用しうる。これらのうちで
は、スチールウール、金網状構造物、金属製ラシヒリン
グなどを充填して充填層にしたものが、単位容積当りの
表面積が大きく好ましい。
【0047】クロロプレン類とベンゼン等との反応を工
業的に行なわせるばあい、ベンゼン等を加えたクロロプ
レン類を含むEDCを加熱して液の状態で前記触媒を充
填した充填層中を通過させればよい。前記EDC流と触
媒との接触時間は温度および触媒の表面積によっても異
なるが、概ね0.05〜3.0時間である。
【0048】EDCの熱分解反応により塩化ビニルを製
造する既存の工程に本発明の方法を付け加えて改善をは
かるばあい、本発明の方法はつぎのように適用されう
る。
【0049】たとえば、塩化ビニル分離塔の塔底液にベ
ンゼン等を加え、触媒層を通過させて反応させる。塩化
ビニル分離塔の塔底液にはクロロプレン類が濃縮されて
おり、温度も高いので反応に有利である。
【0050】また、EDCの蒸発器に供給するために予
め予熱したEDC(精製EDC)に、ベンゼン等を加
え、触媒層を通過させて反応させる。このばあい、温度
が高く反応に有利である。
【0051】さらに、EDC蒸発器の加熱管群を鋼管を
用いて構成し、加熱面で反応させることもできる。この
ばあい、クロロプレン類の反応率は小さいが、既設の設
備を変更せずに行なえるので経済的に有利である。
【0052】これらのばあい、生成した高沸点物がED
Cの熱分解反応管に供給されないようにEDCと分離し
なければならないが、EDC蒸発器の上部に蒸留塔を付
設して、頂部より留出するEDC蒸気を熱分解反応に用
い、底部より高沸点物を含むEDCをぬきとるようにす
ることにより分離することができる。
【0053】塩化ビニル分離塔の塔底液からクロロプレ
ン類を分離するための蒸留塔を備えている工程において
はクロロプレン分離塔の塔頂から留出する濃縮されたク
ロロプレン、1−クロロブタジエン−1,3、ベンゼン
および四塩化炭素を含むEDCに、不足分のベンゼン等
を加えて昇温し、触媒層を通過させて反応させたのち、
のこりの塔底液とともに既設の高沸点物分離塔によって
高沸点物を分離すればよい。
【0054】このような方法によって、熱分解反応の原
料として用いるEDC中のクロロプレン類の合計濃度を
100モルppm以下、さらには70モルppm以下に
減少させることができ、熱分解反応の反応管のコーキン
グを抑制して反応管を閉塞させることなく、連続して5
カ月以上、さらには6カ月以上運転することができる。
【0055】なお、前記EDC中のクロロプレン類の合
計濃度100ppm以下という値は、熱分解反応の反応
管のコーキングを抑制するのに必要な濃度として、一般
に1つの目標値とされている値である。
【0056】つぎに本発明の方法を実施例に基づいて説
明する。
【0057】実施例1〜10および比較例1〜4 四塩化炭素170wt ppmを含むEDCにシスおよ
びトランス−1,3−ジクロロブテン−2の混合物を約
500wt ppm加えて原料EDCとした。この原料
EDC25mlに直径0.8mm、長さ95mmの鉄の
針金4本をうずまき状にまいたものを加え、さらに表1
に示す添加物をシスおよびトランス−1,3−ジクロロ
ブテン−2の混合物1モルに対して表1に示すモル比に
なるように加え、チッ素ガスの雰囲気下で2時間EDC
の沸点(84℃)で反応させた。反応終了後、反応液を
冷却してガスクロマトグラフィー(GC)分析を行な
い、シスおよびトランス−1,3−ジクロロブテン−2
の混合物の反応率を求めた。表1に添加物、添加したモ
ル比および反応後のシスおよびトランス−1,3−ジク
ロロブテンの混合物の濃度および反応率を示す。
【0058】なお、原料EDC中のシスおよびトランス
−1,3−ジクロロブテン−2の混合物の濃度はGC分
析の結果472wt ppmであった。また、反応後の
EDC中のクロロプレン濃度は1wt ppm以下であ
り、1−クロロブタジエン−1,3は認められなかっ
た。したがって、この条件下では、シスおよびトランス
−1,3−ジクロロブタジエン−2の混合物の脱塩化水
素は生じないので、添加した化合物と反応したことがわ
かる。
【0059】
【表1】
【0060】実施例1〜10はベンゼン等としてどのよ
うなものがジクロロブテンと反応しやすいかを示すもの
である。
【0061】表1から、本発明の範囲外であるo−ジク
ロロベンゼンは反応性が小さく、また、芳香族化合物を
全く含まない流動パラフィンも反応性が小さいことがわ
かる。
【0062】一方、ベンゼン、n−ドデシルベンゼンの
ようなアルキルベンゼン、ナフタレンおよびナフタレン
の水素化物であるテトラリン、フェノール、クレゾール
のような水酸基、水酸基およびメチル基をもつベンゼン
誘導体、アニソール、ジフェニルエーテルのようにアル
コキシ基、フェノキシ基をもつベンゼン誘導体の反応性
が大きいことがわかる。
【0063】トルエンおよびキシレンはジクロロブテン
とよく反応するが、沸点が低くEDCとの蒸留分離がし
にくく、精製EDCに混入するとEDCの熱分解反応を
抑制する作用が大きいため、本発明の方法には使用でき
ない。
【0064】実施例11〜12 表2に示すようなクロロプレン、1−クロロブタジエン
−1,3、1,3−ジクロロブテン−1および1,3−
ジクロロブテン−2のクロロプレン類と四塩化炭素およ
びベンゼンを含むEDC80mlを内容量200mlの
SUS304ステンレス鋼でつくられたオートクレーブ
に入れ、表2に記載の温度および時間で反応させた。反
応終了後、反応液を冷却してGC分析を行ないクロロプ
レン類の濃度を測定し、クロロプレン類の反応率を求め
た。反応温度および反応時間と反応率との関係を表2に
示す。
【0065】原料EDC中のクロロプレン類合計1モル
に対する四塩化炭素のモル比は8.14であり、同じく
ベンゼンのモル比は0.76であった。
【0066】
【表2】
【0067】表2から、いずれのばあいもクロロプレン
類の濃度が100モルppm以下になることがわかる。
【0068】実施例13〜14 実施例11で用いたのと同じEDC80mlを内容量2
00mlのSUS304ステンレン鋼でつくられたオー
トクレーブに入れ、外径0.8mm、長さ95mmの鉄
の針金1本をうずまき状にまいて加え、実施例11と同
様に加熱して反応させた。反応温度および時間とクロロ
プレン類合計の反応率との関係を表3に示す。
【0069】
【表3】
【0070】表3から、いずれのばあいもクロロプレン
類の濃度が極めて低い値になることがわかる。
【0071】実施例15〜16 実施例11で用いたのと同じEDC80mlを内容量2
00mlのSUS304ステンレス鋼でつくられたオー
トクレーブに入れ、実施例13で用いた鉄の針金の数を
増して200℃で反応させた。針金の数および反応時間
とクロロプレン類合計の反応率との関係を表4に示す。
【0072】
【表4】
【0073】表4から、いずれのばあいもクロロプレン
類の濃度が低い値になることがわかる。
【0074】実施例17〜18 伝熱面積300m2 の鋼管群からなる加熱器を有するE
DC蒸発器2基を底部に付設した7段のトレイをもつ蒸
留塔の中段に、表5に示す組成のEDCを64t/Hで
供給した。加熱器にスチームを供給して195℃でED
Cを蒸発させて蒸留塔に供給し、蒸留塔の塔頂からED
C蒸気を58t/H留出させて分解炉に供給した。蒸発
器の底部より高沸点物を含むEDC(液体)を6t/H
で排出した。
【0075】蒸留塔の塔頂のEDC組成は表5に示す通
りであった。
【0076】なお、表5に示す運転継続可能期間は、分
解炉の入口と出口の圧力差の増加速度から推定したもの
である。
【0077】実施例19〜20 実施例17のEDC蒸発器の上流側にスチールウールの
充填層を設置して、実施例17で用いた組成のEDCを
190℃で充填層に供給した。EDC蒸発器を実施例1
7と同様に操作した。
【0078】充填層には線径0.05mmのスチールウ
ール(スリーエース A−12、山崎産業(株)製)を
表面積として30m2 相当分充填した。
【0079】蒸留塔塔頂から留出するEDCの組成を表
5に示す。
【0080】
【表5】
【0081】表5から、本発明の方法により工業的規模
においてもEDC中に含まれるクロロプレン類、すなわ
ちクロロプレン、1−クロロブタジエン−1,3、1,
3−ジクロロブテン−1、1,3−ジクロロブテン−2
を減少させうることがわかる。
【0082】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来の設備を大
きく変更することなく、EDC中に含まれるクロロプレ
ン類を合計で100モルppm以下に除去することがで
きるので、従来の設備で長期間安定に運転することがで
き、かつ塩化ビニルの品質を向上させることができる。
【0083】また、本発明に用いる触媒はEDCに不溶
性であるから、EDCに溶解した触媒を分離除去するた
めの繁雑な操作を必要とせず、工業的に有利である。
【0084】さらに、本発明の方法では、クロロプレン
の塩素化物のような熱に不安定な生成物を生成せず、反
応したのち蒸留するときの塩化水素の生成も少なく、E
DCの損失も少ないので経済的に有利である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,2−ジクロロエタン中に含まれるク
    ロロプレン類を除去するにあたり、鉄または鋼の存在下
    で、1,2−ジクロロエタン中に含まれるクロロプレン
    類を、四塩化炭素、ベンゼン、ナフタレン、ナフタレン
    の水素化物ならびに常圧での沸点が150℃以上であっ
    て、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、フェノキ
    シ基および水酸基のうちの1種以上を1〜3個置換基と
    して有するベンゼン誘導体よりなる群から選ばれた1種
    以上と反応させて除去することを特徴とする1,2−ジ
    クロロエタン中に含まれるクロロプレン類の除去方法。
  2. 【請求項2】 反応温度が50〜250℃である請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】 1,2−ジクロロエタン中に含まれるク
    ロロプレン類1モルに対して、四塩化炭素、べンゼン、
    ナフタレン、ナフタレンの水素化物ならびに常圧での沸
    点が150℃以上であって、アルキル基、フェニル基、
    アルコキシ基、フェノキシ基および水酸基のうちの1種
    以上を1〜3個置換基として有するベンゼン誘導体より
    なる群から選ばれた1種以上を1モル以上加えて反応さ
    せる請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 1,2−ジクロロエタン中に含まれるク
    ロロプレン類が、1,2−ジクロロエタンを不完全に熱
    分解して塩化ビニルを製造した際の塩化ビニル分離塔の
    塔底液中に含まれるクロロプレン類である請求項1記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 1,2−ジクロロエタン中に含まれるク
    ロロプレン類が、1,2−ジクロロエタンを不完全に熱
    分解して塩化ビニルを製造した際の塩化ビニル分離塔の
    塔底液からクロロプレンを分離する分離塔の塔頂液中に
    含まれるクロロプレン類である請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 1,2−ジクロロエタン中に含まれるク
    ロロプレン類が、1,2−ジクロロエタンを不完全に熱
    分解して塩化ビニルを製造した際の未分解1,2−ジク
    ロロエタン中に含まれるクロロプレン類であり、該未分
    解1,2−ジクロロエタンへの四塩化炭素、ベンゼン、
    ナフタレン、ナフタレンの水素化物ならびに常圧での沸
    点が150℃以上であって、アルキル基、フェニル基、
    アルコキシ基、フェノキシ基および水酸基のうちの1種
    以上を1〜3個置換基として有するベンゼン誘導体より
    なる群から選ばれた1種以上の添加が、1,2−ジクロ
    ロエタン蒸発器の上流側で行なわれ、反応後1,2−ジ
    クロロエタン蒸発器の上部に付設した蒸留塔によって
    1,2−ジクロロエタンと反応生成物とを分離する請求
    項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 1,2−ジクロロエタン中に含まれるク
    ロロプレン類を、1,2−ジクロロエタンに対してあわ
    せて0.01〜0.5モル%の四塩化炭素およびベンゼ
    ンと反応させたのち1,2−ジクロロエタン蒸発器に供
    給する請求項6記載の方法。
JP7032417A 1995-02-21 1995-02-21 1,2−ジクロロエタン中に含まれるクロロプレン類の除去方法 Pending JPH08225472A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002114721A (ja) * 2000-10-11 2002-04-16 Tosoh Corp 高純度1,2−ジクロルエタンの回収方法

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