JPH08221031A - 電子源の駆動装置、画像形成装置およびそれらの方法 - Google Patents

電子源の駆動装置、画像形成装置およびそれらの方法

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JPH08221031A
JPH08221031A JP2420395A JP2420395A JPH08221031A JP H08221031 A JPH08221031 A JP H08221031A JP 2420395 A JP2420395 A JP 2420395A JP 2420395 A JP2420395 A JP 2420395A JP H08221031 A JPH08221031 A JP H08221031A
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JP2420395A
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Osamu Sagano
治 嵯峨野
Hidetoshi Suzuki
英俊 鱸
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  • Control Of Indicators Other Than Cathode Ray Tubes (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)
  • Transforming Electric Information Into Light Information (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷陰極素子を駆動する回路の構成を簡単化す
ることができる電子源の駆動装置および画像形成装置な
どを提供する。 【構成】 1H分の画像データがシフトレジスタ群37bと3
7cに蓄えられると、タイミング制御回路34からシフトレ
ジスタ群37bと37cへタイミング信号Q3が供給される。こ
の信号Q3は、1H期間を2^8等分したときにその(2^n)-1
(ただし、n=1,…,7)番目に対応する時間にハイになる
信号で、この信号Q3によりシフトレジスタ群37bと37cに
蓄えられている画像データは、それぞれ図の下向き矢印
の方向へシフトされて、mビットのラッチ回路42へ供給
される。ラッチ回路42は、信号Q3に同期して、下位ビッ
トから順に画像データの各ビットをラッチするので、ラ
ッチ回路42から出力される信号は画像データに応じたPW
M信号になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子源の駆動装置、画像
形成装置およびそれらの方法に関し、例えば、複数の冷
陰極電子源を配置した電子源を駆動する装置およびその
方法と、その電子源を用いる画像形成装置およびその方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子放出素子として熱陰極素子と冷陰極
素子の二種類がある。このうち冷陰極素子には、例え
ば、電界放出型素子(以下「FE型」と記す)、金属/絶
縁層/金属型放出素子(以下「MIM型」と記す)や表面伝
導型電子放出素子などがある。
【0003】表面伝導型電子放出素子としては、例え
ば、M.I.Elinson, Radio Eng. Electron Phys., 10, (1
965)や、後述する他の例がある。
【0004】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生じる現象を利用したものである。こ
の表面伝導型電子放出素子としては、前記Elinsonなど
によるSnO2薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer: "Thin Solid Films", 9, 317(1972)]、In2
O3/SnO2薄膜によるもの[M.Hartwell and C.G.Fonstad:
"IEEE Trans. ED Conf.", 519(1975)]やカーボン薄膜
によるもの[荒木久他: 真空、第26巻、第1号、22(198
3)]などが報告されている。
【0005】これらの表面伝導型電子放出素子の素子構
成の典型的な例として、図1に前述のHartwellなどによ
る素子の平面図を示す。同図において、3001は基板、30
04はスパッタで形成された金属酸化物からなる導電性薄
膜である。導電性薄膜3004は、図に示すように、H字形
の平面形状に形成されている。この導電性薄膜3004に後
述する通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施すこと
により、電子放出部3005が形成される。図中の距離Lは
0.5〜1mm、Wは0.1mmに設定されている。なお、図示の便
宜から、電子放出部3005を導電性薄膜3004の中央に矩形
の形状で示したが、これは模式的なものであり、実際の
電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけでは
ない。
【0006】Hartwellなどによる素子をはじめとして、
上述の表面伝導型電子放出素子においては、電子放出を
行う前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと呼ばれる
通電処理を施すことにより電子放出部3005を形成するの
が一般的である。すなわち、通電フォーミングとは、導
電性薄膜3004の両端に一定の直流電圧、もしくは、例え
ば1V/分程度の非常に緩いレートで昇圧する直流電圧を
印加して通電し、導電性薄膜3004を局所的に破壊もしく
は変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態の電
子放出部3005を形成することである。なお、局所的に破
壊もしくは変形もしくは変質した導電性薄膜3004の一部
には、亀裂が発生する。この通電フォーミング後に、導
電性薄膜3004に適宜の電圧を印加した場合には、前記の
亀裂付近において電子放出が行われる。
【0007】また、FE型の例としては、例えば、W.P.Dy
ke & W.W.Dolan, "Field emission", Advance in Elect
ron Physics, 8, 89(1956)や、あるいは、C.A.Spindt,
"Physical properties of thin-film field emission
cathodes with molybdenium cones", J.Appl.Phys., 4
7, 52488(1976)などがある。
【0008】FE型の素子構成の典型的な例として、図2
に前述のSpindtなどによる素子の断面図を示す。同図に
おいて、3010は基板、3011は導電材料よりなるエミッタ
配線、3012はエミッタコーン、3013は絶縁層、3014はゲ
ート電極である。この素子は、エミッタコーン3012とゲ
ート電極3014の間に、適宜の電圧を印加することによ
り、エミッタコーン3012の先端部より電界放出を起すも
のである。また、FE型の他の素子構成として、図2に示
すような積層構造ではなく、基板上に基板面とほぼ平行
にエミッタとゲート電極を配置した例もある。
【0009】また、MIM型の例としては、例えば、C.A.M
ead, "The tunnel-emission amplifier", J.Appl.Phy
s., 32, 646(1961)などがある。
【0010】図3はMIM型の素子構成の典型的な例を示す
断面図である。同図において、3020は基板、3021は金属
からなる下電極、3022は厚さ100Å程度の薄い絶縁層、3
023は厚さ80〜300Å程度の金属からなる上電極である。
この素子は、上電極3023と下電極3021の間に、適宜の電
圧を印加することにより、上電極3023の表面から電子放
出を起すものである。
【0011】上述した冷陰極素子は、熱陰極素子と比較
して低温で電子を放出させることができるので、加熱用
ヒータを必要としない。従って、熱陰極素子よりも構造
が単純で、微細な素子を作成することが容易である。ま
た、基板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基板
が熱溶融するなどの問題が発生しにくい。また、熱陰極
素子がヒータの加熱により動作するため応答速度が遅い
のとは異なり、冷陰極素子は応答速度が速いという利点
もある。このため、冷陰極素子を応用するための研究が
盛んに行われている。
【0012】例えば、上述の表面伝導型電子放出素子
は、構造が単純で製造も容易であることから、大面積に
亘り多数の素子を形成できる利点がある。そこで、例え
ば本出願人による特開昭64-31332号公報に開示されたよ
うに、多数の素子を配列して駆動するための方法が研究
されている。
【0013】また、表面伝導型電子放出素子の応用につ
いては、例えば、画像表示装置、画像記録装置などの画
像形成装置や、荷電ビーム源などが研究されている。と
くに画像表示装置への応用としては、例えば本出願人に
よるUSP 5,066,883や特開平2-257551号公報や特開平4-2
8137号公報に開示されたように、表示伝導型放出素子と
電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合わせ
て用いた画像表示装置が研究されている。表面伝導型電
子放出素子と蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装
置は、従来の他の方式の画像表示装置よりも優れた特性
が期待されている。例えば、近年普及した液晶表示装置
と比較しても、自発光型であるためバックライトを必要
としない点や、視野角が広い点が優れているといえる。
【0014】また、FE型を多数個並べて駆動する方法
は、例えば、本出願人によるUSP 4,904,895に開示され
ている。FE型を画像表示装置に応用した例として、例え
ば、R.Meyerなどにより報告[R.Meyer:"Recent Developm
ent on Microtips Display at LETI", Tech. Digest of
4th Int. Vacuum Microelectronics Conf., Nagahama,
pp. 6-9(1991)]された平板型表示装置がある。
【0015】また、MIM型を多数個並べて画像表示装置
に応用した例は、例えば、本出願人による特開平3-5573
8号公報に開示されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、上記従来
例に記載したものをはじめとして、様々な材料、製法、
構造の表面伝導型電子放出素子を試みてきた。さらに、
多数の冷陰極素子を配列したマルチ電子ビーム源、並び
に、このマルチ電子ビーム源を応用した画像表示装置に
ついての研究を行ってきた。
【0017】発明者らは、例えば、図4に示す電子的な
配線方法によるマルチ電子ビーム源を試みてきた。すな
わち、冷陰極素子を二次元的に多数個配列し、これらの
素子を図に示すようにマトリクス上に配線したマルチ電
子ビーム源である。
【0018】図中、4001は冷陰極素子を模式的に示した
もの、4002は行方向配線、4003は列方向配線である。行
方向配線4002および列方向配線4003は、実際には有限の
電気抵抗を有するものであるが、図においては配線抵抗
4004および4005として示されている。このような配線方
法を「単純マトリクス配線」と呼ぶ。なお、図示の便宜
上、6×6のマトリクスを示したが、勿論、マトリクスの
規模はこれに限るわけではなく、例えば画像表示装置用
のマルチ電子ビーム源の場合には、所望の画像表示を行
うのに足りる素子を配列し配線するものである。
【0019】冷陰極素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源においては、所望の電子ビームを出力さ
せるため、行方向配線4002および列方向配線4003に適宜
の電気信号を印加する。例えば、マトリクスの中の任意
の一行の冷陰極素子を駆動するには、選択する行の行方
向配線4002には選択電圧Vsを印加し、同時に、非選択の
行の行方向配線4002には非選択電圧Vnsを印加する。こ
れと同期して、列方向配線4003に電子ビームを出力する
ための駆動電圧Veを印加する。
【0020】この方法によれば、配線抵抗4004および40
05による電圧降下を無視すると、選択する行の冷陰極素
子には、電圧Ve-Vsが印加され、また非選択行の冷陰極
素子には電圧Ve-Vnsが印加される。Ve,Vs,Vnsを適宜の
大きさの電圧にすれば、選択する行の冷陰極素子だけか
ら所望の強度の電子ビームが出力されるはずであり、ま
た列方向配線4003のそれぞれに、異なる駆動電圧Veを印
加すれば、選択する行の素子のそれぞれから異なる強度
の電子ビームが出力されるはずである。また、冷陰極素
子の応答速度は高速であるため、駆動電圧Veを印加する
時間の長さを変えれば、電子ビームが出力される時間の
長さも変えることができるはずである。
【0021】従って、冷陰極素子を単純マトリクス配線
したマルチ電子ビーム源は、色々な応用の可能性があ
り、例えば画像情報に応じた電気信号を適宜印加すれ
ば、画像表示装置用の電子源として好適に用いることが
できる。
【0022】そこで、本発明者らは、冷陰極素子に印加
する駆動電圧のパルス幅を制御して、階調画像を形成す
る方法(以下「PWM階調形成方式」と呼ぶ)を試みてき
た。しかしながら、このようなPWM階調形成方式には回
路が複雑になるなどの問題がある。
【0023】図5はPWM階調形成方式の画像形成装置を説
明するブロック図である。同図において、映像中間周波
数回路11は、入力されたNTSC信号から映像中間周波数信
号を作成して、映像検波回路12へ供給する。映像検波回
路12は、映像中間周波数信号から映像信号Sを抽出し
て、同期分離回路13およびA/D変換回路15へ供給する。
同期分離回路13は、映像信号Sから水平同期信号と垂直
同期信号を分離して、タイミング制御回路14へ供給す
る。タイミング制御回路14は、水平同期信号から水平走
査周波数を画像表示部21の横方向の画素数倍した周波数
のタイミング信号T0(図6参照)と、垂直同期信号から
タイミング信号T1(図6参照)とを生成する。
【0024】8ビットのA/D変換回路15は、タイミング信
号T0の周期で映像信号Sをサンプリングして、8ビットの
並列ディジタル信号を出力する。この並列ディジタル信
号は、順次、8ビットのラッチ回路16へタイミング信号T
0に同期して転送されラッチされる。ラッチ回路16にラ
ッチされたディジタル信号は、タイミング信号T0に同期
して、八本構成のmビットのシフトレジスタへ順次転送
され、一水平期間終了時には一水平期間分の映像ディジ
タル信号がシフトレジスタ群17に蓄えられる。
【0025】シフトレジスタ群17に一水平期間分の映像
ディジタル信号が蓄えられると、カウンタ回路18にタイ
ミング信号T1が供給され、シフトレジスタ群17に蓄えら
れた一水平期間分の映像ディジタル信号がラッチされ
る。カウンタ回路18は、映像ディジタル信号D2に対応し
た幅のパルス信号を発生して、画像表示部21の各画素列
をドライブするトランジスタ22を駆動する。このドライ
ブ用トランジスタ22は、そのゲートにカウンタ回路18か
ら電圧が供給されている期間、そのドレイン-ソース間
が導通するので、その期間、画像表示部21の各列配線に
は所定の電圧が印加される。
【0026】また、リングカウンタ20は、タイミング信
号T1を入力して、画像表示部21のn行の行配線を一水平
期間毎に順次移動するための信号を生成する。この信号
は、走査側ドライブ回路19へ供給されて、適当な電圧に
変換された後、変調側(列配線側)と同期して、画像表
示部21の各行配線へ走査信号S1として入力される。
【0027】このような回路構成および手順で映像信号
Sに応じた幅のパルスを列配線に印加することで、PWM階
調形成方式を実現していたが、図5に示したように、そ
の回路は複雑である。
【0028】本発明は、上述の問題を解決するためのも
のであり、冷陰極素子を駆動する回路の構成をより簡単
にすることができる電子源の駆動装置、画像形成装置お
よびそれらの方法を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】および
【作用】本発明は、前記の目的を達成する一手段とし
て、以下の構成を備える。
【0030】本発明にかかる電子源の駆動装置は、少な
くとも、複数の冷陰極電子源を二次元に配列し、行方向
配線と列方向配線により各電子源をマトリクス状に結線
したマルチ電子源と、前記行方向配線を一行ずつ走査す
る走査手段と、前記走査手段により走査される行の入力
端に所定電圧を入力する入力手段と、前記走査手段の走
査に同期して、入力された画像信号に基づいて複数のパ
ルスを組合わせた変調信号を生成し、前記列方向配線の
入力端にその変調信号を供給する変調手段とを有するこ
とを特徴とする。
【0031】本発明にかかる画像形成装置は、少なくと
も、複数の冷陰極電子源を二次元に配列し、行方向配線
と列方向配線により各電子源をマトリクス状に結線した
マルチ電子源と、前記行方向配線を一行ずつ走査する走
査手段と、前記走査手段により走査される行の入力端に
所定電圧を入力する入力手段と、前記走査手段の走査に
同期して、入力された画像信号に基づいて複数のパルス
を組合わせた変調信号を生成し、前記列方向配線の入力
端にその変調信号を供給する変調手段と、前記冷陰極電
子源から放出された電子によって発光する発光手段とを
を有することを特徴とする。
【0032】本発明にかかる電子源の駆動方法は、少な
くとも、複数の冷陰極電子源を二次元に配列し、行方向
配線と列方向配線により各電子源をマトリクス状に結線
したマルチ電子源の駆動方法であって、前記行方向配線
を一行ずつ走査する走査ステップと、前記走査ステップ
で走査する行の入力端に所定電圧を入力する入力ステッ
プと、前記走査ステップの走査に同期して、入力された
画像信号に基づいて複数のパルスを組合わせた変調信号
を生成し、前記列方向配線の入力端にその変調信号を供
給する変調ステップとを有することを特徴とする。
【0033】本発明にかかる画像形成方法は、少なくと
も、複数の冷陰極電子源を二次元に配列し、行方向配線
と列方向配線により各電子源をマトリクス状に結線した
マルチ電子源と、前記冷陰極電子源から放出された電子
によって発光する発光手段とを備えた画像形成装置の画
像形成方法であって、前記行方向配線を一行ずつ走査す
る走査ステップと、前記走査ステップで走査する行の入
力端に所定電圧を入力する入力ステップと、前記走査ス
テップの走査に同期して、入力された画像信号に基づい
て複数のパルスを組合わせた変調信号を生成し、前記列
方向配線の入力端にその変調信号を供給する変調ステッ
プとを有することを特徴とする。
【0034】
【実施例】以下、本発明にかかる一実施例の画像形成装
置を図面を参照して詳細に説明する。
【0035】[PWM階調形成方式の原理]前述したよう
に、表面伝導型電子放出素子などの冷陰極素子に電圧を
印加する時間を制御することで、その間に素子から放出
される電子量を制御することができ、素子に対向するよ
うに蛍光体を配置すれば蛍光体の発光輝度を制御できる
ので、階調画像を形成することができる。
【0036】本発明にかかるPWM階調形成方式は、幾つ
かのパルスの組合わせにより電圧の印加時間を制御して
階調画像を形成するものである。図7はこのPWM階調形成
方式を説明するための図で、51は冷陰極素子、52は走査
側配線(行配線)、53は変調側配線(列配線)である。
説明を簡単にするために、列配線を八本とする。また、
各素子51に対向する位置には、電子の衝突により発光す
る蛍光体(不図示)が配設されているものとする。
【0037】図7に示すように、冷陰極素子を単純マト
リクス状に配列した場合、その配線抵抗が充分小さけれ
ば、各素子51には、その素子51が接続された行配線52の
給電端に加えられた電圧と、列配線53の給電端に加えら
れた電圧との差が印加されることになる。例えば、一つ
の例として、図7に四角で囲んで示す行の素子51を駆動
する時について考える。
【0038】図8は行配線52と列配線53の各給電端に加
える電圧波形の一例を示す図で、期間1Hは一水平走査期
間を表している。走査側信号と変調側信号の波高値を、
素子から電子放出が開始される程度の電圧に設定し、図
8に示すような電圧を加える。この場合、素子rd7, rd6,
rd5, rd4, rd3, rd2, rd1, rd0に対向する蛍光体の順
で、発光輝度が高くなる。これは、各素子51には、下に
示す期間、電子放出に寄与する電圧が印加されるので、
放出される電子量に差が生じ、電圧が印加される期間が
長いほど、つまり放出される電子量が多いほど、蛍光体
の発光輝度が高くなるからである。 rd0: 0 = 0 rd1: 1/8H = 1/8H rd2: 1/4H = 2/8H rd3: 1/8H + 1/4H = 3/8H rd4: 1/2H = 4/8H rd5: 1/8H + 1/2H = 5/8H rd6: 1/4H + 1/2H = 6/8H rd7: 1/8H + 1/4H + 1/2H = 7/8H
【0039】この例では、2^3(二の三乗)=八階調を形
成する例を説明したが、さらに、1/16Hや1/32Hなどのパ
ルス幅の電圧を印加すれば、16(=2^4)階調や32(=2^5)階
調の形成も可能であることは言うまでもない。
【0040】このように、冷陰極素子を単純マトリクス
状に配列した電子源を用いた画像形成装置において、上
述したPWM階調形成方式により、階調画像を形成するこ
とができる。
【0041】なお、以下の説明では、形成する画像に階
調を与えるために走査方法を線順次とし、その一水平走
査時間内の画像形成期間の割合をパルス幅制御すること
により、階調画像を形成すること(以下「PWM階調形成
方式」と呼ぶ)を基本にする。
【0042】[構成]図9は本発明にかかる一実施例のP
WM階調形成方式による画像形成装置の構成例を示すブロ
ック図である。
【0043】同図において、映像中間周波数回路31は、
入力されたNTSC信号から映像中間周波数信号を作成し
て、映像検波回路32へ供給する。映像検波回路32は、映
像中間周波数信号から映像信号Sを抽出して、同期分離
回路33およびA/D変換回路35へ供給する。同期分離回路3
3は、映像信号Sから水平同期信号と垂直同期信号を分離
して、タイミング制御回路34へ供給する。タイミング制
御回路34は、水平同期信号から水平走査周波数を画像形
成部41の横方向の画素数m倍した周波数のタイミング信
号Q0およびQ2と、垂直同期信号からタイミング信号Q1
と、両同期信号からタイミング信号Q3とを生成する。図
10はこれらのタイミング信号の一例を示すタイミングチ
ャートである。
【0044】例えば8ビットのA/D変換回路35は、タイミ
ング信号Q0の周期で映像信号Sをサンプリングして、例
えば8ビットの並列ディジタル信号D0を出力する。この
並列ディジタル信号D0は、順次、例えば8ビットのラッ
チ回路36へタイミング信号Q0に同期して転送されラッチ
される。
【0045】ラッチ回路36の出力は、シフトレジスタ群
37aと37cに接続されている。シフトレジスタ群37aはm/2
ビットのシフトレジスタがディジタル信号のビット数
(例えば8ビット)分並んだ構成で、タイミング信号Q0
に同期して、ラッチ回路36から入力された画像データを
それぞれシフトする。シフトレジスタ群37aの先に配置
された、例えば8×m/2のマトリクス状のシフトレジスタ
群37bは、タイミング信号Q0に同期して、シフトレジス
タ群37aから入力された画像データをそれぞれ図に横向
きの矢印で示す方向にシフトする。シフトレジスタ群37
cは、シフトレジスタ群37bと同じく、例えば8×m/2のマ
トリクス状であり、タイミング信号Q2に同期して、ラッ
チ回路36から入力された画像データをそれぞれ図に横向
きの矢印で示す方向にシフトする。なお、mは画像形成
部41の横方向の画素数であるとともに、画素列の数、列
配線の数でもある。
【0046】図11はディジタル信号D0がシフトレジスタ
群37aから37cに蓄えられる様子を示す図である。タイミ
ング信号Q0とQ2が図8に示すような波形であれば、最初
の1/2H(Hは一水平走査期間)において、ディジタル信
号D0はシフトレジスタ群37aに蓄えられることになる。
そして、次の1/2Hにおいて、シフトレジスタ群37aに蓄
えられていたディジタル信号D0は、シフトレジスタ群37
bへ転送され、それと同時に、その1/2H間にA/D変換され
た1/2H分のディジタル信号D0がシフトレジスタ群37cに
蓄えられる。
【0047】そして、1H分の画像データがシフトレジス
タ群37bと37cに蓄えられると、タイミング制御回路34か
らシフトレジスタ群37bと37cへタイミング信号Q3が供給
される。このタイミング信号Q3は、図8に示すように、
例えば、1H期間を2^8(二の八乗)等分したときにその(2^
n)-1(ただし、n=1,…,7)番目、つまり1,3,7,15,31,63
番目および127番目に対応する時間にハイ(High)になる
信号で、このタイミング信号Q3によりシフトレジスタ群
37bと37cに蓄えられている画像データは、それぞれ図の
下向き矢印の方向へシフトされて、mビットのラッチ回
路42へ供給される。ラッチ回路42は、その間隔がタイミ
ング信号Q3に同期して、下位ビットから順に画像データ
の各ビットをラッチするので、ラッチ回路42から出力さ
れる信号は画像データに応じたPWM信号になる。このPWM
信号は、画像形成部41の各列配線をドライブするトラン
ジスタ38のゲートに印加されるので、画像形成部41の各
列配線に電気的に接続された例えば表面伝導型電子放出
素子などの冷陰極素子には、画像データに応じてPWMさ
れた電圧が印加されることになる。
【0048】また、リングカウンタ39は、タイミング信
号Q1を入力して、画像形成部41のn行の行配線を一水平
期間毎に順次移動するための信号を生成する。この信号
は、走査側ドライブ回路40へ供給されて、適当な電圧に
変換された後、変調側(列配線側)と同期して、画像形
成部21の各行配線へ走査信号D1として入力される。
【0049】このようにして、1H期間が終了すると、シ
フトレジスタ群に次の1H期間に対応する画像データ(例
えば8×mビット)がロードされ、前述した手順を繰返す
ことにより、画像形成部41には、入力された画像信号に
応じた階調画像が形成される。
【0050】ここで、図5に示した画像形成装置と、図9
に示す本実施例の画像形成装置とを比較してみる。図9
に示す本実施例の構成においては、図5のシフトレジス
タ群17とカウンタ回路18に代わって、シフトレジスタ群
37aから37cとラッチ回路42が必要になる。画像データの
幅を8ビットとして、この違いを必要なフリップフロッ
プの数で比較すると、図5の場合はシフトレジスタ群17
が8m個、カウンタ回路18が8m個の合計16m個であるのに
対して、本実施例の場合はシフトレジスタ群37aから37c
が3×8×m/2個、ラッチ回路42がm個の合計13m個にな
る。従って、本実施例の構成によれば、図5の構成に比
べて、フリップフロップの数を16m-13m=3m個低減して、
回路を簡単にすることができ、画像形成部41の横方向の
画素数mが多い場合、とくに効果がある。なお、形成さ
れる画像については、画像データの幅を8ビット(256階
調)にして、図5の構成で形成した画像と、図9の構成で
形成した画像とを比較してみたが、視覚的にはほとんど
区別することができなかった。
【0051】このように、本実施例によれば、冷陰極素
子を単純マトリクス状に配置した電子源を用いる画像形
成装置において、比較的簡単な回路構成でPWM階調形成
方式を実現することができる。
【0052】なお、上述では、NTSC方式のTV信号が入力
される例を説明したが、本実施例はこれに限定されるも
のではなく、PALやSECAMなどTV方式や、これらの方式よ
りさらに多数の走査線数をもつTV信号、例えばMUSE方式
をはじめとする所謂高品位TVなどの信号でもよい。
【0053】[画像形成部の構成と製造方法]次に、画
像形成部41の構成と製造方法について、具体例を示して
説明する。図12は画像形成部41の斜視図で、その内部構
造を示すためにその一部を切欠いて示したものである。
【0054】図中、1005はリアプレート、1006は側壁、
1007はフェースプレートであり、これらにより表示パネ
ルの内部を略真空に維持するための気密容器を形成して
いる。気密容器を組立てるに当っては、各部材の接合部
に充分な強度と気密性を保持するため封着する必要があ
る。例えば、フリットガラスを接合部に塗布し、大気中
あるいは窒素雰囲気中において400℃から500℃で10分以
上の焼成を行うことにより封着する。なお、気密容器内
部を略真空に排気する方法については後述する。
【0055】リアプレート1005には、基板1001が固定さ
れているが、その基板1001上には表面伝導型電子放出素
子1002がN×M個形成されている。なお、NとMは、ともに
2以上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じ
て適宜設定される。例えば、高品位テレビジョンを表示
することを目的とする装置においては、Nを3,000以上
の、Mを1,000以上の数を設定することが望ましいが、本
実施例においては、例えば、Nを3,072、Mを1,024とす
る。N×M個の表面伝導型電子放出素子は、二つの群に分
割され、各群はそれぞれM/2本の行方向配線1003とN本の
列方向配線1004により単純マトリクス配線されている。
ここで、行方向と列方向とは略直交する方向であること
は言うまでもない。
【0056】なお、符号1001〜1004で示す各部によって
構成される部分をマルチ電子ビーム源と呼ぶが、その製
造方法や構造については後で詳しく説明する。また、本
実施例においては、気密容器のリアプレート1005にマル
チ電子ビーム源の基板1001を固定する構成としたが、基
板1001が充分な強度を有すれば、基板1001自体を気密容
器のリアプレートとして用いてもよい。
【0057】フェースプレート1007の下面には、蛍光膜
1008が形成される。本実施例はカラー画像を形成する装
置であるため、蛍光膜1008は、CRTの分野で用いられる
赤緑青の三原色の蛍光体で塗り分ける。各色の蛍光体92
は、例えば、図13Aに示すようにストライプ状に塗り分
けられ、蛍光体のストライプの間には黒色導電体91が設
けてある。黒色導電体91を設ける目的は、電子ビームの
照射位置に多少のずれがあっても、表示色にずれが生じ
ないようにすること、外光の反射を防止して表示コント
ラストの低下を防ぐこと、電子ビームによる蛍光膜1008
の帯電を防止することなどである。黒色導電体91は黒鉛
を主成分として用いるが、上記の目的に適するものであ
れば、これ以外の材料を用いてもよい。
【0058】三原色の蛍光体92の塗り分け方は、図13A
に示すストライプ状の配列に限られるものではなく、例
えば、図13Bに示すようなデルタ状配列や、それ以外の
配列であってもよい。なお、モノクロームの表示パネル
を作成する場合は、単色の蛍光体材料を蛍光膜1008に用
いればよく、また黒色導電材91は必ずしも必要としな
い。蛍光体92の塗布方法には、モノクロームの場合は沈
殿法や印刷法を用いるが、カラーの場合はスラリー法を
用いる。ただし、カラーの場合に印刷法を用いても、勿
論、同等の塗布膜が得られる。
【0059】また、蛍光膜1008のリアプレート1005側の
面には、CRTの分野で公知のメタルバック1009を設けて
ある。メタルバック1009を設ける目的は、蛍光膜1008が
発する光の一部を鏡面反射して光利用率を向上させるこ
と、負イオンの衝突から蛍光膜1008を保護すること、電
子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させ
ること、蛍光膜1008を励起した電子の導電路として作用
させることなどである。メタルバック1009は、蛍光膜10
08をフェースプレート1007上に形成した後、蛍光膜1008
の表面を平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)
し、その上にAl(アルミ)を例えば真空蒸着する方法に
より形成する。なお、蛍光膜1008に低電圧用の蛍光体材
料を用いる場合は、メタルバック1009を用いない。ま
た、本実施例では用いないが、加速電圧の印加用や、蛍
光膜1008の導電性向上を目的として、フェースプレート
1007と蛍光膜1008との間に、例えばITOを材料とする透
明電極を設けてもよい。
【0060】Dx1〜Dxm,Dy1〜DynnおよびHvは、表示パ
ネルと不図示の電気回路とを電気的に接続するために設
けた気密構造の電気接続用端子である。Dx1〜Dxmはマル
チ電子ビーム源の行方向配線1003と、Dy1〜Dynはマルチ
電子ビーム源の列方向配線1004と、Hvはフェースプレー
ト1007のメタルバック1009と電気的に接続している。
【0061】気密容器内部を真空に排気するには、気密
容器を組立てた後、不図示の排気管と真空ポンプとを気
密容器に接続し、容器内を10^(-7)Torr程度の真空度ま
で排気する(a^bはaのb乗を表す)。その後、排気管を
封止するが、容器内の真空度を維持するために、封止の
直前あるいは封止後に気密容器内の所定位置にゲッタ膜
(不図示)を形成する。ゲッタ膜とは、例えばBaを主成
分とするゲッタ材料をヒータもしくは高周波加熱により
加熱して蒸着した膜で、ゲッタ膜の吸着作用により容器
内は10^(-5)から10^(-7)Torrの真空度に維持される。な
お、気密容器の組立て、つまりフェースプレート1007、
側壁1006、リアプレート1005の接合部を封着する際は、
各色の蛍光体92と電子放出素子とを対応させなければな
らないので、充分に位置合わせを行う必要がある。
【0062】[表面伝導型電子放出素子の好適な素子構
成と製法]以上、画像形成部41の基本構成と製造方法を
説明したが、次に、画像形成部41に用いるマルチ電子ビ
ーム源の製造方法について説明する。
【0063】本実施例の画像形成部41に用いる電子ビー
ム源は、表面伝導型電子放出素子を単純マトリクス配線
した電子源であれば、表面伝導型電子放出素子の材料や
形状あるいは製法に制限はない。従って、表面伝導型電
子放出素子やFE型あるいはMIM型などの冷陰極素子を用
いることができる。ただし、画面が大きくて、しかも安
価な装置が求められている状況の下では、これらの冷陰
極素子の中でも、表面伝導型電子放出素子がとくに好ま
しい。すなわち、FE型は、エミッタコーンとゲート電極
の相対位置や、その形状が電子放出特性を大きく左右す
るため、極めて高精度の製造技術を必要とするが、これ
は大面積化や製造コストの低減を達成するには不利な要
因になる。また、MIM型は、絶縁層と上電極の膜厚を薄
くして、しかも均一にする必要があるが、これも大面積
化や製造コストの低減を達成するには不利な要因にな
る。その点、表面伝導型電子放出素子は、比較的製造方
法が単純なため、大面積化や製造コストの低減が容易で
ある。
【0064】発明者らは、表面伝導型電子放出素子の中
では、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成したものが、電子放出特性に優れ、しかも製造が容易
に行えることを見いだしている。従って、電子放出部も
しくはその周辺部を微粒子膜から形成した表面伝導型電
子放出素子は、高輝度で大画面の画像形成装置のマルチ
電子ビーム源に用いるには、最も好適であると言える。
そこで、まず好適な表面伝導型電子放出素子について、
基本的な構成と製法およびその特性を説明した後、多数
の素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の
構造について説明する。
【0065】なお、電子放出部もしくはその周辺部を微
粒子膜から形成する表面伝導型電子放出素子の代表的な
構成には、平面型と垂直型の二種類があるので、これら
を順に説明する。
【0066】[平面型の表面伝導型電子放出素子]ま
ず、平面型の表面伝導型電子放出素子の素子構成と製法
について説明する。図14Aは平面型の表面伝導型電子放
出素子の構成を説明する平面図、図14Bはその断面図で
ある。
【0067】同図において、1101は基板、1102と1103は
素子電極、1104は導電性薄膜、1105は通電フォーミング
処理により形成した電子放出部、1113は通電活性化処理
により形成した薄膜である。
【0068】基板1101としては、例えば石英ガラスや青
板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、アルミナを
はじめとする各種セラミクス基板、あるいは、上述の各
種基板上に例えばSiO2を材料とする絶縁層を積層した基
板などを用いる。
【0069】基板1101上に基板面と平行に互いに対向し
て設けられた素子電極1102と1103は、導電性を有する材
料によって形成する。例えば、Ni, Cr, Au, Mo, W, Pt,
Ti,Cu, Pd, Agなどをはじめとする金属や、これら金属
の合金、あるいは、In2O3-SnO2をはじめとする金属酸化
物や、ポリシリコンなどの半導体などから適宜材料を選
択して用いる。素子電極1102と1103は、例えば真空蒸着
などの成膜技術とフォトリソグラフィ・エッチングなど
のパターンニング技術を組合わせれば容易に形成できる
が、それ以外の方法、例えば印刷技術を用いて形成して
も差し支えない。素子電極1102と1103の形状は、その電
子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計する。電極間
隔Lは、通常、数百Åから数百μmの範囲から適当な数値
を選んで設計するが、画像形成装置に応用するために好
ましいのは数μmから数十μmの範囲である。また、素子
電極1102と1103の厚さdは、通常、数百Åから数μmの範
囲から適当な数値を選ぶ。
【0070】導電性薄膜1104には微粒子膜を用いる。こ
こで述べる微粒子膜とは、構成要素として多数の微粒子
を含んだ膜(島状の集合体も含む)を指す。微粒子膜を
微視的に調べれば、通常、個々の微粒子が離間して配置
された構造、微粒子が互いに隣接した構造、あるいは、
微粒子が互いに重なり合った構造が観測される。微粒子
膜に用いる微粒子の粒径は、数Åから数千Åの範囲に含
まれるものであるが、好ましいのは10Åから200Åの範
囲のものである。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べ
るような諸条件を考慮して適宜設定される。すなわち、
素子電極1102あるいは1103と電気的に良好に接続するの
に必要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行う
のに必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適
宜の値にするために必要な条件などである。具体的に
は、数Åから数千Åの範囲で設定するが、好ましいのは
10Åから500Åの範囲である。微粒子膜を形成するのに
用いる材料は、例えば、Pd, Pt, Ru, Ag, Au, Ti, In,
Cu, Cr, Fe, Zn, Sn, Ta, W,Pbなどをはじめとする金
属、PdO, SnO2, In2O3, PbO, Sb2O3などをはじめとする
酸化物、HfB2, ZrB2, LaB6, CeB6YB4, GdB4などをはじ
めとする炭化物、Ti
【0071】N, ZrN, HfNなどをはじめとする窒化物、S
i, Geなどをはじめとする半導体、カーボンなどがあげ
られ、これらの中から適宜選択する。
【0072】以上述べたように、導電性薄膜1104を微粒
子膜で形成するが、そのシート抵抗値は10^3から10^7Ω
/cm^2の範囲に含まれるよう設定する。なお、導電性薄
膜1104と素子電極1102と1103とは、電気的に良好に接続
されるのが望ましいので、互いにその一部が重なり合う
ような構造をとっている。なお、図7Bには、下から基板
1101、素子電極1102と1103、導電性薄膜1104の順で積層
する例を示したが、場合によっては、下から基板1101、
導電性薄膜1104、素子電極1102と1103の順で積層しても
差し支えない。
【0073】電子放出部1105は、導電性薄膜1104の一部
に形成された亀裂状の部分で、電気的には周囲の導電性
薄膜1104よりも高抵抗な性質を有している。亀裂は、導
電性薄膜1104に後述する通電フォーミング処理を行うこ
とにより形成する。亀裂内には、数Åから数百Åの粒径
の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電子放出
部1105の位置や形状を、精密かつ正確に図示するのは困
難であり、図14Aと14Bには模式的に示している。
【0074】薄膜1113は、炭素もしくは炭素化合物から
なる薄膜で、電子放出部1105およびその近傍を被覆して
いる。薄膜1113は、通電フォーミング処理後に、後述す
る通電活性化処理を行うことにより形成する。薄膜1113
は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質
カーボンの何れか、もしくはその混合物で、膜厚は500
Å以下にするが、300Å以下にするのがさらに好まし
い。なお、実際の薄膜1113の位置や形状を、精密かつ正
確に図示するのは困難であり、図14Aと14Bには模式的に
示している。また、図14Aと14Bは薄膜1113の一部を除去
した状態を示している。
【0075】以上、好ましい素子の基本構造を説明した
が、実施例においては、基板1101に青板ガラスを、素子
電極1102と1103にNi薄膜を用い、素子電極1102と1103の
厚さdは約1000Å、電極間隔Lは約2μmとし、微粒子膜の
主要材料としてPdもしくはPdOを用い、微粒子膜の厚さ
は約100Å、幅Wは約100μmにした素子を用いる。
【0076】次に、好適な平面型の表面伝導型電子放出
素子の製造方法について説明する。図15Aから15Eは表面
伝導型電子放出素子の製造工程を説明するための断面図
である。
【0077】工程1: 基板1101上に素子電極1102と1103
を形成する(図15A)。具体的には、基板1101を洗剤、
純水、有機溶剤を用いて予め充分に洗浄し、電極材料を
堆積させる。なお、この堆積には例えば蒸着法やスパッ
タ法などの真空成膜技術を用いる。そして、堆積した電
極材料を、フォトリソグラフィ・エッチング技術を用い
てパターニングし、一対の素子電極1102と1103を形成す
る。
【0078】工程2: 導電性薄膜1104を形成する(図15
B)。具体的には、素子電極1102と1103を形成した基板1
101に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理し
て微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィ・エッチ
ングにより所定の形状にパターニングして、導電性薄膜
1104を形成する。ここで、有機金属溶剤とは、導電性薄
膜に用いる微粒子材料を主要元素とする有機金属化合物
の溶液で、本実施例では主要元素としてPdを用いた。ま
た、塗布方法として、ディッピング法を用いるが、それ
以外の、例えばスピンナ法やスプレイ法を用いてもよ
い。また、微粒子膜からなる導電性薄膜の成膜方法とし
ては、本実施例で用いた有機金属溶液を塗布する方法以
外にも、例えば真空蒸着法やスパッタ法など、あるいは
化学的気相堆積法(CVD)などを用いることができる。
【0079】工程3: 素子電極1102と1103の間に、フォ
ーミング用電源1110から適宜の電圧を印加して、通電フ
ォーミング処理を行い、電子放出部1105を形成する(図
15C)。ここで、通電フォーミング処理とは、微粒子膜
からなる導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を適
宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行う
のに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒子
膜からなる導電性薄膜1104のうち電子放出を行うのに好
適な構造に変化した部分、つまり電子放出部1105におい
ては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。なお、電子
放出部1105を形成する前と比較して、形成後は素子電極
1102と1103の間の電気抵抗が大幅に増加する。
【0080】図16は通電フォーミング処理における通電
方法を詳しく説明するための図で、フォーミング用電源
1110から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。微粒子
膜からなる導電性薄膜1104をフォーミングする場合、パ
ルス状の電圧波形を印加するのが好ましく、本実施例の
場合は、図16に示すように、パルス幅T1の三角波パルス
を繰返間隔T2で連続的に印加する。その際、三角波パル
スの波高値Vpfを順次昇圧する。
【0081】なお、本実施例においては、例えば10^(-
5)Torr程度の真空雰囲気下で、例えばパルス幅T1を約1m
s、繰返間隔T2を約10msにし、波高値Vpfを一パルスごと
に約0.1Vずつ昇圧した。そして、三角波を五パルス印加
する度に一回の割合で、フォーミング処理に悪影響を及
ぼすことがないように波高値Vpmが約0.1Vのモニタパル
スPmを挿入して、その際に流れる電流を電流計1111で計
測することにより、電子放出部1105の形成状況をモニタ
する。そして、素子電極1102と1103の間の電気抵抗が1M
Ω以上になった段階、すなわちモニタパルスPmを印加し
たときに電流計1111で計測される電流が0.1μA以下にな
った段階で、フォーミング処理にかかる通電を終了す
る。なお、この方法は、本実施例の表面伝導型電子放出
素子に関して好ましく、微粒子膜の材料や膜厚、あるい
は、素子電極間隔Lなど、表面伝導型電子放出素子の設
計を変更した場合には、それに応じて通電条件を適宜変
更するのが望ましい。
【0082】工程4: 素子電極1102と1103の間に活性化
用電源1112から適宜の電圧を印加して、通電活性化処理
を行い、電子放出特性を改善する(図15D)。ここで、
通電活性化処理とは、通電フォーミング処理により形成
された電子放出部1105に適宜の条件で通電を行い、その
近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積させる処理のこと
である。図15Dは、炭素もしくは炭素化合物からなる堆
積物を、部材1113として模式的に示している。なお、通
電活性化処理を行う前と比較して、処理後は同じ印加電
圧における放出電流を、典型的な場合に百倍以上に増加
させることができる。
【0083】より具体的には、10^(-4)から10^(-5)Torr
の範囲の真空雰囲気中で、電圧パルスを定期的に印加す
ることにより、真空雰囲気中に存在する有機化合物を起
源とする炭素もしくは炭素化合物を堆積させる。堆積物
1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非
晶質カーボンの何れかか、もしくはその混合物で、その
膜厚は500Å以下、より好ましくは300Å以下にする。次
に、通電方法をより詳しく説明する。
【0084】図17Aは通電活性化用処理時に印加する適
宜の電圧波形の一例を示す図である。本実施例において
は、一定電圧の矩形波を周期的に印加して通電活性化処
理を行うが、具体的には、矩形波の電圧Vacを約14V、パ
ルス幅T3を約1ms、パルス間隔T4を約10msにする。この
通電条件は、本実施例の表面伝導型電子放出素子に関す
る好ましい条件であり、表面伝導型電子放出素子の設計
を変更した場合は、それに応じて通電条件を適宜変更す
るのが望ましい。
【0085】図15Dに示す1114は、表面伝導型電子放出
素子から放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノー
ド電極で、直流高電圧電源1115および電流計1116を接続
する。なお、基板1101を、表示パネル中に組込んでから
通電活性化処理を行う場合は、表示パネルの蛍光面をア
ノード電極1114として用いる。
【0086】活性化用電源1112から電圧を印加する間、
電流計1116で放出電流Ieを計測して、通電活性化処理の
進行状況をモニタし、活性化用電源1112の動作を制御す
る。図17Bは電流計1116で計測した放出電流Ieの一例を
示す図で、活性化電源1112からパルス電圧を印加し始め
ると、時間の経過とともに放出電流Ieは増加するが、や
がて飽和してほとんど増加しなくなる。このように、放
出電流Ieがほぼ飽和した時点で、活性化用電源1112から
の電圧印加を停止し、通電活性化処理を終了する。
【0087】以上のようにして、図15Eに一例を示す平
面型の表面伝導型電子放出素子を製造する。
【0088】[垂直型の表面伝導型電子放出素子]次
に、電子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成し
た表面伝導型電子放出素子のもうひとつの代表的な構
成、すなわち垂直型の表面伝導型電子放出素子の構成に
ついて説明する。
【0089】図18は垂直型の表面伝導型電子放出素子の
基本構成を説明するための模式的な断面図で、1201は基
板、1202と1203は素子電極、1206は段差形成部材、1204
は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205は通電フォーミン
グ処理により形成した電子放出部、1213は通電活性化処
理により形成した薄膜である。
【0090】先に説明した平面型と垂直型とが異なる点
は、素子電極の一方(1202)が段差形成部材1206上に設け
られていて、導電性薄膜1204が段差形成部材1206の側面
を被覆している点にある。従って、図14Aと14Bに示した
平面型における素子電極間隔Lは、垂直型においては段
差形成部材1206の段差高Lsとして設定される。なお、基
板1201、素子電極1202と1203、微粒子膜を用いた導電性
薄膜1204については、前記平面型の説明中に列挙した材
料を同様に用いることができる。また、段差形成部材12
06には、例えばSiO2のような電気的な絶縁性材料を用い
る。
【0091】次に、垂直型の表面伝導型電子放出素子の
製法について説明する。図19Aから19Fは垂直型の表面伝
導電子放出素子の製造工程を説明する断面図である。
【0092】工程1: 基板1201上に素子電極1203を形成
する(図19A)。
【0093】工程2: 段差形成部材(以下「絶縁層」と
呼ぶ場合がある)1206を積層する(図19B)。絶縁層120
6は、例えばSiO2をスパッタ法で積層すればよいが、例
えば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を用いても
よい。
【0094】工程3: 絶縁層1206の上に素子電極1202を
形成する(図19C)。
【0095】工程4: 絶縁層1206の一部を例えばエッチ
ング法を用いて除去し、素子電極1203を露出させる(図
19D)。
【0096】工程5: 微粒子膜を用いた導電性薄膜1204
を形成する(図19E)。前記平面型の場合と同じく、例
えば塗布法などの成膜技術を用いる。
【0097】工程6: 前記平面型の場合と同様の通電フ
ォーミング処理を行い、電子放出部1205を形成する(図
19F)
【0098】工程7: 前記平面型の場合と同様の通電活
性化処理を行い、電子放出部1205近傍に炭素もしくは炭
素化合物を堆積させる(図19F)
【0099】以上のようにして、図19Fに一例を示す垂
直型の表面伝導型電子放出素子を製造する。
【0100】[表面伝導型電子放出素子の特性]次に、
装置に用いる素子の特性について説明する。図20は画像
形成装置に用いる素子のIe(放出電流)対Vf(素子電
圧)特性およびIf(素子電流)対Vf(素子電圧)特性の
典型的な例を示す図である。なお、放出電流Ieは素子電
流Ifに比べて著しく小さく、同一尺度で図示するのが困
難である上、これらの特性は素子の大きさや形状などの
設計パラメタを変更することにより変化するものである
ため、これらの特性を示す二本のカーブは任意単位で図
示する。装置に用いた素子は、放出電流Ieに関して次の
三つの特性を有している。
【0101】第一に、ある電圧Vth(これを「閾値電
圧」と呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急
激に放出電流Ieが増加するが、閾値電圧Vth未満の電圧
では放出電流Ieはほとんど検出されない。すなわち、放
出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthをもった非線形
素子である。
【0102】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電圧
Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流Ieの大き
さを制御できる。
【0103】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して、
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電圧
Vfを印加する時間の長さによって、素子から放出される
電子の電荷量を制御できる。
【0104】以上のような特性を有するため、表面伝導
型電子放出素子を画像形成装置に好適に用いることがで
きる。例えば、画面の画素に対応して多数の素子を設け
た装置において、第一の特性を利用すれば、画面を順次
走査して画像を形成することが可能である。すなわち、
駆動中の素子には所望する発光輝度に応じて閾値電圧Vt
h以上の電圧を適宜印加し、非選択(非駆動)状態の素
子には閾値電圧Vth未満の電圧を印加する。このように
して、駆動する素子を順次切替えることにより、画面を
順次走査して画像を形成することができる。また、第二
の特性かまたは第三の特性を利用することにより、発光
輝度を制御することができるので、階調表示を行うこと
が可能である。
【0105】[マルチ電子ビーム源の構造]次に、上述
した表面伝導型電子放出素子を、基板上に配列して、単
純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造につい
て説明する。図21Aは図12に示した画像形成部41に用い
たマルチ電子ビーム源の部分平面図、図21Bは図21AのA-
A'矢視断面図である。基板上に、図14Aと14Bに示したも
のと同様な表面伝導型電子放出素子を配列し、行方向配
線1003と列方向配線1004により単純マトリクス状に結線
する。行方向配線1003と列方向配線1004の交差する部分
には、絶縁層(不図示)を形成して、配線間の電気的な
絶縁を保つ。
【0106】なお、このような構造のマルチ電子ビーム
源は、予め基板上に行方向配線1003、列方向配線1004、
電極間絶縁層(不図示)および表面伝導型電子放出素子
の素子電極1102と1103と導電性薄膜1104を形成した後、
行方向配線1003および列方向配線1004を介して、各素子
に電圧を印加して通電フォーミング処理および通電活性
化処理を行うことにより製造する。
【0107】[応用例]以下では、本実施例の画像形成
装置をディスプレイパネルに用いて、例えばテレビジョ
ン放送をはじめとする種々の画像情報源より提供される
画像情報を表示するように構成した多機能表示装置につ
いて説明する。図22はこの多機能表示装置の一例を示す
ブロック図である。
【0108】同図において、2100はディスプレイパネ
ル、2101はディスプレイパネルの駆動回路、2102はディ
スプレイコントローラ、2103はマルチプレクサ、2104は
デコーダ、2105は入出力インタフェイス回路、2106はCP
U部、2107は画像生成回路、2108から2110は画像メモリ
インタフェイス回路、2111は画像入力インタフェイス回
路、2112と2113はTV信号受信回路、2114は入力部であ
る。
【0109】なお、CPU部2106はCPU、予めプログラムが
格納されたROM、ワークRAM、I/Oなどを含み、入力部211
4には、必要に応じて、タッチパネルやキーボードおよ
びマウスなどのポインティングデバイスが接続される。
また、本装置は、例えばテレビジョン信号のように映像
情報とサウンド情報の両方を含む信号を受信する場合
は、当然、映像の表示と同時にサウンドを再生するもの
であるが、本発明の特徴と直接関係しないサウンド情報
の受信,分離,再生,処理,記憶などに関する回路や、
サウンドを再生するスピーカなどについては説明を省略
する。以下、画像信号の流れに沿って各部の機能を説明
する。
【0110】TV信号受信回路2113は、例えば電波や空間
光通信などのような無線伝送系を用いて伝送されるTV画
像信号を受信するための回路で、受信したTV信号をデコ
ーダ2104へ出力する。なお、受信するTV信号の方式はと
くに限られるものではなく、例えばNTSC, PAL, SECAMな
どの諸方式でよい。また、これらの方式よりさらに多数
の走査線数をもつTV信号、例えばMUSE方式をはじめとす
る所謂高品位TVは、大面積化や大画素数化に適した本実
施例のディスプレイパネル2100の利点を生かすのに好適
な信号源である。
【0111】TV信号受信回路2112は、例えば同軸ケーブ
ルや光ファイバなどのような有線伝送系を用いて伝送さ
れるTV画像信号を受信するための回路で、受信したTV信
号をデコーダ2104へ出力する。なお、TV信号受信回路21
13と同様に、受信するTV信号の方式はとくに限られるも
のではない。
【0112】画像入力インタフェイス回路2111は、例え
ばTVカメラやイメージスキャナなどの画像入力装置から
供給される画像信号を入力するための回路で、入力した
画像信号をデコーダ2104へ出力する。
【0113】画像メモリインタフェイス回路2110は、ビ
デオテープレコーダ(以下「VTR」と略す)で再生され
た画像信号を入力するための回路である。画像メモリイ
ンタフェイス回路2109は、ビデオディスクに記録された
画像信号を入力するための回路である。画像メモリイン
タフェイス回路2108は、所謂静止画ディスクのように、
静止画像データを記録したメディアから画像信号を入力
するための回路である。なお、これらの画像メモリイン
タフェイス回路2108から2110は、入力した画像信号をデ
コーダ2104へ出力する。
【0114】入出力インタフェイス回路2105は、本装置
と、外部のコンピュータやプリンタなどの出力装置を直
接に、あるいはコンピュータネットワークを介して接続
するための回路で、画像データや文字・図形情報の入出
力を行うのは勿論のこと、場合によっては本装置のCPU2
106と外部との間で、制御信号や数値データの入出力な
どを行うことも可能である。
【0115】画像生成回路2107は、入出力インタフェイ
ス回路2105を介して外部から入力された画像データや文
字・図形情報、あるいはCPU2106から入力された画像デ
ータや文字・図形情報に基づいて、表示用画像データを
生成するための回路である。本回路の内部には、例えば
画像データや文字・図形情報を蓄積するための書換え可
能なメモリや、文字コードに対応する画像情報が記憶さ
れた読出し専用のメモリや、文字・図形情報を画像に展
開するなどの画像処理を行うためのプロセッサなどをは
じめとして、画像の生成に必要な回路が組込まれてい
る。本回路により生成された表示用画像データはデコー
ダ2104へ出力されるが、場合によっては入出力インタフ
ェイス回路2105を介して外部のコンピュータネットワー
クやプリンタへ出力することも可能である。
【0116】CPU2106は、主として本装置の動作制御
や、表示画像の生成や選択や編集に関わる作業を行う。
例えば、マルチプレクサ2103に制御信号を出力し、ディ
スプレイパネル2100に表示する画像信号を適宜選択した
り組合わせたりする。また、その際には、表示する画像
信号に応じて、ディスプレイパネルコントローラ2102に
対して制御信号を発生し、画面表示周波数、走査方法
(例えばインタレースかノンインタレースか)や一画面
の走査線数など、表示装置の動作を適宜制御する。ま
た、CPU2106は、画像生成回路2107に対して、画像デー
タや文字・図形情報を直接出力したり、あるいは入出力
インタフェイス回路2105を介して外部のコンピュータや
メモリをアクセスして画像データや文字・図形情報を入
力する。
【0117】勿論、CPU2106は、これら以外の目的の作
業にも関わるものであってもよい。例えば、パーソナル
コンピュータやワードプロセッサなどのように、情報を
生成したり処理する機能に直接関わってもよい。あるい
は、前述したように、入出力インタフェイス回路2105を
介して外部のコンピュータネットワークと接続し、例え
ば数値計算などの作業を外部機器と協同して行ってもよ
い。
【0118】入力部2114は、本装置のオペレータがCPU2
106に命令やプログラムあるいはデータなどを入力する
ためのものであり、例えばキーボードやマウスのほか、
ジョイスティック,バーコードリーダ,音声認識装置な
ど多様な入力機器を接続することが可能である。
【0119】デコーダ2104は、画像生成回路2107からTV
信号受信回路2113より入力される種々の画像信号を、三
原色信号または輝度信号とI信号,Q信号に逆変換するた
めの回路である。なお、図に破線で示すように、デコー
ダ2104は内部に画像メモリを備えるのが望ましく、これ
は例えばMUSE方式のTV信号をはじめとして、逆変換する
に際して画像メモリを必要とするような画像信号を扱う
ためである。また、画像メモリを備えることにより、JP
EG方式などで圧縮された静止画の表示や、MPEG方式など
で圧縮された動画の表示が容易になる上、画像生成回路
2107およびCPU2106と協同して画像の間引き,補間,拡
大,縮小,合成をはじめとする各種の画像処理や編集が
容易に行えるようになるという利点が生まれる。
【0120】マルチプレクサ2103は、CPU2106より入力
される制御信号に基づいて、表示画像を適宜選択するも
のである。すなわち、マルチプレクサ2103は、デコーダ
2104から入力される逆変換された画像信号の中から所望
の画像信号を選択して、駆動回路2101へ出力する。その
場合に、一画面を表示する時間内で複数の画像信号を切
替えて選択することにより、所謂マルチ画面テレビのよ
うに、一画面を複数の領域に分けて、その領域ごとに異
なる画像を表示することも可能である。
【0121】ディスプレイパネルコントローラ2102は、
CPU2106より入力される制御信号に基づいて、駆動回路2
101の動作を制御するための回路で、ディスプレイパネ
ル2100の基本動作に関わるものとして、例えばディスプ
レイパネル2100の駆動用電源(不図示)の動作シーケン
スを制御するための信号を駆動回路2101に対して出力す
る。また、ディスプレイパネル2100の駆動方法に関わる
ものとして、例えば画面表示周波数や走査方法を制御す
るための信号を駆動回路2101に対して出力する。また、
場合によっては、表示画像の輝度・コントラスト・色調
・シャープネスといった画質の調整に関わる制御信号を
駆動回路2101に対して出力する場合もある。
【0122】駆動回路2101は、ディスプレイパネル2100
に印加する駆動信号を発生するための回路で、マルチプ
レクサ2103から入力された画像信号と、ディスプレイパ
ネルコントローラ2102より入力された制御信号とに基づ
いて動作するものである。
【0123】以上、各部の機能を説明したが、図22に例
示した構成により、本装置においては多様な画像情報源
より入力される画像情報をディスプレイパネル2100に表
示することが可能である。すなわち、TV放送をはじめと
する各種の画像信号はデコーダ2104において逆変換され
た後、マルチプレクサ2103において適宜選択され、駆動
回路2101に入力される。一方、ディスプレイコントロー
ラ2102は、表示する画像信号に応じて駆動回路2101の動
作を制御するための制御信号を発生する。駆動回路2101
は、これら画像信号と制御信号に基づいて、ディスプレ
イパネル2100に駆動信号を印加する。これにより、ディ
スプレイパネル2100において画像が表示される。これら
の一連の動作は、CPU2106により統括的に制御される。
【0124】また、本装置においては、デコーダ2104に
内蔵する画像メモリや、画像生成回路2107およびCPU210
6が関与することにより、単に複数の画像情報の中から
選択したものを表示するだけでなく、表示する画像情報
に対して、例えば拡大,縮小,回転,移動,エッジ強
調,間引き,補間,色変換,画像の縦横比変換などをは
じめとする画像処理や、合成,消去,接続,入換え,は
め込み,切抜きなどをはじめとする画像編集を行うこと
も可能である。
【0125】また、上記の説明ではとくに触れなかった
が、上述した画像処理や画像編集と同様に、サウンド情
報に関しても処理や編集を行うための専用回路を設けて
もよい。
【0126】このように、本装置は、TV放送の表示機
器,テレビ会議の端末機器,静止画像および動画像を扱
う画像編集機器,コンピュータの端末機器,ワードプロ
セッサをはじめとする事務用端末機器,ゲーム機などの
機能を一台で兼ね備えることが可能で、産業用あるいは
民生用として極めて応用範囲が広い。
【0127】なお、図22は表面伝導型電子放出素子を電
子ビーム源とするディスプレイパネル2100を用いた表示
装置の構成例を示したに過ぎず、本実施例の表示装置は
これだけに限定されるものではない。例えば、図22に示
す構成要素のうち使用目的上必要のない機能に関わる回
路は省いても差し支えないし、これとは逆に、使用目的
によってはさらに構成要素を追加してもよい。例えば、
本装置をテレビ電話機に応用する場合は、テレビカメ
ラ,照明,音声マイク,スピーカ,MODEMやNCUを含む送
受信回路などを構成要素に追加する。
【0128】本装置においては、とくに表面伝導型電子
放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネル2100
が容易に薄形化できるため、装置全体の奥行きを小さく
することが可能である。それに加えて、表面伝導型電子
放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネル2100
は大画面化が容易で輝度が高く視野角特性にも優れるた
め、本装置は臨場感あふれ迫力に富んだ画像を視認性よ
く表示することが可能である。
【0129】なお、本発明は、複数の機器から構成され
るシステムに適用しても、一つの機器からなる装置に適
用してもよい。
【0130】また、本発明は、システムあるいは装置に
プログラムを供給することによって達成される場合にも
適用できることはいうまでもない。
【0131】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
冷陰極電子源を駆動する回路の構成をより簡単にする電
子源の駆動装置、画像形成装置およびそれらの方法を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面伝導型電子放出素子の素子構成の典型的な
例を示す平面図、
【図2】FE型の素子構成の典型的な例を示す断面図、
【図3】MIM型の素子構成の典型的な例を示す断面図、
【図4】電子的な配線方法によるマルチ電子ビーム源の
一例を示す図、
【図5】PWM階調形成方式の画像形成装置を説明するブ
ロック図、
【図6】図5に示すタイミング制御回路が生成するタイ
ミング信号を示す図、
【図7】本発明にかかるPWM階調形成方式を説明するた
めの図、
【図8】図7に示す行配線と列配線の各給電端に加える
電圧波形の一例を示す図、
【図9】本発明にかかる一実施例のPWM階調形成方式に
よる画像形成装置の構成例を示すブロック図、
【図10】図9に示すタイミング制御回路が生成するタ
イミング信号の一例を示すタイミングチャート、
【図11】ディジタル信号がシフトレジスタ群に蓄えら
れる様子を示す図、
【図12】図9に示す画像形成部の斜視図、
【図13A】蛍光膜の一例を示す図、
【図13B】蛍光膜の一例を示す図、
【図14A】平面型の表面伝導型電子放出素子の構成を
説明する平面図、
【図14B】図14Aに示す素子の断面図、
【図15A】図14Aに示す素子の製造工程を説明するた
めの断面図、
【図15B】図14Aに示す素子の製造工程を説明するた
めの断面図、
【図15C】図14Aに示す素子の製造工程を説明するた
めの断面図、
【図15D】図14Aに示す素子の製造工程を説明するた
めの断面図、
【図15E】図14Aに示す素子の製造工程を説明するた
めの断面図、
【図16】通電フォーミング処理における通電方法を詳
しく説明するための図、
【図17A】通電活性化用処理時に印加する適宜の電圧
波形の一例を示す図、
【図17B】通電活性化処理の進行状況を示す図、
【図18】垂直型の表面伝導型電子放出素子の基本構成
を説明するための模式的な断面図、
【図19A】図18に示す素子の製造工程を説明する断面
図、
【図19B】図18に示す素子の製造工程を説明する断面
図、
【図19C】図18に示す素子の製造工程を説明する断面
図、
【図19D】図18に示す素子の製造工程を説明する断面
図、
【図19E】図18に示す素子の製造工程を説明する断面
図、
【図19F】図18に示す素子の製造工程を説明する断面
図、
【図20】表面伝導型電子放出素子の放出電流Ieおよび
素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の典型的な例を示す図、
【図21A】図12に示す画像形成部に用いるマルチ電子
ビーム源の部分平面図、
【図21B】図21AのA-A'矢視断面図、
【図22】本実施例の応用例である多機能表示装置の一
例を示すブロック図である。
【符号の説明】
31 映像中間周波数回路 32 映像検波回路 33 同期分離回路 34 タイミング制御回路 35 A/D変換回路 36 ラッチ回路 37a〜37c シフトレジスタ群 38 トランジスタ 39 リングカウンタ 40 走査側ドライブ回路 41 画像形成部 42 ラッチ回路

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、複数の冷陰極電子源を二次
    元に配列し、行方向配線と列方向配線により各電子源を
    マトリクス状に結線したマルチ電子源と、 前記行方向配線を一行ずつ走査する走査手段と、 前記走査手段により走査される行の入力端に所定電圧を
    入力する入力手段と、 前記走査手段の走査に同期して、入力された画像信号に
    基づいて複数のパルスを組合わせた変調信号を生成し、
    前記列方向配線の入力端にその変調信号を供給する変調
    手段とを有することを特徴とする電子源の駆動装置。
  2. 【請求項2】 前記変調手段は、所定の波高値をもった
    その幅がN(正の整数)種類のパルスを組合わせた変調
    信号により、前記冷陰極電子源から放出される電子量を
    二のN乗段階に変調することを特徴とする請求項1に記載
    された電子源の駆動装置。
  3. 【請求項3】 前記N種類のパルスはそれぞれ、所定時
    間幅Tに対して(二のN乗-1)倍の幅をもつことを特徴とす
    る請求項2に記載された電子源の駆動装置。
  4. 【請求項4】 少なくとも、複数の冷陰極電子源を二次
    元に配列し、行方向配線と列方向配線により各電子源を
    マトリクス状に結線したマルチ電子源と、 前記行方向配線を一行ずつ走査する走査手段と、 前記走査手段により走査される行の入力端に所定電圧を
    入力する入力手段と、 前記走査手段の走査に同期して、入力された画像信号に
    基づいて複数のパルスを組合わせた変調信号を生成し、
    前記列方向配線の入力端にその変調信号を供給する変調
    手段と、 前記冷陰極電子源から放出された電子によって発光する
    発光手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  5. 【請求項5】 前記変調手段は、所定の波高値をもった
    その幅がN(正の整数)種類のパルスを組合わせた変調
    信号により、前記冷陰極電子源から放出される電子量を
    二のN乗段階に変調することを特徴とする請求項4に記載
    された画像形成装置。
  6. 【請求項6】 前記N種類のパルスはそれぞれ、所定時
    間幅Tに対して(二のN乗-1)倍の幅をもつことを特徴とす
    る請求項5に記載された画像形成装置。
  7. 【請求項7】 前記変調手段は、前記画像信号に基づい
    て前記発光手段の発光量を制御することにより、階調画
    像を形成することを特徴とする請求項4から請求項6の何
    れかに記載された画像形成装置。
  8. 【請求項8】 少なくとも、複数の冷陰極電子源を二次
    元に配列し、行方向配線と列方向配線により各電子源を
    マトリクス状に結線したマルチ電子源の駆動方法であっ
    て、 前記行方向配線を一行ずつ走査する走査ステップと、 前記走査ステップで走査する行の入力端に所定電圧を入
    力する入力ステップと、 前記走査ステップの走査に同期して、入力された画像信
    号に基づいて複数のパルスを組合わせた変調信号を生成
    し、前記列方向配線の入力端にその変調信号を供給する
    変調ステップとを有することを特徴とする電子源の駆動
    方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも、複数の冷陰極電子源を二次
    元に配列し、行方向配線と列方向配線により各電子源を
    マトリクス状に結線したマルチ電子源と、 前記冷陰極電子源から放出された電子によって発光する
    発光手段とを備えた画像形成装置の画像形成方法であっ
    て、 前記行方向配線を一行ずつ走査する走査ステップと、 前記走査ステップで走査する行の入力端に所定電圧を入
    力する入力ステップと、 前記走査ステップの走査に同期して、入力された画像信
    号に基づいて複数のパルスを組合わせた変調信号を生成
    し、前記列方向配線の入力端にその変調信号を供給する
    変調ステップとを有することを特徴とする画像形成方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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