JPH08218861A - 内燃機関の排気管継手構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】排気ガスの耐漏れ性を高めた内燃機関の排気管
継手構造を提供する。 【構成】排気ガスが流れる第１内管体１の第１重合筒部
１０と、第２内管体２の拡径された第２重合筒部２０と
は、嵌合隙間７を介して同軸的に嵌合されている。第１
重合筒部１０のリング状シール突部１２は半径方向外方
（Ｒ１方向）に突出して、第２重合筒部２０の内周面に
所定の面圧で接触してシールしている。第２重合筒部２
０の先端のリング状規制突片２３は、半径方向内方（Ｒ
２方向）に曲成されており、嵌合隙間７の隙間幅を狭め
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は内燃機関からの高温の排
気ガスを排出する際に生じる熱膨張を吸収する熱膨張吸
収機構を備えた排気管継手構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関の排気ガスを排出する排気管継
手構造として、図６に示す様に、半径方向に突出すると
共に周方向にのびるリング状シール突部１０１をもつ導
入管１００と、拡径した重合筒部２０１をもつ排気管２
００とを用い、そして導入管１００のリング状シール突
部１０１を排気管２００の重合筒部２０１内に嵌合し、
更に嵌合領域をベローズ３００で包囲した構造のものが
知られている（実開昭６１−１２６０２６号公報）。

【０００３】内燃機関から排出された高温かつ高圧の排
気ガスは、導入管１００の排気通路１００ａから排気管
２００の排気通路２００ａを経て排気される。排気ガス
の漏れは、リング状シール突部１０１による遮蔽機能に
より規制される。このものによれば、導入管１００及び
排気管２００は、内燃機関の駆動時には高温の排気ガス
が流れるため熱膨張し、内燃機関の停止時には加熱状態
から冷えるため熱収縮する。この様な熱膨張や熱収縮
は、リング状シール突部１０１が重合筒部２０１内で軸
長方向に相対移動することにより吸収される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記技術
だけでは、高温かつ高圧の排気ガスがリング状シール突
部１０１から漏れることを防止する対策としては、必ず
しも充分ではない。従って導入管１００及び排気管２０
０を包囲する外管体が、漏れた高温の排気ガスに晒され
て高温化し易い不具合がある。

【０００５】本発明は上記した実情に鑑みなされたもの
であり、リング状シール突部によるシール性を確保する
のに有利であり、排気ガスの漏れ低減効果を向上させる
のに有利な内燃機関の排気管継手構造を提供することに
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係る内燃機関の
排気管継手構造は、排気ガスが通過する排気通路を備え
少なくとも２個直列に配置された内管体と、直列に配置
された内管体の外周面を包囲する外管体と、互いに隣設
する内管体のうちの一方の先端に略同軸的に設けられた
第１重合筒部と、互いに隣設する内管体のうちの他方の
先端に略同軸的に設けられ第１重合筒部の外周面をリン
グ状の嵌合隙間を介して包囲する第２重合筒部と、第１
重合筒部及び第２重合筒部のうちの一方に形成され、半
径方向に突出して第１重合筒部及び第２重合筒部のうち
の他方に接近または接触すると共に周方向にのびるリン
グ状シール突部とを具備する排気管継手構造において、
第１重合筒部及び第２重合筒部のうちの他方の先端は、
嵌合隙間の隙間幅を狭めるように半径方向に曲成され、
曲成先端が第１重合筒部及び第２重合筒部のうちの一方
に向くリング状規制突片を備えていることを特徴とする
ものである。

【０００７】

【作用】本発明に係る構造によれば、内燃機関から排出
された高温の排気ガスは、内管体の排気通路を経て排気
される。この様に本発明に係る構造によれば、内管体の
排気通路には、内燃機関の駆動時において高温の排気ガ
スが流れるため内管体が熱膨張し、内燃機関の停止時に
は加熱状態から冷えるため熱収縮する。この様な熱膨張
や熱収縮は、リング状突部が相対移動することにより吸
収される。

【０００８】リング状シール突部により嵌合隙間におけ
るシール性は向上する。更にリング状規制突片が、半径
方向に曲成されて嵌合隙間の隙間幅を狭める様に形成さ
れているので、リング状規制突片によっても、嵌合隙間
におけるシール性が向上する。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。全体構造
を図１及び図２に示す。 （実施例の構成）本実施例に係る排気管継手構造は、図
１に示す様に、互いに直列に配置された第１内管体１、
第２内管体２、第３内管体３と、これらの外周面を外側
隙間８０を介して嵌合して包囲する外管体８とを備えて
いる。

【００１０】図１に示す様に第１内管体１は、内燃機関
の排気ポートにつながる第１ポート口１ａと、ポート口
１ａにつながる第１排気通路１ｂとをもつ。第２内管体
２は、内燃機関の排気ポートにつながる第２ポート口２
ａと、第２ポート口２ａにつながる第２排気通路２ｂと
をもつ。第３内管体３は、内燃機関の排気ポートにつな
がる第３ポート口３ａと、第３ポート口３ａにつながる
第３排気通路３ｂとをもつ。

【００１１】ここで第１内管体１と保持枠４とは溶接で
固定されている。第２内管体２と保持枠４とは溶接で固
定されている。第３内管体３と保持枠４とは溶接で固定
されている。外管体８の取付部８ｋと保持枠４とは溶接
で固定されている。なお４ｍは保持枠４を内燃機関に取
付けるための取付孔である。図３は図２のＷ３−Ｗ３線
に沿う断面を拡大して示す。図３に示す様に第１内管体
１の図示左端側の先端には、第１重合筒部１０が略同軸
的に延設されている。第１重合筒部１０には、リング状
シール突部１２が半径方向外方つまり矢印Ｒ１方向に突
出する様に形成されている。リング状シール突部１２は
周方向にかつ略同軸的にのびている。

【００１２】リング状シール突部１２は、第１重合筒部
１０を構成する周壁をスピニング加工やバルジ加工等の
加工手段により、半径方向外方に部分的に膨出させるこ
とにより形成されている。リング状シール突部１２の頂
部である外径端１３は所定の曲率で曲成された円弧面１
３ｉを備えており、円弧面１３ｉは第２重合筒部２０の
内周面に所定の面圧で接触または接近している。リング
状シール突部１２の外径端１３は、第１重合筒部１０の
先端１０ｆから軸長方向において寸法Ｓ離れた位置に形
成されている。

【００１３】図３に示す様に第２内管体２の図示右端側
の先端には、第２重合筒部２０が略同軸的に延設されて
いる。第２重合筒部２０は、スピニング加工やバルジ加
工等の加工手段により、第２内管体２の周壁に屈曲部２
ｒ、２ｔを形成しつつ、周壁を拡径することにより形成
されている。第２重合筒部２０の内周面は、第１重合筒
部１０の外周面をリング状の嵌合隙間７を介して略同軸
的に包囲している。嵌合隙間７や外側隙間８０は、空気
による断熱層や遮音層としての役割を期待されている。

【００１４】図３から理解できる様に、常温領域では、
第２内管体２の内径Ｄ２と第１内管体１の内径Ｄ１とは
基本的には同径とされており、第２重合筒部２０の内径
Ｄ３とリング状シール突部１２の外径Ｄ４とは基本的に
は同径とされている。さて本実施例では第２内管体２の
第２重合筒部２０の先端には、屈曲部２３ｋを介してリ
ング状規制突片２３が半径方向内方つまり矢印Ｒ２方向
に向けて曲成されている。従ってその曲成先端２３ａが
第１重合筒部１０の外周面に接近して対向している。軸
線に対するリング状規制突片２３の傾斜角をθ１で示
す。θ１は例えば６０〜９０度程度にできるが、これに
限定されるものではない。

【００１５】図から理解できる様にリング状規制突片２
３付近は、断面『くの字』形状とされている。この付近
にスプリングバックがあるときには、外径端１３を圧接
する作用を期待できる。図３から理解できる様にリング
状規制突片２３は嵌合隙間７の隙間幅を狭めている。曲
成先端２３ａと第１重合筒部１０の外周面との間の微小
な隙間幅はＬａとして示されている。この様に微小な隙
間幅Ｌａが設けられているので、リング状規制突片２３
は、リング状シール突部１２が矢印Ｃ１、Ｃ２方向に相
対移動する際の支障とはならない。なおＬａは例えば
０．５〜１ｍｍにできる。

【００１６】第１重合筒部１０の軸長方向の先端１０ｆ
と第２内管体２の屈曲部２ｒとの間の隙間Ｌｃは、高温
の排気ガスが通過する高温領域ではゼロまたはゼロに近
くなる様に設定することが好ましい。従って内燃機関の
停止時等の常温領域では、隙間Ｌｃは１〜２ｍｍ程度に
設定されている。図１から理解できる様に、第３内管体
３の図示右端と第２内管体２の図示左端との嵌合形態
も、図３に示す形態と同様とされている。即ち、第３内
管体３の図示右端には、リング状規制突片２３を備えた
第２重合筒部２０が形成されており、また第２内管体２
の図示左端には、リング状シール突部１２を備えた第１
重合筒部１０が形成されている。

【００１７】なお内管体１〜３や外管体８は、板体をプ
レス成形加工した半割体を合わせて溶接で接合すること
により、それぞれ構成されている。内管体１〜３や外管
体８は高温強度、高温耐食性等を考慮してフェライト系
やオーステナイト系等のステンレス鋼、耐熱鋼、場合に
よっては鋳鉄等の金属で形成できる。内管体１〜３の厚
みは０．５〜１ｍｍ特に０．８ｍｍにできる。外管体８
の厚みは１．０〜２ｍｍ特に１．５ｍｍにできる。

【００１８】（実施例の作用及び効果）さて本実施例に
係る構造によれば、内燃機関の駆動時において内燃機関
の排気ポートから放出された高温かつ高圧の排気ガス
は、第１内管体１の第１排気通路１ｂ、第２内管体２の
第２排気通路２ｂ、第３内管体３の第３排気通路３ｂを
経て、下流側に向けてつまり矢印Ｘ１方向に向けて排気
される。

【００１９】なお内燃機関から放出される排気ガスは、
内燃機関の種類によって相違するものの、一般的には温
度が７００〜９００℃程度、圧力（ゲ−ジ圧）が０．２
〜１．０ｋｇｆ／ｃｍ² 程度と推測される。この様に高
温の排気ガスが流れるため、内管体１〜３は熱膨張す
る。熱膨張は軸長方向ばかりか、半径方向や円周方向に
おいても生じる。一方、内燃機関の停止時には、排気ガ
スが流れないため内管体１〜３は加熱状態から冷えて熱
収縮する。

【００２０】軸長方向における熱膨張や熱収縮は、リン
グ状シール突部１２が第２重合筒部２０内で軸長方向つ
まり図３に示す矢印Ｃ１、Ｃ２方向に相対移動すること
により吸収される。このときリング状シール突部１２の
外径端１３が第２重合筒部２０に圧接している場合であ
っても、リング状シール突部１２の外径端１３は円弧面
１３ｉを備えているので、少ない抵抗でリング状シール
突部１２は相対移動できる。

【００２１】図３から理解できる様に高温の排気ガスは
通過の際に第１重合筒部１０の内周面に触れるので、第
１重合筒部１０は加熱されて半径方向外方つまり矢印Ｒ
１方向において熱膨張する。排気ガスは高圧であるた
め、嵌合隙間７を経て外管体８の側の外側隙間８０に漏
れようとするが、リング状シール突部１２によるシール
効果により漏れは規制される。更に本実施例によれば、
リング状規制突片２３が曲成されてその曲成先端２３ａ
が嵌合隙間７の隙間幅を狭める様に形成されているの
で、リング状規制突片２３によるシール効果をも期待で
きる。故に排気ガスの漏れはリング状規制突片２３によ
っても規制される。

【００２２】この様に本実施例によればリング状シール
突部１２及びリング状規制突片２３の双方によって、嵌
合隙間７ひいては外側隙間８０への排気ガスの漏れ低減
効果を期待できるので、高温の排気ガスの漏れに起因す
る外管体８への熱伝導を軽減、回避するのに有利であ
り、外管体８の過熱を防止するのに有利である。本実施
例によれば、前述の様に嵌合隙間７や外側隙間８０への
排気ガスの漏れが少なくなるので、それだけリング状シ
ール突部１２の外周面が高温の排気ガスに触れる度合は
低減される。従ってリング状シール突部１２の過熱を軽
減または回避でき、リング状シール突部１２の過熱に起
因する異状変形を軽減または回避できる。そのためリン
グ状シール突部１２によるシール効果を正常に維持し易
い利点が得られる。

【００２３】ここでリング状シール突部１２が第２重合
筒部２０の内周面に強く圧接すれば、それだけリング状
シール突部１２によるシール効果は向上し易い。この点
本実施例によれば、高温の排気ガスは嵌合隙間７や外側
隙間８０に漏れにくくなるので、第２重合筒部２０の内
周面が高温の排気ガスに接触する度合を低減できる。よ
って高温の排気ガスとの接触に起因する第２重合筒部２
０の高温化を軽減するのに有利であり、ひいては第２重
合筒部２０の半径方向外方への熱膨張量の低減を期待で
きる。故にリング状シール突部１２の外径端１３の円弧
面１３ｉが第２重合筒部２０の内周面に圧接する度合を
大きくするのに有利である。故に、リング状シール突部
１２によるシール効果の向上に有利である。

【００２４】（他の例）図４は他の例を示す。この例は
前記した実施例と基本的には同様の構成であり、基本的
には同様の作用効果が得られる。同一部分には同一の符
号を付して説明する。この例においても、リング状シー
ル突部１２及びリング状規制突片２３により、嵌合隙間
７におけるシール性が向上する。従って前記した実施例
の場合と同様に高温の排気ガスが嵌合隙間７に漏れにく
くなり、高温の排気ガスがリング状シール突部１２に接
触する度合を軽減できる。故にリング状シール突部１２
の過熱を軽減でき、過熱に起因するリング状シール突部
１２の異状変形を軽減でき、故にリング状シール突部１
２によるシール効果が確保され易い利点が得られる。

【００２５】この例によれば、第１重合筒部１０には２
個のリング状シール突部１２が並設されているため、シ
ール効果の向上に有利である。更に、第１重合筒部１０
の先端には、半径方向外方に向けて曲成された曲成片１
０ｐがリング状にかつ略同軸的に形成されている。曲成
片１０ｐもシール効果の向上が期待されている。図５は
更に異なる他の例を示す。この例も前記した実施例と基
本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果
が得られる。同一部分には同一の符号を付して説明す
る。この例においては、リング状シール突部１２を形成
する壁面１２ｈの傾斜角とリング状規制突片２３の傾斜
角は相応する様にされ、基本的には両者は互いに沿う様
に設定されている。従ってリング状シール突部１２が矢
印Ｃ２方向に相対移動して熱膨張を吸収する際に、リン
グ状シール突部１２の壁面１２ｈとリング状規制突片２
３とが衝突したとしても、面当たりする様になり、衝突
時における局部的応力集中を防止するのに有利である。

【００２６】また上記した図１〜図３に示す例では、リ
ング状シール突部１２を第１内管体１の第１重合筒部１
０の外周側に形成していると共にリング状規制突片２３
を第２内管体２の第２重合筒部２０に形成しているが、
これに限らず、場合によっては、リング状シール突部１
２を第２内管体２の第２重合筒部２０の内周側に形成す
ると共にリング状規制突片２３を第１内管体１の第１重
合筒部１０に形成する形態とすることもできる。

【００２７】内管体１〜３、外管体８の材質は上記した
ものに限定されるものではない。寸法関係も上記した値
に限定されるものではなく、作用効果を奏する範囲内で
必要に応じて適宜変更できる。 （付記）上記した実施例から次の技術的思想も把握でき
る。 ○第２重合筒部２０は内管体の先端を拡径処理して形成
されている請求項１に記載の構造。これによれば、スプ
リングバックに伴い第２重合筒部２０の周壁が縮径方向
へ付勢され易い。そのため第２重合筒部２０の内周面と
リング状シール突部１２との接触度合の一層の向上を期
待することもできる。

【００２８】

【発明の効果】本発明に係る構造によれば、リング状シ
ール突部及びリング状規制突片の双方により、嵌合隙間
におけるシール効果が向上する。従って内燃機関から放
出された高温かつ高圧の排気ガスが嵌合隙間へ漏れるこ
とは、従来技術に比べて規制される。

【００２９】そのため嵌合隙間に漏れた高温の排気ガス
によるリング状突部の過熱を軽減、回避でき、過熱に起
因するリング状シール突部の異状変形の回避に有利であ
る。故にリング状突部によるシール効果を正常に確保す
るのに有利である。本発明に係る構造によれば、嵌合隙
間におけるシール効果が向上するので、第２重合筒部が
高温の排気ガスに触れる度合を低減するのに有利であ
る。よって排気ガスの排気時において、第２重合筒部の
高温化を軽減するのに有利であり、ひいては第２重合筒
部の半径方向外方への熱膨張量の低減を期待できる。

【００３０】故に本発明に係る構造によれば、リング状
シール突部が第２重合筒部の内周面に接近したり接触し
たりする度合を増大できる。故に、リング状シール突部
によるシール効果の一層の向上を期待できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】全体の断面図である。

【図２】全体の平面図である。

【図３】図２のＷ３−Ｗ３線に沿う断面図である。

【図４】他の例に係る要部の断面図である。

【図５】更に別の他の例に係る要部の断面図である。

【図６】従来技術に係る断面図である。

【符号の説明】

図中、１は第１内管体、１ｂは第１排気通路、１０は第
１重合筒部、１２はリング状シール突部、２は第２内管
体、２ｂは第２排気通路、２０は第２重合筒部、２３は
リング状規制突片、７は嵌合隙間、８は外管体、８０は
外側隙間を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】排気ガスが通過する排気通路を備え少なく
   とも２個直列に配置された内管体と、 直列に配置された該内管体の外周面を包囲する外管体
   と、 互いに隣設する該内管体のうちの一方の先端に略同軸的
   に設けられた第１重合筒部と、 互いに隣設する該内管体のうちの他方の先端に略同軸的
   に設けられ該第１重合筒部の外周面をリング状の嵌合隙
   間を介して包囲する第２重合筒部と、 該第１重合筒部及び該第２重合筒部のうちの一方に形成
   され、半径方向に突出して該第１重合筒部及び該第２重
   合筒部のうちの他方に接近または接触すると共に周方向
   にのびるリング状シール突部とを具備する排気管継手構
   造において、 該第１重合筒部及び該第２重合筒部のうちの他方の先端
   は、 該嵌合隙間の隙間幅を狭めるように半径方向に曲成さ
   れ、曲成先端が該第１重合筒部及び該第２重合筒部のう
   ちの一方に向くリング状規制突片を備えていることを特
   徴とする内燃機関の排気管継手構造。