JPH08215983A - 工作機械の熱変位補正方法及びその装置 - Google Patents

工作機械の熱変位補正方法及びその装置

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JPH08215983A
JPH08215983A JP4628895A JP4628895A JPH08215983A JP H08215983 A JPH08215983 A JP H08215983A JP 4628895 A JP4628895 A JP 4628895A JP 4628895 A JP4628895 A JP 4628895A JP H08215983 A JPH08215983 A JP H08215983A
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thermal displacement
temperature sensor
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thermal
temperature
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JP4628895A
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Hajime Sakuraba
肇 櫻庭
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Hitachi Seiki Co Ltd
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Hitachi Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高精度で熱変位の補正ができる工作機械の熱
変位補正方法及びその装置を提供する。 【構成】 発熱源の発熱の影響を受ける工作機械1の機
体10の温度変化を検出する温度センサS1 の熱特性
を、前記発熱源の発熱の影響を受けて生じる主軸熱変位
の時定数に略一致するように感度調節し、前記温度セン
サの出力に対応する熱変位を前記温度センサの出力から
算出し、前記算出熱変位と実熱変位とが徐々にずれてい
く誤差を、前記温度センサの出力に遅れを見込んで演算
し、この演算結果を前記算出熱変位に加算した合計値を
用いてZ軸方向の移動量を補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は工作機械の熱変位補正方
法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】工作機械には機体各部に発熱源があり、
例えば主軸の軸受のころがり摩擦熱や、切削部分からの
発熱など数多い。これらの熱は機体各部に伝導して機体
を変形させるが、この機体の変形は加工精度に大きく影
響する。そこで、これら各種原因による機体の熱変位を
予測して熱変位による誤差の分をサーボ系にフィードバ
ックして補正する補正方法やその装置が種々提案されて
いる。
【0003】斯かる補正機能を有する工作機械では、機
械の運転に伴う熱変位を如何に正確に見込むかが重要で
あり、そのために種々の試みがなされている。例えば、
主軸の回転数等の運転条件から熱変位を予測するもの、
あるいは機体に組込んだ変位センサで直接熱変位を検出
するもの等がある。
【0004】本出願人は、特公平6−22779号公報
及び特開平3−79256号公報で、機体温度から熱変
位を算出する方式の工作機械の熱変位補正方法を提案し
た。この方法における熱変位の算出は、基本的には次式
(1)の原理に基づいている。 ΔL=L×線膨張係数×温度変化 …(1) ここで、ΔL:機体構成部分の熱変位 L:機体構成部分の長さ である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術における
補正後の加工精度としては、20乃至30〔μm〕程度
が限界である。ところが、近年の工作機械ユーザーから
は、補正後の精度として10〔μm〕以下の加工誤差
(即ち、残留熱変位)に抑えることが一般的に要求され
ている。これは、セラミック材など新素材や、さらに小
型化された工作物等を高精度で加工する必要性があるか
らである。
【0006】また、前記算出手法では、機体の構成から
その構成部分の長さLを見込み、その温度変化を長さL
の中央位置から検出しているので、温度センサの取付位
置に制約があった。さらに、精度よく熱変位を見込むに
は、機体を細かな構成部分に分割する必要が生じ、それ
ぞれの部分の温度変化を算出するために多数の温度セン
サを要した。また、機体構成部分の長さLの測定や、各
機体構成材料それぞれの線膨張係数の確認作業が必要で
あった。これらは、機体温度から熱変位を算出する方式
の工作機械の熱変位補正装置を実装する上での障害とな
っていた。
【0007】一方、特開昭58−109250号公報に
は、工作機械と熱的相似の金属片を用いて、その温度を
工作機械を代表する温度と見做して、冷却用噴射空気の
温度を制御することにより、工作機械の熱変位の補正を
する熱変位補正装置が提案されている。しかしながら、
この場合には熱的相似の金属片を別途準備しなければな
らなかった。さらに、特開昭60−9634号公報に
は、Y軸熱変位の特性に合わせた熱的時定数を持った温
度センサを使用する熱変位補正装置が提案されている。
しかし、この補正装置では、熱変位の特性に合わせた熱
的時定数を持つ温度センサの詳細が明らかにされていな
い。
【0008】本発明は、斯かる課題を解決するためにな
されたもので、熱による加工誤差に対する補正を高精度
で行うことができる工作機械の熱変位補正方法及びその
装置を提供することを目的とする。また、本発明の別の
目的は、工作機械の機体構成部分の長さ測定や、機体構
成材料の線膨張係数の確認作業を不要とし、且つ、実機
を用いた熱変位特性の抽出の実測作業を簡略化すること
である。更に、本発明の別の目的は、温度センサの取付
け位置の制約を大幅に緩和すると同時に、少数の温度セ
ンサで熱変位を精度よく見込むことのできる自由度の高
い工作機械の熱変位補正方法及びその装置を提供するこ
とである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明では、工作機械に任意の主軸回転数を与えた
際の所定軸方向の伸びによる熱変位又は主軸傾きによる
熱変位を検出すると同時に、機体の適当箇所の温度変化
を温度センサにより検出する。この温度変化と前記熱変
位が時系列的に同じであれば、温度変化と熱変位は単純
にリニアの相関になるので、温度変化から工作機械の熱
変位を容易に見積もることが可能であることを前提にし
ている。
【0010】しかしながら、機体の適当箇所から検出し
た温度変化が有する「時定数」は、必ずしも熱変位が有
する「時定数」と同じではない。そのため、発熱源の発
熱の影響を受ける機体の適当箇所に設置した温度センサ
の出力特性が工作機械の熱変位の特性に一致するよう
に、前記温度センサの熱的時定数を変化させる手法が求
められる。なお「工作機械の熱変位」とは、主軸熱変位
のことであり、理想としては、工具による加工点におけ
る熱変位であるが、現実的には、例えば主軸先端部又は
主軸先端部に一時的に装着されたテストバーの適当箇所
における熱変位のことである。
【0011】そこで、本発明では、温度センサの熱的時
定数を調整することによって、工作機械の熱変位の特性
と温度センサの出力特性とを略一致させ、この温度セン
サの出力とのリニアな相関で得られる熱変位に基づい
て、所定軸方向の移動量を補正することにより加工誤差
を補正している。また、例えば主軸軸受からの発熱は、
温度センサを取付けた発熱源近傍の温度を上昇させると
ともに、この発熱源近傍位置を通過した熱流が、この位
置以外の箇所にある構造物の温度をゆっくり上昇させて
いく。したがって、前記温度センサ出力と熱変位のリニ
アな相関は、この温度変化がゆっくり表れる部分の熱変
位の影響で、長時間経過すると徐々に誤差を含んでく
る。そこで、前記温度センサの出力に遅れを見込んで、
前記誤差と同じ熱特性を有する遅れ温度変化を演算し、
この遅れ温度変化とリニアな相関で得られる熱変位に基
づいて、加工誤差をさらに補正している。
【0012】即ち、本発明に係る熱変位補正方法は、発
熱源の発熱の影響を受ける工作機械の機体の温度変化を
検出する温度センサの熱特性を、前記発熱源の発熱の影
響を受けて生じる主軸熱変位の時定数に略一致するよう
に感度調節し、前記温度センサの出力に対応する熱変位
を前記温度センサの出力から算出し、前記算出熱変位と
実熱変位とが徐々にずれていく誤差を、前記温度センサ
の出力に遅れを見込んで演算し、この演算結果を前記算
出熱変位に加算した合計値を用いて所定軸方向の移動量
を補正している。
【0013】そして、この補正方法を実現するための熱
変位補正装置は、前記機体の温度変化を検出し、前記発
熱源の発熱の影響を受けて生じる主軸熱変位の時定数に
略一致する熱特性を有するように感度調節された温度セ
ンサと、この温度センサの出力に対応する熱変位を前記
温度センサの出力から算出する第1の熱変位演算手段
と、この第1の熱変位演算手段の出力と実熱変位とが徐
々にずれていく誤差を、前記温度センサの出力に遅れを
見込んで演算し、この演算結果を前記第1の熱変位演算
手段の出力に加算して合計値を算出する第2の熱変位演
算手段と、この第2の熱変位演算手段の出力を用いて所
定軸方向の移動量を補正する補正手段とを備えている。
【0014】発熱源の発熱の影響を受ける機体の適当箇
所に設置した温度センサの出力には、温度センサを設置
した箇所の機体の熱特性に加えて、温度センサ自体の熱
特性が含まれる。そこで、温度センサの感熱部に断熱材
を付加する等をして、温度センサ自身の感度を調整する
ことにより、機体の温度変化に遅れを見込んだ出力を温
度センサから得ることができる。この温度センサの出力
の熱的時定数を工作機械の熱変位の特性に一致させた結
果、温度センサの熱的時定数は、当初の温度センサ自身
の熱的時定数より大きな値になる。そのため、温度セン
サの取付け位置としては、温度センサの出力特性が熱変
位の特性より敏感である箇所を予め選定する。このよう
にして、感度調整された温度センサで検出された温度の
温度変化と工作機械の熱変位とは、リニアな相関で直接
的に対応付けられることになる。
【0015】長時間にわたって徐々に表れるところの前
記温度センサの出力から見込んだ熱変位と実熱変位との
誤差は、熱変位の遅れ応答成分である。熱的時定数が調
整された前記温度センサの出力データを、この遅れ応答
成分が有する熱特性に一致させるデータ加工法の一例と
して、本発明では「ダミー手法」を使用している。ダミ
ー手法は、工作機械に任意の主軸回転数を与えた際の主
軸熱変位を検出すると同時に、この主軸熱変位の時定数
より小さい温度変化の時定数を持つ適当箇所の温度変化
を検出する。そして、この検出温度変化より遅れて表わ
れる遅れ温度変化の挙動を、ダミーの熱容量を設定して
見込むもので、遅れて表われる熱変位の時定数と略同じ
時定数を有する架空の遅れ温度変化を、検出温度変化に
遅れを見込んだ繰り返し演算により創成する手法であ
る。なお、ダミー手法では、前記遅れ温度変化を創成す
る際に、一旦他の遅れ温度変化を創成し、この遅れ温度
変化に更に遅れを見込んで、熱変位の時定数と略同じ時
定数を有する遅れ温度変化を創成してもよい。
【0016】ところで、遅れ応答成分を考慮しなくても
よい場合には、熱変位補正装置は、前記温度センサと、
この温度センサの出力に対応する熱変位を前記温度セン
サの出力から算出する第1の熱変位演算手段と、この第
1の熱変位演算手段の出力を用いて所定軸方向の移動量
を補正する補正手段とを備えたものであってもよい。
【0017】次に、熱変位の特性に一致するように感度
調節された温度センサとダミー手法とを組み合わせた熱
変位補正方法を、主軸頭(ヘッド)内の主軸部を発熱源
とするマシニングセンタを例にして述べる。まず、主軸
頭のノーズ位置に取付けた感度調節済みのノーズ温度セ
ンサで検出した温度の温度変化に対応して変化する熱変
位を演算する。次いで、ノーズ温度センサで検出した温
度の温度変化に遅れを見込んで演算した遅れ温度変化に
対応して変化する熱変位の遅れ応答成分を演算し、先に
演算した熱変位にこの遅れ応答成分を加算して合計値を
得る。次いで、このノーズ温度センサの出力を用いて算
出した熱変位の合計値を、サーボ系の軸移動量のオフセ
ット量として与えることにより、加工位置の補正が実行
されるので、熱による加工誤差を最少に押さえることが
できる。
【0018】
【作用】工作機械の主軸回転に伴い、主軸軸受や主軸モ
ータ等の発熱源から発熱が起こり、これが機体の構成部
分に伝導し、結果として機体の温度変化をきたす。通常
の工作機械では構造材料として鋳鉄又は鋼材を主として
用いている。そのため、機体の温度変化があると、これ
ら構造材料が持つ線膨張係数に比例した熱変位が各部で
発生する。これら各部の熱変位が加算されて、工作機械
の加工精度を劣化させる。また、工作機械の主軸回転に
伴う温度変化は、発熱源近傍で早く表れるが、ヘッド,
ヘッド取付け部及びコラムなど発熱源から離れるほど遅
れて表れることになり、それぞれの位置における温度変
化の経時特性が異なる。このため、機体の任意箇所の温
度変化と熱変位とは、通常は直接結びつかない。
【0019】しかし、工作機械に任意の主軸回転数を与
えた際の主軸熱変位の時系列データ、及び発熱源の発熱
の影響を受ける機体の適当箇所から検出された温度変化
の時系列データに、近似的に単一の一次遅れ要素のステ
ップ入力応答関数を当てはめると、温度変化が飽和する
迄の時定数をそれぞれ抽出することができる。この熱変
位の時定数と温度変化の時定数とのバランスは、主軸回
転数の広い領域にわたって共通する当該工作機械の経時
特性を代表するものになる。
【0020】そこで、先の温度変化の時系列データを検
出した温度センサ自体の検出感度を変化させると、あた
かも温度センサを取付けた箇所の機体の熱特性が変化し
たかのような温度変化の時系列データが得られる。この
時系列データから抽出した時定数が先の主軸熱変位の時
定数に略一致するように、温度センサの検出感度が調整
される。
【0021】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1乃至図12に
基づいて説明する。例えば、図1に示す数値制御(N
C)工作機械は立形のマシニングセンタ(以下、MCと
記載)1であるが、本発明の対象は、MC以外の他の種
類のNC工作機械であってもよい。ベッド2上にはコラ
ム3が立設されており、コラム3には、主軸モータ4を
有する主軸頭5がZ軸方向に移動可能に取付けられてい
る。コラム3は、ベッド2上をY軸方向に移動できるよ
うになっている。主軸頭5には主軸6がZ軸方向に向け
て設けられており、主軸モータ4により回転駆動される
主軸6の先端には工具7が装着されている。ベッド2上
に設けられたテーブル8に載置された工作物9を工具7
により切削加工する。テーブル8はベッド2上をX軸方
向に移動する。なお、主軸6の軸線方向をZ軸とし、こ
れに直交して直交座標系をなす各方向をX軸,Y軸とす
る。
【0022】MC1には、発熱源の発熱の影響を受ける
MC1の機体10の温度変化を検出する温度センサが取
付けられている。本実施例では、主軸頭5の主軸前端側
のノーズ位置にノーズ温度センサS1 を取付けて、この
ノーズ位置の温度変化を検出している。ノーズ温度セン
サS1 は、発熱源の発熱の影響を受けて生じる主軸熱変
位の時定数に略一致する熱特性を有するように、感度調
節可能になっている。この温度センサS1 はどのタイプ
でもよいが、外乱に強いサーミスタ温度センサが望まし
い。ノーズ位置は主な発熱源である主軸6の主軸受に近
いので、ノーズ温度センサS1 には温度変化が直ぐに表
れることになり、この温度変化の時定数は小さい。
【0023】ここで、本発明における熱変位補正の原理
を説明する。本発明によれば、X,Y,Zの各軸方向の
熱変位に対する補正ができるが、例えばX軸方向につい
ては、コラム3及び主軸頭5がX軸に対して左右対称形
の構造を有しているため、X軸方向の補正は通常必要な
い。Y軸とZ軸の補正は必要であるが、両軸は同じ扱い
になるので、以下の説明ではZ軸方向の補正を例にとっ
て説明する。
【0024】Z軸方向の熱変位の演算式は次式で示され
る。 ΔZ=a・(ΔZ1 +ΔZ2 ) …(2) ここで、ΔZ:Z軸熱変位 a :全体補正係数(この係数aは、演算式(2)の結
果と実際の精度との差を修正するための係数) ΔZ1 :Z軸熱変位の即時応答成分 ΔZ2 :Z軸熱変位の遅れ応答成分 である。
【0025】即ち、演算式(2)は、温度変化から直ち
に熱変位が予測できる即時応答成分ΔZ1 と、遅れを伴
って熱変位が表われる遅れ応答成分ΔZ2 とを含んでい
る。前記温度変化は、温度センサで検出されて出力され
る温度から基準温度を差し引いた温度差として算出され
る。「基準温度」としては、MC1の電源投入時におけ
る1回目の温度センサの出力、又はこの出力を複数回加
算したものの平均値、あるいは例えば20〔℃〕のよう
な絶対基準等が採用され、RAM11内に保存される。
温度センサが複数ある場合には、温度センサ毎の基準温
度がRAM11内に保存される。
【0026】ところで、工作機械を設置した環境の温度
変化が比較的ゆっくりしたものである場合には、室温変
化による工作機械全体の熱変形は、工具7と工作物9を
含めて略相似形に変化する。即ち、このようなゆっくり
した室温変化では熱による加工誤差は生じないので、こ
の室温変化を含んだ温度変化から熱変位を予測した結果
は、実際の熱変位とは異なる。したがって、この場合に
は、工作機械のベッド等に別途設けた温度センサで検出
した時々刻々の温度を基準温度して採用し、各温度セン
サから出力される温度からこの基準温度を差し引いたも
のを温度変化として使用する。このようにすれば、室温
変化があっても、精度のよい熱変位補正ができる。
【0027】次に、即時応答成分ΔZ1 は次式により算
出される。 ΔZ1 =b・ΔT1 …(3) ここで、ΔT1 :検出感度調節済みノーズ温度センサS
1 の出力から基準温度を差し引いた温度変化〔℃〕 b :内部補正係数〔±μm/℃〕 である。なお、即時応答成分ΔZ1 の算出には、温度セ
ンサの設置箇所は少なくとも一箇所あればよいが、発熱
源の数に応じて適宜追加される。また、温度センサの設
置箇所は、発熱源の発熱の影響を敏感に受ける箇所なら
ば、ノーズ位置以外の場所であってもよい。
【0028】一方、遅れ応答成分ΔZ2 を演算する式は
下記の通りである。 ΔZ2 =c・Y1 …(4) ここで、Y1 :温度変化ΔT1 を用いて演算した遅れ温
度変化〔℃〕 c :内部補正係数〔±μm/℃〕 である。
【0029】なお、遅れ応答成分ΔZ2 の演算で使用す
る温度情報としては、最小限1個あればよいが、発熱源
の数に応じて適宜追加される。また、温度情報として、
先のノーズ温度センサS1 の出力を用いずに、発熱源の
発熱の影響を受ける機械の適宜の箇所に別途設置した温
度センサの出力を用いてもよい。例えば図1には、主軸
頭5のコラム3近傍位置にヘッド温度センサS2 を取付
けてもよい場合を示している。この別途設置したヘッド
温度センサS2 の検出感度を調節しない場合の、遅れ応
答成分ΔZ2 を演算する式は次式になる。 ΔZ2 =c・Y2 …(5) ここで、Y2 :検出感度を調節しないヘッド温度センサ
2 の出力から基準温度を差引いた温度変化を用いて演
算した遅れ温度変化〔℃〕 である。
【0030】あるいは、ヘッド温度センサS2 の検出感
度を、遅れ応答成分ΔZ2 の時定数に略一致するように
調整することで、遅れ応答成分ΔZ2 を、先の即時応答
成分ΔZ1 を算出した式(3)と同様にして次式から算
出することも可能である。 ΔZ2 =c・ΔT2 …(6) ここで、ΔT2 :検出感度調節済みヘッド温度センサS
2 の出力から基準温度を差し引いた温度変化〔℃〕 である。
【0031】式(5)及び式(6)の取扱いは、それぞ
れ先の式(4)及び式(3)と同じであるので、式
(5),(6)の詳細説明は式(4),(3)の説明で
代用する。以下、ノーズ温度センサS1 を用いる場合に
ついて主に説明するが、遅れ応答成分ΔZ2 の算出につ
いては、ヘッド温度センサS2 で温度変化を検出しても
同様に熱変位補正ができる。
【0032】図1は、本発明の実施例を示すブロック図
である。図示するように、ノーズ温度センサS1 (及
び、ヘッド温度センサS2 )の出力信号は、回路24
(及び、回路25)を介して熱変位補正装置12のA/
D変換器13に入力し、入力したアナログ信号はここで
ディジタル信号に変換される。A/D変換器13からの
ディジタル信号は演算記憶部14に入力されて、ここで
熱変位が演算される。
【0033】演算された熱変位に基づいて、補正手段2
1により所定軸方向の移動量が補正される。補正手段2
1の出力信号は、プログラマブルコントローラ15を介
して数値制御装置16に送信され、サーボ系にフィード
バックされて位置補正される。即ち、補正手段21は、
数値制御装置16の移動指令値に外部からオフセットを
与える外部オフセット手段に、演算結果を出力する。そ
の結果、例えば直交座標系の原点位置がオフセットされ
て、数値制御装置16は、MC1の工具7の軌跡などを
制御する。プログラマブルコントローラ15は、数値制
御装置16の指令を受けてMC1の動作シーケンスを管
理する。なお、プログラマブルコントローラ15が熱変
位補正装置12を含む場合であってもよい。
【0034】ノーズ温度センサS1 (及び、ヘッド温度
センサS2 )の検出値は、A/D変換器13を介して演
算記憶部14で演算されるとともに、その指令により、
ノーズ温度センサS1 (及び、ヘッド温度センサS2
用に指定されたRAM11内のメモリ番地に書き込まれ
る。さらにRAM11には、ノーズ温度センサS1 (及
び、ヘッド温度センサS2)が一定時間毎にサンプリン
グした温度データが記憶されている。この温度データは
数値制御装置16の表示部に表示される。ROM17に
は、本発明に係る熱変位を演算するためのプログラムや
補正係数等が記憶されている。クロック18はノーズ温
度センサS1 (及び、ヘッド温度センサS2 )の温度検
出の時間を決定するためのものである。
【0035】演算記憶部14は、検出感度が適宜調節さ
れたノーズ温度センサS1 で検出した温度の温度変化Δ
1 を用いて、この温度変化ΔT1 に対応する熱変位の
即時応答成分ΔZ1 を演算する第1の熱変位演算手段1
9と、前記温度変化ΔT1 より遅れて表れる遅れ温度変
化Y1 を、前記温度変化ΔT1 に遅れを見込んで演算す
る遅れ温度演算手段22と、前記遅れ温度変化Y1 を用
いて熱変位の遅れ応答成分ΔZ2 を演算する第2の熱変
位演算手段20とを備えている。第2の熱変位演算手段
20は、演算した遅れ応答成分ΔZ2 を前記第1の熱変
位演算手段19で演算した即時応答成分ΔZ1 に加算す
る。補正手段21は、この加算された熱変位の合計値を
用いて、Z軸方向の移動量を補正する。
【0036】図2は、ノーズ温度センサS1 を設置した
状態を示す拡大断面図である。図示するように、発熱源
の影響を受ける機体10の被検出部30(例えば、本実
施例では主軸頭5のノーズ位置)には凹部31が形成さ
れている。温度センサとしてのノーズ温度センサS
1 は、被検出部30に温度センサS1 を固定するための
固定用部材32と、固定用部材32に取付けられて凹部
31内に挿入される棒状の感熱部33と、感熱部33の
表面に適当量被着されて温度センサS1 の熱特性を所要
値に調節するための断熱材としての紙34とを有してい
る。なお、断熱材は、ゴム,合成樹脂材,金属片又は塗
料等であってもよい。
【0037】固定用部材32の基体35の雄ねじ部36
を凹部31の雌ねじ部37に螺合させることにより、ノ
ーズ温度センサS1 を被検出部30に対して着脱可能に
固定している。感熱部33に巻回される紙34の量を増
減することにより、ノーズ温度センサS1 で検出される
温度変化の時定数を、主軸位置(望ましくは、工具7に
よる加工点)におけるZ軸方向の熱変位の時定数と略同
じ値に調節できるようにしている。凹部31内の空隙部
には、熱伝導率の大きなシリコングリースなど充填剤3
9が充填されているので、被検出部30の温度は充填剤
39を介して速やかに感熱部33により検出される。な
お、感度調節可能なヘッド温度センサS2 も、ノーズ温
度センサS1 と略同じ構造を有している。なお、凹部3
1と感熱部33との間に介在する充填剤39の熱伝導率
を調節してもよい。即ち、紙34の使用に併せて又は紙
34の代わりに充填剤39を前記断熱材として用いるこ
とにより、温度センサS1 の熱特性を所要値に調節する
ことができる。例えば、シリコングリースに適当量の発
泡スチロールの粉末を添加した充填剤にすることが好ま
しい。
【0038】以下に、本実施例の具体的な手順を図3乃
至図12に基づいて説明する。図3は本実施例の動作を
示すフローチャート、図4はZ軸熱変位の経時変化を示
すグラフ、図5はZ軸熱変位及びノーズ温度変化Tの代
表例(サンプル温度変化)の経時変化を示すグラフ、図
6はサンプル温度変化とZ軸熱変位との標準的関係を示
すグラフである。図7はノーズ温度変化に対するZ軸熱
変位を示すグラフ、図8はZ軸熱変位が遅れ応答成分を
含んでいる場合の、ノーズ温度変化に対するZ軸熱変位
を示すグラフ、図9は遅れ温度変化を算出する手法を説
明するグラフである。
【0039】まず初めに、予め図4のデータに基づい
て、MC1における例えばZ軸方向の主軸熱変位の時定
数を算出しておく。図4の横軸は時間、縦軸はZ軸方向
の熱変位である。Z軸方向の熱変位の時定数を算出する
場合には、MC1を主軸回転数S(例えば、S=10,
000〔min-1〕)で連続運転する。そして、主軸6の
先端部、又は主軸先端部に一時的に装着されたテストバ
ーの適当箇所における、Z軸方向の熱変位を時系列デー
タ40として実測する。なお、発熱によって主軸が傾斜
する場合には、例えば、テストバーの根元部と先端部な
どにおける熱変位を実測するのが好ましい。
【0040】前記データ40(図中「○」印)には、通
常は室温変化の影響が含まれているので、室温変化の影
響を補正した、飽和値Zmax を有する室温補正データ4
1(図中「●」印)を演算する。「時定数」とは、「線
形一次遅れシステムにおいて、ステップ状入力を加えた
時、出力が飽和値Zmax の63.2%に達するのに要す
る時間」である。したがって、室温補正データ41に、
最小二乗法で一次遅れ要素のステップ入力応答関数を当
てはめて、Z軸方向の熱変位時定数τz (例えば、τz
=0.57〔h〕)を得る。
【0041】ノーズ位置は発熱源に近いので温度変化が
早く表れる。したがって、ノーズ温度センサS1 に紙3
4を巻回しない状態で温度変化を検出した場合には、図
5に示すように、主軸先端部等におけるZ軸熱変位Eの
時定数τz より、ノーズ位置でのサンプル温度変化Tの
時定数τS の方が小さいデータが得られる。ここで抽出
されたZ軸熱変位Eの時定数τz と、サンプル温度変化
Tの時定数τS との値のバランスは、工作機械毎に固有
の熱特性を表すものであり、主軸回転数等運転条件が変
わっても変化がない。したがって、一度両時定数τz
τSを算出する作業を行なっておけばよい。
【0042】しかしながら、例えば図5のデータに基づ
いて、サンプル温度変化TとZ軸熱変位Eとの関係を表
すと、図6に示すように弓状曲線42になる。即ち、こ
の場合にはサンプル温度変化TとZ軸熱変位Eとが単純
なリニアの関係にならないので、ノーズ位置から随時検
出した温度の温度変化から直ちに熱変位を見込むことは
できない。
【0043】そこで、ノーズ温度センサS1 で検出され
る温度変化の時定数τS が主軸熱変位の時定数τZ と略
同じ値になるように、予めノーズ温度センサS1 の熱感
部33に紙34を適当量巻回して感度調節しておく。こ
のようにすれば、ノーズ温度センサS1 で検出されるノ
ーズ温度変化ΔT1は、主軸熱変位と同じ時定数を有し
ているので、図7の直線43に示すようにZ軸熱変位と
リニアの関係になる。直線43の傾きbが、ノーズ温度
変化ΔT1 とZ軸熱変位の相関を表している。
【0044】次に、フローチャートにより本実施例の手
順を説明する。図1及び図3に示すように、MC1を起
動して工具7により工作物9の切削加工を開始する(ス
テップ101)。ノーズ温度センサS1 によりノーズ位
置の温度変化ΔT1 を検出して(ステップ102)、検
出結果を第1の熱変位演算手段19と遅れ温度演算手段
22に入力する。第1の熱変位演算手段19は、式
(3)を用いて、ノーズ温度センサS1 の出力に対応す
る熱変位即ち即時応答成分ΔZ1 を算出する(ステップ
103)。
【0045】この手法単独でもかなり精度のよい熱変位
補正ができるが、コラム3等は、その質量が大きく、ま
た主な発熱源である主軸6とも離れているので、その温
度変化が遅れて表れる。この遅れ温度変化Y1 は、例え
ば図8では長時間経過した領域Bで、ノーズ温度変化Δ
1 とZ軸熱変位とのリニアな相関関係に対して誤差を
与えている。そのため、温度変化の線43aに示すよう
に、第1の熱変位演算手段19から出力される即時応答
成分ΔZ1 と実熱変位とが徐々にずれていく誤差が生じ
ることになる。そこで、ノーズ温度変化ΔT1 が入力し
た遅れ温度演算手段22は、ノーズ温度変化ΔT1 から
遅れ温度変化Y1 を演算する(ステップ104)。
【0046】遅れ温度変化Y1 を演算する手法としては
前述の「ダミー手法」があり、ノーズ温度変化ΔT1
り遅れて表われる遅れ温度変化Y1 の挙動を、ダミーの
熱容量Cを設定して見込む。具体的には、微分方程式
(7)の近似解で得られる。 C・dY1 /dt+Y1 =ΔT1 …(7)
【0047】図9の横軸は時間、縦軸は遅れ温度変化を
示しており、図9より次式が得られる。 Y1 =Y0 +(dY0 /dt+dY1 /dt)/2・Δt …(8)
【0048】式(7)からdY1 /dt及びdY0 /d
tを算出して、式(8)に代入すると、遅れ温度変化Y
1 を算出する式は次式(9)になる。この式(9)は温
度変換式であり、符号Cはその係数に相当する。式
(9)で演算される遅れ温度変化Y1 は仮想の創成され
た温度変化である。 Y1=[ΔT0+ΔT1+(C/Δt)・Y0−Y0]/[(C/Δt)+1] …(9) ここで、Δt:演算インターバル〔min〕 ΔT1 :ノーズ温度センサS1 で検出されるノーズ温度
の温度変化入力〔℃〕 ΔT0 :前回の温度変化入力〔℃〕 Y1 :遅れ温度変化出力〔℃〕 Y0 :前回の遅れ温度変化出力〔℃〕 C :ダミー熱容量〔min〕 である。
【0049】図10は、検出感度を調節する前のノーズ
温度センサS1 で検出された温度の温度変化の代表例で
あるサンプル温度変化Tと、遅れ応答成分と同じ熱的挙
動を示す遅れ温度変化の模擬例50(温度変化A、時定
数τB )とを示している。更に、図10には、式(9)
によりノーズ温度の温度変化ΔT1 を用いて創成した遅
れ温度変化Y1 を「○」印で表示している。温度変化A
は、長時間経過すると飽和値Tmax でサンプル温度変化
Tに等しくなることを前提としており、「○」印は、測
定間隔即ち演算インターバルΔtが1.0〔min〕の場合
を示している。このように、式(9)の熱容量Cを適宜
選択した繰り返し演算により、任意の時定数τB (τB
>τS )の温度変化Aと略同じ温度変化の挙動をする遅
れ温度変化Y1 を創成することができる。
【0050】この遅れ温度変化Y1 と遅れ応答成分ΔZ
2 とは、図11に示すようにリニアの関係の直線51に
なるので、先の式(4)が成立する。実際には温度変化
1を抽出する手順を踏む必要は特にはない。例えば、
サンプル温度変化Tを用いて、式(9)のダミー熱容量
C及び式(4)の内部補正係数cを適宜選択した繰り返
し演算結果が、先の図8におけるZ軸熱変位(領域Bを
含む線43a)を直線43から差し引いた誤差に一致す
るように、熱容量Cと係数cの最良値が決定される。こ
こで決まる熱容量Cと係数cの値は工作機械毎に固有の
値であり、この作業は一度行なっておけばよい。第2の
熱変位演算手段20は、遅れ温度演算手段22で算出さ
れた遅れ温度変化Y1 を、内部補正係数cが確定した式
(4)に代入することにより、遅れ応答成分ΔZ2 を算
出する(ステップ105)。次いで、式(2)を用いる
ことにより、第2の熱変位演算手段20は、上述のよう
にして算出された遅れ応答成分ΔZ2 を即時応答成分Δ
1 に加算して合計値即ちZ軸熱変位ΔZを算出する
(ステップ106)。
【0051】図12の縦軸は実測されたZ軸熱変位であ
り、横軸はノーズ温度変化ΔT1 及び遅れ温度変化Y1
を用いてステップ106までの手順を経て見積もったZ
軸熱変位ΔZである。この熱変位ΔZの演算には、式
(2)の全体補正係数aを1とした次式を用いている。 ΔZ=b・ΔT1 +c・Y1 …(10)
【0052】図12に示す実測された縦軸のZ軸熱変位
と、式(10)で求めた横軸のZ軸熱変位ΔZの値と
は、45°の傾きの直線52上で略一致する。これは両
者が同じ値であることを意味している。したがって、主
軸受の発熱の影響を受ける箇所に設置したノーズ温度セ
ンサS1 の温度データにより、Z軸熱変位ΔZを十分高
精度に算出することができる。
【0053】このようにして、ステップ106で演算さ
れたZ軸熱変位ΔZに基づいて補正手段21でZ軸方向
の移動量を補正することにより、加工誤差の補正がなさ
れて(ステップ107)、工具7により工作物9を高精
度で切削加工することができる。その後、補正終了か否
かを判別し(ステップ108)、終了させる場合にはM
C1を停止して(ステップ109)、全体の手順が終了
する。補正が終了しない場合にはステップ102に戻
る。
【0054】なお、本実施例では繰り返し演算を行なっ
ている。したがって、図1に示すように、熱変位補正装
置12は記憶手段23を備えることが好ましい。この記
憶手段23は、遅れ温度演算手段22の前回の最終演算
結果と、MC1の電源をOFFしたのち再度ONして運
転を再開するまでの間の電源OFF時間とを、同時に記
憶するようになっている。記憶手段23は、遅れ温度演
算手段22との間でデータの授受を行うことになる。こ
のようにすれば、MC1の電源をOFFして遅れ温度変
化の演算が中断した場合でも、熱変位補正の演算の経歴
が保存されるので、繰り返し演算が有効になる。
【0055】本発明者の行なった実験によれば、補正前
の熱変位は約40乃至50〔μm〕であったが、本発明
では、補正後の熱変位の目標値を零に近づけることがで
きる。即ち、本発明による熱変位の補正を行った場合
は、±5〔μm〕以下にまで残留熱変位を小さくするこ
とができる。なお、補正前の熱変位が100〔μm〕以
上の場合も、本発明によれば補正後の残留熱変位を±5
〔μm〕以下にまで小さくできることが確認されてい
る。このように、本発明は熱変位の補正を高精度で行う
ことができる。また、断続運転を行なった場合も、本発
明によれば、補正後の残留熱変位を±5〔μm〕以下に
することができる。
【0056】上述のように、本発明によれば、感応時定
数を調節した温度センサの出力を用いることによって、
機械固有の熱変位特性がそのまま温度センサの検出特性
になる。したがって、温度センサの出力が直ちに熱変位
の見積りに反映されるので、温度センサ出力を用いた熱
変位予測の複雑な演算が不要になる。また、長時間経過
するのに伴って表れる遅れ応答成分は大きな間隔で時々
その量を演算すればよいので、演算頻度が少なくてよく
且つ演算量も少なくなるので、プログラムを組み込む上
での負担が軽減される。なお、ダミー手法を用いる場合
に、工作機械のコラム,ベッド,クロスレール等に別途
設けた温度センサにより機体の温度変化を検出してもよ
い。また、本実施例における相関は一定の対応関係があ
ればよく、一次の相関以外の場合でもよい。
【0057】本発明は、従来のような機体構成部分の長
さを使用していないので、機体構造上の長さは制約がな
く、また、機体構成部分の長さ測定や回転数を種々変え
てデータの実測作業をする必要はない。したがって、あ
る一定回転数のもとで熱変位と温度変化の測定を一回の
み行えばよいことになり、実機を用いた熱変位特性抽出
の実測作業が簡略化される。また、機体構成材料の線膨
張係数の確認作業も不要である。
【0058】また、温度センサは任意の位置に取付けて
よいので、温度センサの取付位置の制約が緩和されると
同時に、少数(例えば、一つの発熱源について1本)の
温度センサのみで熱変位を精度よく見込むことができる
自由度の高いものにすることができる。また、機体の温
度に基づいて補正をしており、室温を直接検出していな
い。したがって、例えば冬季に部屋の扉を開けたり夏季
にクーラーを運転するなどして室温が急激に変化して
も、室温による影響がなくなり、補正の精度を高精度に
維持することができる。また、本発明の熱変位補正方法
及びその装置は、熱変位が機械の精度や性能に悪影響を
与える他の種類の機械、例えば印刷機械、プレス、レー
ザ加工機等の自動制御機械に適用しても、同様の作用効
果を奏する。この自動制御機械は、NC装置等の自動制
御装置によって制御されている。なお、各図中同一符号
は同一又は相当部分を示す。
【0059】
【発明の効果】本発明は上述のように構成したので、熱
変位に対する補正を高精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すブロック図である。
【図2】ノーズ温度センサを設置した状態を示す拡大断
面図である。
【図3】本実施例の動作を示すフローチャートである。
【図4】Z軸熱変位の経時変化を示すグラフである。
【図5】Z軸熱変位及びサンプル温度変化の経時変化を
示すグラフである。
【図6】サンプル温度変化とZ軸熱変位との関係を示す
グラフである。
【図7】ノーズ温度変化に対するZ軸熱変位を示すグラ
フである。
【図8】Z軸熱変位が遅れ応答成分を含んでいる場合
の、ノーズ温度変化に対するZ軸熱変位を示すグラフで
ある。
【図9】遅れ温度変化を算出する手法を説明するグラフ
である。
【図10】サンプル温度変化,遅れ温度変化,及び創成
した遅れ温度変化を示すグラフである。
【図11】遅れ温度変化に対する遅れ応答成分を示すグ
ラフである。
【図12】ノーズ温度変化及び遅れ温度変化から見積も
った熱変位に対するZ軸熱変位を示すグラフである。
【符号の説明】
1 立形マシニングセンタ(工作機械) 6 主軸 7 工具 10 機体 12 熱変位補正装置 19 第1の熱変位演算手段 20 第2の熱変位演算手段 21 補正手段 30 被検出部 31 凹部 32 固定用部材 33 感熱部 34 紙(断熱材) S1 ノーズ温度センサ(温度センサ) S2 ヘッド温度センサ(温度センサ)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発熱源の発熱の影響を受ける工作機械の
    機体の温度変化を検出する温度センサの熱特性を、前記
    発熱源の発熱の影響を受けて生じる主軸熱変位の時定数
    に略一致するように感度調節し、 前記温度センサの出力に対応する熱変位を前記温度セン
    サの出力から算出し、 前記算出熱変位と実熱変位とが徐々にずれていく誤差
    を、前記温度センサの出力に遅れを見込んで演算し、 この演算結果を前記算出熱変位に加算した合計値を用い
    て所定軸方向の移動量を補正することを特徴とする工作
    機械の熱変位補正方法。
  2. 【請求項2】 発熱源の発熱の影響を受ける工作機械の
    機体の温度変化を検出し、前記発熱源の発熱の影響を受
    けて生じる主軸熱変位の時定数に略一致する熱特性を有
    するように感度調節された温度センサと、 この温度センサの出力に対応する熱変位を前記温度セン
    サの出力から算出する第1の熱変位演算手段と、 この第1の熱変位演算手段の出力を用いて所定軸方向の
    移動量を補正する補正手段とを備えたことを特徴とする
    工作機械の熱変位補正装置。
  3. 【請求項3】 発熱源の発熱の影響を受ける工作機械の
    機体の温度変化を検出し、前記発熱源の発熱の影響を受
    けて生じる主軸熱変位の時定数に略一致する熱特性を有
    するように感度調節された温度センサと、 この温度センサの出力に対応する熱変位を前記温度セン
    サの出力から算出する第1の熱変位演算手段と、 この第1の熱変位演算手段の出力と実熱変位とが徐々に
    ずれていく誤差を、前記温度センサの出力に遅れを見込
    んで演算し、この演算結果を前記第1の熱変位演算手段
    の出力に加算して合計値を算出する第2の熱変位演算手
    段と、 この第2の熱変位演算手段の出力を用いて所定軸方向の
    移動量を補正する補正手段とを備えたことを特徴とする
    工作機械の熱変位補正装置。
  4. 【請求項4】 前記温度センサは、凹部が形成された前
    記機体の被検出部に該温度センサを固定するための固定
    用部材と、この固定用部材に取付けられて前記凹部内に
    挿入される感熱部と、この感熱部の表面に適当量被着さ
    れて前記温度センサの前記熱特性を所要値に調節するた
    めの断熱材とを有することを特徴とする請求項2又は3
    に記載の工作機械の熱変位補正装置。
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