JPH0819925A - バイスのワーク台 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 工作機械のテーブルに装着したバイスに小物
や薄物ワークを取り付けるのに使用するワーク台に関
し、小物や薄物ワークを簡易な操作で正確に位置決めし
て固定することができる汎用性の高い治具を得ることを
課題としている。 【構成】 バイス１の可動刃４と固定刃３との間に、可
動刃４の移動方向と平行な方向のガイド５に摺動自在に
嵌合されるスペーサブロック１０と、このスペーサブロ
ック１０の上面にネジ１２で固定されるワーク置台１５
とを備えている。スペーサブロック１０は、バイスの基
台の下面と平行な上面１３を備え、かつこの上面は前記
ガイドと平行な一側辺１１を備えている。ワーク置台１
５は、その下面にスペーサブロックの前記一側辺１１に
係合する直線状の段部１６を備え、かつワーク置台１５
の上面にこの段部と平行な内側立面２５を形成する鍔２
４を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、工作機械のテーブル
上に装着されたバイスに取り付けるワーク台に関するも
ので、ワークが小物や薄物である場合に、バイスに取り
付けてワークを保持するために使用する治具に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】多数の同一部品の加工を継続して行うと
きに、工作機械へのワークの取り付けを簡易迅速に行う
ために、工作機械のテーブル上にバイスを固定し、ワー
クをそのバイスで保持する構造が採用される。この場合
に用いられるバイスは、ワークの寸法や形状が変わった
ときにも共通して使用することができるある程度の汎用
性を備えたものであることが望ましい。このような汎用
性を備えたバイスの構造として、平面視が矩形の細長い
基台を備え、この基台の一端に固定刃が設けられ、この
固定刃に対向する可動刃を、基台の長手方向のガイドに
沿って移動可能でかつノックピン等により予め定められ
ている複数の固定位置に固定可能な移動台に設けた構造
のバイスが知られている。

【０００３】この種のバイスは、ワークの厚さ（テーブ
ル面に垂直な方向の寸法）がある程度厚くてもワークを
確実に固定することができるように、固定刃および可動
刃を基台の上面より高い位置に設けている。そのためワ
ークが小物や薄物であると、ワークを基台の上面に定置
させた状態でワークを保持しようとすると、固定刃や可
動刃がワークの上方に突出してワーク上面の加工が不可
能になってしまうということが起こる。そこでこのよう
なときは、固定刃と可動刃との間のワークの基台上にス
ペーサを置き、このスペーサの上にワークを置いて固定
刃と可動刃とで挟持する。ワークの厚さは種々であるか
ら、上記スペーサもワークの寸法や厚さに応じて使い分
けることができるように、複数種類のものが準備され
る。

【０００４】一方ワークをバイスで固定するとき、バイ
スの長手方向（可動刃の移動方向）のワークの基準位置
は、バイスの固定刃に当接する辺を基準として定められ
る。しかしバイスの幅方向（長手直角方向）のワークの
基準位置は定まらない。そのためワークの上面にたとえ
ば互いに直交する方向の溝を加工する場合のように、ワ
ークの一辺とこれに直交する方向の一辺とを基準として
加工を行わねばならない場合などには、バイスでワーク
を固定する毎に当該ワークのバイス幅方向の基準位置を
設定しなければならず、作業が面倒になるとともに、加
工能率が低下するという問題が起こる。

【０００５】もちろんこのような場合固定刃と可動刃の
対を互いに直交する方向に二組設けたクロスバイス等を
用いて加工を行うことも可能であり、またワークが大量
生産されるものであれば、そのワーク形状にあった専用
のワーク台やバイスを用いて加工を行うことも可能であ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしクロスバイスは
特殊なものであり、かつ汎用性が小さいので、種々の大
きさのクロスバイスを準備している加工場は少ない。ま
たワークのロット数がそれほど多くない場合には、専用
のワーク台やバイスを準備することは経済的に不利であ
る。従ってそのような場合には、前述したようにワーク
を固定する毎にワークのバイス幅方向の基準位置を設定
するか、あるいはワークをバイスで固定する際にスケー
ルや治具を用いてワークのバイス幅方向の基準位置を規
定するという方法が採用されるが、いずれの方法も作業
が面倒で誤差を生じやすく、作業に時間がかかって加工
能率が大幅に低下してしまうという問題がある。

【０００７】この発明は小物ワークや薄物ワークを正確
に位置決めしてバイス上に簡易な操作で固定することが
できる汎用性の高い治具を得ることを課題としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明のワーク台は、
バイス１の可動刃４と固定刃３との間に、可動刃４の移
動方向と平行な方向のガイド５に摺動自在に嵌合される
スペーサブロック１０と、このスペーサブロック１０の
上面にネジ１２で固定されるワーク置台１５とを備えて
いる。スペーサブロック１０は、バイスの基台の下面と
平行な上面１３を備え、かつこの上面は前記ガイドと平
行な一側辺１１を備えている。ワーク置台１５は、その
下面にスペーサブロックの前記一側辺１１に係合する直
線状の段部１６を備え、かつワーク置台１５の上面にこ
の段部と平行な内側立面２５を形成する鍔２４を備えて
いる。

【０００９】更に好ましくは、スペーサブロック１０及
びワーク置台１５と、ワーク置台の上面に固定される角
杆１８と、ワーク置台の鍔２４の対向辺側に固定される
雌ネジブロック２０ａ、２０ｂと、雌ネジブロックに螺
合されるネジ杆２３とを備えたものとする。ワーク置台
の鍔２４は、ネジ２６で取り外し可能に設けられる。ワ
ーク置台１５の上面は、前記角杆を嵌合するための前記
鍔の内側立面２５と直交する方向の凹溝１７を備えてい
る。前記雌ネジブロックは、そのネジ孔を鍔２４に向け
て固定される。

【００１０】

【作用】この発明のワーク台のスペーサブロック１０
は、単独で従来のスペーサと同様なワーク台として使用
することができる。さらにワーク置台１５の鍔２４を取
り外し自在としたものは、鍔２４を取り外してワーク置
台１５をスペーサブロック１０の上に固定することによ
り、より厚さの薄いワークを固定する際の従来と同様な
スペーサとして用いることができる。

【００１１】ワーク置台１５をその下面の段部１６とス
ペーサブロックの上面の一側辺１１とを当接させた状態
でスペーサブロック１０に固定したとき、ワーク置台の
鍔の内側立面２５はワーク置台１５上に載置したワーク
７のバイス幅方向の位置を位置決めする基準面となる。
この場合ワーク置台１５上に載置したワークを手で鍔２
４に押し付けながらバイスで締結することにより、当該
ワークをバイス長手方向および幅方向に位置決めして固
定することができるが、ワーク置台に上記雌ネジブロッ
クを固定し、そのネジ杆２３でワーク置台１５上のワー
クを鍔２４に押し付けたうえでバイス１で締結してやれ
ば、ワークの位置決めをより正確に行うことができる。

【００１２】ワーク寸法が小さくてワークの両端がワー
ク置台１５から突出しないために当該ワークをバイスで
固定することができないときは、ワーク置台の凹溝１７
に角杆１８を嵌合して固定し、この角杆１８とバイスの
固定刃または可動刃との間でワークを挟持するようにす
る。

【００１３】またテーブル３０上に複数のバイスを装着
して、寸法の大きな薄物ワークを加工する際などには、
鍔２４を取り外したワーク台と取り付けたままのワーク
台とをそれぞれのバイスに装着することにより、寸法の
大きな薄物ワークをそのバイス長手方向および幅方向に
位置決めして固定することも可能である。

【００１４】

【実施例】図２はこの発明の一実施例を示す分解斜視
図、図１は実施例のワーク台の使用状態を示す斜視図で
ある。図示実施例のワーク台は、バイス１の基台２のガ
イド５に沿って移動自在に嵌装されるスペーサブロック
１０と、ワークのバイス幅方向の位置を規制する鍔２４
を一辺に設けた板状のワーク置台１５との組によって構
成されている。スペーサブロック１０は、上面１３がバ
イス基台の上面６と平行になる平面で、ワーク置台１５
を固定するネジ１２を締結するためのネジ孔１４を備え
ている。スペーサブロックの上面１３の少なくとも一方
の側辺１１は、前記ガイド５と平行な辺となっている。
ワーク置台１５の下面にはこの辺１１と係合する直線状
の段部１６が設けられており、前記鍔２４はその内側立
面２５が段部１６と平行になるように設けられている。

【００１５】図示実施例のワーク台では、ワーク置台１
５の鍔２４を設けた側辺と対向する側辺に雌ネジブロッ
ク２０ａ、２０ｂを固定できるようになっている。この
雌ネジブロック２０ａ、２０ｂのネジ孔２１は、鍔２４
に向けて貫通している。雌ネジブロックのネジ孔２１に
は、基端に摘み２２を固定したネジ杆２３が螺入され、
ネジ杆の先端は雌ネジブロックの内側（鍔２４側）に突
出している。

【００１６】さらに図の実施例のワーク置台１５には、
その上面に鍔の内側立面２５と直交する方向の凹溝１７
が設けられており、この溝に装着時の高さが鍔２４の上
縁と略同一高さとなる角杆１８がネジ１９で固定できる
ようになっている。

【００１７】次に図２に示したこの発明のワーク台の使
用方法を図１を参照して説明する。図１に示した薄物ワ
ーク７は上面にバイス長手方向および幅方向の多数の溝
８、８を加工する形状である。このワークを加工するに
際し、バイス１の固定刃３と可動刃４との間の基台２上
にスペーサブロック１０を基台２のガイド５に移動自在
に嵌合して装着し、その上にワーク置台１５をその裏面
の段部１６とスペーサブロックの上面の一側辺１１とを
当接させて固定し、さらにこのワーク置台１５上にネジ
杆２３を螺入した雌ネジブロック２０ａ、２０ｂと角杆
１８とを固定して、ワーク置台１５上に２個のワークを
同時に互いに直交する方向に固定している。

【００１８】このときワーク７、７のバイス長手方向の
外側の端部９、９は、ワーク置台１５およびスペーサブ
ロック１０の端部から突出した状態となっている。各ワ
ーク７、７は、鍔の内側立面２５とネジ杆２３とでバイ
ス幅方向に位置決めして固定され、さらにバイスの固定
刃３と可動刃４とでワーク７、７の端部９、９を挟持す
ることにより、２個のワーク７、７はそれぞれバイスの
固定刃３と角杆１８との間およびバイスの可動刃４と角
杆１８との間で強固に挟持されて固定される。

【００１９】この状態で二つのワーク７、７のバイス長
手方向の位置は、バイスの固定刃の刃面３ａを基準とし
て位置決めされ、かつバイスの幅方向の位置は鍔の内側
立面２５を基準として位置決めされる。従ってワーク
７、７のバイス長手方向および幅方向の加工基準位置
は、ワークの幅Ｗおよび角杆の幅Ｔ並びに鍔の内側立面
２５のスペーサブロックの中心（バイスの長手中心）か
らの間隔Ｓを工作機械のＮＣ装置などに予め設定してお
くことにより自動的に算出される。

【００２０】図１の例ではワーク置台１５に角杆１８を
取り付けて、小さな薄物ワークを２個同時加工する例を
示したが、もっと大きな寸法の薄物ワークを加工すると
きは、ワーク置台１５から角杆１８を取り外し、ネジ杆
２３の一方または両方でワークを鍔の内側立面２５で当
接させ、かつワークの長手両端をバイスの固定刃３と可
動刃４とで挟持することによってワークを固定する。こ
のような場合、ネジ杆２３を用いないで（従って雌ネジ
ブロック２０をワーク置台１５から取り外して）ワーク
をバイスで挟持するときに、ワークを手で鍔の内側立面
２５に押し付けながらバイスを締結することにより、当
該ワークをバイスの長手および長手直角方向に位置決め
して固定することも可能である。しかしワーク７がワー
ク置台１５から幅方向にはみ出すような大きなものでな
ければ、ネジ杆２３でワークを鍔の内側立面２５に押し
付ける構造が、ワークをより簡易にかつ正確に位置決め
して固定できる。

【００２１】なおこの発明のワーク台は、ワーク置台１
５をスペーサブロック１０から取り外すことができるか
ら、ワーク置台１５を取り外した状態でスペーサブロッ
ク１０を従来のスペーサと同様なワーク台として用いる
こともできる。また図示実施例に示すように、ワーク置
台の鍔２４をネジ１９でワーク置台１５の側辺に固定す
る構造とすることにより、鍔の内側立面２５の加工が容
易になるとともに、鍔２４を取り外すことにより、大き
な薄物を加工する場合に従来のスペーサと同様なワーク
置台として用いることができる。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したこの発明のワーク台は、こ
れを構成する部品の取り付け取り外しにより、種々の寸
法および厚さのワークの加工に対応させることができ、
従来のワーク台に比べて汎用性が高いという効果があ
る。またワークが小物ないし薄物であるときは、ワーク
のバイス長手方向の位置決めはもちろん、長手直角方向
の位置決めも容易に行うことができ、互いに直交する方
向の加工位置決めが必要な同形のワークを次々と加工す
る場合に、工作機械へのワークの取り付けが容易にでき
るとともに、ワークの取り付けを短時間で行うことがで
き、従って加工時間のロスも回避できるという効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の一使用態様を示す斜視図

【図２】ワーク台の一実施例を示す分解斜視図

【符号の説明】

１ バイス ３ 固定刃 ４ 可動刃 ５ ガイド 10 スペーサブロック 11 側辺 12 ネジ 15 ワーク置台 17 凹溝 18 角杆 20a,20b 雌ネジブロック 23 ネジ杆 24 鍔 25 内側立面 26 ネジ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バイス(1) の可動刃(4) と固定刃(3) と
   の間に可動刃(4) の移動方向と平行な方向のガイド(5)
   に摺動自在に嵌合されるスペーサブロック(10)と、この
   スペーサブロック(10)の上面にネジ(12)で固定されるワ
   ーク置台(15)とを備え、スペーサブロック(10)はバイス
   の基台の下面と平行な上面(13)を備え、かつこの上面は
   前記ガイドと平行な一側辺(11)を備えており、ワーク置
   台(15)はその下面にスペーサブロックの前記一側辺(11)
   に係合する直線状の段部(16)を備え、かつワーク置台(1
   5)の上面にこの段部と平行な内側立面(25)を形成する鍔
   (24)を備えていることを特徴とする、バイスのワーク
   台。
2. 【請求項２】 前記スペーサブロック(10)及びワーク置
   台(15)と、ワーク置台の上面に固定される角杆(18)と、
   ワーク置台の鍔(24)の対向辺側に固定される雌ネジブロ
   ック(20a,20b) と、雌ネジブロックに螺合されるネジ杆
   (23)とを備え、ワーク置台の鍔(24)はネジ(26)で取り外
   し可能に設けられ、ワーク置台(15)の上面は前記角杆を
   嵌合するための前記鍔の内側立面(25)と直交する方向の
   凹溝(17)を備えており、前記雌ネジブロックはそのネジ
   孔を鍔(24)に向けて固定されることを特徴とする、請求
   項１記載のバイスのワーク台。