JPH08199021A - 成形性に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

成形性に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物

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JPH08199021A
JPH08199021A JP7010424A JP1042495A JPH08199021A JP H08199021 A JPH08199021 A JP H08199021A JP 7010424 A JP7010424 A JP 7010424A JP 1042495 A JP1042495 A JP 1042495A JP H08199021 A JPH08199021 A JP H08199021A
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JP
Japan
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rubber
resin composition
modified styrene
styrene
polymer
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Application number
JP7010424A
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English (en)
Inventor
Shigeyuki Yoshida
滋行 吉田
Arimichi Okumura
有道 奥村
Kazuhito Bando
和仁 板東
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ゴム変性スチレン系樹脂組成物において、
(A) スチレン系重合体からなるマトリックス中に、粒子
状のゴム状重合体が分散しており、かつ(B) 前記ゴム状
重合体粒子が、(イ)平均粒子径 0.1〜0.5 μm の小粒
子部分と、(ロ)平均粒子径 0.6〜4.0 μm の大粒子部
分とからなる二峰性の粒子径分布を有し、(C) 前記ゴム
状重合体粒子の総重量に占める小粒子部分の比率が60〜
95重量%であり、(D) 該ゴム変性スチレン系樹脂組成物
の 200℃、5kg荷重におけるメルトフローレートが5g
/10min 以上である、成形性に優れたゴム変性スチレン
系樹脂組成物。 【効果】 耐衝撃性や耐熱性を保持したまま十分な成形
性を示し、金型温度などの成形条件を変えたり、成形品
表面に塗装を施すことなくウェルドラインやフローマー
ク等の表面外観不良の見られない成形品を得ることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐衝撃性、耐熱変形
性、および成形加工性に優れ、かつ、射出成形により成
形品を得る場合、ウェルドラインやフローマーク等の成
形品の表面外観不良が目立たないゴム変性スチレン系樹
脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ゴム変性スチレン系樹脂は耐衝
撃性、耐熱性、および成形加工性に優れ、かつ良好な表
面光沢を有することから、各種成形品の成形材料として
幅広く利用されている。特にテレビ、ビデオデッキ、コ
ンピューター等の家電用品、OA機器のハウジングに利
用される場合、成形品の表面外観の良好なものが要求さ
れる。
【0003】表面外観不良の例としては、射出成形した
場合、金型内で溶融した樹脂同士が衝突する箇所に生じ
るウェルドラインや、樹脂の流れ方向と直角に発生す
る、縞模様を呈したフローマーク等を挙げることができ
る。このような表面外観不良を防ぐ手段として、射出
成形の際、樹脂温度や金型温度を上げることにより、樹
脂の流動性を改善したり、射出速度を速くなりすぎない
ように調整する、成形品表面に塗装を施す、樹脂に
滑剤や可塑剤を添加することにより、樹脂の流動性を改
善する、といった方法を挙げることができる。しかしな
がら、の方法は最適な成形条件を設定することで、あ
る程度の外観不良改善は達成できるものの、温度を上げ
ることにより、樹脂物性の低下や金型の早期劣化を引き
起こしたり、冷却期間が長いために成形に要する時間が
長くなりコストアップとなる。また、の方法では、成
形品表面に塗装を施すことで外観不良を消すことができ
るが、塗装によるコストアップは否めず、また塗料中に
含まれる有機溶剤等が作業環境に悪影響を及ぼすという
重大な問題点がある。の方法では、エステル類(特開
平4−348152号公報)やワックス(特公平2−41541 号
公報)を添加することで樹脂の流動性を向上させる方法
も公知だが、満足な外観不良の改善効果は得られず、し
かも樹脂の耐熱性が低下するという問題点がある。ま
た、低分子量のポリマー、例えばスチレンオリゴマーを
配合してマトリックス樹脂の分子量を下げる方法(特開
平1−256550号公報)では樹脂の流動性が向上すること
により、ウェルドライン、フローマークはある程度まで
は改善されているが、粒子径についての規定がなされて
いないために耐衝撃性が著しく低下し、実用に耐えうる
ものではない。
【0004】また、耐衝撃性を改善する方法として、ゴ
ム変性スチレン系樹脂中に含まれるゴム状重合体粒子
に、小粒子部分と大粒子部分とからなる二峰性の粒子径
分布を持たせる技術(特公平5−25897 号公報)がある
が、樹脂の流動性についての規定がなされていないた
め、満足な成形品外観が得られていない。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、金
型温度などの成形条件を変えたり、成形品表面に塗装を
施すことなくウェルドラインやフローマーク等の表面外
観不良の見られないゴム変性スチレン系樹脂組成物を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記ゴム
変性スチレン系樹脂組成物を開発すべく鋭意検討を重ね
た結果、小粒子と大粒子、それぞれの平均粒子径を特定
領域に制御し、かつ小粒子部分の重量割合を特定し、特
定のメルトフローレートに制御することで、ウェルドラ
インやフローマーク等の表面外観不良の見られないゴム
変性スチレン系樹脂組成物を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、ゴム変性スチレン系
樹脂組成物において、 (A) スチレン系重合体からなるマトリックス中に、粒子
状のゴム状重合体が分散しており、かつ (B) 前記ゴム状重合体粒子が、(イ)平均粒子径 0.1〜
0.5 μm の小粒子部分と、(ロ)平均粒子径 0.6〜4.0
μm の大粒子部分とからなる二峰性の粒子径分布を有
し、 (C) 前記ゴム状重合体粒子の総重量に占める小粒子部分
の比率が60〜95重量%であり、 (D) 該ゴム変性スチレン系樹脂組成物の 200℃、5kg荷
重におけるメルトフローレートが5g/10min 以上であ
る、成形性に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物を提
供するものである。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物
は、ゴム状重合体をスチレン系単量体に溶解した後、一
般的な重合方法を用いて製造することができる。一般的
な重合方法の例としては、塊状重合法、溶液重合法、ま
たは塊状重合後、さらに懸濁重合を行う塊状−懸濁重合
法を挙げることができる。中でも塊状重合法が好まし
い。
【0010】スチレン系単量体としては、例えばスチレ
ン、アルキル置換スチレン(例えば、o−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、 2,4−
ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチ
ルスチレンなど)、α−アルキル置換スチレン(例え
ば、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチ
レンなど)、ハロゲン化スチレン(例えば、o−クロロ
スチレン、p−クロロスチレンなど)などが挙げられ
る。これらの中でも、スチレン系単量体としては、スチ
レン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレンが好ま
しく、特にスチレンが好ましい。これらのスチレン系単
量体は、一種で使用してもよいし、または二種以上混合
して使用してもよい。
【0011】スチレン系単量体には、必要に応じて、例
えばアクリル酸、メタクリル酸等の(メタ)アクリル
酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイ
ン酸、アクリロニトリルなどの共重合可能な単量体を、
経済性が劣らない範囲で添加してもよい。
【0012】また、ゴム状重合体としては、ポリブタジ
エンやスチレン・ブタジエン共重合体等、特に限定され
るものではなく、一般的なゴム状重合体は全て使用する
ことができる。ポリブタジエンとしては、 1,4−シス結
合の含有量が高いハイシスポリブタジエン、1,4 −シス
結合の含有量が低いローシスポリブタジエン、さらにス
チレン・ブタジエン共重合体等のいずれを用いてもよ
い。ゴム状重合体は、前記スチレン系単量体をグラフト
重合させることが可能なゴム状物質であり、不飽和二重
結合を含む必要がある。好ましいゴム状重合体には、ロ
ーシスポリブタジエンやスチレン・ブタジエンブロック
共重合体などが含まれる。これらのゴム状重合体は、一
種でまたは二種以上混合して使用できる。また、ゴム変
性スチレン系樹脂組成物中のゴム成分含有量は 0.1〜30
重量%、好ましくは3〜20重量%である。ゴム成分含有
量が 0.1重量%未満では充分な衝撃強度が得られず、30
重量%を超えると外観不良が目立つ。
【0013】本発明において、重合開始剤を用いない場
合は90〜200 ℃の温度範囲で、有機過酸化物などの重合
開始剤存在下では50〜180 ℃の温度範囲で重合を行うこ
とができる。
【0014】必要に応じて用いられる重合開始剤として
は、例えば 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロ
ヘキサン、 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、
ジ−t−ブチルパーオキサイド、 2,5−ジメチル− 2,5
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキル
パーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、m−ト
ルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド
類、その他、パーオキシジカーボネート類、パーオキシ
エステル類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオ
キサイド類を挙げることができる。また、重合開始剤の
添加量としては、スチレン系単量体に対して10重量%以
下が好ましい。重合開始剤の添加量が10重量%を超える
と重合速度の制御が困難となる。
【0015】また、重合時に溶剤を存在させることもで
きる。溶剤としては、芳香族炭化水素類、例えば、トル
エン、キシレン、エチルベンゼン等の一種または二種以
上の混合物を挙げることができる。溶剤の使用量として
は、重合溶液中0〜50重量%の範囲が望ましい。溶剤の
使用量が50重量%を超えると重合速度が著しく低下し、
また溶剤の回収に大きなエネルギーを要するため経済性
が劣ってくる。
【0016】また、本発明においては、必要に応じて連
鎖移動剤、例えばα−メチルスチレンリニアダイマー、
n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタ
ン、1−フェニルブテン−2−フルオレン、ターピノー
レン、ジペンテン、クロロホルムなどを用いることがで
きる。連鎖移動剤の添加量としては、スチレン系単量体
に対して10重量%以下が好ましい。連鎖移動剤の添加量
が10重量%を超えると分子量低下が著しく、充分な衝撃
強度が得られない。
【0017】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物に
おいて、前記ゴム状重合体は、(イ)平均粒子径 0.1〜
0.5 μm 、好ましくは0.15〜0.45μm の小粒子部分と、
(ロ)平均粒子径 0.6〜4.0 μm 、好ましくは 0.8〜2.
0 μm の大粒子部分とに分散されており、二峰性の粒子
径分布を有する必要がある。小粒子部分の平均粒子径が
0.1μm 未満では衝撃強度が低下し、 0.5μm を超える
と外観不良が目立つ。また、大粒子部分の平均粒子径が
0.6μm 未満では衝撃強度が低下し、 4.0μmを超える
と外観特性が低下する。なお、前記ゴム状重合体の粒子
径分布が単一のピークしか有さない場合には、耐衝撃
性、剛性および外観特性のいずれかが劣る。
【0018】本発明において、二峰性の粒子径分布を有
するゴム変性スチレン系樹脂組成物は種々の方法、例え
ば小粒子径のゴム粒子を含有するゴム変性スチレン系
樹脂組成物と大粒子径のゴム粒子を含有するゴム変性ス
チレン系樹脂組成物とを個別に製造し、混合機や押出機
などでブレンドする方法、二つの重合反応器を用い、
小粒子のゴム状重合体を含む重合液と大粒子のゴム状重
合体を含む重合液とをそれぞれ別に調製し、両者を混合
して重合を完結させる方法、粒子分散機をインターバ
ル運転する等の方法を用い、重合過程で小粒子と大粒子
のゴム状重合体を同時に形成させる方法、などにより製
造できる。
【0019】なお、ゴム状重合体の小粒子と大粒子の粒
子径の制御は、粘度の異なるゴム状重合体を使用する方
法、スチレン・ブタジエン共重合体を添加する方法、ス
チレン系単量体とゴム状重合体との混合液を重合する過
程で、重合温度、攪拌速度、ゴム粒子生成時の攪拌状態
を変化させる方法、などの方法によって可能である。
【0020】本発明において、ゴム状重合体粒子の総重
量に占める小粒子部分の比率は60〜95重量%である必要
がある。好ましくは75〜95重量%、さらに好ましくは80
〜95重量%である。小粒子部分の比率が95重量%を超え
ると耐衝撃性が急激に低下し、60重量%未満であると外
観不良が目立つ。
【0021】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物の
200℃、5kg荷重におけるメルトフローレートは5g/
10min 以上、好ましくは18〜30g/10min である必要が
ある。200 ℃、5kg荷重におけるメルトフローレートが
5g/10min 未満では良好な表面外観が得られない。
【0022】ゴム変性スチレン系樹脂組成物のメルトフ
ローレートを制御する方法には、例えばミネラルオイ
ルのような可塑剤を添加したり、ゴム状重合体とスチレ
ン系単量体との重合時に連鎖移動剤を添加してマトリッ
クス分子量を下げる方法、高級脂肪酸の金属塩や高級
脂肪酸アミドのような滑剤を添加する方法などがある。
【0023】本発明において、ゴム状重合体のトルエン
中の膨潤指数は特に限定されるものではないが、好まし
くは5〜10、さらに好ましくは5〜7である。トルエン
中の膨潤指数が5未満では衝撃強度が低下し、10を超え
ると外観不良が目立つ。
【0024】本発明において、前記ゴム状重合体の総重
量に対するゴム変性スチレン系樹脂組成物の不溶分重量
の比率は特に限定されるものではないが、好ましくは
4.1以上である。ここでいうゴム変性スチレン系樹脂組
成物の不溶分重量とは、ゴム変性スチレン系樹脂組成物
をトルエン中に溶解させた際に得られる不溶分の重量で
ある。ゴム状重合体の総重量に対するゴム変性スチレン
系樹脂組成物の不溶分重量の比率が 4.1未満であると耐
衝撃性が低下する。
【0025】また、不溶分重量および膨潤指数は、粘度
の異なるゴム状重合体を使用したり、重合温度、重合時
間、重合した樹脂組成物の脱揮条件を変化させる、開始
剤を使用するなどの方法によってコントロールできる。
【0026】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物に
は、必要に応じて、滑剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤
等の添加剤を配合することができる。
【0027】このようにして得られた本発明のゴム変性
スチレン系樹脂組成物は、耐衝撃性、耐熱変形性、およ
び成形加工性に優れ、かつ、その成形品はウェルドライ
ンやフローマーク等の表面外観不良が目立たないため、
例えばテレビ、クーラー、冷蔵庫などの家電製品、コン
ピューター、複写機などのOA機器のハウジング、自動
車用内装部品、日用品など広範囲にわたって利用でき
る。
【0028】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をさらに詳
細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら
限定されるものではない。なお、実施例、比較例におけ
る物性等の測定は、以下の方法を用いた。
【0029】(1) ゴム粒子の体積平均粒子径は、超薄切
片法によるゴム変性スチレン系樹脂組成物の切片を透過
型電子顕微鏡で写真撮影し、ゴム状重合体粒子1000個の
粒子径を測定して、次式に従って算出した。 Dv=(Σni・Di4)/(Σni・Di3) ここで、Dvは平均粒子径、niは粒子径Diのゴム状重合体
粒子の個数を示す。
【0030】(2) メルトフローレート(MFR) はASTM-D12
38に準拠して 200℃、5kg荷重で測定した。
【0031】(3) ゴム変性スチレン系樹脂組成物の不溶
分重量(以下、不溶分重量と称す)、およびゴム状重合
体のトルエン中における膨潤指数は、ゴム変性スチレン
系樹脂組成物のをトルエン中に完全に溶解し、24時間暗
所に静置した後、遠心分離器にて不溶分を沈降させ、デ
カンテーションで沈降した不溶分を分離し、その重量(W
s)(g) を秤量する。得られたトルエンで膨潤した不溶分
を60℃、減圧下で24時間真空乾燥し、デシケータ中で放
冷した後の乾燥した重量(不溶分重量、Wd)(g)を秤量
する。これらの値を用い、次式に従って膨潤指数を算出
した。 膨潤指数=Ws/Wd (4) ノッチ付アイゾット衝撃強度は、JIS-K6871 に準拠
して測定した。
【0032】(5) 成形品の表面外観は、シリンダー温度
220℃、金型温度50℃で、射出成形を行い平板状の成形
品を作成し、得られた成形品のウェルドライン、フロー
マークを下記の基準で目視による観察で評価した。 ◎:全く目立たない ○:目立たない △:目立つ ×:大変目立つ。
【0033】実施例1、比較例1,2 内容積30リットルの重合反応器に、スチレンモノマー80
重量%と、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(旭
化成工業(株)製:アサプレン670A)20重量%との混合
溶液20kgを仕込み、連鎖移動剤としてターピノーレン10
gを添加する。これを攪拌回転数60rpm で攪拌しなが
ら、 130℃の重合温度で3時間、続いて 150℃の重合温
度で4時間熱重合させた後、 220℃、20分間の脱揮過程
を経て、小粒子ゴムが分散したゴム変性ポリスチレンHI
PS(A−1)を得た。以後、ゴム変性ポリスチレンをHIPSと
略す。一方、スチレンモノマー95重量%と、ローシスポ
リブタジエン(シス− 1,4構造含有率35%)(旭化成工
業(株)製:ジエン55AS)3重量%、およびスチレン・
ブタジエンブロック共重合体(旭化成工業(株)製:ア
サプレン670A)2重量%との混合溶液20kgを仕込む以外
は、前記と同様にして大粒子ゴムが分散したHIPS(B−1)
を得た。次いで、前記HIPS(A−1)とHIPS(B−1)とを表1
に示す割合で配合し、押出機にて溶融混練してゴム変性
スチレン系樹脂組成物を得た。表1に該樹脂組成物の各
特性を示す。
【0034】表1から明らかなように、実施例1は、本
発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物であり、本発明の
目的とする物性および表面外観が得られている。しかし
ながら、比較例1は、ゴム状重合体粒子の総重量に占め
る小粒子部分の比率が60重量%未満であるため、外観不
良が目立っている。比較例2は、ゴム状重合体粒子の総
重量に占める小粒子部分の比率が95重量%を超えるた
め、衝撃強度が劣り好ましくない。
【0035】比較例3 前記HIPS(A−1)の調製において、攪拌回転数を100rpmに
上げて重合を行う以外は実施例1と同様にして、HIPS(A
−2)を得た。HIPS(A−2)とHIPS(B−1)とを表1に示す割
合で配合し、押出機にて溶融混練して樹脂組成物を得
た。表1に該樹脂組成物の各特性を示す。
【0036】表1から明らかなように、比較例3は、ゴ
ム状重合体の小粒子部分の平均粒子径が 0.1μm 未満で
あるため、耐衝撃性は極端に劣っている。
【0037】比較例4 前記HIPS(A−1)の調製において、スチレンモノマー90重
量%と、ローシスポリブタジエン(シス−1,4 構造含有
率35%)10重量%との混合溶液20kgを仕込み、攪拌回転
数を80rpm に下げて重合を行う以外は実施例1と同様に
して、HIPS(A−3)を得た。HIPS(A−3)とHIPS(B−1)とを
表1に示す割合で配合し、押出機にて溶融混練して樹脂
組成物を得た。表1に該樹脂組成物の各特性を示す。
【0038】表1に示すように、比較例4は、ゴム状重
合体の小粒子部分の平均粒子径が 0.5μm を超えている
ため、外観不良が目立っている。
【0039】比較例5 前記HIPS(B−1)の調製において、攪拌回転数を100rpmに
上げて重合を行う以外は実施例1と同様にして、HIPS(B
−2)を得た。次いで、前記HIPS(A−1)とHIPS(B−2)とを
表1に示す割合で配合し、押出機にて溶融混練して樹脂
組成物を得た。表1に該樹脂組成物の各特性を示す。
【0040】表1から、比較例5は、大粒子部分の平均
粒子径が 0.6μm 未満であるため、衝撃強度が十分でな
いことが分かる。
【0041】比較例6 前記HIPS(B−1)の調製において、攪拌回転数を 30rpmに
下げて重合を行う以外は実施例1と同様にして、HIPS(B
−3)を得た。次いで、前記HIPS(A−1)とHIPS(B−3)とを
表1に示す割合で配合し、押出機にて溶融混練して樹脂
組成物を得た。表1に該樹脂組成物の各特性を示す。
【0042】表1に示すように、比較例6は、大粒子部
分の平均粒子径が 4.0μm を超えているため、外観不良
が非常に目立っている。
【0043】
【表1】
【0044】実施例2 前記HIPS(A−1)の調製において、連鎖移動剤ターピノー
レンの添加量を30gに増やして重合を行う以外は実施例
1と同様にして、HIPS(A−4)を得た。前記HIPS(A−4)と
HIPS(B−1)とを表2に示す割合で配合し、押出機にて溶
融混練して樹脂組成物を得た。表2に該樹脂組成物の各
特性を示す。
【0045】表2から明らかなように、実施例2は、本
発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物であり、本発明の
目的とする物性および表面外観が得られている。
【0046】実施例3、4 前記HIPS(A−4)とHIPS(B−1)、およびミネラルオイル
(Witco co. 製:PL−380)とを表2に示す割合で配合
し、押出機にて溶融混練して樹脂組成物を得た。表2に
該樹脂組成物の各特性を示す。
【0047】表2から明らかなように、実施例3は、本
発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物であり、本発明の
目的とする物性および表面外観が得られている。また、
実施例4は、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物で
あり、本発明の目的とする表面外観が得られているが、
200℃、5kg荷重におけるメルトフローレートが30g/
10min を超えているため、衝撃強度がわずかに低い値を
示した。
【0048】比較例7 前記HIPS(A−1)の調製において、連鎖移動剤を添加せ
ず、重合温度 110℃で3時間、続いて重合温度 140℃で
4時間熱重合を行う以外は実施例1と同様にして、HIPS
(A−5)を得た。前記HIPS(A−5)とHIPS(B−1)とを表2に
示す割合で配合し、押出機に溶融混練して樹脂組成物を
得た。表2に該樹脂組成物の各特性を示す。
【0049】表2から明らかなように、比較例7は、 2
00℃、5kg荷重におけるメルトフローレートが5g/10
min 未満であるため流動性に劣り、十分な表面外観が得
られない。
【0050】実施例5 前記HIPS(B−1)の調製において、スチレンモノマー95重
量%と、ローシスポリブタジエン(シス−1,4 構造含有
率35%)5重量%との混合溶液20kgを仕込む以外は実施
例1と同様にして、HIPS(B−4)を得た。前記HIPS(A−1)
とHIPS(B−4)とを表2に示す割合で配合し、押出機にて
溶融混練して樹脂組成物を得た。表2に該樹脂組成物の
各特性を示す。
【0051】表2から、実施例5は、本発明のゴム変性
スチレン系樹脂組成物であり、本発明の目的とする物性
および表面外観が得られていることがわかる。
【0052】実施例6 前記HIPS(A−1)の調製において、重合後の脱揮時間を5
分間にすること以外は実施例1と同様にして、HIPS(A−
6)を得た。前記HIPS(A−6)とHIPS(B−1)とを表2に示す
割合で配合し、押出機にて溶融混練して樹脂組成物を得
た。表2に該樹脂組成物の各特性を示す。
【0053】表2から、実施例6は、本発明のゴム変性
スチレン系樹脂組成物であり、本発明の目的とする物性
および表面外観が得られていることがわかる。
【0054】実施例7 前記HIPS(A−1)の調製において、重合後の脱揮時間を40
分間にすること以外は実施例1と同様にして、HIPS(A−
7)を得た。前記HIPS(A−7)とHIPS(B−1)とを表2に示す
割合で配合し、押出機にて溶融混練して樹脂組成物を得
た。表2に該樹脂組成物の各特性を示す。
【0055】表2から明らかなように、実施例7は、本
発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物であり、本発明の
目的とする物性および表面外観が得られていることがわ
かる。
【0056】
【表2】
【0057】
【本発明の効果】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成
物は、ゴム状重合体が、それぞれ特定の平均粒子径を有
する小粒子部分と大粒子部分の二峰からなる粒子径分布
を持ち、特定のメルトフローレートを持つために、耐衝
撃性や耐熱性を保持したまま十分な成形性を示し、金型
温度などの成形条件を変えたり、成形品表面に塗装を施
すことなくウェルドラインやフローマーク等の表面外観
不良の見られない成形品を得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム変性スチレン系樹脂組成物におい
    て、 (A) スチレン系重合体からなるマトリックス中に、粒子
    状のゴム状重合体が分散しており、かつ (B) 前記ゴム状重合体粒子が、(イ)平均粒子径 0.1〜
    0.5 μm の小粒子部分と、(ロ)平均粒子径 0.6〜4.0
    μm の大粒子部分とからなる二峰性の粒子径分布を有
    し、 (C) 前記ゴム状重合体粒子の総重量に占める小粒子部分
    の比率が60〜95重量%であり、 (D) 該ゴム変性スチレン系樹脂組成物の 200℃、5kg荷
    重におけるメルトフローレートが5g/10min 以上であ
    る、成形性に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ゴム状重合体粒子のトルエン中での膨潤
    指数が5〜10の範囲である請求項1記載のゴム変性スチ
    レン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ゴム状重合体粒子のトルエン中での膨潤
    指数が5〜7の範囲である請求項2記載のゴム変性スチ
    レン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ゴム状重合体の総重量に対するゴム変性
    スチレン系樹脂組成物の不溶分重量の比率が 4.1以上で
    ある請求項2又は3記載のゴム変性スチレン系樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 ゴム変性スチレン系樹脂組成物の 200
    ℃、5kg荷重におけるメルトフローレートが18〜30g/
    10min である請求項2〜4の何れか1項に記載のゴム変
    性スチレン系樹脂組成物。
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