JPH08196048A

JPH08196048A - 回転電機の固定子鉄心

Info

Publication number: JPH08196048A
Application number: JP1973095A
Authority: JP
Inventors: Kunihiro Takayama; 邦浩高山; Hiroyuki Kamiya; 宏之神谷; Fumio Nakamura; 文雄中村
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1995-01-12
Filing date: 1995-01-12
Publication date: 1996-07-30

Abstract

(57)【要約】【目的】回転電機の固定子鉄心とキーバ間の隙間を無
くし、常にある一定以上の面圧を確保すると共に、熱応
力を緩和させるに好適な回転電機の固定子鉄心を提供す
ることにある。【構成】回転電機の固定子フレームに取り付けたキー
バと組み合わされる固定子鉄心であって、前記キーバに
対応する側の固定子鉄心にスリットを設け、キーバに組
込む時に、締め代を持たせて組立て、キーバと固定子鉄
心の接合部の隙間を無くする。【効果】電磁振動による異音の発生または鉄粉の発生
が低減でき、回転電機の固定子鉄心の寿命を長くするこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、回転電機の固定子鉄心
に係わり、特に、回転電機の固定子フレームに取り付け
たキーバと組み合わされる回転電機の固定子鉄心に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に、大型発電機等の大型回転電機で
は、その固定子鉄心の薄層を積層して構成された円筒形
の固定子鉄心が使用されている。従来の固定子鉄心は、
固定子フレームに取り付けられ、かつ、固定子鉄心板セ
グメント中のダブテール形スロットにはめ込まれたダブ
テール形キーバを使って円筒形のフレーム内に組立られ
る。固定子鉄心全体が完成すると、固定子鉄心の両端に
軸方向の力が加えられて、固定子鉄心を実質的に一体も
のとして保持する。このような大型回転電機の固定子鉄
心において、その固定子鉄心に磁力が加わると、固定子
鉄心がわずかに楕円形の断面になるように変形する傾向
がある。大型回転電機の回転子が回転すると、楕円形に
変形した固定子鉄心がそれにつれて回転する。従って、
固定子鉄心のまわりの各点には、その半径方向に、回転
子の回転により大型回転電機から発生する回転周波数の
２倍の周波数で周期的に発生する振動が現れる。特開昭
６１−８８７３５号公報には、キーバと固定子鉄心の相
対的な振動や回転周波数の２倍の周波数の雑音の発生を
避けるための技術が記載され、キーバの位置精度を向上
させることが述べられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭６１−８８７３５号公報には、回転電機の固定子鉄
心の組立時に、固定子鉄心のキーバ組込み溝をキーバの
ダブテール部に挿入したとき発生する隙間による不具合
については、述べられていない。即ち、キーバのダブテ
ール部に固定子鉄心のキーバ組込み溝を挿入した時、意
識的にキーバと固定子鉄心の最外径を接触させて組み込
むが、組立性を考慮したキーバ組合わせ溝は、一般的に
キーバ形状より若干大きくなるように隙間を設けて加工
されている。２段目以降の積層方向に積み重ねていくに
従い、この隙間の分だけ、固定子鉄心は自由に移動する
ことができるため、キーバと固定子鉄心との外径接触部
のある位置では接触し、また、ある位置では隙間が生じ
るという問題がある。また、回転機の運転、停止に伴う
加熱または冷却サイクル時において、キーバと固定子鉄
心の温度上昇の時間の差から、キーバと固定子鉄心が隙
間状態で電磁振動の影響を受けるところから、まさにキ
ーバと固定子鉄心が接触状態になるまでの間、または、
逆にキーバと固定子鉄心が接触状態から電磁振動の影響
を受けなくなるまでの完全な隙間状態になるまでの間、
固定子鉄心の電磁振動により、キーバと固定子鉄心によ
る異音または擦られることによる鉄粉の発生が起こり、
固定子鉄心の寿命を著しく劣化させる場合があり、問題
である。このような問題を解決する方法としては、キー
バと固定子鉄心の隙間に含浸ワニスを注入する方法やキ
ーバと固定子鉄心との間に詰め物を挿入する方法が容易
に考えられるが、これらの方法は、固定子鉄心に生ずる
電磁振動を吸収しきれなくなり、含浸ワニスが削られ
て、粉を発生し、いずれは隙間となる為に問題解決には
ならない。また、固定子鉄心を積み重ねた後、キーバを
前記隙間が無くなるまで移動させて組立てる方式では、
固定子鉄心の熱伸びを吸収させる部分が無くなり、固定
子鉄心の波打ちが現れ、やはり固定子鉄心の寿命を短く
するという問題がある。

【０００４】本発明の目的は、回転電機の固定子鉄心と
キーバ間の隙間を無くし、常にある一定以上の面圧を確
保すると共に、熱応力を緩和させるに好適な回転電機の
固定子鉄心を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的は、キーバと対
応する固定子鉄心側に応力緩和用のスリットを設け、固
定子鉄心をキーバに組立てる時、固定子鉄心に締め代を
持たせることにより、達成される。

【０００６】

【作用】本発明において、回転電機の停止している状態
には、キーバと固定子鉄心は、スリットのバネ効果によ
り、接合部分の全箇所が接触する。また、回転電機の起
動時はフレームよりも固定子鉄心の温度上昇が早く、回
転電機の停止時はフレームが固定子鉄心より早く冷える
ために起こる温度変化時には、それぞれの伸縮の時差に
より、キーバと固定子鉄心間に一時的に熱応力が発生す
るが、この伸縮はスリットによるバネ効果で吸収され、
一定してキーバと固定子鉄心に面圧が確保される。ま
た、固定子鉄心とキーバが同温度となったとき、熱応力
はかなり緩和される。従って、固定子鉄心とキーバの接
合部分は、起動時、通常運転時または停止時において常
時接触でき、固定子鉄心とキーバにより発生する異音ま
たは固定子鉄心が擦れることにより発生する鉄粉を大幅
に減少させることができ、回転電機の固定子鉄心の寿命
を長くすることができる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。図１は、本発明の一実施例を示す回転電機の固定子
鉄心である。図１において、１は固定子鉄心、１ａはキ
ーバ組合わせ溝、１ｂはスリット、１ｃはスロット、２
はキーバ、２ａはキーバダブテール部、３はフレームを
示し、図２にその斜視図を示す。図２において、４は固
定子コイルである。図１及び図２に示すように、固定子
鉄心１は、複数枚数を円環状に並べ、それを軸方向に積
層して積み上げ、その両端を加圧する等の手段で円筒状
に一体化して形成される。積層して積み上げた固定子鉄
心１の両端に所定の面圧をかけることは、個々の薄板扇
状の固定子鉄心１の移動を抑制することにある。ここ
で、固定子鉄心１にはその半径方向に対し傾斜したスリ
ット１ｂを設ける。キーバ２はフレーム３の内径側の周
方向に複数本溶接等の方法で固定される。キーバ２の内
径側の先端には固定子鉄心１と組み合わされるダブテー
ル２ａが設けてあり、このダブテール部２ａと固定子鉄
心１の組合わせ溝１ａが組み合わされる。この回転電機
の固定子鉄心１を組立てる時に、キーバ２のダブテール
部２ａと固定子鉄心１の組込み溝１ａとの組立性を考慮
して隙間を設けるが、この隙間が組立中の積層時に扇状
の固定子鉄心１の移動を誘発し、固定子鉄心１の外径側
とキーバ２の対応する接触部分は、接触しているところ
と、接触してないところとが発生する。

【０００８】この組立中に起こる隙間を防ぐために、図
３に示す様に組立を行う。図３は図１のＰ部分の詳細図
である。本実施例ではキーバ２が図２のように２本で支
えるモデルにより説明する。勿論キーバ２が１本で支え
るモデルでも差し支えない。図３において、キーバ２に
扇状の薄板固定子鉄心１を極小の締め代δ１を設けて組
込む。この場合、締め代δ１は、固定子鉄心１にかなり
の内部応力を発生させる。この内部応力を緩和させるた
め、キーバ２に対応する固定子鉄心１の側に応力緩和用
のスリット１ｂを設ける。このスリット１ｂは、固定子
鉄心１の半径方向に対し傾斜させ、このスリット１ｂの
傾斜により、さらに応力緩和の効果を発揮する。また、
締め代δ１によって、固定子鉄心１のスリット１ｂはδ
１だけ変形し、スリット１ｂにはバネ効果が生じ、キー
バ２を力Ｆ１で押している。従って、回転電機が停止し
て冷却状態にある時、このスリット１ｂのバネ効果によ
り、キーバ２と固定子鉄心１の接触部には、必要面圧を
確保することができる。ここで、締め代δ１は、積層方
向の両端を加圧するまで治具で保持し、固定子鉄心１の
スロット１ｃに固定子コイル４を挿入すれば、この固定
子コイル４の挿入により締め代δ１を保持する。なお、
本実施例において、図４に示すように、キーバ２のダブ
テール部２ａの斜面を利用し、締め代δ１を保持する等
締め代δ１を設ける方法は問わない。

【０００９】次に、起動時（運転開始直後）から運転時
の回転機状態を図５、図７に示す。図５は起動時の回転
機の回転機状態であり、運転開始直後では、フレーム３
とキーバ２は、熱源がないため、冷却状態にあり、変位
はない。しかし、固定子鉄心１は、磁力線による鉄損や
渦電流損等により発熱する。このため、固定子鉄心１と
フレーム３の温度は、図６に示すように、固定子鉄心１
の温度Ｔ₁、フレーム３とキーバ２の温度Ｔ₂となって、
固定子鉄心１とフレーム３の温度上昇に時差を生ずる。
また、この固定子鉄心１は、回転周波数の２倍周波にて
径方向に振動しながら外径側にδ２だけ熱膨張し、キー
バ２に対し力Ｆ２が働く。しかし、前述のようにスリッ
ト１ｂのバネ効果により、スリット１ｂの幅が一点鎖線
から実線に示すようにさらに狭まるように縮み、熱伸び
δ２により固定子鉄心１に加わる応力を吸収する。そし
て、図５に示すように、フレーム３とキーバ２の温度Ｔ
₂は、固定子鉄心１の接触部において、熱伝達あるいは
回転電機内の空気等を媒体として、固定子鉄心１が発生
する熱Ｔ₁により上昇し、フレーム３が暖められ、図７
に示すように、フレーム３がδ３だけ膨張する。図７は
運転時の回転機状態であり、このフレーム３の膨張によ
り、固定子鉄心１のスリット１ｂの応力が緩和され、固
定子鉄心１とキーバ２は、適度な面圧を保ちながら、運
転される。このように、固定子鉄心１とキーバ２は回転
電機の起動時から接触しているので、固定子鉄心１とフ
レーム３の温度差がなくなるまでの時間が短くなり、固
定子鉄心１に応力が加わる時間を短かくすることができ
る。ここで、フレーム３は外気にさらされているので、
固定子鉄心１より温度が上昇することはない。また、回
転電機の停止時においても前記の熱膨張工程の逆とな
り、キーバ２と固定子鉄心１は常に接触している。以上
説明したように、本実施例では、固定子鉄心１とキーバ
２は回転電機の起動時から運転時及び停止時まで常時接
触しているので、固定子鉄心１とキーバ２による異音や
金属同志の擦れによる鉄粉の発生を防止でき、固定子鉄
心１の寿命を延ばすことができる。

【００１０】次に、図８は、本発明の他の実施例を示
し、前記一実施例のスリット１ｂを固定子鉄心１の積層
方向に揃える場合を示す。図示した矢印は、固定子鉄心
１の積層方向であり、スリット１ｂを揃えて固定子鉄心
１を積層する。本実施例では、スリット１ｂが固定子鉄
心１の積み作業時の目印となり、固定子鉄心１の積層作
業が効率よく進む利点があり、また、スリット１ｂを揃
えることにより、スリット１ｂに冷媒を移動させること
が可能となり、これにより、固定子鉄心１とキーバ２間
の冷却効果が向上し、固定子鉄心１の熱伸びを制限で
き、固定子鉄心１が受ける内部応力を低減できる。な
お、本発明の他の実施例として、スリット１ｂを固定子
鉄心１の積層方向に揃える場合を説明したが、スリット
１ｂを固定子鉄心１の積層方向でずらしてもよく、ま
た、スリットが有る固定子鉄心１と無い固定子鉄心１を
組み合わせて積層してもよい。この場合には、固定子鉄
心１のスリット１ｂ部の剛性を調整することができる利
点がある。

【００１１】図９は、本発明の実施例におけるスリット
の寸法決定図である。前述した実施例において、扇形の
薄板固定子鉄心１の厚さをＴｉとしたとき、スリット１
ｂの幅がＴｉより狭いときは、スリット１ｂの根元に集
中的に応力が加わり、クラック等が入りやすく、鉄心の
寿命を縮めてしまうため、好ましくない。また、固定子
鉄心１の熱伸びと締め代をスリット幅が吸収しきれなく
なり、スリットの両端同志が干渉する等の現象も懸念さ
れる。そこで、これらの不都合を解消するスリット１ｂ
の幅について、実験的に求めたところ、スリット１ｂの
幅は、扇形の薄板固定子鉄心１の厚さＴｉ以上であれば
問題がないことを確認した。理想的には、スリット１ｂ
の幅を扇形の薄板固定子鉄心１の厚さＴｉの５倍ないし
１０倍とすることである。

【００１２】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
回転電機の固定子鉄心は、キーバと固定子鉄心との間に
隙間が存在せず、かつ、起動時、通常運転時または停止
時に常にある一定以上の面圧を確保すると共に、熱応力
を緩和するので、電磁振動による異音の発生または鉄粉
の発生が低減でき、回転電機の固定子鉄心の寿命を長く
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例である。

【図２】本発明の一実施例の斜視図である。

【図３】本発明の一実施例の組立中のＰ詳細図である。

【図４】本発明の一実施例の他の締め代構造図である。

【図５】本発明の一実施例の起動時のＰ詳細図である。

【図６】本発明の一実施例の温度特性である。

【図７】本発明の一実施例の運転時のＰ詳細図である。

【図８】本発明の他の実施例である。

【図９】本発明の実施例におけるスリット寸法決定図で
ある。

【符号の説明】

１固定子鉄心１ａキーバ組合わせ溝１ｂスリット１ｃスロット２キーバ２ａキーバダブテール部３フレーム４固定子コイル

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】回転電機の固定子フレームに取り付けた
キーバと組み合わされる固定子鉄心であって、前記キー
バに対応する側の固定子鉄心にスリットを設けることを
特徴とする回転電機の固定子鉄心。
【請求項２】回転電機の固定子フレームに取り付けた
キーバと組み合わされる固定子鉄心であって、前記キー
バに対応する側の固定子鉄心にスリットを設け、キーバ
に組込む時に、締め代を持たせて組立て、キーバと固定
子鉄心の接合部の隙間を無くすることを特徴とする回転
電機の固定子鉄心。
【請求項３】請求項１または請求項２において、スリ
ットは、固定子鉄心１の半径方向に対し傾斜させること
を特徴とする回転電機の固定子鉄心。
【請求項４】請求項１、請求項２または請求項３にお
いて、スリットを固定子鉄心の積層方向に揃えることを
特徴とする回転電機の固定子鉄心。
【請求項５】請求項４において、固定子鉄心の積層方
向に揃えたスリットに冷媒を移動させることを特徴とす
る回転電機の固定子鉄心。
【請求項６】請求項１、請求項２または請求項３にお
いて、スリットを固定子鉄心の積層方向にずらせること
を特徴とする回転電機の固定子鉄心。
【請求項７】請求項１、請求項２または請求項３にお
いて、スリットが有る固定子鉄心と無い固定子鉄心を組
み合わせて積層することを特徴とする回転電機の固定子
鉄心。
【請求項８】請求項１から請求項６のいずれかにおい
て、スリットは、固定子鉄心の板厚と同じ幅以上のスリ
ット幅を有することを特徴とする回転電機の固定子鉄
心。