JPH08184683A - からくり時計等の駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構成でかつ故障を少なくしたからくり
時計等の飾り駆動装置を安価に提供する。 【構成】 ケース１内に取付け板５を介して、中空円筒
状の固定永久磁石６が取り付けてある。その中空部６ａ
内にこれとほぼ同一の長さかつ両端の磁極を異にする可
動永久磁石８が移動可能に嵌入してある。可動永久磁石
８の両端には駆動ロッド９が突出しており、この駆動ロ
ッドの各先端９ａには駆動永久磁石１０が固着してあ
る。各駆動永久磁石の前方には１対の駆動コイル４が設
けてある。駆動ロッド９の各突出端部９ａには可動部材
１１が取り付けてあり、取付け部材１２を介して、ケー
ス外に設けてある飾り２を移動可能にしてある。左右の
駆動コイル４を交互に反対の磁極になるように励磁する
と、駆動永久磁石１０との間に吸引・反発力が生じ、可
動部材１１は、固定永久磁石６と可動永久磁石８との間
の吸引力に抗して往復移動する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、からくり時計等の駆動
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】からくり時計等の飾りとして、人形や動
物等が揺動するようにしたものがあるが、このような揺
動運動をさせるための手段の第１例として、リンク機構
やカム機構を小型モータによって駆動するようにしたも
のがある。第２例として、飾りをばねに連結し、マグネ
ットによって飾りを動かすための運動エネルギーを補充
するようにしたものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記した第１例では、
駆動モータと多数のリンクの組み合わせとを必要とする
ため、構成が複雑化し、製造コスト上の問題があるとと
もに、相対運動をする摩擦部分が多くなるため、エネル
ギー効率が低く、かつ故障しやすい等メンテナンス上の
問題がある。また、第２例では、飾りの動力機構が複雑
かつばねの組立て工程が面倒であるほか、ばねの破損に
よる故障し易いなど、これにも製造コスト及びメンテナ
ンスの面からの問題がある。そこで本発明の目的は、簡
単な機構によってエネルギー効率が高くかつ故障のしに
くいからくり時計等の駆動装置を安価に提供することに
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のからくり時計等の駆動装置は以下の手段
を採用した。すなわち、ケース内に固定的に設けてある
中空筒状の固定永久磁石を設け、この固定永久磁石とほ
ぼ同一長であり、かつ当該固定永久磁石が両端の磁極が
互いに異極となるように固定永久磁石の中空部に可動永
久磁石を移動自在に位置させてある。この可動永久磁石
内に駆動ロッドを軸方向に貫通させ、かつその両端が当
該可動永久磁石の両端部から突出させてある。この駆動
ロッドの各突出端部にそれぞれ１対の駆動永久磁石を固
着し、これらの各駆動永久磁石と対向するように１対の
駆動コイルを設けてこの駆動コイルによって駆動ロッド
にエネルギ補充可能にしてある。飾りは、ケース外に駆
動ロッドと一体になって揺動可能に設けてある。

【０００５】

【作用】中空筒状の固定永久磁石と、この固定永久磁石
の中空部に移動自在に設けてあるこれとほぼ同一長さの
可動永久磁石との両端の磁極を互いに異極となるように
位置させてあるので、可動永久磁石に外力を加えて変位
せると、可動永久磁石は原位置に復帰するように移動
し、慣性力によって反対側に突出して単振動の減衰運動
をする。可動永久磁石と一体の駆動ロッドの各先端に固
着された駆動永久磁石は、１対の駆動コイルへの印加電
圧の極性の変化によって、吸収と反発を繰り返して駆動
ロッドにエネルギーを与える。駆動ロッドと一体運動す
る飾りは、磁石の吸収・反発力が交互に働くことによっ
て往復移動を繰り返す。

【０００６】

【実施例】以下本発明の一実施例について図面を参照し
て説明する。図１に示すように、本発明の飾り駆動装置
の要部はケース１内に収納されており、ケース１外に
は、サーフィンに興じる人形を模した飾り２が設けてあ
る。ケース１は、箱体の開口部を下に位置させた状態と
し、天板部１ａの中央部に飾り２を揺動させるための長
溝１ｂが設けてある。ケース１内の前後両壁部の高さの
ほぼ３分の１のところには、支持板３が固着してあり、
その前後両端部に形成された容器状の収納部３ａ，３ａ
にはそれぞれ駆動コイル４，４が対向するように設けて
ある。駆動コイル４，４のリード線は、図示しない回路
基板に接続されており、制御手段によってコイルを励磁
するための電圧を印加可能である。

【０００７】支持板３の中央部には、アルミニウム板か
らなる取付け板５が固着してあり、この取付け板によっ
て中空筒状の固定永久磁石６が固定されている。固定永
久磁石６の中空部６ａの開口面は、駆動コイル４，４と
対向するように設けられている。中空部６ａ内には、プ
ラスチック材等の非磁性体からなる薄肉円筒状のスリー
ブ７が嵌め込んである。

【０００８】このスリーブ７には、その長さが固定永久
磁石６とほぼ等しい可動永久磁石８が移動可能に嵌め込
んである。固定永久磁石６と可動永久磁石８の両端の磁
極は互いに異極となるような組み合わせにしてある。こ
のため、可動永久磁石８に外力を加え、両磁石６，８の
磁気吸引力に抗してこれをスリーブ内から所定位置まで
引き出しても、その外力を除去すれば各磁極の磁気的吸
引力によって直ちに原位置に復帰可能である。

【０００９】可動永久磁石８の中心部には、黄銅等の常
磁性体の丸棒からなる駆動ロッド９が貫通し、その両端
から所定長さに突出しており、その各突出端部９ａ，９
ａには、円柱状の駆動永久磁石１０，１０が固着させて
ある。各駆動永久磁石１０，１０には、駆動ロッドの往
復運動によって飾り２を往復運動させるための可動部材
１１の各端部が固着してある。可動部材１１は、合成樹
脂成形品からなり、断面形状を口の字状とし、下辺１１
ａは、支持板３に設けてある窓孔３ｂ，３ｂから貫通し
て支持板３の下方に位置するようにしてあり、図示しな
いガイドによって常に同一姿勢を取るようにしてある。

【００１０】可動部材１１の上辺１１ｂの中央部には、
取付け部材１２が固着してあり、この取付け部材に垂設
された支持部材１３は、ケース１の中央部に形成された
長溝１ｂからケース１外に突出している。支持部材１３
の先端部には、上述した飾り２が固着してあり、駆動ロ
ッド９と一体になって揺動可能である。

【００１１】可動部材１１の下辺１１ａの中央部には、
取付け部材１２、支持部材１３及び飾り２の重量に匹敵
する重さのバランス１４が固着してある。ケース１の開
口部１ｃは、ケース蓋１５で閉じてある。

【００１２】次に動作について説明する。駆動コイル
４，４に電圧を印加しない状態、すなわち中立状態にな
っているときには、固定永久磁石６と可動永久磁石８の
各両端部の磁極が異極となっているため、各両端部は互
いに吸引し合って、それぞれ最も接近した位置で静止し
ている。この状態で、駆動ロッド９を両磁石６，８の吸
引力に抗して引き出してから解放すると、ただちに吸引
力によって原位置に復帰する。駆動ロッド９が原位置に
復帰する際には、駆動永久磁石１０とともに駆動ロッド
９、可動部材１１、飾り２等を同時に移動させるが、可
動部材や飾り等の質量が大きいために、可動永久磁石８
は、慣性力によって固定永久磁石６の反対側に突出す
る。このままの状態に放置した場合には、駆動ロッド９
は、再び両磁石６，８の吸引力によって引き戻され、同
様に慣性力によって反対側に突出し、この往復運動を繰
り返す。そしてこの往復運動の振幅は、減衰されて最後
に両磁石６，８の両端部が最も接近した位置で停止す
る。

【００１３】上記した減衰振動に対するエネルギーの補
充は、各駆動コイル４，４に電圧を印加することによっ
て行われる。すなわち、各駆動コイル４，４に電圧を印
加してその各先端部を例えばＮ極に励磁すると、各駆動
永久磁石１０，１０の右側をＳ極に着磁してあれば、そ
れぞれ磁気作用によって右側の駆動コイル４と駆動永久
磁石１０との間には吸引力が生じ、左側の駆動永久磁石
の先端部はＳ極に着磁されているので駆動コイルと間に
は反発力が生じ、これらの両力が合成されて駆動ロッド
９等に運動のエネルギーが与えられる。このとき、駆動
ロッド９は右側一杯に移動し、ここで電圧の印加を停止
させると駆動コイルは固定永久磁石６と可動永久磁石８
との間の吸引力によって左方向に移動し、慣性力によっ
て反対側に突出する。

【００１４】次に駆動コイル４，４に電圧を印加して、
各両端部を例えばＳの磁極に磁化させる。これにより、
それぞれの駆動コイルと駆動永久磁石との間には、前と
は反対側の力が生じ、駆動ロッドを左側一杯に移動させ
る。再び駆動コイルへの印加電圧を０にすることによっ
て駆動ロッドを反対側に移動させ、この動作を繰り返さ
せることによって、ケース１外に設けられた飾り２は、
駆動コイルに電圧を印加している間中往復運動を続け、
からくり時計等の運動する飾りとしての機能を果たし、
からくり時計等の駆動装置として機能する。

【００１５】なお、本実施例では飾りが水平方向に移動
するようにしてあるが、これを上下方向に移動するよう
にすることも可能である。飾りの移動のストロークや周
期についても磁石の強さやコイル印加する電圧の調整等
によって調整可能である。

【００１６】

【発明の効果】本発明は、磁石の組み合わせによってか
らくり時計等の飾りを往復運動させるものであり、リン
クやカムなどの複雑な機構や駆動モータを備えていない
ので、極めて簡単な構成であるため製造コストの低減が
可能となり、故障が少なくなるためメンテナンスが容易
になるなどの効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の構成を示す要部の断面図で
ある。

【符号の説明】

１ ケース ２ 飾り ４ 駆動コイル ６ 固定永久磁石 ６ａ 中空部 ８ 可動永久磁石 ９ 駆動ロッド １０ 駆動永久磁石

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケース内に固定的に設けてある中空筒状
   の固定永久磁石と、 上記固定永久磁石とほぼ同一長でありかつ当該固定永久
   磁石の両端の磁極と互いに異極となるように当該固定永
   久磁石の中空部に移動自在に位置している可動永久磁石
   と、 上記可動永久磁石内を軸方向に貫通して固着してあり、
   かつその両端が当該可動永久磁石の両端部から突出して
   いる駆動ロッドと、 上記駆動ロッドの上記可動永久磁石からの各突出端部に
   それぞれ固着してある１対の駆動永久磁石と、 上記各駆動永久磁石と対向する１対の駆動コイルと、 上記ケース外に設けてあり、上記駆動ロッドと一体に揺
   動可能である飾りとを備えたことを特徴とするからくり
   時計等の駆動装置。