JPH08173987A - 高水深槽に適した曝気装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スクリュー下方に配設するドラフトチューブ
下端内に円錐形をした整流コーンを、外周部に逆錐形を
したガイドを配設し、これによりスクリューにて発生し
た水流及び曝気用の気泡を確実に槽底部及び槽内壁面部
まで導き、安定かつ効率的曝気撹拌を行う。 【構成】 処理槽１内に設けたドラフトチューブ２と、
このドラフトチューブ２の上方でこれと対設したスクリ
ュー式曝気機３と、このドラフトチューブ２下端部にス
クリューの回動にて発生する混気水流を槽底部まで導く
ための円錐形をした整流コーン４と、ドラフトチューブ
２の外周に設けられかつドラフトチューブ２下端より放
出された気泡をドラフトチューブ２外周面水域より遠く
へ導くための逆錐形をしたガイド５とより構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は高水深槽における曝気撹
拌をより効果的に、かつ均一に行う曝気装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】下水処理において、近年大都市近郊部に
おける処理場用の用地を確保することは困難となってい
る。このため多量の下水処理を狭い用地で行うため、高
水深槽を採用している。この高水深槽において下水（汚
水）を好気性発酵等により処理するに際してスクリュー
式曝気機を用いて曝気する場合、曝気機単独では高水深
槽全体に槽内上下方向の循環水流を発生させて撹拌する
ことは困難であるため、スクリュー式曝気機の下方位置
に槽底に達するドラフトチューブを同一鉛直線位置に配
設し、スクリュー式爆気機とドラフトチューブとを組み
合わせて使用し、これによりスクリューにて発生した混
気水流をドラフトチューブにて槽底まで導き、撹拌と曝
気が槽底に達するようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしドラフトチュー
ブを、スクリュー式曝気機のスクリューと同一線上に配
置し、かつドラフトチューブの上端部内に曝気装機のス
クリューを挿入し、ドラフトチューブ内の汚水を撹拌し
つつ曝気しているため、ドラフトチューブ入口部での流
速を気泡の上昇速度を上回るようにする必要がある。従
ってこの様に構成したドラフトチューブ下端の開口部
（吐出口）より水槽内底部内に水流と共に吐出される気
泡は、この気泡によるエアーリフト力が大きいため、図
２に示すようにドラフトチューブ下端の出口ですぐに上
昇流となってドラフトチューブの外周にそった水域を経
て槽水面部まで上昇する。このため混気水流が水槽底部
にまで到達しないばかりか、混気水流が槽内壁面近くま
でも到達せず、槽中央部のドラフトチューブ近くのみで
循環水流が発生し、槽内全体の撹拌が行えない。これを
改善するためドラフトチューブを長くして槽底近くまで
することも考えられるが、ドラフトチューブの長さにも
限界があり、許容以上の長さにすると、このドラフトチ
ューブ内でのエアーリフト力が作用し、気泡を流下させ
るに必要な流下速度が得られにくく、不安定な運転状態
となり、槽内全体に亘る効率的な撹拌及び曝気が行えな
い。また曝気動力を大とする必要が生じる。

【０００４】本発明はスクリュー下方に配設するドラフ
トチューブ下端内に円錐形をした整流コーンを、外周部
に逆錐形をしたガイドを配設し、これによりスクリュー
にて発生した水流及び曝気用の気泡を確実に槽底部及び
槽内壁面部まで導き、安定かつ効率的曝気撹拌を行うこ
とを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになしたもので、処理槽内に設けたドラフトチ
ューブと、このドラフトチューブの上方でこれと対設し
たスクリュー式曝気機と、このドラフトチューブ下端部
にスクリューの回動にて発生する混気水流を槽底部まで
導くための円錐形をした整流コーンと、ドラフトチュー
ブの外周に設けられかつドラフトチューブ下端より放出
された気泡をドラフトチューブ外周面水域より遠くへ導
くための円錐形、角錐形等を上下を逆にした逆円錐形を
有するガイドとより構成し、これにより高水深槽におい
ても、槽内壁面及び槽内底部まで曝気撹拌を確実に行う
ことを要旨とする。

【０００６】

【作 用】スクリュー式爆気機の下方に対設したドラフ
トチューブ下端に円錐形をした整流コーンを配設し、か
つドラフトチューブの外周で、整流コーンの上方位置に
逆円錐形をしたガイドを夫々配設しているので、スクリ
ューの回動にて発生するドラフトチューブ内での下向混
気水流はそのエネルギーロスを可及的に小とすることが
できると共に、このドラフトチューブ下端より吐出され
た混気水流は整流コーンの外周面に沿って流下すると
き、この混気水流は整流コーンにてドラフトチューブ下
端の吐出口面積をリング状に小面積としているため、高
速となる。このため混気下向水流は高速でドラフトチュ
ーブより吐出されるので、槽底部まで確実にに到達し、
曝気撹拌は高水深槽の槽底まで行えるものとなる。

【０００７】

【実施例】以下本発明の高水深槽に適した曝気装置を図
面に示す実施例にもとづいて説明する。図において１は
下水又は汚水を好気性処理を行う処理槽で、この処理槽
１は数ｍあるいはそれ以上の水深を有し、かつこの処理
槽１の内部に予め定めた所要の径と長さとを備えたドラ
フトチューブ２をほぼ垂直になるように配設し、ドラフ
トチューブ２の下端は槽底に向かって開口した吐出口２
ｂとする。このドラフトチューブ２の上端開口面２ａは
通常の処理水面ＷＬより予め定めた深さの水中に位置す
るようにして設けられる。

【０００８】またドラフトチューブ２の下端吐出口には
円錐形をした整流コーン４を配設する。この整流コーン
４は所要の角度をもった円錐形をしており、尖頭を上に
なるようドラフトチューブ２の吐出口内に挿入するかも
しくは図示のように対峙させ、整流コーンの下部はドラ
フトチューブ径より大となるようにし、かつドラフトチ
ューブ下端外周面より外方に突出させるようにして槽底
に固定される。そしてこのドラフトチューブ下端周面と
整流コーン４との間にはその周回方向に図示のように隙
間を形成する。このようにしてドラフトチューブ出口部
における混気水流が整流コーンの周面に導かれて槽底部
までスムーズに導かれるようにする。なお、この整流コ
ーン４は円錐形の他に角錐形でもよい。

【０００９】図中３はスクリュー式曝気機で、この曝気
機３は処理槽上部に設けた架台等５に固定され、スクリ
ュー軸３１を垂直に水面下へ突出させ、スクリュー軸下
端に撹拌曝気用のスクリュー３２を取り付ける。このス
クリュー式の曝気機３はモータに取り付けた中空状のス
クリュー軸下端にスクリュー３２を取り付けて成り、モ
ータの駆動にてスクリューを回動させて、スクリュー先
端水域の水を撹拌押進させると共にスクリュー先端水域
に負圧を発生させ、この負圧を利用して中空状のスクリ
ュー軸上端の吸気口より大気を吸引し、スクリュー下端
水域へ吐出し水と混合撹拌するようにしたものである。

【００１０】そしてこのスクリュー３２の先端面は図１
に示すように、ドラフトチューブ２の上端開口面の水平
線とほぼ一致するようにしてドラフトチューブ２、曝気
機３を相対位置関係を保持して配置する。勿論スクリュ
ーの長手軸心とドラフトチューブ軸心とを一致すなわち
ドラフトチューブの中心にスクリューを一致させるもの
である。

【００１１】さらにドラフトチューブ２の下部外周には
逆円錐形、ロート形（逆にして傘を拡げた形状）、逆角
錐形等の形状をしたガイド５を設ける。このガイド５は
ドラフトチューブ下端の吐出口２ｂより吐出された混気
水流中の気泡が水流の流速に抗して浮上する際、ドラフ
トチューブの外周水域より外方の、望ましくは槽内壁面
部水域まで導いた後水面に向かって浮上するようになす
ものである。従ってこのガイド５は気泡の真直上方への
浮上を阻止し、ドラフトチューブより遠くの水域へ導く
ようにして槽内径との関係とによりその外径を定めると
共に、その傾斜角も浮上するがこのガイドに導かれて浮
上しつつドラフトチューブ外方へ移送されるようにして
定めるものである。

【００１２】ガイド５の中央には透孔５ａを形成し、こ
の透孔５ａ内にドラフトチューブ２か挿通し、かつその
透孔とドラフトチューブ間の隙間よりガイド上面に沈降
した固形分が槽底へ自然滑落するようにする。

【００１３】またガイド５は図示の実施例では整流コー
ン４に突設した複数本の支柱６にてドラフトチューブと
ともに支持されているが、他の支持方法でも可能であ
る。

【００１４】上述のように構成する装置において曝気機
３を駆動すると、スクリューの回動にてスクリュー下流
域の水は撹拌されドラフトチューブ内には下方向への水
流が発生し、ドラフトチューブ内を流下すると共に、ド
ラフトチューブ上方水域から吸水してドラフトチューブ
内へ送り込まれる。この時、スクリュー下端水域の負圧
にて大気が吸入され、微細気泡となって混入され、この
混気水流はドラフトチューブ内を流下して、ドラフトチ
ューブ下端吐出口２ｂより吐出されると次に円錐形をし
た整流コーン４の外周面に沿って斜下方向となりさらに
流下し、槽内底部層へ達するものとなる。

【００１５】しかしこの流下水流内の気泡はその粒径に
よって浮力が異なるが、微細気泡は浮力も小さく流下水
流に乗って槽底に達することができるが、この微細気泡
が流下時に互いに結合して中程度若しくは大きな粒径の
気泡になると浮力も大きくなる。この流下水流速に抗し
て浮上する比較的大きな気泡はドラフトチューブ近くの
水域で直上方向へ浮上するものとなる。この浮上してく
る気泡は逆円錐形をしたガイド５によりその浮力が阻止
され、浮上速度が遅らされると共に、さらにこの気泡は
ガイド５の傾斜に沿ってドラフトチューブ外方へ移動さ
れてガイドの外周端縁より放出されて水中を直上方向へ
浮上するものとなる。これにより気泡の水中での滞留時
間を長くすることができる。

【００１６】このようにしてドラフトチューブ下端より
吐出された混気水流はこの水流に乗って槽底部へ達し、
大きな気泡が水流に抗して浮上しても、ドラフトチュー
ブ外周部に設けた逆錐形のガイド５にてドラフトチュー
ブ外周部より遠くの槽内へ導かれて槽内壁面部の水域内
を上昇し、ドラフトチューブ出口部でのエアーリフト力
を抑えることができると共に、これを連続的に行うこと
により槽内にはドラフトチューブ内を流下し、ドラフト
チューブ外周より離れた水域部で上昇流となる槽内全体
においての循環水流が生じて撹拌できる。

【００１７】そしてドラフトチューブ２の上端の吸込口
２ａより水を吸い込む際、スクリューの特性よりしてス
クリュー軸の長手軸心より吸い込み、スクリュー外周部
水域からの吸い込みはない。しかもこのスクリュー３２
は水面ＷＬより予め定めた水深位置に設定しているた
め、ドラフトチューブ外周部の水面または水面近傍に浮
遊する気泡はドラフトチューブ内へ吸い込まれることが
ない。このためドラフトチューブ内のスクリュー位置に
は気液密度の相違が生じないので、スクリュー推進力は
安定し、安定した運転が行われるものである。

【００１８】

【発明の効果】本発明の高水深槽に適した曝気装置は、
スクリュー式爆気機と対設して処理槽内に設けたドラフ
トチューブ下端に円錐形をした整流コーンを、また外周
部には逆円錐形をしたガイドを設置しているため、スク
リューにて発生した混気水流はドラフトチューブ内を流
下し、ドラフトチューブ下端吐出部で整流コーンに導か
れて混気水流を槽底部にまで導くことができると共に、
水流にこうして浮上する気泡も逆錐形のガイドにて直上
方向への浮上が阻止され槽内壁面方向へ導かれるので気
泡の浮上時間、滞留時間を長くしているので酸素溶解効
率が向上し、スクリューの撹拌力を阻害することなく撹
拌流を助長して撹拌、曝気効率を向上できる利点があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の高水深槽に適した曝気装置の一実施例
を示す断面図である。

【図２】公知例の断面図である。

【符号の説明】

１ 処理槽 ２ ドラフトチューブ ２ａ 吸込口 ２ｂ 吐出口 ３ 曝気機 ３１ スクリュー軸 ３２ スクリュー ４ 整流コーン ５ ガイド

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 処理槽内に設けたドラフトチューブと、
   このドラフトチューブの上方でこれと対設したスクリュ
   ー式曝気機と、このドラフトチューブ下端部にスクリュ
   ーの回動にて発生する混気水流を槽底部まで導くための
   円錐形をした整流コーンと、ドラフトチューブの外周に
   設けられかつドラフトチューブ下端より放出された気泡
   をドラフトチューブ外周面水域より遠くへ導くための逆
   錐形をしたガイドとより構成することを特徴とする深槽
   に適した曝気装置。