JPS6232998B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、曝気槽に設置して、汚水の浄化に用
いる曝気装置に関する。 従来、かかる曝気装置としては、水中に圧縮
空気を散気する形式のもの、水表面を機械的に
撹拌する形式のもの、水中に機械的な手段で水
の流れを作るとともに圧縮空気を供給する形式の
ものが知られている。最近は省エネルギーを行う
ため、の形式ものにおいて、水中に流れを作る
手段として大容量、低揚程の軸流ポンプを使用し
た曝気装置が多く用いられている。 この種の曝気装置を第１図に示す。水中モータ
１の回転軸には羽根車２が回転自在に取付けられ
ており、水中モータ１に固定したケーシング３
は、羽根車下方の吸込口４と羽根車上方でモータ
軸線のほぼ直角方向の全周にわたつて開口した吐
出し口５を備えている。羽根車上流側もしくは下
流側には散気口６，７が設けられており、気体導
管８を介して図示されていない気体源に接続さ
れ、酸素含有気体が供給される。かかる曝気装置
が曝気槽に設置されている。 したがつて、水中モータ１によつて駆動される
羽根車２の回転により吸込口４から曝気槽内の処
理流が吸込まれ、散気口６もしくは散気口７から
供給される酸素含有気体と混合撹拌され、気液混
相流となつて吐出し口５から全周にわたつて水平
方向に吐出される。 しかし、かかる曝気装置にあつては、その吐出
し口から吐出された気液混相流は、気泡の浮力に
より上昇流に変わり、その後曝気装置の上方に集
合して水面に達する流れを形成する。この結果、
曝気装置上部とその周囲には見かけ密度の大きな
差を生じ、曝気装置上部を上昇し、その周囲を下
降する単純で規模の大きい密度流が形成される。
このため、気泡はそれ自身の浮力による上昇速度
に密度流による上昇速度が加わるため、速やかに
水面に達し、気泡の滞留時間は著しく減少する。
また気泡が狭い領域へ集中するため、気泡の合一
が多く気泡径が大きくなり、これも気泡の滞留時
間を減少させる。これらの原因により、酸素利用
効率（送り込んだ気体中に含まれる酸素に対する
溶け込んだ酸素の割合）が低下する欠点があつ
た。 また、吐出し流れは曝気装置の吐出し口から放
射状に全方向に一様に吐出されるため、吐出され
た後の流速は吐出し口からの距離のほぼ二乗に反
比例して減少し、ために撹拌および酸素溶解能力
が減少する欠点があつた。 例えば特開昭50―125967号公報および特開昭50
―126574号公報には、中心に羽根車を有し、ほぼ
水平方向に全周にわたつて気体と液体との混相流
を吐出する形式の曝気装置が開示されている。し
かしながら、かかる公知の技術では羽根車の半径
方向外方に放射状に板状の複数個の案内羽根を設
けてあるので、羽根車を出た流れは板状の案内羽
根と衝突し、固形物および気泡が分離され、羽根
車の半径方向外方の全周にわたつて一様な流れに
なつて吐出されるようになつている。そのために
実質的に第１図に関して説明した公知技術と流れ
の態様が同じであり、したがつて同様な欠点を有
する。 したがつて本発明の目的は、気泡の滞留時間を
長くでき、かつ撹拌および酸素溶解能力を向上で
きる曝気装置を提供するにある。 本発明によれば、羽根車を有し、ケーシング内
で気液混合した後、ほぼ水平方向の全周にわたつ
て気体と液体の混相流を吐出する形式の曝気装置
において、その吐出し部の一部を塞いで、上記混
相流を複数個の吐出し流れに分割する障壁を備え
ている。 したがつて羽根車からの混相流は障壁によつて
一部が塞がれているので、吐出し流は部分的に阻
止される。そのために羽根車によつて加圧された
混相流は障壁のない所から、ジエツト状になつて
各ジエツトの間の死水域の液を伴いながら、比較
的に早い速度で吐出されるので、水平方向に遠方
まで到達する。その結果、水平方向の混合作用が
良好に行われ、気泡の広がる範囲を拡大できる。
さらに気泡が集中しないので、気泡の上昇速度が
おそくなり滞留時間が長くなり酸素利用効率が向
上する。 本発明の実施に際して障壁は、吐出し部と一体
に設けてもよく、またカバーに設けてもよく、或
いは曝気槽の底面に設けてもよい。 この障壁は水平方向の全周の10〜50％が好まし
い。 以下、第２図ないし第１１図を参照し本発明の
実施例を説明する。 第２図および第３図は本発明の第１実施例を示
し、後述の点以外は第１図に示すような曝気装置
と同様の構造のものであり、曝気槽の底面に脚９
により設置されている。曝気装置ケーシング３の
吐出し口５に障壁１０が一体に設けられており、
この障壁１０により吐出流の吐出を阻止してい
る。障壁１０の数は適宜選定でき、その際、中心
振り分けに設けることは、曝気槽内を均一に混合
する点で有効である。また、障壁１０の曝気装置
中心から見た視角θの合計が全周の10〜50％が望
ましい。第９図に障壁１０の割合を変えた時の酸
素利用効率の変化を示し、障壁１０が10〜50％の
範囲で高い酸素利用効率が維持されることがわか
る。 このように、吐出し口５に障壁１０を設け、吐
出流の無い領域を形成したことにより、吐出され
た流れは障壁を設けない従来の場合より減速が大
幅に小さくなつて、水平方向に遠方まで到達し、
この結果、水平方向の混合が良くなり、気泡の広
がる範囲が拡大する。このため、曝気槽の小さい
領域に気泡が集中することがなくなつて、単純で
規模の大きい密度流の形成が防止されることによ
り、気泡の上昇速度が密度流により加速されない
ため、気泡の滞留時間が長くなり、また気泡の合
一が少なくなり、酸素利用効率が向上する。 第４図ないし第６図は本発明の第２実施例を示
し、前記実施例では障壁は吐出し部に一体に設け
られていたが、この実施例では、曝気装置に着脱
自在に装着されるカバーに吐出し部から吐出する
気液混相流を複数個の吐出し流れに分割する障壁
が設けられている。すなわち、第４図において１
１は曝気装置に着脱自在に装着されるカバーで、
平板１２とそれから垂下する障壁１０ａとからな
つている。このカバー１１を第５図に示すよう
に、曝気装置上に装着することにより、障壁１０
ａが吐出し口５から吐出する気液混合流を複数個
の吐出し流れに分割する。また障壁を第６図に示
すように、中心部に向つて彎曲させた障壁１０ｂ
とすることにより、ガイド板として作用し、吐出
し流れを滑らかに分割することができる。このよ
うに障壁を彎曲させることは、前述の第１実施例
のものにおいても勿論有効である。 第７図は本発明の第３の実施例を示し、曝気装
置が設置される曝気槽底面に障壁１０ｃを設けた
ものである。障壁１０ｃは曝気装置を設置するた
めの案内の役目を果す。また、水流が上から下に
流れる下吐出し形式の曝気装置の場合には、第８
図に第４実施例として示すような、曝気槽の底面
に障壁１０ｄを設ければ良い。 周囲８ｍ×８ｍ、水深５ｍの水槽で次表に示す
条件下で実験を行い、次表に示す結果を得た。

【表】 この実験結果から、本発明による場合は従来の
吐出し部に障壁を設けない場合に比べて、総括物
質移動容量係数Kcaも大きく、酸素利用効率が高
いことが明らかとなつた。 以上説明したように本発明は、簡単な構造であ
りながら、次のような優れた作用効果を奏するも
のである。 酸素利用効率が大幅に向上する。 エネルギー消費が大幅に減少する。 気泡を曝気槽の広い領域に拡散できる。 曝気槽全体を平均的な混合強度で撹拌でき
る。 デツトスペースが少なくなる。 なお、以上は主として、水流が下から上に流れ
る上吐出し形式の曝気装置について述べたが、水
流が上から下に流れる下吐出し形式の曝気装置に
も勿論実施できる。その一例が１０図および第１
１図に示されている。 第１０図および第１１図に示す第５実施例は、
第８図に示すような下吐出し形式の具体例であ
る。すなわち吐出し口５近くに流れに向つて流線
形状をした障壁１０ｃがケーシング３と一体に設
けられており、この障壁１０ｃによつてなめらか
に流れを分割することができる。また、ポンプは
軸流ポンプに限らず、斜流、あるいは渦巻ポンプ
であつてもよく、ポンプを駆動するモータは水中
モータに限らず、例えば槽外にモータを設置し、
ポンプを駆動するよにしてもよい。さらに障壁の
他に、吐出し部に吐出し流れの幅にほぼ一致する
平面状の案内板を設け、吐出された流れをできる
だけ減速させずに遠くまで到達させることは、酸
素利用効率の向上を計る上で有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明が実施される曝気装置の一例を
示す縦断面図である。第２図および第３図は本発
明の第１実施例を示し、第２図は曝気装置の斜視
図、第３図は横断面図である。第４図ないし第６
図は本発明の第２実施例を示し、第４図は障壁を
備えたカバーの斜視図、第５図はカバーを装着し
た曝気装置の斜視図、第６図は障壁を備えたカバ
ーの変形例の斜視図である。第７図および第８図
はそれぞれ本発明の第３および第４実施例を示す
曝気装置の斜視図である。第９図は障壁の割合と
酸素利用効率との関係を示すグラフである。第１
０図は本発明の第５実施例のケーシングの平面
図、第１１図は第１０図の断面図である。 １…水中モータ、２…羽根車、３…ケーシン
グ、４…吸込口、５…吐出し口、６，７…散気
口、８…気体導管、９…脚、１０，１０ａ，１０
ｂ，１０ｃ，１０ｄ…障壁、１１…カバー、１２
…平板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 羽根車を有し、ケーシング内で気液混合した
   後、ほぼ水平方向の全周にわたつて気体と液体の
   混相流を吐出する形式の曝気装置において、その
   吐出し部の一部を塞いで、上記混相流を複数個の
   吐出し流れに分割する障壁を備えたことを特徴と
   する曝気装置。 ２ 吐出し部から吐出される気液混相流を複数個
   の吐出し流れに分割する障壁を、吐出し部にそれ
   と一体に設けてなることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項に記載の曝気装置。 ３ 曝気装置に着脱自在に装着されるカバーに、
   吐出し部から吐出される気液混相流を複数個の吐
   出し流れに分割する障壁を設けてなることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載の曝気装置。 ４ 曝気装置が設置される曝気槽の底面に、吐出
   し部から吐出される気液混相流を複数個の吐出し
   流れに分割する障壁を設けてなることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の曝気装置。