JPH08165544A - 熱間圧延用ロール - Google Patents

熱間圧延用ロール

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JPH08165544A
JPH08165544A JP30930394A JP30930394A JPH08165544A JP H08165544 A JPH08165544 A JP H08165544A JP 30930394 A JP30930394 A JP 30930394A JP 30930394 A JP30930394 A JP 30930394A JP H08165544 A JPH08165544 A JP H08165544A
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JP
Japan
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roll
type
carbides
rolling
hot rolling
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Pending
Application number
JP30930394A
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English (en)
Inventor
Kunio Goto
邦夫 後藤
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Filing date
Publication date
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Priority to JP30930394A priority Critical patent/JPH08165544A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐摩耗性、潤滑性に優れた熱間圧延用ロールを
提供する。 【構成】少なくとも外殻層が、C:1.5〜3.5 %、Si:1.0
〜4.0 %、Mn:0.2〜2.0 %、Cr:2.0〜8.0 %、Ni:0.1〜
3.0 %、Mo:1.0〜8.0 %、V:1.0〜8.0 %およびW:2.0
〜10.0%を含有し、Coが0〜5.0 %、Cuが0〜2.0 %、
Tiが0〜0.5%で、残部は実質的にFeからなり、かつ外
殻層基地中に面積率で粒径40μm以上のM2C 型、M6C 型
炭化物を5〜25%、MC型炭化物を5〜20%および黒鉛を
0.5〜5%含む熱間圧延用ロール。 【効果】このロールは優れた耐摩耗性と潤滑性を有して
おり、圧延製品の品質向上や圧延作業の高生産性を実現
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼材の熱間圧延用ロー
ル、詳しくは耐摩耗性および潤滑性に優れた熱間圧延用
ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼材の熱間圧延に使用されるロー
ルは、少なくとも圧延材に接する外殻層に、下記に示す
高クロム鋳鉄や高合金グレン鋳鉄などの耐摩耗合金鋳鉄
が使用されている。
【0003】高クロム鋳鉄は、C:2.3〜2.9 %、Si:0.4
〜0.9 %、Mn:0.8〜1.2 %、Ni:0.5〜1.5 %、Cr: 15〜
20%、Mo:0.7〜2.0 %を含有し、残部は実質的にFeから
なり、M7C3型複炭化物を面積率で20〜35%含むものであ
る。また、高合金グレン鋳鉄は、C:3.2〜3.4 %、Si:
0.7〜0.9 %、Mn:0.8〜1.2 %、Ni:4.2〜4.6 %、Cr:1.
5〜1.9 %、Mo:0.3〜0.6 %を含有し、残部は実質的にF
eからなり、M3C 型複炭化物を面積率で25〜40%含むも
のである。
【0004】一方、耐摩耗性に優れた熱間圧延用ロール
材として、特開平2−240634号公報、特開平2−25205
号公報、特開平2−88745 号公報、特開平3−126838号
公報、特開平3−219047号公報、特開平4−141553号公
報、特開平5−148584号公報および特開平5−271875号
公報等に開示されているような高炭素系高速度鋼(以
下、このような高炭素系高速度鋼を単にハイス、これで
製作された熱間圧延用ロールを熱延用ハイスロールとい
う)が用いられている。
【0005】ハイスは、金属組織中に、Vを主体とする
MC型高硬度炭化物とM2C 型、M6C 型等の複炭化物と高温
軟化抵抗の高い(Mo、W、Co等が基地中に固溶もしくは
微細炭化物として析出することによる)基地とを有する
ため、これを熱間圧延用ロール材として用いた場合には
特に優れた熱間耐摩耗性を発揮するといわれている。
【0006】しかし、熱延用ハイスロールによる熱間圧
延の際には、同じ圧下量でも高クロム鋳鉄ロールなどに
比べ圧延荷重が高くなる現象が見られる。圧延荷重の増
大は圧延機の能力を実質的に低下させてしまう。また、
ハイスロールによる熱間圧延では被圧延材表面に酸化ス
ケールをかみ込んだ疵(かみ込みスケール疵)を発生し
やすく圧延製品の品質を低下させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱延
用ハイスロールに発生する上記問題点を解決し、熱間圧
延における高生産性、圧延製品の高品質化を実現する耐
摩耗性、潤滑性に優れた熱間圧延用ロールを提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、熱延用ハイ
スロールに発生する前記問題点を解決するため、圧延使
用後の熱延用ハイスロールと高クロム鋳鉄ロールの表面
およびその表層部断面を、3次元の表面粗さ測定とEP
MAによる分析とによって詳細に観察し、次の知見を得
た。
【0009】熱延用ハイスロールの圧延使用後の表面に
は、粒径が40μm未満の微細粒状のVC(バナジウム炭化
物)を主体としたMC型高硬度炭化物による釣鐘状の微細
突起物(凸部)が多数存在する。しかし、高クロム鋳鉄
ロールの表面には、上記のような微細突起物はなく、比
較的大きなCr7C3 (クロム炭化物)を主体としたM7C3
(M はCr、Feからなる。)複炭化物が平坦な丘状に残
り、柔らかい基地部が谷状に摩耗する形態を呈してい
る。また、熱延用ハイスロール表面の微細突起物の数が
多くなるほど圧延時の摩擦力が高くなり、圧延荷重が上
昇し、スケール疵の発生が多くなる。
【0010】本発明者は、熱延用ハイスロールの使用時
に発生する圧延荷重の上昇現象を小さくし、また、潤滑
性を改善し、更にスケール疵を防止するためには、微細
突起物の数を少なくすること、比較的大きな炭化物を析
出させ平坦な凹凸にすること、およびロールに潤滑作用
を付与することが有効であると予想した。そして微細突
起物の数を減らし耐摩耗性を確保するためには、ロール
の表面に凸部を形成して楔効果(摩擦係数を高くして、
圧延荷重を上昇させる作用)を起こすMC型炭化物(VC炭
化物が主体)を減らすこと、粒径40μm以上の M2C(Mは
W、Moからなる) 、 M6C〔Fe3,4(W,Mo)2,3C 〕型複炭化
物を増すこと、さらに潤滑性を付与するには黒鉛を晶出
させればよいことを確認し、本発明を完成した。
【0011】本発明の要旨は、次の熱間圧延用ロールに
ある。
【0012】少なくとも外殻層が、重量%で、C:1.5〜
3.5 %、Si:1.0〜4.0 %、Mn:0.2〜2.0 %、Cr:2.0〜8.
0 %、Ni:0.1〜3.0 %、Mo:1.0〜8.0 %、V:1.0〜8.0
%およびW:2.0〜10.0%を含有し、Coが0〜5.0 %、Cu
が0〜2.0 %、Tiが0〜0.5%で、残部は実質的にFeか
らなり、かつ外殻層の組織中に面積率で、粒径が40μm
以上のM2C 型とM6C 型の炭化物を合計で5〜25%、MC型
の炭化物を5〜20%および黒鉛を 0.5〜5%を含むこと
を特徴とする熱間圧延用ロール。
【0013】ここで、Coが0〜5.0 %、Cuが0〜2.0
%、Tiが0〜0.5 %とは、Co、CuおよびTiが無添加でも
よく、添加する場合はその含有量の上限をそれぞれ5.0
%、2.0 %、0.5 %とすることを意味する。
【0014】
【作用】本発明の熱間圧延用ロールにおいて、少なくと
も外殻層の化学組成と炭化物の面積率を前述のように限
定した理由を説明する。成分組成の%は重量%を意味す
る。
【0015】C:1.5〜3.5 % Cは、Fe、Cr、Mo、W、VおよびNbと結合して高硬度の
炭化物(M7C3、MC、M2C 、M6C 等) を生成しロールの耐
摩耗性を高め、黒鉛を生成し潤滑性を高める。
【0016】C含有量が1.5 %未満では、炭化物の生成
量が不足して熱間での耐摩耗性が低下し、黒鉛の生成量
が不足して圧延時に摩擦力が大きくなる。一方、3.5 %
を超えると炭化物の生成量が増大し、靱性、耐熱亀裂性
が低下する。したがって、C含有量の範囲は 1.5〜3.5
%とした。
【0017】Si:1.0〜4.0 % Siは、本発明のロールにおいて黒鉛を晶出させるのに欠
かせない元素であり、また溶湯の脱酸と湯流れを向上さ
せる効果を有する。Si含有量が1.0 %未満では上記効果
が不足し、一方、4.0 %を超えるとロール自身の機械的
性質が劣化する。したがって、Si含有量の範囲は 1.0〜
4.0 %とした。なお、鋳込み直前に接種処理剤(たとえ
ばフェロシリコン)の一部として添加し、合計で前記成
分範囲に調整すると黒鉛晶出を促進する効果が得られ
る。
【0018】Mn:0.3〜2.0 % Mnは脱酸のために添加されるが、その含有量が0.3 %未
満では充分な脱酸効果が得られず、一方、2.0 %を超え
ると靱性が低下する。したがって、Mn含有量の範囲は
0.3〜2.0 %とした。
【0019】Cr:2.0〜8.0 % Crは基地中に固溶して基地を強化する。また、Cと結合
してM3C 、M23C6 型の複炭化物を形成する。しかし、Cr
含有量が 2.0%未満では基地強化の効果が不足し、一
方、8.0 %を超えると低硬度で、耐摩耗性、靱性を劣化
させるM23C6 やM3C 型複炭化物が過剰となり、本発明で
重要な役割をもつM2C 、M6C 型複炭化物の形成が阻害さ
れる。したがって、Cr含有量の範囲は 2.0〜8.0 %とし
た。
【0020】Ni:0.1〜3.0 % Niは基地組織の改善作用と黒鉛晶出に必要な元素であ
る。その含有量が0.1 %未満ではこれらの効果が不足
し、一方、3.0 %を超えると残留オーステナイトが増加
し、組織の安定性が低下し、耐摩耗性が劣化する。した
がって、Ni含有量の範囲は 0.1〜3.0 %とした。
【0021】Mo:1.0〜8.0 % Moは基地に固溶して高温軟化抵抗を改善するほか、Cと
結合して粒径40μm以上のM2C 型、M6C 型の粗大複炭化
物を形成してMC型炭化物による摩擦力の上昇を抑制する
作用がある。しかし、Mo含有量が1.0 %未満では粒径40
μm以上のM2C型、M6C 型複炭化物の分布する面積率が
低下し、これらの効果が少なくなる。また、8.0 %を超
えると靱性の低下を招く。したがって、Mo含有量の範囲
は 1.0〜8.0 %とした。
【0022】V:1.0〜8.0 % Vは、Cと結合してMC型の高硬度炭化物を形成して耐摩
耗性を高めるとともに、結晶粒を微細化して靱性を向上
させる。しかし、V含有量が1.0 %未満ではこれらの効
果が少ない。一方、8.0 %を超えるとVCの表面微細突起
による摩擦力の上昇作用(楔効果)が無視できなくな
る。したがって、V含有量の範囲は 1.0〜8.0 %とし
た。楔効果による圧延荷重上昇、およびスケール疵防止
の観点から、より好ましいのは 1.0〜6.0 %の範囲であ
る。
【0023】W:2.0〜10.0% Wは、Cと結合してMC、M6C 、M2C 型の微細な高硬度炭
化物を形成して耐摩耗性を高め、また基地に固溶して焼
戻し軟化抵抗や耐熱性を高める。またMoと同様に粒径40
μm以上のM2C 、M6C 型粗大複炭化物を形成してMC型炭
化物による摩擦上昇を抑制させる作用がある。しかし、
W含有量が 2.0%未満ではこれらの効果が少なく、一
方、10.0%を超えると粗大炭化物(200 μm以上)が増
加し靱性を低下させるほか、偏析を起こしやすくなる。
したがって、W含有量の範囲は 2.0〜10.0%とした。
【0024】Co:0〜5.0 % Coは、その大部分が基地に固溶して基地の硬度を高める
ほか、高温軟化抵抗を高め、耐摩耗性を改善する作用を
有するため、必要に応じて含有させる。含有させる場合
は、0.5 %以上とするのが望ましい。しかし、その含有
量が5.0 を超えると炭化物の偏析を助長して靱性を低下
させる。
【0025】Cu:0〜2.0 % Cuは、黒鉛の晶出を促進させる効果を有するため、必要
に応じて含有させる。
【0026】含有させる場合は、0.05%以上とするのが
望ましい。しかし、2.0 %を超えると機械的性質を低下
させる。
【0027】Ti:0〜0.5 % Tiは、Cuと同様に黒鉛の晶出を促進させる効果、鋳造組
織の改善効果および基地の強靱化効果を有するため、必
要に応じて含有させる。含有させる場合は、0.01%以上
とするのが望ましい。しかし、0.5 %を超えると機械的
性質および靱性を低下させる。
【0028】PおよびSは、不可避的に含有されるもの
であるが、機械的性質の劣化を招くのでこれらの含有量
は少ない方がよい。しかし、いずれも0.08%以下であれ
ばそれほどの悪影響を及ぼさないので、それ以下にする
のが好ましい。
【0029】本発明の熱間圧延用ロールの少なくとも外
殻層、すなわち、被圧延材と接触し圧延に使用される層
は、上記成分の他は実質的にFeからなるものである。
【0030】次に、外殻層中の粒径40μm以上のM2C 、
M6C 型およびMC型炭化物の面積率を前述のように限定し
た理由を述べる。
【0031】粒径40μm以上のM2C 型、M6C 型炭化物:
面積率で5〜25% M2C 型炭化物はW2C 、Mo2C、からなる六角形状の複炭化
物、M6C 型炭化物はW6C 、Mo6C、Fe6Cからなる面心立方
形状の複炭化物である。これらの炭化物はMC型炭化物よ
りも硬度は低く大きな粒として成長し、ロールの摩擦係
数を余り上昇させずに耐摩耗性を向上させるのに役立
つ。ロール表面にMC型炭化物よりも軟らかく大きな炭化
物(M2C 型、M6C 型複炭化物)が多数存在すると、丘状
の凹凸が形成されるのでMC型炭化物の微細な突起による
楔効果を軽減させ、圧延時の摩擦力の上昇を抑制する。
その量が面積率で5%未満では、MC型炭化物の楔効果を
十分抑制することができないほか、ロールの耐摩耗性が
不足する。一方、25%を超えると、ロールの靱性、耐熱
亀裂性、耐事故性(絞り込みなどの異常圧延の際の熱衝
撃に対する抵抗力)が劣化するほか、黒鉛が晶出しなく
なり潤滑性が劣化する。
【0032】これらの炭化物の粒径が、40μm未満では
上記MC型炭化物の楔効果を十分抑制することができな
い。一方、粒径が200 μmを超えると靱性、耐熱亀裂
性、耐事故性が劣化することがあり、粒径を200 μm以
下にすることが望ましい。したがって、粒径40μm以上
のM2C 型、M6C 型複炭化物の範囲は面積率で5〜25%と
した。
【0033】MC型炭化物:面積率で5〜20% MC型炭化物としてはVC、NbC 、WCなどが存在し、40μm
以下の粒径を有する微細粒状の炭化物である。これらの
炭化物は高硬度であり、ロールに優れた耐摩耗性を付与
する作用を有する。その量が面積率で5%未満では耐摩
耗性が不足する。一方、20%を超えるとM2C 型、M6C 型
複炭化物および黒鉛の存在の如何にかかわらずロール表
面に形成される微細突起物による圧延時の摩擦力の上昇
が顕著になり、圧延荷重が増加し、圧延材にはかみ込み
スケール疵が発生する。また、黒鉛の晶出が極めて少な
くなる。したがって、MC型炭化物の範囲は面積率で5〜
20%とした。また、摩擦軽減効果と黒鉛含有の観点か
ら、より好ましいのは5〜16%の範囲である。
【0034】なお、M2C 型、M6C 型複炭化物の合計面積
率がMC型炭化物の面積率よりも多いほうが好ましい。
【0035】M2C 型、M6C 型複炭化物とMC型炭化物の面
積率を上記の範囲に制御する方法は、鋳造条件としてロ
ール材料の鋳造時の凝固過程で冷却速度を遅くするか、
または熱処理条件として1000〜1250℃での焼入れ温度を
通常より50℃程度低くするなどがある。
【0036】黒鉛:面積率で 0.5〜5% 黒鉛はロールの圧延時の潤滑性、低摩擦化を図る目的で
含有させるが。従来、熱延ハイスのような高合金鋼にお
いては黒鉛を含有させることができないとされていた。
しかし、成分組成を特定し、凝固過程で冷却速度を段階
的に制御し、液相線温度から固相線温度に至る間の時間
を長くする(冷却速度を遅くする)ことによって黒鉛を
凝固組織中から晶出させることができる。黒鉛量が0.5
%未満では前述の効果が不足し、一方5%を超えると耐
摩耗性の劣化を招く。したがって、黒鉛量は 0.5〜5%
とした。なお、好ましい下限は1%である。
【0037】本発明の熱間圧延用ロールは、ロール全体
が前述の化学組成と炭化物の面積率を有する一体型のも
のであってもよく、あるいは直接被圧延材と接して圧延
加工を行う外殻層だけを上記組成のもので構成してもよ
い。後者の場合には、内層材としてダクタイル鋳鉄、普
通鋳鉄、黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、鍛鋼、鋳鋼等の強靱
材が使用される。なお、外殻層の厚さは、どのような厚
さのものでも鋳型の選定により製造可能であり、また外
殻層のみの熱処理も可能であるから、特に限定されな
い。
【0038】本発明の熱間圧延用ロール素材は、遠心力
鋳造法、特公昭44−4903号公報ほかに開示されている高
周波加熱を利用した連続肉盛方法、特開昭47−2851号公
報ほかに開示されている粉末冶金法を利用して熱間静水
圧により外殻層を成形する方法、特開昭57−2862号公報
に開示されているエレクトロスラグ溶解を利用した肉盛
方法などの複合ロール製造方法や静置鋳造、鍛造などの
一体ロール製造方法等によって製造することができる。
なお、このような鋳造方法の凝固過程で、冷却速度を段
階的に制御することによって液相線温度から固相線温度
に至る間の時間を長くする(冷却速度を遅くする)こと
によって黒鉛を凝固組織中から晶出させ易くすることが
できる。
【0039】さらに、このような方法で製造されたロー
ル素材に熱処理として焼入れ焼戻し処理が施される。す
なわち素材を1000〜1250℃に加熱して組織をオーステナ
イト化した後、500 ℃まで200(℃/時間) 未満の平均冷
却速度で焼入れすることにより、少なくとも外殻層の粒
径が40μm以上のM2C 型、M6C 型複炭化物を面積率で5
〜25%の範囲に存在させることができる。
【0040】焼入れ後、さらに 500〜600 ℃で焼戻し、
一次MC型炭化物に加えて二次MC型炭化物を積極的に析出
させることによって、MC型炭化物を面積率で5〜20%の
範囲にすることができる。
【0041】本発明の熱間圧延用ロールは、熱間仕上圧
延機のワークロールのほかに、ホットスキンパスミル用
ロール、条鋼圧延用ロール、各種製管用ロールなど、熱
間で使用されるあらゆるロールに適用することができ
る。
【0042】
【実施例】以下、本発明の熱間圧延用ロールを実施例に
基づいて説明する。
【0043】本発明例では、遠心力鋳造法により外殻
層、内層からなる複合ロール(胴部直径150 mm、胴長30
0 mm、全長510 mm)として成形し、内層材にはダクタイ
ル鋳鉄を使用した。従来例および比較例も同様に、上記
と同じ寸法の複合鋳造ロールとした。製作した圧延用ロ
ール外殻層部の化学組成を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】No.1〜8 はハイスで製作された本発明ロー
ル、No.9〜11は従来使用されているロールで、No.9とN
o.10 はハイスロール、No.11 は高クロム鋳鉄ロール、N
o.12〜18はハイスで製作された比較ロールである。熱延
用ハイスロール(No.1〜8 、No.9、10、No.12 〜18)
は、1050〜1150℃での焼入れと 500〜580 ℃で2回の焼
戻しを施し、表面硬度をショアー硬度(Hs)83〜85に調整
した。
【0046】炭化物量は、EPMA面分析と画像解析に
より炭化物形態( M2C 、M6C 、MC )別に面積率で算出し
た。また、黒鉛量は画像解析によって算出した。
【0047】これらのロールを、薄板の熱間圧延をシミ
ュレートすることができる熱間コイル圧延実験装置(4
段式圧延機、補強ロール胴径300 mm)のワークロールと
して組み込み、板厚1mm、板幅40mm、コイル長さ1000m
のJIS G 3141 で規定されたSPCCコイルを熱間
圧延(圧下率:40%、被加工材温度:1000℃、圧延速
度:200m/min 、合成エステル系潤滑剤をウォーターイ
ンジェクション方式によりワークロールに直接供給す
る)を行った。
【0048】圧延中の摩擦係数は、圧延理論式によって
算出し、圧延終了直前の値を表2に示した。
【0049】ロールの耐摩耗性の評価は、圧延後のロー
ルプロフィールから最大摩耗深さを測定し、下記式に示
す高クロム鋳鉄ロール(No.11) に対する逆倍率を求め、
表2に示した。
【0050】〔高クロム鋳鉄ロールの最大摩耗深さ〕/
〔各ロールの最大摩耗深さ〕 圧延材表面のかみ込みスケール疵は、コイルを巻き戻し
ながら目視で疵の有無を観察し、その結果を表2に示し
た。
【0051】
【表2】
【0052】本発明ロールのNo.1〜8 は、粒径40μm以
上のM2C 、M6C 型複炭化物が面積率で 5.2〜21.9%、MC
型炭化物が面積率で 5.5〜15.8%、黒鉛量が面積率で
0.5〜4.2 %の範囲にある。これによって摩擦係数が 0.
221〜0.262 の範囲にあり高クロム鋳鉄ロールのそれと
ほぼ等しく、圧延材にはかみ込みスケール疵の発生はな
いか、発生しても軽微な疵であり、良好である。また、
耐摩耗性は高クロム鋳鉄ロールに比べ 5.8〜8.1 倍の耐
摩耗性を示し、従来例の熱延用ハイスロール(No.9 およ
びNo.10)とほぼ同等であり良好である。
【0053】しかし、比較例のNo.12 は、Si,Ni 含有量
(0.7%、0.01%) が少ないため黒鉛の晶出がなく、摩擦
係数が0.285 と高くなり、圧延材には中程度の疵が発生
した。
【0054】No.13 は、W含有量が0.8 %と少なく粒径
40μm以上のM2C 型、M6C 型複炭化物が面積率で0.8 %
と少なく、摩擦係数が0.290 と高くなったので、圧延材
全面に疵が発生した。
【0055】No.14 は、Si,Ni 含有量(0.8%、0.01%)
が少なくV含有量が9.0 %と多いためMC型炭化物が面積
率で21.3%と多く黒鉛も晶出していないので、摩擦係数
が0.337 と高くなり圧延材全面に疵が発生した。
【0056】No.15 は、V含有量が0.8 %と少ないため
MC型炭化物が面積率で0.5 %と少なくなり、耐摩耗性が
高クロム鋳鉄の3.2 倍しかなくハイスロールとしては低
い。
【0057】No.16 は、W含有量が1.5 %と少なく粒径
40μm以上のM2C 型、M6C 型複炭化物およびMC型炭化物
が面積率で1.1 %および0.5 %と少なくなり、耐摩耗性
が0.8 倍となって高クロム鋳鉄よりも劣るものとなっ
た。
【0058】No.17 は、Si,Ni 含有量(0.7%、0.01%)
が少なくMo、Vの含有量がそれぞれ8.4 %、8.6 %と多
いため、粒径40μm以上のM2C 型、M6C 型複炭化物およ
びMC型炭化物が面積率で28.1%および18.3%といずれも
多く、黒鉛も晶出していないので、摩擦係数が0.343 と
高くなり圧延材全面に疵が発生した。
【0059】No.18 は、Cr含有量が9%と多く、Mo含有
量が0.9 %と少ないため、M2C 型、M6C 型複炭化物は全
て粒径40μm未満(面積率で 5.9%)となったので、摩
擦係数が0.298 と高く圧延材全面に疵が発生し、耐摩耗
性も3.8 倍となってハイスロールとしては低い。
【0060】従来例のロールNo.9は、Si,Ni,Wが少な
く、粒径40μm以上のM2C 、M6C 型複炭化物が面積率で
1.2 %と少なく黒鉛も晶出していないので、摩擦係数が
0.328と高くなり圧延材全面に疵が発生した。また、No.
10 は、Si,Ni が少なくVが8.5 %と多いため、粒径40
μm以上のM2C 、M6C 型複炭化物が面積率で2.1 %と少
なく、MC型炭化物が面積率で19.1%と多く、しかも黒鉛
も晶出していないので、摩擦係数が0.394 と高くなり圧
延材全面に疵が発生した。
【0061】No.11 は、従来使用されていた高クロム鋳
鉄ロールであり、圧延試験結果の評価基準とした。
【0062】
【発明の効果】本発明の熱間圧延用ロールは、優れた耐
摩耗性と潤滑性を有しているので、圧延時に圧延荷重の
上昇がなく、かみ込み疵の発生がないので、圧延製品の
品質向上および圧延作業の高生産性を実現することがで
きる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも外殻層が、重量%で、C:1.5〜
    3.5 %、Si:1.0〜4.0 %、Mn:0.2〜2.0 %、Cr:2.0〜8.
    0 %、Ni:0.1〜3.0 %、Mo:1.0〜8.0 %、V:1.0〜8.0
    %およびW:2.0〜10.0%を含有し、Coが0〜5.0 %、Cu
    が0〜2.0 %、Tiが0〜0.5%で、残部は実質的にFeか
    らなり、かつ外殻層の組織中に面積率で、粒径が40μm
    以上のM2C 型とM6C 型の炭化物を合計で5〜25%、MC型
    の炭化物を5〜20%および黒鉛を 0.5〜5%を含むこと
    を特徴とする熱間圧延用ロール。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009214122A (ja) * 2008-03-07 2009-09-24 Fujico Co Ltd 熱間圧延用複合ロール及びその製造方法
CN106048432A (zh) * 2016-07-16 2016-10-26 柳州科尔特锻造机械有限公司 一种高强合金钢处理工艺
CN106191690A (zh) * 2016-07-22 2016-12-07 柳州科尔特锻造机械有限公司 一种高强度合金钢热处理工艺

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