JPH08161942A

JPH08161942A - 難燃ケーブル

Info

Publication number: JPH08161942A
Application number: JP6301215A
Authority: JP
Inventors: Hirotaka Sawada; 広隆沢田
Original assignee: Fujikura Ltd
Current assignee: Fujikura Ltd
Priority date: 1994-12-05
Filing date: 1994-12-05
Publication date: 1996-06-21

Abstract

(57)【要約】【目的】高い難燃性、耐熱性を有し、可撓性に富み、
口出し作業性が良好な難燃ケーブルを得る。【構成】ＥＶＡ１０〜９０重量部、ＥＥＡ９０〜１０
重量部、金属水和物１００〜２００重量部、アクリル系
官能性モノマー５重量部以下からなる組成物を被覆材料
として被覆し、かつこれを電子線照射架橋する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は高い難燃性、耐熱性を
有し、可撓性に優れ、軽量で口出し作業の良い難燃ケー
ブルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の難燃ケーブルのシースな
どの被覆材料に用いられる難燃性樹脂組成物として、燃
焼時の有毒ガスの発生を抑制し、発煙量を削減するため
に、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体（以
下、ＥＶＡと記す。）、エチレンエチルアクリレート共
重合体（以下、ＥＥＡと記す。）などのポリオレフィン
系ポリマーに、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ムなどの金属水和物を多量に配合したものが知られてい
る。

【０００３】このような難燃性樹脂組成物は、図２に示
すように主にケーブルのシース１などの被覆材料として
使用され、難燃性が得られるようになっている。一方、
シース１などの被覆材料にこの種の難燃性樹脂組成物を
用いると同時に、介在２、押さえ巻きテープ３などのケ
ーブル構成材料にも難燃性材料からなるものを使用し、
これらの組み合わせによってケーブル全体の難燃性を高
めることも行われている。なお、図２中符号４は絶縁
体、５は導体である。

【０００４】しかしながら、上述の組成の難燃性樹脂組
成物にあっては、高い難燃性を得ようとすれば、多量の
金属水和物を配合する必要がある。例えば酸素指数が３
５以上のものを得ようとすれば、組成物のベースポリマ
ー１００重量部に対して金属水和物を１５０重量部程度
配合する必要があった。

【０００５】このような多量の金属水和物の添加は、ケ
ーブルの被覆材料としての機械的特性の低下を招くなど
の問題があった。このため、金属水和物の添加量を低く
した樹脂組成物により被覆材料を構成し、上述のように
介在２、押さえ巻きテープ３などのケーブル構成材料に
難燃性のものを使用し、ケーブル全体としての難燃性を
高める方法が採用されている。

【０００６】しかし、難燃性材料からなるケーブル構成
材料を用いると、ケーブルの可撓性が損なわれること、
ケーブル重量が増大すること、導体５の口出し作業性が
低下することなどの不都合がある。

【０００７】かかる不都合を解消するには、介在２、押
さえ巻きテープ３などのケーブル構成材料に難燃性材料
からなるものを使用しなくともケーブル全体としての難
燃性が高くなるようにすればよい。このためには、シー
ス１などの被覆材料に用いる樹脂組成物が高い難燃性と
優れた機械的特性を併せ持つものであればよく、そのた
めには金属水和物を多量に添加しても機械的特性の低下
のない難燃性樹脂組成物が必要となる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】よって、この発明にお
ける課題は、高い難燃性、耐熱性を有し、可撓性に富
み、口出し作業性の良好な難燃ケーブルを得ることにあ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】かかる課題は、ＥＶＡ１
０〜９０重量部、ＥＥＡ９０〜１０重量部、金属水和物
１００〜２００重量部、アクリル系官能性モノマー５重
量部以下からなる組成物を被覆材料として被覆し、さら
にこれを電子線照射架橋することにより達成できる。ま
た、ＥＶＡとして酢酸ビニル含量が２５〜４５重量％
で、メルトインデックスが０．１〜５のものが好まし
い。さらに、被覆材料には、シース、絶縁体がある。

【００１０】以下、この発明を詳しく説明する。図１
は、この発明の難燃ケーブルの一例を示すもので、図中
符号１１は導体であり、この導体１１には絶縁体１２が
被覆されて絶縁線心となっている。そして、この絶縁線
心が３本撚り合わされたうえ、この上にシース１３が被
覆されて難燃ケーブルとなっている。

【００１１】そして、上記絶縁体１２およびシース１３
は、以下の配合組成の難燃性樹脂組成物からなり、かつ
電子線照射が施されて架橋しているものである。すなわ
ち、上記難燃性樹脂組成物は、ＥＶＡ１０〜９０重量
部、ＥＥＡ９０〜１０重量部、金属水和物１００〜２０
０重量部、アクリル系官能性モノマー５重量部以下の組
成を有するものである。

【００１２】上記ＥＶＡとしては、酢酸ビニル含有量が
２５〜４５重量％で、かつメルトインデックスが０．１
〜５の範囲にあるものが好適であり、ＥＥＡとしては、
エチルアクリレート含有量が１５〜２５重量％のものが
好ましい。また、ＥＶＡの配合量が１０重量部未満とな
ると難燃性低下となり、また９０重量部を越えると、柔
軟性低下となって不都合となる。このようなＥＶＡとＥ
ＥＡとからなるベースポリマーにあっては、その極性が
金属水和物のそれと適合し、ベースポリマーと金属水和
物との親和性が向上し、機械的特性および難燃性が高め
られる。

【００１３】金属水和物としては、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウムなどの金属酸化物が用いられ、
その粒径が０．３〜１．２μｍのものが好ましい。ま
た、酸化ナトリウムなどの不純物を０．２重量％以下と
し、表面積を３ｍ²／ｇ以上としたものがより好まし
く、必要に応じてチタネートカップリング剤、シランカ
ップリング剤、高級脂肪酸などによって表面処理し、ベ
ースポリマーとの親和性を高めたものを用いることもで
きる。この金属水和物の配合量が１００重量部未満では
難燃効果が得られず、２００重量部を越えると機械的特
性の低下が著しくなって不具合となる。

【００１４】また、アクリル系官能性モノマーとして
は、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメ
チロールプロパントリメタクリレート、トリアリルシア
ヌレートなどが用いられ、その配合量が５重量部を越え
ると、電子線架橋の際に未架橋のまま残り、組成物の機
械的特性などを低下させることになる。このアクリル系
官能性モノマーは、このように電子線架橋の際にベース
ポリマーを架橋する架橋剤として機能し、これによって
も組成物の難燃性が向上する。

【００１５】このような樹脂組成物には、必要に応じて
老化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤などの配合
量を適宜添加することができる。また、電子線照射は、
照射線量が５〜３０メガラドの範囲で行われ、絶縁体１
２およびシース１３の架橋後のゲル分率が５０〜８０％
となるようにその照射条件が定められる。

【００１６】また、図１に示すような難燃ケーブルの製
造は、導体１１上に上記樹脂組成物からなる絶縁体１２
を押出被覆して絶縁線心とし、これを複数撚り合わせた
うえに同様の樹脂組成物からなるシース１３を押出被覆
し、ついでこれに電子線を照射して絶縁体１２およびシ
ース１３を架橋させる方法などによって行われる。ま
た、絶縁線心の状態で電子線照射し、ついでシース１３
を被覆したのち、再び電子線照射する方法によっても製
造できる。

【００１７】さらに、本発明にあっては、絶縁体１２を
なす樹脂組成物とシース１３をなす樹脂組成物とは、同
一であっても異なっていてもよく、絶縁体１２には電気
絶縁性が良好となるような配合が適用され、シース１３
には機械的特性が良好となるような配合が適用されるこ
とは言うまでもない。

【００１８】このような難燃ケーブルにあっては、その
絶縁体１２およびシース１３をなす樹脂組成物が上記配
合組成を有し、かつ電子線照射架橋されているため、金
属水和物を比較的多量に配合しているにもかかわらず、
機械的特性が良好であり、しかも高い難燃性を有してい
る。このため、絶縁体１２およびシース１３も高い難燃
性と良好な機械的特性を有するものとなり、これだけで
ケーブル全体として十分な難燃性を示すものとなる。し
たがって、難燃性材料からなる介在、押さえ巻きテープ
などのケーブル構成材料が不溶となり、ケーブルの可撓
性が低下したり、口出し作業性が低下したりすることが
なくなる。

【００１９】以下、具体例を示して作用、効果を明確に
するが、本発明はこれら具体例に限定されるものではな
い。（実施例）表１に示す配合組成の樹脂組成物を押出成形
し、厚さ２．０ｍｍのシート状試験片を得た。このもの
に電子線照射を行って、そのゲル分率が約８０％となる
ように架橋した。これらの試験片について、酸素指数
（Ｏ．Ｉ）、引張強度、伸び、温度１５８℃、時間１６
８時間の加熱老化後における引張強度および伸びの残率
について測定した。結果を表１に示す。

【００２０】

【表１】

【００２１】表１の結果から、実施例の樹脂組成物は、
優れた難燃性、耐熱性、機械的特性を有していることが
わかる。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ケーブルの被覆材料であるシース、絶縁体等に十分な難
燃性、機械的特性、耐熱性を付与でき、これら被覆材料
のみでケーブル全体として十分な難燃性を付与すること
ができる。このため、難燃性材料からなる介在、押さえ
巻きテープなどのケーブル構成材料を使用することが不
用となり、これら構成材料の使用に伴う可撓性、口出し
作業性の低下がなく、またケーブルの重量化が防止でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の難燃ケーブルの一例を示す断面図で
ある。

【図２】従来の難燃ケーブルの例を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１２…絶縁体、１３…シース

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】エチレン酢酸ビニル共重合体１０〜９０
重量部、エチレンエチルアクリレート共重合体９０〜１
０重量部、金属水和物１００〜２００重量部、アクリル
系官能性モノマー５重量部以下からなる組成物を被覆材
料として被覆し、かつこれを電子線照射架橋したことを
特徴とする難燃ケーブル。
【請求項２】上記エチレン酢酸ビニル共重合体が、酢
酸ビニル含有量２５〜４５重量％で、メルトインデック
ス０．１〜５であることを特徴とする請求項１記載の難
燃ケーブル。