JPH08146203A - 屈折率分布型プラスチックレンズ - Google Patents

屈折率分布型プラスチックレンズ

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JPH08146203A
JPH08146203A JP29156894A JP29156894A JPH08146203A JP H08146203 A JPH08146203 A JP H08146203A JP 29156894 A JP29156894 A JP 29156894A JP 29156894 A JP29156894 A JP 29156894A JP H08146203 A JPH08146203 A JP H08146203A
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JP
Japan
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water absorption
absorption rate
lens
outer peripheral
plastic lens
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JP29156894A
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English (en)
Inventor
Naoko Nakahigashi
尚子 中東
Satoru Ishizaka
哲 石坂
Takayuki Kato
孝行 加藤
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 過渡期においてレンズ面の精度劣化が小さ
く、性能変化の小さい屈折率分布型プラスチックレンズ
を提供することを目的とする。 【構成】 異なる2種類以上のプラスチック材料の分布
によって形成される屈折率分布型プラスチックレンズに
おいて、環境の変化により中心部および外周部での吸水
率が変化を始めてから飽和吸水率に至る間の過渡期内の
少なくとも一時期において、中心部の吸水率が外周部の
吸水率とほぼ同等または大きい状態が存在するように構
成するか、あるいは、外周部の側面での吸水を妨げる加
工を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、カメラ、複写
機などの画像伝送用アレイや、光ディスク装置、内視鏡
などの結像光学系に用いられる屈折率分布型プラスチッ
クレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】屈折率分布型レンズはGRIN(GRADIE
NT INDEX)レンズと呼ばれ、半径(RADIAL)方向や軸
(AXIAL)方向に屈折率勾配を持たせたレンズであり、
通常の屈折型均質レンズでは得られない独特の効果を持
つことから、近年注目されている。
【0003】この屈折率分布型レンズは、無機ガラスに
よっても、また有機ガラス(プラスチック)によっても
製作が可能であり、その作製方法は例えば「光学」第1
0巻第2号第96頁〜第110頁(1981)に概要が
示されている。
【0004】このうち、特にプラスチックを用いた屈折
率分布型レンズすなわち屈折率分布型プラスチックレン
ズは、材料の選択において制限があるものの、大口径化
・低コスト化・小型軽量化において有利であることか
ら、カメラ等の一般光学系への応用が期待されている。
この屈折率分布型プラスチックレンズは、2種類以上の
プラスチック材料の共重合により製作されるのが普通で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、レンズ等の
光学素子は様々な環境(条件)下で使用されるため、環
境の変化があっても性能変動が小さいことが望まれる。
特にレンズ形状の変化は焦点距離の変化を引き起こすな
どレンズ設計上致命的な欠陥となる。屈折率分布型プラ
スチックレンズは前述のように大口径化・低コスト化・
小型軽量化において有利である一方で、ガラスレンズに
比べて吸水性(吸湿性)が高く、このときの形状変化が
大きな問題となる。
【0006】均質レンズであれば、吸水率の小さい材料
を選ぶことにより、形状変形をある程度小さくできる
が、屈折率分布型プラスチックレンズの場合は、異種素
材を所定の勾配で分布させて作製されるため、吸水時に
は均質レンズとは異なる独特の形状変化が起こる。
【0007】特にカメラなどにおいては、環境が種々変
化する中で使用される。すなわち、環境の変化によりレ
ンズ各部の吸水率が変化を始めてから飽和吸水率に至る
間の過渡期での使用が、実際にはほとんどである。この
ため、上記過渡期におけるレンズの形状変化をなるべく
小さくする必要がある。
【0008】ここで、データブックなどに記載されてい
る飽和吸水率は、現実には、過渡期でのレンズ面の精度
劣化(面変形)に対してはあまり意味を持たず、過渡期
におけるレンズ各部の吸水率の変動、言い換えれば、レ
ンズ各部の吸水速度が、この過渡期でのレンズ面の精度
劣化に対して重要な影響を与える。
【0009】図1は過渡期における面変形量が時間と共
にどのように変化するかを示した図で、図1の曲線a
は、吸水速度の高い材料を外周部の材料に選んだ平板状
の屈折率分布型プラスチックレンズにおける、吸水時の
面変形を示したものである。このような挙動を示す理由
は、屈折率分布型プラスチックレンズの中心部の吸水率
αと外周部の吸水率βが、一般的には時間と共に図2に
示すように変化するためである。図1の曲線aが示すよ
うに、吸水初期では外周部はその側面からの吸水も加わ
り、レンズ面の精度が急速に劣化する。その後時間が経
過し、レンズ各部での吸水が平衡状態になるに従い面変
形は減少する。
【0010】しかし、均質レンズと異なり初期の状態に
までは回復しない。これは、屈折率分布型プラスチック
レンズが材料の分布によって形成されるという特徴故
に、吸水(吸湿)による膨脹が外周部と中心部とでは不
均一となり、飽和時においても材料の吸水率差に起因す
る膨脹率差が面変形として残るためである(材料の吸水
率と膨張率は比例する)。もし飽和時の面変形が許容値
内にあったとしても、過渡期においては、図1の曲線a
のように面変形が許容範囲を超える場合がある。
【0011】特開平5−287032号公報には、材料
分布を持つ素子内での含水率から材料の分布を確認する
方法が開示されているが、その面変形への影響について
は触れられていない。つまり、屈折率分布型プラスチッ
クレンズ特有の過渡期(吸水時)での性能変化について
の解析は、これまで、なされていなかった。
【0012】本発明の目的は、過渡期においてレンズ面
の精度劣化が小さく、性能変化の小さい屈折率分布型プ
ラスチックレンズを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは種々検討を
重ねた結果、過渡期においてレンズ面の精度劣化が小さ
く、性能変化の小さい屈折率分布型プラスチックレンズ
を発明した。
【0014】本発明の内、請求項1の発明は、異なる2
種類以上のプラスチック材料の分布によって形成される
屈折率分布型プラスチックレンズにおいて、環境の変化
により中心部および外周部での吸水率が変化を始めてか
ら飽和吸水率に至る間の過渡期内の少なくとも一時期に
おいて、中心部の吸水率が外周部の吸水率とほぼ同等ま
たは大きい状態が存在することを特徴とするものであ
る。
【0015】特に、請求項2の発明のように、過渡期に
おいて、中心部の吸水率と外周部の吸水率の差が、中心
部の飽和吸水率と外周部の飽和吸水率の差に対して、常
にほぼ同等または小さいことが、好ましい。さらに、請
求項3の発明のように、中心部の飽和吸水率をαs
(%)、外周部の飽和吸水率をβs(%)としたとき、
|αs−βs|≦0.30を満たすことが一層好ましい。
【0016】ここで、飽和吸水率とは、十分時間が経過
し飽和状態に達した後の吸水率を意味し、材料特有のも
ので一定である。一方、吸水率とは、任意の時刻におけ
る初期状態からの重量変化率を意味し、現実の吸水状態
に応じて変化するものである。
【0017】一方、請求項4の発明は、異なる2種類以
上のプラスチック材料の分布によって形成され、中心部
の吸水率が外周部の吸水率よりも常に小さい屈折率分布
型プラスチックレンズにおいて、外周部の側面での吸水
を妨げる加工がなされていることを特徴とするものであ
る。
【0018】この加工は、少なくともレンズ最外周部の
側面に吸水を妨げる加工を施すことによって側面からの
吸水による過渡的な面変形を緩和させるもので、この加
工としては、請求項5の発明のように、外周部の側面に
吸水防止層を設けることが、作業上容易である。吸水防
止層の材料としては、外周部の材料よりも吸水率が低い
ものであれば選択可能であるが、請求項6や請求項7の
発明のように、シリコン系化合物やフッ素系化合物を用
いることがコストや防水性能の点で好ましい。
【0019】
【作用】以下の作用の説明は、簡単のため、円形平板状
レンズを例にとって行う。ただし本質的な作用は曲面レ
ンズにおいても同様であり、この仮定により一般性を失
うものではない。
【0020】既に従来技術の項で述べたように、吸水時
にはレンズ(中心部および外周部)の光学面からの吸水
だけでなく、レンズ外周部の側面からの吸水も考慮する
必要がある。もし外周部の吸水率が中心部の吸水率より
大きければ、外周部には側面からの吸水も加わり大きく
膨張し、光学面は過渡的に大きな凹形状となる。
【0021】そこで、このような挙動を避けるために、
請求項1の発明では、環境の変化により中心部および外
周部での吸水率が変化を始めてから飽和吸水率に至る間
の過渡期内の少なくとも一時期において、中心部の吸水
率が外周部の吸水率とほぼ同等または大きい状態が存在
するようになっている。
【0022】このように選ぶことにより、外周部の側面
からの吸水による変形を緩和するように中心部が変形す
ることになり、外周部の側面からの吸水による過渡的な
面変形は回避あるいは抑制される。すなわち、外周部の
側面からの吸水は、過渡的にレンズを凹形状に変化させ
る作用をもつが、本発明においては少なくとも一時期に
おいて凸形状となる状態が存在するため、凹形状を緩和
させることができる。
【0023】例えば、屈折率分布型プラスチックレンズ
の中心部の吸水率αが当初は外周部の吸水率βよりも小
さく、その後両者がほぼ同等となる、図3に示すような
場合、図1の曲線bに示すように、過渡期において吸水
率に差が生じるために凹形状の面変形が起こるが、その
後中心部の吸水率αが外周部の吸水率βに追いつく方向
に変化するため、吸水率差は図1の曲線aに比べて小さ
な値にとどまり、よってレンズ面の精度も過度に劣化す
ることはない。
【0024】また、図4に示すように、中心部の吸水率
αが外周部の吸水率βよりも当初は小さいがその後逆転
する場合、図1の曲線cに示すように、当初は中心部よ
りも外周部が速い速度で変形し図1の曲線bと同じ方向
に変形を始めるが、その後、中心部が外周部より速い速
度で変形して変形方向が逆転する。この場合、外周部の
側面からの吸水による変形を緩和するように中心部が変
形することになり、過渡期におけるレンズ面の精度が過
度に劣化することはない。
【0025】さらに、図5に示すように、中心部の吸水
率αが外周部の吸水率βよりも大きい場合、図1の曲線
dに示すように、外周部にはその側面からの吸水が加わ
るにもかかわらず、中心部での吸水がそれにも増して大
きく、図1の曲線aとは逆方向に、中心部が外周部より
速い速度で変形する。このため、過渡期におけるレンズ
面の精度が過度に劣化することはない。
【0026】また、図6に示すように、中心部の吸水率
αが外周部の吸水率βよりも当初は大きいがその後逆転
する場合、図1の曲線eに示すように、当初は外周部よ
りも中心部が速い速度で変形し図1の曲線dと同方向に
変形を始めるが、その後、外周部はその側面からの吸水
も加わり、中心部より速い速度で変形して変形方向が逆
転する。この場合、変形開始時期において、外周部の側
面からの吸水による変形を緩和するように中心部がすで
に変形しているため、過渡期におけるレンズ面の精度が
過度に劣化することはない。
【0027】特に、請求項2の発明のように、過渡期に
おいて、中心部の吸水率と外周部の吸水率の差が、中心
部の飽和吸水率と外周部の飽和吸水率の差に対して、常
にほぼ同等または小さいと、飽和に至るすべての時刻に
おいて、レンズ面の精度の劣化が飽和時のそれを上回ら
ない。
【0028】またこれに加えて、請求項3の発明のよう
に、中心部の飽和吸水率,外周部の飽和吸水率をそれぞ
れαs(%),βs(%)としたとき、|αs −βs|≦
0.30好ましくは|αs −βs|≦ 0.10に選択す
ると、過渡期における面精度の過度の劣化を飽和時も含
めたすべての時刻において良好に防ぐことができる。
【0029】飽和吸水率差を0.30以下にすることに
より、厳しい環境下で長期間使用される場合において
も、確実に本発明の効果を得ることができる。また、
0.10以下にすることにより、過渡期において変形が
ある場合でもその値を小さく抑えることができ、より高
い精度の要求される機器にも適用することが可能とな
る。
【0030】一方、請求項4の発明では、外周部の側面
での吸水を妨げる加工、例えば請求項5の発明のような
吸水防止層の形成がなされているため、外周部の側面か
らの吸水による変形を抑制でき、過渡期におけるレンズ
面の精度が過度に劣化することはない。この構成は、レ
ンズ設計上の制約等により外周部の吸水率を中心部の吸
水率より小さくできず、請求項1の発明の構成をとれな
い場合に特に有効である。
【0031】図7を用いて請求項4の発明での効果を説
明する。前述の図1の曲線aを示したレンズと同様の材
料で構成したレンズを用いたとすると、コーティングな
しの場合は、図7の曲線aに示すように、極大値を経て
飽和状態へと向かう。これに対してコーティングを施し
た場合は、図7の曲線bに示すように、過渡的な極大値
をとらずに飽和状態へ向かう。
【0032】なお、本発明におけるレンズ中心とはレン
ズ円形断面の径の中心であり、レンズ中心部とはレンズ
中心からレンズ有効径の1割の長さの部分を指し、レン
ズ外周とはそのレンズの有効径であり、レンズ外周部と
はレンズ外周からレンズ中心に向かう有効径の1割の長
さの部分を指すものとする。
【0033】また、本発明が有効となるのは、レンズ側
面の面積が光学面の面積に対して無視できない大きさと
なった場合であり、面積比としては1:5を越える場合
を目安とするのがよい。
【0034】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。本発明の
屈折率分布型プラスチックレンズは、例えば2段階共重
合法(前述の「光学」第10巻第2号第96頁〜第11
0頁(1981)参照)を適用して作製される。ただ
し、本発明の屈折率分布型プラスチックレンズは作製方
法によって限定を受けるものではなく、材料,レンズ径
等の関係で他の作製方法を用いたとしても一向に構わな
い。
【0035】2段階共重合法を適用した場合、例えば、
以下に示すような工程〜でもって本発明の屈折率分
布型プラスチックレンズは作製される。 母材モノマー液の調整工程:モノマーと所定量の重
合開始剤を混合させる。
【0036】 プレポリマーゲルロッドの作製工程:
モノマー液を熱あるいは活性エネルギー線等によって一
部重合させプレポリマーゲルロッドを得る。
【0037】 拡散モノマー液の調整工程:モノマー
と所定量の重合開始剤を混合させる。 拡散工程:拡散モノマー液中にプレポリマーゲルロ
ッドを所定の条件で浸漬させる。
【0038】 共重合工程:拡散工程が終了した拡散
済み母材を熱もしくは活性化エネルギー線などで十分に
重合させる。
【0039】 切断研磨工程:母材を切断、研磨して
屈折率分布型プラスチックレンズを得る。以下、本発明
の屈折率分布型プラスチックレンズ(実施例1〜5)お
よび比較例を作製する工程を具体的に示す。
【0040】(実施例1) 母材モノマー液の調整工程:円柱状のプレポリマーゲル
ロッドの材料としてジエチレングリコールビスアリルカ
ーボネイト(PPG社(Pittsuburgh Plate Glass Indu
stries)製:製品名CR−39、以下CR−39と略
す。)を用い、これに2.0wt%のジイソプロピルパ
ーオキシジカーボネイト(日本油脂社製:製品名パーロ
イルIPP、以下IPPと略す。)を重合開始剤として
添加し混合する。
【0041】プレポリマーゲルロッドの作製工程:母材
モノマー液を、内径12.0mmφ、長さ100mm
の、フッ素樹脂でなる中空パイプに注入する。これを、
50℃のウォーターバスにて加熱した後、中空パイプか
ら取り出してプレポリマーゲルロッドを得る。
【0042】拡散モノマー液の調整工程:拡散モノマー
としてジアリルイソフタレート(ダイソー社製:製品名
ダップ100モノマー、以下DAIと略す。)を用い、
重合開始剤として2.0wt%のIPPを添加し混合す
る。
【0043】拡散工程:円筒状の拡散モノマー容器に、
ゲル重量の2倍量の拡散モノマー液を注入後、ゲルロッ
ドを投入し、栓をして水平方向に倒し、この水平状態を
保ちながら拡散モノマー容器を40時間回転させる。
【0044】共重合および切断研磨工程:拡散が終了し
たゲルロッドを拡散モノマー容器から取り出し、温度制
御機能付きオーブンにて40℃で1時間保持後31時間
かけて90℃昇温し2時間保持し硬化させ重合を完結さ
せた後10時間かけて室温まで徐冷した。出来上がった
ロッド(母材)を厚さ3mmに切断し(輪切りにし)、
研磨を行ない、本実施例の屈折率分布型プラスチックレ
ンズを得た。
【0045】(実施例2)ゲルロッドのモノマーにDA
Iを用い、重合開始剤はこのDAIに対し2.0wt%
添加し、拡散モノマーにはスチレンを用い、重合開始剤
はこのスチレンに対し3.0wt%添加し、実施例1の
場合と同様にゲルロッドの作製・拡散・硬化・加工を行
って、本実施例の屈折率分布型プラスチックレンズを得
た。
【0046】(実施例3)拡散モノマーに塩化ビニリデ
ン(VDC)を用いて実施例2の場合と同様にして本実
施例の屈折率分布型プラスチックレンズを得た。ただ
し、VDCは気体としてゲルロッドに拡散させた。
【0047】(実施例4)ゲルロッドのモノマーにDA
Iを用い、重合開始剤はDAIに対し2.0wt%添加
し、拡散モノマーにはCR−39を用い、重合開始剤を
このCR−39に対し2.0wt%添加し、実施例1の
場合と同様に、ゲルロッドの作製・拡散・硬化・加工を
行った。得られたレンズを5wt%NaOH中5分間浸
漬しイソプロパノールにて洗浄後乾燥させ、レンズ外周
部の側面にシリコン系樹脂(徳山槽達社製、製品名TS
−56)を塗布し、空気炉中130℃で2時間キュア
後、室温まで徐冷して、本実施例の屈折率分布型プラス
チックレンズを得た。
【0048】(実施例5)実施例4における工程にて得
られた屈折率分布型プラスチックレンズの側面に、シリ
コン系樹脂ではなく、フッ素樹脂(CYTOP:旭硝子
社製サイトップ、製品名CTX−100)を塗布し、空
気炉中70℃にて2時間キュア後、室温まで徐冷して、
本実施例の屈折率分布型プラスチックレンズを得た。
【0049】(比較例)ゲルロツドのモノマーにDAI
を用い、重合開始剤はDAIに対し2.0wt%添加
し、拡散モノマーにはCR−39を用い、重合開始剤を
このCR−39に対し2.0wt%添加し、実施例1の
場合と同様に、ゲルロッドの作製・拡散・硬化・加工を
行って、本比較例の屈折率分布型プラスチックレンズを
得た。
【0050】試験方法および測定方法は以下の手順で行
った。まず、サンプルとしては、外径12mmφ、厚さ
3mm、有効径11.2mmφの平板状のものを用い
た。具体的には、同じロッドから切り出したレンズを複
数個用意し、23℃でイオン交換水中へ浸漬させる。こ
こで、各レンズ表面には予め中心部,外周部の同一箇所
に1×1mmの切り出し位置がマーキングされている。
そこで、各時刻においてサンプルを水中から取り出した
後、このマーキングに沿って正確に測定用の小片を切り
出し、重量を測定した。
【0051】吸水率は、試験前の小片の重量をWo 、試
験後常温常湿1時間放置後の小片の重量をWとしたと
き、次式より求めた。 吸水率=(W−Wo )/Wo ×100(%) 面精度は、He−Neレーザーを使用した干渉計にて試
験前の面のニュートンリングの本数No、試験後常温常
湿1時間放置後のニュートンリングの本数Nを測定し、
試験前のニュートンリングとの差(N−No)を求め、
上面と下面の平均値を用いた。
【0052】上記各実施例および比較例の過渡期におけ
る面変形量の変化を図8および図9に示し、比較例にお
いて面変形が極大値をとる時刻Pにおける上記各実施例
および比較例の吸水率の値を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】ここで、表1の10日目は比較例において
面変形が極大値をとる時刻Pであり、また、60日目は
飽和後の吸水率(飽和吸水率)と考えてよい。従って、
10日目における吸水率の差|α−β|(吸水率の差は
面変形の度合いに比例する)は、過渡期におけるレンズ
面の精度劣化と密接に関連するものである。この表1か
ら明らかなように、実施例1〜5のサンプルでは、何れ
も|α−β|が比較例より格段に小さく、過渡期におけ
るレンズ面の精度劣化が小さいことを示している。ま
た、ニュートンリングの本数計測による上述の面精度の
測定でも、図8および図9に示すように、この|α−β
|の場合と同様の結果が得られている。
【0055】なお、本発明の実施例においては、異なる
素材の組合せにより吸水率の制御を行ったが、同一素材
であっても重合開始剤濃度・キュア条件を変えることに
より異なる吸水率を持つ材料が得られるので、このこと
を利用して、吸水率を制御してもよい。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の本発明
では、環境の変化により中心部および外周部での吸水率
が変化を始めてから飽和吸水率に至る間の過渡期内の少
なくとも一時期において、中心部の吸水率が外周部の吸
水率とほぼ同等または大きい状態が存在するようになっ
ているので、外周部の側面からの吸水による変形を緩和
するように中心部が変形することになり、外周部の側面
からの吸水による過渡的な面変形は回避あるいは抑制さ
れる。
【0057】さらに加えて、請求項2の発明では、過渡
期において、中心部の吸水率と外周部の吸水率の差が、
中心部の飽和吸水率と外周部の飽和吸水率の差に対し
て、常にほぼ同等または小さいので、飽和に至るすべて
の時刻において、面変形が飽和時のそれを上回らない。
【0058】またこれに加えて、請求項3の発明では、
中心部の飽和吸水率,外周部の飽和吸水率をそれぞれα
s(%),βs(%)としたとき、|αs −βs|≦ 0.
30となっているので、過渡期における面精度の過度の
劣化を飽和時も含めたすべての時刻において良好に防ぐ
ことができる。
【0059】一方、請求項4の発明では、外周部の側面
での吸水を妨げる加工、例えば請求項5〜7の発明のよ
うな吸水防止層の形成がなされているため、外周部の側
面からの吸水による変形を抑制できるため、過渡期にお
ける面精度が過度に劣化することはない。この構成は、
レンズ設計上の制約等により外周部の吸水率を中心部の
吸水率より小さくできず、請求項1の発明の構成をとれ
ない場合に特に有効である。
【0060】従って、本発明による屈折率分布型プラス
チックレンズは、高湿度の環境においても安定した性能
および焦点距離を確保できるため、例えば、カメラ、複
写機などの画像伝送用アレイや、光ディスク装置、内視
鏡などの結像光学系において非常に有用に利用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】過渡期における面変形量が時間と共にどのよう
に変化するかを示した図である。
【図2】図1の曲線aの特性を示すプラスチックレンズ
において、過渡期に吸水率が時間と共にどのように変化
するかを示した図である。
【図3】本発明のプラスチックレンズにおいて、過渡期
に吸水率が時間と共にどのように変化するかの一例を示
した図である。
【図4】本発明のプラスチックレンズにおいて、過渡期
に吸水率が時間と共にどのように変化するかの一例を示
した図である。
【図5】本発明のプラスチックレンズにおいて、過渡期
に吸水率が時間と共にどのように変化するかの一例を示
した図である。
【図6】本発明のプラスチックレンズにおいて、過渡期
に吸水率が時間と共にどのように変化するかの一例を示
した図である。
【図7】本発明のプラスチックレンズにおいて、過渡期
に面変形量が時間と共にどのように変化するかを示した
図である。
【図8】実施例および比較例の過渡期における面変形量
の変化を示す図である。
【図9】実施例および比較例の過渡期における面変形量
の変化を示す図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる2種類以上のプラスチック材料の
    分布によって形成される屈折率分布型プラスチックレン
    ズにおいて、環境の変化により中心部および外周部での
    吸水率が変化を始めてから飽和吸水率に至る間の過渡期
    内の少なくとも一時期において、中心部の吸水率が外周
    部の吸水率とほぼ同等または大きい状態が存在すること
    を特徴とする屈折率分布型プラスチックレンズ。
  2. 【請求項2】 前記過渡期において、中心部の吸水率と
    外周部の吸水率の差が、中心部の飽和吸水率と外周部の
    飽和吸水率の差に対して、常にほぼ同等または小さいこ
    とを特徴とする請求項1記載の屈折率分布型プラスチッ
    クレンズ。
  3. 【請求項3】 中心部の飽和吸水率をαs(%)、外周
    部の飽和吸水率をβs(%)としたとき、|αs−βs|
    ≦0.30を満たすことを特徴とする請求項2記載の屈
    折率分布型プラスチックレンズ。
  4. 【請求項4】 異なる2種類以上のプラスチック材料の
    分布によって形成され、中心部の吸水率が外周部の吸水
    率よりも常に小さい屈折率分布型プラスチックレンズに
    おいて、外周部の側面での吸水を妨げる加工がなされて
    いることを特徴とする屈折率分布型プラスチックレン
    ズ。
  5. 【請求項5】 前記加工として外周部の側面に吸水防止
    層を設けたことを特徴とする請求項4記載の屈折率分布
    型プラスチックレンズ。
  6. 【請求項6】 前記吸水防止層がシリコン系化合物から
    成ることを特徴とする請求項5記載の屈折率分布型プラ
    スチックレンズ。
  7. 【請求項7】 前記吸水防止層がフッ素系化合物から成
    ることを特徴とする請求項5記載の屈折率分布型プラス
    チックレンズ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012522259A (ja) * 2009-03-27 2012-09-20 エシロール アテルナジオナール カンパニー ジェネラーレ デ オプティック 酸化スズに基づく導電膜を有する反射防止または反射コーティングを塗膜した光学物品、および製造方法

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JP2012522259A (ja) * 2009-03-27 2012-09-20 エシロール アテルナジオナール カンパニー ジェネラーレ デ オプティック 酸化スズに基づく導電膜を有する反射防止または反射コーティングを塗膜した光学物品、および製造方法

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