JP7353962B2 - 光学素子、光学機器および撮像装置 - Google Patents

光学素子、光学機器および撮像装置 Download PDF

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Description

本発明は、2つの透明基材が接着剤で接合される光学素子に関する。
凹面を有する第1透明基材と、凸面を有する第2透明基材とが接合された光学素子は、色消し性能を有するレンズとして用いられ、デジタルカメラやビデオカメラなどの光学系の小型化・軽量化を実現している。このような光学素子は、2つの透明基材が接着剤で接合されているため、2つの透明基材の線膨張係数差が大きいほど、温度変化による膨張または収縮量の差が大きく、接着部に発生する応力も大きくなる。その応力により光学面にひずみが生じ、光学性能が変動することが知られている。また、透明基材の直径が大きいほど光学性能が大きく変動することが知られている。
特許文献1には、温度変化した際の2つのレンズ(透明基材)の外径の膨張量の差に起因して発生する接着部の応力を低減するために、接着部の直径に合わせて、接着部の最外周の厚みを決定することが開示されている。
特開2003-140037号公報
しかしながら、特許文献1に開示された光学素子は、透明基材の種類や形状によっては、環境温度が大きく変動した際に、光学性能が変動してしまうことがあった。
上記課題を解決するための光学素子は、凹面を有する第1透明基材と、前記凹面と対向する凸面を有する第2透明基材と、前記凹面と前記凸面とを接着する接着部と、を備える光学素子であって、前記光学素子を平面視した際の、前記接着部の半径をR、前記接着部の中心を始点とした径方向の距離をrとしたときに、前記接着部は0.35R≦r≦0.65Rの範囲の少なくとも一部に弾性率がE1である第1領域を有し、前記接着部の中心から前記第1領域までの部分である前記接着部の第2領域の弾性率をE2、前記第1領域から前記接着部の外周までの部分である前記接着部の第3領域の弾性率をE3としたときに、前記E1、前記E2および前記E3が下記一般式(1)および(2) 0.5E1≦E2≦0.9E1 (1) 0.5E1≦E3≦0.9E1 (2)を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、温度が大きく変化しても光学性能の変動が小さい光学素子を提供することができる。
第1実施形態の光学素子を示した概略図である。 変形例の光学素子を示した模式的断面図である。 第1実施形態の光学素子の製造方法を示した概略図である。 第2実施形態の撮像装置を示した概略図である。 比較例の光学素子を示した模式的断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
(光学素子)
図1は第1実施形態の光学素子を示した概略図である。図1の上部は、光学素子10の模式的断面図であり、図1の下部に示す光学素子の中心Oを通るA-A直線で積層方向に切断したときの断面図である。また、図1の下部は光学素子10を積層方向から平面視した際の上面図であり、説明の便宜上、第2透明基材は省略している。
光学素子10は、凹面を有する第1透明基材11と、前記凹面と対向する凸面を有する第2透明基材12と、前記凹面と前記凸面とを接着する接着部13と、を備える。すなわち、光学素子10は、2つの透明基材が接着剤で接合される接合レンズと呼ばれるタイプの光学素子である。
第1透明基材11は、接着部13が設けられる第1面11Aを有し、第1面11Aは凹面(凹球面)である。第2透明基材12は、接着部13が設けられる第1面12Aを有し、第1面12Aは凸面(凸球面)である。第1透明基材11および第2透明基材12には、透明な樹脂や、透明なガラスを用いることができる。ここで、本明細書において透明とは可視光(波長が380nm以上780nm以下の範囲である光)全域の透過率が30%以上の透過率であることを示す。第1透明基材11および第2透明基材12は、ガラスを用いることが好ましく、例えば、珪酸ガラスや硼珪酸ガラス、リン酸ガラスに代表される一般的な光学ガラスや、石英ガラス、ガラスセラミックスを用いることができる。第1透明基材11および第2透明基材12の外形は平面視した際に円形であることが好ましい。
第1透明基材11は、図1の上部に示すように同一断面における厚さが異なる偏肉形状である。第1透明基材11は、中心の厚さが最も薄く、径方向の端部の厚さが最も厚い。第1透明基材11の最小の厚さに対する最大の厚みの割合を示す偏肉比は、例えば、2.0以上7.0以下の範囲である。なお、第1透明基材11の凹面の曲率は、光学素子の所望の光学性能に応じて適宜設定することができる。
第2透明基材12も、第1透明基材11と同様に、同一断面における厚さが異なる偏肉形状である。第2透明基材12は、中心の厚さが最も厚く、径方向の端部の厚さが最も薄い。第2透明基材12の最小の厚さに対する最大の厚みの割合を示す偏肉比は、例えば、7.0以上15.0以下の範囲である。なお、第2透明基材12の凸面の曲率は、光学素子の所望の光学性能に応じて適宜設定することができる。
接着部13は、第1領域131、第2領域132および第3領域133から構成される。
接着部の第1領域131とは、光学素子10を平面視した際の接着部13の半径をR、接着部の中心Oを始点とした径方向の距離をrとしたときに、0.35R≦r≦0.65Rの範囲の少なくとも一部に位置する弾性率がE1の領域のことである。接着部の第2領域132とは、光学素子10を平面視した際に接着部13の中心Oから第1領域131まで位置する弾性率がE2の領域のことである。接着部の第3領域133とは、光学素子10を平面視した際に第1領域131から接着部13の外周まで位置する弾性率がE3の領域のことである。なお、接着部13の中心Oは、第1透明基材11および第2透明基材12の中心と一致ないし略一致する。そのため、接着部13の中心Oは光学素子10の中心であるともいえる。
図5は比較例の光学素子10Xの模式的断面図である。光学素子10Xは、凹面を有する第1透明基材11Xと、前記凹面と対向する凸面を有する第2透明基材12Xと、前記凹面と前記凸面とを接着する接着部13Xと、を備える。光学素子10Xは、いわゆる接合レンズである。
第1透明基材11Xは、同一断面における厚さが異なる偏肉形状である。第1透明基材11Xは、中心の厚さが最も薄く、径方向の端部の厚さが最も厚い。第2透明基材12Xも、第1透明基材11Xと同様に、同一断面における厚さが異なる偏肉形状である。第2透明基材12Xは、中心の厚さが最も厚く、径方向の端部の厚さが最も薄い。光学素子10Xは接着部の弾性率が一様である点が、光学素子10と異なる。
しかしながら本願発明者は、比較例の光学素子10Xは環境温度を40℃以上変化させると、接着部13Xに歪みが生じ、光学性能が変動することを見出した。また、この原因が、接着部13Xに大きな応力が発生する箇所と小さな応力が発生する箇所が発現した結果、光学面の形状が変化するためであることを見出した。
光学素子10Xの接着部13Xにかかる応力は、Stoneyの式を近似変形した下記(3)式を基に説明することが可能である。
Figure 0007353962000001
ここでEは第1または第2透明基材のヤング率、tは第1または第2透明基材の厚み、Lは第1または第2透明基材の直径、taは接着部の厚さ、ΔYは接着部の厚み方向における変位である。
第1透明基材11Xは、いわゆる凹レンズであるため、第1透明基材11Xの中心から径方向に向かうにつれて、tおよびΔYが増大する。一方、第2透明基材12Xは、いわゆる凸レンズであるため、第2透明基材12Xの中心から径方向に向かうにつれて、tおよびΔYが減少する。そのため、接着部13Xは径方向の中央付近に、発生する応力σが小さい領域が現われる。ここで、中央付近とは、光学素子10Xを平面視した際の接着部13Xの半径をRx、接着部の中心を始点とした径方向の距離をrxとしたときに、0.35Rx≦rx≦0.65Rxを満たす位置である。一方、この中央付近より接着部の中心方向には中央付近よりも高い応力が発生し、中央付近より外周方向にはさらに高い応力が発生することになる。結果、0.35Rx≦rx≦0.65Rxを満たさない位置では接着部13xには相対的に大きな歪みが発生するため、光学面の形状が変化していた。
そこで第1実施形態においては、E1、E2およびE3が、下記一般式(1)および(2)を満たす構成を採用した。
0.5E1≦E2≦0.9E1 (1)
0.5E1≦E3≦0.9E1 (2)
光学素子10は、一般式(1)および(2)を満たすことにより、温度が大きく変化しても光学性能の変動が小さくなる。これらの式は、弾性率が一様であると相対的に応力が低い位置となる第1領域131の弾性率E1に対し、弾性率が一様であると相対的に応力が高い位置となる第2領域132および第3領域133の弾性率E2,E3を十分に小さくすることを意味している。すなわち、E2およびE3が、0.9E1より大きくなると第1領域131に対して応力を十分に緩和できないため、光学素子の光学面の変形が大きくなってしまう。一方、E2およびE3が、0.5E1より小さくなると第1領域131に対して弾性率が低すぎるため、環境温度を40℃以上変化させた際に接着力を保持できず、第1透明基材11の中心位置と第2透明基材12の中心位置がずれてしまうおそれがある。なお、E2はE3より大きいことが好ましい。第3領域133に発生する応力が、第2領域132に発生する応力より大きくなりやすいため、第3領域133における応力の緩和効果をより高めるためである。
また、第1領域131の径方向の長さは、0.05R以上0.30R以下の範囲であることが好ましい。第1透明基材11と第2透明基材12との接着力を十分に確保するためである。0.05Rより小さいと接着力が十分に確保できないおそれがある。一方、0.30Rより大きいと応力を緩和するための領域が小さくなり、温度が大きく変化した際に光学性能の変動を小さくできないおそれがある。
第1領域131の光学素子10を平面視した際の形状は、環状であることが好ましい。光学素子10をレンズとして用いた際の光学特性が、光軸に対して対称性をもつことになるためである。
接着部13の厚みは、接着力と光学性能とを両立する観点において、5μm以上50μm以下であることが好ましい。ここで接着部13の厚みとは、第1透明基材の第1面11Aまたは第2透明基材の第1面12Aの法線方向の接着部13の厚みである。5μm未満であると、温度が大きく変化した際の2つの透明基材の線膨張係数差によって生じる歪みを接着部13で吸収できなくなるおそれがある。一方、50μmを超えると接着力が十分でなくなるおそれがある。また、接着部13の厚みの最大値と最小値の差は10μm以下であることが好ましい。弾性率分布による光学特性の変動を抑制しやすくするためである。より好ましい接着部13の厚みの最大値と最小値の差は5μm以下である。
接着部13の材質は特に限定されないが、例えば、紫外線硬化樹脂などの光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂といった樹脂を用いることができる。光硬化性樹脂としては、例えば、メタクリレート、アクリレート、ウレタンアクリレートが挙げられる。商業的に入手可能なものとしては、例えば、MSアーデル株式会社のUT20、HR154、HV153、V300、OPM55、協立化学産業株式会社のWORLD ROCK 5200LL、5210、5342、5517、3970、デンカ株式会社のOP-1020Z、1030Z、1050Z、1020K、1030K、1045K、1080L、1055H、1080L、株式会社スリーボンドのTB3030,3114,3170D、東亞合成株式会社のLCR0628A、セメダイン株式会社のEP-001K、EP-160が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。商業的に入手可能なものとしては、例えば、株式会社スリーボンドのTB3114、TB3113Bや、セメダイン株式会社のEP001K、EP160が挙げられる。
なお、第1領域131、第2領域132および第3領域133は異なる種類の接着剤で形成しても構わないが、1つの種類の接着剤で形成することが好ましい。すなわち、第1領域131、第2領域132および第3領域133を構成する樹脂が同一の構造の繰り返し単位を有する樹脂であることが好ましい。接着部13の厚みを均一にすることが容易なためである。
(光学素子の変形例)
図2は、変形例の光学素子を示した模式的断面図である。
図2(a)の光学素子10Bは凹面を有する第1透明基材11Bと、凸面を有する第2透明基材12Bと、前記凹面と前記凸面とを接着する接着部13Bと、を備える。また、接着部13Bは、第1領域131B、第2領域132Bおよび第3領域133Bから構成される。光学素子10Bは、第2透明基材の第1透明基材と対向しない面の形状が、光学素子10と異なる。
図2(b)の光学素子10Cは凹面を有する第1透明基材11Cと、凸面を有する第2透明基材12Cと、前記凹面と前記凸面とを接着する接着部13Cと、を備える。また、接着部13Cは、第1領域131C、第2領域132Cおよび第3領域133Cから構成される。光学素子10Cは、第2透明基材の第1透明基材と対向しない面の形状および第1透明基材の第2透明基材と対向しない面の形状が、光学素子10と異なる。
光学素子10Bおよび光学素子10Cは、光学素子10と同様に、弾性率E1,E2およびE3が式(1)および(2)を満たせば、温度が大きく変化しても光学性能の変動が小さい光学素子を提供することができる。なお、変形例は図2(a)および(b)の形態には限定されない。
(光学素子の製造方法)
次に、第1実施形態の光学素子の製造方法を説明する。
まず、第1透明基材11は、接着部13との密着性を向上させるため、第1面11Aに前処理をしておくことが好ましい。第2透明基材12は、接着部13との密着性を向上させるため、第1面12Aに前処理をしておくことが好ましい。第1面11Aおよび12Aの前処理は、オゾン処理することが好ましい。オゾン処理することにより、接着剤が濡れ広がりやすくなるためである。また、シランカップリング剤を用いてカップリング処理をしても構わない。具体的なカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン等が挙げられる。
次に、図3(a)のように、接着部が形成される面が凹面形状である第1透明基材11に接着部13の前駆体である未硬化の接着剤13aを設ける。接着剤13aは、例えば、光エネルギーを与えて硬化可能な光硬化性樹脂もしくは熱エネルギーを与えて硬化可能な熱硬化性樹脂を用いることができる。また、接着剤13aを設ける方法は特に限定されないが、例えば、ディスペンサーを用いることができる。なお、以下の説明では、接着剤13aとして光硬化性樹脂を用いた場合について説明する。
次に、第2透明基材12の中心と第1透明基材11の中心が合うように不図示の治具を用いて位置合わせしたのちに、図3(b)および(c)のように第1透明基材11に第2透明基材12を近づけることによって、接着剤13aを径方向に充填させる。接着剤13aが所望の厚さになるまで、第1透明基材11に第2透明基材12を近づける。
次に、図3(d)のように、第2透明基材12を通して光源17から光を接着剤13aに照射することにより、接着剤13aの硬化反応を開始させる。一定時間、光を照射した後、図3(e)のように、光源17と第2透明基材12の間に遮光部材であるグレイトーンマスク18を設ける。このとき光学素子10を平面視した際の接着部13の半径をR、接着部の中心Oを始点とした径方向の距離をrとしたときに、0.35R≦r≦0.65Rとなる位置の一部または全域にはグレイトーンマスク18は設けない。なお遮光部材はグレイトーンマスクに限定されない。
その後、さらに光を照射することにより、図3(f)に示すような弾性率がE1である第1領域131、弾性率がE2である第2領域132および弾性率がE3である第3領域133からなる接着部13が形成され、光学素子10が得られる。
以上の工程により、図1に示した第1実施形態の光学素子を製造することができる。
なお、上記の説明では1種類の接着剤を用いる例を説明したが、第1透明基材11に複数種類の接着剤をディスペンサーで載置しても構わない。
また、上記の説明では接着剤13aは第1透明基材11に設けたが、第2透明基材12に設けても構わない。さらに、第1透明基材11と第2透明基材12の両方に設けても構わない。
また、上記の説明では接着剤13aとして光硬化性樹脂を用いたが、熱硬化性樹脂であっても構わない。その際は、光源の代わりにヒーター等の熱源を用いて、熱分布を設けるように加熱することで、弾性率分布を有する接着部13を備えた光学素子10を得ることができる。
[第2実施形態]
(光学機器)
第2実施形態では、第1実施形態の光学素子の具体的な適用例について説明する。具体的な適用例としては、カメラやビデオカメラ用の光学機器(撮影光学系)を構成するレンズや液晶プロジェクター用の光学機器(投影光学系)を構成するレンズ等が挙げられる。また、DVDレコーダー等のピックアップレンズに用いることもできる。これらの光学系は、筐体内に配置された複数のレンズからなり、それらの複数のレンズの少なくとも1つを第1実施形態の光学素子とすることができる。
(撮像装置)
図4は、本発明の光学素子を用いた撮像装置の好適な実施形態の一例である、一眼レフデジタルカメラ600の構成を示している。図4において、カメラ本体602と光学機器であるレンズ鏡筒601とが結合されているが、レンズ鏡筒601はカメラ本体602に対して着脱可能ないわゆる交換レンズである。
被写体からの光は、レンズ鏡筒601の筐体620内の撮影光学系の光軸上に配置された複数のレンズ603、605などからなる光学系を介して撮影される。第1実施形態の光学素子は例えば、レンズ603、605に用いることができる。ここで、レンズ605は内筒604によって支持されて、フォーカシングやズーミングのためにレンズ鏡筒601の外筒に対して可動支持されている。
撮影前の観察期間では、被写体からの光は、カメラ本体の筐体621内の主ミラー607により反射され、プリズム611を透過後、ファインダレンズ612を通して撮影者に撮影画像が映し出される。主ミラー607は例えばハーフミラーとなっており、主ミラーを透過した光はサブミラー608によりAF(オートフォーカス)ユニット613の方向に反射され、例えばこの反射光は測距に使用される。また、主ミラー607は主ミラーホルダ640に接着などによって装着、支持されている。不図示の駆動機構を介して、撮影時には主ミラー607とサブミラー608を光路外に移動させ、シャッタ609を開き、撮像素子610がレンズ鏡筒601から入射して撮影光学系を通過した光を受光して撮影光像を結像するようにする。また、絞り606は、開口面積を変更することにより撮影時の明るさや焦点深度を変更できるよう構成される。
なお、ここでは、一眼レフデジタルカメラを用いて撮像装置を説明したが、第1実施形態の光学素子はスマートフォンやコンパクトデジタルカメラなどにも同様に用いることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明をする。まず、実施例および比較例の評価方法について説明する。
(光学素子の形状)
第1透明基材および第2透明基材の形状は、NEXIV(ニコン社製)などの3次元測定器や測長機能を備える光学顕微鏡およびノギスを用いて測定した。
接着部の直径、曲率、厚みおよび各領域の長さは、光学素子の中心を通る直線で積層方向に切断して作成した測定用のサンプルを用いて、測長機能を備える光学顕微鏡によって測定した。厚みは、光学素子の中心より径方向に1mmごとに多点測定を行い、最大値と最小値を測定した。
(弾性率)
接着部の弾性率は、光学素子の中心を通る直線で積層方向に切断して作成した測定用のサンプルを用いて測定した。具体的には、ナノインデンターG200(Keysight Technologies社製)を用いて測定した。光学素子の中心より径方向に1mmごとに多点測定を行い、領域ごと(第1領域、第2領域、第3領域)に平均値を算出した。
(熱耐久性)
光学素子を製造した後、オーブンで高温化に放置し、測定前と測定後の形状を比較することで熱耐久性の評価を行った。具体的には、製造した光学素子について、まず環境温度20℃±5℃の条件で、Verifireレーザー干渉計システム(ZYGO社製)を使用し、面形状の測定を行った。その後、光学素子をオーブンに投入し、20℃から70℃までを5時間かけて昇温し、70℃に12時間保持した後、70℃から20℃まで5時間かけて降温した。そして降温冷却から1時間後に光学素子の温度が25℃以下になっていることを確認してから、環境温度20℃±5℃の条件において、面形状の測定を行った。第1透明基材と第2透明基材のレンズ径90%の領域について、R形状のフィッティングを行い、初期と高温試験後の面形状変化の結果をニュートンリングに換算した。また、測定された面形状からニュートンリング変形分を除去した後に、クセ変化量を算出した。クセ変化量が70nm以下だったものを良好と判断し、Aと評価した。一方、クセ変化量が70nmを超えたものを不良と判断し、Bと評価した。
(実施例1)
実施例1では、図1に示した形状の光学素子を図3に示した製造方法で作製した。
第1透明基材11には、株式会社オハラのS-LAH60(可視光全域の透過率が83%以上)を用いた。第2透明基材12には、S-FPL51(可視光全域の透過率が99.4%以上)を用いた。まず、図3(a)に示すように、第1透明基材11に、未硬化の接着剤13aとしてアクリル系UV硬化性樹脂を滴下した。次に、図3(b)および(c)に示すように、第1透明基材11と第2透明基材12とを近づけて、接着剤13aを押し広げることによって、第1透明基材11と第2透明基材12の間に接着剤13aを充填した。続いて、図3(d)に示すように、第2透明基材12の側から接着剤13a全体に紫外線を照射して、接着剤13aの硬化反応を開始させた。光源17には高圧水銀ランプ(EXECURE250、HOYA CANDEO OPTRONICS(株))を用いた。このときの紫外線の照射条件は、10mW/cm、200秒とした。その後、図3(e)に示すように、第1領域131となる0.35Rから0.55Rの部分まではマスクをせずに、紫外線を照射した。このときの照射条件は10mW/cm、160秒とした。以上の工程で、接着部13に弾性率分布をつけることにより、実施例1の光学素子を製造した。
表1に実施例1の光学素子の形状を、表2に実施例1の光学素子の評価結果をそれぞれまとめた。
(比較例1)
比較例1では、接着剤を硬化させる工程が実施例1と異なる。比較例1でも図3(d)に示すように、第2透明基材の側から光源を用いて接着剤全体に紫外線を照射して、接着剤の硬化反応を開始させたが、このときの紫外線の照射条件を、10mW/cm、250秒とした。その後、図3(e)に示すように、第1領域となる0.35Rから0.55Rの部分まではマスクをせずに、紫外線を照射した。このときの照射条件は10mW/cm、110秒とした。
表1に比較例1の光学素子の形状を、表2に比較例1の光学素子の評価結果をそれぞれまとめた。
(実施例2)
実施例2では、図2(a)に示した形状の光学素子を図3に示した製造方法で作製した。
第1透明基材11Bには、株式会社オハラのS-NBH51(可視光全域の透過率が87%以上)を用いた。第2透明基材12Bには、S-FPL53(可視光全域の透過率が99.6%以上)を用いた。まず、図3(a)に示すように、第1透明基材11Bに、未硬化の接着剤13aとして実施例1と同じアクリル系UV硬化性樹脂を滴下した。次に、図3(b)および(c)に示すように、第1透明基材11Bと第2透明基材12Bとを近づけて、接着剤13aを押し広げることによって、第1透明基材11Bと第2透明基材12Bの間に接着剤13aを充填した。続いて、図3(d)に示すように、第2透明基材12Bの側から接着剤13a全体に紫外線を照射して、接着剤13aの硬化反応を開始させた。光源17には、高圧水銀ランプ(EXECURE250、HOYA CANDEO OPTRONICS(株))を用いた。このときの紫外線の照射条件は、10mW/cm、100秒とした。その後、図3(e)に示すように、第1領域131Bとなる0.40Rから0.60Rの部分まではマスクをせずに、紫外線を照射した。このときの照射条件は10mW/cm、260秒とした。以上の工程で、接着部13Bに弾性率分布をつけることにより、実施例2の光学素子を製造した。
(比較例2)
比較例2では、接着剤を硬化させる工程が実施例2と異なる。比較例2でも図3(d)に示すように、第2透明基材の側から光源を用いて接着剤全体に紫外線を照射して、接着剤の硬化反応を行ったが、このときの紫外線の照射条件を、10mW/cm、360秒とした。比較例2では、マスクを用いて光照射する工程がなかった。
表1に比較例2の光学素子の形状を、表2に比較例2の光学素子の評価結果をそれぞれまとめた。
(実施例3)
実施例3では、図2(b)に示した形状の光学素子を図3に示した製造方法で作製した。
第1透明基材11Cには、株式会社オハラのS-NBH8(可視光全域の透過率が86%以上)を用いた。第2透明基材12Cには、S-FPL55(可視光全域の透過率が99.5%以上)を用いた。まず、図3(a)に示すように、第1透明基材11Cに、未硬化の接着剤13aとしてアクリル系UV硬化性樹脂を滴下した。次に、図3(b)および(c)に示すように、第1透明基材11Cと第2透明基材12Cとを近づけて、接着剤13aを押し広げることによって、第1透明基材11Cと第2透明基材12Cの間に接着剤13aを充填した。続いて、図3(d)に示すように、第2透明基材12Cの側から接着剤13a全体に紫外線を照射して、接着剤13aの硬化反応を開始させた。光源17には、高圧水銀ランプ(EXECURE250、HOYA CANDEO OPTRONICS(株))を用いた。このときの紫外線の照射条件は、10mW/cm、70秒とした。その後、図3(e)に示すように、第1領域131Cとなる0.50Rから0.65Rの部分まではマスクをせずに、紫外線を照射した。このときの照射条件は10mW/cm、30秒とした。以上の工程で、接着部13Cに弾性率分布をつけることにより、実施例3の光学素子を製造した。
表1に実施例3の光学素子の形状を、表2に実施例3の光学素子の評価結果をそれぞれまとめた。
(比較例3)
比較例3では、接着剤を硬化させる工程が実施例3と異なる。比較例2でも図3(d)に示すように、第2透明基材の側から光源を用いて接着剤全体に紫外線を照射して、接着剤の硬化反応を行ったが、このときの紫外線の照射条件を、10mW/cm、100秒とした。比較例3では、マスクを用いて光照射する工程がなかった。
表1に比較例3の光学素子の形状を、表2に比較例3の光学素子の評価結果をそれぞれまとめた。
Figure 0007353962000002
Figure 0007353962000003
(評価結果)
一般式(1)および(2)を満たした実施例1~3はいずれも、クセ変化量が70μm以下であり、50℃の環境温度の変化があっても光学性能の変動が小さかった。一方、一般式(1)および(2)を満たさなかった比較例1~3はいずれも、クセ変化量が70μmより大きく、50℃の環境温度の変化により光学性能が大きく変動してしまった。
10 光学素子
11 第1透明基材
12 第2透明基材
13 接着部
13a 接着剤
131 第1領域
132 第2領域
133 第3領域
600 一眼レフデジタルカメラ(撮像装置)
601 レンズ鏡筒(交換レンズ、光学機器)
602 カメラ本体
603 レンズ
604 内筒
605 レンズ
606 絞り
607 主ミラー
608 サブミラー
609 シャッタ
610 撮像素子
611 プリズム
621 筐体

Claims (10)

  1. 凹面を有する第1透明基材と、前記凹面と対向する凸面を有する第2透明基材と、前記凹面と前記凸面とを接着する接着部と、を備える光学素子であって、
    前記光学素子を平面視した際の、前記接着部の半径をR、前記接着部の中心を始点とした径方向の距離をrとしたときに、前記接着部は0.35R≦r≦0.65Rの範囲の少なくとも一部に弾性率がE1である第1領域を有し、
    前記接着部の中心から前記第1領域までの部分である前記接着部の第2領域の弾性率をE2、前記第1領域から前記接着部の外周までの部分である前記接着部の第3領域の弾性率をE3としたときに、前記E1、前記E2および前記E3が下記一般式(1)および(2)
    0.5E1≦E2≦0.9E1 (1)
    0.5E1≦E3≦0.9E1 (2)
    を満たすことを特徴とする光学素子。
  2. 前記光学素子を平面視した際に、前記第1領域の径方向の長さが、0.05R以上0.30R以下の範囲である請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記光学素子を平面視した際に、前記第1領域の形状が、環状である請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 前記E2が前記E3より大きい請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 前記接着部は樹脂からなり、前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域は、同一の構造の繰り返し単位を有する樹脂からなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学素子。
  6. 前記接着部の厚みが、5μm以上50μm以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学素子。
  7. 前記第1透明基材の最小の厚さに対する最大の厚みの割合である偏肉比が、2.0以上7.0以下の範囲であり、
    前記第2透明基材の最小の厚さに対する最大の厚みの割合である偏肉比が、7.0以上15.0以下の範囲である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学素子。
  8. 筐体と、該筐体内に配置された複数のレンズを有する光学系と、を有する光学機器であって、前記レンズの少なくとも1つが請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学素子であることを特徴とする光学機器。
  9. 筐体と、該筐体内に配置された複数のレンズを有する光学系と、該光学系を通過した光を受光する撮像素子と、を有する撮像装置であって、
    前記レンズの少なくとも1つが請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学素子であることを特徴とする撮像装置。
  10. 前記撮像装置がカメラであることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
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