JPH08134116A - 硬化性樹脂組成物、及び樹脂硬化物の製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、及び樹脂硬化物の製造方法

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JPH08134116A
JPH08134116A JP6298906A JP29890694A JPH08134116A JP H08134116 A JPH08134116 A JP H08134116A JP 6298906 A JP6298906 A JP 6298906A JP 29890694 A JP29890694 A JP 29890694A JP H08134116 A JPH08134116 A JP H08134116A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特定波長の紫外線等の照射により、容易に且
つ効率よく硬化させることができ、硬化物の優れた紫外
線吸収能が長期間持続する硬化性樹脂組成物、及び樹脂
硬化物の製造方法を提供する。 【構成】 ベンゾフェノン系重合体型紫外線吸収剤(3
0重量%酢酸エチル溶液)15重量部(以下、部とい
う。)、ポリエステル型アクリレート(オリゴマー)1
0部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(単量
体)15部、及びトルエン35部、メチルエチルケトン
15部、イソプロピルアルコール10部からなる樹脂成
分に、光開始剤として2,4−ジエチルチオキサント
ン、0.5部と、増感剤としてp−ジメチルアミノ安息
香酸イソアミルエステル0.5部を配合し、硬化性樹脂
組成物を得た。この組成物をメチルメタクリレート樹脂
板上に塗布し、高圧水銀ランプの光を照射(照射量;2
75mJ)し、硬化物を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、波長380〜400n
mの長波長紫外線又は可視光線を照射することにより、
反応、硬化する硬化性樹脂組成物、及びこの樹脂組成物
に、特定波長の紫外線又は可視光線を照射することによ
り樹脂硬化物を製造する方法に関する。本発明の硬化性
樹脂組成物は、インキ、塗料、接着剤等、各種用途に用
いることができる。
【0002】
【従来の技術】光重合性の樹脂組成物は従来よりよく知
られており、塗料等の用途に広く使用されている。そし
てこの塗料等の用途では、特に薬品、食品、化粧品等の
容器外表面に塗装して使用する場合は、内容物を紫外線
の影響から保護するため、塗料には高度な紫外線吸収性
が必要とされる。
【0003】上記のように塗料に紫外線吸収性を持たせ
るために、従来より、 (1) 容器壁を不透明にして反射させる。 (2) 塗料に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等、紫外線を
吸収及び/又は反射する金属酸化物を添加する。 (3) 容器壁表面に酸化亜鉛の蒸着皮膜を形成して、紫外
線を吸収及び/又は反射させる。 (4) 塗料に紫外線を吸収する添加剤を配合し、紫外線を
吸収する。等の方法が採用されている。
【0004】しかし、上記(1) 〜(3) の方法では、容器
壁は不透明となり、特に化粧品の場合のように、内容物
及び容器の外観に美しさを要する商品には、適用できな
い。また、上記(1) 〜(4) いずれの方法においても、塗
膜の耐熱性、耐湿性、耐薬品性、密着強度及び表面硬度
等を向上させるためには、高温で、又は低温の場合は長
時間乾燥する必要があり、
【0005】生産性が低く、量産化には加熱乾燥炉等
の設備が必要となる。 プラスチック、木材等、塗装される素材(以下、基材
という。)によっては変形、変色等を生ずる可能性があ
る。 加熱により変色することもあり、無色或いは透明な製
品が得られ難い。 上記(4) の紫外線吸収剤は、顕著な効果を得るため多
量に添加した場合は、塗膜が軟化するという弊害があ
り、また、それほど多量に添加しない場合であっても、
経時とともに紫外線吸収剤が塗膜表面に滲出し、特に塗
膜表面近傍が軟化するとともに、紫外線吸収性が低下す
る。等各種の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するものであり、特定波長の紫外線又は可視光線
によって容易に硬化し、且つ、硬化物の優れた紫外線吸
収性が長期に渡って維持される硬化性樹脂組成物、及び
この樹脂組成物に、特定波長の紫外線又は可視光線を照
射することによって、配合された紫外線吸収剤の影響を
ほとんど受けることなく硬化させることができ、また、
熱硬化のように、高温又は低温の場合は長時間の加熱乾
燥の必要がないため、生産性が高く、且つ、基材がプラ
スチック、木材等、高温下で変形、変色の恐れのある素
材であっても、何ら問題なく樹脂硬化物を製造すること
ができる方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、紫外線吸収剤の種類、及びそれと組
み合わせて使用する光開始剤について、詳細な検討を行
った結果、特定の重合体型紫外線吸収剤と、この紫外線
吸収剤の吸収波長を越えた、特定の高波長域で有効に作
用する光開始剤とを組み合わせることにより、上記の問
題点が解決されることを見出して、本発明を完成するに
至った。
【0008】第1発明の硬化性樹脂組成物は、光重合性
重合体及び/又は光重合性単量体、波長380nm未満
の紫外線を吸収する重合体型紫外線吸収剤、少なくとも
波長380nm〜400nmの長波長紫外線又は可視光
線領域において作用する光開始剤、並びに増感剤を含む
ことを特徴とする。また、第2発明は、第1発明の樹脂
組成物に、更に反応性化合物を配合したことを特徴と
し、第3発明は、第1発明の樹脂組成物に、この樹脂組
成物と実質的に反応しない重合体を配合したことを特徴
とする。
【0009】更に、第9発明の樹脂硬化物の製造方法
は、光重合性重合体及び/又は光重合性単量体、波長3
80nm未満の紫外線を吸収する重合体型紫外線吸収
剤、少なくとも波長380nm〜400nmの長波長紫
外線又は可視光線領域において作用する光開始剤、並び
に増感剤を含む硬化性樹脂組成物に、波長380〜40
0nmの長波長紫外線又は可視光線を照射し、反応、硬
化させることを特徴とする。また、第10発明は、この
硬化性樹脂組成物の使用時、第2発明において配合され
る反応性化合物を追加配合して、反応、硬化させること
を特徴とする。
【0010】上記「光重合性重合体」としては、不飽和
ポリエステル系重合体、アクリル系重合体、アルキド系
重合体及びエポキシ系重合体等、通常、紫外線等の照射
により硬化する重合体を使用できる。これら重合体は一
般にラジカル重合により反応、硬化するが、エポキシ基
等の導入によりカチオン重合により硬化させることもで
きる。また、この光重合性重合体は、単量体の2〜20
分子程度が重合した、所謂オリゴマーと呼ばれる低分子
量重合体から、分子量が数万から数十万の通常の高分子
量重合体、及びその中間の、分子量数百から数千のプレ
ポリマー等、いずれも使用できる。重合体としては、通
常、オリゴマー及びプレポリマーが多用され、高分子量
重合体は必要に応じて適宜使用される。これら重合体
は、それぞれ単独で用いてもよいし、硬化物の所要物性
或いは用途等によって適宜併用してもよい。
【0011】高分子量重合体としては、(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルの重合体が好適であり、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリ
レート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル
(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチル−1−ヘキシルアクリレート、3−ペン
チルアクリレート及び2−エチル−1−ブチルアクリレ
ート等の単独重合体、或いはそれらの共重合体などが挙
げられる。これらの重合体は1種のみを用いてもよい
し、2種以上を併用してもよい。
【0012】オリゴマー、プレポリマーとしては、例え
ば、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレー
ト系、ウレタンアクリレート系及びポリオールアクリレ
ート系等のオリゴマー或いはプレポリマーが使用でき
る。より具体的には、アジピン酸1,6−ヘキサンジオ
ールジアクリレート、ビスフェノールAエピクロルヒド
リンジアクリレート等が挙げられる。
【0013】上記「光重合性単量体」としては、2−エ
チルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−
ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフ
リールアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエ
チルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフ
ルフリルアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレ
ート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルメタクリ
レート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、ヘプタデカフロロデシ
ルアクリレート、イソホニルアクリレート、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、メトキシジエチ
レングリコールメタクリレート、エチレンオキサイド変
性フェノキシ化燐酸アクリレート、ポリスチリルエチル
メタクリレート及びN−ビニルピロリドン等の単官能ア
クリレートモノマーが挙げられる。
【0014】また、1,6−ヘキサンジオールジアクリ
レート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ジエチ
レングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコ
ールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジ
アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリ
コールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレ
ート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアク
リレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジメタクリレー
ト、イソシアヌレートのジアクリレート、長鎖脂肪族ジ
アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリアク
リレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプ
ロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ
ート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート
等の多官能アクリレートモノマーも使用できる。
【0015】上記光重合性単量体は、前記オリゴマー及
びプレポリマー等の光重合性重合体を希釈し、また、硬
化性樹脂組成物に、柔軟性、密着性及び速硬化性等の特
性を付与するため使用されるものである。光重合性重合
体と光重合性単量体の種類、その使用割合等は特に制限
はされず、重合体のみ或いは単量体のみの使用でもよい
し、或いはそれぞれ2種以上を併用してもよい。
【0016】上記「波長380nm未満の紫外線を吸収
する重合体型紫外線吸収剤」(以下、重合体型紫外線吸
収剤という。)としては、例えば、2−ヒドロキシ−4
−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン
と、メタクリル酸メチルとの共重合体を主成分とするベ
ンゾフェノン系重合体型紫外線吸収剤等が挙げられる。
上記2種の単量体の重量比は通常1:1程度であり、G
PC法によって測定した重量平均分子量は2〜3万から
25万程度のものがあり、通常、30重量%程度の濃度
の酢酸エチル溶液として提供される。
【0017】また、上記重合体型紫外線吸収剤は、上記
各成分を単に共重合したものであってもよいし、その分
子鎖に、イソシアネート基、カルボキシル基、水酸基及
びアミノ基等の活性な官能基を有する化合物をグラフト
結合等したものであってもよい。このように官能基を導
入した重合体型紫外線吸収剤は、光重合性重合体、光重
合性単量体或いは第2及び第10発明で使用される反応
性化合物等、他の成分と反応し、架橋構造が形成され、
得られる樹脂硬化物の耐熱性、機械的強度等が更に向上
するためより好ましい。
【0018】第2発明において使用される反応性化合物
としては、請求項8に記載の、イソシアネート基、アミ
ノ基等を有する化合物並びにシランカップリング剤など
を使用できる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート及びそれらのプレ
ポリマー或いはポリアミド樹脂等が挙げられる。これら
反応性化合物は、第1発明の組成物に配合し、常温或い
は50〜60℃程度に加温することにより硬化反応が進
むものであり、また、反応性化合物の配合により紫外線
等の照射による反応、硬化も進み易くなり、初期の照射
によって相当程度に硬化が進むため好都合である。
【0019】そのため、硬化性樹脂組成物そのもの或い
は塗装品等の製品などの取り扱いが容易で、また、紫外
線等の照射による反応、硬化が十分でない部分について
も均一に反応が進むため好ましい。この反応性化合物の
配合量は、第1発明の組成物100重量部に対して1〜
300重量部程度であればよく、1〜250重量部の範
囲が好ましい。この配合量は50〜150重量部程度が
より好ましく、この範囲であれば、反応性化合物の添加
による反応、硬化の促進効果が十分得られるとともに、
硬化性樹脂組成物が本来有する優れた性能が損なわれる
こともない。
【0020】また、第3発明において使用される重合体
は、硬化物の機械的強度等を向上させるための、補強材
として機能するものであり、各種重合体を特に制限する
ことなく使用できる。例えば、ポリメチルメタアクリレ
ート等のアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポ
リ塩化ビニル、ポリウレタン等の合成樹脂の他、ニトロ
セルロース、エチルセルロース等の繊維素誘導体などを
適宜使用でき、その配合量は、第1発明の組成物100
重量部に対して1〜200重量部程度である。
【0021】上記配合量は、例えばポリメチルメタアク
リレート等の合成樹脂では100〜150重量部程度が
好ましく、配合量がこの範囲であれば、十分な補強効果
が得られ、硬化性樹脂組成物本来の特性が損なわれるこ
とがなく好ましい。また、ニトロセルロース等の繊維素
誘導体は、分子量が大きく増粘剤として作用するととも
に、少量の添加で補強材として大きな効果が奏され、例
えば1〜5重量部程度配合して使用することもできる。
【0022】本発明では、第9及び第10発明のよう
に、波長380〜400nmの長波長紫外線又は可視光
線を樹脂組成物に照射して硬化させている。一方、上記
重合体型紫外線吸収剤は、波長380nm未満に極大吸
収波長を有するものであり、例えば330〜290nm
の波長域に極大吸収波長を有している。この紫外線吸収
剤は、波長380〜400nmの範囲では、できるだけ
透過率の高いものが好ましく、例えば、波長360nm
では透過率がほとんど0%に近く(吸収率が100%に
近く)、380nmでは透過率40〜50%、400n
mでは透過率が80%を越えるもの等が好適である。
【0023】尚、重合体型紫外線吸収剤の配合量は、光
重合性重合体及び/又は単量体、更には反応性化合物、
補強用の重合体等を配合した場合は、それらも含めた樹
脂成分の全量を100重量部とした場合に、紫外線吸収
剤がその固形分で3〜30重量部、特に5〜20重量部
の範囲が好ましい。紫外線吸収剤の配合量が3重量部未
満では、紫外線の吸収率が低く、効果が不十分であり、
30重量部を越える場合は、硬化物の機械的強度が低下
することがある。この配合量が5〜20重量部の範囲で
あれば、優れた紫外線吸収性を有する硬化物が得られ、
また、その機械的強度等が損なわれることもない。
【0024】上記「少なくとも波長380nm〜400
nmの長波長紫外線又は可視光線領域において作用する
光開始剤」(以下、単に開始剤という。)は、波長38
0nm以上の領域で透過率が実質的に100%であるよ
うなものを除き、波長380〜400nmの範囲である
程度の吸収ピークを有するものであれば使用できる。そ
の極大吸収波長も必ずしも波長380〜400nmの範
囲にある必要はなく、例えば、2,4−ジエチルチオキ
サントン(DETX)のように極大吸収波長は260n
mであり、波長380nmにおいて45%程度の吸収率
を有する開始剤も十分使用できる。
【0025】上記DETXと同様、波長380nmに吸
収ピークを有する開始剤として、4−クロロチオキサン
トン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4
−ジメチルチオキサントン及び4−イソプロピルチオキ
サントン等が挙げられ、同様に有効な開始剤として使用
できる。また、より好ましい開始剤としては、その極大
吸収波長が390nmのアリルケトン系の開始剤(例え
ば、メルク社製、商品名「ダロキュア1664」等)、
383nmの2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェ
ニルホスフィンオキサイド(TPO)等が挙げられ、こ
れら極大吸収波長が380nm以上である開始剤は、本
発明において極めて有用である。更に、上記TPOは、
得られる硬化物がほとんど着色しないという大きな利点
をも併せ有している。
【0026】尚、光重合性重合体が、エポキシ系重合体
或いはエポキシ基等が導入された重合体である場合は、
上記開始剤として、ヘキサフロロホスフェート、テトラ
フロロボレート等のアリルジアゾニウム塩、ジアリルヨ
ードニウム塩、PF6 、AsF6 、SbF6 のようなア
ニオンを持つアリルスルホニウム塩であるVIa族アリ
ロニウム塩等のカチオン重合触媒を使用できる。
【0027】上記「増感剤」は、開始剤に水素を供与し
活性化させるための化合物であり、例えば、3級アミン
類で隣接炭素に水素を有する化合物等を使用できる。具
体例としては、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル
エステル、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン、2−モルフォリノエタノール、エチル−4
−ジメチルアミノベンゾエート及びイソアミル−4−ジ
メチルアミノベンゾエート等が挙げられる。本発明にお
いて、これらの増感剤はいずれを用いてもよく、また、
2種以上を併用してもよい。
【0028】上記開始剤及び増感剤は、光重合性重合体
及び/又は単量体と重合体型紫外線吸収剤(固形分)の
合計量100重量部に対して、それぞれ0.5〜30重
量部、好ましくは2〜20重量部配合することができ
る。この配合量が0.5重量部未満では、紫外線等の照
射量を多くしても十分に硬化せず、30重量部を越える
場合は、硬化物の物性が低下し、また、着色、経時的な
劣化の促進等を生ずるため好ましくない。この配合量が
2〜20重量部、特に4〜10重量部の範囲であれば、
組成物の硬化が十分に進み、耐溶剤(アルコール)性に
優れた硬化物が得られより好ましい。
【0029】以上、本発明を構成する必須成分他につい
て詳細に説明したが、本発明の硬化性樹脂組成物には、
上記各必須成分などの他、ヒンダードアミン系等の光安
定剤、酸化防止剤、熱重合防止剤などの安定剤、レベリ
ング剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、防曇剤などの界
面活性剤等を適宜配合することができる。また、本発明
の硬化性樹脂組成物を、例えば塗料として使用する場
合、基材への塗布作業性、塗膜の平滑性、均一性及び基
材への密着性の向上等のために、適当な有機溶剤に溶解
して使用することが好ましい。
【0030】この溶剤中の硬化性樹脂組成物の濃度は、
溶剤と樹脂組成物との合計量を100重量部とした場合
に、10〜50重量部、特に15〜35重量部の範囲が
好ましく、10重量部未満では、粘度が低すぎて十分な
膜厚を確保できず、50重量部を越える場合は、膜厚の
管理が難しくなり、塗膜の外観が不良となる。濃度が1
5〜35重量部、特に20〜30重量部の範囲であれ
ば、溶液の粘度が適当であって塗布作業性等に優れ、ま
た、塗装管理が容易で、膜厚、外観等塗膜の品質が良好
であってより好ましい。
【0031】上記有機溶剤としては、例えば、エチルア
ルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピル
アルコール、イソブチルアルコール、ノルマルブチルア
ルコール等の低級アルコール、ベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトン、メチルエチ
ルケトン等のケトン類、ジオキサン等のエーテル類、酢
酸エチル、酢酸ノルマルブチル、酢酸イソブチル、酢酸
イソアミル等のエステル類、メチルセロソルブ、エチル
セロソルブ、ブチルセロソルブ等の多価アルコール誘導
体などの他、メトキシブタノール、メトキシプロパノー
ル等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種のみを用い
てもよいし、適宜2種以上を併用してもよい。
【0032】本発明の硬化性樹脂組成物は、上記各成分
を、また必要に応じて艶消剤、増粘剤等として作用する
顔料を配合し、超音波分散、混練ロール、ニーダー、サ
ンドミル、ボールミル、ディゾルバー及び羽型攪拌機等
の公知の混合機器によって混練することにより調製でき
る。また、上記組成物は、例えば、化粧品等の容器に塗
布し、硬化させることにより、内容物を紫外線から保護
することができるが、塗布の方法としては、刷毛塗り、
流し塗り、スプレー塗布、回転塗布或いは浸漬塗布など
種々の方法を採り得る。これら各種塗布方法の中では、
作業性、塗膜の平滑性、均一性等の面からは浸漬塗布が
好ましく、また、成形品の形状依存性の面からはスプレ
ー塗布が好ましい。
【0033】更に、上記組成物に紫外線又は可視光線を
照射し、硬化物を製造するためには、実用性、経済性の
面から紫外線ランプが用いられる。紫外線ランプとして
は、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ラン
プ、キセノンランプ及びメタルハライドランプ等いずれ
も使用できるが、本発明では、紫外線吸収剤の影響を受
け難い380nm以上の長波長域での硬化を特徴として
おり、水銀ランプよりも長波長域で、且つ、連続した紫
外線を放出するメタルハライドランプの使用がより好ま
しい。
【0034】本発明の硬化性樹脂組成物を使用して、耐
候性等に優れた容器などを得ることができるが、基材と
しては、プラスチック、木材、金属等特に制限はされな
い。そして、本発明では、通常、加熱硬化を必要としな
いため、耐熱性の低いプラスチック、木材等への適用に
おいても極めて有用である。また、本発明では、紫外線
等を照射した後、特にメチロールアミノ基等を有する反
応性化合物を使用した場合など、それぞれの基材の耐熱
性に応じた温度において、樹脂硬化物を所要時間加熱
し、硬化をより確実に、より均一にすることもでき、そ
のようにすれば更に硬度の高い優れた物性等を有する硬
化物が得られる。
【0035】尚、上記のプラスチックとしては熱可塑性
樹脂、熱硬化性樹脂を問わず、各種樹脂を使用でき、例
えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、アク
リロニトリル−スチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ABS
樹脂、ポリエステル、ポリアミド等を使用でき、それら
樹脂からなるフィルム、シート、ロッド、容器などに、
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させ、耐候性
塗膜を形成することができる。
【0036】
【作用】本発明は、380nm未満の波長領域におい
て、紫外線吸収剤として有効に作用する重合体型の紫外
線吸収剤を配合した硬化性樹脂組成物に、波長380〜
400nmの長波長紫外線又は可視光線を照射し、硬化
させることを最も大きな特徴とする。上記重合体型紫外
線吸収剤は、例えば、アクリル系樹脂の側鎖に、従来よ
り紫外線吸収剤として多用されているベンゾフェノンを
結合したものが提供されている。このものは波長360
nm辺りまでは透過率が実質的に0%であるが、以降急
激に透過率が高まり、本発明において、組成物を硬化さ
せるための波長領域380〜400nmでは、透過率は
40〜50%から80%程度にまで高くなる。
【0037】紫外線は380nm以上の長波長領域で
は、そのエネルギーが弱く、従来、光硬化はエネルギー
の高い360nm以下の波長領域で実施されている。し
かし、この領域は多くの紫外線吸収剤の有効な吸収波長
域と重なるため、紫外線吸収剤の極大吸収波長と硬化の
ため照射する紫外線の波長をずらせたり、或いは紫外線
吸収剤の配合量を低減したり、又はまったく配合しない
で硬化させる等の方法が採られてきた。本発明では、従
来の通常の方法とは異なり、波長380〜400nmの
長波長域の紫外線等を照射することにより硬化させるも
のであり、この波長領域で透過率の高い重合体型紫外線
吸収剤と、この波長領域で有効に作用する光開始剤とを
組み合わせることにより、実用的な樹脂硬化物を得るこ
とができるものである。
【0038】従来、紫外線吸収剤としては、単量体化合
物からなるものが使用されているが、これらは樹脂組成
物に多量に配合した場合、物性が極端に低下したり、硬
化物が高温の環境に晒されれた場合、或いは有機溶剤な
ど紫外線吸収剤を溶解する物質と接触した場合などに、
硬化物からブリードアウトし、優れた紫外線吸収性が長
期間維持されないという問題がある。しかし、本発明に
おいて使用する重合体型紫外線吸収剤は、基本的に高分
子量重合体からなるため、そのような問題がなく、特に
その骨格が、光硬化型樹脂組成物の重合体成分として多
用されるアクリル系樹脂により構成されている場合は、
よりブリードアウトし難く、より長期に渡って優れた紫
外線吸収性が維持される。
【0039】また、上記重合体型紫外線吸収剤は、第5
発明のように、その分子中にアクリロイル基、水酸基、
アミノ基等の官能基を有するものとしてもよく、このよ
うにすれば、紫外線吸収剤そのものが他の成分、例え
ば、光重合性重合体、単量体或いは硬化性樹脂組成物に
添加される反応性化合物と反応して、それらの間に架橋
構造を形成し、硬化物の機械的強度等がより向上し、且
つ、紫外線吸収剤のブリードアウトもより一層抑えられ
る。
【0040】更に、従来の加熱硬化型の樹脂組成物で
は、硬化物の耐熱性、基材との密着強度、表面硬度等、
優れた物性等を有する硬化物を得るためには、高温で、
若しくは温度が低い場合は長時間、乾燥する必要がある
ため、量産性が低く、加熱炉等大型の設備が必要であ
り、また、基材がプラスチック等では、加熱により変
形、変色する恐れがある等の問題がある。これに対し、
本発明では、紫外線等照射後、基材の耐熱性等に応じて
加熱硬化工程を加えることもできるが、通常、紫外線又
は可視光線の照射により速やかに、且つ十分に硬化させ
ることができ、基材の耐熱性もそれほど考慮する必要は
ない。また、照射量等適宜調整することにより、樹脂組
成物の表面層を、粘着性を有しない程度に硬化させるこ
とにより、速やかに次工程に移ることができ、或いはそ
のまま長期間在庫しておくこともできるという利点もあ
る。
【0041】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳しく説明す
る。 (1) 重合体型紫外線吸収剤、光重合性重合体及び/又は
単量体の処方 下記の各成分を用い、表1の配合割合の樹脂成分を調製
した。 重合体型紫外線吸収剤(A):ベンゾフェノン系重合
体型紫外線吸収剤、重量平均分子量;250000(B
ASF社製、商品名「UVA−935LD」 重合体型紫外線吸収剤(B):ベンゾフェノン系重合
体型紫外線吸収剤、重量平均分子量;30000(BA
SF社製、商品名「UVA−633L」 光重合性重合体(オリゴマー):ポリエステル型アク
リレート(東亞合成株式会社製、商品名「M−570
0」) 光重合性単量体:ペンタエリスリトールテトラアクリ
レート(日本化薬株式会社製、商品名「カヤラドPET
A」) 希釈用溶剤:トルエン、メチルエチルケトン及びイソ
プロピルアルコール 尚、上記及びは固形分30重量%の酢酸エチル溶液
である。また、表1中の数値は重量部を表す。
【0042】
【表1】
【0043】(2) 開始剤及び増感剤の処方 下記の各開始剤及び増感剤を表2に示す割合で混合し、
表1の処方の樹脂成分に配合した。 1)開始剤 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン
−1−オン(メルク社製、商品名「ダロキュア 117
3」) 2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬株式会社
製、商品名「KAYACURE DETX」) TPO(BASF社製、商品名「ルシリンTPO」) 2)増感剤 p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル(日本
化薬株式会社製、商品名「KAYACURE DMB
I」) 尚、表2中の数値は、表1の樹脂成分中、紫外線吸収剤
の固形分、オリゴマー及び単量体の合計量100重量部
に対する重量部を表す。
【0044】
【表2】
【0045】(3) 長波長紫外線又は可視光線の照射及び
硬化塗膜の評価(その1) 表1の樹脂成分と表2の開始剤成分(a)及び(b)を
組み合わせ、得られる各硬化性樹脂組成物を規定膜厚に
なるように、100×200×2(厚さ)mmのメチル
メタクリレート樹脂板上にスプレーガンによって塗布
し、大気中、塗膜表面に高圧水銀ランプ(出力:80w
/cm)の光を照射し、硬化させた。上記樹脂成分と開
始剤成分との組み合わせ及び照射量を変えた場合の、塗
膜の耐アルコール性を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】上記のようにして得られた硬化塗膜の塗膜
厚及び耐アルコール性は、下記の方法によって評価し
た。 塗膜厚:上記各硬化性樹脂組成物を同時に鉄板にも塗
布し、硬化させた後、電磁膜厚計によって測定した。 耐アルコール性:生成した各硬化塗膜を、メチルメタ
クリレート樹脂板に密着した状態で、40℃に保たれた
99%エチルアルコール中に24時間浸漬し、塗膜の硬
化状況及び密着の度合いを目視及び手触により評価し
た。評価基準は下記の通りである。 ○;異常なし、○△;僅かにブリスターが発生、△;塗
膜に膨れが発生、△×;塗膜に縮みが発生、×;塗膜が
縮んだ後剥離
【0048】表3の結果によれば、樹脂成分として重合
体型紫外線吸収剤(A)が配合された(1) と、波長38
0nm以上ではほとんど作用しない開始剤成分(a)と
を使用した場合は、塗膜厚に関係なく、また、1000
mJ或いは1500mJもの照射量によっても、耐アル
コール性の結果はいずれも×又は△×であり、塗膜が相
当縮んだ後、メチルメタクリレート樹脂板から完全に剥
離してしまった。これは硬化がほとんど進まず(特に、
表面のみが硬化し)、エチルアルコールのような溶解性
の低い溶剤にも耐えられないことを表している。
【0049】しかし、同様に開始剤成分として(a)を
使用しても、樹脂成分として紫外線吸収剤が配合されて
いない(2) を使用した場合は、照射量が275mJで
も、耐アルコール性は○となっている。この開始剤成分
として(a)を使用した例は、本発明とは直接関係ない
実験例であるが、このように紫外線吸収剤の影響による
硬化の可否が明瞭に結果に現れている。
【0050】一方、開始剤成分として、波長380nm
以上の領域で有効に作用する(b)を使用し、樹脂成分
として(1) 、(3) 及び(4) を使用した場合は、照射エネ
ルギーが275mJ程度でも、耐アルコール性は○△で
あり、エネルギーが550mJでは○となっており、樹
脂成分に配合された紫外線吸収剤の量及び種類にかかわ
りなく、その影響をほとんど受けず、いずれの場合も樹
脂の硬化が効率よく進んでいることが分かる。
【0051】(4) 長波長紫外線又は可視光線の照射及び
硬化塗膜の評価(その2) 表1の樹脂成分(1) 、(3) 、(4) と表2の開始剤成分
(c)〜(l)を表4のように組み合わせ、(3) と同様
にして硬化性樹脂組成物を調製し、同様にして硬化さ
せ、得られた硬化塗膜の性能を評価した。但し、この実
験例では紫外線等の照射量は275mJに固定した。ま
た、(3) の場合の塗膜厚と耐アルコール性の他に、メチ
ルメタクリレート樹脂板への密着性、塗膜の黄変性及び
紫外線吸収性を、それぞれ下記の方法により評価した。
【0052】
【表4】
【0053】メチルメタクリレート樹脂板への密着
性:JIS K−5400−6−15に定められた碁盤
目試験。評価基準は下記の通りである。 ○△;2〜3目/100目が剥離 黄変性;目視による。評価基準は下記の通りである。 ○;まったく黄変なし、△;少し黄色に着色、△×;か
なり黄色に着色 紫外線吸収性:紫外可視分光光度計によって測定し
た。評価基準は下記の通りである。 ○;390nmまでほぼ100%吸収、○△;350n
mまでほぼ100%吸収、△;330nmまでほぼ10
0%吸収 結果を表4に併記する。
【0054】表4の結果によれば、開始剤を1.2重量
部とし、増感剤を1.2、0.6及び0.3重量部と漸
減させた開始剤成分(c)、(d)、(e)を使用した
実験例では、結果に差はなく、開始剤が十分量であれ
ば、増感剤量にかかわりなくほぼ良好な結果となってい
ることが分かる。また、開始剤を0.6重量部とし、同
様に増感剤を漸減した(f)、(g)、(h)の場合
は、耐アルコール性が増感剤の減少につれて低下してい
る。更に、開始剤を0.3重量部とし、増感剤を漸減し
た(i)、(j)、(k)では、増感剤の配合量にかか
わりなく耐アルコール性が劣っている。
【0055】また、樹脂成分を(1) から(3) 或いは(4)
に変えた場合、開始剤成分の量が十分であれば、良好な
耐アルコール性を有する硬化物が得られることが分か
る。更に、開始剤としてTPOを採用した開始剤成分
(l)を使用した場合、黄変性の結果が○となってお
り、TPOがこの点において非常に優れた性能を有する
ことが分かる。尚、表4の結果においては、紫外線等の
照射量が275mJと低レベルであるため、一部で耐ア
ルコール性に劣る結果となっているが、表3の結果から
容易に類推されるように、耐アルコール性は照射量を上
げることにより向上させることができる。
【0056】(5) 本発明の効果の確認 本発明では、波長380nm未満の紫外線を吸収する重
合体型紫外線吸収剤及び少なくとも波長380〜400
nmの領域で作用する開始剤を使用しているが、これら
は上記波長域外においても当然に、ある程度それぞれの
作用を有するものである。また、硬化のために使用する
水銀ランプ等もそれぞれ特有の吸収波形を示し、照射光
は広い波長範囲を有するものである。
【0057】そのため、本発明の硬化性樹脂組成物及び
硬化方法の有効性を確認する意味で、高圧水銀ランプと
メタルハライドランプを使用し、これらのランプの照射
光のすべてをカットした場合、及び380nm未満の波
長域をカットした場合について比較実験をした。表5に
は、樹脂成分及び開始剤成分の組成及び塗膜厚、耐アル
コール性並びに鉛筆硬度の結果を示す。尚、鉛筆硬度
は、JIS K 5400−6−15の碁盤目試験によ
って評価した。また、表5中、高圧灯は高圧水銀ランプ
の、MHLはメタルハライドランプの略である。
【0058】
【表5】
【0059】表5の結果によれば、全波長域をカットし
た場合と、380nm未満の波長域をカットした場合で
は、耐アルコール性及び鉛筆硬度ともに明らかに差があ
る。全波長域カットした場合は、開始剤成分の種類、紫
外線吸収剤の配合の有無、ランプの種類等にかかわりな
く、すべての実験例において、照射量が1100mJと
高い場合でも、耐アルコール性は×又は△×となってお
り、また、鉛筆硬度も最高でもFとなっており、硬化が
ほとんど進んでいないことが分かる。
【0060】一方、380nm未満の波長域のみをカッ
トした場合は、照射量が275mJと低くても、耐アル
コール性は○或いは少なくとも△であり、照射量が11
00mJでは、すべての実験例で○となっている。更
に、鉛筆硬度もF〜H又はH〜2Hと高く、本発明の効
果が十分に立証された。また、高圧水銀ランプに比べ長
波長域で連続した紫外線を放出するメタルハライドラン
プがより有効であることも実証された。
【0061】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。例え
ば、前記実施例では、メチルメタクリレート樹脂に塗装
した塗料としての用途を記載したが、この他、本発明の
硬化性樹脂組成物は各種用途に適用できる。具体的に
は、各種印刷、印刷配線板等に使用されるインキ、パー
ティクルボードの目止、艶消し等木工用、アルミ蒸着、
アンダーコート等紙用、防錆等金属用、塩化ビニール製
建材、レンズ等のプラスチック用などの塗料、光学用メ
ガネ、プリズム等レンズ用、チップ実装、液晶セル封止
等の電気関連用などの接着剤、ガラスファイバーの被
覆、コンパクトディスク、レーザーディスクの被覆、各
種カード類の被覆などのコーティング材などの他、印刷
版材、ドライフィルムレジスト、テレビシャドーマスク
等の微細加工用、或いは醗酵工業(アルコール、医薬品
等の製造)、食品工業(排水処理)などにおける酵素の
固定等が挙げられる。
【0062】
【発明の効果】第1発明の硬化性樹脂組成物は、特定の
重合体型紫外線吸収剤と、この特定の長波長領域で有効
に作用する開始剤及び増感剤を組み合わせて使用してい
るため、上記長波長紫外線又は可視光線の照射によって
効率よく硬化することができる。しかも、重合体型紫外
線吸収剤は、従来の単量体型紫外線吸収剤とは異なり、
多量に配合した場合、或いは硬化物が高温環境に晒され
た場合でも、ほとんどブリードアウトすることがなく、
優れた紫外線吸収性が長期間維持される。
【0063】また、上記重合体型紫外線吸収剤が、第5
発明のように、その分子中に特定の官能基を有する場合
は、紫外線吸収剤そのものが他成分、例えば、光重合性
重合体等と反応して、架橋構造が形成され、より機械的
強度等に優れた硬化物を得ることができる。更に、光開
始剤が、第7発明に特定した開始剤である場合は、紫外
線吸収剤の影響をほとんど受けることなく、組成物を効
率よく硬化させることができ、特に開始剤としてTPO
を使用した場合は、硬化物が実質的に着色せず、容器の
透明性或いは美しさ等が問題となる化粧品用容器等に好
適な硬化物が得られる。
【0064】更に、第2発明では、第1発明の組成物
に、特に第8発明に記載したイソシアネート基、エポキ
シ基等の官能基を有する反応性化合物を配合することに
より、紫外線等の照射以外に常温或いは50〜60℃程
度に加温することにより、組成物の反応、硬化が進み、
より優れた性能の硬化物が得られる。更に、第3発明の
ように、重合体を配合することによっても、同様により
優れた物性等を有する硬化物を得ることができる。
【0065】また、第9及び第10発明は、第1〜8発
明の硬化性樹脂組成物に、従来の紫外線硬化型樹脂とは
異なる、長波長域の紫外線又は可視光線を照射し、これ
を硬化させる方法に関するものであり、この照射波長域
では、上記重合体型紫外線吸収剤は透過率が非常に高い
ため、紫外線吸収剤の吸収作用の影響をほとんど受け
ず、効率的に組成物の硬化ができる。また、特に第10
発明のように、使用時に、第8発明の反応性化合物を追
加配合することにより、長期間在庫等した後の硬化性樹
脂組成物を効率よく硬化させることができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光重合性重合体及び/又は光重合性単量
    体、波長380nm未満の紫外線を吸収する重合体型紫
    外線吸収剤、少なくとも波長380nm〜400nmの
    長波長紫外線又は可視光線領域において作用する光開始
    剤、並びに増感剤を含むことを特徴とする硬化性樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 光重合性重合体及び/又は光重合性単量
    体、波長380nm未満の紫外線を吸収する重合体型紫
    外線吸収剤、少なくとも波長380nm〜400nmの
    長波長紫外線又は可視光線領域において作用する光開始
    剤、並びに増感剤を含む樹脂組成物に、該樹脂組成物と
    反応する反応性化合物を配合したことを特徴とする硬化
    性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 光重合性重合体及び/又は光重合性単量
    体、波長380nm未満の紫外線を吸収する重合体型紫
    外線吸収剤、少なくとも波長380nm〜400nmの
    長波長紫外線又は可視光線領域において作用する光開始
    剤、並びに増感剤を含む樹脂組成物に、該樹脂組成物と
    実質的に反応しない重合体を配合したことを特徴とする
    硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 上記光重合性重合体は、アクリル系重合
    体、メタクリル系重合体及びビニル系重合体から選ばれ
    る少なくとも1種である請求項1、2又は3記載の硬化
    性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 上記重合体型紫外線吸収剤は、その分子
    中に、アクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、エポ
    キシ基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の官能基を
    有するものである請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂
    組成物。
  6. 【請求項6】 上記光開始剤及び上記増感剤の含有量
    は、上記光重合性重合体及び/又は光重合性単量体と上
    記重合体型紫外線吸収剤の合計量100重量部に対し
    て、それぞれ3〜30重量部である請求項1、2又は3
    記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 上記光開始剤は、アリルケトン、2,
    4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオ
    キサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、4−クロ
    ロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサン
    トン、2,4−ジメチルチオキサントン及び4−イソプ
    ロピルチオキサントンから選ばれる少なくとも1種を含
    む請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 上記反応性化合物は、イソシアネート
    基、アミノ基、エポキシ基及びメチロールアミノ基のう
    ちの少なくとも1種の官能基を有する化合物、並びにシ
    ランカップリング剤及びチタンカップリング剤から選ば
    れる少なくとも1種である請求項2記載の硬化性樹脂組
    成物。
  9. 【請求項9】 光重合性重合体及び/又は光重合性単量
    体、波長380nm未満の紫外線を吸収する重合体型紫
    外線吸収剤、少なくとも波長380nm〜400nmの
    長波長紫外線又は可視光線領域において作用する光開始
    剤、並びに増感剤を含む硬化性樹脂組成物に、波長38
    0〜400nmの長波長紫外線又は可視光線を照射し、
    反応、硬化させることを特徴とする樹脂硬化物の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 光重合性重合体及び/又は光重合性単量
    体、波長380nm未満の紫外線を吸収する重合体型紫
    外線吸収剤、少なくとも波長380nm〜400nmの
    長波長紫外線又は可視光線領域において作用する光開始
    剤、並びに増感剤を含む樹脂組成物に、該樹脂組成物と
    反応する反応性化合物を配合し、更にこの樹脂組成物の
    使用時、上記反応性化合物を追加配合し、その後、波長
    380〜400nmの長波長紫外線又は可視光線を照射
    し、反応、硬化させることを特徴とする樹脂硬化物の製
    造方法。
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