JPH0813368A - ビール穀皮の処理方法およびこの処理方法によって得られた繊維状物を利用した製品 - Google Patents

ビール穀皮の処理方法およびこの処理方法によって得られた繊維状物を利用した製品

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JPH0813368A
JPH0813368A JP16332294A JP16332294A JPH0813368A JP H0813368 A JPH0813368 A JP H0813368A JP 16332294 A JP16332294 A JP 16332294A JP 16332294 A JP16332294 A JP 16332294A JP H0813368 A JPH0813368 A JP H0813368A
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beer
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pulp
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Toshiyuki Ishii
俊行 石井
Kazuhiko Yamamoto
一彦 山本
Shigeo Suzuki
茂男 鈴木
Tadayoshi Kurebayashi
忠義 紅林
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TOKAI PULP KK
Kirin Brewery Co Ltd
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TOKAI PULP KK
Kirin Brewery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ビール工場の副産物から得られるビール穀皮
を、従来ゴミ公害で敬遠されつつある発泡ポリエチレン
およびポリスチレン等に代わるパルプモールド品や各種
紙製品の主原料、即ち、木材繊維の代替繊維として有効
利用する。 【構成】 ビール製造工場の副産物から得られる硬い固
形物状のビール穀皮を、アルカリ処理により脱灰分し、
柔軟性を付与した穀皮繊維状物にすることによって、木
材繊維等のスラリー中への分散性を解決し、さらに、叩
解工程を付加することによって該繊維状物のフィブリル
化を促進し、該繊維状物同士または該繊維状物と木材繊
維等の絡み合いおよび水素結合強度を改善する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ビール製造工場の副
産物から得られる穀皮(以下、ビール穀皮という。)の
処理方法及びこの処理方法によって得られた繊維状物を
利用したパルプモールド品や各種紙製品に係り、特に、
従来からゴミ公害として問題の多い発泡ポリエチレンお
よびポリスチレン等に代わる包装材としての有効利用を
可能にすると共に、従来の木材繊維を主原料としたパル
プモールド品や各種紙製品における木材繊維の使用量を
大幅に減少させることにより、資源の保護に寄与するこ
とのできるビール穀皮の処理方法及びこの処理方法によ
って得られた繊維状物を利用した製品に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】周知のように、ビール製造工場
では副産物として膨大なビール穀皮[例えば、ビール製
造工程で副産物として発生するビール粕(モルトフィー
ド)等から得られるものをいう。]が生み出されている
が、このビール穀皮は非常に腐敗し易く、その臭気も強
い、という問題を有し、各ビール製造工場では、このビ
ール穀皮の取り扱いに苦慮しているのが現状である。
【0003】ところで、上記ビール穀皮は、上記問題を
有してはいるものの、もみ殻等と同様に繊維を豊富に含
んでおり、これを、例えば、もみ殻等を使用したパルプ
モールド品等のように、有効利用できる方法の出現が当
該技術分野では強く要望されていた。
【0004】しかしながら、ビール穀皮の場合、穀皮状
態のまま、例えば、木材パルプスラリー中に混合する
と、繊維同士の絡み合いや水素結合も不足するため、強
度面において単なるカタサ向上や増量材としての効果に
は寄与するが、破裂強度・引き裂き強度等の向上は無
く、逆に穀皮の混合比率の増加による低下が著しいた
め、穀皮状態のままではパルプモールド品や各種紙製品
の主原料として用いることができない、という問題点を
有していた。
【0005】また、穀皮状態での混合は、その沈降速度
等が木材パルプと異なるため、木材パルプスラリー中へ
の均一な分散が難しく、また、原料精選工程におけるク
リーナー装置通過時に、異物として大量に系外へと排出
されてしまうので、歩留まりが大幅に低下してしまう、
という問題を有していた。
【0006】さらに、ビール穀皮は、非常に臭気が強
く、周知の抄紙方法では、製品にその臭気が残存してし
まう、という問題も有していた。
【0007】また、上記ビール穀皮は繊維の絡み合いが
無いため、抄紙の脱水および乾燥工程においても離脱散
乱し、各用具の汚れを促進し、工程および製品不良の原
因となり、更には、パルプモールドおよび紙の製品表面
からも穀皮が簡単に離脱し、後の印刷工程等で、版へ大
量に付着し、良好な印刷仕上がりを得ることが不可能で
あった。
【0008】尚、上記ビール穀皮の離脱防止対策として
は、バインダーの検討等も考えれらるが、最も効果的な
のは、紙の中間層にのみビール穀皮を混入し、表裏層に
はビール穀皮を混入しない方法が挙げられる。
【0009】しかしながら、ビール穀皮は非常に硬いた
め、紙の抄紙工程においてキャレンダーロールで紙を締
めるときに、目標とする紙の平滑性が得られないばかり
か、後工程で紙表面の凹凸を原因とする印刷不良を招き
易い、という問題を有していた。
【0010】そこで、本発明者等は、公知の技術である
特公昭56−22991号公報や特公昭60−4313
号公報および特開平4−174791号公報等に示され
ているアルカリ処理条件を基にビール穀皮を処理してパ
ルプ化を実験してみたが、これらの公知技術に開示され
ているアルカリ処理のみでは、ビール穀皮を木材繊維に
代わり得る程度にパルプ化し得ないことが判明した。
【0011】即ち、木材繊維に代わり得るビール穀皮繊
維状物は、次の叩解工程で、いかに効果的なフィブリル
化ができるかが重要で、そのためにはアルカリ水溶液の
モル濃度、処理温度および処理後の繊維状物の灰分含有
量の3条件が特定範囲になるように処理された繊維状物
でなければ、次の工程で繊維状物同士または繊維状物と
木材繊維等との絡み合いおよび水素結合強度の改善のた
めの適切な叩解ができないことが判明した。さらに、適
正範囲での処理によって得られた繊維状物を用いること
で、ビール穀皮の利用分野を大幅に拡大することが可能
であることを見出した。
【0012】この発明は、かかる知見に基づき創案され
たものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】即ち、この発明は、硬い
固形物状のビール穀皮を、アルカリ水溶液(例えば、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)処理により脱灰分
し、柔らかな穀皮繊維状物とすることによって、木材繊
維等のスラリー中への分散性を解決し、さらに、叩解工
程を付加することによって該穀皮繊維状物のフィブリル
化を促進し、該穀皮繊維状物同士または該穀皮繊維状物
と木材繊維等との絡み合いおよび水素結合強度を改善し
て、各種の発現強度の向上を図った。
【0014】上記処理により得られる繊維状物は、パル
プモールド品や各種紙製品の主原料として用いることが
できる。パルプモールド品に混合する場合には、パルプ
モールド品の重量に対し、最大90重量%の比率まで混
合することができ、また、紙製品の場合には、紙製品の
重量に対し、最大80重量%の比率まで混合することが
できるが、強度を重視する場合は50重量%の比率まで
の混合が好ましい。
【0015】ところで、前記の硬い固形物状のビール穀
皮を繊維状物にするため、本発明に係る処理が施されて
いないビール穀皮のリファイナーによる機械処理テスト
を実施した結果、繊維状物はほとんど得られず、穀皮の
大部分は微細物となり、これがパルプモールド品や各種
紙製品の成形性に悪影響を及ぼすことから、このままで
は本発明のパルプモールド品や各種紙製品の主原料には
なり得ないことが解った。
【0016】尚、ビール穀皮が微細化する理由は、ビー
ル穀皮の灰分(含有量=4乃至6重量%)中の多くを占
める硬くて脆いシリカ成分を含有しているためであるこ
とが解った。
【0017】また、高温・高圧下での爆砕処理テストを
実施した結果においても、穀皮の微細化物の発生が多
く、これがパルプモールド品や各種紙製品の成形性に悪
影響を及ぼすことも解った。
【0018】さらに、高温・高圧下での化学およびセミ
ケミカル蒸解処理テストを実施した結果、繊維状物の繊
維長分布(JIS P−8207)では150メッシュ
通過が50重量%以上と極めて短繊維状物が多くなり、
強度が著しく弱化するため、これもパルプモールド品や
各種紙製品の成形性および強度に悪影響を及ぼすことが
解った。尚、通常の高歩留りパルプの150メッシュ通
過は、10重量%程度である。
【0019】これらの実験結果を基に、種々の実験を重
ねた結果、硬い固形状物のビール穀皮を柔らかな穀皮繊
維状物にするため、種々のモル濃度アルカリ水溶液中
で、かつ、50乃至100℃で処理テストを実施した結
果、0.1乃至1.0モル濃度アルカリ水溶液中での処
理が、次の叩解工程で該繊維状物をフィブリル化するに
最も適した繊維状物の長さおよび均一性が得られること
が解った。尚、0.1モル濃度未満アルカリ水溶液中で
の処理では、脱灰分が不十分なため、繊維状物の柔らか
さが不足し、次の叩解工程において繊維状物のフィブリ
ル化よりも微粉化の促進が見られ、また、1.0モル濃
度を超すアルカリ水溶液中での処理では、前記化学およ
びセミケミカル蒸解処理の場合と同様な傾向が見られ
た。
【0020】このように、0.1乃至1.0モル濃度ア
ルカリ水溶液中での処理によって得られた柔らかな穀皮
繊維状物は、150メッシュ通過分が20重量%以下で
あり、これが叩解装置にてフィブリル化を促進し、本発
明のパルプモールド品或は紙製品の主原料である繊維状
物同士または繊維状物と木材繊維等との絡み合いおよび
水素結合を大幅に改善させることができる。特に、パル
プモールド品の場合には、0.3乃至1.0モル濃度の
アルカリ水溶液中で処理するのが品質的にも望ましく、
また、段ボール原紙の中層等に配設される紙製品の場合
には、0.1モル濃度のアルカリ水溶液で処理しても、
十分使用に耐えられることが解った。
【0021】また、各種発現強度を向上するための叩解
度としては、カナディアン・スタンダード・フリーネス
で150乃至650ccが適しているが、最適範囲とし
ては、300cc乃至500ccであることを見い出し
た。尚、パルプモールド品の場合、カナディアン・スタ
ンダード・フリーネスが300cc未満では、厚さ方向
の脱水むらが発生して水切れが悪くなるため、パルプモ
ールド品の成形性および生産性に悪影響があり、また、
紙製品の場合は、カナディアン・スタンダード・フリー
ネスが150cc未満になると、抄紙の脱水工程から来
る生産性に悪影響があり、さらに、カナディアン・スタ
ンダード・フリーネスが650ccを超すと、繊維状物
のフィブリル化不足による各種発現強度の向上が少な
く、本発明のパルプモールド品や紙製品の主原料にはな
り得ない。
【0022】上記のように叩解された柔らかな穀皮繊維
状物は、該繊維状物単独のスラリー或は木材繊維等を混
合したスラリー状で、透水性の型に充填し、減圧脱水工
程を経て乾燥或はプレス加工・乾燥という、所謂パルプ
モールド品製造工程や公知の抄紙工程を経て本発明のパ
ルプモールド品や紙製品となるが、その穀皮繊維状物の
混合比率は、パルプモールド品の場合には最大90重量
%まで可能であり、また、紙製品の場合には最大80重
量%まで可能である。上記各重量%を超えた混合比率に
なると、該穀皮繊維状物の長さ限界或は強度限界等を原
因としたパルプモールド品または紙製品の生産歩留りの
低下が見られるためである。
【0023】この発明にあっては、上記処理によるパル
プモールド品を、電器製品およびその部品・精密機器お
よびその部品や、硝子・缶・プラスチック等の荷扱い等
における損傷を防止する包装用支持部材・緩衝材および
包装材として、または、水産物・農産物およびそれらの
加工品等、食品を包装する包装材として最も好適であ
る。
【0024】また、この発明において、上記処理により
得られた紙製品は、台所や洗面所・浴室・トイレ等で使
用されるペーパータオル等の吸水機能が求められる衛生
用紙や、機器・農産物・水産物及びその加工品等の包装
材に用いられ、特に、圧縮強度(JIS P−812
6)が要求される段ボール原紙、または、美粧性および
印刷適正が要求される板紙や手提げ袋・封筒等に用いら
れる包装洋紙として最も好適である。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るビー
ル穀皮の処理方法によれば、ビール工場の副産物から得
られるビール穀皮を、従来ゴミ公害で敬遠されつつある
発泡ポリエチレンおよびポリスチレン等に代わるものと
して注目されているパルプモールド品や各種紙製品の主
原料、すなわち、木材繊維の代替繊維として有効利用す
ることができ、地球資源の有効利用と自然保護に多大な
る貢献をすることができる。
【0026】勿論、上記処理方法により得られた本発明
のパルプモールド品や紙製品は、従来の木材繊維を主原
料としたパルプモールド品や紙製品と同様、故紙として
の回収が可能であり、このことは、パルプモールドとし
ての再利用或は製紙用故紙原料として再利用が可能であ
る。
【0027】以下、この発明の実施例を説明する。
【0028】
【実施例1】ビール製造工場の副産物から得られるビー
ル穀皮を、絶乾重量で6kgを用意し、一方では、0モ
ル濃度,0.1モル濃度,0,3モル濃度,0.5モル
濃度,1.0モル濃度,1.5モル濃度の6種類のアル
カリ水溶液(水酸化ナトリウム)を夫々用意した。
【0029】そして、先ず、ビール穀皮各1kgを回転
式オートクレープに入れ、これに前記各モル濃度のアル
カリ水溶液を各々液比7の比率で注入し、90℃・12
0分で処理した後、pH8前後まで洗浄した後、灰分
(JIS P−8204)および繊維長(JIS P−
8207)を測定した。その結果を表1に示す。
【0030】また、上記処理で得られた繊維状物を、容
量10リットルのナイアガラビーターで夫々叩解し、カ
ナディアン・スタンダード・フリーネス450ccに調
成した。
【0031】このように調成した繊維状物を、各モル濃
度処理繊維状物30重量%・木材繊維70重量%の配合
にて坪量120g/m2 の手抄シート(JIS P−8
209で規定する装置による)を作成した。これら各手
抄シートの破裂強度(JISP−8112)および圧縮
強度(JIS P−8126)を測定し、ブランクとし
て作成した木材繊維100重量%の手抄シートの強度で
除した強度比率(%)を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】上記表1から明らかなように、0モル濃度
アルカリ水溶液では、木材繊維の代替として使用するに
は困難であると判断せざるを得ない極めて低い強度であ
った。また、1.5モル濃度アルカリ水溶液では、15
0メッシュ通過の短繊維状物が非常に多いため、繊維状
物のフィブリル化を目的とする次の叩解工程での調成が
不可能であった。
【0034】
【実施例2】上記実施例1で得られた結果から、ここで
は0.5モル濃度アルカリ水溶液を固定して、処理温度
を30℃,50℃,80℃,100℃,130℃に変化
させた。尚、ビール穀皮の量・液比・処理時間および洗
浄等は、上記実施例1と同一の条件で実施し、灰分(J
IS P−8204)および繊維長(JIS P−82
07)を測定した。その結果を表2に示す。
【0035】また、上記処理で得られた繊維状物を、容
量10リットルのナイアガラビーターで夫々叩解し、カ
ナディアン・スタンダード・フリーネス450ccに調
成した。
【0036】このように調成した繊維状物を、各温度条
件処理の繊維状物30重量%・木材繊維70重量%の配
合にて坪量120g/m2 の手抄シート(JIS P−
8209で規定する装置による)を作成した。これら各
手抄シートの破裂強度(JIS P−8112)および
圧縮強度(JIS P−8126)を測定し、ブランク
として作成した木材繊維100重量%の手抄シート(J
IS P−8209で規定する装置による)の強度で除
した強度比率(%)を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】上記表2から明らかなように、処理温度3
0℃では木材繊維の代替として使用するには、強度的に
問題があることが解る。また、処理温度130℃では、
150メッシュ通過の短繊維状物が極めて多く、繊維状
物のフィブリル化を目的とする次の叩解工程での調成が
不可能であった。
【0039】従って、上記実施例1と実施例2からも明
らかなように、木材繊維に代わり得る繊維状物を得るた
めには、叩解工程でより効果的なフィブリル化ができる
かどうかが重要であり、その前処理工程の処理条件とし
て、適切なモル濃度アルカリ水溶液および処理温度並び
にアルカリ処理後の灰分含有量の各適性範囲が存在する
ことが解った。
【0040】
【実施例3】ビール製造工場の副産物から得られるビー
ル穀皮を、0.5モル濃度アルカリ水溶液中、90℃・
120分で処理して得た繊維状物を、カナディアン・ス
タンダード・フリーネスで450ccに叩解した後、繊
維状物30・木材繊維70と、繊維状物60・木材繊維
40と、繊維状物90・木材繊維10の各々重量%比率
に混合したスラリーを用意した。
【0041】このようにして得られた各スラリーを、透
水性の型に充填し、減圧脱水工程を経てプレス加工・乾
燥というパルプモールド品製造方法にて、上面(開口)
寸法が13cm×10cm、底面寸法が7cm×4c
m、深さが5cm、重量16g(1個当たり)のトレイ
容器を作り、その成形性および強度(破裂強度=JIS
−8112,こわさ=1インチ幅の試料をTABERこ
わさ試験機にて測定)を測定し、その結果を表3に示
す。尚、同表3には、木材繊維100重量%のものも同
様な方法で測定し、比較例(ブランク)の結果も併記し
た。また、同表において、A面,B面,C面,D面およ
びE面とあるのは、図1に示すトレーの各面部における
測定データ値を示している。
【0042】
【表3】
【0043】上記表3から明らかなように、重量・厚さ
の精度については、木材繊維100重量%と比較して遜
色はない。また、強度(コワサ)についても全ての配合
比率で問題は見られないが、繊維状物の混合比率の増加
により破裂強度は低下する。これは繊維状物そのものが
持つ強度の限界を示しているもので、この実施例程度の
大きさのトレイ容器には問題なく採用可能である。尚、
今回比較例(ブランク)とした木材繊維100重量%の
パルプモールド品は、針葉樹の未晒クラフトパルプを使
用しており、最も強度のでる木材繊維であることを付記
する。
【0044】
【実施例4】ビール製造工場副産物から得られるビール
穀皮を、0.5モル濃度アルカリ水溶液中、90℃・1
20分で処理して得た繊維状物を、カナディアン・スタ
ンダード・フリーネスで450ccに叩解した後、繊維
状物5・木材繊維95と、繊維状物10・木材繊維90
と、繊維状物20・木材繊維80と、繊維状物30・木
材繊維70と、繊維状物40・木材繊維60および繊維
状物50・木材繊維50の各々重量%比率に混合したス
ラリーを用意した。
【0045】一方、比較例(ブランク)として、ビール
製造工場の副産物から得られる本発明に係る処理が施さ
れていないビール穀皮を、リファイナーにて機械処理を
した後、穀皮5・木材繊維95と、穀皮10・木材繊維
90および穀皮20・木材繊維80の各々重量%に混合
したスラリーも用意した。このようにして得られた各ス
ラリーを使用して、120g/m2 の手抄シート(JI
S P−8209で規定する装置による)を作成し、破
裂強度(JIS−P8112)・圧縮強度(JIS−P
8126)を測定し、その結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】上記表4から明らかなように、この発明の
処理方法によって得られた繊維状物を使用した手抄シー
トは、繊維状物50・木材繊維50重量%の比率であっ
ても良好な強度を保持しているが、一方の比較例(ブラ
ンク)では、穀皮20・木材繊維80重量%の比率で既
に大巾な強度低下を示している。このことから明らかな
ように、特に、圧縮強度(JIS P−8126)が要
求される段ボール原紙などは、本発明の繊維状物を使用
することによって良好な強度を得ることができる。
【0048】
【実施例5】ビール製造工場副産物から得られるビール
穀皮を、0.5モル濃度アルカリ水溶液中、90℃・1
20分で処理して得た繊維状物を、カナディアン・スタ
ンダード・フリーネスで450ccに叩解した後、繊維
状物5・木材繊維95重量%の比率で混合抄紙した板紙
(JIS P−8209で規定する装置による)と、ビ
ール製造工場の副産物から得られるビール穀皮をリファ
イナーにて機械処理をした後、穀皮5・木材繊維95重
量%の比率で混合抄紙(JIS P−8209で規定す
る装置による)した比較例(ブランク)とを、温度が2
8℃で湿度が90%の雰囲気中に12日間放置したとこ
ろ、アルカリ処理した本発明に係る板紙には黴が全く発
生しなかったのに対し、ブランクのものは黴が発生し
た。
【0049】このことからも明らかなように、本発明の
処理方法により得られた繊維状物が混合された紙製品
は、長期保存性に富むことが実証できた。勿論、パルプ
モールド品も同様である。
【0050】
【実施例6】ビール製造工場の副産物から得られる本発
明に係る処理が施されていないビール穀皮を、リファイ
ナーにて機械処理をした後、穀皮5・段ボール原紙中原
料95重量%,穀皮10・段ボール原紙中原料90重量
%,穀皮20・段ボール原紙中原料80重量%および段
ボール原紙中原料100重量%の各比率で、坪量60g
/m2 の手抄シート(JIS P−8209で規定する
装置による)を作成し、風乾処理の状態で合成樹脂製の
瓶に入れ、10名の女性パネラーにより臭気テストを実
施した。最初に、合成樹脂製の瓶と段ボール原紙中原料
100重量%の手抄シートの臭いをブランクとして知覚
させた後、収納シートを隠蔽した状態で、穀皮5・段ボ
ール原紙中原料95重量%,穀皮10・段ボール原紙中
原料90重量%,穀皮20・段ボール原紙中原料80重
量の3種類のサンプルに対し、「臭う=2点」「やや臭
う=1点」「臭わない=0点」の3段階からいずれかを
選択させた。そのテスト結果を表5に示す。尚、このテ
ストは3種類の手抄シートの優劣比較法ではない。
【0051】
【表5】
【0052】上記表5からも明らかなように、ビール製
造工場の副産物から得られる本発明に係る処理が施され
ていないビール穀皮を、リファイナーにて機械処理した
のみで、段ボール原紙中原料に混合して抄紙した場合、
ビール穀皮を10重量%以上混合するとパネラー全員が
臭気を感じたことが解る。
【0053】これに対して、ビール製造工場の副産物か
ら得られるビール穀皮を、0.5モル濃度アルカリ水溶
液中、90℃・120分で処理して得た繊維状物を、繊
維状物5・段ボール原紙中原料95重量%,繊維状物1
0・段ボール原紙中原料90重量%,繊維状物20・段
ボール原紙中原料80重量%および段ボール原紙中原料
100重量%の各比率で、坪量60g/m2 の手抄シー
ト(JIS P−8209で規定する装置による)を作
成し、前述と同様な方法にて、繊維状物5・段ボール原
紙中原料95重量%,繊維状物10・段ボール原紙中原
料90重量%,繊維状物20・段ボール原紙中原料80
重量%の3種類のサンプルに対し臭気テストを実施し
た。そのテスト結果を表6に示す。
【0054】
【表6】
【0055】上記表6からも明らかなように、本発明に
よる処理を施した繊維状物を段ボール原紙中原料に混合
して抄紙した場合、殆どのパネラーが臭気を感じなかっ
たことが解る。
【0056】
【実施例7】次に、実施例4に示す本発明の繊維状物
を、従来のペーパータオル原料に20重量%混合したも
のをA1、繊維状物30重量%を混合したものをA2、
そして従来のペーパータオル原料100重量%のものを
ブランクとして、坪量50g/m2 の手抄シート(JI
S P−8209で規定する装置による)を夫々20枚
作成し、坪量(g/m2 ,JIS P−8124)、キ
ン度(g/cm3 ,JIS P−8118)、厚さ(m
m/100,JIS P−8118)、引き裂き(g,
JIS P−8116)、伸び(%,JIS P−81
32)、裂断長(km,JIS P−8113)、ガー
レーこわさ(g/インチ,TAPPIスタンダード T
543pm−84)、クレム吸水度(秒/10mm,J
IS P−8141)および透気度(秒/100cc,
JIS P−8117)を夫々比較測定した。その結果
を表7に示す。
【0057】
【表7】
【0058】上記表7からも明らかなように、本発明に
係る繊維状物を用いて作成したペーパータオルは、従来
の原料で作成したペーパータオルと比較して、引き裂き
強度が若干低下するものの、実用上の品質において問題
はない。むしろ、吸水性が向上し、ペーパータオルとし
ての品質向上を図ることができる。
【0059】
【実施例8】ビール製造工場の副産物から得られるビー
ル穀皮を、0.5モル濃度アルカリ水溶液中、90℃・
120分で処理して得た繊維状物を、カナディアン・ス
タンダード・フリーネスで450ccに叩解した後、繊
維状物70重量%・クラフトパルプ(略称はKP)30
重量%,繊維状物80重量%・KP20重量%およびブ
ランクとしてサーモメカニカルパルプ(略称はTMP)
80重量%・KP20重量%の各比率にて、坪量60g
/m2 の手抄シート(JIS P−8209で規定する
装置による)を作成し、坪量(g/m2 ,JIS P−
8124)、キン度(g/cm3 ,JIS P−811
8)、厚さ(mm/100,JIS P−8118)、
引き裂き(g,JIS P−8116)、伸び(%,J
IS P−8132)、裂断長(km,JIS P−8
113)、透気度(秒/100cc,JIS P−81
17)を夫々比較測定した。その結果を表8に示す。
【0060】
【表8】
【0061】上記表8から明らかなように、本発明の繊
維状物は高歩留りパルプの一種であるTMPと比較した
場合、遜色がなく、80重量%の比率までの混合が可能
であることが解る。尚、繊維状物が90重量%の混合比
率の場合は、安定した手抄シート(JIS P−820
9で規定する装置による)の作成が困難な程、特に、引
き裂き強度の低下が著しい。
【0062】
【実施例9】ビール製造工場の副産物から得られる本発
明に係る処理が施されていないビール穀皮を、リファイ
ナーにて機械処理した後、穀皮20重量%・晒木材繊維
80重量%の混合比率で、坪量190g/m2 (名刺用
紙)および坪量120g/m2 (封筒用紙)を円網抄紙
機で抄紙した。その結果、混合した穀皮の約半分の量が
原料精選工程のクリーナー装置で異物として系外へ排出
され、大幅な歩留り低下となり、また、紙製品からの穀
皮離脱が激しく、オフセット印刷のときに、1色目です
でに版汚れが発生し、使用に耐え得ない紙となってしま
った。
【0063】一方、ビール製造工場の副産物から得られ
るビール穀皮を、0.5モル濃度アルカリ水溶液中、9
0℃・120分で処理して得た繊維状物を、繊維状物2
0重量%・晒木材繊維80重量%の混合比率で、坪量1
90g/m2 (名刺用紙)及び坪量120g/m2 (封
筒用紙)を円網抄紙機で抄紙した。その結果、繊維状物
の歩留りは木材繊維と同等程度まで大幅に向上し、その
紙製品は、繊維状物同士あるいは繊維状物と晒木材繊維
の絡み合いおよび水素結合の改善から、オフセット印刷
工程の実用に十分耐え得るものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】パルプモールドトレーの平面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 茂男 静岡県島田市4379番地 東海パルプ株式会 社内 (72)発明者 紅林 忠義 静岡県島田市4379番地 東海パルプ株式会 社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビール穀皮をアルカリ水溶液中に浸漬
    し、これを所定温度で処理して繊維状物を得ることを特
    徴とするビール穀皮の処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のアルカリ水溶液の濃度
    を0.1乃至1.0モル濃度とし、かつ、処理温度を5
    0乃至100℃とすることを特徴とする請求項1に記載
    のビール穀皮の処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2のいずれかに記
    載されたビール穀皮の処理方法において、処理後の繊維
    状物中の灰分含有量が2.0重量%以下であることを特
    徴とするビール穀皮の処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    されたビール穀皮の処理方法によって得られた繊維状物
    を主原料とするパルプモールド品。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    された繊維状物が、叩解装置にてカナディアン・スタン
    ダード・フリーネス300乃至650ccに叩解されて
    いることを特徴とする請求項4に記載のパルプモールド
    品。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載
    された繊維状物を、パルプモールド品の重量に対し、最
    大90重量%の比率まで混合したことを特徴とする請求
    項4または請求項5のいずれかに記載されたパルプモー
    ルド品。
  7. 【請求項7】 請求項4乃至請求項6に記載のパルプモ
    ールド品は、電器製品及びその部品・精密機器及びその
    部品或は硝子・缶・プラスチック等の容器または食品等
    を保護する包装材または緩衝材であることを特徴とする
    パルプモールド品。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    されたビール穀皮の処理方法により得られた繊維状物
    に、パルプ原料を混合して得られた紙製品。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項3および請求項8に
    記載された繊維状物は、叩解装置にてカナディアン・ス
    タンダード・フリーネス150乃至650ccに叩解さ
    れていることを特徴とする請求項8に記載の紙製品。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至請求項3および請求項8
    と請求項9に記載された繊維状物を、紙製品の重量に対
    し、最大80重量%の比率まで混合したことを特徴とす
    る請求項8または請求項9のいずれかに記載された紙製
    品。
  11. 【請求項11】 請求項8乃至請求項10に記載された
    紙製品は、衛生用紙や段ボール原紙又は美粧性および印
    刷適性が要求される板紙や包装洋紙であることを特徴と
    する紙製品。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載された衛生用紙は、
    ペーパータオルであることを特徴とする紙製品。
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