JPH0813306A - 耐熱性不織布及びその製造方法 - Google Patents

耐熱性不織布及びその製造方法

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JPH0813306A
JPH0813306A JP6164487A JP16448794A JPH0813306A JP H0813306 A JPH0813306 A JP H0813306A JP 6164487 A JP6164487 A JP 6164487A JP 16448794 A JP16448794 A JP 16448794A JP H0813306 A JPH0813306 A JP H0813306A
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polyester
polymer
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melting point
heat
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JP6164487A
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Hiroko Yamagiwa
裕子 山際
Masatoshi Morita
正敏 森田
Tomoko Watanabe
智子 渡辺
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Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリエステル系バインダー繊維を有効に接着
することができ、しかも接着した繊維製品を高温雰囲気
下で使用しても接着強度の低下が少なく、製品強度が保
たれ、また製糸性に優れた耐熱不織布及びその製造方法
を提供する。 【構成】 融点が200℃以上にポリエステルからなる
主体繊維60重量%と表面の一部がイタコン酸を5モル
%共重合した、主体繊維よりも融点が30℃以上低い共
重合ポリエステルからなるバインダー繊維40重量%と
からなるウェブを熱処理により、バインダー繊維を介し
て主体繊維同士を接着させた後、電子線照射してバイン
ダー繊維を構成するポリエステルを架橋結合を形成させ
た耐熱性不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温化での接着性に優
れたポリエステル系不織布およびその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】最近、ルーフィング資材、自動車用内
装、繊維製品の基布等に用いる不織布、枕や寝装用の詰
め物の、キルティングの詰め物、マットレスの詰め物等
を構成する繊維(主体繊維)を接着する目的でホットメ
ルト型のバインダー繊維が広く使用されるようになって
きた。
【0003】そして、主体繊維としては、比較的安価で
優れた物性を有するポリエステル繊維が最も多く使用さ
れており、これを接着するバインダー繊維もポリエステ
ル系の物が好ましく、種々のポリエステル系バインダー
繊維及びこれを用いて接着した接着ポリエステル繊維構
造物(例えば、米国特許第4126675 号)が提案されてい
る。
【0004】ポリエステル系バインダー繊維の融点は、
一般に90〜180℃の範囲にあり、融点近くで熱処理
して主体繊維を接着したものである。ところが、産業資
材用の繊維製品の場合、このようなバインダー繊維で接
着したものを、バインダー繊維の融点近傍の高温雰囲気
で使用すると、バインダー成分が再び軟化溶融するた
め、接着強力が低下し、製品の強度の低下、嵩高保持性
の低下等が起こり、使用上問題があった。
【0005】これらの問題を解決するバインダー繊維と
して、ホットメルト型ポリエステルとブロックドイソシ
アネート化合物またはイソシアネート化合物とを混合紡
糸して得る、熱硬化型バインダー繊維が提案されている
(特開昭58-203117 号公報)。しかし、このバインダー
繊維を製造するには、紡糸温度を適切に選ばないと紡糸
中に硬化が進行し、紡糸の継続が困難になったり、ある
いは急速混練紡糸しなければならず、装置が複雑とな
り、異常滞留等が発生し、滞留部分から徐々に硬化が進
行し、紡糸時の糸切れが増加する等の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題を解決し、ポリエステル系バインダー繊維を有効に
接着することができ、しかも接着した繊維製品を高温雰
囲気で使用しても接着強度の低下が少なく、製品強度が
保たれ、また製糸性においても優れた耐熱性不織布及び
その製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明に到達
した。
【0008】すなわち、本発明は、融点が200℃以上
のポリエステル系重合体Aからなる主体繊維90〜50
重量%と、下記条件およびを満足する重合体成分B
を表面の少なくとも一部に有するバインダー繊維5〜5
0重量%とからなり、バインダー繊維を介して主体繊維
同士が熱接着されており、かつ電子線照射により前記重
合体成分Bが架橋結合を有してなることを特徴とする耐
熱性不織布であり、 重合体成分Bが、テレフタル酸を主体とし、他の芳香
族ジカルボン酸または飽和脂肪族ジカルボン酸を含有す
るジカルボン酸の酸成分と、エチレングリコール成分と
からなるポリエステルCに、不飽和結合を有するエステ
ル形成性化合物Dを前記酸成分の1〜15モル%共重合
したポリエステルであり、かつ 重合体成分Bは、ポリエステル系重合体Aの融点より
30℃以上低い融点または軟化点を有することを要旨と
するものである。
【0009】また、本発明は、融点が200℃以上のポ
リエステル系重合体Aからなる主体繊維90〜50重量
%と、下記条件およびを満足する重合体成分Bを表
面の少なくとも一部に有するバインダー繊維5〜50重
量%とからなるウェブを形成し、次いで、重合体成分B
の融点以上の温度で熱接着処理して前記バインダー繊維
を介して主体繊維同士を熱接着した後、電子線を照射し
て前記重合体成分Bに架橋結合を形成することを特徴と
する耐熱不織布の製造方法であり、 重合体成分Bが、テレフタル酸を主体とし、他の芳香
族ジカルボン酸または飽和脂肪族ジカルボン酸を含有す
るジカルボン酸の酸成分と、エチレングリコール成分と
からなるポリエステルCに、不飽和結合を有するエステ
ル形成性化合物Dを前記酸成分の1〜15モル%共重合
したポリエステルであり、かつ 重合体成分Bは、ポリエステル系重合体Aの融点より
30℃以上低い融点または軟化点を有することを要旨と
するものである。
【0010】本発明において、主体繊維を構成するポリ
エステル系重合体Aとは、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテ
レフタレートあるいはこれらの共重合体であって、かつ
いずれも融点が200℃以上のものである。
【0011】なお、本発明の目的を損なわない範囲であ
れば、艶消し剤や、滑剤等を添加したものであってもよ
い。この繊維では、融点が200℃未満であると、熱接
着処理時の安定性が低下する等の問題が生じるので好ま
しくない。
【0012】本発明で用いるバインダー繊維は、その表
面の少なくとも一部が、テレフタル酸を主体とし、他の
芳香族ジカルボン酸または飽和脂肪族ジカルボン酸を含
有するジカルボン酸の酸成分と、エチレングリコール成
分とからなるポリエステルCに、不飽和結合を有するエ
ステル形成性化合物Dを前記酸成分の1〜15モル%共
重合したポリエステルからなる重合体成分Bである。
【0013】本発明において重合体成分Bは、電子線照
射により架橋結合を形成するため、不飽和結合を有する
エステル形成性化合物Dが、ポリエステルCにおけるジ
カルボン酸の酸成分に対して1〜15モル%共重合され
る必要がある。不飽和結合を有するエステル形成性化合
物Dとしてはマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、プロピリデン
マロン酸、ブチリデンマロン酸、ベンジリデンマロン
酸、2-ブテン-1,4- ジカルボン酸、3-ヘキセン-1,6- ジ
カルボン酸、4-シクロヘキセン1,2-ジカルボン酸、3-シ
クロヘキセン1,2-ジカルボン酸、4-ヘプテン1,2-ジカル
ボン酸、4-オクテン1,2-ジカルボン酸、4-デカン-1,2-
ジカルボン酸、2-ブテン -1,4-ジオール、3-ヘキセン-
1,6- ジオール等が挙げられる。
【0014】不飽和結合を有するエステル形成性化合物
Dの共重合量は、ポリエステルCにおけるジカルボン酸
の酸成分に対して1〜15モル%とする必要があり、特
に2〜15モル%の添加量が好ましい。この共重合量が
1モル%未満では、電子線を照射しても架橋結合が十分
に行われないため好ましくない。また、15モル%を越
えると紡糸時にゲル化が起こり紡糸不可能となるので好
ましくない。
【0015】本発明において重合体成分Bは、ポリエス
テル系重合体Aの融点よりも30℃以上低い融点または
軟化点を有することが必要である。
【0016】重合体成分Bの融点または軟化点とポリエ
ステル系重合体Aの融点との差が30℃未満であると、
繊維をウェブ化して、繊維間を接着させる熱接着処理の
際に高温で処理すると、重合体成分Bが少なくとも繊維
交差点では融解し、バインダー繊維を介して主体繊維同
志が接着されるものの、主体繊維のポリエステル系重合
体Aが熱劣化して繊維全体としての引張強度や曲げ強度
が低下する。
【0017】一方、低温で処理すると主体繊維のポリエ
ステル系重合体Aは熱劣化しないものの、重合体成分B
が繊維交差点で十分融解しないのでバインダー繊維を介
して主体繊維同志が接着せず、不織布としての強度が低
下し、極端な場合には、不織布の形態さえ保持されな
い。したがって、重合体成分Bが少なくとも部分的に融
解し、かつポリエステル系重合体Aが熱劣化しないよう
に熱接着処理をして強力に優れた不織布を得るには、重
合体成分Bの融点または軟化点は、ポリエステル系重合
体Aの融点よりも30℃以上低いことが必要である。
【0018】本発明においてポリエステルC85〜99
モル%は、エチレンテレフタレートを繰り返し単位と
し、テレフタル酸成分の一部を飽和脂肪族ジカルボン
酸、芳香族ジカルボン酸成分で置換したものである。
【0019】飽和脂肪族ジカルボン酸としては、アジピ
ン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸など
が挙げられ、芳香族ジカルボン酸としては、無水フタル
酸、フタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸
などが挙げられる。これらを本発明のバインダー成分と
して要求される融点に応じて、テレフタル酸成分の一部
を飽和脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸成分で
所定量置換すればよい。
【0020】また、本発明の目的から外れることがなけ
れば、他の成分を少量共重合してもよく、艶消し剤、安
定剤、その他の目的のための添加剤などを含むものであ
ってもよい。
【0021】ポリエステルCとして、経済性、汎用性、
物性等を勘案すれば、エチレンテレフタレートを繰り返
し単位とし、要求される融点に応じてエチレンイソフタ
レートおよび/またはエチレンフタレートを15〜50
モル%の範囲内で共重合させたものが好ましい。エチレ
ンイソフタレートおよび/またはエチレンフタレートが
15モル%未満では融点が高くなり、ポリエステル系重
合体Aと重合体成分Bとの融点差が30℃未満となるの
で好ましくない。また、50モル%を越えると融点が低
くなりすぎるため高温雰囲気下で使用した場合、重合体
成分Bが再び軟化溶融するため、接着強力が低下し、不
織布強度の低下、嵩高保持性の低下等が起こり、使用上
問題があるので好ましくない。
【0022】本発明に用いられるバインダー繊維は、そ
の表面の少なくとも一部が前記重合体成分Bからなる。
前記重合体成分Bが繊維表面部を形成している複合繊維
としては、例えば、芯鞘型および海島型の複合糸が挙げ
られる。このうち、芯鞘型複合糸は、熱接着処理によ
り、鞘成分の重合体(重合体成分B)は少なくとも繊維
交差点で部分的に融解して、バインダー繊維を介して主
体繊維同志を各網目状接着結合をするため、不織布の強
力が向上し、しかも芯成分の重合体は熱劣化せずに繊維
構造を保っているため不織布の強力を保つので好まし
い。
【0023】特に芯がポリエチレンテレフタレート、鞘
が低融点の共重合ポリエステルである複合繊維が、不織
布とした時の形態保持性、不織布強力の高さの観点より
好ましい。芯成分と鞘成分の重合体の断面積比は、任意
にとりうるが、繊維自体の強力と繊維間の熱接着性の点
で7/3〜1/9の範囲が好ましい。
【0024】不織布を構成する繊維において、バインダ
ー繊維の混合率は5重量%以上、50重量%以下で、好
ましくは10重量%以上混合する必要がある。5重量%
未満では十分な接着強力が得られず、50重量%を越え
ると手触りが硬く、かつ嵩がなくなり好適な風合いの不
織布を得ることができない。
【0025】次に作成方法について説明する。主体繊維
およびバインダー繊維は、それぞれ通常の溶融紡糸装置
や延伸装置を用いて常法に従って製糸し、通常の短繊維
製造用の捲縮付与装置および切断装置を使用して捲縮短
繊維とすることにより得ることができる。
【0026】次いで、主体繊維とバインダー繊維を混綿
し、カード等でウェブを形成し、バインダー繊維の少な
くとも表面の一部である重合体成分Bの融点より高い温
度、好ましくは20℃高い温度に昇温した熱接着処理装
置でバインダー繊維の重合体成分Bを溶融させ、バイン
ダー繊維を介して主体繊維同志を各網目状接着結合し不
織布を得る。この場合熱接着処理の前にニードリング加
工を行ってもよい。熱接着処理装置としては、嵩密度の
小さい嵩高の不織布を得たい時は、熱風循環ドライヤ
ー、回転乾燥等が用い、嵩密度の大きい不織布を得たい
時は、熱カレンダーロールや熱エンボスロールを用いれ
ばよく、目的に合わせて適宜選択すればよい。
【0027】電子線照射の時期および方法について説明
する。電子線照射することによって、不飽和基から分子
が励起またはイオン化し、励起分子の分解反応によりポ
リエステル分子の架橋結合が可能になる。
【0028】電子線照射は、バインダー繊維と主体繊維
を混合したウェブをバインダー繊維の重合体成分Bの融
点以上で熱接着処理を行い、バインダー繊維を介して主
体繊維同士を接着させた後行う。熱接着処理を行う以前
に電子線照射を行うと接着強力が弱くなるので好ましく
ない。
【0029】架橋結合を形成するために必要な電子線照
射量は、5〜100Mradが好ましい。電子線照射量
が5Mrad未満ではポリエステル分子の動きが遅くて
架橋が生じにくく、また照射量が100Mradを越え
ると、ポリエステルの分子鎖の切断等が起こり、繊維が
切断しやすくなったり、性能を低下させる傾向がある。
【0030】本発明で電子線照射により得られる架橋結
合を有してなるバインダー繊維のゲル分率は5%以上で
あることが好ましい。ゲル分率が5%未満であると架橋
結合が十分に行われておらず、耐熱性を有するとはいえ
ないので好ましくない。
【0031】ここでゲル分率は、以下の方法により測定
される。フェノールと四塩化エタンの等重量化合物10
0mlを溶媒として用い、試料3gを、90℃で30分
溶解させた後、不溶解量を測定する。一方、試料3g中
のバインダー繊維の重量を、バインダー繊維と主体繊維
との混合率より求める。そして、バインダー繊維の重量
に対する不溶解量の割合をゲル分率(%)とする。
【0032】ゲル分率(%)=(Y/X)×100 上式において、Xはバインダー繊維の重量(g)、Yは
不溶解量(g)とする。
【0033】また、電子線の到達深度は加速電圧に比例
して直線的に増加するので、糸条の径に応じて加速電圧
を増すことが好ましい。加速電圧は通常10〜1000
kv、好ましくは150〜300kvの範囲で選ぶこと
ができる。
【0034】電子線照射は、室温からポリエステルの融
点以下の温度の範囲で行われる。照射時の温度があまり
に低いと十分に架橋せず、また、あまり温度が高すぎる
と、照射時にポリエステルの糸条が熱変形を起こし接着
強力が低下し、不織布の強度が低下するので好ましくな
い。
【0035】
【作用】本発明の不織布が良好な耐熱性、接着強力を示
す理由としては次のように考えられる。バインダー繊維
と主体繊維とを混合して熱接着処理することにより、バ
インダー繊維の重合体成分Bは一旦溶融してバインダー
繊維を介して主体繊維同士を接着する。次に電子線照射
することにより重合体成分Bを構成する不飽和結合を有
するエステル形成性化合物Dの不飽和基から分子が励起
またはイオン化し、励起分子の分解反応によって自己架
橋により硬化し繊維間接着部分等の表面を覆い、結果的
には強固な結合になり耐熱性が向上する。
【0036】従って、本発明の不織布を、バインダー繊
維の重合体成分Bの融点および軟化点よりも高い温度雰
囲気下で使用した場合でも、接着強力は十分に保たれ、
不織布強力が保持される。
【0037】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0038】なお、実施例における特性値の測定法は次
の通りである。
【0039】極限粘度:フェノールと四塩化エタンの等
重量混合物を溶媒とし、20℃で測定した。
【0040】融点および軟化点(℃):パーキンエルマ
ー社製の示差走査熱量計DSC−2型を用いて昇温速度
20℃/分で測定した。
【0041】不織布強力(g/25mm幅):インスト
ロン型引張試験機にて下記条件で測定した。電子線照射
を行った不織布の試験片25mm×150mmとして、
試験長100mm、引張速度100mm/minで、測
定温度は25℃、150℃とし、150℃では150℃
オーブン中に試料を投入し90秒放置後測定した。
【0042】実施例1 重合体成分Bとして、テレフタル酸(TPA)60モル
%とイソフタル酸(IPA)35モル%およびイタコン
酸(IA)5モル%の割合で混合したジカルボン酸とエ
チレングリコールをエステル化反応後、重縮合を行い、
極限粘度が0.67、融点が120℃の共重合ポリエステ
ルを得た。また、テレフタル酸とエチレングリコールか
ら前記と同様に重合し、極限粘度が0.67、融点が26
0℃のポリエチレンテレフタレートを得た。共重合ポリ
エステル、ポリエチレンテレフタレートを減圧乾燥後、
通常の複合繊維用溶融紡糸用装置を使用して紡糸口金孔
数265孔、共重合ポリエステルが鞘成分、ポリエチレ
ンテレフタレートが芯成分となるように紡糸温度270
℃、吐出量424g/min、複合重量比1:1で溶融
紡糸し、冷却後1000m/minの速度で捲取った。
得られた糸条を10万デニールのトウに集束し、延伸温
度60℃、延伸倍率3.8倍で延伸し、押し込み式クリン
パーで,捲縮を付与した後、長さ51mmに切断して繊
度4デニールのバインダー繊維を得た。
【0043】得られたバインダー繊維と、繊度2デニー
ル、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレートのみ
からなる主体繊維を40:60の重量比率で混綿しカー
ドに通して40g/m2 の目付けのウェブを作成する。
そのウェブを130℃の回転乾燥機で2分間熱接着処理
し、その後、電子線照射装置を用い、加圧電圧200k
v、30Mrad、50Mradの電子線をそれぞれ照
射し、実施例1の不織布を得た。
【0044】実施例2〜5 実施例1において共重合ポリエステルにおけるテレフタ
ル酸、イソフタル酸およびイタコン酸の混合量を第1表
に示したようにした以外は、実施例1と同様な操作を行
い、実施例2〜5の不織布を得た。
【0045】実施例6 実施例1においてバインダー繊維と、主体繊維の混率を
10:90にした以外は実施例1と同様な操作を行い、
実施例6の不織布を得た。
【0046】実施例7 実施例1において共重合ポリエステルにおける共重合物
をテレフタル酸60モル%、イソフタル酸35モル%、
マレイン酸(MA)5モル%にした以外は、実施例1と
同様な操作を行い、実施例7の不織布を得た。
【0047】実施例8 実施例1において共重合ポリエステルにおける共重合物
をテレフタル酸60モル%、イソフタル酸35モル%、
2-ブテン−1,4-ジオール(2−B−1,4−BD)5モ
ル%にした以外は、実施例1と同様な操作を行い、実施
例8の不織布を得た。
【0048】実施例9 実施例1において共重合ポリエステルにおける共重合物
をテレフタル酸75モル%、無水フタル酸20モル%、
イタコン酸5モル%にした以外は、実施例1と同様な操
作を行い、実施例9の不織布を得た。
【0049】実施例10 実施例1において共重合ポリエステルにおける共重合物
をテレフタル酸65モル%、イソフタル酸20モル%、
セバシン酸10モル%、イタコン酸5モル%の割合で混
合したジカルボン酸とエチレングリコールをエステル化
反応後、重縮合を行い共重合ポリエステルを得た以外
は、実施例1と同様な操作を行い、実施例10の不織布
を得た。
【0050】実施例11 実施例3において電子線照射装置を用い、加圧電圧20
0kv、5Mradの電子線を照射した以外は同様にし
て、実施例11の不織布を得た。得られた不織布のゲル
分率及び不織布強力を測定したところ、ゲル分率は9.6
%、不織布強力は25℃雰囲気下で3280g/25m
m幅、150℃雰囲気下で1200g/25mm幅であ
り、高温雰囲気下の不織布強力が明らかに高く、耐熱性
に優れたものであった。
【0051】実施例12 実施例1において電子線照射装置を用い、加圧電圧20
0kv、5Mradの電子線を照射した以外は同様にし
て、実施例12の不織布を得た。得られた不織布のゲル
分率及び不織布強力を測定したところ、ゲル分率は1
2.7%、不織布強力は25℃雰囲気下で3740g/2
5mm幅、150℃雰囲気下で1310g/25mm幅
であり、高温雰囲気下の不織布強力が明らかに高く、耐
熱性に優れたものであった。
【0052】実施例13 実施例4において電子線照射装置を用い、加圧電圧20
0kv、5Mradの電子線を照射した以外は同様にし
て、実施例13の不織布を得た。得られた不織布のゲル
分率及び不織布強力を測定したところ、ゲル分率は2
1.5%、不織布強力は25℃雰囲気下で3965g/2
5mm幅、150℃雰囲気下で1890g/25mm幅
であり、高温雰囲気下の不織布強力が明らかに高く、耐
熱性に優れたものであった。
【0053】比較例1〜5 実施例1において共重合ポリエステルにおけるテレフタ
ル酸、イソフタル酸およびイタコン酸の混合量を第1表
に示したようにした以外は、実施例1と同様な操作を行
い、比較例1〜5の不織布を得た。
【0054】比較例6 実施例1において用いた繊度2デニール、繊維長51m
mのポリエチレンテレフタレートのみをカードに通して
40g/m2 のウェブとした後、実施例1と同様の処理
を行い、比較例6の不織布を得た。
【0055】比較例7〜8 実施例1においてバインダー繊維と、主体繊維の混率を
表1に示したようにした以外は実施例1と同様な操作を
行い、比較例7〜8の不織布を得た。
【0056】比較例9 実施例1において電子線照射を行わない以外は実施例1
と同様な操作を行い、比較例9の不織布を得た。得られ
た不織布のゲル分率及び不織布強力を測定したところ、
ゲル分率は0.7%、不織布強力は25℃雰囲気下で38
60g/25mm幅、150℃雰囲気下で380g/2
5mm幅であり、電子線照射を行わなかったために、架
橋結合が形成されず、25℃雰囲気下では不織布強力が
高いが、高温雰囲気下での不織布強力は低く、耐熱性に
劣るものであった。
【0057】実施例1〜10、比較例1〜8で得られた
不織布のゲル分率及び不織布強力を測定し表1に示し
た。
【0058】
【表1】
【0059】表1において、実施例1〜10は、十分に
架橋結合が形成されているために、バインダー繊維の共
重合ポリエステル(重合体成分B)の融点および軟化点
よりも高い温度雰囲気下でも、接着強力は十分に保た
れ、不織布強力が明らかに高く、耐熱性に優れたもので
あった。
【0060】比較例1は、共重合ポリエステル(重合体
成分B)に不飽和結合を有するエステル形成性化合物D
を混合していないため、電子線照射しても架橋結合が形
成されず、高温下での不織布強力に劣るものであった。
【0061】比較例2は、共重合ポリエステル(重合体
成分B)にイタコン酸の共重合量が少ないため、十分に
架橋結合を有していないため、高温下での不織布強力に
劣るものであった。
【0062】比較例3は、共重合ポリエステル(重合体
成分B)にイタコン酸が多く共重合されているため紡糸
時にゲル化が起こったため、紡糸不可能であった。
【0063】比較例4は、共重合ポリエステル(重合体
成分B)におけるイソフタル酸の量が多いため、その融
点が低く、130℃で熱接着処理を行うと、バインダー
繊維の収縮が大きくなり、接着強力が低下し、不織布強
力に劣っていた。
【0064】比較例5は、共重合ポリエステル(重合体
成分B)におけるイソフタル酸の量が少ないため、その
融点が高く、130℃の熱接着処理では共重合ポリエス
テルが繊維交差点で十分融解せず、主体繊維同士が接着
されていない。よって、電子線照射により、架橋結合が
形成されても、不織布強力に劣るものであった。
【0065】比較例6は、バインダー繊維を混合してい
ないため、主体繊維同士では接着されず不織布強力が小
さかった。
【0066】比較例7は、バインダー繊維の混合量が少
ないため主体繊維同士の接着部分がが少なく、不織布強
力に劣るものであった。
【0067】比較例8は、バインダー繊維の混合量が多
いため不織布強力は高いが、手触りが硬くフィルムライ
クのものであった。
【0068】また、図1は、実施例1〜4、11〜1
3、比較例1〜2における不飽和結合を有するエステル
形成性化合物の共重合量(モル%)とゲル分率(%)と
の関係を示す図である。
【0069】不飽和結合を有するエステル形成性化合物
(モル%)とゲル分率(%)との関係を表すグラフであ
る。▲は5Mrad、○は30Mrad、●は50Mr
adの電子線を照射したものである。不飽和結合を有す
るエステル形成性化合物Dの共重合量が0.5モル%のと
きは、ゲル分率は5%未満であり、架橋結合が十分に形
成されていない。しかし、共重合量が2モル%を越える
とゲル分率は5%以上となり架橋結合が十分に形成され
ている。
【0070】また、図2は、実施例1、3〜4、11〜
13、比較例1〜2、9における電子線照射量(Mra
d)とゲル分率(%)との関係を示す図である。
【0071】△は0.5モル%、●は2モル%、×は5モ
ル%、○は13モル%の不飽和結合を有するエステル形
成性化合物の共重合量である。不飽和結合を有するエス
テル形成性化合物の共重合量が0.5モル%のときは、電
子線照射量を増やしても、ゲル分率は5%未満であり、
架橋結合が十分に形成されていない。一方、共重合量が
2モル%を越えるとゲル分率は5%以上となり架橋結合
が十分に形成され、また、電子線照射量が増すとゲル分
率も高くなり、より架橋結合が十分に形成されていると
いえる。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、高温雰囲気下において
も優れた接着性を有し、不織布強力に優れた、耐熱性を
有するポリエステル系不織布が簡単に、しかも安価に得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】不飽和結合を有するエステル形成性化合物の共
重合量(モル%)とゲル分率(%)との関係を示す図で
ある。
【図2】電子線照射量(Mrad)とゲル分率(%)と
の関係を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が200℃以上のポリエステル系重
    合体Aからなる主体繊維90〜50重量%と、下記条件
    およびを満足する重合体成分Bを表面の少なくとも
    一部に有するバインダー繊維5〜50重量%とからな
    り、バインダー繊維を介して主体繊維同士が熱接着され
    ており、かつ電子線照射により前記重合体成分Bが架橋
    結合を有してなることを特徴とする耐熱性不織布。 重合体成分Bが、テレフタル酸を主体とし、他の芳香
    族ジカルボン酸または飽和脂肪族ジカルボン酸を含有す
    るジカルボン酸の酸成分と、エチレングリコール成分と
    からなるポリエステルCに、不飽和結合を有するエステ
    ル形成性化合物Dを前記酸成分の1〜15モル%共重合
    したポリエステルであり、かつ、 重合体成分Bは、ポリエステル系重合体Aの融点より
    30℃以上低い融点または軟化点を有する。
  2. 【請求項2】 ポリエステルCが、エチレンテレフタレ
    ートを繰り返し単位とし、エチレンテレフタレートの1
    5〜50モル%をエチレンイソフタレート、および/ま
    たはエチレンフタレートで置換されてなる請求項1記載
    の耐熱性不織布。
  3. 【請求項3】 融点が200℃以上のポリエステル系重
    合体Aからなる主体繊維90〜50重量%と、下記条件
    およびを満足する重合体成分Bを表面の少なくとも
    一部に有するバインダー繊維5〜50重量%とからなる
    ウェブを形成し、次いで、重合体成分Bの融点以上の温
    度で熱接着処理して前記バインダー繊維を介して主体繊
    維同士を熱接着した後、電子線を照射して前記重合体成
    分Bに架橋結合を形成することを特徴とする耐熱不織布
    の製造方法。 重合体成分Bが、テレフタル酸を主体とし、他の芳香
    族ジカルボン酸または飽和脂肪族ジカルボン酸を含有す
    るジカルボン酸の酸成分と、エチレングリコール成分と
    からなるポリエステルCに、不飽和結合を有するエステ
    ル形成性化合物Dを前記酸成分の1〜15モル%共重合
    したポリエステルであり、かつ 重合体成分Bは、ポリエステル系重合体Aの融点より
    30℃以上低い融点または軟化点を有する。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002070805A1 (en) * 2001-03-06 2002-09-12 Mitsubishi Burlington Co.,Ltd. Polyester nonwoven fabric, nonwoven fabric product thereof and various products using the nonwoven fabrics reinforcing material
JP2005042289A (ja) * 2003-07-10 2005-02-17 Nippon Ester Co Ltd 不織布用短繊維及び短繊維不織布

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JP4485860B2 (ja) * 2003-07-10 2010-06-23 日本エステル株式会社 不織布用短繊維及び短繊維不織布

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